JP3541155B2 - 固体撮像装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、固体撮像装置、特に被写体の光情報を検出する有効画素領域と光学的黒を検出する無効画素領域とを有する固体撮像装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、CCD(電荷結合素子)エリアセンサは、図6に示すように、被写体の光情報を検出する有効画素領域Aと光学的黒を検出する無効画素領域Bとを有している。さらに、無効画素領域Bは、通常、有効画素領域Aの左右両側および上下両側に設けられる。
【0003】
図7は、従来のCCDエリアセンサにおける有効画素領域Aの断面(図6におけるC‐C'矢視断面に相当)を示す。また、図8は、無効画素領域Bの断面(図6におけるC‐C'矢視断面に相当)を示す。以下、図7および図8に従って、従来のCCDエリアセンサにおける各領域の画素構成について説明する。
【0004】
先ず、上記有効画素領域Aにおける画素の構成は、図7に示すように、N型のシリコン基板1上に形成されたP型不純物領域2に、受光部領域3と、転送チャネル領域4と、受光部領域3で光電変換によって発生された電荷を転送チャネル領域4に転送する読み出し領域5とが形成されている。そして、この転送チャネル領域4および読み出し領域5上に、シリコン酸化膜6およびシリコン窒化膜7を介して、リンがドープされた多結晶シリコン膜による転送電極8が選択的に形成されている。
【0005】
そして、上記転送電極8を含む全面に、例えばシリコン酸化膜による絶縁膜9がCVD(化学気相成長法)によって形成されており、さらに転送電極8の領域を覆うように、遮光膜として例えばTiWによる高融点金属10が選択的に形成されている。また、高融点金属10を含む全面に、BPSG(ボロ・ホスホ・シリケートグラス)膜11が形成され、このBPSG膜11上に、例えばAl‐Siによる配線用金属12が形成された後選択的に除去され(図7においては配線用金属12は除去されている)。そして、配線用金属12を含む全面に、例えばSiN膜による表面保護膜13がプラズマCVDによって形成されている。
【0006】
一方、上記無効画素領域Bにおける画素の構成は、図8に示すように、有効画素領域Aにおける画素の構成と略同じである。但し、受光部領域3への光入射を防ぐために、受光部領域3上を高融点金属10で覆うと共に、全面を配線用金属12で覆っている点において、有効画素領域Aとは異なる。尚、図7に対応するものについては同じ符号を付している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のCCDエリアセンサにおいては、以下のような問題がある。上記CCDエリアセンサの製造過程において一般に水素アニールが行われる。この水素アニールは、受光部領域3および転送チャネル領域4の界面準位を低減させ、暗時出力電圧を低減させるという効果がある。特に、有効画素領域Aにおいては、表面保護膜13は多くの水素を含み、この表面保護膜13からシリコン基板1側に多量の水素イオンが拡散されるために、暗時出力電圧を十分に低減することができるのである。
【0008】
ところが、上記無効画素領域Bにおいては、受光部領域3上には高融点金属10および配線用金属12が積層されているため、SiN膜から成る表面保護膜13からシリコン基板1側への水素イオンの拡散が十分に行われず、暗時出力電圧は有効画素領域A程には低減されないのである。
【0009】
上述のようなことから、上記有効画素領域Aと無効画素領域Bとにおいて黒レベルにずれが生じる。そして、信号処理は、無効画素領域Bにおける黒レベルを基準にして行われるために、基準レベルの黒が本来の基準レベルの黒よりも白側に浮いた状態で信号処理されることになり、階調の精度に問題が生ずることになる。
【0010】
そこで、この発明の目的は、有効画素領域と無効画素領域とで黒レベルに差の無い固体撮像装置およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1の発明は、同一基板上に形成された受光部,転送チャネル部および読み出し部を有すると共に、被写体の光情報を検出する有効画素領域と光学的黒を検出する無効画素領域とに分割されており、上記有効画素領域および無効画素領域における上記転送チャネル部上および読み出し部上を覆うと共に上記受光部上を開口するように配置された第1遮光膜と、上記有効画素領域および無効画素領域における上記第1遮光膜および受光部上に形成された層間絶縁膜と、少なくとも上記無効画素領域において上記層間絶縁膜上に形成されると共に上記受光部上を覆う一方上記受光部上以外の領域で開口するように配置された第2遮光膜と、上記有効画素領域および無効画素領域における上記層間絶縁膜および第2遮光膜上に形成されて全表面を覆う保護絶縁膜を備えて,上記第2遮光膜は配線用金属膜である固体撮像装置において、上記配線用金属膜は水素の通過をブロックする材料を含んで多層構造を成し、上記保護絶縁膜はSiN膜を含んで構成されており、上記保護絶縁膜から拡散した水素イオンによって上記有効画素領域および無効画素領域の界面準位が共に低減していることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、無効画素領域において、転送チャネル部および読み出し部上に形成された第1遮光膜は、上記受光部上に開口を有している。さらに、上記無効画素領域において、上記第1遮光膜上の第2遮光膜は、水素の通過をブロックする材料を含んで多層構造を成し、上記受光部上を覆う一方、上記受光部上以外の領域で開口している。したがって、上記第1遮光膜が水素イオンを透過し難い材質で形成されていても、水素アニール時に上記無効画素領域において、S i N膜を含んで構成された保護絶縁膜から基板側への水素イオンの拡散が上記各開口を介して十分に行われる。その結果、上記受光部および転送チャネル部の界面準位が低減される。
【0013】
さらに、上記配線用金属膜が上記第2遮光膜として機能するので、上記第1遮光膜に加えて、さらに第2遮光膜等を設ける必要がなく、固体撮像装置の薄型化と低価格化とが図られる。
【0014】
また、第2の発明は、同一基板上に形成された受光部 , 転送チャネル部および読み出し部を有すると共に , 被写体の光情報を検出する有効画素領域と光学的黒を検出する無効画素領域とに分割されている固体撮像装置の製造方法において、上記有効画素領域および無 効画素領域における上記転送チャネル部上および読み出し部上を覆うと共に , 上記受光部上を開口するように , 第1遮光膜を高融点金属によって形成する工程と、上記有効画素領域および無効画素領域における上記第1遮光膜および受光部上に層間絶縁膜を形成する工程と、少なくとも上記無効画素領域において , 上記層間絶縁膜上に , 上記受光部上 , 転送チャネル部上および読み出し部上を覆うように第2遮光膜を形成する工程と、上記有効画素領域および無効画素領域における上記層間絶縁膜および第2遮光膜上に全表面を覆うように保護絶縁膜を形成する工程と、水素アニールを行って上記保護絶縁膜から上記開口を介して上記基板への水素イオンの拡散を行い , 上記有効画素領域および無効画素領域の界面準位を共に低減させる工程を備えたことを特徴としている。
【0015】
記構成によれば、無効画素領域において、転送チャネル部および読み出し部上に形成された第1遮光膜は、上記受光部上に開口を有している。したがって、上記無効画素領域において、上記第1遮光膜上に配置されて上記受光部上,転送チャネル部上および読み出し部上を覆う第2遮光膜が水素イオンを透過し易い材料で形成されている場合には、上記第1遮光膜が水素イオンを透過し難い材質で形成されていても、水素アニール時に上記無効画素領域において保護絶縁膜から基板側への水素イオンの拡散が十分に行われ、上記受光部および転送チャネル部の界面準位が低減される。その結果、上記無効画素領域の黒レベルが、同様に上記第1遮光膜の受光部上に開口を有している有効画素領域の黒レベルと同程度になり差は生じない。
【0016】
また、第3の発明は、同一基板上に形成された受光部,転送チャネル部および読み出し部を有すると共に,被写体の光情報を検出する有効画素領域と光学的黒を検出する無効画素領域とに分割されている固体撮像装置の製造方法において、上記有効画素領域および無効画素領域における上記転送チャネル部上および読み出し部上を覆うと共に,上記受光部上を開口するよう , 1遮光膜を高融点金属によって形成する工程と、上記有効画素領域および無効画素領域における上記第1遮光膜および受光部上に層間絶縁膜を形成する工程と、少なくとも上記無効画素領域において,上記層間絶縁膜上 , 記受光部上を覆う一方,上記受光部上以外の領域で開口するように第2遮光膜を形成する工程と、上記有効画素領域および無効画素領域における上記層間絶縁膜および第2遮光膜上に全表面を覆うように保護絶縁膜を形成する工程と、水素アニールを行って上記保護絶縁膜から上記各開口を介して上記基板への水素イオンの拡散を行い , 上記有効画素領域および無効画素領域の界面準位を共に低減させる工程を備えたことを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、無効画素領域において、転送チャネル部および読み出し部上に形成された第1遮光膜は、上記受光部上に開口を有している。さらに、上記無効画素領域において、上記第1遮光膜上の第2遮光膜は、上記受光部上を覆う一方、上記受光部上以外の領域で開口している。したがって、上記第1遮光膜が水素イオンを透過し難い材質で形成され、尚且つ、上記第2遮光膜が水素イオンを透過し難い材質で形成されていても、水素アニール時に上記無効画素領域において保護絶縁膜から基板側への水素イオンの拡散が十分に行われる。その結果、上記受光部および転送チャネル部の界面準位が低減される。
【0018】
また、上記第2の発明あるいは第3の発明の固体撮像装置の製造方法は、上記第2遮光膜を配線用金属膜で成すことが望ましい。
【0019】
上記構成によれば、上記配線用金属膜が第2遮光膜として機能するので、上記第1遮光膜に加えて、さらに第2遮光膜等を設ける必要がなく、固体撮像装置の薄型化と低価格化とが図られる。
【0020】
また、上記第3の発明の固体撮像装置の製造方法は、上記第2遮光膜としての配線用金属膜を、TiあるいはTi合金を含む積層構造膜で形成することが望ましい。
【0021】
上記構成によれば、上記配線用金属膜がTiあるいはTi合金を含むバリアメタル及び反射防止膜の多層構造膜で形成されて画素の微細化が図られた場合でも、水素アニール時に上記無効画素領域における上記水素イオンの拡散が十分に行われる。その結果、上記受光部および転送チャネル部の界面準位が低減される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
<第1実施の形態>
図1は、本実施の形態の固体撮像装置としてのCCDエリアセンサにおける上述した有効画素領域Aの断面(図6におけるC‐C'矢視断面に相当)を示す。また、図2は、無効画素領域Bの断面(図6におけるC‐C'矢視断面に相当)を示す。図1及び図2において、21はN型半導体基板、22は第1P型不純物層、23は受光部領域、24は転送チャネル領域、25は読み出しゲート領域、26はゲート絶縁膜としてのシリコン酸化膜、27はゲート絶縁膜としてのシリコン窒化膜、28はポリシリコンゲート電極、29はポリシリコンゲート電極28を含む全面を覆うシリコン酸化膜、30はTiW膜で成る遮光膜、31は平坦化と絶縁用のBPSG等のシリコン酸化膜、32はAl‐Si膜で成る配線用金属膜、33はP‐SiN( プラズマ窒化珪素 )等のパッシベーション膜である。尚、受光部領域23および転送チャネル領域24は、第1P型不純物層22内に形成されている。
【0023】
上記構造を有するCCDエリアセンサは以下のようにして形成される。先ず、N型半導体基板21としてのN型シリコン基板の全面にボロンをイオン注入し、その後熱拡散を行って第1P型不純物層22としての第1P型ウエル層を形成する。次に、第1P型ウエル層22における転送チャネル領域24を形成する領域にフォトレジストを用いて窓明けを行い、ボロンおよびリンを順次イオン注入する。こうして、転送チャネル領域24を構成する第2P型不純物層(第2P型ウエル層)35およびN型不純物層36が形成される。上記フォトレジストを除去した後、次に、第1P型ウエル層22における転送チャネル領域24と受光部領域23との間の領域にフォトレジストを用いて窓明けを行い、ボロンをイオン注入してP型チャネルストップ層37を形成する。
【0024】
次に、上記フォトレジストを除去した後、熱酸化を行ってゲート絶縁膜としてのシリコン酸化膜26を形成し、CVDによってゲート絶縁膜としてのシリコン窒化膜27を形成する。さらに、CVDによってポリシリコン膜を堆積した後、POCl3を拡散源とした固相熱拡散法(POCl3法)によってリンをドープし、フォトレジストによってポリシリコンゲート電極28を形成する領域を覆い、反応性イオンエッチングによってリンドープポリシリコン膜およびシリコン窒化膜27を除去してポリシリコンゲート電極28を形成する。
【0025】
通常、CCDエリアセンサにおいては、上記ポリシリコンゲート電極28を2層構造もしくは3層構造にする。その場合には、フォトレジスト除去後、1層目のポリシリコンゲート電極と2層目のポリシリコンゲート電極との間を絶縁するために、熱酸化によって1層目のポリシリコンゲート電極上に層間酸化膜を形成し、1層目のポリシリコンゲート電極と同様にして2層目のポリシリコンゲート電極を形成する。3層目のポリシリコンゲート電極を形成する場合も、同様にして、再度層間酸化膜およびポリシリコンゲート電極を形成する。
【0026】
次に、上記第1P型ウエル層22における受光部領域23を形成する領域にフォトレジストを用いて窓明けを行い、リンおよびボロンを順次イオン注入する。こうして、受光部領域23を構成するN型不純物層38および受光部表面のP型正孔蓄積層39が形成される。そうした後、上記フォトレジストを除去する。
【0027】
次に、上記ポリシリコンゲート電極28と後に形成する遮光膜30との間を絶縁するためにCVDによってシリコン酸化膜29を形成し、さらに遮光膜30として高融点金属TiWをスパッタによって堆積する。その後、フォトレジストを形成して有効画素領域Aおよび無効画素領域Bの両方における受光部領域23上を開口し、反応性イオンエッチングによって受光部領域23上の高融点金属TiWを除去して開口部40を形成する。
【0028】
次に、平坦化のためにCVDによってBPSG膜(シリコン酸化膜)31を堆積する。さらに、配線用金属膜32を形成するためにスパッタによってAl‐Si膜を堆積し、フォトレジストによって無効画素領域Bを覆う一方、有効画素領域A上のフォトレジストは除去もしくは受光部領域23上を開口(図1の場合は上記フォトレジストは除去される)し、反応性イオンエッチングによって不要なAl‐Si膜を除去して配線用金属膜32を形成する。最後に、パッシベーション膜33としてP‐SiN膜をプラズマCVDによって堆積させ、シンター処理を行って本実施の形態のCCDエリアセンサが完成する。
【0029】
上述のようにして形成されたCCDエリアセンサにおいては、図2に示すように、上記無効画素領域Bにおける受光部領域23上で、遮光膜30に開口部40が設けられている。したがって、遮光膜30が高融点金属TiW等の水素イオンを透過し難い材質で形成されていても、後の水素アニール工程においてP‐SiN膜から成るパッシベーション膜33からシリコン基板21側への水素イオンの拡散が十分に行われ、受光部領域23及び転送チャネル領域24の界面準位が低減される。したがって、図3に示すように、無効画素領域Bの暗時出力電圧が、有効画素領域Aの暗時出力電圧と同程度にまで低減されるのである。
【0030】
すなわち、本実施の形態によれば、上記有効画素領域Aと無効画素領域Bとで黒レベルに差が生ずることが無く、暗時および低照度撮像時における黒レベルの安定化を図ることができるのである。
【0031】
<第2実施の形態>
上記第1実施の形態においては、図2に示すように、無効画素領域Bにおける受光部領域23上の遮光膜30には開口部40が設けられてはいるものの、全体が配線用金属膜32で覆われている。したがって、配線用金属膜32が、バリアメタルあるいは反射防止膜として使用されるTiN膜を含む多層膜等の水素イオンを透過し難い材質で形成されている場合には、上記水素イオンの拡散が妨げられる。本実施の形態は、このような場合に対処するものである。
【0032】
図4は、本実施の形態のCCDエリアセンサにおける上記有効画素領域Aの断面(図6におけるC‐C'矢視断面に相当)を示す。また、図5は、無効画素領域Bの断面(図6におけるC‐C'矢視断面に相当)を示す。図4および図5において、51はN型半導体基板、52は第1P型不純物層、53は受光部領域、54は転送チャネル部、55は読み出しゲート領域、56はゲート絶縁膜としてのシリコン酸化膜、57はゲート絶縁膜としてのシリコン窒化膜、58はポリシリコンゲート電極、59はポリシリコンゲート電極58を含む全面を覆うシリコン酸化膜、60はTiWで成る遮光膜、61は平坦化と絶縁用のBPSG等のシリコン酸化膜、62はTiN/Al‐Cu/TiN膜等のバリアメタルと反射防止膜との多層構造で成る配線用金属、63はP‐SiN等のパッシベーション膜である。ここで、受光部領域53および転送チャネル領域54は、第1P型不純物層52内に形成されている。
【0033】
上記構造を有するCCDエリアセンサは以下のようにして形成される。先ず、N型半導体基板51としてのN型シリコン基板の全面にボロンをイオン注入し、その後熱拡散を行って第1P型不純物層52としての第1P型ウエル層を形成する。次に、第1P型ウエル層52における転送チャネル領域54を形成する領域にフォトレジストを用いて窓明けを行い、ボロンおよびリンを順次イオン注入する。こうして、転送チャネル領域54を構成する第2P型不純物層(第2P型ウエル層)65およびN型不純物層66が形成される。上記フォトレジストを除去した後、次に、第1P型ウエル層52における転送チャネル領域54と受光部領域53との間の領域にフォトレジストを用いて窓明けを行い、ボロンをイオン注入してP型チャネルストップ層67を形成する。
【0034】
次に、上記フォトレジストを除去した後、熱酸化を行ってゲート絶縁膜としてのシリコン酸化膜56を形成し、CVDによってゲート絶縁膜としてのシリコン窒化膜57を形成する。さらに、CVDによってポリシリコン膜を堆積した後、POCl3法によってリンをドープし、フォトレジストによってポリシリコンゲート電極58を形成する領域を覆い、反応性イオンエッチングによってリンドープポリシリコン膜およびシリコン窒化膜57を除去してポリシリコンゲート電極58を形成する。尚、第1実施の形態の場合と同様に、上記ポリシリコンゲート電極58を多層構造にする場合は、以後、フォトレジスト除去、熱酸化による層間酸化膜の形成、次層のポリシリコンゲート電極の形成を繰り返す。
【0035】
次に、上記第1P型ウエル層52における受光部領域53を形成する領域にフォトレジストを用いて窓明けを行い、リンおよびボロンを順次イオン注入する。こうして、受光部領域53を構成するN型不純物層68および受光部表面のP型正孔蓄積層69が形成される。そうした後、上記フォトレジストを除去する。
【0036】
次に、上記ポリシリコンゲート電極58と後に形成する遮光膜60との間を絶縁するためにCVDによってシリコン酸化膜59を形成し、さらに遮光膜60として高融点金属TiWをスパッタによって堆積する。その後、フォトレジストを形成して有効画素領域Aおよび無効画素領域Bの両方における受光部領域53上を開口し、反応性イオンエッチングによって受光部領域53上の高融点金属TiWを除去して開口部70を形成する。
【0037】
次に、平坦化のためにCVDによってBPSG膜(シリコン酸化膜)61を堆積する。さらに、配線用金属膜62を形成するためにスパッタによってTiN/Al‐Cu/TiN膜を堆積する。そして、全面にフォトレジストを堆積し、無効画素領域Bにおける開口部70の直上以外の領域を開口する一方、有効画素領域Aにおいては除去または受光部領域53上を開口(図4の場合は上記フォトレジストは除去される)し、反応性イオンエッチングによって不要なTiN/Al‐Cu/TiN膜を除去して配線用金属膜62を形成する。
【0038】
こうして、本実施の形態の上記無効画素領域Bにおいては、配線用金属膜62における開口部70の直上以外の領域に、開口部71を形成するのである。CCDエリアセンサにおける画素の微細化が進むにつれて、配線用金属膜は多層構造にする場合が多くなっている。そして、バリアメタル及び反射防止膜を構成するTiNは、次工程の水素アニールにおいて水素イオンの拡散を阻害することになる。そこで、上述のように、配線用金属膜62における受光部領域53上以外の個所に開口部71を設けることによって、受光部領域53に対する光入射を阻止しつつ、上記水素アニール時の水素イオンの拡散を促すことができるのである。
【0039】
最後に、上記パッシベーション膜63としてP‐SiN膜をプラズマCVDによって堆積させ、シンター処理を行って本実施の形態のCCDエリアセンサが完成する。
【0040】
上述のようにして形成されたCCDエリアセンサにおいては、図5に示すように、上記無効画素領域Bにおける受光部領域53上では、遮光膜60に開口部70が設けられている。さらに、この開口部70の直上以外の領域における配線用金属膜62にも開口部71が設けられている。したがって、遮光膜30が高融点金属TiW等の水素イオンを透過し難い材質で形成され、且つ、配線用金属膜62がバリアメタルあるいは反射防止膜で使用されるTiN膜を含む多層膜の如く水素イオンを透過し難い材質で形成されていても、後の水素アニール工程においてP‐SiN膜から成るパッシベーション膜63からシリコン基板51側への水素イオンの拡散が十分に行われ、受光部領域53及び転送チャネル領域54の界面準位が低減される。したがって、図3に示すように、無効画素領域Bの暗時出力電圧が、有効画素領域Aの暗時出力電圧と同程度にまで低減されるのである。
【0041】
すなわち、本実施の形態によれば、上記有効画素領域Aと無効画素領域Bとで黒レベルに差が生ずることが無く、暗時および低照度撮像時における黒レベルの安定化を図ることができるのである。
【0042】
尚、上記各実施の形態における配線用金属膜32,62は、必ずしも配線用の金属膜である必要は無い。また、上記各実施の形態におけるCCDエリアセンサの製造方法はほんの一例に過ぎず、形成手順や使用材料や成膜方法等は上述したものに限定されるものではない。
【0043】
【発明の効果】
以上より明らかなように、第1の発明の固体撮像装置は、第1遮光膜を、有効画素領域および無効画素領域の両領域において、受光部上は開口し、転送チャネル部上および読み出し部上は覆うように成し、第2遮光膜を、上記無効画素領域において、上記受光部上は覆う一方この受光部上以外の領域で開口するように成すと共に、上記第2遮光膜をT i N膜でなる水素の通過をブロックする材料を含んで多層構造に成したので、上記第1遮光膜および第2遮光膜が水素イオンを透過し難い材質で形成されていても、水素アニール時に上記無効画素領域における保護絶縁膜から基板側への水素イオンの拡散を上記各開口を介して十分に行うことができる。
【0044】
したがって、上記無効画素領域における上記受光部と転送チャネル部との界面準位を低減することができ、上記有効画素領域と無効画素領域との暗時出力電圧を同程度にして上記両領域の黒レベル差を無くすことができる。すなわち、この発明によれば、暗時および低照度撮像時における黒レベルの安定化を図ることができるのである。
【0045】
さらに、上記第2遮光膜は配線用金属膜で構成されているので、上記配線用金属膜を第2遮光膜として機能させることができる。したがって、上記第1遮光膜に加えて、さらに第2遮光膜等を設ける必要がなく、固体撮像装置の薄型化と低価格化とを図ることができる。
【0046】
また、第2の発明の固体撮像装置の製造方法は、第1遮光膜を、有効画素領域および無効画素領域の両領域において、受光部上は開口する一方転送チャネル部上および読み出し部上は覆うように高融点金属で形成し、水素アニールを行って保護絶縁膜から上記開口を介して基板側への水素イオンの拡散を行って上記有効画素領域および無効画素領域の界面準位を共に低減させるので、上記第1遮光膜が水素イオンを透過し難い材質で形成されていても、上記水素アニール時における水素イオンの拡散を十分に行うことができる。
【0047】
したがって、上記無効画素領域における上記受光部と転送チャネル部との界面準位を低減することができ、上記有効画素領域と無効画素領域との暗時出力電圧を同程度にして上記両領域の黒レベル差を無くすことができる。すなわち、この発明によれば、暗時および低照度撮像時における黒レベルの安定化を図ることができるのである。
【0048】
その際に、上記無効画素領域における第2遮光膜は上記受光部上を覆っているので、上記無効画素領域の受光部への入射光を確実に遮ることができる。
【0049】
また、第3の発明は、上記第2の発明の構成に加えて、上記無効画素領域における第2遮光膜を、上記受光部上は覆う一方、この受光部上以外の領域で開口するように形成したので、上記第1遮光膜および第2遮光膜の両方が水素イオンを透過し難い材質で形成されていても、水素アニール時に上記無効画素領域における保護絶縁膜から基板側への水素イオンの拡散を十分に行うことができる。
【0050】
したがって、上記第2の発明の場合と同様に、上記有効画素領域と無効画素領域との黒レベル差を無くすことができ、暗時および低照度撮像時における黒レベルの安定化を図ることができるのである。
【0051】
また、上記第2の発明あるいは第3の発明の固体撮像装置の製造方法は、上記第2遮光膜を配線用金属膜で構成すれば、上記配線用金属膜を第2遮光膜として機能させることができる。したがって、上記第1遮光膜に加えて、さらに第2遮光膜等を設ける必要がなく、固体撮像装置の薄型化と低価格化とを図ることができる。
【0052】
また、上記第3の発明の固体撮像装置の製造方法は、上記第2遮光膜としての配線用金属膜をTiまたはTi合金を含む積層構造膜で形成すれば、上記配線用金属膜をTiを用いたバリアメタルおよび反射防止膜の多層構造膜で形成して画素の微細化を図る場合でも、水素アニール時に上記無効画素領域における上記水素イオンの拡散を十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の固体撮像装置としてのCCDエリアセンサにおける有効画素領域の断面図である。
【図2】図1に対応する無効画素領域の断面図である。
【図3】有効,無効画素領域における暗時出力電圧の従来との比較図である。
【図4】図1とは異なるCCDエリアセンサにおける有効画素領域の断面図である。
【図5】図4に対応する無効画素領域の断面図である。
【図6】CCDエリアセンサにおける有効画素領域と無効画素領域との説明図である。
【図7】従来のCCDエリアセンサにおける有効画素領域での断面図である。
【図8】図7に対応する無効画素領域での断面図である。
【符号の説明】21,51…N型半導体基板、
22,52…第1P型不純物層(第1P型ウエル層)、
23,53…受光部領域、
24,54…転送チャネル領域、
25,55…読み出しゲート領域、
26,56…シリコン酸化膜(ゲート絶縁膜)、
27,57…シリコン窒化膜(ゲート絶縁膜)、
28,58…ポリシリコンゲート電極、
29,59…シリコン酸化膜、
30,60…遮光膜、
31,61…BPSG膜、
32,62…配線用金属膜、
33,63…パッシベーション膜、
35,65…第2P型不純物層(第2P型ウエル層)、
36,38,66,68…N型不純物層、
37,67…P型チャネルストップ層、
39,69…P型正孔蓄積層、
40,70,71…開口部。

Claims (9)

  1. 同一基板上に形成された受光部,転送チャネル部および読み出し部を有すると共に、被写体の光情報を検出する有効画素領域と光学的黒を検出する無効画素領域とに分割されており、上記有効画素領域および無効画素領域における上記転送チャネル部上および読み出し部上を覆うと共に上記受光部上を開口するように配置された第1遮光膜と、上記有効画素領域および無効画素領域における上記第1遮光膜および受光部上に形成された層間絶縁膜と、少なくとも上記無効画素領域において上記層間絶縁膜上に形成されると共に上記受光部上を覆う一方上記受光部上以外の領域で開口するように配置された第2遮光膜と、上記有効画素領域および無効画素領域における上記層間絶縁膜および第2遮光膜上に形成されて全表面を覆う保護絶縁膜を備えて、上記第2遮光膜は配線用金属膜である固体撮像装置において、
    上記配線用金属膜は、水素の通過をブロックする材料を含んで多層構造を成し、
    上記保護絶縁膜は、SiN膜を含んで構成されており、
    上記保護絶縁膜から拡散した水素イオンによって、上記有効画素領域および無効画素領域の界面準位が共に低減している
    ことを特徴とする固体撮像装置。
  2. 請求項1に記載の固体撮像装置において、
    上記配線用金属膜は、TiNを含んで構成されていることを特徴とする固体撮像装置。
  3. 請求項2に記載の固体撮像装置において、
    上記配線用金属膜は、TiNとAl‐CuとTiNとを含んで構成されていることを特徴とする固体撮像装置。
  4. 同一基板上に形成された受光部,転送チャネル部および読み出し部を有すると共に、被写体の光情報を検出する有効画素領域と光学的黒を検出する無効画素領域とに分割されている固体撮像装置の製造方法において、
    上記有効画素領域および無効画素領域における上記転送チャネル部上および読み出し部上を覆うと共に、上記受光部上を開口するように、第1遮光膜を高融点金属によって形成する工程と、
    上記有効画素領域および無効画素領域における上記第1遮光膜および受光部上に層間絶縁膜を形成する工程と、
    少なくとも上記無効画素領域において、上記層間絶縁膜上に、上記受光部上,転送チャネル部上および読み出し部上を覆うように第2遮光膜を形成する工程と、
    上記有効画素領域および無効画素領域における上記層間絶縁膜および第2遮光膜上に全表面を覆うように保護絶縁膜を形成する工程と、
    水素アニールを行って上記保護絶縁膜から上記開口を介して上記基板への水素イオンの拡散を行い、上記有効画素領域および無効画素領域の界面準位を共に低減させる工程
    を備えたことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
  5. 同一基板上に形成された受光部,転送チャネル部および読み出し部を有すると共に、被写体の光情報を検出する有効画素領域と光学的黒を検出する無効画素領域とに分割されている固体撮像装置の製造方法において、
    上記有効画素領域および無効画素領域における上記転送チャネル部上および読み出し部上を覆うと共に、上記受光部上を開口するように、第1遮光膜を高融点金属によって形成する工程と、
    上記有効画素領域および無効画素領域における上記第1遮光膜および受光部上に層間絶縁膜を形成する工程と、
    少なくとも上記無効画素領域において、上記層間絶縁膜上に、上記受光部上を覆う一方、上記受光部上以外の領域で開口するように第2遮光膜を形成する工程と、
    上記有効画素領域および無効画素領域における上記層間絶縁膜および第2遮光膜上に全表面を覆うように保護絶縁膜を形成する工程と、
    水素アニールを行って上記保護絶縁膜から上記各開口を介して上記基板への水素イオンの拡散を行い、上記有効画素領域および無効画素領域の界面準位を共に低減させる工程
    を備えたことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
  6. 請求項4に記載の固体撮像装置の製造方法において、
    上記第2遮光膜を、配線用金属膜とすることを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
  7. 請求項5に記載の固体撮像装置の製造方法において、
    上記第2遮光膜を、配線用金属膜とすることを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
  8. 請求項7に記載の固体撮像装置の製造方法において、
    上記配線用金属膜を、水素の通過をブロックする材料で形成することを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
  9. 請求項8に記載の固体撮像装置の製造方法において、
    上記配線用金属膜を、TiあるいはTi合金を含む積層構造膜で形成することを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
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