JP3539175B2 - 電子部品の実装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を基板に実装する電子部品の実装方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を基板に実装する方法として、電子部品または基板の電極に予め半田バンプやプリコート半田などの半田部を形成する方法が知られている。実装時に加熱されることによりこれらの半田部が溶融し、電子部品を基板の電極に半田付けする。また、電子部品と基板の隙間はアンダーフィル樹脂で封止され、アンダーフィル樹脂は半田接合部を包み込んで補強するとともに異物の侵入を防ぐ機能を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電子部品の実装に際しては、加熱手段を備えた圧着ツールにより電子部品を保持し、電極や電極上の半田部を基板の電極に押圧しながら半田部を電子部品を介して加熱し、半田部を溶融させることが行われる。ところが、電子部品の小型化に伴って基板の電極ピッチが狭くなると半田部の溶融時に溶融半田が流動して隣の電極の溶融半田とつながる半田ブリッジを発生し易い。そしてこの状態のまま半田が固化すると電極間が電気的に短絡し、不良品となる。このように、従来の電子部品の実装方法では、狭ピッチの電極を対象とした場合に、電極間の短絡が発生しやすいという問題点があった。
【0004】
そこで本発明は、狭ピッチの電極に電子部品を実装する際に電極間の短絡が発生しない電子部品の実装方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の電子部品の実装方法は、電子部品と基板の電極の少なくともいずれか一方に半田部を形成しておき、この半田部を介して電子部品を基板に接合する電子部品の実装方法であって、基板の電極上またはこの電極上に形成された半田部上に、半田融点温度より低い融点温度を有する硬化剤を含むボンドを塗布する工程と、前記電子部品を保持した圧着ツールを昇降手段により昇降させて前記ボンドが塗布された基板に前記電子部品を搭載する工程と、この電子部品を押圧手段によって基板に押圧しながら加熱手段によって加熱することにより前記ボンドを硬化させる工程と、前記ボンドが硬化を開始して粘度が上昇した後に前記半田部を溶融させて前記電子部品を前記基板に半田付けする工程とを含み、前記電子部品を加熱する工程において前記半田部の温度が制御切換温度範囲に到達するまでは、前記押圧手段を制御することにより電子部品を基板に押圧する押圧荷重を制御し、制御切換温度範囲に到達した後は前記昇降手段を制御することにより電子部品の基板に対する高さ位置を制御するようにした。
【0006】
請求項2記載の電子部品の実装方法は、請求項1記載の電子部品の実装方法であって、前記半田部の温度が前記制御切換温度範囲に到達するのに必要な時間を実験値に基づいて設定しておき、前記電子部品を加熱する工程においてこの設定された時間に基づいて制御方式を切り換えるようにした。
【0007】
請求項3記載の電子部品の実装方法は、請求項1記載の電子部品の実装方法であって、前記制御切換温度範囲が前記半田部の融点温度の60%に設定される設定温度と半田融点温度の間であるようにした。
【0008】
請求項4記載の電子部品の実装方法は、請求項1記載の電子部品の実装方法であって、前記制御切換温度範囲に到達したことを圧着ツールに設けられた温度計測手段によって検出するようにした。
【0009】
請求項5記載の電子部品の実装方法は、請求項4記載の電子部品の実装方法であって、前記制御切換温度範囲が前記半田部の融点温度であるようにした。
【0010】
各請求項記載の発明によれば、半田融点温度より低い融点温度を有する硬化剤を含むボンドをバンプ付電子部品の搭載前に基板上に塗布し、半田バンプが溶融する前にボンドの硬化を開始させ、かつ半田バンプの溶融後はバンプ付電子部品を保持する高さ位置を制御することにより、溶融半田の流動を抑制して電極間の短絡を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1(a),(b)、図2(a),(b)は、本発明の一実施の形態のバンプ付電子部品の実装方法の工程説明図、図3(a)は同バンプ付電子部品の実装方法の加熱温度の時間的変化を示すグラフ、図3(b)は同バンプ付電子部品の実装方法のバンプ付き電子部品の高さ位置および押圧荷重の時間的変化を示すグラフ、図3(c)は同バンプ付電子部品の実装方法のボンドの粘度の時間的変化を示すグラフである。図1(a),(b)、図2(a),(b)はバンプ付電子部品の実装方法を工程順に示すものである。
【0012】
図1(a)において、基板1上には電極2が形成されている。この電極2上を覆って基板1の上面にディスペンサ3によりボンド4が塗布される。ボンド4は半田の融点温度より低い融点温度を有する硬化剤を含み、この融点温度にて硬化を開始する熱硬化性の接着材である。次に、このボンド4が塗布された基板1に半田バンプ6が形成されたバンプ付電子部品5が搭載される。
【0013】
バンプ付電子部品5は図1(b)に示すように、圧着ツール7に吸着により保持されており、圧着ツール7は昇降手段8により昇降するようになっている。また圧着ツール7は押圧手段9により下方に押圧され、圧着ツール7の下面に保持したバンプ付電子部品5の半田バンプ6を基板1の電極2に押圧する。これにより、半田バンプ6に表面に形成された酸化膜は破壊され、半田バンプ6の先端部には半田の露出部が形成される。
【0014】
昇降手段8および押圧手段9は制御部10に接続されており、制御部10によって昇降手段8および押圧手段9を制御することにより、バンプ付電子部品5を基板1に実装する際のバンプ付電子部品5の高さ位置、および半田バンプ6が電極2を押圧する押圧荷重を制御することができる。なお、昇降手段8および押圧手段9としては、送りねじとモータの組み合わせなどを用いることにより、単一の駆動機構によって昇降手段8および押圧手段9を兼ねさせてもよい。
【0015】
次に、バンプ付電子部品5の半田バンプ6が電極2に当接したならば、図2(a)に示すように押圧手段9を制御して圧着ツール7を介してバンプ付電子部品5を基板1に対して押圧するとともに、圧着ツール7に内蔵された加熱手段11によりバンプ付電子部品5を加熱する。また圧着ツール7には温度計測手段が設けられており、求められた圧着ツール7の温度は制御部10に伝えられ、制御部10は所定の温度プロファイルに従って加熱手段11を制御する。
【0016】
このときの加熱温度、バンプ付電子部品5の押圧荷重および高さ位置、ボンド4の粘度のそれぞれの変化の状態について図3を参照して説明する。図3(a),(b),(c)において、タイミングt0はバンプ付電子部品5のバンプ6を基板1に当接させて押圧を開始したタイミングを示している。加熱温度は図3(a)の折れ線aで示すようにまず加熱開始時点t0から上昇し、ボンド4に含まれる硬化剤が溶融し、ボンド4が硬化を開始する温度T1を超える温度に到達すると所定時間の間ほぼ一定温度に維持される。この一定温度を維持する時間はボンド4の硬化を促進する加熱工程である。
【0017】
このとき、図3(b)に示すように電子部品5を基板1に押圧する押圧荷重は、押圧手段9を制御することにより折れ線b1に示すように一定荷重値Fに保持される。そして押圧を継続している間バンプ付電子部品5の高さ位置は、折れ線b2(破線で示す)に示すように時間の経過とともに半田が押圧されて変形することによりわずかづつ下降する。この過程でバンプ6の高さのばらつきが吸収され、全てのバンプが電極の上面に押圧される。
【0018】
その結果、バンプ6と電極2の接合面積を十分に確保することができ、信頼性の高い接合部を得ることができる。このとき、加熱によって半田が軟化するため低荷重で半田を変形させることができ、バンプ付電子部品5に高荷重を負荷することによる破損などのトラブルを防止することができる。
【0019】
また、この加熱工程においてボンド4の粘度は加熱の進行につれて低下し、図3(c)のグラフcに示すように加熱温度がボンド4の熱硬化開始温度T1に到達した時点から次第に粘度の上昇が開始する。
【0020】
次に図3(a)に示すタイミングtc、すなわち半田融点温度Tm(184℃)の60%に設定された設定温度と半田融点温度Tmの間の制御切換温度範囲(図中斜線範囲)に到達するために必要な時間として予め実験によって設定される制御切換時間に到達するタイミングにて、図3(b)に示すように圧着ツール7の制御方式が切換えられる。すなわち、タイミングtcになったならば、押圧荷重の制御から昇降手段8による圧着ツール7の高さ位置制御に切換えられ、その結果バンプ付電子部品5の基板1に対する高さは、図2(b)に示すように高さhに保持される。
【0021】
この制御温度切換範囲の具体例としては、Sn中にPbを37%含ませた一般的な半田(融点温度184℃)では、110℃〜184℃、またSn中にAgを3.5%含ませた高融点型の半田(融点温度221℃)では、133℃〜221℃の範囲となる。このように制御切換温度範囲を広く取っているのは、加熱工程では加熱条件に影響する要因が多く、実際の昇温速度のばらつきが避けられないからである。
【0022】
この後図3(a)に示すように加熱温度は上昇し、タイミングtmにて半田融点温度Tmに到達して半田バンプ6は溶融する。そして溶融した半田は電極2の上面と半田接合される。このとき、半田バンプ6の周囲はボンド4が充填されて無酸素状態となっているため、半田バンプ6を電極に押圧する際に露出した半田は再び酸化されることはなく、良好な半田接合が行われる。また、半田接合に際しフラックスを使用しないので、半田接合後の洗浄を必要としない。
【0023】
ここで、バンプ付電子部品5の高さは昇降手段8によって高さhに保たれており、また半田バンプ6の周囲のボンド4は、図4(c)に示すようにタイミングtc以降は既に硬化を開始して粘度が上昇しているため、溶融半田の流動が抑制される。したがって溶融した半田が押しつぶされたり、溶融半田が流動して隣接する電極相互でつながった状態となる半田ブリッジが発生しない。
【0024】
この後、所定の加熱温度T2を所定時間保持することによりボンド4は完全硬化して接合部を固定し、バンプ付電子部品5の実装が完了する。
【0025】
なお、上記実施の形態では、半田バンプの温度が予め設定された制御切換温度範囲内に到達するのに必要な時間を実験結果に基づいて設定し、加熱工程においてはこの時間に基づいて制御方式を切り換えるようにしているが、圧着ツール7の温度を温度センサなどの温度計測手段によって求め、この検出温度が制御温度切換範囲としての半田融点温度Tmに到達したならば、制御方式を押圧荷重の制御から電子部品5の高さ位置の制御に切り換えるようにしても良い。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、半田融点温度より低い融点温度を有する硬化剤を含むボンドをバンプ付電子部品の搭載前に基板上に塗布し、半田バンプが溶融する前にボンドの硬化を開始させ、かつ半田バンプの溶融後はバンプ付電子部品を保持する高さ位置を制御するようにしたので、溶融した半田を押しつぶしたり、溶融半田の流動化によって電極間に半田ブリッジを発生して短絡を生じることがない。また半田接合に際してフラックスを使用する必要がなく、実装後の洗浄を必要とせずに信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施の形態のバンプ付電子部品の実装方法の工程説明図
(b)本発明の一実施の形態のバンプ付電子部品の実装方法の工程説明図
【図2】(a)本発明の一実施の形態のバンプ付電子部品の実装方法の工程説明図
(b)本発明の一実施の形態のバンプ付電子部品の実装方法の工程説明図
【図3】(a)本発明の一実施の形態のバンプ付電子部品の実装方法の加熱温度の時間的変化を示すグラフ
(b)本発明の一実施の形態のバンプ付電子部品の実装方法のバンプ付き電子部品の高さ位置および押圧荷重の時間的変化を示すグラフ
(c)本発明の一実施の形態のバンプ付電子部品の実装方法のボンドの粘度の時間的変化を示すグラフ
【符号の説明】
1 基板
2 電極
4 ボンド
5 バンプ付電子部品
6 半田バンプ
7 圧着ツール
8 昇降手段
9 押圧手段
10 制御部
11 加熱手段
Claims (5)
- 電子部品と基板の電極の少なくともいずれか一方に半田部を形成しておき、この半田部を介して電子部品を基板に接合する電子部品の実装方法であって、基板の電極上またはこの電極上に形成された半田部上に、半田融点温度より低い融点温度を有する硬化剤を含むボンドを塗布する工程と、前記電子部品を保持した圧着ツールを昇降手段により昇降させて前記ボンドが塗布された基板に前記電子部品を搭載する工程と、この電子部品を押圧手段によって基板に押圧しながら加熱手段によって加熱することにより前記ボンドを硬化させる工程と、前記ボンドが硬化を開始して粘度が上昇した後に前記半田部を溶融させて前記電子部品を前記基板に半田付けする工程とを含み、前記電子部品を加熱する工程において前記半田部の温度が制御切換温度範囲に到達するまでは、前記押圧手段を制御することにより電子部品を基板に押圧する押圧荷重を制御し、制御切換温度範囲に到達した後は前記昇降手段を制御することにより電子部品の基板に対する高さ位置を制御することを特徴とする電子部品の実装方法。
- 前記半田部の温度が前記制御切換温度範囲に到達するのに必要な時間を実験値に基づいて設定しておき、前記電子部品を加熱する工程においてこの設定された時間に基づいて制御方式を切り換えることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装方法。
- 前記制御切換温度範囲が前記半田部の融点温度の60%に設定される設定温度と半田融点温度の間であることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装方法。
- 前記制御切換温度範囲に到達したことを圧着ツールに設けられた温度計測手段によって検出することを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装方法。
- 前記制御切換温度範囲が前記半田部の融点温度であることを特徴とする請求項4記載の電子部品の実装方法。
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