JP4186258B2 - 燃料タンクに配置されるセンサの異常診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されるエンジンの燃料タンクに配置されるセンサの劣化等による出力値の異常を検出する異常診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載されるエンジンの燃料タンクの上面とエンジンの吸気通路とを連通するパージ通路を設け、該パージ通路にキャニスタを配設し、キャニスタと吸気通路との間にパージバルブを設けて、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を上記キャニスタに一旦吸着させ、所定の運転領域で上記パージバルブを開いて吸気負圧でキャニスタ内の蒸発燃料を大気開放通路からの外気とともに吸気通路に供給するようにした蒸発燃料供給装置が従来から知られている。
【0003】
そして、この蒸発燃料供給装置の故障診断の手法として、診断時に、パージバブルを開き、燃料タンク内に吸気負圧を作用させて、タンク内圧力が所定負圧まで下がるかどうかによってパージ通路の接続不良やバージバルブの閉じ不良等に起因する重度の漏れ(ラージリーク)を診断し、また、タンク内圧力が所定負圧まで下がった状態でパージバルブを閉じ、パージ通路を密閉して、密閉後の燃料タンク内の圧力の戻り具合でパージ通路の亀裂等による軽度の漏れ(スモールリーク)を診断することが行われている。
【0004】
また、そうした故障診断のためのタンク内圧力検出のセンサが正常に機能しているかどうかを診断する装置として、特開平5−195895号公報に記載されているように、エンジン始動後所定時間内におけるセンサ出力値の変化が所定値より小さいときに圧力センサの異常と判定する装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記蒸発燃料供給装置の故障診断では、タンク内圧力を検出する圧力センサが正常に機能していないと正確な診断ができない。そこで、タンク内圧力を検出する圧力センサに異常がないかどうかの診断を行う必要がある。また、車体の振動によりタンク内の燃料の油面の揺れが激しいと、蒸発燃料が急増し、蒸発燃料供給装置の正確な故障診断ができなくなるため、燃料タンクに配置された残量センサによって燃料タンク内の燃料の油面の揺れを検出し、油面の揺れが大きい時には診断を中止することが考えられるが、そうした制御を行って蒸発燃料供給装置の故障診断の信頼性を高めるためには、上記残量センサが正常に機能していることが不可欠で、したがって、この残量センサに異常がないかどうかの診断を行う必要がある。
【0006】
ところで、燃料タンクに配置される圧力センサは、劣化等に起因してセンサ出力にノイズが発生することにより、振幅の大きな異常信号を出力する場合があり、また、残量センサの場合も同様で、劣化等に起因してノイズがのった異常なセンサ信号を出力する場合がある。そして、このノイズによるセンサ信号の異常は、エンジン始動後所定時間内におけるセンサ出力値の変化が所定値より小さいときにセンサの異常と判定するという上記従来の手法では診断できない。ノイズが発生した場合は、逆に、センサ出力値の変化が大きくなるのである。しかし、ノイズが発生した場合のセンサの異常は、単にセンサ出力値の変化が大きいことを検出するだけでは判定できない。車両に搭載されるエンジンの燃料タンクに配置されるセンサの場合、車体が振動するとタンク内の燃料の油面が揺れることによって、燃料の蒸発量が変わるため、タンク内圧力を検出する圧力センサの出力値が変化し、また、燃料の油面が揺れることにより、燃料タンクに配置された残量センサの出力値が変化する。そして、そうした車体振動に起因するセンサ出力値の変化を上記ノイズ発生によるセンサ出力値の変化と誤判定することがある。
【0007】
したがって、燃料タンクに配置される圧力センサ,残量センサ等のセンサの出力信号にノイズが発生した異常状態を誤判定することなく確実に検出できるようにすることが課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による装置は、車両に搭載されるエンジンへの供給燃料を貯蔵する燃料タンク内の燃料の残量を検出する残量センサの異常を検出する装置であって、車両の速度を検出する車速検出手段と、該車速検出手段により車両の停止が検出されているときに前記残量センサの異常診断の判定を行う異常判定手段とを備え、前記異常判定手段は、車両の停止が検出されてから前記燃料タンク内の油面の揺れが収束するのを待って、前記燃料タンク内の油面の揺れが収束した後の所定期間における前記残量センサ出力値の変動の振幅が所定振幅以上のとき、前記残量センサが異常であると判定するものである。残量センサは、燃料の液面に浮上するフロートの位置に基づいて燃料の残量を検出するフロートセンサであってよい。そして、この装置は、前記燃料タンクから発生する蒸発燃料を、パージバルブを介して前記エンジンの吸気通路に供給するパージ通路を備え、前記異常判定手段は、前記パージバルブの開度変化が大きいときには異常診断の判定を行わないものであるのがよい。
【0009】
この異常診断装置によれば、車両が停止して所定期間が経過し、燃料タンク内の燃料の油面の揺れが収束し、油面の揺れによるセンサ出力値の変化がない状態で、残量センサの出力値の変化度合に基づいて異常診断が実行される。そして、残量センサの出力値の変化度合が所定度合以上のとき、異常と判定される。この場合も、センサの劣化等に起因したノイズ発生によるセンサ信号の異常を、誤判定を防止しつつ簡単かつ確実に検出でき、残量センサの異常を速やかに且つ確実に診断できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明が適用されるエンジンの概略システムを示している。この図において、1はシリンダを有するエンジン本体であり、そのシリンダの燃焼室2には吸気弁によって開閉される吸気ポート3及び排気弁によってによって開閉される排気ポート4が開口し、燃焼室2頂部には点火プラグ18が配置されている。
【0012】
上記吸気ポート3には吸気通路5が接続され、排気ポート4には排気通路13が接続されている。そして、吸気通路5には、その上流側から順にエアクリーナ6,エアフローセンサ7,スロットル弁8及びサージタンク9が設けられるとともに、吸気ポート5の近傍に、燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)10が設けられている。さらに、上記スロットル弁8をバイパスするISC通路11が設けられ、このISC通路11には、アイドル回転数制御のためにこの通路11の空気流量を調節するISCバルブ12が設けられている。一方、排気通路13にはO2センサ14,触媒装置15等が設けられている。また、吸気通路5には、スロットル弁8の開度を検出するスロットル開度センサ16が設けられ、エンジン本体1には、エンジンの図示しないクランクシャフトの回転角を検出するクランクアングルセンサ17と、エンジンの冷却水の温度を検出する水温センサ19が設けられている。
【0013】
上記インジェクタ10に対して燃料を供給する燃料系は、燃料タンク20,燃料ポンプ21,燃料供給通路22及びリターン通路23を備え、上記燃料ポンプ21により燃料タンク20から燃料供給通路22を通してインジェクタ10に燃料が送られるようになっている。上記燃料供給通路22にはフューエルフィルタ24が介設されている。また、上記リターン通路23には、吸気圧に応じて燃圧を調整するプレッシャレギュレータ25が設けられている。また、燃料タンク20内には、燃料の液面に浮上するフロートの位置に基づいて燃料の残量を検出するよう燃料タンク20の上面にフロートタイプの残量センサ(油面センサ)26が配置されている。
【0014】
また、上記燃料タンク20内で発生した蒸発燃料を吸気側に供給する蒸発燃料供給系が設けられている。この蒸発燃料供給系は、パージ通路30を備えており、このパージ通路30は、上流端が燃料タンク20の上部に接続されるとともに、下流端が吸気通路5のサージタンク9に接続されている。そして、このパージ通路30の途中には蒸発燃料を吸着するキャニスタ31が介設されており、このキャニスタ31に大気開放通路32が接続されている。
【0015】
燃料タンク20とキャニスタ31との間のパージ通路30には、燃料タンク20内の圧力が高くなったときにタンク内圧をキャニスタ31側へ逃がすチェックバルブ33が設けられるとともに、これと並列にソレノイドバルブからなる開閉バルブ(以下TPCVバルブと称する)34が設けられている。また、上記大気開放通路32には、エアフィルタ35及びチェックバルブ36が設けられるとともに、ソレノイドバルブからなる開閉バルブ(以下CDCVバルブと称する)37が設けられている。
【0016】
上記キャニスタ31とサージタンク9との間のパージ通路30には、蒸発燃料を含むパージガスの供給量(パージ量)を調節ためのデューティソレノイドバルブからなるパージバルブ38が設けられている。また、蒸発燃料供給系には、パージバルブ38よりも燃料タンク20側におけるパージ通路30の圧力として燃料タンク20内の圧力を検出する燃料タンク内圧力センサ(以下FTPセンサと称する)39が設けられている。
【0017】
上記パージバルブ38、TPCVバルブ34およびCDCVバルブ37はエンジンコントロールユニット(ECU)40に接続されている。そして、ECU40には、エアフローメータ7,O2センサ14,スロットル開度センサ16,クランクアングルセンサ17,水温センサ19,残量センサ26,FTPセンサ39,大気圧を検出する大気圧センサ41,エンジンを搭載した車両の速度を検出する車速センサ42等の検出信号が入力される。そして、ECU40はこれら入力された情報に基づいてインジェクタ10,点火プラグ18,ISCバルブ12等の制御を行い、また、パージバルブ38,TPCVバルブ34およびCDCVバルブ37を制御して、キャニスタ31に吸着された燃料をエンジンの特定運動領域で吸気通路5に供給するパージ制御を行うとともに、蒸発燃料供給系の故障診断処理を行う。
【0018】
蒸発燃料供給系の故障診断処理では、パージ通路内30に吸気通路5の負圧を導入し、さらにパージ通路30を密閉した状態で、予め設定された診断時間内、例えば25秒間におけるパージ通路30の圧力上昇度合を上記FTPセンサ39の検出信号に基づいて演算する。すなわち、図2に示すように、TPCVバルブ34およびパージバルブ38を開放し、CDCVバルブ37を閉止することにより、燃料タンク20と吸気通路5との間で上記パージ通路30を開通させ、大気側開放通路32を遮断して、パージ通路30内に吸気通路5の負圧を導入し、次いで、上記パージバルブ38を閉止してパージ通路30を負圧状態で密閉する。そして、パージバルブ38を開放してから所定の基準時間e(例えば、25秒)が経過した時のFTPセンサ39の検出圧力(第1検出圧力)ftp1と、その後、所定の診断時間eが経過した時のFTPセンサ39の検出圧力(第2検出圧力)ftp2をそれぞれ読み込み、上記第2検出圧力ftp2から上記第1検出圧力ftp1を減算することにより、上記診断時間e内におけるパージ通路30の圧力上昇度合を求める。そして、上記診断時間e内における圧力上昇度合の演算値と、運転状態に応じて設定された基準値とを比較し、上記圧力上昇度合が基準値よりも大きいときは、パージ通路30内の負圧を適正に維持することができない故障、例えばパージ通路30に亀裂が形成される等の軽度の故障(スモールリーク)があると判定する。
【0019】
また、パージ通路30内を所定の負圧状態とするのに要した時間を測定して、この測定時間が予め設定された基準時間d(例えば、30秒)よりも長い場合には、パージ通路30の接続不良等に起因する重度の故障(ラージリーク)があると判定するとともに、パージバルブ38を開放してから上記基準時間dが経過した時点におけるFTPセンサ39の第1検出圧力ftp1と、運転状態に応じて設定された基準圧力とを比較して、第1検出圧力ftp1が基準圧力よりも高いときは、パージバルブ38を全閉状態とすることができないバルブ故障によるラージリークが発生したと判定する。
【0020】
また、蒸発燃料供給系の故障診断時に上記診断時間eよりも短い時間に設定されたサンプリング時間、例えば後述する故障診断時の制御サイクル、またはこの制御サイクルとは関係なく1秒程度に設定されたサンプリング毎に、パージ通路30の圧力変化量をFTPセンサ39の検出信号に基づいて演算し、また、診断時間e内におけるパージ通路30の圧力上昇度合と、所定の係数とを掛け合わせる等により、上記圧力上昇度合が増大するのに従って大きな値となるよう揺れ度合判別用のしきい値を設定する。そして、上記診断時間e内においてサンプリング時間毎に演算された各圧力変化量のうち最大値を求め、この最大値と、上記揺れ度合判別用のしきい値とを比較して、このしきい値よりも圧力変化量の最大値が大きいときは、燃料タンク20内において大きな油面の揺れが生じているため燃料の気化が促進され易い状態にあるとして、蒸発燃料供給系の故障判定を中止する。また、残量センサ26の出力信号に基づいて油面の揺れが大きいか否かを判定し、油面の揺れが大きいときは、燃料の気化が促進され易い状態にあると判断して、蒸発燃料供給系の故障判定を中止する。
【0021】
また、制御ユニット40は、上記FTPセンサ39および残量センサ26の異常診断の処理を行う。この処理は、FTPセンサ39および残量センサ26の劣化等に起因してセンサ信号にノイズが発生した異常状態を検出するものであって、誤検出を防止するため、車体振動による燃料タンク20内の燃料の油面の揺れが収まり、燃料蒸発量の変化による内部圧力の変動や油面レベルの変動が小さくなった状態で実行される。
【0022】
FTPセンサ39の異常診断においては、車両の停止を車速によって検出し、車両が停止してから所定期間が経過した後のセンサ出力の変化度合が所定度合以上のとき、FTPセンサ39が異常であると判定する。図3に示すように、正常時のセンサ信号は、車両停止後、次第に振幅が小さくなるが、劣化等によりノイズが発生した場合は、車両停止後所定期間が経過して車体振動に起因するセンサ信号の変動が収まっても、センサ信号にはノイズによる振動の大きな変動が残る。そこで、車両が停止してから所定期間が経過した後のセンサ信号の振幅が所定値以上のとき、FTPセンサ39が異常であると判定するのである。より詳しくは、車両略停止時の車速が検出されてから所定期間が経過した後の第2の所定期間におけるセンサ出力値の変動の振幅を検出し、該振幅が所定振幅以上のときFTPセンサ39が異常であると判定する。
【0023】
残量センサ26の異常診断も、同様で、車両が停止してから所定期間が経過した後のセンサ出力値の変化度合を例えばセンサ信号の振幅で見て、その変化度合(振幅)が所定度合以上のとき、残量センサ26が異常であると判定する。より詳しくは、車両略停止時の車速が検出されてから所定期間が経過した後の第2の所定期間におけるセンサ出力値の変動の振幅を検出し、該振幅が所定振幅以上のとき残量センサ26が異常であると判定する。
【0024】
図4〜図6は、上記蒸発燃料供給系の故障診断の処理を実行するフローチャートであって、スタートすると、ステップS1においてエンジンが作動状態にあるか否かを判定し、YESと判定したときは、ステップS2においてパージ通路30内を負圧状態とする基準時間dをカウントするための減圧タイマTpgonのカウント値を0にリセットする。
【0025】
次に、ステップS3においてスロットル開度tvoの検出値が予め設定された基準開度aよりも小さいか否かを判定する。この基準開度aは、スロットル弁8を20〜25%程度開放したエンジンの軽負荷運転時に対応した値に設定されるものである。そして、ステップS3の判定がNOのときは、エンジンが高負荷運転状態にあって、吸気流量が多く、蒸発燃料供給系の故障診断のためにパージ通路30内を所定の負圧状態とすることができない場合があるということで、ステップS4においてTPCVバルブ34を閉止し、次いで、ステップS5においてCDCVバルブ37を開放し、ステップS2にリターンする。
【0026】
ステップS3の判定がYESのときは、エンジンが所定の軽負荷運転状態にあるということで、この場合は、ステップS6においてエンジン運転状態を検出する各センサの検出値を入力し、次いで、ステップS7において蒸発燃料供給系に重度の故障(ラージリーク)が生じているか否かを判定するための負圧の判定基準となる基準圧力bを、水温および大気圧の検出値に基づいて設定する。基準圧力bは、−200mmAq程度の負圧に設定され、高地走行時にエンジン回転数が低下傾向をなることに起因してパージ通路の負圧が十分に確保されないことによる故障誤判定を防止するよう、大気圧が低い程絶対値の小さい負圧、つまり高い圧力に設定される。
【0027】
次ぎに、ステップS8で、蒸発燃料供給系の故障判定条件が成立したか否かを判定し、NOのときは、上記ステップS4に進む。そして、ステップS8の判定がYESで、蒸発燃料供給系の故障判定条件が成立したときは、ステップS9においてCDCVバルブ37を閉止し、その後、ステップS10においてパージバルブ38を開放し、更に、ステップS11においてTPCVバルブ34を開放する。こうしてCDCVバルブ37が閉止され、パージバルブ38およびTPCVバルブ34が開放されと、吸気通路5内の負圧がパージ通路30内に導入される。そして、図2に示すように、CDCVバルブ37が閉止されパージバルブ38およびTPCVバルブ34が開放された時点T1から、パージ通路30の内部圧力ftpが次第に低下する。
【0028】
その後、ステップS12において減圧タイマTpgonのカウント値を1だけ加算し、次いで、ステップS13においてスロットル開度tvoの検出値が基準開度aよりも小さいか否かを再び判定する。
【0029】
そして、ステップS13の判定がNOで、スロットル開度tvoが上記基準開度aよりも大きいというときは、ステップS14においてタイマTtvdによりスロットル開度ディレィ時間のカウントを行い、ステップS15においてタイマTtvdのカウント値と、予め設定された1秒程度の基準時間cとを比較してタイマTtvdがタイムアップしたか否かを判定し、判定がYESで、タイムアップしていないというときは、ステップS6に戻って上記制御動作を繰り返す。
【0030】
また、ステップS15の判定がNOで、タイマTtvdがタイムアップしたときは、スロットル開度tvoが基準開度aよりも大きい状態が所定時間に亙って継続されたということで、この場合は、パージ通路30内の負圧が十分得られないことに起因する誤判定を防止するため、ステップS16においてタイマTtvdのカウント値を0にリセットした後、故障診断を行わずにステップS4にリターンする。
【0031】
また、上記ステップS13の判定がYES、つまり、スロットル開度tvoの検出値が上記基準開度aより小さい、あるいは上記基準時間c内にスロットル開度tvoの検出値が基準開度aよりも小さくなったという場合は、ステップS17において、FTPセンサ39によって検出されたパージ通路30の内部圧力ftpがステップS7で設定された基準圧力bよりも低いか否かを判定する。そして、ステップS17でNO、つまりパージ通路30の内部圧力ftpが基準圧力bよりも高いと判定したときは、ステップS18において減圧タイマTpgonのカウント値が予め設定された30秒程度の基準時間d以上となったか否かを判定し、ステップS18の判定がNOのときは、ステップS6にリターンして上記制御動作を繰り返す。
【0032】
また、ステップS18の判定がYESで、上記基準時間dが経過した時点T2でもパージ通路30の内部圧力ftpが上記基準圧力bよりも低くなっていないというときは、蒸発燃料供給系に重度の故障(ラージリーク)があるということで、ステップS19で故障が発生したことを表示する信号を出力して制御動作を終了する。
【0033】
そして、ステップS17の判定がYESで、パージ通路30の内部圧力が基準圧力bよりも低くなった場合は、ステップS20においてパージ通路30の圧力上昇度合を測定するための診断時間eをカウントする負圧保持タイマTpgofを0にリセットし、次いで、ステップS21において記憶手段に記憶された圧力変化量の最大値ftbrmaxの記憶値を0にリセットする。
【0034】
次に、ステップS22においてパージバルブ38を閉止してパージ通路30を密閉する。そして、上記基準時間dが経過した時点T2で、ステップS23においてFTPセンサ39により検出されたパージ通路30の内部圧力を第1検出圧力ftp1として記憶した後、ステップS24においてパージバルブ38の故障を判定するための基準圧力P1を、水温および大気圧の検出値に基づいて設定する。上記基準圧力P1は、通常の運転状態では、例えば−130mmAq程度の値に設定される。
【0035】
そして、ステップS25において上記第1検出圧力ftp1が基準圧力P1よりも大きいか否かを判定し、このステップS25の判定がYESのときは、蒸発燃料供給系に中度の故障(リーク)が生じた状態であるということで、ステップS26において蒸発燃料供給系に中度の故障(リーク)が発生したことを表示させる信号を出力して制御動作を終了する。
【0036】
また、上記ステップS25でNOと判定したときは、ステップS27においてエンジンの運転状態を検出する各センサの検出値を入力した後、ステップS28において蒸発燃料供給系に軽度の故障(スモールリーク)が生じているか否かの判定基準となる圧力上昇度合の基準値Prを、水温および大気圧の検出値に基づいて設定し、次いで、ステップS29において、蒸発燃料供給系の故障判定条件が成立しているか否かを判定する。そして、ステップS29の判定がNOのときは、ステップS4へ進む。
【0037】
ステップS29の判定がYESで、蒸発燃料供給系の故障判定条件が成立しているというときは、ステップS30において減圧タイマTpgonのカウント値を1だけ加算した後、ステップS31において、残量センサ26の検出信号に基づいて油面の揺れが大きいか否かを判定する。そして、ステップS31の判定がYESで、油面の揺れが大きいというときは、蒸発燃料供給系の故障判定を実行すべき状態にないということで、ステップS4へ進む。
【0038】
また、上記ステップS31の判定がNOのときは、ステップS32において、FTPセンサ39により検出された今回のパージ通路30の内部圧力ftpの前回値との偏差を求めることにより今回の制御時における圧力変化量ftprを演算し、次いで、ステップS33において、上記圧力変化量ftprを記憶値と比較して、大きい方を最大値ftprmaxとして記憶手段に記憶させる。
【0039】
次に、ステップS34において上記タイマTpgofのカウント値を予め設定された25秒程度の診断時間eと比較して、タイマTpgofがタイムアップした否かを判定し、判定がNOで、タイムアップしていないというときは、ステップS27に戻って上記制御動作を繰り返す。そして、ステップS34の判定がYESで、上記診断時間eが経過したというとき(図2におけるT3)は、ステップS35において、FTPセンサ39により検出されたパージ通路30の内部圧力ftpを第2検出圧力ftp2として記憶し、次いで、ステップS36において、第2検出圧力ftp2から第1検出圧力ftp1を減算することにより、診断時間e内におけるパージ通路30の圧力上昇度合(ftp2−ftp1)を求める。
【0040】
次に、ステップS37において、診断時間e内におけるパージ通路30の圧力上昇度合(ftp2−ftp1)の絶対値と、予め設定された係数Kとを掛け合わせた値(k×|ftp2−ftp1|)を、揺れ度合判別用のしきい値Aとして設定する。
【0041】
そして、ステップS38において、上記ステップS33で求めた圧力変化量の最大値ftprmaxが上記揺れ度合判別用のしきい値Aよりも小さいか否かを判定し、その判定がNOで、燃料タンク20内の燃料の油面の揺れが大きく、燃料の気化が促進されることにより、パージ通路30の内部圧力が短時間で大きく上昇し易い状態にあるという場合は、故障判定を実施せず、ステップS4にリターンする。
【0042】
また、ステップS38の判定がYESで、燃料タンク20内の燃料の油面の揺れが小さいというときは、ステップS39において、上記圧力上昇度合の絶対値|ftp2−ftp1|が第2基準値Prよりも小さいか否かを判定する。
【0043】
そして、ステップS39の判定がNOで、パージ通路30の圧力上昇度合の絶対値|ftp2−ftp1|が第2基準値Pr以上のときは、ステップS40において、パージ通路30に亀裂が形成される等の故障が発生したことを表示させる信号を出力する。
【0044】
また、上記ステップS39の判定がYESで、パージ通路30の圧力上昇度合の絶対値|ftp2−ftp1|が上記第2基準値Prよりも小さいときは、正常ということで、ステップS41においてCVDVバルブ37を開放し、次いで、ステップS42でTPCVバルブ34を閉止して、制御処理を終了する。
【0045】
図7は、上記FTPセンサ39の異常診断の処理を実行するフローチャートであって、始動後スタートし、ステップS101において、FTPセンサ39のセンサ出力値を入力する。そして、ステップS102において、車速が略ゼロ(0)かどうかを判定し、この判定がNOで、車速が略ゼロでないときは、診断をしないということで、ステップS103において、タイマ値TAを0にリセットするとともに、センサ出力の最大値ftpmaxおよび最小値ftpminをそれぞれ0にリセットし、ステップS102へリターンする。
【0046】
ステップS102の判定がYESで、車速が略ゼロというときは、ステップS104において、パージバルブ38の開度変化が小さいかどうかを判定する。この判定は、FTPセンサ39の異常診断の処理を、パージ制御を行っている状態でスタートしたときに、パージ制御におけるパージバルブ38の開度変化が大きいことにより油面が揺れて燃料蒸発量が変わると、誤判定が生ずるため、そのような状態では異常診断を行わないようにするためのものであって、スタートS104の判定がNOで、パージバルブ38の開度変化が大きいというときは、ステップS103へ進み、タイマ値TAを0にリセットし、センサ出力の最大値ftpmaxおよび最小値ftpminをそれぞれ0にリセットして、ステップS102へリターンする。
【0047】
そして、ステップS104の判定がYESで、パージバルブ38の開度変化が小さいというときは、ステップS105においてタイマ値TAに1を加算し、次いで、ステップS106においてタイマ値TAが所定値TA1(所定期間)以上になったか否かを判定して、ステップS106の判定がNOで、タイマ値TAが所定値TA1に達していないというときは、ステップS101にリターンして、以上の処理を繰り返す。
【0048】
そして、ステップS106の判定がYESで、タイマ値TAが所定値TA1以上になったときは、ステップS107〜110においてセンサ出力の最大値ftpmaxおよび最小値ftpminを求める。すなわち、ステップS107において、今回のセンサ出力値ftpがそれまでに記憶された最大値ftpmaxより大きいか否かを判定して、判定がYESで、今回のセンサ出力値ftpがそれまでの最大値ftpmaxより大きいときは、ステップS108において今回のセンサ出力値ftpを新たな最大値ftpmaxとして記憶した後、ステップS109へ進み、判定がNOで、今回のセンサ出力値ftpがそれまでの最大値ftpmax以下のときは、ステップS109をスキップしてそのままステップS109へ進む。そして、ステップS109において今回のセンサ出力値ftpがそれまでの最小値ftpminより小さいか否かを判定し、判定がYESで、今回のセンサ出力値ftpがそれまでの最小値ftpminより小さいときは、ステップS110で今回のセンサ出力値ftpを新たな最小値ftpminとして記憶した後、ステップS111へ進み、判定がNOで、今回のセンサ出力値ftpがそれまでの最小値ftpmin以上というときは、ステップS110をスキップしてそのままスキップS111へ進む。
【0049】
そして、ステップS111においてタイマ値TAが所定値TA2(第2の所定期間)以上となったか否かを判定し、その判定がNOで、タイマ値TAがTA2に達していないというときは、ステップS101へリターンして、以上の処理を繰り返す。
【0050】
そして、ステップS111の判定がYESで、タイマ値TAがTA2以上となったときは、ステップS112において、上記センサ出力の最大値ftpmaxと最小値ftpminとの差の絶対値が所定値H以上か否かを判定する。そして、その判定がNOで、最大値ftpmaxと最小値ftpminとの差の絶対値が所定値Hより小さいときは、FTPセンサ39が正常であると判定して記憶し、最大値ftpmaxと最小値ftpminとの差の絶対値が所定値H以上というときは、FTPセンサ39に異常(故障)が発生したと判定して記憶する。
【0051】
残量センサ26の異常診断の処理は、上記FTPセンサ39の異常診断の場合と同様である。この場合のフローチャートは、図7のフローチャートにおけるftpを残量センサ26のセンサ出力値に代え、ftpmaxおよびftpminを残量センサ26の出力値の最大値および最小値に代えたものとなる。
【0052】
なお、本発明は、圧力センサ,残量センサに限らず、燃料タンクに配置される他のセンサの異常診断にも適用できるものである。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料タンクに配置される圧力センサ,残量センサ等のセンサの出力信号にノイズが発生した場合の異常を簡単な方法で確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るエンジンのシステム図である。
【図2】 蒸発燃料供給系の故障診断の処理を示すタイムチャートである。
【図3】 圧力センサの異常診断の処理を示すタイムチャートある。
【図4】 蒸発燃料供給系の故障診断の処理のフローチャートの一部である。
【図5】 蒸発燃料供給系の故障診断の処理のフローチャートの一部である。
【図6】 蒸発燃料供給系の故障診断の処理のフローチャートの一部である。
【図7】 圧力センサの異常診断の処理のフローチャートである。
【符号の説明】
20 燃料タンク
26 残量センサ
34 PCTVバルブ
37 CDCVバルブ
38 パージバルブ
39 FTPセンサ(燃料タンク内圧力センサ)
40 ECU(エンジンコントロールユニット)
42 車速センサ
Claims (3)
- 車両に搭載されるエンジンへの供給燃料を貯蔵する燃料タンク内の燃料の残量を検出する残量センサの異常を検出する装置であって、
車両の速度を検出する車速検出手段と、
該車速検出手段により車両の停止が検出されているときに前記残量センサの異常診断の判定を行う異常判定手段とを備え、
前記異常判定手段は、車両の停止が検出されてから前記燃料タンク内の油面の揺れが収束するのを待って、前記燃料タンク内の油面の揺れが収束した後の所定期間における前記残量センサ出力値の変動の振幅が所定振幅以上のとき、前記残量センサが異常であると判定することを特徴とするセンサの異常診断装置。 - 前記残量センサは、燃料の液面に浮上するフロートの位置に基づいて燃料の残量を検出するフロートセンサである請求項1記載の燃料タンクに配置されるセンサの異常診断装置。
- 前記燃料タンクから発生する蒸発燃料を、パージバルブを介して前記エンジンの吸気通路に供給するパージ通路を備え、前記異常判定手段は、前記パージバルブの開度変化が大きいときには異常診断の判定を行わないことを特徴とする請求項1記載のセンサの異常診断装置。
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