JP3539303B2 - 蒸発燃料パージシステムの故障診断装置 - Google Patents

蒸発燃料パージシステムの故障診断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンクに発生した燃料蒸気を内燃機関の吸気系へパージして処理する蒸発燃料パージシステムの故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、車両に搭載される蒸発燃料パージシステムでは、燃料タンクに発生する燃料蒸気をベーパ通路を通じてキャニスタ内に導入し、同キャニスタによって捕集するとともに、その捕集された燃料蒸気を適宜キャニスタからパージ通路を通じて吸気通路に排出する(パージする)ようにしている。
【0003】
また、こうした蒸発燃料パージシステムの故障、すなわち燃料蒸気経路(燃料タンク、ベーパ通路、キャニスタ、並びにパージ通路により構成される)の穴開き等に起因する漏れを診断するための装置もよく知られている。そして、同装置の多くは、例えば吸気通路内の負圧をパージ通路を通じて燃料蒸気経路内に導入した後、一旦これを密閉し、その後の同経路内における圧力上昇速度が所定値より大きいときに上記故障が発生していると診断するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料タンク内の燃料温度は、車両走行に伴なって発生する走行風の影響を受けて変動する傾向がある。
【0005】
例えば、車両が停止した直後においては、走行風による燃料タンクの冷却が停止されるとともに、内燃機関の排気系や路面からの熱により燃料タンクが熱せられるようになるため、燃料タンク内の燃料温度は上昇するようになる。
【0006】
また一方、車両が発進した直後においては、排気系や路面からの熱によって熱せられていた燃料タンクが走行風によって冷却されるようになるため、燃料タンク内の燃料温度は低下するようになる。
【0007】
また、このように走行風の影響を受けて燃料タンク内の燃料温度が変化すると、同燃料タンク内の圧力(タンク内圧)もその温度変化に伴なって変化するようになる。そして、こうしたタンク内圧の変化が上記故障診断中に発生することがあると、燃料蒸気経路の圧力が同経路の漏れの有無とは無関係に変動するようになるため、その診断精度の悪化を招くこととなる。
【0008】
なお従来、特開平8−296509号公報にみられるように、車両の走行速度の変動が大きい場合や同速度が所定速度以上である場合に、故障診断を禁止するようにした診断装置もあるが、これは燃料タンク内における燃料の揺れに起因した誤診断を回避しようとするものでしかない。即ち、こうした従来の装置では、例えば車両が停止しているときには、燃料の揺れがないものとして故障診断は許可されるようになる。しかしながら、このように燃料の揺れがない場合であっても、前述したように、車両が停止した直後においては、走行風による燃料タンクの冷却が停止されるのに伴って燃料温度が徐々に上昇し、それに伴ってタンク内圧も増大するため、こうしたタンク内圧の増大を燃料蒸気経路の漏れによるものと誤診断してしまうおそれがある。従って、上記従来の装置においても、走行風の影響により生じる診断精度の悪化はやはり避けきれないものとなっている。
【0009】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、走行風の影響によって生じるタンク内圧の変化に起因した誤診断を好適に回避して、高い診断精度を確保することのできる蒸発燃料パージシステムの故障診断装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。請求項1に記載の発明は、車両に搭載される蒸発燃料パージシステムの燃料蒸気経路内における圧力挙動に基づいて同経路の漏れ異常の有無を診断する蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、前記車両における所定の車速変化の有無を検出する検出手段と、前記所定の車速変化有りが検出されるときから所定期間が経過するまで前記診断を禁止する診断禁止手段とを備えるようにしている。
【0011】
こうした構成によれば、車速変化に伴って走行風の風量が変化し、この変化によって燃料蒸気経路内の圧力が変化する場合でも、その圧力変化の生じるタイミングに合わせて診断を禁止することができるため、こうした走行風の影響によって生じる燃料蒸気経路内の圧力変化に起因した誤診断を好適に回避して、高い診断精度を確保することができるようになる。また、車両の車速変化に伴って燃料タンク内の燃料が攪拌され、燃料蒸気経路内の圧力が変化する場合にあっても、こうしたタンク内圧の変化に起因する誤診断を回避することができるようになり、この点においても高い診断精度を確保することができる。
【0012】
また、このように車両における所定の車速変化の有無を検出する際には、請求項2に記載した発明のように、請求項1に記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、前記検出手段は、前記車両の走行速度が所定速度を上回ったとき及び下回ったときの少なくとも一方において前記所定の車速変化有りを検出するものである、といった構成を採用することができる。
【0013】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、前記診断禁止手段は、前記所定の車速変化に起因する前記燃料蒸気経路内の圧力変化が、同経路内の圧力挙動を前記漏れ異常有りのときの圧力挙動に近づけるものであるときには、同異常有りの診断のみを禁止するものであるとしている。
【0014】
また、請求項4に記載した発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、前記診断禁止手段は、前記所定の車速変化に起因する前記燃料蒸気経路内の圧力変化が、同経路内の圧力挙動を前記漏れ異常無しのときの圧力挙動に近づけるものであるときには、同異常無しの診断のみを禁止するものであるとしている。
【0015】
前記所定の車速変化に起因する燃料蒸気経路内の圧力変化により、同経路内の圧力挙動が漏れ異常有りのときの圧力挙動に近づくのにも拘わらず、漏れ異常が無い旨診断される場合、或いは、前記所定の車速変化に起因する燃料蒸気経路内の圧力変化により、同経路内の圧力挙動が漏れ異常無しのときの圧力挙動に近づくのにも拘わらず、漏れ異常が有る旨診断される場合にあっては、いずれもその診断結果の信頼性は高いものといえる。
【0016】
この点、上記請求項3又は請求項4に記載した各発明によれば、このように漏れ異常有りの診断及び漏れ異常無しの各診断のうち、車速が変化し、走行風の影響による燃料蒸気経路内の圧力変化が生じた場合であっても、その診断結果の信頼性が確保される診断については実行されるようになる。従って、診断精度の悪化を招くことなく診断の実行頻度を増大させることができ、より早期に故障診断を完了することができるようになる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、前記診断禁止手段は、前記検出手段により前記所定の車速変化有りが所定期間内に繰り返し検出されるときに前記診断の禁止を解除するものであるとしている。
【0018】
車速変化に伴って走行風の風量が変化し、更にその変化により燃料蒸気経路内の圧力が変化する場合、この燃料蒸気経路内の圧力変化は車速の変化(走行風量の変化)よりも遅れて発生する。このため、前記所定の車速変化有りが所定期間内に繰り返し検出されるとき、即ちこの所定期間内において走行風量の増大及び減少が繰り返されるときには、この走行風量の変化に対して燃料蒸気経路内の圧力変化が追従しきれなくなり、その結果、同圧力の変化量が小さなものとなる。
【0019】
請求項5に記載した発明では、このように燃料蒸気経路内の圧力変化量が小さくなるときには診断の禁止を解除するようにしているため、診断精度の悪化を招くことなく診断の頻度を増大させることができ、より早期に故障診断を完了することができるようになる。
【0020】
請求項6に記載した発明は、請求項2乃至5のいずれかに記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、前記検出手段は、前記車両の走行速度が前記所定速度を上回ったとき及び下回ったときの双方において前記所定の車速変化有りを検出するものであって、前記車両の走行速度が前記所定速度を上回るときと下回るときとで同所定速度を異なる速度に設定するものであるとしている。
【0021】
こうした構成によれば、車速の上昇に伴って走行風量が増大するときと、同車速の低下に伴って走行風量が減少するときとで、燃料蒸気経路内における燃料温度の変化速度に違いがあり、走行風量の変化が故障診断に及ぼす影響が異なる場合であっても、その違いを診断の禁止に反映させることができ、同診断の禁止をより的確に行うことができるようになる。
【0022】
請求項7に記載した発明は、請求項2乃至6のいずれかに記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、前記検出手段は、前記車両の走行速度が前記所定速度を上回ったとき及び下回ったときの双方において前記所定の車速変化有りを検出するものであり、前記診断禁止手段は、前記車両の走行速度が前記所定速度を上回ることで前記所定の車速変化有りが検出されるときと、前記車両の走行速度が前記所定速度を下回ることで前記所定の車速変化有りが検出されるときとで前記所定期間を異なる期間に設定するものであるとしている。
【0023】
こうした構成によれば、車速の上昇に伴って走行風量が増大するときと、同車速の低下に伴って走行風量が減少するときとで、燃料蒸気経路内における燃料温度がその変化後の走行風量に応じた温度に収束するまでの期間に違いがあり、走行風量の変化が故障診断に及ぼす影響が異なる場合であっても、その違いを診断の禁止に反映させることができ、同診断の禁止をより的確に行うことができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1にかかる蒸発燃料パージシステムの全体構成を示している。
【0025】
蒸発燃料パージシステムは車両(図示略)に搭載されており、大きくは、燃料タンク1に発生する燃料蒸気を捕集するキャニスタ2、その捕集された燃料蒸気をエンジン(図示略)の吸気通路3にパージするためのパージ通路11、このパージを行う際にキャニスタ2内に大気を導入する大気導入通路17等を備えて構成される。
【0026】
キャニスタ2の内部には、仕切板21により隔てられた主室22及び副室23と、これら各室22,23を連通する拡散室24とが形成されている。また、主室22及び副室23の内部には、燃料蒸気を吸着する吸着材(例えば活性炭)が充填されている。
【0027】
キャニスタ2において主室22側の部分には、吸気通路3に通じるパージ通路11が接続されている。このパージ通路11には同通路11の通路断面積を調節するパージ制御弁11aが設けられている。このパージ制御弁11aの開度はエンジンの運転状態に基づいて設定されている。従って、主室22内から吸気通路3にパージされる燃料蒸気の量(パージ流量)も同運転状態に応じて制御される。
【0028】
また、キャニスタ2において主室22側の部分には、絞り12を介してベーパ通路13の一端が接続されている。このベーパ通路13の他端は、液状の燃料が同通路13に流入することを防止するフロート弁13aを介して、燃料タンク1に接続されている。
【0029】
更に、燃料タンク1には別のフロート弁14aを介して差圧弁14bが取り付けられており、この弁14bはブリーザ通路14を介してキャニスタ2に接続されている。差圧弁14bは、給油時において燃料タンク1の内圧がキャニスタ2の内圧より所定圧以上高くなるときにのみ開弁する。この差圧弁14bの開弁により、燃料タンク1内の燃料蒸気がブリーザ通路14を通じて主室22内に導入される。
【0030】
キャニスタ2において副室23側の部分には、大気遮断弁15を介して大気弁16が取り付けられており、同大気弁16には吸気通路3のエアクリーナ3aに通じる大気導入通路17と、一端が大気に開放された大気排出通路18とがそれぞれ接続されている。
【0031】
この大気弁16は、互いに異なる機能を有した2つのダイヤフラム弁16a,16bにより構成されている。第1のダイヤフラム弁16aは、パージの実行に際して、パージ通路11内が所定圧以下の負圧になると開弁する。この第1のダイヤフラム弁16aの開弁により、大気導入通路17を通じて大気が副室23内に導入される。一方、第2のダイヤフラム弁16bは、副室23の内圧が所定圧以上の正圧になると開弁する。この第2のダイヤフラム弁16bの開弁により、大気排出通路18を通じて副室23の空気が大気中に排出される。
【0032】
また、上記大気遮断弁15は、通常時には開弁状態に保持される一方、後述する故障診断時には閉駆動されて上記副室23と外部(大気)との連通を遮断する。
【0033】
このように構成された蒸発燃料パージシステムでは、燃料タンク1内に燃料蒸気が発生すると、燃料タンク1内の燃料蒸気はベーパ通路13及び絞り12を通じてキャニスタ2内に導入される。また、給油時においては差圧弁14bも開弁するため、燃料タンク1内の燃料蒸気はベーパ通路13のみならずブリーザ通路14を通じてキャニスタ2内に導入されるようになる。そして、こうしてキャニスタ2内に導入された燃料蒸気は、主室22或いは副室23の吸着材に一旦吸着される。
【0034】
一方、エンジンの運転時にパージ制御弁11aが開かれると、パージ通路11内に吸気通路3の負圧が導入され、この負圧の導入に伴って第1のダイヤフラム弁16aが開弁し、大気導入通路17を通じてキャニスタ2内に大気が導入される。そして、この大気によって上記各室22,23内の燃料蒸気は吸着材から離脱されるとともに、パージ通路11を通じて吸気通路3にパージされる。更に、燃料蒸気は吸気通路3において吸入空気と混合されてシリンダ(図示略)内に供給され、同シリンダ内にて、燃料噴射弁52から噴射された燃料とともに燃焼される。
【0035】
また、この蒸発燃料パージシステムの故障診断装置は、上記パージ制御弁11a、大気遮断弁15の他、燃料タンク1の上部に設けられてその内圧(タンク内圧)を検出する圧力センサ31、故障診断の実行に際して圧力センサ31の検出信号を適宜取り込むとともに、上記各弁11a,15の開閉状態を制御する電子制御装置(ECU)40等を備えて構成される。また、この故障診断装置は上記圧力センサ31の他、車両の走行速度(車速)を検出するための車速センサ32を備えている。この車速センサ32は、図示しない車軸の近傍に設けられており、この車軸の回転速度に応じた信号を出力する。ECU40はこの信号を取り込み、同信号に基づいて車速を算出する。
【0036】
この故障診断装置では、燃料タンク1の内部、ベーパ通路13、ブリーザ通路14、キャニスタ2の内部、及びパージ通路11といった燃料蒸気が導入される部位により構成される経路(以下、これらを併せて「燃料蒸気経路」と称する)の穴あきや配管の外れ等に起因する漏れ異常の有無をその診断対象としている。その診断方法として具体的には、燃料蒸気経路内を所定の負圧下で密閉した後の同経路内の圧力挙動に基づいて、同経路における漏れ異常の有無を診断している。
【0037】
以下、こうした故障診断装置による故障診断の実行手順について図2に示すタイミングチャートを参照して説明する。
この故障診断は、タンク内圧が安定していること、エンジンの始動時から所定時間が経過していないこと、圧力センサ31に異常がないこと等の条件に加え、パージ処理が実行されていること、即ちパージ制御弁11aが運転状態に基づく所定開度で開弁されていること、といった各前提条件が全て成立しているときに実行される。
【0038】
そして、こうした前提条件が満たさると、まず、ECU40により大気遮断弁15が閉駆動され(タイミングt10)、吸気通路3の負圧が燃料蒸気経路内に導入される。その結果、燃料蒸気径路内の圧力(=タンク内圧)は徐々に低下するようになる(タイミングt10〜t20)。
【0039】
次に、タンク内圧が目標負圧PAに達すると(タイミングt20)、ECU40によりパージ制御弁11aが強制的に閉じられる。その結果、燃料蒸気経路内は密閉された状態になる。尚、負圧の導入を開始してから所定時間が経過してもタンク内圧が上記目標負圧PAにまで低下しない場合には、燃料蒸気経路内に比較的大きな漏れが発生していると診断される。
【0040】
上記のように燃料蒸気経路内が低圧(負圧)下に置かれた状態で密閉されると、タンク内圧は、上記所定圧PA以下にまで一旦低下するものの、同経路内の燃料(例えば燃料タンク1内の燃料やキャニスタ2の吸着材に吸着されている燃料)が蒸発するのに伴って徐々に上昇し始める(タイミングt21以降)。そして、故障診断、すなわち燃料蒸気経路における漏れ異常の有無の判定は、このときのタンク内圧の上昇速度に基づいて行われる。
【0041】
即ち、
[正常判定]
タンク内圧の上昇速度が所定値(正常判定値)未満である場合には、タンク内圧は燃料蒸気経路内における燃料の蒸発によってのみ上昇しており、同経路に漏れ異常は無いと判定される。
[異常判定]
タンク内圧の上昇速度が所定値(異常判定値)以上である場合には、タンク内圧は同経路内における燃料の上昇に加えて、更に同経路への大気の流入によって上昇しており、同経路に漏れ異常が有ると判定される。
[判定保留]
タンク内圧の上昇速度が上記正常判定値以上であって異常判定値未満である場合には、漏れ異常の有無を確実に判定することが困難であるため、その判定が一旦保留される。
といった判定がなされる。
【0042】
ところで、こうした故障診断を精度良く行うためには、負圧を導入して燃料蒸気経路を密閉してから、上記タンク内圧の上昇速度に基づく故障診断が終了するまで、燃料タンク1内の温度、換言すれば、その温度によって決まる飽和蒸気圧が略一定に保持されている必要がある。しかしながら、前述したように、車両の走行状態が変化すると、走行風の影響によって燃料タンク1内における燃料温度が変動するようになる。そしてこのように燃料温度が変動すると、それに伴なってタンク内圧も変動する結果、同タンク内圧の上昇速度が燃料蒸気経路における漏れ異常の有無を正確に反映したものとはならなくなり、誤診断を招くおそれがある。
【0043】
以下、こうした車両走行状態の変化とそれに伴うタンク内圧の変動について、図3を参照して説明する。尚、図中(a)は車速、及び燃料タンク1内における燃料温度の推移を示し、同図中(b)はタンク内圧の推移を示す。
【0044】
同図に示されるように、例えば車速が低下すると、走行風の風量が減少するため、同走行風によって燃料タンク1から奪われる熱量が減少するようになる。その結果、燃料タンク1における吸熱量と放熱量とのバランスが一時的に崩れ、同燃料タンク1は、エンジンの排気系(ここでは排気自体も含む)や路面からの熱によって温度上昇するようになる。そして、この温度上昇に伴って燃料温度が徐々に上昇するとともに、燃料タンク1における燃料の飽和蒸気圧が上昇するため、タンク内圧も同様に上昇するようになる(時刻t32以降)。こうしたタンク内圧の上昇は、車両が停止した後も燃料温度が上昇し続けることから、しばらくの間は継続するようになる。そして、燃料タンク1の温度が更に上昇して同燃料タンク1自身からの放熱量が増大すると、同放熱量と上記排気系及び路面からの吸熱量とが等しくなる。その結果、燃料タンク1の温度上昇はおさまり、燃料温度及びタンク内圧はそれぞれ略一定の値に収束するようになる(時刻t33〜t34)。
【0045】
また、車両が発進して車速が上昇すると、走行風の風量が増大し、同走行風によって燃料タンク1から奪われる熱量が増大するようになる。その結果、車両の減速時と同様、燃料タンク1における吸熱量と放熱量とのバランスが一時的に崩れ、同燃料タンク1は、同走行風により冷却されて、その温度が低下するようになる。そして、この温度低下に伴って燃料温度が徐々に低下するとともに、燃料タンク1における燃料の飽和蒸気圧が低下するため、タンク内圧も同様に低下するようになる(時刻t34以降)。こうしたタンク内圧の低下は、車速が一定になった後も燃料温度が下降し続けることから、しばらくの間は継続するようになる。そして、燃料タンク1の温度が更に低下して、同燃料タンク1自身からの放熱量が減少すると、同放熱量と上記排気系及び路面からの吸熱量とが等しくなる。その結果、燃料タンク1の温度低下がおさまり、燃料温度及びタンク内圧はそれぞれ略一定の値に収束するようになる。
【0046】
次に、こうした車速の変化に伴うタンク内圧の変化が生じるときに、上記故障診断が行われた場合の診断精度への影響について説明する。
先ず、車速が安定しているときに診断が行われるときには、燃料タンク1内の燃料温度が変化することはなく、従って、誤った診断をするおそれはない。
【0047】
これに対し、故障診断処理の実行中において車速が低下する場合には、同図(b)のタイミングt31〜t33の期間に二点鎖線で示すようにタンク内圧は、燃料温度の上昇によって車速が安定しているとき(この場合のタンク内圧の変化を同図(b)に一点鎖線で示す)よりも大きく上昇するようになる。
【0048】
その結果、漏れ異常が無いのにも拘らず、タンク内圧の上昇速度が大きいために、同異常が有るものと誤診断してしまうおそれがある。
また一方で、故障診断中において車速が上昇する場合には、同図(b)のタイミングt33〜t35の期間に二点鎖線で示すように、タンク内圧は車速が安定しているとき(この場合のタンク内圧の変化を同図(b)に一点鎖線で示す)よりもその上昇速度が小さくなる。
【0049】
その結果、漏れ異常が有るのにも拘らず、タンク内圧の上昇速度が小さいために、同異常が無いものと誤診断してしまうおそれがある。
また、こうした走行風の影響による誤診断は、車両が発進した直後や停止した直後において特に発生し易いものとなっている。即ち、図4のグラフに示すように、走行風の風量は車速に比例して増大するのに対し、燃料タンク1の燃料温度は、車速が例えば「0km/h」から「15km/h」にまで変化するときのように、比較的低速の領域内で変化するときには、その車速の変化に伴って大きく変化するものの、車速が例えば「15km/h」から「50km/h」にまで変化するときのように、車速がある程度高くなった状況下では、車速が変化しても殆ど変化しなくなる傾向がある。
【0050】
従って、車両が発進した直後や停止した直後にあっては、燃料温度の変化量が大きくなり、それに伴うタンク内圧の変動も大きくなるため、上記のような誤診断をより招き易い状況にある。
【0051】
そこで、この実施の形態の装置による故障診断処理では、誤診断を防止するために、診断中に車両が停止若しくは発進したときには、その後、所定期間が経過するまで同診断を禁止するようにしている。
【0052】
以下、この故障診断処理の詳細について説明する。図5は、故障診断処理の実行手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに示す一連の処理は、所定時間毎(例えば65ms毎)の割り込み処理としてECU40により実行される。
【0053】
この処理に際しては、先ず、ステップS110において、漏れ異常の診断が既に完了しているか否かが判断される。ここでは、本処理を通じて、漏れ異常が有る旨判定されたとき(異常判定)、あるいは同異常が無い旨判定されたとき(正常判定)に診断が完了したと判断される。このステップS110で、診断が未完了であると判断される場合には、処理はステップS120に移行される。
【0054】
そして、ステップS120において、前提条件判定フラグに基づいて、故障診断における前述した前提条件が全て成立しているか否かが判断される。この前提条件判定フラグは、前提条件が全て成立したときに「オン」に設定されるフラグであって、同フラグが「オン」に設定されることで故障診断が開始され、その後故障診断が終了すると同フラグは「オフ」に設定される。ステップS120において、この前提条件成立フラグが「オフ」に設定されていると判断される場合、あるいは先のステップS110において漏れ異常診断が既に完了していると判断される場合にはいずれも、処理はステップS130に移行される。そして、ステップS130において通常のパージ制御が実行され、一旦本ルーチンの処理は終了される。
【0055】
一方、ステップS120において前提条件判定フラグが「オン」に設定されていると判断される場合、処理はステップS140に移行される。そしてこのステップS140において、燃料蒸気経路に負圧が導入中であるか、若しくは漏れ異常の判定中であるか否かが判断される。ここで、否と判断される場合には、漏れ異常の判定が保留されたものとして、処理はステップS130に移行される。そして、通常のパージ制御が実行された後、一旦本ルーチンの処理が終了される。
【0056】
一方、ステップS140において、負圧導入中、又は漏れ異常判定中であると判断される場合には、まだ故障診断が終了していないため、処理はステップS150に移行される。
【0057】
そして、ステップS150以降の処理(ステップS150〜S170)において、このときの速度条件が判断され、その判断結果によって上記漏れ異常判定が継続され(ステップS180)、あるいは中断(ステップS130)される。
【0058】
具体的には、先ず、ステップS150において、このときの車速が所定速度Vと比較される。この所定速度Vは、車両が走行状態にあるか或いは停止状態(ここでの「停止」は、走行風が殆ど発生しない、車速の極めて低い状態も含む)にあるかを判定するためのものであり、例えば「15km/h」に設定されている。
【0059】
ステップS150において、車速がこの所定速度V未満である旨判断された場合、即ち車両が停止状態にあると判定された場合、ステップS160において更に、車両が停止状態に移行してからの経過時間が所定時間Ta(例えば「40sec.」)に達しているか否かが判断される。このステップS160では、車両が停止状態に移行してからの経過時間が所定時間Taに達したか否かを監視することで、車両が走行状態から停止状態に移行したことに伴う燃料タンク1内の燃料温度の上昇がおさまったか否かが判断される。
【0060】
そして、ここで車両が停止状態に移行してからの経過時間が所定時間Taに達したと判断された場合、ステップS180において漏れ異常判定の実行が許可される。従って、燃料蒸気経路内への負圧の導入が完了していない場合には、この負圧導入が完了した後に同判定が開始され、既に漏れ異常判定が開始されている場合には、同判定がそのまま継続して実行される。
【0061】
一方、ステップS160において、車両が停止状態に移行してからの経過時間が所定時間Taに達していないと判断された場合には、処理はステップS130に移行される。即ち、この場合には、燃料タンク1の燃料温度の上昇がおさまっておらず、正確な漏れ異常判定を行うことができないため、同判定の実行が許可されず、従って故障診断が禁止される。
【0062】
また一方、先のステップS150において、車速がこの所定速度V以上である旨判断された場合、即ち車両が走行状態にあると判定された場合、ステップS170において更に、車両が走行状態に移行してからの経過時間が所定時間Tbに達しているか否かが判断される。
【0063】
この所定時間Tbは、車両が停止状態から走行状態に移行したことに伴う燃料温度の低下がおさまったか否かを判定するためのものであり、ステップS160の判断に際して参照される上記所定時間Taよりも短い時間(例えば、「30sec.」)に設定されている。因みに、このように各所定時間Ta,Tbを異なる値に設定するようにしているのは、車両が走行状態から停止状態に移行したときの燃料温度の上昇がおさまるまでの時間よりも、車両が停止状態から走行状態に移行したときの燃料温度の低下がおさまるまでの時間のほうが短くなることが実験によって確認されていることに基づいている。
【0064】
そして、このステップS170において、車両が走行状態に移行してからの経過時間が所定時間Tbに達したと判断された場合、ステップS180において漏れ異常判定が許可される。
【0065】
一方、ステップS170において、車両が走行状態に移行してからの経過時間が所定時間Tbに達していないと判断された場合には、処理はステップS130に移行される。即ち、この場合にも、燃料タンク1の燃料温度の低下がおさまっておらず、正確な漏れ異常判定を行うことができないため、同判定が許可されず、従って故障診断が禁止される。
【0066】
このように、車両の運行状況に応じて漏れ異常判定が許可された後(ステップS180)、或いは同判定が許可されずに通常のパージ制御に移行した後(ステップS130)、本ルーチンの処理は一旦終了される。
【0067】
以上説明した態様をもって故障診断の実行が禁止される本実施の形態の装置によれば、
(1)車速が所定速度V未満になったときから所定時間Taが経過するまでの間、並びに車速が所定速度V以上になったときから所定時間Tbが経過するまでの間における故障診断を禁止するようにしているため、車速変化に伴って走行風の風量が変化し、この変化によって燃料蒸気経路内の圧力が変化する場合でも、その圧力変化の生じるタイミングに合わせて診断を禁止することができる。従って、こうした走行風の影響によって生じる燃料蒸気経路内の圧力変化に起因した誤診断を好適に回避して高い診断精度を確保することができるようになる。
【0068】
(2)特に、車両が発進した直後や停止した直後といった走行風の影響による誤診断を招き易いときに故障診断を禁止するようにしているため、誤診断をより好適に回避することができるようになる。
【0069】
(3)更に、車両が停止した後における故障診断の禁止期間(所定時間Ta)と車両が発進した後における故障診断の禁止期間(所定時間Tb)とをそれぞれ各別に設定するようにしているため、車両が停止するときと発進するときとで、燃料蒸気経路内における燃料温度が収束するまでの期間に違いがあっても、その違いを診断の禁止に反映させることができ、同診断の禁止をより的確に行うことができるようになる。
【0070】
(4)また、車両の発進や停止に伴って燃料タンク内の燃料が攪拌され、タンク内圧が変化する場合にあっても、こうしたタンク内圧の変化に起因する誤診断を回避することができるようになり、この点においても高い診断精度を確保することができる。
【0071】
(5)また、燃料温度を検出する温度センサを別途設け、同センサにて検出される燃料温度に基づいて、燃料蒸気経路内の圧力変化を監視するようにした構成とは異なり、構成の複雑化を招くことも無い。
等々の優れた作用効果を奏することができる。
【0072】
[実施の形態2]
次に、この発明にかかる蒸発燃料パージシステムの故障診断装置の実施の形態2について、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。尚、この実施の形態2にかかる故障診断装置は、先の実施の形態1で説明したものと同様の構成を有したものを想定しているため、その構成についての説明は省略する。
【0073】
前述したように、故障診断処理の実行中に車速が低下して車両が停止すると、タンク内圧の上昇速度は増大するが、この増大は、タンク内圧の挙動を燃料蒸気経路に漏れ異常が有るとしたときの挙動に近づけるものとなる。従って、こうした上昇速度の増大が発生した場合には、上記異常判定については実際には発生していない漏れ異常が有ると誤診断するおそれがあるものの、上記正常判定に関してはこうした誤診断のおそれはない。即ち、タンク内圧の上昇速度が車速変化に起因して増大する傾向があるにも拘わらず、同上昇速度が上記正常判定値未満であると判断されて正常判定が行われることとなるため、その判定の信頼性は寧ろ高いものとなる。
【0074】
また、同様のことが故障診断処理の実行中に車両が発進する場合においてもいえる。すなわち、この場合、タンク内圧の上昇速度は低下するが、この低下は、タンク内圧の挙動を燃料蒸気経路に漏れ異常が無いとしたときの挙動に近づけるものとなる。従って、こうした上昇速度の低下が発生した場合には、上記正常判定については漏れ異常が有るときに同異常が無いと誤診断するおそれがあるものの、上記異常判定に関してはこうした誤診断のおそれはない。即ち、タンク内圧の上昇速度が車速変化に起因して低下する傾向があるにも拘わらず、同上昇速度が上記異常判定値以上であると判断されて異常判定が行われることとなるため、その判定の信頼性もまた高いものとなる。
【0075】
そこで、この実施の形態2では、漏れ異常判定の判定結果において、車両停止後の所定時間内における正常判定と、車両発進後の所定時間内における異常判定とについてはこれを確定するようにしている。また、同判定結果において、車両発進後の所定時間内における正常判定と、車両停止後の所定時間内における異常判定とについてはこれを採用しないようにしている。
【0076】
以下、こうした故障診断処理の詳細について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
尚、同図6における処理において、ステップS110からステップS170までの処理については、図5におけるステップS110からステップS170までの処理と同様の処理内容であるため、その詳細な説明は省略する。
【0077】
まず、ステップS160において車両が停止状態に移行してから所定時間Taが経過していると判断された場合、あるいはステップS170において車両が走行状態に移行してから所定時間Tbが経過していると判断された場合にはいずれも、処理がステップS185に移行される。
【0078】
そして、ステップS185において、漏れ異常判定が実行され、その判定結果が正常判定、若しくは異常判定の如何を問わず確定される。
また、ステップS160において、否と判断される場合には、処理はステップS186に移行される。そして、ステップS186において、漏れ異常判定における判定結果が異常判定である場合には、誤診断のおそれがあるとして同異常判定が不採用とされる。すなわちこの場合には、故障診断が実質的に禁止されることとなる。一方、判定結果が正常判定である場合には、誤診断のおそれはないとして、その正常判定が確定される。
【0079】
他方、ステップS170において、否と判断される場合には、処理はステップS187に移行される。そして、ステップS187において、漏れ異常判定が実行され、その判定結果が正常判定である場合には、誤診断のおそれがあるとして同正常判定が不採用とされる。すなわちこの場合には、故障診断が実質的に禁止されることとなる。一方、判定結果が異常判定である場合には、誤診断のおそれはないとして、その異常判定が確定される。そして、上記ステップS185〜S187のいずれかの処理が実行されると、一旦本ルーチンの処理は終了される。
【0080】
尚、このステップS185〜ステップS187の処理時において、まだ判定結果が出ていない場合には、その後判定結果が出たときに、何れかのステップ(ステップS185乃至ステップS187)の処理に基づいて、その判定結果が確定、又は不採用とされる。
【0081】
以上説明した態様をもって故障診断の実行が禁止される本実施の形態の装置によれば、実施の形態1の装置による上記(1)〜(5)の作用効果に加えて、
(6)走行風の影響による燃料蒸気経路内の圧力変化が生じる場合であっても、車両停止後における正常判定と車両発進後における異常判定といった、その結果の信頼性が確保される診断については実行されるようになる。従って、診断精度の悪化を招くことなく診断の実行頻度を増大させることができ、より早期に故障診断を完了することができるようになる。
といった優れた作用効果を奏することができる。
【0082】
[実施の形態3]
次に、この発明にかかる蒸発燃料パージシステムの故障診断装置の実施の形態3について、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。尚、この実施の形態3にかかる故障診断装置は、先の実施の形態1で説明したものと同様の構成を有したものを想定しているため、その構成についての説明は省略する。
【0083】
先ず、車速の変動に伴うタンク内圧の変動について、図7を参照して説明する。尚、図中(a)は車速信号及び燃料タンク1内の燃料温度の推移を示し、同図中(b)はタンク内圧の推移を示す。
【0084】
前述したように、故障診断処理の実行中においてタンク内圧の上昇速度は、車両が走行状態から停止状態に移行する際には増大し(タイミングt42〜t43)、停止状態から走行状態に移行する際には低下するが(タイミングt44〜t45)、こうした上昇速度の変化は車速の変化、換言すれば走行風量の変化よりも遅れて発生する。このため、例えば車両が走行状態から停止状態に移行した後直ぐに走行状態に戻るような場合や、車両が停止状態から走行状態に移行した後直ぐに停止状態に戻るような場合(タイミングt50以降)には、こうした車速変化に対して、タンク内圧の上昇速度が追従して変化しきれなくなり、その変化量が小さなものとなる。
【0085】
そこで、本実施の形態では、車両の停止と発進とが所定時間内に繰り返される場合には、タンク内圧の上昇速度が大きく変化することはないとして、故障診断を行うようにする。
【0086】
以下、こうした本実施の形態3の装置による故障診断処理の詳細について説明する。
まず、車両の運行状態を判定するための走行履歴判定処理について図8に示すフローチャート及び先の図7を併せ参照して説明する。
【0087】
この走行履歴判定処理では、車両が所定時間継続して走行状態にあることを示す走行フラグと、車両が所定時間継続して停止状態にあることを示す停車フラグとがそれぞれ操作される。また、この走行履歴判定処理は、ECU40により所定時間周期の割込処理として実行される。尚、先の図7において(c)及び(d)は、この処理を通じて設定される走行フラグ及び停車フラグの状態推移の一例を示している。
【0088】
この処理に際しては、まず、ステップS210において、車速が前記所定速度V未満であるか否か、即ち車両が停止状態にあるか否かが判断される。ここで、車両が停止状態にあると判断されると、更にステップS220において、車両が停止状態に移行してから所定時間Td(例えば、「35sec.」)が経過したか否かが判断される。ここで、この所定時間Tdは、この時間内に車両が再び走行状態に移行しても、故障診断処理の実行中におけるタンク内圧の上昇速度が大きく低下することのない時間として、実験等に基づいて設定されている。
【0089】
そして、このステップS220において車両が停止状態に移行して上記所定時間Tdが経過している場合には(図7:タイミングt43,t48)、ステップS230において停車フラグが「オン」に設定され、まだ経過してない場合には、ステップS240において同フラグが「オフ」に設定される。
【0090】
一方、ステップS210において、車両が走行状態にあると判断されると(ステップS210:NO)、更にステップS250において、車両が走行状態に移行してから所定時間Tc(例えば、「25sec.」)が経過したか否かが判断される。ここで、この所定時間Tcは、この時間内に車両が再び停止状態に移行しても、故障診断処理の実行中におけるタンク内圧の上昇速度が大きく上昇することのない時間として、実験等に基づいて設定されている。
【0091】
そして、このステップS250において車両が走行状態に移行して上記所定時間Tcが経過している場合には(図7:タイミングt41,t45,t49)、ステップS260において走行フラグが「オン」に設定され、まだ経過してない場合には、ステップS270において同フラグが「オフ」に設定される。
【0092】
このようにステップS230,240,260,270の各処理を通じて停車フラグ又は走行フラグが操作された後、本ルーチンの処理は一旦終了される。
次に、本実施の形態の装置による故障診断の処理手順について図9のフローチャートを参照して説明する。尚、同図9に示す処理において、先の図5に示す処理と同様のステップ番号を付した処理についてはその処理内容が同一であるため説明を省略する。
【0093】
この一連の処理では、ステップS150において車両が停止状態にあると判断された場合、ステップS155において走行フラグが「オン」に設定されているか否かが判断される。ここで、走行フラグが「オン」に設定されていると判断される場合には、ステップS160以降の処理が実行される。
【0094】
これに対して、ステップS155において走行フラグが「オフ」に設定されていると判断される場合には、車両が停止状態から走行状態に移行してから所定時間Tcが経過する前に再び停止状態に移行したため、タンク内圧の上昇速度が大きく上昇することはないものとして、ステップS160の処理がスキップされ、ステップS180において漏れ異常判定の実行が許可或いは継続される。
【0095】
また一方、ステップS150において車両が走行状態にあると判断された場合、ステップS156において停車フラグが「オン」に設定されているか否かが判断される。ここで、停車フラグが「オン」に設定されていると判断される場合には、ステップS170以降の処理が実行される。
【0096】
これに対して、ステップS156において停車フラグが「オフ」に設定されていると判断される場合には、車両が走行状態から停止状態に移行してから所定時間Tdが経過する前に再び走行状態に移行したため、タンク内圧の上昇速度が大きく低下することはないものとして、ステップS170の処理がスキップされ、ステップS180において漏れ異常判定の実行が許可或いは継続される。
【0097】
このように、上記故障診断処理によれば、車両が走行状態から停止状態に移行し、所定時間Tdが経過する前に再び走行状態に移行するような場合(図7:タイミングt47,t51,t53,t55)や、車両が停止状態から走行状態に移行し、所定時間Tcが経過する前に再び停止状態に移行するような場合(図7:タイミングt52,t54,t56)にはいずれも、漏れ異常判定の実行禁止が解除されるようになる。
【0098】
従って、本実施の形態の装置によれば、実施の形態1の装置による上記(1)〜(5)の作用効果に加えて、
(7)故障診断中において、車両の発進が所定時間Tcの間に繰り返される場合、若しくは車両の停止が所定時間Tdの間に繰り返される場合には、同故障診断を継続することにより、診断精度の悪化を招くことなく診断の頻度を増大させることができ、より早期に故障診断を完了することができるようになる。
【0099】
尚、上記各実施の形態は、以下のようにその構成を変更して実施することもできる。
上記実施の形態3では、車両の発進が所定時間Tcの間に繰り返されるか、若しくは車両の停止が所定時間Tdの間に繰り返される場合に、車両の停止と発進とが短時間の間に繰り返されていると判断するようにしたが、例えば、車両の発進後の所定時間内に車両が停止されるか、若しくは車両の停止後の所定時間内に車両が発進される場合にこれを判断するようにしてもよい。
【0100】
・上記各実施の形態では、診断の禁止期間(所定時間Ta,Tb)を固定値としたが、これらを例えば、外気温、エンジンの冷却水温等、燃料タンク1内における燃料温度の変化速度に影響を及ぼすパラメータに基づいて可変設定するようにしてもよい。
【0101】
・また、上記所定時間(Ta〜Td)や、所定速度(V)といった定数は、燃料タンク1の形状や同タンク1周辺の熱源(例えば、エンジン、エンジンの排気通路、デファレンシャルギアボックス等)の配置によって、すなわち車両停止に伴い、タンク内圧が受ける影響の程度によって、適宜変更してもよい。
【0102】
・上記各実施の形態では、診断の禁止期間(所定時間Ta,Tb)を固定値としたが、燃料残量に応じて可変設定するようにしてもよい。燃料残量が変化すれば、燃料タンク1内にて燃料が満たされていない空間部の大きさも当然変化する。同空間部の大きさが大きいときには小さいときと比べ、走行風量の変化に伴う飽和蒸気圧の変化に、タンク内圧の変化が追従して収束するまでの時間が長くなる。上記のように構成すれば、このタンク内圧の変化が収束するまでに要する時間の変化に応じて前診断禁止期間を可変設定するようにでき、故障診断における誤診断をより好適に回避できるようになる。
【0103】
・また、時間当りの車速変化量を検出して、同変化量が所定値を超えたことを条件に診断を禁止するようにしてもよい。またこの際に、同変化量に応じて診断を禁止する該所定期間の長さを可変とするようにしたりしてもよい。このように構成しても、故障診断における誤診断をより好適に回避できるようになる。
【0104】
・上記各実施の形態では、車両の停止を判定する速度と、車両の発進を判定する速度とを共に所定速度Vで判定するようにしたが、同所定速度Vをそれぞれ異なる速度に設定してもよい。このように構成すれば、車速の上昇に伴って走行風量が増大するときと、同車速の低下に伴って走行風量が減少するときとで、燃料タンク内における燃料温度の変化速度に違いがあり、走行風量の変化が故障診断に及ぼす影響が異なる場合であっても、その違いを診断の禁止に反映させることができ、同診断の禁止をより的確に行うことができるようになる。
【0105】
・上記各実施の形態では、車両が発進或いは停止してから所定期間が経過することで、走行風によるタンク内圧の変化がおさまったことを判断するようにしたが、例えば、車両が発進或いは停止した後のタンク内圧の変化を監視し、その変化態様に基づいて上記判断を行うようにしてもよい。また、車両が発進した後の走行距離に基づいて上記判断を行ったりするようにしてもよい。
【0106】
・上記各実施の形態では、車両が停止状態にあるか或いは走行状態にあるかを判断し、これら各状態の間で車両の運行状態が切り替わったときに診断を禁止するようにしたが、例えば車両が停止状態、低速走行状態、及び高速走行状態のいずれにあるかを判断するとともに、これら各状態の間で車両の運行状態が切り替わったときに診断を禁止するようにしてもよい。
【0107】
・上記各実施の形態では、燃料蒸気経路内に所定の負圧を導入して密閉し、その後のタンク内圧の上昇速度に基づいて漏れ異常の有無を判定するようにしたが、この判定方法は燃料蒸気経路内における圧力挙動に基づくものであれば任意に変更することができる。例えば、燃料蒸気経路内に負圧を導入する際のタンク内圧の低下速度に基づいて同判定を実行することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蒸発燃料パージシステム及びその故障診断装置を示す概略構成図。
【図2】故障診断装置による故障診断の手順を説明するためのタイミングチャート。
【図3】車速の変動による燃料蒸気経路内の圧力変動態様を示すタイミングチャート。
【図4】車速と走行風量及び燃料温度との関係を示すグラフ。
【図5】本発明の実施の形態1における故障診断処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図6】同実施の形態2における故障診断処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図7】車速変化に伴う燃料タンク内の圧力変動態様を示すタイミングチャート。
【図8】車両の走行履歴を判定する際の手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施の形態3における故障診断処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…燃料タンク、2…キャニスタ、11…パージ通路、13…ベーパ通路、31…圧力センサ、32…車速センサ、40…ECU。

Claims (7)

  1. 車両に搭載される蒸発燃料パージシステムの燃料蒸気経路内における圧力挙動に基づいて同経路の漏れ異常の有無を診断する蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、
    前記車両における所定の車速変化の有無を検出する検出手段と、
    前記所定の車速変化有りが検出されるときから所定期間が経過するまで前記診断を禁止する診断禁止手段と
    を備えることを特徴とする蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
  2. 請求項1に記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、
    前記検出手段は、前記車両の走行速度が所定速度を上回ったとき及び下回ったときの少なくとも一方において前記所定の車速変化有りを検出するものである
    ことを特徴とする蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、
    前記診断禁止手段は、前記所定の車速変化に起因する前記燃料蒸気経路内の圧力変化が、同経路内の圧力挙動を前記漏れ異常有りのときの圧力挙動に近づけるものであるときには、同異常有りの診断のみを禁止するものである
    ことを特徴とする蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、
    前記診断禁止手段は、前記所定の車速変化に起因する前記燃料蒸気経路内の圧力変化が、同経路内の圧力挙動を前記漏れ異常無しのときの圧力挙動に近づけるものであるときには、同異常無しの診断のみを禁止するものである
    ことを特徴とする蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、
    前記診断禁止手段は、前記検出手段により前記所定の車速変化有りが所定期間内に繰り返し検出されるときに前記診断の禁止を解除するものである
    ことを特徴とする蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
  6. 請求項2乃至5のいずれかに記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、
    前記検出手段は、前記車両の走行速度が前記所定速度を上回ったとき及び下回ったときの双方において前記所定の車速変化有りを検出するものであって、前記車両の走行速度が前記所定速度を上回るときと下回るときとで同所定速度を異なる速度に設定するものである
    ことを特徴とする蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
  7. 請求項2乃至6のいずれかに記載した蒸発燃料パージシステムの故障診断装置において、
    前記検出手段は、前記車両の走行速度が前記所定速度を上回ったとき及び下回ったときの双方において前記所定の車速変化有りを検出するものであり、
    前記診断禁止手段は、前記車両の走行速度が前記所定速度を上回ることで前記所定の車速変化有りが検出されるときと、前記車両の走行速度が前記所定速度を下回ることで前記所定の車速変化有りが検出されるときとで前記所定期間を異なる期間に設定するものである
    ことを特徴とする蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
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