JP3539121B2 - ドットクロック生成回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、同期信号からドットクロックを生成する技術に関し、特に、ドットクロックの位相を適切に設定するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は、従来のドットクロック生成回路を含む映像信号処理装置の一部の構成を示すブロック図である。この映像信号処理装置は、PLL回路100と、遅延回路102と、A−Dコンバータ104とを備えている。
【0003】
PLL回路100は、水平同期信号HSYNCの周波数を一定の逓倍数で逓倍することによって参照クロック信号RCLKを生成する。遅延回路102は、この参照クロック信号RCLKに遅延φを与えてドットクロックDCLKを生成する。A−Dコンバータ104は、このドットクロックDCLKの立ち上がりエッジでアナログ映像信号YINをサンプリングしてデジタル映像信号YOUTを生成する。映像信号処理装置では、このデジタル映像信号YOUTを用いて映像の処理や表示等を実行する。
【0004】
図16は、従来技術におけるアナログ映像信号YINと2つのクロック信号RCLK,DCLKのタイミングチャートである。図16(a)に示すように、アナログ映像信号YINは、安定領域Rstと過渡領域Rtrとを含んでいる。安定領域Rstは、映像の本来の情報を含んでいるのに対して、過渡領域Rtrはリンギングやなまりを含んでいる。図16(b)に示す参照クロック信号RCLKは、過渡領域Rtrに立ち上がりエッジが存在する。従って、仮に参照クロック信号RCLKの立ち上がりエッジでアナログ映像信号YINをサンプリングすると仮定すると、得られるデジタル映像信号YOUTはノイズを含む不鮮明な映像を表す信号となる。一方、図16(c)に示すドットクロック信号DCLKの立ち上がりエッジは、参照クロックRCLKの立ち上がりエッジよりも遅延量φだけ遅れており、安定領域Rstに存在する。このように、遅延回路102は、参照クロック信号RCLKに遅延φを与えることによって、映像信号の処理に適した位相を有するドットクロックDCLKを生成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、参照クロック信号RCLKを遅延させることによって適切な位相を有するドットクロック信号DCLKを生成する場合には、図16(c)に示すように、ドットクロック信号DCLKのデューティー比が遅延量に応じてかなり変化するという問題がある。デューティー比が大幅に変化すると、ドットクロック信号DCLKの立ち上がりと立ち下がりが不明瞭になり、この結果、ドットクロック信号DCLKから正しいタイミングが得られない場合があるという問題があった。
【0006】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、ドットクロック信号のデューティー比をあまり変化させることなくドットクロック信号の位相を調整することのできる技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第1のドットクロック生成回路は、
位相周波数検出器と、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを有し、前記ドットクロック信号を出力するPLL回路と、
前記分周器から出力される帰還信号と前記同期信号とのうちの一方を遅延させるための可変遅延回路と、
前記帰還信号と前記同期信号の2つの信号のうちの一方を選択して前記可変遅延回路に供給するように、前記帰還信号と前記同期信号の接続状態を相補的に切換える切換回路と、を備え、
前記帰還信号と前記同期信号の2つの信号のうちで前記可変遅延回路で遅延された一方の信号と他方の信号とが前記位相周波数検出器の基準入力端子と帰還入力端子とのうちのいずれかにそれぞれに供給されることを特徴とする。
【0008】
第1のドットクロック生成回路では、位相周波数検出器に入力される2つの信号のうちの一方を遅延させるので、ドットクロック信号のデューティー比をあまり変化させることなくドットクロック信号の位相を調整することができる。また、同期信号を遅延させればドットクロック信号の位相を同期信号に対して遅らせることができ、一方、帰還信号を遅延させればドットクロック信号の位相を同期信号に対して進めることができる。従って、切換回路の切換状態に応じて、ドットクロック信号の位相を同期信号に対して遅らせたり進めたりすることができる。
【0009】
本発明の第2のドットクロック生成回路は、
位相周波数検出器と、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを有し、前記ドットクロック信号を出力するPLL回路と、
前記分周器から出力される帰還信号と前記同期信号とのうちの一方を遅延させるための可変遅延回路と、
前記帰還信号と前記同期信号の2つの信号のうちで前記可変遅延回路で遅延された一方の信号と他方の信号とを前記位相周波数検出器の基準入力端子と帰還入力端子とに相補的に切換えて供給する切換回路と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
第2のドットクロック生成回路においても、第1のドットクロック生成回路と同様に、ドットクロック信号のデューティー比をあまり変化させることなくドットクロック信号の位相を調整することができる。切換回路の2つの切換状態のうちで、動作がより安定な状態を選択することができる。
【0011】
本発明の第2のドットクロック生成回路は、
位相周波数検出器と、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを有し、前記ドットクロック信号を出力するPLL回路と、
前記分周器から出力される帰還信号と前記同期信号とのうちの一方を遅延させるための可変遅延回路と、
前記帰還信号と前記同期信号の2つの信号のうちの一方を選択して前記可変遅延回路に供給するように、前記帰還信号と前記同期信号の接続状態を相補的に切換える第1の切換回路と、
前記帰還信号と前記同期信号の2つの信号のうちで前記可変遅延回路で遅延された一方の信号と他方の信号とを前記位相周波数検出器の基準入力端子と帰還入力端子とに相補的に切換えて供給する第2の切換回路と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
第3のドットクロック生成回路においても、第1のドットクロック生成回路と同様に、ドットクロック信号のデューティー比をあまり変化させることなくドットクロック信号の位相を調整することができ、また、第1の切換回路の切換状態に応じて、ドットクロック信号の位相を同期信号に対して遅らせたり進めたりすることができる。さらに、第2のドットクロック生成回路と同様に、第2の切換回路の2つの切換状態のうちで、動作がより安定な状態を選択することができる。
【0013】
本発明の第4のドットクロック生成回路は、
位相周波数検出器と、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを有し、前記ドットクロック信号を出力するPLL回路と、
前記分周器から出力される帰還信号を遅延させるための第1の可変遅延回路と、
前記第1の可変遅延回路における遅延量とは独立に前記同期信号を遅延させるための第2の可変遅延回路と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
第4のドットクロック生成回路では、第1と第2の可変遅延回路における遅延量をそれぞれ調整することによって、ドットクロック信号と同期信号との相対的な位相を調整することができる。従って、ドットクロック信号のデューティー比をあまり変化させることなくドットクロック信号の位相を調整することができ、また、ドットクロック信号の位相を同期信号に対して遅らせたり進めたりすることができる。また、第4のドットクロック生成回路では切換回路を使用する必要がないので、切換回路における切換時に発生する可能性のあるドットクロック信号の揺れを回避することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の第1実施例としてのドットクロック生成回路を含む映像信号処理装置の一部の構成を示すブロック図である。この映像信号処理装置は、PLL回路40と、可変遅延回路50と、A−Dコンバータ60と、CPU70と、切換回路80とを備えている。PLL回路40は、位相周波数検出器(PFD)42と、ローパスフィルタ(LPF)44と、電圧制御発振器(VCO)46と、分周器48とを備えている。PLL回路40と可変遅延回路50は、水平同期信号HSYNCからドットクロック信号DCLKを生成するためのドットクロック生成回路を構成している。なお、PLL回路40内の4つの回路要素のうちで、分周器48以外の3つの回路要素42,44,46で構成される回路が「PLL回路」と呼ばれることもある。
【0016】
切換回路80には、水平同期信号HSYNCと、分周器48から出力された帰還信号RETとが入力されている。切換回路80は、入力された2つの信号HSYNC,RETの一方を可変遅延回路50に供給し、他方を位相周波数検出器42の帰還入力端子FBに供給するように、2つの信号HSYNC,RETの接続状態を相補的に切り換える。可変遅延回路50の出力は、位相周波数検出器42の基準入力端子REFに供給される。なお、切換回路80を切り換える切換信号SWは、CPU70から供給される。
【0017】
図2は、切換回路80の内部構成を示すブロック図である。この切換回路80は、2つのデマルチプレクサ82,84と、インバータ86とで構成されている。水平同期信号HSYNCは第1のデマルチプレクサ82に入力され、帰還信号RETは第2のデマルチプレクサ84に入力されている。第1と第2のデマルチプレクサ82,84の第1の出力Q82a,Q84aは、OR接続されて、第1の出力信号Q1として切換回路80から出力される。同様に、第1と第2のデマルチプレクサ82,84の第2の出力Q82b,Q84bもOR接続されて、第2の出力信号Q2として切換回路80から出力される。CPU70からの切換信号SWは、そのまま第2のデマルチプレクサ84に選択信号として供給されているとともに、インバータ86で反転されて第1のデマルチプレクサ82に選択信号として供給されている。従って、切換信号SWの1,0のレベルに応じて、2つの信号HSYNC,RETの一方が第1の出力信号Q1として出力され、他方が第2の出力信号Q2として出力されるように、2つのデマルチプレクサ82,84において相補的な切換が行われる。
【0018】
可変遅延回路50は、切換回路80の第1の出力信号Q1を遅延させる。可変遅延回路50における遅延量φは、CPU70からの遅延制御信号DCONによって設定される。
【0019】
図3は、可変遅延回路50の内部構成を示すブロック図である。可変遅延回路50は、多段に直列接続された複数のゲート素子52と、マルチプレクサ(MPX)54とを備えている。切換回路80の第1の出力信号(水平同期信号HSYNCまたは帰還信号RET)は、直列接続された複数のゲート素子52に入力される。複数のゲート素子52の出力端子は、マルチプレクサ54に並列に接続されている。マルチプレクサ54は、CPU70から与えられる遅延制御信号DCONに応じて、複数のゲート素子52の出力のうちから1つを選択し、遅延信号XQ1として出力する。可変遅延回路50から出力された遅延信号XQ1は、位相周波数検出器42の基準入力端子REFに供給される。一方、切換回路80の第2の出力信号Q2は、位相周波数検出器42の帰還入力端子FBに供給される。
【0020】
図1に示す第1実施例のドットクロック生成回路は、切換回路80における2つの切換状態に応じて、図4に示す第1の等価回路と、図6に示す第2の等価回路の構成を実現することができる。
【0021】
図4に示す第1の等価回路では、水平同期信号HSYNCが可変遅延回路50で遅延を受け、遅延同期信号XHSYNCが位相周波数検出器42の基準入力端子REFに入力される。一方、位相周波数検出器42の帰還入力端子FBには、分周器48から出力された帰還信号RETが供給される。位相周波数検出器42は、遅延同期信号XHSYNCと帰還信号RETとのエッジ差に応じた電圧レベルを有する信号を出力する。位相周波数検出器42の出力は、ローパスフィルタ44を通じて電圧制御発振器46に与えられる。電圧制御発振器46の出力は、ドットクロック信号DCLKとして出力されるとともに、分周器48に入力される。分周器48は、設定された逓倍数Nまでパルス数をカウントするカウンタであり、この逓倍数Nでドットクロック信号DCLKを分周する。ドットクロック信号DCLKは、遅延同期信号XHSYNCのN倍の周波数を有しており、また、遅延同期信号XHSYNCと位相が一致している(すなわち、立ち上がりエッジのタイミングが一致している)。
【0022】
A−Dコンバータ60は、ドットクロック信号DCLKの立ち上がりエッジでアナログ映像信号YINをサンプリングしてデジタル映像信号YOUTを生成する。映像信号処理装置では、このデジタル映像信号YOUTを用いて映像の処理や表示等を実行する。
【0023】
図5は、図4に示す第1の等価回路における各種の信号YIN,HSYNC,XHSYNC,DCLKのタイミングチャートである。図5(a)はアナログ映像信号YINを示しており、図5(b)は遅延のない水平同期信号HSYNCを、また、図5(c)は、この水平同期信号HSYNCと位相が一致しているドットクロック信号DCLKaを示している。図5(c)のドットクロック信号DCLKaは、可変遅延回路50(図4)における遅延量φをゼロに設定した場合に得られる信号である。図5(c)の例では、このドットクロック信号DCLKaの立ち上がりエッジがアナログ映像信号YINの過渡領域Rtrに存在するものと仮定している。
【0024】
図5(d)は遅延同期信号XHSYNCを示し、図5(e)はこの遅延同期信号XHSYNCと位相が一致しているドットクロック信号DCLKbを示している。遅延同期信号XHSYNCは、元の水平同期信号HSYNCから遅延量φだけ遅延している。この結果、図5(e)に示すドットクロック信号DCLKbの立ち上がりエッジは、アナログ映像信号YINの安定領域Rstに存在する。
【0025】
前述した図15に示す従来のドットクロック生成回路では、ドットクロック信号のデューティー比が遅延回路102における遅延量φに応じて変化していた。一方、図4に示す第1の等価回路では、水平同期信号HSYNCに遅延を与えているので、遅延同期信号XHSYNCのデューティー比が変化する可能性がある。しかし、位相周波数検出器42の出力レベルは2つの入力信号XHSYNC,RETの立ち上がりエッジの差に対応しており、それらのデューティー比には無関係なので、遅延同期信号XSYNCのデューティー比が変化しても位相周波数検出器42の出力レベルにはほとんど影響がない。従って、図4の等価回路によれば、遅延量φに係わらず、ほぼ一定のデューティー比を有するドットクロック信号DCLKを生成することができる。また、可変遅延回路50における遅延量φを調整することによって、適切な位相を有するドットクロック信号DCLKを生成することが可能である。
【0026】
図6に示す第2の等価回路では、遅延帰還信号XRETが位相周波数検出器42の基準入力端子REFに供給されており、水平同期信号HSYNCがそのまま位相周波数検出器42の帰還入力端子FBに供給されている。
【0027】
図7は、図6に示す第2の等価回路における各種の信号YIN,HSYNC,XRET,RET,DCLKのタイミングチャートである。PLL回路40は、位相周波数検出器42の基準入力端子REFと帰還入力端子FBに入力される2つの信号XRET,HSYNC(図7(c),(b))の立ち上がりエッジの差がゼロになるようにドットクロック信号DCLKの位相と周波数を調整する。図7(d)に示す帰還信号RETは、遅延帰還信号XRETよりも遅延量φだけ位相が進んだ信号である。ドットクロック信号DCLKは、帰還信号RETと位相が一致しているので、遅延帰還信号XRETよりも位相がφだけ進んでいる。従って、ドットクロック信号DCLKは、水平同期信号HSYNCよりも位相がφだけ進んでいることになる。
【0028】
なお、第2の等価回路では、水平同期信号HSYNCが位相周波数検出器42の帰還入力端子FBに入力されているので、位相周波数検出器42の出力信号の符号が図4の場合とは逆になる。これに対処するために、ローパスフィルタ44は、入力された信号レベルを反転する反転回路(図示せず)を有している。第2の等価回路においては、この反転回路でローパスフィルタ44への入力信号またはローパスフィルタ44からの出力信号を逆転している。この反転回路のオン/オフは、切換回路80に与えられるものと同じ切換信号SWによって制御される。
【0029】
このように、第2の等価回路では、分周器48からの帰還信号RETを遅延させて位相周波数検出器42の基準入力端子REFに供給することによって、ドットクロック信号DCLKの位相を水平同期信号HSYNCから進ませることができる。この結果、ドットクロック信号DCLKの立ち上がりエッジがアナログ映像信号YINの安定領域Rst内に存在するように、ドットクロック信号DCLKの位相を調整することができる。
【0030】
このように、図4に示す第1の等価回路では、水平同期信号HSYNCに対してドットクロック信号DCLKの位相を遅らせることができ、一方、図6に示す第2の等価回路では、水平同期信号HSYNCに対してドットクロック信号DCLKの位相を進めることができる。従って、図1に示す第1実施例のドットクロック生成回路によれば、切換回路80を切り換えることによって、ドットクロック信号DCLKの位相を水平同期信号HSYNCから遅らせたり進めたりすることができる。可変遅延回路50における最大遅延量が同じであれば、図1に示す第1実施例の回路は、第1の等価回路または第2の等価回路の2倍の位相調整幅でドットクロック信号DCLKの位相を調整することができる。一方、第1実施例の回路において第1の等価回路または第2の等価回路と同じ位相調整幅を達成するためには、可変遅延回路50における最大遅延量を第1の等価回路または第2の等価回路の1/2にすることができる。
【0031】
図8は、本発明の第2実施例の映像信号処理装置のブロック図である。この装置は、図1に示す第1実施例と同じ要素で構成されており、要素間の接続が異なるだけである。すなわち、図8の装置では、可変遅延回路50の出力信号XQ1が位相周波数検出器42の帰還入力端子FBに供給されており、切換回路80の第2の出力Q2が位相周波数検出器42の基準入力端子REFに供給されている。
【0032】
図8に示すドットクロック生成回路は、切換回路80における2つの切換状態に応じて、図9に示す第3の等価回路と、図10に示す第4の等価回路の構成を実現することができる。図9に示す第3の等価回路では、帰還信号RETに遅延を与えているので、水平同期信号HSYNCに対してドットクロック信号DCLKの位相を進めることができる。第3の等価回路の動作は、前述した図6の第2の等価回路の動作(図7)とほぼ同じなので、その説明は省略する。一方、図10に示す第4の等価回路では、水平同期信号HSYNCに対してドットクロック信号DCLKの位相を遅らせることができる。第4の等価回路の動作は、前述した図4の第1の等価回路の動作(図5)とほぼ同じなので、その説明は省略する。但し、第4の等価回路では、遅延水平同期信号XHSYNCが位相周波数検出器42の帰還入力端子FBに入力されているので、位相周波数検出器42の出力信号の符号が図4の場合とは逆になる。第4の等価回路においては、ローパスフィルタ44内の図示しない反転回路で入力信号を逆転している。
【0033】
このように、図8に示すドットクロック生成回路でも、切換回路80を切り換えることによって、ドットクロック信号DCLKの位相を水平同期信号HSYNCから遅らせたり進めたりすることができる。
【0034】
図11は、本発明の第3実施例の映像信号処理装置のブロック図である。この装置も、図1に示す第1実施例と同じ要素で構成されており、要素間の接続が異なるだけである。すなわち、図11の装置では、水平同期信号HSYNCが可変遅延回路50に入力されており、得られた遅延同期信号XHSYNCが帰還信号RETとともに切換回路80に入力されている。切換回路80の第1の出力Q1は位相周波数検出器42の基準入力端子REFに供給されており、第2の出力Q2は帰還入力端子FBに供給されている。
【0035】
図11に示すドットクロック生成回路は、切換回路80における2つの切換状態に応じて、図4に示す第1の等価回路と、図10に示す第4の等価回路の構成を実現することができる。第1と第4の等価回路では、いずれも水平同期信号HSYNCに対してドットクロック信号DCLKの位相を遅らせている。しかし、図11に示す回路においては、切換回路80を切り換えることによって、第1と第4の2つ等価回路のうちで、より安定した動作を示す回路構成を選択することができる。
【0036】
図12は、本発明の第4実施例の映像信号処理装置のブロック図である。この装置も、図1に示す第1実施例と同じ要素で構成されており、要素間の接続が異なるだけである。すなわち、図12の装置では、帰還信号RETが可変遅延回路50に入力されており、得られた遅延帰還信号XRETが水平同期信号HSYNCとともに切換回路80に入力されている。切換回路80の第1の出力Q1は位相周波数検出器42の基準入力端子REFに供給されており、第2の出力Q2は帰還入力端子FBに供給されている。
【0037】
図12に示すドットクロック生成回路は、切換回路80における2つの切換状態に応じて、図6に示す第2の等価回路と図9に示す第3の等価回路の構成を実現することができる。第2と第3の等価回路では、いずれも水平同期信号HSYNCに対してドットクロック信号DCLKの位相を進めている。しかし、図12に示す回路においては、切換回路80を切り換えることによって、これらの2つ等価回路のうちで、より安定した動作を示す回路構成を選択することができる。
【0038】
図13は、本発明の第5実施例の映像信号処理装置のブロック図である。この装置は、可変遅延回路50の入力側と出力側にそれぞれ切換回路を設けた構成を有している。すなわち、図13の装置では、水平同期信号HSYNCと帰還信号RETが第1の切換回路80aに入力されている。第1の切換回路80aの第1の出力Q1aは可変遅延回路50を介して第2の切換回路80bに入力されている。また、第1の切換回路80aの第2の出力Q2aは、そのまま第2の切換回路80bに入力されている。第2の切換回路80bの第1の出力Q1aは位相周波数検出器42の基準入力端子REFに供給されており、第2の出力Q2bは帰還入力端子FBに供給されている。
【0039】
2つの切換回路80a,80bの内部構成は、図2に示したものと同じである。また、これらの2つの切換回路80a,80bに与えられる切換信号SWa,SWbはそれぞれ独立に設定可能である。従って、図13に示す回路は、2つの切換回路80a,80bにおける切換状態に応じて、第1ないし第4の等価回路の構成をいずれも実現することができる。すなわち、第5実施例によれば、ドットクロック信号DCLKの位相を水平同期信号HSYNCから遅らせたり進めたりすることができ、かつ、より安定な動作を示す回路構成を容易に実現することができる。
【0040】
図14は、本発明の第6実施例の映像信号処理装置のブロック図である。この装置は、水平同期信号HSYNCと帰還信号RETにそれぞれ専用の可変遅延回路を設けた構成を有している。すなわち、図14の装置では、水平同期信号HSYNCと帰還信号RETがそれぞれ別個の可変遅延回路50a,50bに入力されている。遅延同期信号XHSYNCは位相周波数検出器42の基準入力端子REFに供給されており、遅延帰還信号XRETは帰還入力端子FBに供給されている。
【0041】
2つの可変遅延回路50a,50bの内部構成は、図3に示したものと同じである。また、これらの2つの可変遅延回路50a,50bに与えられる遅延制御信号DCONa,DCONbはそれぞれ独立に設定可能である。従って、図14に示す回路は、2つの可変遅延回路50a,50bにおける遅延量φa,φbに応じて、ドットクロック信号DCLKの位相を水平同期信号HSYNCから遅らせたり進めたりすることができる。前述した第1実施例ないし第5実施例のドットクロック生成回路はいずれも切換回路を含むので、切換回路における切換動作時にドットクロック信号DCLKの位相が一時的にずれて、揺れが発生する可能性がある。一方、図14に示すの第6実施例のドットクロック生成回路は切換回路を含まないので、切換時の一時的な位相はずれによるドットクロック信号DCLKの揺れが発生しないという利点がある。
【0042】
なお、図14を変形して、遅延同期信号XHSYNCを位相周波数検出器42の帰還入力端子FBに入力し、遅延帰還信号XRETを基準入力端子REFに入力するようにしてもよい。但し、この場合には、ローパスフィルタ44内の反転回路がオンに設定される。
【0043】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0044】
(1)PLL回路40内の電圧制御発振器46の後段に、もう1つの分周器を設け、電圧制御発振器46から出力されるクロック信号をこの分周器で1/M(Mは整数)に分周することによって、ドットクロック信号DCLKを生成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としてのドットクロック生成回路を含む映像信号処理装置の一部の構成を示すブロック図。
【図2】切換回路80の内部構成を示すブロック図。
【図3】可変遅延回路50の内部構成を示すブロック図。
【図4】第1実施例の第1の等価回路のブロック図。
【図5】第1の等価回路における各種の信号のタイミングチャート。
【図6】第1実施例の第2の等価回路のブロック図。
【図7】第2の等価回路における各種の信号のタイミングチャート。
【図8】本発明の第2実施例のブロック図。
【図9】第2実施例の第3の等価回路のブロック図。
【図10】第2実施例の第4の等価回路のブロック図。
【図11】本発明の第3実施例のブロック図。
【図12】本発明の第4実施例のブロック図。
【図13】本発明の第5実施例のブロック図。
【図14】本発明の第6実施例のブロック図。
【図15】従来のドットクロック生成回路を含む映像信号処理装置の一部の構成を示すブロック図。
【図16】従来技術におけるアナログ映像信号YINと2つのクロック信号RCLK,DCLKのタイミングチャート。
【符号の説明】
40…PLL回路
42…位相周波数検出器
44…ローパスフィルタ
46…電圧制御発振器
48…分周器
50…可変遅延回路
52…ゲート素子
54…マルチプレクサ
60…A−Dコンバータ
70…CPU
80…切換回路
82,84…デマルチプレクサ
86…インバータ
100…PLL回路
102…遅延回路
104…A−Dコンバータ

Claims (4)

  1. 同期信号からドットクロックを生成するドットクロック生成回路であって、
    位相周波数検出器と、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを有し、前記ドットクロック信号を出力するPLL回路と、
    前記分周器から出力される帰還信号と前記同期信号とのうちの一方を遅延させるための可変遅延回路と、
    前記帰還信号と前記同期信号の2つの信号のうちの一方を選択して前記可変遅延回路に供給するように、前記帰還信号と前記同期信号の接続状態を相補的に切換える切換回路と、を備え、
    前記帰還信号と前記同期信号の2つの信号のうちで前記可変遅延回路で遅延された一方の信号と他方の信号とが前記位相周波数検出器の基準入力端子と帰還入力端子とのうちのいずれかにそれぞれに供給されることを特徴とするドットクロック生成回路。
  2. 同期信号からドットクロックを生成するドットクロック生成回路であって、
    位相周波数検出器と、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを有し、前記ドットクロック信号を出力するPLL回路と、
    前記分周器から出力される帰還信号と前記同期信号とのうちの一方を遅延させるための可変遅延回路と、
    前記帰還信号と前記同期信号の2つの信号のうちで前記可変遅延回路で遅延された一方の信号と他方の信号とを前記位相周波数検出器の基準入力端子と帰還入力端子とに相補的に切換えて供給する切換回路と、
    を備えることを特徴とするドットクロック生成回路。
  3. 同期信号からドットクロックを生成するドットクロック生成回路であって、
    位相周波数検出器と、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを有し、前記ドットクロック信号を出力するPLL回路と、
    前記分周器から出力される帰還信号と前記同期信号とのうちの一方を遅延させるための可変遅延回路と、
    前記帰還信号と前記同期信号の2つの信号のうちの一方を選択して前記可変遅延回路に供給するように、前記帰還信号と前記同期信号の接続状態を相補的に切換える第1の切換回路と、
    前記帰還信号と前記同期信号の2つの信号のうちで前記可変遅延回路で遅延された一方の信号と他方の信号とを前記位相周波数検出器の基準入力端子と帰還入力端子とに相補的に切換えて供給する第2の切換回路と、
    を備えることを特徴とするドットクロック生成回路。
  4. 同期信号からドットクロックを生成するドットクロック生成回路であって、
    位相周波数検出器と、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを有し、前記ドットクロック信号を出力するPLL回路と、
    前記分周器から出力される帰還信号を遅延させるための第1の可変遅延回路と、
    前記第1の可変遅延回路における遅延量とは独立に前記同期信号を遅延させるための第2の可変遅延回路と、
    を備えることを特徴とするドットクロック生成回路。
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