JP3542672B2 - 作業車両の走行装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はコンバイン等の作業車両において、可変容積形の油圧ポンプと定容積形の油圧モータとを用いて車両の走行駆動と旋回を得る走行装置に、関するものである。
【0002】
【発明の背景】
可変容積形の油圧ポンプと定容積形の油圧モータとを組合せてなる油圧伝動装置を2組用いて作業車両の走行駆動と旋回を得ることとされた走行装置が、例えば特公昭54−34972号公報、特開平6−343332号公報、特公平7−2468号公報に開示されているように、周知である。またこのような車両走行装置に、穀稈列に接当ずる等で車両の左右の偏りを検出するセンサの信号に基づいて作業車両の進行方向を自動的に修正する自動操向機構を組合せる技術も、例えば特開平2−70597号公報に開示されているように、良く知られている。
【0003】
これらの周知技術は、2組の油圧伝動装置のうち一の組の油圧伝動装置ないしその油圧モータを左側最終走行駆動手段(クローラ又は車輪)を駆動するために用い、他の組の油圧伝動装置ないしその油圧モータを右側最終走行駆動手段(クローラ又は車輪)を駆動するために用いて、車両の旋回は、一の組の油圧伝動装置の出力回転数と他の組の油圧伝動装置の出力回転数とに差を与えることにより左右の最終走行駆動手段に回転数差を与えて得ることとしていることから、車両の直進性を確保するために複雑な制御装置を必要としていた。すなわち左右の最終走行駆動手段を左右各別の油圧伝動装置ないしその油圧モータによって駆動する構造によると、車両の荷重の左右のアンバランス、圃場面の走行抵抗の左右のアンバランス等により左右の最終走行駆動手段の等速回転が得難く、このため左右の回転数差を検出して補正する等の複雑な制御装置を必要としていたのである。
【0004】
また上述の構造によると、車両の車速レンジをセットする他の有段変速装置を設け得ないことになる。すなわち油圧伝動装置は高出力回転を与える高速変速域で使用するのが出力回転数が安定するもので、作業車両が路上走行時には比較的高速で、圃場内等での作業時には比較的低速で、それぞれ走行せしめられる点を考慮すると、そのような走行条件に合せた車速レンジの設定を有段変速装置で得て、油圧伝動装置は高速変速域で使用することとするのが望ましいのであるが、左右各別の油圧伝動装置を用いる構造によると該2組の油圧伝動装置の従動側に車速レンジ設定用の単一の有段変速装置を設けるようなことはできない。
【0005】
そこでこの発明は車両の走行駆動を1個のみの油圧モータによって行わせ、他の1個の油圧モータによって車両の旋回駆動を得ることとし、しかもこれらの油圧モータを単一の油圧ポンプにより駆動させることとして、従来の2組の油圧伝動装置を用いるものより油圧ポンプを1個減らした構造で、従来装置の諸問題点を解消してある、作業車両の新規な走行装置を提供しようとするものである。
【0006】
付随する目的はセンサ信号に基づく車両自動操向にも簡単に対応できることとしてある、作業車両の新規な走行装置を提供するにある。
【0007】
他の付随する目的は、1個のみの油圧ポンプを用いて車両の走行と旋回を得る構造のものでありながら車両の緩旋回から急旋回までの旋回を難なく得ることができることとしてある、作業車両の新規な走行装置を提供することにある。
【0008】
【発明の要約】
そのためにこの発明に係る作業車両の走行装置においては、単一の可変容積形油圧ポンプ18によって駆動させる定容積形の第1の油圧モータ19及び第2の油圧モータ20を設けて、第1の油圧モータ19を左右の最終走行駆動手段1に伝動する左右の走行駆動軸25L,25Rに対し連動連結する一方、第2の油圧モータ20を該左右の走行駆動軸25L,25Rに対し、左右の走行駆動軸に互いに逆方向の付加回転を付与可能な付加回転伝達装置31を介して連動連結する。そして上記油圧ポンプ18の吐出油を2分割して第1の油圧モータ19と第2の油圧モータ20とに供給する分割流量比可変形のフローデバイダ65を設けて、該フローデバイダを操向操作具10に対し、操向操作量が大きいほど第2の油圧モータ20に対する供給油量が高められるように接続する。また上記フローデバイダ65と第2の油圧モータ20間に、上記操向操作具10により変位制御されて第2の油圧モータ20に対する作動油の給排を切換え制御する方向切換弁68を設ける。
【0009】
この発明は単一の可変容積形油圧ポンプ18の吐出流を2分割して第1及び第2の油圧モータ19,20に供給するフローデバイダ65を設けることにより、単一油圧ポンプ18と第1の油圧モータ19とを油圧伝動装置と同様に機能するように組合せて走行駆動に用い、また単一油圧ポンプ18と第2の油圧モータ20とを油圧伝動装置と同様に機能するように組合せて車両旋回に用いることとしたものである。
【0010】
車両の走行駆動は第1の油圧モータ19により左右の走行駆動軸25L,25Rを駆動し、それによって左右の最終走行駆動手段1を駆動することで得られる。そして油圧ポンプ18の容積変更制御により、車両の進行方向を含めて車速を無段に変更制御できる。
【0011】
車両の走行中に該車両を旋回させることは操向操作具10を操作し方向切換弁68を変位させて、フローデバイダ65の一の分割流を第2の油圧モータ20へと供給して該油圧モータ20を駆動し、この油圧モータ20により付加回転伝達装置31を介し、等速回転中の左右の走行駆動軸25L,25Rに対し互いに逆方向の付加回転を与えることによって、行える。すなわち互いに逆方向の付加回転によっては左右の走行駆動軸25L,25Rのうちの一方の回転数が増され他方の回転数が減らされるから、左右の走行駆動軸25L,25Rに、したがって左右の最終走行駆動手段1に、回転数差が与えられて、車両が旋回することになる。旋回方向は、操向操作具10の操作方向に応じ方向切換弁68が対応する方向で第2の油圧モータ20に対し作動油を供給することとしておくことで、操縦者が任意に選択できる。操向操作量が大きいほどフローデバイダ65により第2の油圧モータ20に対する供給油量が高められることとしているから、操向操作具10の操作量を加減して、緩旋回から急旋回までの車両旋回を行える。車両の旋回時、特に旋回半径小の急旋回時にはフローデバイダ65から第1の油圧モータ19に対して供給される油量が逆に減らされ、それによっては車速が低められることになるから、操縦者が急旋回時に作業車両から振り落される等の危害に備えて予め車速を低める操作が不要とされ、自動的に安全が確保される。
【0012】
この発明は車両の走行駆動を第1の油圧モータ19のみによって行うこととしたものであるから、同油圧モータ19により左右の走行駆動軸25L,25Rが等速駆動されることとして、他に何らの制御機構を設けることなしに車両の直進性を確保させる。そして車両走行駆動用の1個のみの油圧モータ19に直列接続して有段変速装置を設けることは何の問題もなく可能であるから、そのような有段変速装置を設け車速レンジの設定を該変速装置で得て、油圧ポンプ18及び第1の油圧モータ19を回転数が安定する高速域で使用できることとする。
【0013】
前述のような車両の自動操向には、第2の油圧モータ20に対する作動油の給排を切換え制御する方向切換弁68を電磁弁に構成することで、対応できる。すなわちそのような電磁方向切換弁を操向操作具10の操作による他、車両の左右の偏りを検出するセンサの信号によっても変位制御されるようにすればよい。車両の走行中にはフローデバイダ65から第2の油圧モータ20方向にも作動油が常時供給されているから、センサ信号による電磁方向切換弁の変位で第2の油圧モータ20に対し即座に作動油が供給されることとなって、応答性の高い自動操向制御が得られることになる。
【0014】
フローデバイダは油圧技術分野で各種のものが公知であり、例えば流量制御弁の弁ばね荷重を変更制御するような構造のものもあるが、この発明で用いるフローデバイダ65は操向操作具10との連係をとり易い点から、該操向操作具により開口度を制御される可変絞り72A,72Bを含むものとするのが好ましい。
【0015】
可変絞りを含むフローデバイダは、第1の油圧モータ19に対する給油路と第2の油圧モータ20に対する給油路との両者の給油路に可変絞りを挿入してある構造のものともできる。しかし操向操作具10との連係をとり易い点と構造の単純さの点からフローデバイダ65は、第1の油圧モータ19に対する給油路69A,69Bに挿入された固定絞り71A,71B又はリリーフ弁96A,96Bと第2の油圧モータ20に対する給油路70A,70Bに挿入され操向操作具10により開口度を制御される可変絞り72A,72Bとを備えたものに、構成するのが好ましい。この場合に第1の油圧モータ19に対する給油路69A,69Bと第2の油圧モータ20に対する給油路70A,70Bとの油分流量比は、固定絞り71A,71B又はリリーフ弁96A,96Bが与える流れ抵抗と可変絞り72A,72Bが与える流れ抵抗との関係によって決定され、同流量比は操向操作具10が操作されると変更されることになる。
【0016】
上述構造のフローデバイダ65はさらに、第2の油圧モータ20に対する給油路70A,70Bに前記可変絞り72A,72Bの下流側で挿入した固定絞り73A,73Bと、これらの可変絞りと固定絞り間の給油路から第1の油圧モータ19に対する給油路69A,69Bに対し前記固定絞り71A,71B又はリリーフ弁96A,96Bの下流側へと作動油の一部を分流させるリリーフ弁74A,74Bであって第2の油圧モータ20に対する給油路70A,70Bに挿入した上記固定絞り73A,73Bの下流側の油圧を、リリーフ圧を高める向きで作用させてあるリリーフ弁74A,74Bとを、備えたものに構成するのが好ましい。
【0017】
本構造のフローデバイダ65は、車両旋回時に接地しつつ旋回動するクローラ又は車輪から第2の油圧モータ20に加わる旋回抵抗を考慮したものである。すなわちこの旋回抵抗は急旋回時ほど大きく、第2の油圧モータ20の負荷を高めて同モータに供給される作動油の油圧を高める。このため車両を急旋回させるべく操向操作具10を大きく操作して前記可変絞り72A,72Bの開口度を大きくしても、第2の油圧モータ20に対し急旋回のために十分な量の作動油が供給されない場合もあり得る。上述した第2の油圧モータ20に対する給油路中の固定絞り73A,73Bと同給油路から第1の油圧モータ19に対する給油路に油を分流するリリーフ弁74A,74Bとの組合せは、固定絞り73A,73Bの下流側を優先回路とする流量一定型の流量制御弁を構成し、該固定絞りの下流側の油圧、つまり第2の油圧モータ20に対し供給される作動油の油圧が高まるほど、リリーフ弁74A,74Bのリリーフ圧の上昇で第2の油圧モータ20に対する給油路から第1の油圧モータ19に対する給油路へと分流される油の量を減らして、第2の油圧モータ20に対する供給油量を増すこととする。このため車両直進時及び緩旋回時には第1の油圧モータ19に対する供給油量を十分に確保しつつ、車両の急旋回を難なく行わせ得ることになる。
【0018】
この発明の他の特徴と長所は、添付図面を参照して行う以下の説明から明瞭に理解できる。
【0019】
【実施例】
図2は、本発明に係る走行装置の実施例を装備したコンバインを示している。図示コンバインは通例のように左右のクローラ1により走行駆動され、機体前方の刈取部2で植立穀稈を刈取り、刈取られた穀稈について機体上の脱穀部3で脱穀して、穀粒は機体上の穀粒タンク4に収納し、排わらは機体後方の排わら処理装置(集束、結束、カッター装置又はその切替え式組合せ)5により処理するものとされている。エンジン6は機体中寄りに設置され、該エンジンから入力伝動を受けるトランスミッション7が、エンジン6の前下方位置に配置されている。エンジン6の上前方側に座席8を備える操縦部9が配置されている。この操縦部9は車両操向用の操向操作具である操向ハンドル10、車速制御用の主変速レバー11及び副変速レバー12、駐車ブレーキレバー13等を備える。図2において14はクローラ駆動輪15を装備する車軸、16は刈刃、17は穀粒タンク4から穀粒を搬出するための揚穀装置である。なお乗用車感覚での操向操作を行えるようにステアリングホイールに構成された操向ハンドル10を採用しているが、操向操作具は操向用のレバーに構成してもよい。
【0020】
図1に示すようにエンジン6によって駆動される可変容積形の油圧ポンプ18と、この油圧ポンプ18によって駆動させる定容積形の第1の油圧モータ19及び第2の油圧モータ20とを、図2に図示の前記トランスミッション7に設けてあり、油圧ポンプ18は、図2に示すようにエンジン6の出力プーリ6aによりベルト21及び入力プーリ22aを介して駆動されるミッション入力軸22によって、駆動を受けるものとされている。油圧ポンプ18のポンプ斜板18aは図2の前記主変速レバー11に連係されていて、該レバー11を図2に示す直立した中立位置から前傾させると油圧ポンプ18の油吐出方向を車両前進方向とし、後傾させると同吐出方向を車両後進方向とする。
【0021】
第1の油圧モータ19は車両を走行駆動するために用いられ、第2の油圧モータ20は車両の操行を行うために用いられるものとされており、そのためには前記トランスミッション7に、図3に示す伝動機構を設けてある。該トランスミッション7には図3、そして図4,5に示すように走行用の主駆動軸24と左右の走行駆動軸25L,25Rとを互いに同心配置して設けて、左右の走行駆動軸25L,25Rを左右の歯車26,27減速機構を介し左右の前記車軸14に対し連動連結してある。第1の油圧モータ19のモータ軸19aは主駆動軸24に対し接続されており、主駆動軸24を減速用の左右の遊星歯車装置28L,28Rを介し左右の走行駆動軸25L,25Rに対し接続して、第1の油圧モータ19により車両を走行駆動させることとしてある。また第2の油圧モータ20のモータ軸20aをそれに同心配置した操向用駆動軸29に対し、モータ軸20a上の出力歯車20bを太陽歯車とする遊星歯車減速装置30を介して接続し、この操向用駆動軸29を含む付加回転伝達装置31によって左右の走行駆動軸25L,25Rに対し互いに逆方向の付加回転を与えることにより、主駆動軸24にて互いに等速度で回転駆動される該左右の走行駆動軸25L,25Rの回転数を互いに異ならせて、車両の操向を行うこととされている。
【0022】
より具体的に説明すると、主駆動軸24上には入力歯車33を固定設置してあり、第1の油圧モータ19のモータ軸19aは図3に示す伝動機構によって入力軸33に対し連動連結してある。同伝動機構はモータ軸19aにより歯車34,35を介し減速駆動されるクラッチ軸36、このクラッチ軸36上に設けた多板式クラッチ37と歯車38,39とを介しクラッチ軸36により減速駆動される中間軸40、この中間軸40と次段の副変速軸41間に配設された副変速装置42を、含む。副変速装置42は中間軸40上に摺動のみ自在に設けたシフト歯車43、同軸40上に遊嵌設置した2個の歯車44,45、副変速軸41上に固定設置されシフト歯車43を噛合せ可能な歯車46、及び同軸41上に固定設置され歯車44,45を噛合せてある歯車47,48を、備えている。シフト歯車43と歯車44,45間にはそれぞれシフト歯車43のシフト操作により係合せしめられるクラッチを介在させてあり、これによって副変速装置42は副変速軸41を比較的高速で回転させる路上走行変速段、第1の低速で回転させる乾田作業時変速段、及びより低い第2の低速で回転させる湿田作業時変速段の3段の変速段に切替えられるものとされている。副変速軸41上の湿田作業時変速段用の歯車48を主駆動軸24上の入力歯車33に対し噛合せてあり、また副変速軸41には駐車ブレーキ49を配設してある。副変速装置42及び駐車ブレーキ49はそれぞれ、図2に図示の前記副変速レバー12及び駐車ブレーキレバー13によって操作される。クラッチ37を操作するためには、図2に示すペダル50を設けてある。
【0023】
図4はトランスミッション7内の下方部分を示し、そこに主駆動軸24と左右の走行駆動軸25L,25R間を接続する左右の前記遊星歯車装置28L,28Rが配置されている。各遊星歯車装置28L,28Rは主駆動軸24に一体形成してある太陽歯車51、この太陽歯車51の外周位置に設けた内歯々車52、及び各走行駆動軸25L,25Rに固定支持させてあるキャリア53に遊転可能に軸支され太陽歯車51と内歯々車52とに対し噛合せてある複数個(3個)の遊星歯車54を、備えている。左右の各キャリア53には入力歯車33側に配置のリング53aを、スペーサ53b及びボルト53cを介して連結してあり、リング53aにより抜止めしたピン53dを設けて、該ピン53d上に遊星歯車54を遊転自在に設けている。
【0024】
各内歯々車52は太陽歯車51の外周側に配置したリング55の内面に形成してあるが、左右の各リング55は特に、次のように支持されている。すなわち左右のリング55は、左右の走行駆動軸25L,25R上にキャリア53のボス部と1対宛のボールベアリング56とを介して遊嵌設置した左右の歯車57に、リング55の内周面に形成した内歯55aと歯車57のボス部に形成した外歯57aとを噛合せることで、歯車57と共に回転変位可能に支持してある。また各リング55は、該リング55に挿通したピン58を内歯55a及び外歯57aの側面に接当させリング55の抜止めを行うことにより、歯車57に対し放射方向で可動であるように支持されていて、これにより複数遊星歯車54に対し動力が等配分されるように図られている。
【0025】
図5,6は第2の油圧モータ20から左右の走行駆動軸25L,25Rに対し互いに逆方向の付加回転を伝達するための前記付加回転伝達装置31を示し、前記操向用駆動軸29上には2個の歯車60,61を固定設置してある。これらの歯車60,61は左右の前記遊星歯車装置28L,28Rのリング55に対し互いに逆方向の回転を与えるものとされ、一側の歯車60は左側のリング55と一体回転する前記歯車57に対し直接に噛合せ、また他側の歯車61は右側のリング55と一体回転する前記歯車57に対し、アイドラ軸62上のアイドラ歯車63を介して噛合せ、且つ、左側の歯車60,57列の減速比と右側の歯車61,63,57列の減速比とを等しく設定している。
【0026】
このように左右のリング55に対し互いに逆方向の回転を与え得るようにしたことによっては、後でも述べるように主駆動軸24により左右の遊星歯車装置28L,28Rを介し回転駆動される左右の走行駆動軸25L,25Rに対し、左右逆方向の回転を付加的に与え得ることになるから、それによって左右の走行駆動軸25L,25Rの回転数を異ならせて車両を旋回させ得ることになる。第2の油圧モータ20の駆動が行われない場合で該モータ20側から操向用駆動軸29が駆動されない場合、左右のリング55が互いに同方向に等速で回転変位しようとするとその回転変位は操向用駆動軸29に対し、互いに逆方向で等速で伝えられることから該駆動軸29は何れの方向にも回転せず、したがって逆に操向用駆動軸29により左右のリング55が回転不能にロックされることになる。
【0027】
図1は油圧ポンプ18と第1及び第2の油圧モータ19,20間の油圧回路を、回路図で示している。油圧ポンプに接続したフローデバイダ65を設けて、このフローデバイダ65を、1対の油給排通路66A,66Bにより第1の油圧モータ19に接続すると共に他の1対の油給排通路67A,67Bにより、電磁方向切換弁68を介して第2の油圧モータ20に接続している。方向切換弁68は第2の油圧モータ20と油給排通路67A,67B間の接続を断つ図示中立位置Nと、油給排通路67A,67Bを互いに方向を異にして第2の油圧モータ20の両ポートに接続する2つの作用位置L,Rとを有し、ソレノイド68a,68bの励磁によってそれぞれ作用位置L,Rに移される。
【0028】
フローデバイダ65は油圧ポンプ18の吐出油を2分割して第1の油圧モータ19と第2の油圧モータ20とに供給するためのもので、油圧ポンプ18がポンプ斜板18aの中立位置からの一方向及び他方向への傾動により吐出方向を異にする点から、同ポンプ18のそれぞれのポートに接続した、互いに構造を等しくする2組のバルブアセンブリ65A,65Bによって構成されている。バルブアセンブリ65Aが油給排通路66A,67Aに、バルブアセンブリ65Bが油給排通路66B,67Bに、それぞれ接続されている。
【0029】
バルブアセンブリ65Aは油給排通路66A,67Aに対しそれぞれ接続された2つの給油路69A,70Aを含み、給油路69Aには固定絞り71Aを、また給油路70Aには後述するように前記操向ハンドル10によって開口度を変更制御される可変絞り72Aを、それぞれ挿入してある。後者の給油路70Aには可変絞り72Aの下流側で固定絞り73Aを挿入してあり、可変絞り72Aと固定絞り73A間から油の一部を前者の給油路69Aに、固定絞り71Aの下流側へとリリーフさせるリリーフ弁74Aを、設けてある。このリリーフ弁74Aにはその弁ばね74S側に、つまりリリーフ圧を高める側に、固定絞り73A下流側の給油路70Aの油圧を作用させてある。バルブアセンブリ65Aはまた油給排通路66A,67Aに対し接続された2つの排油路75A,76Aも含み、これらの排油路75A,76Aにはそれぞれ、油給排通路66A,67Aから油圧ポンプ18方向への油流れのみを許容する逆止弁77A,78Aを挿入してある。
【0030】
バルブアセンブリ65Bも図示のように全く同様の構造であり、バルブアセンブリ65Aについて「A」を付して指した要素符号に「A」の代わりに「B」を付した符号で諸要素を指し、繰返しの説明は行わない。
【0031】
フローデバイダ65が上述の構造のものであることからして、ポンプ斜板18aが中立位置から一方向に傾動されバルブアセンブリ65A側に油が吐出される状態では、同アセンブリ65Aの給油路69A,70Aにより油給排通路66A,67Aに作動油が2分して供給され、油給排通路66B,67Bからバルブアセンブリ65Bの排油路75B,76Bを経て油圧モータ18に油が戻される。逆にポンプ斜板18aが中立位置から他方向に傾動されバルブアセンブリ65B側に油が吐出される状態では、同アセンブリ65Bの給油路69B,70Bにより油給排通路66B,67Bに油が2分して供給され、油給排通路66A,67Aからバルブアセンブリ65Aの排油路75A,76Aを経て油圧モータ18に油が戻される。
【0032】
図1において79は油給排通路66A,66Bのうち高圧側となる通路の油圧を設定するリリーフ弁、80は油給排通路67A,67Bのうち高圧側となる通路の油圧を設定するリリーフ弁、81は油給排通路66A,66B及び67A,67Bに対し作動油を補給するように設けたチャージポンプ、82は補給される作動油の油圧を設定するリリーフ弁である。
【0033】
前述したようにフローデバイダ65は操向ハンドル10により開口度を制御される可変絞り72A,72Bを含んでおり、図7は操向ハンドル10とフローデバイダ65間の連係機構を示している。フローデバイダ65は制御アーム83を備え、この制御アーム83を、操向ハンドル10にて操作されるギヤボックス84側の制御アーム85に対しロッド86によって接続している。フローデバイダ65には前記油圧ポンプ18の両ポートに接続するパイプ87a,87b、前記油給排通路66A,66Bに対応していて第1の油圧モータ19の両ポートに接続するパイプ66a,66b、及び前記油給排通路67A,67Bに対応していて第2の油圧モータ20の両ポートに接続するパイプ67a,67bを、それぞれ導いてある。同様に図7に示すように、操向ハンドル10のハンドル杆10aに取付けた作動子88によってオン動作せしめられる1対の操向操作センサスイッチ89L,89Rを設けてあり、図1に示す前記方向切換弁68のソレノイド68a,68bは、該センサスイッチ89L,89Rが検出する操向操作及び操向操作方向に応じて選択的に励磁される。
【0034】
図8−12がフローデバイダ65の具体構造を示している。図9に示すように一側面に開口していて図7に示す前記パイプ87a,87bを接続される2個のポンプポート87A,87B、図10に示すように他側面に開口していて図7に示す前記パイプ66a,66bを接続される2個の油給排ポート66Aa,66Bb、及び図11に示すように同様に他側面に開口していて図7に示す前記パイプ67a,67bを接続される2個の油給排ポート67Aa,67Bbが、それぞれ設けられている。
【0035】
図1について前述した給油路69A,70Aをポンプポート87Aに連通させて設け、図8,10に示すように給油路69Aは油給排ポート66Aaに、また給油路70Aは前記リリーフ弁74Aを構成する制御ピストン74a内を通して油給排ポート67Aaに、それぞれ連通させている。同様に前述の給油路69B,70Bをポンプポート87Bに連通させて設け、給油路69Bは図10に示すように油給排ポート66Bbに、また給油路70Bは図9,11から見てとれるように油給排ポート67Bbに、それぞれ連通させている。給油路69A,69Bには図8,10に示すように、図1について前述した固定絞り71A,71Bを形成する絞り形成金物を挿入してある。
【0036】
図1について前述した可変絞り72A,72Bは図8,9に示すように、鉛直方向に沿わせて設けた丸棒状の制御部材72を利用して設けられ、この制御部材72の上端に図7について前述した制御アーム83を取付けてある。可変絞り72A,72Bは制御部材72に、給油路70A,70B内に臨む絞り油通路を設けることにより形成されており、操向ハンドル10が車両直進位置から何れの方向に回動操作された場合にも、それによる制御部材72の回転変位によりハンドル操作量が大であるほど開口面積を大きくして行くものとされている。
【0037】
図1について前述したリリーフ弁74A,74Bはフローデバイダ65内に摺動可能に設けた制御ピストン74a,74bによって構成されており、給油路70A,70Bを該制御ピストン74a内を介して油給排ポート67Aa,67Bbに連通させることとし、図8,10に示す通り該ピストン74a,74b内中途の隔壁に給油路70A,70B中の前記固定絞り73A,73Bを形成している。制御ピストン74a,74bには図8に制御ピストン74aについて示すように、給油路70A,70Bを油給排ポート66Aa,66Bbに対し連通させることとするリリーフ孔90が形成され、制御ピストン74a,74bは該リリーフ孔90がブロックされる方向に弁ばね74Sにより摺動付勢されると共に、固定絞り73A,73Bを形成した上記隔壁で、該絞り73A,73B下流側の油圧を、弁ばね74S付勢方向と同様の方向で作用せしめられるものとされている。弁ばね74S反対側で制御ピストン74a,74bには絞り91を介して、固定絞り73A,73B上流側の油圧を作用させてある。
【0038】
フローデバイダ65にはさらに図1について前述した排油路75A,75B,76A,76Bを油給排ポート66Aa,66Bb,67Aa,67Bbに対しそれぞれ、図10,11に示す通り制御ピストン74a,74bの外周側で連通させて設けてあり、排油路75A,76Aはポンプポート87Aに、排油路75B,76Bはポンプポート87Bに、それぞれ導いてある。そしてこれらの排油路75A,75B,76A,76Bには図10−12に示す通り、図1について前述した逆止弁77A,77B,78A,78Bを挿入してある。
【0039】
図1に示す電磁方向切換弁68のソレノイド68a,68bは前記したように図7に図示の操向操作センサスイッチ89L,89Rによって励解磁される他、図2に模式的に示すように刈取部2の左右の分草体に取付けてある左右の操向センサスイッチ92L,92Rによっても励解磁させ得ることとされている。これらの操向センサスイッチ92L,92Rは左右の植立穀稈条に接触するとオン動作して、コンバインの左右方向への偏りを検出するものとされており、コンバインの自動操向制御のために利用される。
【0040】
図13はソレノイド68a,68bの励解磁制御機構の概要を示すもので、制御装置93の入力側に操向操作センサスイッチ89L,89R及び操向センサスイッチ92L,92Rの他、自動操向選択スイッチ94及び条合せスイッチ95が接続され、出力側にソレノイド68a,68bが接続されている。このうち自動操向選択スイッチ94は操縦者が自動操向制御を選択するためにオン操作するもので、図2に示すように操縦部9に配置されている。条合せスイッチ95は図2,7に示すように操向ハンドル10に付設され、圃場内の枕地等でコンバインを旋回させた後に機体の進行方向が植立穀稈条に正しく沿っていないとき等に、操縦者が一方向或は他方向に操作することで進行方向を修正するために用いられる。
【0041】
図13に示す制御装置93は、操向ハンドル10による車両操向操作が行われると同操作及びその方向を検出する操向操作センサスイッチ89L,89Rの信号を入力されて、ソレノイド68a,68bを選択的に励磁させ、図1の電磁方向切換弁68を左旋回作用位置L或は右旋回作用位置Rに移すものとされている。またコンバインを前進させつつ行う刈取作業に際し自動操向選択スイッチ94により自動操向制御が選択されると、操向センサスイッチ92L,92Rからの信号入力を受けて、左側の操向センサスイッチ92Lの動作時にはソレノイド68bを励磁させ方向切換弁68を右旋回作用位置Rに、また右側の操向センサスイッチ92Rの動作時にはソレノイド68aを励磁させ方向切換弁68を左旋回作用位置Lに、それぞれ移して車両進行方向を自動的に修正させるものとされている。さらに制御装置93は、自動操向制御が選択されている状態で条合せスイッチ95が一方向に操作されるとソレノイド68aを励磁させ他方向に操作されるとソレノイド68bを励磁させて、同様に方向切換弁68の変位により車両の進行方向を修正させるものとされている。そして本制御装置93は手動操向モードを優先させるものとされていて、操向操作センサスイッチ89L又は89Rにより操向ハンドル10の操作が検出されると手動操向モードを維持し、自動操向選択スイッチ94により再び自動操向制御が選択されない限り自動操向がきかないこととする。
【0042】
図2に示すコンバインはその走行条件に応じ副変速レバー12により図3に図示の副変速装置42に路上走行時には高速、乾田作業時には第1の低速、湿田作業時にはより低い第2の低速の変速段を選択セットし、主変速レバー11により図1に図示の油圧ポンプ18のポンプ斜板18aを操作し進行方向の制御を含め車速を無段に変更制御して、走行せしめられる。フローデバイダ65は油圧ポンプ18の油吐出方向に従い第1の油圧モータ19に対し作動油を車両前進時に油給排通路66Aを介し、車両後進時には油給排通路66Bを介し、それぞれ供給して該モータ19を車両前進方向或は後進方向に駆動する。第1の油圧モータ19から油給排回路66B又は66Aへと流出する作動油は、フローデバイダ65中の逆止弁77B又は77Aを介して油圧ポンプ18に戻される。
【0043】
車両の直進時には操向ハンドル10が直進位置に保たれ、電磁方向切換弁68は中立位置に保持される。したがってフローデバイダ65から油給排通路67A(車両前進時)又は67B(車両後進時)に供給される作動油はそのまま、他方の油給排通路67B又は67Aと逆止弁78B又は78Aとを介して、油圧ポンプ18に戻されることになる。
【0044】
操向ハンドル10による操向操作が行われるか、自動操向制御が選択されていて操向センサスイッチ92L,92Rが感知動作するか条合せスイッチ95が操作されるかすると、電磁方向切換弁68が何れかの作用位置L或はRに移され、車両の進行方向に従い油給排回路67A或は67Bから第2の油圧モータ20に対し作動油が供給され、同モータ20から流出する油は他方の油給排回路67B或は67Aと逆止弁78B又は78Aを介して油圧ポンプ18に戻される。これによる第2の油圧モータ20の駆動によって、図3,5の付加回転伝達装置31を介し左右の走行駆動軸25L,25Rに左右逆方向の回転が付加され、車両が旋回せしめられる。
【0045】
図14の(L),(R)は左右の遊星歯車装置28L,28Rを模式的に示している。第1の油圧モータ19が正転している状態では太陽歯車51が矢印A方向に回転し、これにより各遊星歯車54が矢印B方向に自転しつつ矢印C方向に、図14では図示省略のキャリア53を回転させつつ公転する。この状態で図1の方向切換弁68が左旋回作用位置Lに移され第2の油圧モータ20が駆動されると付加回転伝達装置31により、左側の歯車60,57列を介し左側の遊星歯車装置28Lのリング55には矢印D1 方向の回転が与えられ、また右側の歯車61,63,57列を介し右側の遊星歯車装置28Rのリング55には矢印D2 方向の回転が与えられる。左側のリング55の矢印D1 方向への回転によってはその回転速度分だけ遊星歯車54の矢印C方向への回転数、したがって左側キャリア53及び走行駆動軸25Lの回転数が減少され、逆に右側のリング55の矢印D2 方向への回転によってはその回転速度分だけ遊星歯車54の矢印C方向への回転数、したがって右側キャリア53及び走行駆動軸25Rの回転数が増加される。したがって車両は左旋回せしめられる。車両前進中の右旋回、後進中の左又は右旋回も類似して得られる。
【0046】
車両の旋回半径は、第2の油圧モータ20に対する作動油の供給流量によって決定される。フローデバイダ65においてバルブアセンブリ65Aを例にとって説明すると、先ず固定絞り71Aと可変絞り72Aとによって決定される第1及び第2の油圧モータ19,20方向への分流量間の関係は、これらの絞り71A,72Aの開口度の比によって決定される。そして可変絞り72Aが操向ハンドル10により、該ハンドル10の操作量が大であるほど開口度を大とされるものであることから、操向ハンドル10が大きく操作されるほど第2の油圧モータ20方向への供給油量が高められ逆に第1の油圧モータ19方向への供給油量が低められる。
【0047】
次に給油路70A中の固定絞り73Aと給油路69Aに向けてリリーフ動作するリリーフ弁74Aとの組合せは、固定絞り73Aの下流側を優先流回路としリリーフ弁74Aの下流側を余剰流回路とする流量一定型の流量制御弁を構成している。リリーフ弁74Aに対し作用させてある絞り下流側の油圧、したがって油給排回路67Aの油圧は、車両の直進中には方向切換弁68が中立位置Nにあることから流路抵抗のみに基づく小さな値のものであり、車両の旋回時には第2の油圧モータ20が接地するクローラ1から加わる旋回抵抗を受けることから緩旋回時の比較的小さな値から急旋回時の比較的大きな値にまで変動する。リリーフ弁74Aを構成する図8に図示の制御ピストン74aは固定絞り73Aの前後で油圧差が生じることからして、弁ばね74S側から作用する上記油圧が低いときほど絞り91を介し作用せしめられる上流側の油圧によって図8上でみて右方向に変位せしめられた位置をとり、これにより前記リリーフ孔90が油給排ポート66Aaに向けて大きく開くことになる。したがって図1の油給排通路67Aの油圧が低い状態ほど給油路70Aにおける可変絞り下流側からリリーフ弁74Aを介し給油路69Aに多量の油がリリーフされることになる。逆に言えば第2の油圧モータ20に加わる旋回抵抗が大きい急旋回時ほど、リリーフ弁74Aによるリリーフ油量、つまり給油路69Aにおける固定絞り71A下流側へと合流せしめられる油量が、少なくなることになる。
【0048】
このようにフローデバイダ65は固定絞り71A,71Bと可変絞り72A,72Bの組合せ、及び固定絞り73A,73Bとリリーフ弁74A,74Bとの組合せによって、操向ハンドル10の操作量が大であるときほど、そして旋回抵抗が高まる急旋回時ほど、第2の油圧モータ20に対する供給油量を増し、逆に第1の油圧モータ19に対する供給油量を減らすものに、構成されているのである。油圧ポンプ18のポンプ斜板18aを車両前進方向の或る傾角及び車両後進方向の或る傾角に固定した状態で操向ハンドル10の左旋回方向及び右旋回方向の操作角度θと第1及び第2の油圧モータ19,20に対する供給油量Q1 ,Q2 との関係はほぼ、図15に示すグラフのように設定されている。図15でQ1 ,Q2 がそれぞれ一定している操作角度範囲Lは、操向ハンドル10の遊びの範囲に対応する。油圧ポンプ18の吐出油量をQとすれば、
Q=Q1 +Q2
である。
【0049】
したがって図示のフローデバイダ65によれば、単一の油圧ポンプ18により車両走行駆動用の第1の油圧モータ19と車両旋回用の第2の油圧モータ20とを駆動させるにも拘らず、車両を緩旋回から急旋回まで難なく旋回させ得る。急旋回時ほど第1の油圧モータ19に対する供給油量が減らされ、それによって車速が低められることによっては、急旋回時にコンバインから振り落される等の危害に備えて予め主変速レバー11により車速を低める操作が不要とされ、自動的に安全が確保される。自動操向制御時等の緩旋回時には可変絞り72Aの開口度が小さいことと旋回抵抗が小さくリリーフ弁74Aのリリーフ油量があまり低められないことからして、車速の変動はほとんど起きない。
【0050】
図16はフローデバイダ65において、給油路69A,69B中の前記固定絞り71A,71Bに代えてリリーフ弁96A,96Bを設けた第2の実施例を、示している。リリーフ弁96A,96Bは前記固定絞り71A,71Bに類似の流路抵抗を与える抵抗弁として機能し、給油路70A,70B中の可変絞り72A,72Bと組合されて給油路69A,70A間及び69B,70B間での油分流量比を決定する。第2の実施例の他の部分は、第1の実施例と変わりない。
【0051】
なお前述実施例におけるように付加回転伝達装置31を、左右の遊星歯車装置28L,28Rを介して左右の走行駆動軸25L,25Rに対し互いに逆方向の付加回転を与えるものに構成する場合、前記のように左右の内歯々車52ないしそのリング55に対し第2の油圧モータ20の回転を伝達するものとする他、左右の太陽歯車51或は左右のキャリア53に対し第2の油圧モータ20の回転を伝達するものとすることもできる。図17はそのような他例を、模式的に示している。
【0052】
図17の実施例では主駆動軸24と左右の走行駆動軸25L,25R間に配置の左右の遊星歯車装置28L,28Rをそれぞれ、内歯々車52を形成したリング55を主駆動軸24に固定すると共に、複数遊星歯車54を軸支するキャリア53を各走行駆動軸25L,25Rに固定し、太陽歯車51は各走行駆動軸25L,25R上に遊嵌設置して、該太陽歯車51と一体に前記歯車57対応の歯車57を設けている。前記操向用駆動軸29に対応する操向用駆動軸29が左右で回転を逆にする前記のもの同様の歯車列によって、左右の歯車57に対し連動連結されている。本実施例では左右の太陽歯車51に互いに逆方向の回転を与えることで、左右の走行駆動軸25L,25Rに対し互いに逆方向の付加回転を与えることとしているから、第2の油圧モータ20の回転を大きく減速した付加回転を走行駆動軸25L,25Rに対し与える関係となり、このためモータ軸20a上の出力歯車20bを操向用駆動軸29上の歯車60に対し直接噛合せて、図3に図示の前記遊星歯車減速装置30を無くしている。なお前述実施例の場合同様に設けた有段の副変速装置42は、ブロックとして図示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例を示す油圧回路図である。
【図2】同実施例を装備したコンバインの概略側面図である。
【図3】同コンバインに設けられた伝動機構を示す機構図である。
【図4】同コンバインに設けられたトランスミッションの一部を示す縦断背面図である。
【図5】上記トランスミッションを他の縦断面に沿って切断して画いた一部省略縦断背面図である。
【図6】同トランスミッションの一部分を示す縦断面図である。
【図7】フローデバイダの操作機構を示す概略の斜視図である。
【図8】フローデバイダの横断平面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿う縦断側面図である。
【図10】図8のX−X線に沿う縦断側面図である。
【図11】図8のXI−XI線に沿う縦断側面図である。
【図12】図10のXII −XII 線に沿う横断平面図である。
【図13】電磁方向切換弁の制御機構の概要を示すブロック図である。
【図14】実施例で設けた遊星歯車装置の作用を説明するための模式図である。
【図15】フローデバイダの作用を説明するためのグラフである。
【図16】第2の実施例を示す油圧回路図である。
【図17】一部の変形に係る実施例を模式的に示す機構図である。
【符号の説明】
1 クローラ
10 操向ハンドル(操向操作具)
18 油圧ポンプ
18a ポンプ斜板
19 第1の油圧モータ
19a モータ軸
20 第2の油圧モータ
20a モータ軸
24 主駆動軸
25L,25R 走行駆動軸
28L,28R 遊星歯車装置
29 操向用駆動軸
31 付加回転伝達装置
42 副変速装置
51 太陽歯車
55 リング
57 歯車
60,61 歯車
63 アイドラ歯車
65 フローデバイダ
66A,66B 油給排通路
67A,67B 油給排通路
68 電磁方向切換弁
68a,68b ソレノイド
69A,69B 給油路
70A,70B 給油路
71A,71B 固定絞り
72 制御部材
72A,72B 可変絞り
73A,73B 固定絞り
74A,74B リリーフ弁
74a 制御ピストン
75A,75B 排油路
76A,76B 排油路
77A,77B 逆止弁
78A,78B 逆止弁
83 制御アーム
84 ギヤボックス
86 ロッド
89L,89R 操向操作センサスイッチ
87A,87B ポンプポート
66Aa,66Bb 油給排ポート
67Aa,67Bb 油給排ポート
92L,92R 操向センサスイッチ
96A,96B リリーフ弁

Claims (6)

  1. 単一の可変容積形油圧ポンプ(18)によって駆動させる定容積形の第1の油圧モータ(19)及び第2の油圧モータ(20)を設けて、第1の油圧モータを左右の最終走行駆動手段(1)に伝動する左右の走行駆動軸(25L,25R)に対し連動連結する一方、第2の油圧モータを該左右の走行駆動軸に対し、左右の走行駆動軸に互いに逆方向の付加回転を付与可能な付加回転伝達装置(31)を介して連動連結し、
    上記油圧ポンプ(18)の吐出油を2分割して第1の油圧モータ(19)と第2の油圧モータ(20)とに供給する分割流量比可変形のフローデバイダ(65)を設けて、該フローデバイダを操向操作具(10)に対し、操向操作量が大きいほど第2の油圧モータに対する供給油量が高められるように接続し、
    上記フローデバイダ(65)と第2の油圧モータ(20)間に、上記操向操作具(10)により変位制御されて第2の油圧モータに対する作動油の給排を切換え制御する方向切換弁(68)を設けてある作業車両の走行装置。
  2. 前記方向切換弁(68)を、電磁弁に構成してある請求項1の作業車両の走行装置。
  3. 前記フローデバイダ(65)を、前記操向操作具(10)により開口度を制御される可変絞り(72A,72B)を含むものに構成してある請求項1の作業車両の走行装置。
  4. 前記フローデバイダ(65)を、第1の油圧モータ(19)に対する給油路(69A,69B)に挿入された固定絞り(71A,71B)又はリリーフ弁(96A,96B)と第2の油圧モータ(20)に対する給油路(70A,70B)に挿入され前記操向操作具(10)により開口度を制御される可変絞り(72A,72B)とを備えたものに、構成してある請求項1の作業車両の走行装置。
  5. 前記フローデバイダ(65)をさらに、第2の油圧モータ(20)に対する給油路(70A,70B)に前記可変絞り(72A,72B)の下流側で挿入した固定絞り(73A,73B)と、これらの可変絞りと固定絞り間の給油路から第1の油圧モータ(19)に対する給油路(69A,69B)に対し前記固定絞り(71A,71B)又はリリーフ弁(96A,96B)の下流側へと作動油の一部を分流させるリリーフ弁(74A,74B)であって第2の油圧モータに対する給油路(70A,70B)に挿入した上記固定絞り(73A,73B)の下流側の油圧を、リリーフ圧を高める向きで作用させてあるリリーフ弁(74A,74B)とを、備えたものに構成してある請求項4の作業車両の走行装置。
  6. 第1の油圧モータ(19)から前記左右の走行駆動軸(25L,25R)に対し伝動する伝動機構中に、有段の変速装置(42)を設けてある、請求項1から5までの何れか一項に記載の作業車両の走行装置。
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