JP3894095B2 - 電子部品の実装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、はんだや導電性接着剤等の導電性接合材を介して電子部品を基板の一面に接続し、電子部品と基板との接続部を樹脂で補強してなる電子部品の実装構造およびそのような実装構造を形成するための実装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子部品の実装構造の一般的な断面構成を図12に示す。フリップチップ、CSP(チップサイズパッケージ)、セラミック部品、モールド部品等の電子部品10が、セラミック基板やプリント基板等の基板20の一面に、導電性接合材30を介して接続されている。
【0003】
ここで、導電性接合材30は、はんだや導電性接着剤等のペースト状態から固化させることにより接合の用をなすものが採用され、導電性接合材30は電子部品10の部品電極11と基板20の基板電極21とを電気的に接続している。そして、この導電性接合材30にて形成された電子部品10と基板20との接続部を補強するため、樹脂40が設けられている。
【0004】
この樹脂40は、例えばエポキシ系、シリコン系、ポリアミド系、アクリル系等の樹脂であり、導電性接合材30以外の電子部品10と基板20との間に充填されて両者を密着させることで、上記接続部の補強の役目をなしている。
【0005】
しかしながら、上記従来の実装構造においては、樹脂40の塗布方法や注入時の電子部品10下における樹脂40の回り込み方によっては、樹脂40中にボイド100が発生するという不具合が生じる。
【0006】
特に、上記図12に示すような、電子部品10における下部に凹部12があるものにおいては、この凹部12にまで樹脂40をボイドの発生無く注入するのは非常に困難である。このことについて、従来の実装方法を参照しながら説明する。
【0007】
図13は、上記図12に示す従来実装構造を形成するための従来実装方法を示す工程図である。なお、図13(a)〜(d)は基板20の一面から見た図であるが、便宜上、樹脂40の領域にはハッチングを施してある。また、図13(e)は基板20の厚み方向に沿った断面図である。
【0008】
まず、図13(a)、(b)に示すように、基板20の一面に、導電性接合材30を介して電子部品10を搭載し、基板20の基板電極21と電子部品10の部品電極11とを接続する。ここで、導電性接合材30ははんだペーストやペースト状の導電性接着剤を配置した後、これらを加熱処理することで固化する。
【0009】
この加熱処理は、はんだをリフローさせて固化させるためや導電性接着剤を硬化させるために行う。このように、はんだの場合も導電性接着剤の場合も、導電性接合材30はいったんペースト状態から固化されることにより接合の用をなす。なお、はんだの場合のペースト状態とは、リフローによる溶融状態のことである。
【0010】
次に、図13(c)に示すように、ディスペンサK1等を用いて電子部品10の片側から基板20の一面上に樹脂40を塗布する。すると、塗布された樹脂40は、毛細管現象によって電子部品10と基板20との間に注入されていく。そして、注入完了後、樹脂40を加熱等によって硬化させることにより、実装構造が完成する。
【0011】
しかし、電子部品10と基板20との隙間は一般に小さく、樹脂の回り込み方によっては、樹脂注入完了後に、図13(d)、(e)に示すように、電子部品10の直下にて樹脂40により空気が閉じこめられてボイド100が生じる。
【0012】
特に、図13(d)、(e)に示すように、電子部品10の直下部分に凹部12が存在する場合、この凹部12以外の部分における電子部品10と基板20との隙間は通常10μm〜40μm程度しかない。このため、樹脂注入の際、電子部品10と基板20との間のうち、凹部12と基板20との間の部位よりも、それ以外の部位にて早く樹脂40が回り込んでしまう。そのため、ボイド100が発生しやすい。
【0013】
このようなボイド100は、電子装置の信頼性試験において、端子間のリーク電流不良や、電極部の腐食によるコンタクト不良や、さらには、はんだ接続部に発生する歪みを低減させる効果がボイドによって弱くなることによるはんだクラックの発生等、電子装置の信頼性を著しく低下させる原因となる。
【0014】
このボイド発生を抑制する手段としては、従来、基板に空気抜きの貫通孔を設けて樹脂を充填することにより、ボイドを除去する手法がある(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0015】
【特許文献1】
特開平11−26483号公報
【0016】
【特許文献2】
特開2001−210662号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した基板に貫通孔を設ける手法の場合、空気抜きの貫通孔からたれる樹脂の処理に多大な工数がかかることや、樹脂硬化後、貫通孔に埋まった樹脂と基板との熱膨張係数の差により温度サイクル環境下において基板割れが発生するという不具合が生じる。
【0018】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、電子部品と基板との導電性接合材による接続部を樹脂で補強するようにした実装構造において、樹脂中にボイドが発生するのを適切に抑制することを目的とする。
【0019】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基板の一面に導電性接合材を配置する工程と、基板の一面における樹脂の配置部および電子部品における樹脂の配置部の少なくとも一方に、樹脂を配置する工程と、前記各工程の後、基板の一面上に導電性接合材および樹脂を介して電子部品を搭載する工程と、続いて、導電性接合材を固化させるために必要な加熱処理を行うことにより樹脂を硬化させる工程とを備え、電子部品(10)における樹脂(40)の配置部には凹部(12)が形成されており、樹脂(40)を基板(20)の一面における樹脂の配置部に配置するようにし、電子部品を搭載するときに、基板に配置された樹脂の頂部が最初に電子部品の凹部の底部に接するように、樹脂を基板に配置することを特徴とする。
【0020】
それによれば、導電性接合材および樹脂の両方が基板と電子部品との間に介在した形で、電子部品を基板の一面に搭載することになる。そのため、従来のような樹脂を注入して充填する場合に比べて、電子部品と基板との隙間が広い状態から、部品を基板へ押しつけていくことによって樹脂が押し広げられるように配置される。そのため、樹脂中にボイドは発生しにくくなる。
【0021】
そして、導電性接合材を固化させるための加熱処理によって、同時に樹脂を硬化させることができるため、別途樹脂の硬化工程が不要となる。さらに、本発明によれば、電子部品における樹脂の配置部に凹部が形成され且つ樹脂を基板側に配置するようにした場合において、基板上の樹脂が搭載される電子部品と最初に当たる部位は、凹部の底部となる。そのため、凹部内の空気は樹脂によって押し出され、凹部内への樹脂の充填がより適切に行われる。以上のように本発明によれば、樹脂中にボイドが発生するのを適切に抑制することができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明では、導電性接合材(30)ははんだであり、樹脂(40)はその硬化温度がはんだの溶融温度よりも低いものであることを特徴とする。
【0023】
それによれば、導電性接合材がはんだである場合、導電性接合材の固化のための加熱処理工程において、はんだが溶融する前に樹脂が硬化するため、はんだと樹脂とが混ざりにくくなり、好ましい。
【0024】
また、請求項3に記載の発明では、電子部品(10)を搭載する工程の前においては、基板の一面に配置された樹脂と導電性接合材(30)とが接しないように、樹脂および導電性接合材の配置を行うことを特徴とする。
【0025】
それによれば、樹脂および導電性接合材をともに基板側に配置する場合においては、電子部品を搭載する前におけるともにペースト状の樹脂および導電性接合材同士が接しないため、これらが互いに混ざり合う可能性を極力回避することができ、好ましい。
【0029】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る電子部品の実装構造を示す概略断面図である。電子部品10が基板20の一面に導電性接合材30を介して電気的に接続され、この電子部品10と基板20との接続部を補強するために、電子部品10と基板20との間に樹脂40が充填されている。
【0031】
電子部品10は、フリップチップ、CSP(チップサイズパッケージ)、セラミック部品、モールド部品等を採用することができ、本例では、モールドされたダイオードとしている。この電子部品10の単体構成図を図2(a)、(b)に示す。図2において(a)は図1に対応した断面図、(b)は(a)中のA矢視図である。
【0032】
電子部品10は、その両端部に部品電極11を有しており、基板20の一面と対向する面にモールド樹脂により形成された凹部12が形成されている。ここで、図2に示すように、本例の電子部品10では、部品電極11の間の距離W11は2mm程度であり、凹部12は直径D1がφ1mm程度の丸穴形状をなしている。また、電子部品10の幅W12は2mm程度であり、電子部品10における両部品電極11の端部を結ぶ長さLは5mm程度である。
【0033】
また、図1に示す基板20は、アルミナ基板、AlN基板といったセラミック基板やプリント基板等を採用することができる。本例では、アルミナ基板としている。基板20の一面には、電子部品10の部品電極11に対応した位置に、AuやAg、Cu等からなる基板電極21が形成されている。
【0034】
このような電子部品10と基板20とは、図1に示すように、導電性接合材30を介して部品電極12と基板電極21とが接続されることにより、機械的、電気的に接続されている。導電性接合材30としては、はんだや導電性接着剤等のペースト状態から固化させることにより接合の用をなすものが採用される。
【0035】
ここで、導電性接合材30となるはんだやペースト状の導電性接着剤は、加熱処理することで固化される。つまり、加熱処理によって、はんだはリフローしてその後固化し、導電性接着剤も硬化して固化する。なお、はんだの場合のペースト状態とは、リフローによる溶融状態のことである。
【0036】
そして、図1に示すように、樹脂40は、導電性接合材30にて形成された電子部品10と基板20との接続部を補強するために基板20の一面上に設けられている。この樹脂40は、例えばエポキシ系、シリコン系、ポリアミド系、アクリル系等の樹脂である。
【0037】
本例では、樹脂40は、導電性接合材30以外の部分における電子部品10と基板20との間にて凹部12までもほぼ隙間無く充填されている。このように樹脂40を配置することにより、電子部品10と基板20との接続部が補強されている。
【0038】
ちなみに、本例では、アルミナ基板としての基板20の熱膨張係数αが7ppm程度、モールド部品としての電子部品10の熱膨張係数αが23ppm程度である。このように、熱膨張係数の差が大きいために、温度サイクル環境下では導電性接合材30による接続部にクラックが発生しやすい。そのため、樹脂40をアンダーフィル材として補強している。
【0039】
次に、上記図1に示す実装構造に基づいて、本実施形態の実装方法を説明する。図3〜図6は、本実装方法を示す工程図である。本実装方法では、導電性接合材30としてはんだを用いた場合を説明する。なお、図6、図7の各(a)図においては、便宜上、樹脂40の領域にハッチングを施してある。
【0040】
[図3に示す工程]
図3において(a)は基板20の一面から見た図、(b)は(a)中のB−B断面図である。まず、上記基板20を用意する。このとき、基板20においては、AuやAg、Cu等からなる基板電極21が形成されている。
【0041】
そして、この基板20の一面に導電性接合材30を配置する(導電性接合材配置工程)。本例では、基板電極21の上に導電性接合材としてのはんだ30を印刷して配置する。はんだ30としては、溶融温度が220〜230℃程度であるSn−Ag−Cu系はんだ等のPbフリーはんだや、溶融温度が183℃程度であるSn−Pb共晶はんだ等を採用できる。
【0042】
次に、図4に示すような、基板20の一面における樹脂の配置部に、樹脂40を配置する樹脂配置工程を行う。
【0043】
[図4に示す工程]
図4において(a)は基板20の一面から見た図、(b)は(a)中のC−C断面図である。ここで樹脂配置工程では、例えばニードルの径が22GであるディスペンサK1を用いて基板20の一面における両基板電極21の間に塗布して配置する。樹脂40の塗布量としては例えば6±1mg程度にできる。またはスタンプ法で樹脂40を配置しても良い。
【0044】
上述したように、樹脂40としてはエポキシ系、シリコン系、ポリアミド系、アクリル系等の樹脂を採用できる。また、導電性接合材がはんだ30である本例においては、樹脂40はその硬化温度がはんだ30の溶融温度よりも低いことが好ましい。
【0045】
これは、後述する後工程としての樹脂硬化工程において、樹脂40と溶融したはんだ30とが混ざり合うのを回避するためであり、具体的には、樹脂40の硬化温度は、はんだ溶融温度よりも十分低い温度として120℃〜180℃程度であるものにできる。さらに、はんだ30のフラックスが樹脂40と混ざり合うのを回避するため、樹脂40の硬化温度はフラックスの活性化温度140〜150℃よりも低いと、なお好ましい。
【0046】
さらに、樹脂40は塗布後のダレ防止抑制のためチクソが高く、かつ、加熱時に電子部品10の下全体に十分に回り込むように加熱により粘度が低くなる材料が望ましい。
【0047】
なお、導電性接合材配置工程と樹脂配置工程との実行順序は反対であっても良い。つまり、先に基板20の一面にディスペンス法やスタンプ法または印刷法により樹脂40を配置し、その後、ディスペンス法によってはんだ30もしくは導電性接着剤を基板電極21の上に配置するようにしても良い。
【0048】
また、本例のように樹脂40を基板20の一面における樹脂40の配置部に配置するようにした場合、後述する電子部品搭載工程の前においては、基板20の一面に配置された樹脂40と導電性接合材30とが接しないように、樹脂40および導電性接合材30の配置を行うことが好ましい。
【0049】
これは、電子部品10を搭載する前においては、ともにペースト状の樹脂40および導電性接合材30同士が接していない状態となるため、両者が互いに混ざり合う可能性を極力回避することができるためである。もし、混ざり合うと、樹脂40の補強特性や導電性接合材30の接合特性に悪影響を与える恐れがある。
【0050】
ここで、基板20上において配置されたはんだ30と樹脂40との間の距離は、樹脂40の拡がりばらつきやはんだ30の印刷ばらつき等を合わせても、両者が接しないような距離とすることが望ましい。こうして、導電性接合材の配置および樹脂の配置の各工程を行った後、図5に示す工程を行う。
【0051】
[図5に示す工程]
図5において(a)は基板20の一面から見た図、(b)は(a)中のD−D断面図である。この工程は、基板20の一面上に導電性接合材30および樹脂40を介して電子部品10を搭載する工程(電子部品搭載工程)である。
【0052】
このとき、本例では、電子部品10における樹脂40の配置部には凹部12が形成されているが、この凹部12近傍の拡大図を図7に示す。本例では、図7(a)に示すように、電子部品10を搭載するときに、基板20上の樹脂40が搭載される電子部品10と最初に当たる部位は、凹部12の底部となることが好ましい。
【0053】
つまり、電子部品10における樹脂40の配置部に凹部12が形成され、樹脂40を基板20側に配置した場合において、電子部品10を搭載するときに、基板20に配置された樹脂40の頂部が最初に電子部品10の凹部12の底部に接するように、配置された樹脂40の形を考慮して樹脂40を基板20に配置することが好ましい。
【0054】
この図7(a)のようにすれば、電子部品10の凹部12内の空気は樹脂40によって押し出され、凹部12内への樹脂40の充填がより適切に行われ、好ましい。ちなみに、図7(b)に示すように、樹脂40が電子部品10の凹部12における底部より先に開口縁部に当たると、凹部12内に空気が閉じこめられ、わずかながらボイドが生じる恐れがある。
【0055】
また、図8はこの電子部品搭載工程において、電子部品10を基板20側へ押し付けていったときの樹脂40の挙動を示す図である。電子部品10によって樹脂40は押し潰されて、はんだ30の方向へ拡がるが、このとき、部品電極11とはんだ30とが接した後に、樹脂40とはんだ30とが接するようにすることが必要である。そうでないと、部品電極11とはんだ30との間に樹脂40が入り込み、はんだ接合性を低下させるためである。
【0056】
そこで、好ましくは、この電子部品10の搭載(基板20への押し付け)が終了した時点においても、樹脂40とはんだ30とが接しないようにすることが好ましい。上述した樹脂40が凹部12の底部へ最初に当たることや、樹脂40とはんだ30との接触防止などの対策は、樹脂40のチクソを高くして塗布後のダレを抑制したり、塗布形状や塗布量を考慮することで行う。
【0057】
[図6に示す工程]
図6において(a)は基板20の一面から見た図、(b)は(a)中のE−E断面図である。この工程は、導電性接合材30を固化させるために必要な加熱処理を行うことにより、樹脂40を硬化させる工程(樹脂硬化工程)である。本例では、導電性接合材としてのはんだ30のリフロー工程となる。
【0058】
リフロープロファイルの一例を図9に示す。例えば、図9では、第1の昇温領域T0、プリヒート領域T1、第2の昇温領域T2、はんだ溶融領域T3の順になっている。
【0059】
このリフロープロファイルにおいて、はんだ30にSn−Ag−Cu系のPbフリーはんだを採用し、樹脂40にエポキシ樹脂を採用した場合、プリヒート領域T1は150±10℃で120±60秒、第2の昇温領域T2の昇温速度は1℃/秒、はんだ溶融領域T3は、ピーク温度が235±5℃であって溶融温度および時間が220℃以上、40±10秒、というようにできる。
【0060】
そして、このリフロープロファイルに沿ってリフロー工程を行う。まず、第1の昇温領域T0、プリヒート領域T1にて、樹脂40の硬化温度がはんだ30の溶融温度よりも低いため、はんだ30は配置時の形を維持しつつ、樹脂40は粘度低下により毛細管現象によって電子部品10の下全体に確実に拡がり、硬化し始める。
【0061】
次に、第2の昇温領域T2、はんだ溶融領域T3にて、樹脂40の硬化がさらに進むと同時にしつつはんだ30が溶融し、両電極11、21を接続する。その後は冷却することで、はんだ30が固化し、はんだ付けが完了する。こうして、本実施形態の実装構造が完成する。
【0062】
ところで、本実施形態の実装方法によれば、導電性接合材30および樹脂40の両方が基板20と電子部品10との間に介在した形で、電子部品10を基板20の一面に搭載することになる。
【0063】
そのため、従来のような樹脂を電子部品と基板との狭い間に注入して充填する場合に比べて、電子部品10と基板20との隙間が広い状態から、部品10を基板20へ押しつけていくことによって樹脂40が押し広げられるように配置される。そのため、樹脂40中にボイドは発生しにくくなる。
【0064】
そして、導電性接合材30を固化させるための加熱処理によって、同時に樹脂40を硬化させることができるため、別途樹脂の硬化工程が不要となる。以上のように本実施形態によれば、樹脂40中にボイドが発生するのを適切に抑制することができる。
【0065】
実際に、本実施形態の実装方法によれば、電子部品10として、その樹脂40の配置部に凹部12が形成されているものを用いた場合でも、クラックが樹脂40中に発生する確率はほとんど0であった。それに対して、従来の実装方法(上記図13参照)によれば、ほとんどの場合、樹脂40にクラックが発生した。
【0066】
図10は、本実施形態の実装方法で作製したボイド無しの実装構造(図中、白丸プロット)と、比較例として従来の実装方法で作製したボイドありの実装構造(図中、黒丸プロット)とで、はんだ接続部の信頼性を調べた結果を示す図である。−40℃、5分間と125℃、5分間のサイクルを繰り返していったときに、はんだ接続部にクラックが発生するかどうか、さらには破断に至るかを調べた。
【0067】
図10からわかるように、従来のものでは、サイクルの早い段階でクラックが発生し、破断に至るのに対し、本実施形態のものでは、長期に渡ってクラックが発生しない。つまり、本実施形態によれば、接続部の信頼性の高い実装構造を実現する実装方法が提供される。
【0068】
また、上記した実装方法の例では、導電性接合材30としてはんだを採用しているが、導電性接着剤でも同様に実装が行えることはもちろんである。
【0069】
具体的には、上記のはんだに替えて、Agフィラーとエポキシ樹脂の降雨号物等からなる導電性接着剤30を、基板電極21の上に印刷法やディスペンス法等により配置する。一方、同様に樹脂40を基板20上へ配置する。
【0070】
その後、電子部品10を導電性接着剤30および樹脂40を介して基板20の一面に搭載する。そして、導電性接着剤30を固化(硬化)させるための加熱処理を行うことにより、同時に樹脂40の硬化も行う。こうして、電子部品の実装構造が完成する。
【0071】
また、樹脂40と導電性接着剤30とが混ざり合わないように、上述したはんだの場合と同様の好ましい形態を採用することも可能である。また、加熱処理(樹脂硬化工程)によって樹脂40が拡がる際に、導電性接着剤30と混ざり合って接続不良となるのを回避するために、導電性接着剤30の硬化の方が樹脂40の硬化温度よりも低く、導電性接着剤30の方が先に硬化することが望ましい。
【0072】
さらに、導電性接合材として導電性接着剤30を採用した場合には、導電性接着剤と樹脂40とで、お互いの硬化阻害を回避するために、互いの構成樹脂材料は同系の樹脂材料であることが好ましい。例えば、両者ともエポキシ系とすることができる。
【0073】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、樹脂配置工程は、基板20の一面における樹脂の配置部に樹脂40を配置したが、それ以外にも、電子部品10における樹脂の配置部に樹脂40を配置しても良い。
【0074】
例えば、図11(a)に示すように、搭載前の電子部品10の樹脂の配置部にディスペンサK1等を用いて樹脂40を配置する。その後、図11(b)に示すように、配置した樹脂40が基板20に対向するように電子部品10を基板20へ搭載する。
【0075】
なお、このとき、図11(b)に示すように、さらに基板20における樹脂の配置部にも樹脂40を配置しても良い。これは、例えば、電子部品側だけでは十分な量の樹脂40が供給できない場合に有効である。
【0076】
つまり、樹脂配置工程においては、基板20の一面における樹脂の配置部のみか、電子部品10における樹脂の配置部のみか、または、基板20と電子部品10における樹脂の配置部の両方に樹脂40を配置するようにできる。
【0077】
以上、本発明について実施形態を参照して述べてきたが、上記実施形態は、補強用の樹脂がはんだや導電性接着剤と混ざり合わないような工夫を施すことによって、基板上にはんだや導電性接着剤を設けた後に電子部品を搭載する場合に対して好適に使用できるものであることも付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電子部品の実装構造を示す概略断面図である。
【図2】図1における電子部品の単体構成図である。
【図3】上記第1実施形態に係る電子部品の実装方法を示す工程図である。
【図4】図3に続く実装方法を示す工程図である。
【図5】図4に続く実装方法を示す工程図である。
【図6】図5に続く実装方法を示す工程図である。
【図7】上記図5に示す電子部品搭載工程における電子部品の凹部近傍を拡大して示す図である。
【図8】上記電子部品搭載工程において電子部品を基板側へ押し付けていったときの樹脂の挙動を示す図である。
【図9】上記図6に示す樹脂硬化工程におけるリフロープロファイルの一例を示す図である。
【図10】上記実施形態の実装方法による接続部信頼性向上の効果を示す図である。
【図11】他の実施形態としての実装方法を示す図である。
【図12】従来の電子部品の実装構造の一般的な断面構成を示す図である。
【図13】従来の一般的な実装方法を示す図である。
【符号の説明】
10…電子部品、12…凹部、20…基板、30…導電性接合材、
40…樹脂。
Claims (3)
- ペースト状態から固化させることにより接合の用をなす導電性接合材(30)を介して電子部品(10)を基板(20)の一面に搭載して前記電子部品と前記基板とを前記導電性接合材によって電気的に接続するとともに、前記電子部品と前記基板との間に樹脂(40)を充填して配置することにより前記電子部品と前記基板との接続部を補強するようにした電子部品の実装方法であって、
前記基板の一面に前記導電性接合材を配置する工程と、
前記基板の一面における前記樹脂の配置部および前記電子部品における前記樹脂の配置部の少なくとも一方に、前記樹脂を配置する工程と、
前記各工程の後、前記基板の一面上に前記導電性接合材および前記樹脂を介して前記電子部品を搭載する工程と、
続いて、前記導電性接合材を固化させるために必要な加熱処理を行うことにより、前記樹脂を硬化させる工程とを備え、
前記電子部品(10)における前記樹脂(40)の配置部には凹部(12)が形成されており、前記樹脂(40)を前記基板(20)の一面における前記樹脂の配置部に配置するようにし、
前記電子部品を搭載するときに、前記基板に配置された前記樹脂の頂部が最初に前記電子部品の前記凹部の底部に接するように、前記樹脂を前記基板に配置することを特徴とする電子部品の実装方法。 - 前記導電性接合材(30)ははんだであり、前記樹脂(40)はその硬化温度が前記はんだの溶融温度よりも低いものであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の実装方法。
- 前記電子部品(10)を搭載する工程の前においては、前記基板の一面に配置された前記樹脂と前記導電性接合材(30)とが接しないように、前記樹脂および前記導電性接合材の配置を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品の実装方法。
Priority Applications (1)
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