JP3541991B2 - 電機子コイルの接合方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機の電機子(回転子)コイルに関し、より詳しくは電機子コイルの製造技術の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電機子コイルのうち上層コイルおよび下層コイルを有するものに関しては、特開平2−241346号(従来技術1)および実開昭63−143041号(従来技術2)や、特開昭60−226755号(従来技術3)などの各公報に開示されている技術がある。
【0003】
一例として従来技術1の電機子では、電機子コア(鉄心)に形成された複数のスロット(軸長方向に延在する溝)内に、上層コイルおよび下層コイルの中間部分である両コイル辺が保持されている。そして、両コイルのスロットから突出した部分が、電機子コアの前後両端面に沿って回転軸方向に屈曲してコイル端部を形成している。さらに、両コイルは、先端部分を軸方向に突出させて半径方向に重なり互いに接合しているとともに、整流子の外側導体を形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来技術1および従来技術2の電機子コイルには、過酷な条件下での力学的な強度に満足できない点があり、発明者らは先願として特願平6−276291号「回転電機」(先行技術1)を出願した。
先行技術1には、極めて強固な構造の電機子コイルが記載されている。すなわち、上層コイルおよび下層コイルは、電機子コアに形成されている複数のスロットに収容される両コイル辺と、コイル辺の前後両端から略求心方向へ連絡する両コイル端部とから組み立てられている。そして、両コイル端部から軸長方向に突出している両先端部分が、互いに半径方向に重なって接合されている。
【0005】
一方、従来技術3の電機子コイルには、直線状に形成されるべきコイル辺に曲げや捩じりなどが生じやすく、コイルを所定形状に形成するのが難しいという短所があった。そこで、発明者らは先願として特願平7−326983号「回転電機の回転子の製造方法」(先行技術2)を出願した。
先行技術2には、極めて強固でありながら、組み立てが容易でコイルが所定形状に形成される電機子コイルの製造方法が記載されている。すなわち、上層コイルおよび下層コイルは、それぞれ板金打出材を屈曲させた一体部品で成形されており、組み立ての過程で自然に両接続部(軸長方向への突出部分)が互いに重なる。それゆえ、コイルに捩じれなどの不要な変形が起こらず、電機子への組み込みは正確かつ容易に行うことができるので、精度の高い頑丈な電機子コイルを安価に提供することができる。また、重なった両コイルの接続部を自動的に溶接する手段などについても記載されている。
【0006】
しかしながら、接続部の接合方法については、前述の先行技術1には詳細な記載はなく、いくつかの接続部の形状を例示するに留まっていた。一方、先行技術2では、実施例中で自動化されたTIG溶接について記載されているものの、接続部の形状は、上層コイルおよび下層コイルともに直方体(展開形状が矩形)である。したがって、電機子コイルの上層コイルと下層コイルとの接合にあたり、先行技術2でも接続部の溶接に伴う特別な配慮については記載されていない。それゆえ、接続部の溶接による溶接金属の張り出しなどによって発生する隣接するコイル間の短絡(レイヤアース)の防止や、溶接の接合強度および電気接続などの点で、なお改善の余地があった。
【0007】
そこで本発明は、両コイルの接合方法を最も強固な接合強度が得られる溶接とし、接続部の溶接にともなう短絡や接合不良(力学強度不足および電気接続不良)が起こりにくい電機子コイルの接合方法を提供することを、解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題を解決するために、発明者らは以下の手段を発明した。
(第1手段)
本発明の第1手段は、請求項1記載の電機子コイルの接合方法である。
本手段では、下層コイル接続部の外周側に接して上層コイル接続部を配設し、両接続部を半径方向に重ねて互いに溶接することにより、上層コイルと下層コイルとのそれらの先端部分を互いに接合する。その結果、両コイルの接続部は、溶接により極めて強固で電気的にも十分な導通を有する溶接金属で接合される。
【0009】
本手段ではさらに、上層コイルおよび下層コイルのうち少なくとも一方の接続部は、断面積が先端に行くほど小さくなっていることに特徴がある。すなわち、同接続部は、テーパ状に形成されているか、あるいは段状または階段状に形成されており、先端部分は根元部分よりも細くなっている。
それゆえ、両接続部を互いに溶接する際に、先端部分の熱容量が小さいので根元部分よりも速く昇温し、両接続部の先端部分から溶けて両者の溶融金属の塊が容易に形成される。その結果、根元部分まで溶融して損なうこと無く、先端部分から両接続部は十分に高温で溶接される。また、溶融する先端部が比較的細いので、溶融金属の塊はあまり大きくならず、周方向にあまり拡がらない。それゆえ、隣接するコイルの接続部との溶融金属による短絡も防止されるという効果がある。
【0010】
したがって、本手段によれば、溶接による両接続部の接合が極めて強固で電気接続も確実な電機子コイルの接合方法を提供することができる。また、溶接金属が周方向にあまり拡がらないので、隣接するコイルとの短絡(レイヤアース)も防止されるという効果がある。
さらに、根元部分やその付近を高温で損なうことなく、先端部分での確実な溶接(力学強度が高く、電気的に接続不良がない溶接)が可能になるという効果がもる。その結果、製造時の歩留りが改善されるばかりでなく、高速回転時にも短絡の恐れがない強固な電機子コイルを製造することができる。
【0011】
(第2手段)
本発明の第2手段は、請求項2記載の電機子コイルの接合方法である。
本手段では、両コイル接続部のうち少なくとも一方は、周方向の幅が根元部分よりも先端部分で狭くなっている。それゆえ、溶接の際に先端部分が略球状の溶融金属になり、溶接前よりも周方向に張り出した場合にも、周方向に隣接する両コイルの接続部と十分な間隔が取られており、隣接する接続部と短絡することがない。
【0012】
したがって、本手段によればさらに、溶接により両接続部の先端部分で周方向に溶接金属が張り出しても、隣接する接続部と短絡することがない(または短絡しにくい)という効果がある。
(第3手段)
本発明の第3手段は、請求項3記載の電機子コイルの接合方法である。
【0013】
本手段では、周方向の幅は、下層コイル接続部ほうが上層コイル接続部よりも狭い。それゆえ、回転軸回りに占める角度において、下層コイル接続部の方が上層コイル接続部を大きく上回ることはなくなり、むしろ上層コイル接続部の回転軸回りに占める角度の方が大きくなる。その結果、周方向に(より狭い間隔で)隣接する下層コイル接続部同士の間隔が十分に確保され、短絡しにくくなる。
【0014】
また本手段では、溶接に際し、両接続部の球状溶融部の幅(即ち溶接後の溶接金属の幅)は、上層コイル接続部の先端部分の周方向の幅によってほぼ規制されている。それゆえ、下層コイル接続部の位置が上層コイル接続部に対して周方向にいくらかずれたとしても、球状溶融部の幅は上層コイル接続部の先端部分の周方向幅を極端に越えることはない。その結果、間隔が十分に確保されるので、周方向に互いに隣接する接続部の間で接触が起こりにくく、短絡(レイヤアース)が防止される。
【0015】
したがって、本手段によればさらに、隣接する接続部でのコイル相互の短絡がいっそう確実に防止され、加速度が大きい高速回転によりいっそう適した電機子コイルを提供することができるという効果がある。
また、下層コイル接続部の位置が、上層コイル接続部に対して周方向にいくらかずれたとしても、上層コイル接続部の先端部分の周方向幅を越えてはみ出すまでには大きな許容誤差をとることができる。それゆえ、両コイル接続部の組み立て精度に対する要求を緩和することができ、製造が容易になってコストダウンになるという効果もある。
【0016】
(第4手段)
本発明の第4手段は、請求項4記載の電機子コイルの接合方法である。
本手段では、両接続部のうち少なくとも一方は、先端部分の背面(接合面と背向する面)が斜面で形成されており、テーパー形状をしている。それゆえ、溶接の際には同先端部分から溶融し始めるばかりではなく、溶融を始めた先端部分が接合面に近く、接合面を形成している両接続部の溶融が容易に始まる。その結果、接合面での両接続部の溶融金属の混合が滞りなく進み、強固な溶接金属が形成される。
【0017】
したがって、本手段によればさらに、両接続部の溶接部分に溶け分かれ(それぞれの先端部分が個別に溶融して融合せず、一つの球状溶融金属にならないので溶接金属が分かれてしまう溶接不良)の発生が防止されるという効果がある。その結果、容易に良好な溶接状態が得られる。
(第5手段)
本発明の第5手段は、請求項5記載の電機子コイルの接合方法である。
【0018】
本手段では、下層コイル接続部の先端部分は、上層コイル接続部の先端部分よりも軸方向に突出しているので、下層コイル接続部の先端部分の外周面が溶接に際して露出している。それゆえ、軸方向と遠心方向との中間の角度から溶接が施される際、下層コイル接続部の外周面からも加熱されるので、上層コイル接続部の先端部分だけが先に溶融して溶け分かれが発生するなどの溶接不良が起こりにくい。
【0019】
したがって、本手段によればさらに、溶け分かれが発生するなどの溶接不良が起こりにくく、よりいっそう良好な溶接状態(力学強度および電気接続)が容易に得られるという効果がある。
(第6手段)
本発明の第6手段は、請求項6記載の電機子コイルの接合方法である。
【0020】
本手段には、以下のような効果がある。
両接続部の溶接方法がアーク溶接である場合には、比較的安価に溶接することができるという効果がある。分けてもTIG溶接である場合には、薄板からなる両コイル接続部にも適用が容易であると同時に、清浄かつ高品質の溶接部が得られるので、接合強度および靱性の高い溶接が可能である。
【0021】
レーザー溶接または電子ビーム溶接である場合には、精密に高速度で溶接することができ、隣接する接続部との短絡が起きにくい溶接ができるという効果がある。
抵抗溶接である場合には、高能率で溶接工程を進めることができ、溶接金属の張出も小さいので、隣接する接続部との短絡が起きにくい溶接ができるという効果がある。
【0022】
さらに、上記各手段は、複数手段を互いに組み合わせて実施することも可能である。組み合わせて実施することにより、各手段のもつ効果を互いに強化して発揮することができる。
また、下層コイルおよび上層コイルのそれぞれのコイル端部および接続部(被溶接部)は、それぞれのコイル辺の一端(例えば回転軸の前端側または後端側のの一端)に形成されているが、その一端だけに形成されるとは限定されない。すなわち、以下の複数の実施例で説明するように、下層コイル辺および上層コイル辺のそれぞれの両端から、前後一対のそれぞれのコイル端部および接続部が延びていてもよい。その際、前後両端のコイル端部および接続部は、前後で形状が異なっていたり、寸法が異なっていたりしても差し支えないので、設計上または製造上の必要性によって自由に前後の形状を異ならせて良い。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の電機子コイルの接合方法の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例等で明確かつ充分に説明する。
〔実施例1〕
(実施例1の電機子コイルの構成)
本発明の実施例1としての電機子コイルの接合方法が適用される電機子コイルは、図1および図2に示すように、電機子鉄心(ラミネ−ションコア)2の複数のスロット(溝)20内に上層コイル4および下層コイル5を有する。
【0024】
すなわち、電機子鉄心2の外周部には、複数のスロット(溝)20が軸長方向に形成されており、周方向等間隔に配設されている。各スロット20内には、上層コイル4および下層コイル5が積層されている。
上層コイル4は、中間部でありコイルの要部を形成する上層コイル辺41と、コイル辺41の軸方向両端から少し斜めに略半径方向の軸心側へ延びる上層コイル端部42と、コイル端部42の軸心側の両端から軸長方向へ突出している上層コイル接続部43とからなる。一方、下層コイル5は、中間部でありコイルの要部を形成する下層コイル辺51と、コイル辺51の軸方向両端からそれぞれ少し斜めに略半径方向の軸心側へ延びる下層コイル端部52と、コイル端部52の軸心側の両端からそれぞれ軸長方向へ突出している上層コイル接続部43とからなる。
【0025】
下層コイル辺51はスロット20の軸心側に収容されており、上層コイル辺41はスロット20の外周側に収容されている。両コイル辺41,52は、図1に示すように、シート状のスロット内絶縁体6,7を挟んでスロット20に挿置される。それゆえ、図3に示すように、両コイル辺41,52は互いに絶縁されており、また、コア2に対しても絶縁されている。両コイル辺41,52は、コア2のスロット20内の所定位置に挿置されたのち、コア2のスロット20の両脇に形成されている突起部21を曲げて封止固定される。
【0026】
軸長方向には、再び図1に示すように、コア2、円盤状絶縁体10、下層コイル5、円盤状絶縁体9、上層コイル4、絶縁リング8、補強リング11の順で、軸1の両側にそれぞれ組み立てられる。その結果、図2に示すように、コア2の外周面のスロット20内に上層コイル4および下層コイル5が組み込まれているローター3が構成される。
【0027】
ここで、以下に上層コイル4および下層コイル5の形成方法の一例を説明するが、これ以外の方法を用いて両コイル4,5を製造することも可能であり、他の方法で製造された両コイル4,5を用いても、本発明の接合方法の効果は同様に得られる。
すなわち、上層コイル4は、図4(a)〜(c)に示すように、銅や銅合金などの板金から打ち抜き加工と曲げ加工とを経て容易かつ安価に形成される。すなわち、先ず、上層コイル4になる部材は、板金材から図1(a)に示す平面形状に打ち抜かれる。同形状では、中間部であるコイル辺41の中心線に対し、接続部43は端部42を介して所定の角度θの位置に形成されている。続いて、上層コイル4は、図4(b)に示すように接続部43を折り曲げられたのち、図4(c)に示すように端部42を折り曲げられて部品として完成する。その結果、一対の端部42および接続部43は、互いに2θの角度をもって捩じれの位置関係をもつ。
【0028】
同様に、下層コイル5も、図5(a)および図5(b)に示すように、板金から打ち抜き加工と曲げ加工とを経て容易かつ安価に形成される。すなわち、下層コイル5になる部材は、板金材から図5(b)に示す平面形状に打ち抜かれた後、図5(a)に示すように接続部53および端部52を折り曲げられて、下層コイル5に形成される。下層コイル5でも、一対の端部52および接続部53は、互いに2θの角度をもって捩じれの位置関係をもっている。
【0029】
したがって、軸長方向のうち一方の接続部43,53で互いに接合されている上層コイル4および下層コイル5においては、図6に示すように、両者のコイル辺41,51は、周方向に互いに離間してコア2の外周面に沿って配設される。他方の接続部43,53は、同様にそれぞれ他のコイル5,4の接続部53,43に接続されており、コア2の外周面に沿って電機子コイルの回路が形成されている。
【0030】
なお、上層コイル4および下層コイル5に関しては、上記以外の製造方法で製造されている場合にも、以下に述べる接合部(接続部43,53)への要求や接合部で起こりうる問題等は、本実施例の場合と同様である。
ここで、接続部43,53の接合には、次の3点の性質が要求される。
第1に、力学的強度(機械強度ともいう)に優れていること。すなわち、接合部分が容易に剥離せず、回転電機の運用時に想定される最も厳しい条件下でも、破断等の不具合を生じないことである。もし強度が不足して破断すると、電気的な導通不良で回転電機が十分に作動しなくなるばかりではなく、回転電機が機構的に破壊する可能性さえある。
【0031】
第2に、電気接続が完全であること。すなわち、上層コイル4と下層コイル5との導通が確実に取られており、断線または接続不良を起こさないばかりではなく、両コイル4,5が十分に低い電気抵抗で導通していることである。導通が不十分で接続部分の電気抵抗が異常に増大すると、回転電機の性能が十全に発揮されないばかりでなく、コイル接続部43,53の焼損などの不具合につながることもある。
【0032】
第3に、両層のコイル間の電気的短絡(レイヤアース)がないこと。すなわち、互いに隣接しあうコイル接続部43,53が、接触するなどして回路の短絡を起こさないことである。短絡が起きると、回転電機の性能が十全に発揮されないだけではなく、電機子コイル43,53の焼損などの不具合につながる。したがって、高速回転や振動を伴う運用条件に適合するには、接続部43,53の固定が強固であることと、隣接する接続部43,53との間に所定の間隔が確保されていることが肝要である。
【0033】
(実施例1の溶接工程)
そこで、本実施例では、再び図6に示すように、下層コイル接続部53とその外周側に接して配設された上層コイル接続部43とを半径方向に重ねて、それらの先端部分を溶接することにより両コイル4,5を互いに接合する。
溶接は、TIG(タングステン・イナートガス)溶接法を用い、自動装置により行う。同自動装置は、要部を図7に示すように、ローター3をその回転軸1まわりの所定位置で止めては、斜め方向からアーク141を特定の接続部43,53に吹き掛けてTIG溶接を行う。
【0034】
すなわち、上記自動装置は、全ての両コイル4,5が組み込まれているローター3を軸1の一端で支持し、所定の角度に回転して保持する支持軸137および保持具138を有する。同自動装置は、また、上層コイル端部42を押圧しローター3内の所定位置に保持する上層コイル用冷却治具142と、回転軸1の一端を軸支し下層コイル接続部53を内周面に当接して所定位置に保持する下層コイル用冷却治具143を有する。トーチ140は、同自動装置により位置および出力を制御されており、所定の角度から前述の互いに重ねられた接続部43,53との間にアーク141を発生させて、接続部43,53を溶接する。その際、接続部43,53の先端付近から溶融するが、両冷却軸142,143の熱伝導作用により溶融部分は、上層コイル端部42の軸長方向の端面付近までに限定されている。
【0035】
(先行技術の不都合)
前述の溶接を行うにあたり、先行技術では、図8(a)〜(c)に示すように接続部43,53の形状は直方体状であった。したがって、接続部43,53の突出方向(遠心方向)の断面積および断面形状は一定であり、周方向の幅や半径方向の厚さも一定であった。そして、接続部43の先端面44と接続部53の先端面54とは隣接して一平面内にあり、両先端面44,54は上層コイル端部42の軸長方向の端面40から所定距離pだけ軸長方向に突出している。
【0036】
以上のような形状の接続部43,53が、再び図7に示すように斜め方向からアーク141を浴びて溶接されると、通常、図9(a)〜(c)に示すように、略球状の溶接金属Wが形成される。溶接工程で溶接金属Wが溶融すると、溶接金属Wを形成している両接続部43’,53’は、互いに融合して表面張力により略球状の塊Wを形成する。そして、溶接金属Wが冷却して固化する際に、両接続部43’,53’は接合される。
【0037】
その結果、図9(a)に示すように、略球状の溶接金属Wの一部は周方向に距離bだけ飛び出すので、互いに溶接されている両接続部43’,53’の幅B2は、もとの接続部43,53の幅B1よりも大きくなる。
両接続部43,53は、図10(b)に示すように、周方向に所定の間隔Xを空けて配設されているが、両接続部43’,53’の幅B2がもとの幅B1よりも大きくなると、所定の間隔Xが取れなくなる。その結果、先行技術による形状の接続部43,53では、溶接の結果、隣接する接続部43’,53’の溶接金属Wとの間の絶縁が破れて短絡(レイヤアース)を生じることがあり、極めて不都合である。上記短絡は静止中に起きなくても、高速回転や運用中に振動を受けたりした場合に起きることがあるので、所定の間隔Xが確保されることは回転電機の信頼性を確保する上で重要である。
【0038】
なお、溶接金属Wは、図10(a)に示すように、半径方向(図中上下方向)にも幾らか出っ張るが、半径方向の出っ張りは周方向の出っ張りbほどには、問題にならない。
(実施例1の電機子コイル接合部の形状)
そこで、本実施例においては、図11(a)〜(c)に示すように、溶接前の上層コイル4Aおよび下層コイル5Aの接続部43A,53Aは、半径方向の厚さを先端に行くほど減じ、直線テーパー形状をしている(両コイル4A,5Aは接続部43A,53Aの形状が両コイル4,5のものと異なるだけで、その他は前述の両コイル4,5と同様である)。
【0039】
それゆえ、図11(d)に示すように、接続部43A,53Aは、それぞれの根元部分が先端部分よりも広い回転面に沿う断面積を有する。すなわち、接続部43A,53Aの先端面44A,54Aの端面面積S2は、根元部分での断面積S1よりも大きい。
なお、両接続部43A,53Aの先端面43A,53Aは同一平面上にあり、周方向の幅も同一で互いに隣接している。
【0040】
(実施例1の作用効果)
以上のように、接続部43A,53Aの先端部分は根元部分よりも細くなっている。それゆえ、両接続部43A,53Aを互いに溶接する際に、先端部分の熱容量が小さいので根元部分よりも速く昇温する。すると、両接続部43A,53Aは先端部分から溶融し、両者の混合した溶融金属の塊Wが容易に形成される。その結果、接続部43A,53Aを根元部分まで溶融して損なうことなく、先端部分から両接続部43A,53Aは十分に高温で溶接される。
【0041】
したがって、本実施例によれば、溶接による両接続部43A,53Aの接合が極めて強固であり、同時に上層コイル4Aと下層コイル5Aとの電気的な導通も十分に確保される。また、図12(a)〜(c)に示すように、溶接金属Wが周方向にあまり拡がらないので、隣接するコイル同士での短絡(レイヤアース)も防止されるという効果がある。
【0042】
また、TIG溶接による接合であるから、薄板からなる両コイル4A,5Aの接続部43A,53Aにも適用が容易である。同時に、清浄かつ高品質の溶接部Wが得られるので、接合強度および靱性の高い溶接が可能である。
その結果、信頼性が高く、高速回転時にも短絡の恐れがない強固な電機子コイルをより容易に製造することができる。
【0043】
(実施例1の変形態様)
本実施例の溶接法はTIG溶接としたが、他の適当な溶接法でもそれぞれの作用効果を上げることができる。
例えば、両接続部43A,53Aの溶接方法がアーク溶接である場合には、比較的安価に溶接することができるという効果がある。溶接法がレーザー溶接である場合には、精密に高速度で溶接することができ、隣接する接続部との短絡が起きにくい溶接ができるという効果がある。溶接法が抵抗溶接である場合には、高能率で溶接工程を進めることができ、溶接金属の張出も小さいので、隣接する接続部との短絡がいっそう起きにくい溶接ができるという効果がある。
【0044】
〔実施例2〕
(実施例2の電機子コイル接合部の形状)
本実施例では、溶接以前の上層コイル4Bおよび下層コイル5Bの接続部43B,53Bの形状が、実施例1と異なる。接続部43B,53Bの先端面44B,54Bの端面面積S2が根元部分での断面積よりも大きい点では、実施例1と共通しているが、テーパーが厚さではなく周方向に沿う幅の変化で与えられている点が、実施例1と異なっている。
【0045】
すなわち、本実施例では,図13(a)〜(d)に示すように、上層コイル接続部43Bおよび下層コイル接続部53Bは、それぞれのコイル端部42,43に接続する根元部分の周方向の幅B3が,先端部分の周方向の幅B4よりも広いことを特徴としている。
なお、両接続部43B,53Bの先端面44B,54Bは同一平面上にあり、先端面44B,54Bは周方向の幅も同一で互いに隣接している。
【0046】
ここで、図13(b)に示すように、接続部43B,53Bは周方向の厚さが均一で、コイル辺41,51および端部42,52の板厚と同一の厚さをもつ。それゆえ、両コイル4,5製造時に、板金から展開形状体を打ち出す工程で、接続部43B,53Bになる部分を、直線テーパー形状に打ち出し形成するだけで接続部43B,53Bの形状が形成される。したがって、本実施例では、接続部43B,53Bをもつ上層コイル4Bや下層コイル5Bを、極めて安価に製造することができる。
【0047】
(実施例2の作用効果)
本実施例では、両コイル接続部53B,54Bは、前述のように周方向の幅が根元部分(幅B1)よりも先端部分(幅B2)で狭くなっている。それゆえ、溶接の際に先端部分が略球状の溶融金属Wになり、溶接前よりも周方向に張り出した場合にも、周方向に隣接する両コイルの接続部と十分な間隔が確保されている。
【0048】
したがって、本実施例によれば、溶接により両接続部43B,53Bの部分で周方向に溶接金属Wが張り出しても、隣接する接続部といっそう短絡しにくくなるという効果がある。その結果、実施例1と同様の作用効果が得られる上に、隣接する接続部との間隔が増す分、溶接金属Wの張出のトレーランス(寸法上の許容範囲)に余裕ができるので、溶接工程の管理がより容易になり、より安価かつ速やかに製造することが可能になる。
【0049】
(実施例2の変形態様)
本実施例においても、実施例1と同様の各種変形態様が可能である。また、接続部43B,53Bの幅のテーパーに加えて、実施例1同様の厚さのテーパーを併用してもよい。
〔実施例3〕
(実施例3の電機子コイル接合部の形状)
本実施例でも、溶接以前の上層コイル4Cおよび下層コイル5Cの接続部43C,53Cの形状が、実施例1や実施例2と異なる。本実施例では,図15(a)〜(c)に示すように、下層コイル接続部53Cの周方向の幅W5は、上層コイル接続部43Cの周方向の幅W4よりも狭いことを特徴としている。両接続部43C,53Cには、周方向の幅のテーパーや半径方向の厚さのテーパーがないので、両接続部43C,53Cの形成は板金加工で極めて容易にできる。なお、両接続部43C,53Cの先端面44C,54Cは同一平面上にあり、周方向の幅も同一で互いに隣接している。
【0050】
(実施例3の作用効果)
本実施例では、前述のように周方向の幅が、下層コイル接続部53C(幅W5)のほうが上層コイル接続部43C(幅W4)よりも狭い。それゆえ、回転軸1まわりに占める角度において、上層コイル接続部43Cよりも下層コイル接続部53Cの方が大きく上回ることがなくなり、むしろ上層コイル接続部43Cが回転軸1まわりに占める角度の方が大きくなる。その結果、周方向に隣接する下層コイル接続部同士の間隔が十分に確保され、短絡しにくくなる。
【0051】
ここで比較のために、先行技術のように周方向の幅が両接続部43,53で同じである場合について考えてみる。すると、内周側に位置する下層コイル接続部53が軸1まわりに占める角度が大きくなり、隣接する接続部53との間隔が小さくなる。その結果、溶接後に形成される溶接金属Wの許容寸法が減り、精度要求が厳しくなるので溶接が難しくなる。さらに、接続部43,53の高密度化が難しくなり、設計上の制約になるなどの不都合も生じる。前述のように、この不都合は本実施例で解消されている。
【0052】
また本実施例では、溶接の際に形成される両接続部43C,53Cの球状溶融部Wの幅(すなわち溶接後の溶接金属Wの幅)は、上層コイル接続部43Cの周方向の幅W4によってほぼ規制されている。それゆえ、図17(a)に示すように、下層コイル接続部53Cの位置が、上層コイル接続部43Cに対して周方向にいくらかずれたとしても、球状溶融部Wの幅は、上層コイル接続部43Cの周方向の幅W4を極端に越えることはない。その結果、隣接する接続部の溶接金属Wとの間隔が十分に確保されるので、周方向に互いに隣接する接続部の溶接金属Wの間で接触が起こりにくく、短絡(レイヤアース)が防止される。
【0053】
したがって、本実施例によればさらに、隣接する接続部43C’,53C’での相互の短絡がいっそう確実に防止されるので、加速度が大きい高速回転によりいっそう適した電機子コイルを提供することができるという効果がある。
また、本実施例では、図17(a)に示すように、下層コイル接続部53Cの位置が上層コイル接続部43Cに対して周方向にいくらかずれたとしても、溶接後の溶接金属Wの形状に不都合を生じない。なぜなら、上層コイル接続部43Cの周方向の幅を越えて下層コイル接続部53Cがはみ出すまでには、大きな許容誤差が取られているからである。それゆえ、両コイル接続部43C,53Cの組み立て精度に対する要求をも緩和することができ、製造が容易になってコストダウンになるという効果もある。
【0054】
ここで再び比較のために、先行技術のように周方向の幅が両接続部43,53で同じである場合について考えてみる。すると、図17(b)に示すように、内周側に位置する下層コイル接続部53が、上層コイル接続部43に対して周方向に幾らかでもずれると、その分、溶接後の溶接金属Wの周方向の幅W0が大きくなる。その結果、隣接する接続部43,53の溶接金属Wとの間隔が十分大きくとれなくなり、短絡を生じる恐れがある。前述のように、この不都合についても本実施例で解消されている。
【0055】
以上をまとめると、本実施例では、両コイル4C,5Cの接続部43C,53Cの溶接にあたり、位置精度のトレーランスが大きい。それゆえ、本実施例によれば、接続部43C,53Cの溶接が容易でコストダウンになるばかりではなく、短絡(レイヤアース)の恐れもなくなるので、高速回転に適する電機子を提供することができるという効果がある。
【0056】
(実施例3の変形態様)
本実施例においても、実施例1と同様の各種変形態様が可能である。また、本実施例では断面積同一の接続部43C,53Cに、実施例1同様の厚さのテーパーや、実施例2同様に幅のテーパーに加えてもよい。
〔実施例4〕
(実施例4の電機子コイル接合部の形状)
本実施例でも、溶接以前の上層コイル4Dおよび下層コイル5Dの接続部43D,53Dの形状が、前述の各実施例と異なっている。本実施例では,図18(a)〜(b)に示すように、上層コイル接続部43Dおよび下層コイル接続部53Dは、先端部分において接続部43Dと接続部53Dとの接合面Cと背向する面が斜面Sで形成されている。したがって、両接続部43D,53Dの先端部分は、斜面Sにより先端に行くほど厚さが減少する強いテーパー形状をしていることを特徴としている。なお、本実施例でも、先端面44D,54Dは同一の幅で隣接しており、同一平面上にある。
【0057】
(実施例4の作用効果)
本実施例では、前述のように、両接続部43D,53Dは、先端部分の背面(接合面Cと背向する面)が斜面Sで形成されており、テーパー形状をしている。それゆえ、溶接の際には、先ず熱容量が小さく昇温しやすい上記先端部分から、接続部43D,53Dは溶融し始める。その際、溶融を始めた先端部分(先端面44D,54Dを含む)が接合面Cに近いので、接合面Cを形成している両接続部43D,53Dの溶融が容易に始まる。その結果、接合面Cでの両接続部43D,53Dの溶融金属の混合が滞りなく進み、図19(a)〜(b)に示すように、強固に一体化した溶接金属Wが形成される。
【0058】
ここで比較のために、先行技術による接続部43,53の溶接不具合の一例を挙げておく。溶接の際に、図20に示すように、接続部43,53の先端が互いに融合せず、独立した溶接金属の塊43”,53”を形成して接合しない場合がある。これは、「溶け分かれ」(溶接すべき部材が個別に溶融して融合せず、溶接金属が分かれてしまう)と呼ばれる溶接不良で、接続部43,53の先端部分の溶けはじめに、両者の溶融金属が十分に接近していないと起きやすい。一方、本実施例では、溶融を始める先端部分が接合面Cで接しており、細くなった先端部分から確実に溶融が始まるので、溶け分かれは極めて起きにくい。
【0059】
したがって、本実施例によればさらに、両接続部43D,53Dの溶接部分Wに溶け分かれが起きることが防止されるという効果がある。その結果、容易に良好な溶接状態が得られる。
(実施例4の変形態様)
本実施例においても、実施例1と同様の各種変形態様が可能である。また、接続部43D,53Dに、実施例2と同様な幅のテーパーを加えてもよい。
【0060】
〔実施例5〕
(実施例5の電機子コイル接合部の形状)
本実施例でも、溶接以前の上層コイル4Eおよび下層コイル5Eの接続部43E,53Eの形状が、前述の各実施例と異なっている。本実施例では,図21に示すように、下層コイル接続部53Eの先端部分は、上層コイル接続部43Eの先端部分よりも軸方向に突出していることを特徴としている。すなわち、下層コイル5の接続部53Eの先端面54Eは、上層コイル4の接続部43Eの先端面44Eから、所定距離gだけ軸長方向に突出している。
【0061】
理解を容易にするために、本実施例では、接続部43E,53Eの(回転軸1に垂直な)断面形状は矩形で軸長方向に一定であるとする。
(実施例5の作用効果)
本実施例では、下層コイル接続部53Eの先端部分は、上層コイル接続部43Eの先端部分よりも軸方向に突出しているので、下層コイル接続部53Eの先端部分の外周面が、TIG溶接のアーク141に対して露出している。それゆえ、斜め方向からのアーク141により、下層コイル接続部53Eは外周面からも加熱されるので、上層コイル接続部43Eに遅れることなく下層コイル接続部53Eも溶融しはじめる。その結果、両接続部43E,53Eの溶融がほぼ同時に進行するので、溶け分かれ不具合を生じることなく、図22に示すように、両者は容易に融合して適正な溶接金属Wを形成する。
【0062】
一方、比較のために先行技術に言及すると、両接続部43,53は、軸長方向に同一断面積である矩形断面の接続部43,53をもち、両者の先端面44,54に段差はない。それゆえ、図23に示すように、両接続部43,53は斜め方向から溶接された場合に、アーク141に近い上層コイル接続部43だけが溶融して溶接金属43”を形成し、下層コイル接続部53は接続部43の陰に隠れて十分に溶融しないで残る場合もあり得る。このような場合、接続部43,53には溶接不良が生じて正常に接合されず、不都合である。本実施例は、このような溶接不良を生じにくい形状の接続部43E,53Eを例示している。
【0063】
したがって本実施例によれば、さらに溶け分かれが発生するなどの溶接不良が起こりにくく、よりいっそう良好な溶接状態(力学強度および電気接続)が容易に得られるという効果がある。
(実施例5の変形態様)
本実施例においても、実施例1と同様の各種変形態様が可能である。また、接続部43E,53Eの形状に、前述の各実施例のうち幾つかの特徴的な形状を組み合わせて取り入れてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の電機子コイルの全体構成を示す分解斜視図
【図2】実施例1の電機子コイルの全体構成を示す縦半断面図
【図3】スロット内の両コイルの積層構造を示す水平断面図
【図4】上層コイルの形状と製造方法とを示す組図
(a)薄板材から打ち抜きされた展開形状を示す斜視図
(b)曲げ加工により接続部を立てられた状態を示す斜視図
(c)曲げ加工を終えた部品形状を示す斜視図
【図5】上層コイルの形状を示す組図
(a)上層コイルの形状を示す側面図
(b)上層コイルの形状を示す平面図
【図6】上層コイルと下層コイルとの接続と相互位置とを示す斜視図
【図7】上層コイルと下層コイルとの溶接工程を示す縦半断面図
【図8】先行技術による両コイルの接続部の溶接前の形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図 (c)正面図
【図9】先行技術による両コイルの接続部の溶接後の形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図 (c)正面図
【図10】両コイルの溶接部を電機子全体の中で示す組図
(a)部分側断面図 (b)正面図
【図11】実施例1の両コイルの接続部の溶接前の形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図 (c)正面図 (d)斜視図
【図12】実施例1の両コイルの接続部の溶接後の形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図 (c)正面図
【図13】実施例2の両コイルの接続部の溶接前の形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図 (c)正面図 (d)斜視図
【図14】実施例2の両コイルの接続部の溶接後の形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図 (c)正面図
【図15】実施例3の両コイルの接続部の溶接前の形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図 (c)正面図 (d)斜視図
【図16】実施例3の両コイルの接続部の溶接後の形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図 (c)正面図
【図17】実施例3と先行技術との溶接後の形状を比較して示す組図
(a)実施例3の接続部の溶接後の形状を示す平面図
(b)先行技術の接続部の溶接後の形状を示す平面図
【図18】実施例4の両コイルの接続部の溶接前の形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図
【図19】実施例4の両コイルの接続部の溶接後の形状を示す組図
(a)平面図 (b)側面図
【図20】先行技術の溶接不具合の一例を示す側面図
【図21】実施例5の両コイルの接続部の溶接前の形状を示す側面図
【図22】実施例5の両コイルの接続部の溶接後の形状を示す側面図
【図23】先行技術の溶接不具合の他の一例を示す側面図
【符号の説明】
1:回転軸(シャフト) 2:電機子鉄心(ラミネ−ションコア)
20:スロット(溝) 21:突起(突条) 3:ローター(回転子)
4:上層コイル(41:コイル辺 42:端部 43:接続部 44:先端面)
5:下層コイル(51:コイル辺 52:端部 53:接続部 54:先端面)
43A,43B,43C,43D,43E:上層コイル接続部
53A,53B,53C,53D,53E:下層コイル接続部
43’,43A’,43B’,43C’,43D’,43E’:溶接部
53’,53A’,53B’,53C’,53D’,53E’:溶接部
6,7:スロット内絶縁体
8:絶縁リング 9,10:円盤状絶縁体 11:補強リング
137:支持軸 138:保持具 140:トーチ 141:アーク
142:冷却治具(上層コイル用) 143:冷却治具(下層コイル用)
g:突出距離 S:斜面 W:溶接金属 X:間隔(ギャップ)
θ:偏角

Claims (6)

  1. 電機子鉄心の外周部に形成された複数のスロットに組み込まれている下層コイル辺と、該下層コイル辺の一端から所定の角度で略半径方向の軸心側へ延在している下層コイル端部と、該下層コイル端部の軸心側の一端から軸長方向へ延在する下層コイル接続部とからなる下層コイルと、
    前記スロットに組み込まれている上層コイル辺と、該上層コイル辺の一端から所定の角度で略半径方向の軸心側へ延在している上層コイル端部と、該上層コイル端部の軸心側の一端から軸長方向へ延在する上層コイル接続部とからなる上層コイルとを互いに溶接により接合する方法であって、
    前記下層コイル接続部の外周側に接して前記上層コイル接続部を配設し、前記下層コイル接続部と前記上層コイル接続部とを半径方向に重ねてそれらの先端部分を互いに溶接する際に、被溶接部である前記上層コイル接続部および前記下層コイル接続部のうち少なくとも一方は、前記コイル端部に接続する根元部分の断面積が、先端部分の断面積よりも大きいことを特徴とする電機子コイルの接合方法。
  2. 電機子鉄心の外周部に形成された複数のスロットに組み込まれている下層コイル辺と、該下層コイル辺の一端から所定の角度で略半径方向の軸心側へ延在している下層コイル端部と、該下層コイル端部の軸心側の一端から軸長方向へ延在する下層コイル接続部とからなる下層コイルと、
    前記スロットに組み込まれている上層コイル辺と、該上層コイル辺の一端から所定の角度で略半径方向の軸心側へ延在している上層コイル端部と、該上層コイル端部の軸心側の一端から軸長方向へ延在する上層コイル接続部とからなる上層コイルとを互いに溶接により接合する方法であって、
    前記下層コイル接続部の外周側に接して前記上層コイル接続部を配設し、前記下層コイル接続部と前記上層コイル接続部とを半径方向に重ねてそれらの先端部分を互いに溶接する際に、被溶接部である前記上層コイル接続部および前記下層コイル接続部のうち少なくとも一方は、前記コイル端部に接続する根元部分の周方向の幅が、先端部分の周方向の幅よりも広いことを特徴とする電機子コイルの接合方法。
  3. 電機子鉄心の外周部に形成された複数のスロットに組み込まれている下層コイル辺と、該下層コイル辺の一端から所定の角度で略半径方向の軸心側へ延在している下層コイル端部と、該下層コイル端部の軸心側の一端から軸長方向へ延在する下層コイル接続部とからなる下層コイルと、
    前記スロットに組み込まれている上層コイル辺と、該上層コイル辺の一端から所定の角度で略半径方向の軸心側へ延在している上層コイル端部と、該上層コイル端部の軸心側の一端から軸長方向へ延在する上層コイル接続部とからなる上層コイルとを互いに溶接により接合する方法であって、
    前記下層コイル接続部の外周側に接して前記上層コイル接続部を配設し、前記下層コイル接続部と前記上層コイル接続部とを半径方向に重ねてそれらの先端部分を互いに溶接する際に、前記下層コイル接続部の周方向の幅は、上記上層コイル接続部の周方向の幅よりも狭いことを特徴とする電機子コイルの接合方法。
  4. 電機子鉄心の外周部に形成された複数のスロットに組み込まれている下層コイル辺と、該下層コイル辺の一端から所定の角度で略半径方向の軸心側へ延在している下層コイル端部と、該下層コイル端部の軸心側の一端から軸長方向へ延在する下層コイル接続部とからなる下層コイルと、
    前記スロットに組み込まれている上層コイル辺と、該上層コイル辺の一端から所定の角度で略半径方向の軸心側へ延在している上層コイル端部と、該上層コイル端部の軸心側の一端から軸長方向へ延在する上層コイル接続部とからなる上層コイルとを互いに溶接により接合する方法であって、
    前記下層コイル接続部の外周側に接して前記上層コイル接続部を配設し、前記下層コイル接続部と前記上層コイル接続部とを半径方向に重ねてそれらの先端部分を互いに溶接する際に、被溶接部である前記上層コイル接続部および前記下層コイル接続部のうち少なくとも一方は、少なくとも先端部分において該接続部の他の接続部との接合面と背向する面が斜面で形成され、テーパー形状をしていることを特徴とする電機子コイルの接合方法。
  5. 電機子鉄心の外周部に形成された複数のスロットに組み込まれている下層コイル辺と、該下層コイル辺の一端から所定の角度で略半径方向の軸心側へ延在している下層コイル端部と、該下層コイル端部の軸心側の一端から軸長方向へ延在する下層コイル接続部とからなる下層コイルと、
    前記スロットに組み込まれている上層コイル辺と、該上層コイル辺の一端から所定の角度で略半径方向の軸心側へ延在している上層コイル端部と、該上層コイル端部の軸心側の一端から軸長方向へ延在する上層コイル接続部とからなる上層コイルとを互いに溶接により接合する方法であって、
    前記下層コイル接続部の外周側に接して前記上層コイル接続部を配設し、前記下層コイル接続部と前記上層コイル接続部とを半径方向に重ねてそれらの先端部分を互いに溶接する際に、前記下層コイル接続部の先端部分は、前記上層コイル接続部の先端部分よりも軸方向に突出していることを特徴とする電機子コイルの接合方法。
  6. 前記溶接は、TIG溶接を含むアーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接および抵抗溶接のうちいずれかである請求項1ないし5のうちいずれかに記載の電機子コイルの接合方法。
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