JP7063671B2 - 回転電機、及び回転電機の製造方法 - Google Patents
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Description
ところで、例えばターミナル等の接続端子に、アルミ線をはんだにより接合するのは困難である。このため、ターミナル等の接続端子に、抵抗溶接によってアルミ線を接合するさまざまな技術が提案されている。
なお、抵抗溶接は、被溶接材の金属を重ね合わせ、溶接する箇所を電極で挟み、この電極によって被溶接材に適当な加圧力を加えて被溶接材に電流を供給する。すると、溶接部位の接触抵抗により発生するジュール熱で、お互いが溶融接着される。
また、アルミ合金からなるコイルとターミナルとの抵抗溶接において、コイルとターミナルとの剥離強度を確実に確保できる。
(回転電機)
図1は、回転電機1を軸方向一方側からみた斜視図である。図2は、回転電機1を軸方向他方側からみた斜視図である。なお、軸方向とは、回転電機1の回転軸線方向をいう。
図1、図2に示すように、回転電機1は、例えば、車両用エンジンを始動するために用いられたり車両用エンジンのクランクシャフト(不図示)の回転を利用して発電するために用いられたりする。
ステータコア4は、電磁鋼板を積層したり、軟磁性粉を加圧成形したりして形成される。ステータコア4は、略円環状に形成された本体部4aと、本体部4aの外周面から径方向外側に向かって放射状に突出する複数のティース部4bとを有している。
ここで、コイル6は、アルミ合金により形成されており、ターミナル8の第2端部12と抵抗溶接(例えば、スポット溶接)により接合されている。以下、接合体10について詳述する。
図3は、接合体10の構成を示す簡略図である。
図3に示すように、接合体10は、コイル6の端末部6aとターミナル8とが接合された接合部13を有する。接合部13には、コイル6のターミナル8と接合される面であるコイル側接合面14に、コイル凹部15が1つ形成されている。コイル凹部15は、ターミナル8の短手方向に延在するように、かつ断面矩形状に形成されている。
また、接合部13におけるターミナル8のコイル6と接合される面であるターミナル側接合面16には、コイル凹部15に対応する位置に、このコイル凹部15に嵌入可能なターミナル凸部17が1つ形成されている。ターミナル凸部17は、コイル凹部15の断面形状に対応するように、断面矩形状に形成されている。また、ターミナル8のターミナル側接合面16とは反対側の面8a(以下、裏面8aという)には、ターミナル凸部17に対応するように、ターミナル凹部17aが形成されている。
次に、図4に基づいて、ターミナル8の加工方法について説明する。
図4は、ターミナル8の加工方法を示す説明図である。
図4に示すように、ターミナル8は、金型18,19(第1金型18、第2金型19)を用いてプレス加工を施すことにより、ターミナル8のターミナル側接合面16に、ターミナル凸部17(図3参照)が形成される。
第1金型18には、ターミナル8側の第1押圧面18bに、断面矩形状の金型凹部18aが形成されている。第2金型19には、ターミナル8側の第2押圧面19bに、第1金型18の金型凹部18aに嵌入可能な金型凸部19aが形成されている。そして、これら2つの金型18,19の各押圧面18b,19bによってターミナル8を挟み、所定の圧力で加圧する(図4における矢印参照)。すると、図3に示すように、ターミナル8のターミナル側接合面16にターミナル凸部17が形成されるとともに、ターミナル8の裏面8aにターミナル凹部17aが形成される。
次に、コイル6とターミナル8との接合手順について説明する。
まず、コイル6のコイル側接合面14とターミナル8のターミナル側接合面16とを重ね合わせる。このとき、ターミナル8のターミナル側接合面16には、ターミナル凸部17が形成されている。このため、実際は、ターミナル凸部17にコイル6のコイル側接合面14が当接した状態で、その他の箇所は、コイル6とターミナル8との間に微小隙間が形成される。
なお、上述の第1実施形態では、コイル6にコイル凹部15が1つ形成されているとともに、ターミナル8にターミナル凸部17が1つ形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、コイル6にコイル凹部15を複数形成するとともに、ターミナル8にターミナル凸部17を複数形成してもよい。
さらに、コイル凹部15、及びターミナル凸部17を、コイル側接合面14及びターミナル側接合面16の法線方向からみて環状に加え、四角形状とすることが望ましい。このように構成することで、抵抗溶接した後のコイル6とターミナル8との相対位置のずれを確実に防止できる。また、コイル6とターミナル8との間のアンカー効果をさらに高めることができる。
(接合体)
次に、図6~図9に基づいて、第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態における接合体210の構成を示す簡略図であって、前述の図3に対応している。なお、前述の第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態において、接合体210を構成するコイル206は、アルミ合金により形成されている点、ターミナル208は、軸方向に長い鉄等の金属板の表面に錫メッキが施されたものである点、等の基本的構成は、前述の第1実施形態と同様である。
すなわち、図6に示すように、コイル206とターミナル208との接合部213において、ターミナル側接合面216には、ターミナル凹部215が1つ形成されている。また、コイル側接合面214には、ターミナル凹部215に嵌るコイル凸部217が1つ形成されている。さらに、ターミナル凹部215及びコイル凸部217は、ターミナル208の短手方向に延在するように形成されている。また、ターミナル208のターミナル側接合面216とは反対側の面208a(以下、裏面208aという)は、平坦に形成されている。
次に、図7に基づいて、ターミナル208の加工方法について説明する。
図7は、ターミナル208の加工方法を示す説明図である。
図7に示すように、ターミナル208は、金型218,219(第1金型218、第2金型219)を用いてプレス加工を施すことにより、ターミナル側接合面216に、ターミナル凹部215(図6参照)が形成される。
第1金型218には、ターミナル208側の第1押圧面218bに、断面矩形状の金型凸部218aが形成されている。第2金型219は、ターミナル208側の第2押圧面219bが平坦に形成されている。そして、これら2つの金型218,219の各押圧面218b,219bによってターミナル208を挟み、所定の圧力で加圧する(図7における矢印参照)。すると、図6に示すように、ターミナル208のターミナル側接合面216にターミナル凹部215が形成される。
次に、コイル206とターミナル208との接合手順について説明する。
まず、コイル206のコイル側接合面214とターミナル208のターミナル側接合面216とを重ね合わせる。
この状態で、図6に示すように、コイル206のコイル側接合面214とは反対側、及びターミナル208のターミナル側接合面216とは反対側から、これらコイル206とターミナル208にそれぞれ電極21,22(第1電極21、第2電極22)を押し当てる。そして、これらコイル6とターミナル8にそれぞれ電極21,22(第1電極21、第2電極22)を押し当てる。この後、各電極21,22によってコイル206とターミナル208とを所定の圧力で加圧しながら、各電極21,22を介してコイル206及びターミナル208に電圧を印加する。
このとき、ターミナル208に形成されているターミナル凹部215に、溶融されたコイル206の一部が流れ込み、コイル206にコイル凸部217が形成される。さらに、コイル側接合面214とターミナル側接合面216とが溶融接着されて、接合部213が形成される。また、このとき、ターミナル208のターミナル凹部215とコイル6に形成されたコイル凸部217とが嵌り合った状態(図6参照)でコイル206とターミナル208とが溶融接着される。
また、ターミナル208にプレス加工を施す2つの金型218,219のうち、第2金型219の第2押圧面219bが平坦に形成されている。このため、ターミナル208のターミナル側接合面216にターミナル凹部215を形成する際、ターミナル208の裏面208aを平坦にすることができる。この結果、抵抗溶接の際、ターミナル208と第2電極22との接触抵抗が減少し、効率よくターミナル208に電圧を印加することができる。
なお、上述の第2実施形態では、コイル206にコイル凸部217が1つ形成されているとともに、ターミナル208にターミナル凹部215が1つ形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、コイル206にコイル凸部217を複数形成するとともに、ターミナル208にターミナル凹部215を複数形成してもよい。
さらに、ターミナル凹部215、及びコイル凸部217を、コイル側接合面214及びターミナル側接合面216の法線方向からみて環状に加え、四角形状とすることが望ましい。このように構成することで、抵抗溶接した後のコイル206とターミナル208との相対位置のずれを確実に防止できる。また、コイル206とターミナル208との間のアンカー効果をさらに高めることができる。
図9に示すように、ターミナル208にターミナル凹部215を形成する一方、裏面208aを平坦にする場合、ターミナル208を押し凹ます分、ターミナル208の肉の逃げが必要になる。とりわけ、ターミナル凹部215を環状の四角形状に形成しようとすると、その分多くの肉の逃げが必要になる。そこで、ターミナル208の短手方向両側辺に、逃げ部208bを形成することにより、ターミナル208の裏面208aを平坦に維持しながら、ターミナル凹部215を形成することを可能とした。
なお、逃げ部208bの形成箇所はターミナル208の短手方向両側辺に限られるものではなく、任意に設定することができる。例えば、ターミナル208の長手方向端部に、逃げ部208bを形成してもよい。
例えば、上述の実施形態では、回転電機1は、例えば、車両用エンジンを始動するために用いられたり車両用エンジンのクランクシャフトの回転を利用して発電するために用いられたりする場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな機器の駆動用、発電用として用いることが可能である。
Claims (8)
- 接合体を有する回転電機であって、
前記接合体は、第1被接合体の第1接合面と、第2被接合体の第2接合面とを重ね合わせ、抵抗溶接によって前記第1接合面と前記第2接合面とが接合される接合部を有し、
前記第1接合面及び前記第2接合面のいずれか一方に、少なくとも1つの凹部が形成され、
前記第1接合面及び前記第2接合面のいずれか他方に、前記凹部に嵌る少なくとも1つの凸部が形成され、
前記第1被接合体は、ステータに巻回されているアルミ合金からなるコイルであり、
前記第2被接合体は、金属板からなるターミナルであり、前記第2被接合体の前記第2接合面とは反対側の面が平坦に形成されていることを特徴とする回転電機。 - 前記凹部及び前記凸部は、断面矩形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
- 前記凹部及び前記凸部は、前記第1被接合体及び前記第2被接合体の一方向に長く形成されており、前記一方向と直交する他方向に並んで複数形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転電機。
- 前記凹部及び前記凸部は、前記第1接合面及び前記第2接合面の法線方向からみて環状に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転電機。 - 前記凹部及び前記凸部は、前記第1接合面及び前記第2接合面の法線方向からみて四角形状に形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の回転電機。 - 前記第2被接合体は、前記第2接合面の法線方向に交わる方向へ延出形成された逃げ部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転電機。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転電機における前記ターミナルの厚さ方向両面から第1金型と第2金型とを押圧してプレス加工を施すことにより、前記第2接合面に前記凸部及び前記凹部のいずれか一方を形成する回転電機の製造法であって、
前記第1金型の第1押圧面及び前記第2金型の第2押圧面のいずれか一方には、前記凹部を形成するための金型凸部が設けられ、
前記第1金型の第1押圧面及び前記第2金型の第2押圧面のいずれか他方には、前記金型凸部と対向する面に、前記金型凸部を受け入れる金型凹部が設けられており、
前記金型凸部と前記金型凹部は、断面矩形状に形成されていることを特徴とする回転電機の製造方法。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転電機における前記ターミナルの厚さ方向両面から第1金型と第2金型とを押圧してプレス加工を施すことにより、前記第2接合面に前記凸部及び前記凹部のいずれか一方を形成する回転電機の製造法であって、
前記第1金型の第1押圧面及び前記第2金型の第2押圧面のいずれか一方には、前記凹部を形成するための金型凸部が設けられ、
前記第1金型の第1押圧面及び前記第2金型の第2押圧面のいずれか他方は、平坦面である
ことを特徴とする回転電機の製造方法。
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