JPH1074446A - 電子放射陰極 - Google Patents

電子放射陰極

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JPH1074446A
JPH1074446A JP9239721A JP23972197A JPH1074446A JP H1074446 A JPH1074446 A JP H1074446A JP 9239721 A JP9239721 A JP 9239721A JP 23972197 A JP23972197 A JP 23972197A JP H1074446 A JPH1074446 A JP H1074446A
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electron emission
electron
cathode
electrode
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JP9239721A
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Yoshinori Terui
良典 照井
Katsuyoshi Tsunoda
勝義 角田
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Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】エネルギー幅が小さく、角電流密度が高く、し
かも角電流密度の時間変動と、立ち上げ時に特性が安定
するまでの時間のばらつきが小さい電子放射陰極を提供
する。 【解決手段】<100>方位のW又はMo単結晶からな
る針状電極にTi、Zr、Mg、Hfの群から選ばれる
少なくとも1種の元素と酸素とからなる被覆層を設け、
針状電極の先端部が1.5μm以上の曲率半径R1 を有
する主たる電子放出面と曲率半径R2 を有し前記主たる
電子放出面を囲む周辺部とからなり、前記主たる電子放
出面が微視的には複数の環状の(100)面からなるこ
とを特徴とする電子放射陰極。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子顕微鏡、測長機、
電子線露光機、電子線テスター等に用いられる電子放射
陰極に関する。
【0002】
【従来の技術】電子顕微鏡を初めとする電子線利用機器
の高精度化、高能率化のために、より高輝度の電子線が
必要とされ、熱電界放射陰極或いはショットキー放射陰
極等のいろいろな陰極が検討されている。これらの陰極
のうち、とりわけ、軸方位が<100>方位からなるタ
ングステン単結晶チップ或いはモリブデン単結晶チップ
に、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウ
ム或いはハフニウムの一群から選ばれた元素と酸素とか
らなる被覆層を設けた電子放射陰極(以下、表面被覆型
陰極という)が注目されている。
【0003】ことに表面被覆型陰極の中で、タングステ
ン単結晶チップの表面にジルコニウムと酸素とからなる
被覆層(以下ZrO層という)を設けたZrO/W熱電
界放射陰極は、そのZrO層によってタングステン単結
晶の(100)面の仕事関数が選択的に約4.5eVか
ら約2.8eVにまで低下するので、<100>方位の
タングステン単結晶チップの先端部に形成された微小で
平坦な単一の(100)面(以下マイクロ・ファセット
という)のみを電子放射領域とする特徴があり、従来の
熱陰極よりも高輝度の電子ビームが長寿命で得ることが
できるということから、更に、冷電界放射陰極よりも安
定で低い真空度でも動作し、使いやすいといった特徴を
持っていることから、注目されている。
【0004】ZrO/W熱電界放射陰極の構造は、図2
にその断面を示すように、先端部から電子ビームを放射
するタングステン単結晶からなる針状電極(以下Wチッ
プという)1が、タングステンフィラメント3に溶着固
定され、前記タングステンフィラメント3は金属支柱5
を介して絶縁碍子4に固定され、更に不要な電子放射を
抑制するための電界を形成するサプレッサー電極2を備
えたものである。尚、ZrO/W熱電界放射陰極を使用
するに際し、タングステンフィラメント3を通電加熱し
Wチップを約1800Kの温度に高める。
【0005】更に、前記ZrO/W熱電界放射陰極の構
造を詳細にみると、図3はWチップ1とタングステンワ
イヤー3の部分を拡大したものであるが、Wチップ1の
一部にはジルコニウムと酸素との供給源のリザーバー7
が設けられている。図示していないがWチップの表面は
ZrO層で覆われている。更に、Wチップ1の先端は、
図4に拡大して示したとおり、円錐半角αを有する円錐
部、平行部、曲率半径がR0 である球面部、そしてマイ
クロ・ファセット部から構成されるのが一般的である。
尚、平行部は、曲率半径R0 が大きくなるに従って、或
いは円錐半角αが大きくなるに従がって、短くなり、時
には平行部が存在しない場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ZrO/W熱電界放射
陰極をはじめとする表面被覆型陰極は、上記した如く、
高輝度の電子ビームが長寿命で得ることができ、しかも
その操作性が容易であるため、いろいろな電子ビーム機
器で急速に普及している。しかし、(1)実用上十分な
角電流密度を得、且つ(2)角電流密度の時間変動が少
なく、(3)エネルギー分布幅が小さく、(4)電子銃
への陰極を取り付けた際に、電子放射特性の再現性が良
好で、且つ(5)立ち上げ時に特性が安定するまでの時
間のばらつきが小さいというすべての項目について、同
時に満足できるまでには到っていないのが現状である。
以下にこれらの問題点について詳説する。
【0007】表面被覆型陰極において、針状電極の先端
部のマイクロ・ファセットは(100)面から形成され
ていて、その表面はステップが無い平坦な単一の面から
なり、電界の存在下で発達する特徴をもっている。即
ち、マイクロ・ファセット端部は角が出来ているため電
界が集中しやすく、電界が印加された状態では静電力が
駆動力となり針状電極の側面からマイクロ・ファセット
端部へ物質移動が起き、マイクロ・ファセットは大きく
なるが、電界が印加されていない状態では、表面張力に
よりマイクロ・ファセット端部から側面へ物質移動が起
き、結果としてマイクロ・ファセットは消滅してゆくと
いう特徴を有する。
【0008】また、表面張力と静電力は相反し合い、表
面張力と静電力が釣り合うことによりマイクロ・ファセ
ットが維持される(第5図参照)が、この釣り合いが崩
れると上記した物質移動が生じる。例えば、表面被覆型
陰極を一定の印加電圧条件下で動作させた際に、針状電
極の先端部における静電力がマイクロ・ファセットの大
きさを維持するのに十分でない場合には、針状電極の先
端から側面への物質移動が生じて、その結果として先端
曲率が大きくなり、針状電極の先端部での静電力が一層
低下し、更に物質移動が促進される。そして、針状電極
の先端部の電界が次第に減少することに伴い、放射電流
密度も減少するという現象を示す(米国特許第4,58
8,928号明細書、Journal of Appl
iedPhysics,46,2029(1975)、
Phys.Rev.117,1452(1960)、J
ournal of Applied Physic
s,31,790(1960)参照)。
【0009】このとき、先端部から側面部への物質移動
に伴い、マイクロ・ファセット上にステップが生じる。
図6に示したとおり、ステップの縁部では電界が局所的
に高いので放射電流密度が高く(図6中で黒色とした部
分)、ステップの基部では電界が局所的に弱いので放射
電流密度が低い(図6中で斜線を付した部分)という理
由から、放射電流密度分布が不均一となる問題がある
し、ステップは物質移動に伴って移動し、このステップ
の移動と共に放射電流密度分布も変化するので、その結
果として軸上での電流量、即ち角電流密度が時間と共に
大きく変動するという擬周期変動が生じ、実用上問題と
なっている(米国特許第4,324,999号明細書参
照)。
【0010】上記角電流密度の変動を抑えるには、針状
電極の先端部での電界を高くし、マイクロ・ファセット
の安定化を図れるような動作条件とすることが効果的で
はあるが、このような動作条件の領域においては放射電
子のエネルギー分布幅がBoersch効果により広が
り(Phys.Rev.B19,3353(1979)
参照)電子光学系における色収差が増加して、特に低加
速電圧観察SEMにおける分解能の劣化は甚大である
(Journal of Microscope,13
6,PartI,45(1984)参照)。
【0011】電子光学系における色収差が増加するとい
う問題を解決するには、針状電極の曲率半径を大きくす
ることが効果的であり、特に、1μm以上の曲率半径が
好ましいことが知られている(J.Vac.Sci.T
echnol.,16,1704(1979)参照)。
しかし、このような曲率半径の大きな陰極においても、
陰極を製造する際に電子放射特性を取得し、別の電子銃
に取り付け立ち上げを行うと、電子放射開始直後から電
子放射特性が安定するまでの時間(以下安定化時間とい
う)が数時間から数十時間、著しい場合には100時間
前後を要し、しかもばらつきが著しいという問題があ
る。加えて、電子銃への取り付け毎の電子放射特性の再
現性が著しく乏しいという欠点もある。
【0012】上記の問題点は、前述したとおり、針状電
極の先端部の形状は表面張力と静電力の釣り合いにより
維持されているが、この静電力は陰極と引き出し電極間
の幾何寸法と印加電圧により決まるので、電子銃への取
り付けの際に幾何配置を正確に再現できないことに起因
している。とりわけ、前述したようにマイクロ・ファセ
ット端部では電界集中が生じやすいため、針状電極と引
き出し電極の同軸ずれによる電界分布の非対称性を生じ
やすい。そして、陰極製造時の幾何寸法と実使用する電
子銃との幾何寸法とが異なるために、針状電極の先端近
傍の静電力が変わってしまうと、新たな静電力と表面張
力とが釣り合うように物質移動が生じ、釣り合いに到る
までの間は電子放射特性が安定せず、結果的に立ち上げ
後電子放射特性が安定するまでに時間を要し、また、ば
らつきも大きくなるという問題を生じるのである。
【0013】上記問題の解決を図り、製造時の幾何寸法
と実使用の電子銃との幾何寸法の差異を避けるために、
陰極と引き出し電極とを一体化した熱電界放射電子銃が
発明されている(特願平8−80050号明細書参照)
が、この熱電界放射電子銃を用いても、輸送時の振動や
超高真空を得るための焼きだしの繰り返しの際に部材の
膨張、収縮の反復により陰極と引き出し電極の位置ずれ
が生じ、その結果として電子放射特性の再現性が得られ
なかったり、立ち上げに時間を要する場合が有り、万全
とは云い難い。
【0014】本発明は、上記のように、公知の表面被覆
型陰極において、(1)実用上十分な角電流密度を得、
且つ(2)角電流密度の時間変動が少なく、(3)エネ
ルギー分布幅が小さく、(4)電子銃への陰極を取り付
けた際に、電子放射特性の再現性が良好で、且つ(5)
立ち上げ時に特性が安定するまでの時間のばらつきが小
さいという項目のいずれかの点で問題があるという現状
を鑑みてなされたもので、その目的は、上記の全ての課
題を一挙に解決して、電子顕微鏡、測長機、電子線露光
機、電子線テスター等のいろいろな電子ビーム機器に用
いることのできる電子放射陰極を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、軸方位が<1
00>方位のタングステンまたはモリブデンの単結晶か
らなる針状電極にチタン、ジルコニウム、マグネシウ
ム、アルミニウム、ハフニウムの1群から選ばれる少な
くとも1種の元素と酸素とからなる被覆層を設けた電子
放射陰極であって、針状電極の先端部が、曲率半径R1
を有する主たる電子放出面と曲率半径R2を有し前記主
たる電子放出面を囲む周辺部とからなり、R1 が1.5
μm以上であり、しかも前記主たる電子放出面が微視的
には複数の環状の(100)面からなることを特徴とす
る電子放射陰極に関するもので、とりわけ、前記環状の
(100)面の数が5個以上であること、隣接する環状
の(100)面間の段差が30nm以下であること、或
いは前記針状電極の先端円錐部の円錐半角が10°以下
であることを特徴とする前記の電子放射陰極に関するも
のである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の電子放射陰極は、前述し
たとおりに、従来公知の熱電界放射陰極は針状電極が円
錐半角αを有する円錐部、平行部、曲率半径がR0 であ
る球面部、そしてマイクロ・ファセット部から構成され
るのが一般的であるのに対して、その針状電極の先端部
が図1(a)に示すとおりに、曲率半径R1 を有する主
たる電子放出面と曲率半径R2 を有し前記主たる電子放
出面を囲む周辺部とからなることを特徴としている。こ
の形状を有するが故に、本発明の電子放射陰極は、従来
の陰極においてマイクロ・ファセット端部での電界集中
に伴うマイクロ・ファセットの発達、或いは電界が弱い
場合に生じるマイクロ・ファセット端部からのファセッ
トの消失、といったチップ先端近傍の形状変化が生じ難
く、電子放射特性が安定であるという特徴を有する。
【0017】加えて、電子放射面が実質的に球面である
ため引き出し電極との幾何配置がズレても電子放射面内
で電界分布に大きな不均一を生じることはないため、針
状電極先端部の形状変化は抑えられ、立ち上がりの時間
が安定し、且つ電子放射特性の再現性に優れる。
【0018】本発明においては、R1 は1.5μm以上
である。R1 が1.5μm未満の場合、安定した電子放
射特性を有する電子放射陰極が得難くなり、本発明の目
的を達成しえない。また、R1 が2.0μm以上のもの
は、後述する製造法により容易に得ることができ、好ま
しい。尚、R1 の上限値については、特に限定する理由
が見いだされていないが、後述する電子放射陰極の製造
方法によれば、100μm以下のものが容易に製造で
き、とりわけ20μm以下のものが安定して生産性良く
製造できる。
【0019】更に、本発明では、曲率半径R1 を有する
主たる電子放出面は、SEM等により微視的に観察する
とき、例えば約1万倍の高倍率のSEM観察による場合
等、複数の環状の(100)面から構成されていること
が必須である。これにより、針状電極の先端の電界強度
が変化して静電力と表面張力の釣り合いが崩れても、物
質移動に伴う先端形状の変化が複数の環状の(100)
面に分散され、広い電界領域で安定して動作するとい
う、従来の表面被覆型陰極の場合には無し得ない特徴を
有するからである。
【0020】更に、前記環状の(100)面電子放射面
について、隣接する環状の(100)面間の段差も30
nm以下と小さい時には、電子放射面での電界分布がよ
り均一となり、段差部での電界放射やショットキー放射
に原因する放射電流密度分布の不均一化現象は一層生じ
難くなり、好ましい。尚、前記段差について、平均値と
して30nm以下であれば良いが、全ての段差が30n
m以下であれば好適である。
【0021】また、本発明では、R2 の大きさはR1
同じか小さいのが一般的である。R 2 がR1 よりも大き
なものは、容易に作製しがたいし、又、得られた場合に
も擬周期変動が大きく、安定な動作に欠けるものがしば
しば見られるからである。
【0022】更に、本発明では、針状電極の先端円錐部
の円錐半角が10゜以下であることが、印加電圧をいた
ずらに高くしなくても針状電極先端部の電界を与えるこ
とができるので、好ましい。
【0023】以下、実施例、比較例を例示しながら、本
発明を更に詳細に説明する。
【0024】
【実施例】
〔実施例1〜3、比較例1〜3〕まず本発明の電子放射
陰極と従来公知のZrO/W熱電界放射陰極の製造方法
について併記する。従来公知のZrO/W熱電界放射陰
極は、以下に示す《工程1》から《工程4》、更に《工
程7》の工程で製作されるのに対し、本発明の電子放射
陰極は《工程1》、《工程2》、《工程4》から《工程
7》の工程を経て作製される。
【0025】《工程1》碍子にロウ付けされた2本の金
属支柱の先端にV字型のタングステンフィラメントをス
ポット溶接により取り付ける。更に、V字型タングステ
ンフィラメントの頂点部に長さ3.0mm、直径約0.
13mmの<100>方位のタングステン単結晶細線を
スポット溶接により取り付ける。 《工程2》前記タングステン単結晶細線のタングステン
フィラメントの頂点部から約0.2mmの位置に水素化
ジルコニウムを有機溶剤中で粉砕しスラリー状にしたも
のを塗布する。 《工程3》リング状電極にNaOH水溶液を張り前記タ
ングステン単結晶細線の先端部を浸漬し、電解研磨によ
りタングステン単結晶細線を研磨して細線の一部を切り
放し、先端が鋭利な針状電極を形成する。 《工程4》次に、超高真空装置中で3×10-9Torr
まで真空引きした後、金属支柱を介しタングステンフィ
ラメントに通電してタングステン単結晶細線を約180
0Kまで加熱し、その後、酸素を3×10-6Torrま
で導入して48Hr維持する。この操作により水素化ジ
ルコニウムは熱分解、酸化されて、酸化ジルコニウムか
らなるリザーバーが形成される。 《工程5》リング状電極にNaOH水溶液を張り、タン
グステン単結晶細線を浸漬し、電解研磨によりタングス
テン単結晶細線を研磨してタングステン単結晶細線の一
部にくびれ部を形成する。 《工程6》真空装置内で、タングステン単結晶細線の先
端を金属ボート中の液体金属であるGaに浸漬する。続
いて5×10-7Torrまで真空に減圧し、金属支柱を
介してタングステンフィラメントを通電してタングステ
ン単結晶細線のくびれ部近傍が1800Kになるまで昇
温し維持する。更に細線加熱用電源により液体金属を介
してタングステン単結晶細線に通電し、くびれ部を加熱
して溶断する。この操作により先端の曲率半径が《工程
5》で形成されるくびれ部の半径とほぼ同じ大きさの先
端曲率半径を有する針状電極を形成する。 《工程7》碍子にサプレッサー電極を被せ、サプレッサ
ーの孔から針状電極を突き出し、引き出し電極が対にな
っている電子銃に搭載し、超高真空装置に設置する。5
×10-10 Torrまで真空引きし、タングステンフィ
ラメントに通電して針状電極を1800Kに加熱する。
続いて、針状電極に、引き出し電極に対して負の高圧
(引き出し電圧)を印加し、電子放射を開始する。引き
出し電極を通過した軸上電流をモニターし、電流が安定
するまで電子放射を維持する。尚、高圧印加、計測系に
ついては第7図に示したとおりである。また、測定した
軸上電流Ip と立体角ωから軸上電流Ip'=Ip/ωを算
出する。
【0026】実施例1〜3については《工程5》におい
て、比較例1〜3については《工程3》において、いず
れも電解研磨の条件を調整して、いろいろな曲率半径を
有する熱電界放射陰極を作製した。これらの熱電界放射
陰極の形状、熱電界放射特性を表1に示した。本発明に
よる電子放射陰極は、先端半径の如何にかかわらず同一
引き出し電圧で角電流密度が約30時間で安定したが、
従来の陰極では先端半径に依存して15〜120Hrと
ばらつきが著しく大きかった。
【0027】
【表1】
【0028】更に、前記の熱電界放射陰極を他の電子銃
に搭載し、立ち上げ、引き出し電圧Vexを3.0kVに
固定して、安定するまでの時間t、及び角電流密度Ip'
を繰り返し測定した。結果を表2に示した。本発明によ
る電子放射陰極は従来の熱電界放射陰極に比べt及びI
p'のばらつきが小さく、良好である。
【0029】
【表2】
【0030】また、引き出し電圧を変えながら角電流密
度の変動を調べ、この結果を表3に示した。従来の熱電
界放射陰極は引き出し電圧を下げていくと擬周期変動が
現れるのに対し、本発明による熱電界放射陰極は変動が
現れず、引き出し電圧の広い領域、即ち、角電流密度の
広い動作領域で安定に動作した。
【0031】
【表3】
【0032】更に、Field Emission R
etarding Potential Method
により、放射電流のエネルギー分布幅を測定した結果を
第8図に示した。従来の熱電界放射陰極は動作角電流密
度を高くするにつれてエネルギー分布幅の増加が生じる
が、本発明による熱電界放射陰極ではエネルギー分布幅
の増加は僅かであり、良好であった。
【0033】
【発明の効果】以上の実施例から明かなとおり、本発明
による電子放射陰極は(1)実用上十分な角電流密度を
得、且つ(2)角電流密度の時間変動が少なく、(3)
エネルギー分布幅が小さく、(4)電子放射特性の再現
性に優れ、(5)立ち上げ時に電子放射特性が安定する
までの時間が短く、ばらつきが小さいという特徴を有し
ているので、電子顕微鏡を初めとする多くの電子線利用
機器に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の電子放射陰極の針状電極先端部
の形状を表す図 (b)先端部Aの拡大図
【図2】従来の熱電界放射陰極の断面図
【図3】従来の熱電界放射陰極の針状電極の拡大図
【図4】従来の熱電界放射陰極の針状電極先端部の拡大
【図5】針状電極の先端部での物質移動を説明する図
【図6】針状電極先端部での物質移動と電子放射分布と
の関係を説明する図
【図7】電子放射特性の測定回路図
【図8】放射電流のエネルギー分布幅の依存性を示す図
【符号の説明】
0 従来の熱電界放射陰極の針状電極の先端部の球面
部の曲率半径 R1 本発明の電子放射陰極における主たる電子放出面
の曲率半径 R2 本発明の電子放射陰極における主たる電子放出面
を囲む周辺部の曲率半径 A部 本発明の電子放射陰極における主たる電子放出面
の中央部 α 本発明の電子放射陰極並びに従来の熱電界放射陰
極の針状電極の円錐部の角度(円錐部半角) 1 針状電極(Wチップ) 2 サプレッサー電極 3 タングステンフィラメント 4 絶縁碍子 5 金属支柱 6 ネジ 7 リザーバー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方位が<100>方位のタングステン
    またはモリブデンの単結晶からなる針状電極にチタン、
    ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、ハフニウ
    ムの1群から選ばれる少なくとも1種の元素と酸素とか
    らなる被覆層を設けた電子放射陰極であって、前記針状
    電極の先端部が、曲率半径R1 を有する主たる電子放出
    面と曲率半径R2 を有し前記主たる電子放出面を囲む周
    辺部とからなり、R1 が1.5μm以上であり、しかも
    前記主たる電子放出面が微視的には複数の環状の(10
    0)面からなることを特徴とする電子放射陰極。
  2. 【請求項2】 環状の(100)面が5個以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の電子放射陰極。
  3. 【請求項3】 隣接する環状の(100)面間の段差が
    30nm以下であることを特徴とする請求項1記載の電
    子放射陰極。
  4. 【請求項4】 針状電極の先端円錐部の円錐半角が10
    °以下であることを特徴とする請求項1記載の電子放射
    陰極。
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