JP3542884B2 - 試料観察装置用冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒タンクに液体窒素や液体ヘリウム等の冷却媒体を入れて熱伝導体を介して試料等を冷却する試料観察装置用冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は冷却装置を備えた試料観察装置の構成例を示す図であり、51は電子銃、52は二次電子検出器、53は冷却ステージ、54は試料ステージ、55はマイクロヘッド、56は冷媒タンク、57は熱伝導体、58は編み線、59は真空チャンバ、60は真空ポンプを示す。
【0003】
電子顕微鏡や走査プローブ顕微鏡、走査トンネル顕微鏡等の試料観察装置では、観察試料を冷却するために液体窒素や液体ヘリウムを入れた冷媒タンクを備えた試料冷却装置が設けられる。その構成例を示したのが図3である。この試料観察装置は、真空チャンバ59の中を真空ポンプ60で真空にひき、その中に試料ステージ54を設けて、電子銃51から放射される電子を試料に照射することにより、発生する二次電子を二次電子検出器52で検出し試料を観察するものである。試料ステージ54は、マイクロヘッド55によって操作され、その上に冷却ステージ53を備え、冷却ステージ53と冷媒タンク56との間を熱伝導体57、編み線58で接続して冷却ステージ53の熱を冷媒タンク56に冷媒として入れた液体窒素や液体ヘリウムに放出するように構成したものである。上記のように冷却装置は、冷媒タンク56と熱伝導体57、さらには編み線58等からなり、冷媒タンク56の底は、水平になっていて、表面が切削面で滑らかに仕上げられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、試料観察装置の設置スペースが限られている場合、装置の設置位置と壁面や他の装置との間隔等が狭いため、図3に示すような冷却装置では、冷媒タンクの直径を細くせざるを得ない場合がある。また、図3に示すように冷却装置を外付けにせずに内部に収容する場合もあるが、このような場合にも、一般にまず、冷却装置よりもレンズや検出器等の部材の配置が優先して決められ、冷却装置の設置スペースは、それらの隙間に確保されるようになるため、装置の内部でのこれらの部材との干渉等により、冷媒タンクの直径を細くせざるを得ない場合がある。しかし、冷媒タンクの直径を細くすると、熱伝導のための断面積を大きく確保することができなくなり、到達温度までの冷却に時間がかかったり、到達温度が高くなる等の問題が生じている。
【0005】
また、試料冷却装置により試料を冷却するには、液体窒素や液体ヘリウムが沸騰しなければならないが、沸騰する際に発生する泡が電子顕微鏡や走査プローブ顕微鏡、走査トンネル顕微鏡等の試料観察装置にとっては振動源となり、分解能や画質に悪影響を与えるという問題が生じている。さらに、表面が滑らかに仕上げられているため、発生する泡が非常に少数かつ大きくなり、そのために、熱伝達の効率が悪くなり、この場合にも到達温度までの冷却に時間がかかったり、到達温度が高くなったり、大きな振動源となる等の問題が生じている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであり、液体窒素や液体ヘリウムの沸騰をしやすくし、冷却効率を高めるものである。
【0007】
そのために本発明は、冷媒タンクに液体窒素や液体ヘリウム等の冷却媒体を入れて熱伝導体を介して試料等を冷却する試料観察装置用冷却装置において、前記冷媒タンクの底面を多孔質層が形成された凹凸面からなる斜面で構成したことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る試料観察装置用冷却装置の実施の形態を示す図であり、1はタンク外壁、2は冷却媒体、3は熱伝導体、4は試料、5は探針、31、31−1、31−2は突起部、32は底部、33は段部、41は試料ステージを示す。
【0009】
図1において、タンク外壁1は、下方は底のない筒状体であり、熱伝導体3の底部32と共に冷媒タンクを構成して、上より冷却媒体2を封入するものであり、冷却媒体2は、液体窒素や液体ヘリウムである。熱伝導体3は、試料4の熱を冷却媒体2へ放出するために熱伝達を行うものであり、タンク外壁1の内側に挿嵌される底部32を上面に有すると共にその中央に逆すり鉢の形状(円錐形状)の突起部31を有し、さらに、タンク外壁1の下端に沿って当接する段部33を有する。試料4は、試料ステージ41により保持され、この試料ステージ41が熱伝導体3に取り付けられる。探針5は、トンネル電流を検出しながら試料4の表面を走査するものである。つまり、走査トンネル顕微鏡の試料冷却装置として構成した例を示したものである。このように本発明に係る試料観察装置用冷却装置は、熱伝導体3の突起部31と底部32により冷媒タンクの底面を凹凸に形成することにより、冷却媒体2と熱伝導体3との接触面積を大きくし、熱伝達効率を良くするものである。冷媒タンクの底面を凹凸に形成する場合、図1(A)は中央に逆すり鉢の形状(円錐形状)の突起部31を1つだけ設けているのに対し、図2(B)は、中央に小さな逆すり鉢の形状(円錐形状)の突起部31−1を設け、その周囲に同心円状に突起部31−2を設けている。勿論、突起部31−2を内側、外側に幾重にも設けるようにしてもよい。
【0010】
試料4の温度を下げるためには、試料4の熱を熱伝導体3を通して冷却媒体2である液体窒素や液体ヘリウムへ放出しなければならない。この熱の流れは、突起部31の周りの液体窒素や液体ヘリウムの沸騰、泡の発生という現象となる。泡の発生現象は、泡の発生する面積により異なり、面積の大きい方がより多くの泡を発生し、その結果、熱の流れが良くなる。したがって、熱の流れは、突起部31のある場合とない場合とを比較すると、突起部31のある場合の方が有利となる。また、泡の発生は、振動の要因となる。突起部31を円筒状にすると周囲が垂直になるので、下方で表面から離れた泡が上昇する過程で上方の泡と合体し、大きな泡となるが、図示のように逆すり鉢の形状、つまり、斜面と平面により構成すると、このような泡の合体がなく上昇できる。したがって、泡が合体して大きな泡に成長するのを防ぐことにより、大きな泡により生じる振動を低減することができる。
【0011】
図2は本発明に係る試料観察装置用冷却装置の他の実施の形態を示す図であり、11は多孔質層を示す。
図2において、多孔質層11は、突起部31及び底部32の表面に形成したものであり、核沸騰の熱伝達を良くするように液体窒素や液体ヘリウムが気化しやすく、また、小さな気泡が表面から離れやすいように孔の大きさが決められる。多孔質層11は、例えば焼結金属溶射により銅の熱伝導体の表面に粒子径350μmの青銅粒子を高温に熱し、例えば図2(B)に示すように層の厚さが0.5mm程度に吹きつけることにより形成したものであり、このような溶射による形成だけでなく、切削加工により粗く削り形成してもよい。
【0012】
熱伝導体を介して試料冷却装置により試料を冷却する場合、試料の温度が下がる過程で試料冷却装置の液体窒素や液体ヘリウムが沸騰し、多孔質層から泡が発生する。したがって、上記のように冷媒タンクの底面である突起部31及び底部32の表面に多孔質層11を形成すると、液体窒素や液体ヘリウムが気化しやすくなるので、冷却効率を高めることができる。さらに、小さな気泡が表面から離れやすくなるので、大きな泡になることがない。したがって、泡が大きくなることにより発生する振動を低減することができる。
【0013】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、試料冷却装置に適用したが、試料冷却装置以外にもEDS等の検出器、熱効率をよくしたい装置の全てに適用できることはいうまでもない。底面積を大きくする必要はないが、振動を低減したい場合には、従来と同様に底面を平坦にし、多孔質層を設けるだけの構成にしてもよい。また、底面の中央に円錐(すり鉢)形状の突起部を設け、さらにその周囲に同心円状を突起部を設けたが、逆に凹み部となるように構成してもよいし、斜面が直線の三角断面ではなく、曲線の波形断面となるようにしてもよい。或いは、小さい凹凸を底面に多数設けるようにしてもよい。
【0014】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、熱伝導体からなる冷却装置の冷媒タンク底面を凹凸状にして液体窒素や液体ヘリウムとの接触面積を大きくするので、冷却効率を高めることができ、冷却時間を短縮し所定の到達温度に下げることができる。この場合、凹凸を垂直面でなく斜面で形成するので、底面から発生した泡が上昇中に合体して大きくなるのを防ぐことができ、泡が大きく成長することにより発生する振動を低減することができる。さらには、底面に多孔質層を設けることにより、液体窒素や液体ヘリウムが核沸騰し小さな泡の発生を容易にするので、熱伝達率をより高めることができ、しかも、振動を低減することができる。したがって、本発明に係る試料観察装置用冷却装置は、狭い設置スペースや振動の嫌う装置用の冷却装置としてきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る試料観察装置用冷却装置の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明に係る試料観察装置用冷却装置の他の実施の形態を示す図である。
【図3】冷却装置を備えた試料観察装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…タンク外壁、2…冷却媒体、3…熱伝導体、4…試料、5…探針、31、31−1、31−2…突起部、32…底部、33…段部、41…試料ステージ
Claims (1)
- 冷媒タンクに液体窒素や液体ヘリウム等の冷却媒体を入れて熱伝導体を介して試料等を冷却する試料観察装置用冷却装置において、
前記冷媒タンクの底面を多孔質層が形成された凹凸面からなる斜面で構成したことを特徴とする試料観察装置用冷却装置。
Priority Applications (1)
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JP07937497A JP3542884B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | 試料観察装置用冷却装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07937497A JP3542884B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | 試料観察装置用冷却装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10274607A JPH10274607A (ja) | 1998-10-13 |
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Family
ID=13688105
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP07937497A Expired - Fee Related JP3542884B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | 試料観察装置用冷却装置 |
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