JP3540933B2 - 脱穀機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、刈取り穀稈の穂先側が脱穀搬送装置によって扱室の受網と扱胴との間を移送されて脱穀処理するように構成した脱穀機に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記脱穀機として、従来、扱室の受網がクリンプ網で成るものがあった。また、たとえば特開昭63‐248318号公報に示されるように、受網が合成樹脂網で成るものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
受網の目合いが小さいよりも大きい方が、脱穀粒が受網から漏下しやすくなり、脱穀負荷が低減するなどによって脱穀処理が能率よくできる。ところが、従来のクリンプ網の場合も、合成樹脂網の場合も、脱穀負荷に耐えられる必要な強度を備えさせると目合いが比較的小さいものになることから、脱穀処理能率をあまりアップできなった。また、穀稈が雨や露でぬれているなど、穀稈の水分が高い場合、受網に目詰まりが発生しやすくなっていた。
本発明の目的は、コンパクトでありながら、かつ、塵埃発生を抑制しながら能率よく脱穀処理できるとともに高水分時でも受網詰まりが発生しにくい脱穀機を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0005】
〔構成〕
刈取り穀稈の穂先側が脱穀搬送装置によって扱室の受網と扱胴との間を移送されて脱穀処理するように構成した脱穀機であって、
前記受網を、扱胴周方向に沿う縦桟部材の複数と、扱胴軸芯方向に沿う横桟部材の複数とが組み合って成る格子受網で構成し、
前記複数の横桟部材のうちの扱室奥側に位置して脱穀穀稈の穂先側を支持するする複数の穂先側横桟部材として、外径が大小異なる大径穂先側横桟部材と小径穂先側横桟部材を設け、
前記大径穂先側横桟部材の扱室内側端から扱胴軸芯までの距離を、前記複数の横桟部材のうちの前記各穂先側横桟部材よりも脱穀搬送装置側に位置する株元側横桟部材の扱室内側端から扱胴軸芯までの距離より小に設定し、
前記小径穂先側桟部材の扱室内側端から扱胴軸芯までの距離を、前記株元側横桟部材のその距離と同一に設定してある。
【0006】
〔作用〕
受網を格子受網とし、脱穀処理物が迅速に漏下しやすいように比較的大きな目合いを受網に備えさせながら、その目合いの大きさの割りには優れた受網強度を発揮させるものである。
【0007】
脱穀対象穀稈の穂先側に前記穂先側横桟部材が対応することにより、その穂先側が穂先側横桟部材に支持されて扱胴による扱き作用が受けやすい状態で、株元側が株元側横桟部材で支持されて扱胴による扱き作用を抑制した状態で脱穀処理されるものである。すなわち、穂先側も株元側も扱胴軸芯までの距離が長い横桟部材で支持されるものに比し、穂先側に扱き作用が及びやすくなり、脱穀不足を発生しにくくしながら脱穀処理できる。穂先側も株元側も扱胴軸芯までの距離が短い横桟部材で支持されるものに比し、扱胴の株元側に対する扱き作用が軽減し、切れワラなどを発生しにくくしながら脱穀処理できる。
これにより、扱室に比較的多くの穀稈を供給しても、穀稈水分が比較的高くても、穀稈供給量の割りには面積の小さい受網で脱穀処理物を詰まりが発生しにくい状態で迅速に漏下させながら、かつ、塵埃や脱穀不足の発生を抑制しながら脱穀処理できる。
【0008】
〔効果〕
刈取り穀稈の穂先側を脱穀搬送装置によって扱室に供給して損傷穀粒を少なく抑制しながら脱穀処理できるものを、穀稈を水分が高くても扱室に迅速に供給したり多量に供給したりして能率よく脱穀処理できるとともに、脱穀不足や脱穀塵埃が発生しにくい状態に得られる。
しかも、脱穀部を小型化し、運転しやすいとか取扱いやすいコンバインを構成でるなど大きさの面で有利なものにできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、脱穀フィードチェーンで成る脱穀搬送装置1によって刈取り穀稈の株元側を挟持して搬送させることによって、その刈取り穀稈の穂先側を扱室2に供給するとともに脱穀機前後向きの軸芯3aまわりで回動する扱胴3と受網20との間を移送させて脱穀処理し、脱穀排ワラを脱穀搬送装置1によって扱室2の後部の排稈口4から搬出するとともに排ワラ搬送チェーン5によって脱穀機後部の排出口から脱穀機外に排出するように脱穀部を構成してある。前記排稈口4から排出される切れワラなどの脱穀塵埃を揺動選別装置6が一体揺動自在に支持する移送体7によって機体後方側に移送させながら脱穀機横向きの軸芯まわりで回動する処理胴8によってほぐし処理し、脱穀塵埃から穀粒を取り出すように再処理部を構成してある。前記扱室2の下方に前端側が位置する前記揺動選別装置6、この揺動選別装置6の前端部の下方に位置する回転ファン11aを有する第1送風装置11、この第1送風装置11の機体後方側に位置する第2送風装置12、揺動選別装置6の後端部の下方に位置する回転ファン13aを有する第3送風装置13などを備え、扱室2から受網20を漏下して落下供給される脱穀処理物、及び、再処理部から落下する処理物を揺動選別装置6によって受け止めて扱胴軸芯に沿う方向で機体後方側に搬送しながら選別処理するとともに各送風装置11,12,13からの選別風を作用させて風選別処理し、選別塵埃を選別風と共に排塵口14から脱穀機外に排出したり、排塵ファン15によって吸引して脱穀機外に排出するように選別部を構成してある。揺動選別装置6からの1番処理物を脱穀機横外側に搬出する1番スクリューコンベア16、揺動選別装置6からの2番処理物を脱穀機横外側に搬出する2番スクリューコンベア17を前記選別部の底部に設けるとともに、2番スクリューコンベア17からの処理物をスクリューコンベアで成る還元装置18によって脱穀機横外側で扱室後付近に揚送して脱穀機内に放出することによって受網20と脱穀機横側壁との間を通して揺動選別装置6の前端側に還元するように構成し、もって、コンバイン用の脱穀機を構成してある。
【0018】
前記揺動選別装置6の選別枠6aを、この選別枠6aの前端側に連結するガイド装置19aと、選別枠6aの後端側に連結する駆動装置19bとによって脱穀機体の左右横側壁にわたって駆動揺動自在に支持させ、この選別枠内の上部に扱胴軸芯に沿う方向に並んで位置するグレンパン6bとチャフシーブ6cとストローラック6d、並びに、チャフシーブ6cの下方に位置するグレンシーブ6eなどを前記選別枠体6aに一体揺動自在に支持させて、前記揺動選別装置6を構成してある。すなわち、扱室2の前側から受網20を漏下した脱穀処理物をグレンパン6bによって受け止めて機体後方側に移送しながら穀粒と塵埃とに粗選別処理し、グレンパン6bからの処理物をチャフシーブ6cによって受け継いで機体後方に移送しながら穀粒と塵埃とに精選別処理し、チャフシーブ6cを漏下した処理物をグレンシーブ6eによってさらに精選別処理し、グレンシーブ6eからの1番選別処理物を1番スクリューコンベア16に、2番選別処理物を2番スクリューコンベア17にそれぞれ落下供給する。チャフシーブ6c及び前記再処理部からの処理物を穀粒と切れワラなどの塵埃とに選別し、穀粒を2番スクリューコンベア17に落下供給し、塵埃を前記排塵口14から機体外に放出する。
【0019】
第1送風装置11は、前記グレンパン6bの下方近くに位置する前記回転ファン11aと、この回転ファン11aの前側に吸気口11bを、回転ファン11aの後側の前記第2送風装置12の上側に排気口11cをそれぞれ形成するファンケースとで成り、回転ファン11aによって選別部の前端側から吸気し、排気口11cから選別風を第2送風装置12の上方を通って選別枠6aを下側から上側に吹き抜けるように供給してグレンパン6bとチャフシーブ6cの間の選別作用部、及び、チャフシーブ6cの前端側による選別作用部に供給し、この選別作用部の処理物に作用させるように構成してある。すなわち、揺動選別装置6のグレンパン6bからの粗選別処理物に選別風を作用させるようにしてある。
【0020】
第2送風装置12は、回転羽根12aを有する唐箕で成り、選別風を選別枠6aを下側から上側に吹き抜けるように供給してチャフシーブ6c及びグレンシーブ6eの下方の風選経路部、チャフシーブ6cの後端部による選別作用部、ストローラック6dによる選別作用部に供給し、これら風選経路部と選別作用部の処理物に作用させるように構成してある。すなわち、揺動選別装置6のチャフシーブ6cとグレンシーブ6eとによる精選別処理物、及び、ストローラック6dによる選別処理物に選別風を作用させるようにしてある。
【0021】
第3送風装置13は、1番スクリューコンベア16と2番スクリューコンベア17との間に位置する前記回転ファン13aと、この回転ファン13aの下側に吸気口13bを、回転ファン13aの上側に排気口13cをそれぞれ形成するファンケースとで成り、回転ファン13aによって脱穀機の下方から吸気し、排気口13cから選別風を第2スクリューコンベア17の上方を通して選別枠6aを下側から上側に吹き抜けるように供給してストローラック13による選別作用部に供給し、この選別作用部による選別処理物に作用させるように構成してある。
【0022】
図3,図4及び図5などに示すように、前記受網20は、扱胴3の周方向に沿うように扱胴軸芯3aに沿う方向視で円弧形状に形成し、かつ、板厚方向が扱胴軸芯方向で横幅方向が扱胴半径方向に沿うように形成した帯板金で成る縦桟部材23の複数本と、扱胴軸芯3aに沿う方向の直線状の丸棒鋼材で成る第1横桟部材24a,24bの2本と、扱胴軸芯3aに沿うとともに第1横桟部材24a,24bよりも富んだ弾性を有するように、かつ、第1横桟部材24a,24bの横断面積よりも小さい横断面積を備えるように第1横桟部材24a,24bを形成する丸棒鋼材よりも小さい外径の直線状の丸鋼線材で成る第2横桟部材25a,25bの複数本と、扱胴軸芯3aに沿う方向の帯板金で成る2本の枠体21,22とを次の如く組み合わせて作成してある。
【0023】
複数本の縦桟部材23が扱胴軸芯3aに沿う方向に所定の縦桟部材間隔を隔てて並列し、第1横桟部材24a,24bと第2横桟部材25a,25bとが扱胴周方向に沿う方向に所定の横桟部材間隔を隔てて並列し、第1横桟部材24a,24bどうしの間と、一方の第1横桟部材24bよりも扱室奥側と、他方の第1横桟部材24aよりも脱穀搬送装置側とのそれぞれに複数本の第2横桟部材25a,25bが位置する格子状態に組み合わせてある。また、第1横桟部材24a,24bの中間部も、第2横桟部材25a,25bの中間部も複数本の縦桟部材23のうちの最も分割格子受網前端側に位置する縦桟部材23と、最も分割格子受網後端側に位置する縦桟部材23との両端縦桟部材23,23を除く縦桟部材23の貫通孔で成る桟孔を通り、前記両端縦桟部材23,23が全ての横桟部材24a,24b,25a,25bの端部どうしを連結し、前記枠体21,22が全ての縦桟部材23の端部どうしを連結する格子状態にしてある。
【0024】
つまり、受網20は、複数本の縦桟部材23と、複数本の横桟部材24a,24b,25a,25bとが扱胴3の周方向及び軸芯方向に並ぶ穀粒漏下用の目合を形成するように、かつ、全ての目合いの大きさが同一又はほぼ同一になるように格子状態に組み合った格子受網になっている。さらに、前記第1横桟部材24a,24b及び第2横桟部材25a,25bのうちの扱胴軸芯3aの直下付近から扱室2の奥側に位置する全ての横桟部材24b,25bが穂先側横桟部材となって穂先側横桟部材群Aを形成し、この穂先側横桟部材群Aよりも脱穀搬送装置1が存在する方に位置する全ての横桟部材24a,25aが株元側横桟部材になる格子受網になっており、脱穀搬送装置1によって扱室2に供給される刈取り穀稈を、軸芯3aまわりで回動する扱胴3との共働によって脱穀する。すなわち、扱室2に供給される脱穀対象穀稈の穂先部を穂先側横桟部材群Aのうちの穂先部に対接する一部の穂先側横桟部材24b,25bによって受け止め支持しながら、扱室2に供給される脱穀対象穀稈の株元側を前記穂先側横桟部材群Aよりも脱穀搬送装置側に位置する株元側横桟部材24a,25aによって受け止め支持しながら、扱胴3を穀稈に扱き作用させる。穀稈から離脱した穀粒などの脱穀処理物を前記目合いから漏下させて揺動選別装置6に供給する。
【0025】
前記穂先側横桟部材群Aを形成している第1横桟部材24b以外の全ての第2横桟部材25bも、前記株元側横桟部材を形成している第1横桟部材24aも第2横桟部材25aも、これら横桟部材24b,25a,25bそれぞれの扱室内側端が扱胴軸芯3aを中心とする仮想円S1の線上に位置するように、穂先側横桟部材群Aを形成している1本の第1横桟部材24bは、これの扱室内側端が前記仮想円S1よりも扱胴側に入り込んで位置するように、各横桟部材24a,24b,25a,25bを組み付けてある。これにより、穂先側横桟部材群Aを形成する複数本の横桟部材24b,25bのうちの1本の穂先側横桟部材24bのみの扱室内側端から扱胴軸芯3aまでの距離D1が、穂先側横桟部材群Aよりも脱穀搬送装置1の方に位置する株元側横桟部材24a,25aの扱室内側端から扱胴軸芯3aまでの距離D2よりも短くなっており、脱穀対象穀稈の穂先側を穂先側横桟部材24bで支持されて扱胴3による扱き作用が受けやすい状態にして、株元側を株元側横桟部材24a,25aで支持されて扱胴3による扱き作用が抑制される状態にして脱穀処理できる。
【0026】
前記受網20は、図3及び図4に示す取付け構造に基づいて脱穀部に取り付けるように構成してある。
すなわち、扱室2の前側壁30の内面側に前受網ガイド31を、扱室2の後側壁32の内面側に後受網ガイド33をそれぞれ支持させ、前受網ガイド31と後受網ガイド33と下舌板36とにわたって受網20を受け止め支持させるようにしてある。
つまり、受網20の複数本の縦桟部材23のうちの最も受網前端側に位置する縦桟部材23を、前記前受網ガイド31の扱胴周方向に沿う一連の受網支持部に載せて受け止め支持させる。受網20の複数本の縦桟部材23のうちの最も受網後端側に位置する縦桟部材23を、前記後受網ガイド33の扱胴周方向に沿う一連の受網支持部に載せて受け止め支持させる。複数本の縦桟部材23のうちの一部の縦桟部材23の株元側端部の下端側に備えさせてある載置突起23cを、下舌板36の傾斜板部の内面側に載せて受け止め支持させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱穀機全体の縦断側面図
【図2】脱穀部の横断正面図
【図3】脱穀機の一部の縦断側面図
【図4】格子受網の断面図
【図5】格子受網の平面図
【図6】格子受網の一部の断面図
【符号の説明】
1 脱穀搬送装置
2 扱室
3 扱胴
3a 扱胴軸芯
20 受網
23 縦桟部材
24a,25a 株元側横桟部材
24b,25b 穂先側横桟部材
D1 穂先側横桟部材から扱胴軸芯までの距離
D2 株元側横桟部材から扱胴軸芯までの距離
Claims (1)
- 刈取り穀稈の穂先側が脱穀搬送装置によって扱室の受網と扱胴との間を移送されて脱穀処理するように構成した脱穀機であって、
前記受網を、扱胴周方向に沿う縦桟部材の複数と、扱胴軸芯方向に沿う横桟部材の複数とが組み合って成る格子受網で構成し、
前記複数の横桟部材のうちの扱室奥側に位置して脱穀穀稈の穂先側を支持するする複数の穂先側横桟部材として、外径が大小異なる大径穂先側横桟部材と小径穂先側横桟部材を設け、
前記大径穂先側横桟部材の扱室内側端から扱胴軸芯までの距離を、前記複数の横桟部材のうちの前記各穂先側横桟部材よりも脱穀搬送装置側に位置する株元側横桟部材の扱室内側端から扱胴軸芯までの距離より小に設定し、
前記小径穂先側桟部材の扱室内側端から扱胴軸芯までの距離を、前記株元側横桟部材のその距離と同一に設定してある脱穀機。
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1998
- 1998-03-25 JP JP07791698A patent/JP3540933B2/ja not_active Expired - Fee Related
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