JP3536841B2 - 車両の駆動装置 - Google Patents

車両の駆動装置

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JP3536841B2 JP2002114124A JP2002114124A JP3536841B2 JP 3536841 B2 JP3536841 B2 JP 3536841B2 JP 2002114124 A JP2002114124 A JP 2002114124A JP 2002114124 A JP2002114124 A JP 2002114124A JP 3536841 B2 JP3536841 B2 JP 3536841B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの他にモ−タ
を利用して駆動を行なうようにした車両の駆動装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の車両においては、4輪駆動車が増
加する傾向にあるが、重量低減等のために、左右前輪と
左右後輪とのうちいずれか一方をエンジンにより駆動す
る主駆動輪とすると共に、他方の車輪をモ−タにより駆
動する補助駆動輪とするようにしたものがある。特開平
2−12036号公報には、駆動力の互いに異なる2つ
のモ−タを用いて、変速機の変速段に応じて、作動され
るモ−タの種類や数を変更するもの、つまりモ−タによ
る補助駆動力を変更するものが提案されている。
【0003】特開昭57−74222号公報には、左右
2つの油圧モ−タ(油圧シリンダ)に対する油圧供給の
分配が、左右の補助駆動輪に加わる路面負荷に応じて自
動的に行なわれるようにして、差動装置の機能を付加し
たものが提案されている。
【0004】特開昭63−38031号公報には、左右
2つの電気モ−タを用いたもので、車速が大きくなるほ
ど発電電圧を大きくしてモ−タの発生トルクが一定とな
るようにすると共に、マニュアルスイッチによってモ−
タによる駆動実行と駆動停止とを切換選択し得るように
したものが提案されている。
【0005】特開昭63−203429号公報には、前
輪をエンジンで駆動する一方、後輪をモータで駆動する
ようにした車両において、前後いずれか一方の駆動輪が
空転したときは、空転した駆動輪の駆動力を低下させる
と共に、他方の駆動輪の駆動力を増大させるものが開示
されている。この公報記載のものは、後述する本発明と
は異なって、常時4輪駆動であることを前提としてお
り、通常時は2輪駆動されるものとはなっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常時は2
輪駆動での駆動状態とされる車両にあって、モ−タを利
用した補助駆動輪の駆動をいかなる状態で行なうかにつ
いて、2通りの場合が考えられる。その第1のものは、
加速性を重視したもので、主駆動輪の駆動力を低下させ
ることなくモ−タによる補助駆動輪の駆動を行なって、
車両全体としての駆動力を大きくする場合である。その
第2のものは、安定性を重視したもので、主駆動輪の駆
動力を強制的に所定分低下させつつ、この低下された所
定分の駆動力に対応した駆動力でもってモ−タによって
補助駆動輪を駆動させる場合である。
【0007】しかしながら、上述した2通りの駆動態様
のいずれか一方に設定したままでは、安定性あるいは加
速性のいずれか一方が満足されても、他方は十分満足で
きないものとなる。
【0008】したがって、本発明の目的は、車両の安定
性と加速性とを共に高い次元で満足させ得るようにした
車両の駆動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明にあっては、基本的に次のような構成を有し
ている。すなわち、左右前輪と左右後輪とのいずれか一
方の車輪が、変速機および差動装置を介してエンジンに
より駆動される主駆動輪とされ、他方の車輪がモ−タに
より駆動される補助駆動輪とされた車両において、前記
主駆動輪の駆動力を低下させることなく、前記モ−タに
よって前記補助駆動輪の駆動を行なわせる第1制御手段
と、前記主駆動輪の駆動力を強制的に所定分低下させる
と共に、前記モ−タによって前記補助駆動輪の駆動を行
なわせる第2制御手段と、を備え、通常時は前記主駆動
輪のみによる駆動が実行される一方、少なくとも所定条
件下では前記補助駆動輪による駆動が合わせて行われる
ようにされている。
【0010】本発明では、上記基本的構成をそれぞれ有
していることを前提として、さらに次のような構成を有
している。すなわち、第1に、所定条件下となる車両の
急加速時には前記第1制御手段による制御が実行され、
車両の緩加速時には前記第2制御手段による制御が実行
される、ようにしてある(請求項1対応)。第2に、所
定条件下となる車両の低速時には前記第1制御手段によ
る制御が実行され、車両の高速時には前記第2制御手段
による制御が実行される、ようにしてある(請求項2対
応)。第3に、所定条件下となる車両の旋回限界以内の
時には前記第1制御手段による制御が実行され、車両の
旋回限界以上の時には前記第2制御手段による制御が実
行されるようにし、しかも第2制御手段による補助駆動
輪の駆動が、主駆動輪について強制的に所定分低下され
た駆動力に対応した駆動力でもって行われるようにして
ある(請求項3対応)。第4に、所定条件下となる車両
の直進時には前記第1制御手段による制御が実行され、
車両の旋回時には前記第2制御手段による制御が実行さ
れるようにし、しかも第2制御手段による補助駆動輪の
駆動が、主駆動輪について強制的に所定分低下された駆
動力に対応した駆動力でもって行われるようにしてある
(請求項4対応)。第5に、所定条件下となる車両の加
速要求時には前記第1制御手段による制御が実行され、
車両の旋回時には前記第2制御手段による制御が実行さ
れるようにし、しかも第2制御手段による補助駆動輪の
駆動が、主駆動輪について強制的に所定分低下された駆
動力に対応した駆動力でもって行われるようにしてある
(請求項5対応)。第6に、所定条件下となる車両の加
速要求時には前記第1制御手段による制御が実行され、
車両の旋回限界以上の時には前記第2制御手段による制
御が実行されるようにし、しかも第2制御手段による補
助駆動輪の駆動が、主駆動輪について強制的に所定分低
下された駆動力に対応した駆動力でもって行われるよう
にしてある(請求項6対応)。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、通常時はエンジンによ
って駆動される主駆動輪のみによる駆動を実行しつつ、
必要に応じて補助駆動輪による駆動をも合わせて行うよ
うにして、この補助駆動輪による駆動をも合わせて行う
ときに、加速性の点で有利となる第1制御手段による制
御と安定性の点で有利となる第2制御手段による制御と
を車両の走行状態に応じて選択的に行うようにして、こ
の安定性と加速性とを高い次元で共に満足させることが
できる。勿論、通常時は主駆動輪のみによる駆動を行う
ので、常時4輪駆動とする場合に比して、燃費等の観点
でも有利なものとなる。とりわけ、請求項3〜請求項6
に記載の発明によれば、第2制御手段による補助駆動輪
の駆動が、主駆動輪について強制的に所定分低下された
駆動力に対応した駆動力でもって行われるようにしてあ
るので、特に安定性をより十分に確保する上で好ましい
ものとなる。
【0012】本発明の好ましい態様およびその利点は以
下の実施例の説明を参照することにより明らかとなる。
【0013】
【実施例】図1〜図13は、本発明の第1の実施例を示
すものである。本実施例では、トラクション制御時が特
許請求の範囲における第2制御手段による制御態様に相
当し(図12)、加速時における正駆動のときが第1制
御手段による制御態様に相当する(図10)。なお、定
常時における正駆動のときは、第2制御手段による制御
態様とするのが好ましい(他の実施例を示す図14の説
明参照)。
【0014】油圧系統等の説明(図1) 図1において、1FLは左前輪、1FRは右前輪、1R
Lは左後輪、1RRは右後輪である。車体前方にはエン
ジン2が配置され、該エンジン2の駆動力つまり発生ト
ルクは、クラッチ3、前進5段、後進1段の手動変速機
4を介して、差動装置5へ伝達される。そして、差動装
置5からは、左駆動シャフト6Lを介して左前輪1FL
へエンジン駆動力が伝達され、右駆動シャフト6Rを介
して右前輪1FRへエンジン駆動力が伝達される。
【0015】操舵輪となる左右前輪1FL、1FR同士
は、タイロッド等のステアリングリンク7によって連係
され、このステアリングリンク7とハンドル8とが、ラ
ックアンドピニオン機構9を介して連係されている。
【0016】左右の後輪1RL、1RRは、エンジン2
とは別途独立して、左右一対の油圧式モ−タML、MR
によって駆動されるようになっている。すなわち、左後
輪1RLは、左駆動シャフト11Lを介して左モ−タM
Lにより駆動され、右後輪1RRは右駆動シャフト11
Rを介して右モ−タMRによって駆動されるようになっ
ている。このモ−タMLつまり左駆動シャフト11L
と、モ−タMRつまり右駆動シャフト11Rとは互いに
分断されていて、左右個々独立して駆動可能となってい
る。そして、左右の駆動シャフト11Lと11Rとは、
油圧式のクラッチ12によって断続可能とされている。
【0017】モ−タML(MR)は、タ−ビン式(羽根
車式)とされて、第1接続口La(Ra)と第2接続口
Lb(Rb)とを有し、La(Ra)からLb(Rb)
へと高圧の油液が流れたときに前進方向の回転となり、
これとは逆方向に高圧の油液の流れのときは後退方向の
回転とされる。そして、モ−タMLとMRとは互いに同
一仕様とされて、その最大発生トルクの合計値は、エン
ジン2の最大発生トルクの1/3〜1/2程度とされて
いる。なお、実施例では、モ−タML、MRによる後輪
駆動は後述する所定条件下においてのみ実行されるもの
である。すなわち、エンジン2により左右前輪1FL、
1FRが駆動されているときでも、左右後輪1RL、1
RRはモ−タML、MRによって駆動されない場合もあ
る。
【0018】Pは油圧発生源としてのポンプで、このポ
ンプPは、容量可変型とされて、エンジン2の出力軸2
aによって、駆動プ−リ13、ベルト14、被動プ−リ
15を介して駆動される。リザ−バタンク16からポン
プPによって汲み上げられた高圧の油液は、チェック弁
17が接続された高圧ライン18へ吐出される。この高
圧ライン18からは、チェック弁10あるいは32が接
続された互いに並列な第1および第2の油圧供給ライン
31Aおよび31Bが導出されている。また、リザ−バ
タンク16からは、解放ライン23が導出されている。
さらに、モ−タML(MR)の各接続口La、Lb(R
a、Rb)からは、互いに並列なライン20L、21L
(20R、21R)が導出されている。
【0019】左モ−タMLのライン20Lと21Lと
が、切換弁VVA、互いに並列なライン19、19Lと
ライン22、22Lおよび切換弁VVB・L、VVE・
Lを利用して、第1供給ライン31Aと解放ライン23
に対して選択的に接続可能とされている。同様に、右モ
−タMRのライン20Rと21Rとが、切換弁VVA、
互いに並列なライン19、19Rとライン22、22
R、および切換弁VVB・R、VVE・Rを利用して、
第1供給ライン31Aと解放ライン23に対して選択的
に接続可能とされている。
【0020】前記第2の共通供給ライン31Bには、前
記チェック弁32の下流側において切換弁VVIが、さ
らに下流側において分流弁34が接続されている。分流
弁VVIにより2本に分岐された一方の分岐供給ライン
33Lが、前記ライン19Lに連なり、他方の分岐供給
ライン33Rが前記ライン19Rに連なっている。
【0021】高圧ライン18には、高圧の油圧を貯留し
ておくためのアキュムレ−タ41が接続されている。こ
の高圧ライン18に対しては、ライン20L(20R)
が、通路42L(42R)によって接続されている。こ
の通路42L(42R)には、チェック弁43L(43
R)、切換弁VVF・L(VVF・R)が接続されてい
る。通路43Lと43Rとは、互いに並列で、前述の各
弁VVA、VVB・L(VVB・R)、VVE・L(V
VE・R)、VVI、分流弁34等をバイパスしてい
る。
【0022】前記ライン20L(20R)とライン21
L(21R)とが、連通路51L(51R)によって連
通され、この連通路51L(51R)には、可変オリフ
ィスVVC・L(VVC・R)が接続されている。
【0023】前記クラッチ12断続用のアクチュエ−タ
が符号61によって示される。このアクチュエ−タ61
用の供給ライン62が高圧ライン18に対して、また排
出ライン63が解放ライン23に対して、切換弁VVJ
を利用して選択的に接続可能とされると共に、当該切換
弁VVJによって両ライン62と63とが共に遮断され
た状態をとり得るようになっている。
【0024】左右の各モ−タMLとMR同士は、連通路
71によって接続されて、この連通路71には開閉弁V
VDが接続されている。前記解放ライン23は、高圧ラ
イン18に対して、チェック弁17よりも上流側(ポン
プP側)においてロ−ド・アンロ−ド弁VVHを介して
接続されると共に、チェック弁17よりも下流側におい
て安全弁VVGを介して接続されている。
【0025】制御モ−ドの説明(表1) 本実施例においては、後述するように合計8種類の制御
モ−ドを有し、各モ−ドが実行されるときの前述した各
弁の作動状態をまとめて次の表1に示してある。この表
において、左右を識別する符号「L」と「R」の表示は
省略してある。なお、表1に示されないロ−ド・アンロ
−ド弁VVHは、高圧ライン18の圧力が下限値と上限
値との間での所定圧範囲となるように開閉制御されるも
のである。
【0026】
【表1】
【0027】表1に示された各制御モ−ドにおいて、主
要な作用をはたす弁の作動状態を具体的に説明すると、
次の通りである。 (1)統合モ−ド 統合モ−ドは、後に詳述するように、左右後輪1RLと
1RRとが同一回転数となるようにモ−タML、MRの
駆動制御を行なうもので、正駆動(駆動補助)と逆駆動
(制動)との2種類ある。この統合モ−ドにおいては、
クラッチ12が締結され(切換弁VVJがライン62を
開きライン63を閉じた状態)、切換弁VVB・L(V
VB・R)、VVE・L(VVE・R)およびVVIの
作動態様は図1に示す状態とされる。この状態で、切換
弁VVAを制御して、正駆動あるいは逆駆動に応じた油
圧供給方向の切換(モ−タML、MRの正転、逆転の方
向設定)と、モ−タML、MRに対する供給流量が制御
される(第1供給ライン31Aを利用した油圧供給)。
なお、逆駆動においては、後述する油圧ロックモ−ドよ
りも大きい減速を得るものであるが、当然のことなが
ら、後輪1RL、1RRが車両の進行方向に対して逆方
向に回転するような大きな駆動力を与えるものではな
い。
【0028】(2)独立モ−ド 独立モ−ドは、後に詳述するように、左右後輪1RLと
1RRとがそれぞれ個々独立して設定される目標回転数
となるようにモ−タML、MRの駆動制御を行なうもの
で、統合モ−ドの場合と同様に正駆動と逆駆動との2種
類ある。この独立モ−ドにおいては、クラッチ12が締
結解除される(切換弁VVJがライン62を閉じライン
63を開いた状態)。切換弁VVE・L(VVE・R)
の作動態様は図1に示す状態とされるが、切換弁VVA
は中央切換位置とされて第1供給ライン31Aが遮断さ
れる。切換弁VVIは開位置とされて、第2供給ライン
31Bを利用した油圧供給態様とされる。この状態で、
切換弁VVB・L(VVB・R)を制御して、正駆動あ
るいは逆駆動に応じた油圧供給方向の切換(モ−タM
L、MRの正転、逆転の方向設定)と、モ−タML、M
Rに対する供給流量が制御される。
【0029】(3)LSDモ−ド LSDモ−ドは、作動制限機能を得るもので、切換弁V
VB・LおよびVVB・Rはライン20L、21L(2
0R、21R)を共に閉じて、モ−タML、MRに対す
る油圧の給排を完全に遮断した状態とされる。そして、
開閉弁VVDが開かれて、両モ−タMLとMRとの各閉
じられた左右の油圧経路内同士を連通して、左右のモ−
タMLとMRとの間で大きな回転差を生じてしまうのを
防止する。このLSDモ−ドでは、可変オリフィスVV
C・L(VVC・R)は全閉とされている
【0030】(4)油圧ロックモ−ド 油圧ロックモ−ドは、通路抵抗つまり可変オリフィスV
VC・L(VVC・R)の絞り抵抗を利用した減速力を
得るものである。この油圧ロックモ−ドでは、切換弁V
VB・L、VVB・Rが中央切換位置にあって、ライン
20L、21L、20R、21Rが遮断され、かつ開閉
弁VVDが閉じられている。そして、可変オリフィスV
VC・L、VVC・Rが開かれる。この状態では、油液
は、モ−タML(MR)の回転に応じて、可変オリフィ
スVVC・L(VVC・R)を含んで形成される閉じら
れた閉油圧回路を循環されることになるが、循環中に油
液が通過する可変オリフィスVVC・L(VVC・R)
の絞り抵抗が、車両への減速力を与えることになる。そ
して、可変オリフィスVVC・LおよびVVC・Rの開
度は、車両の減速度が大きいほど小さくなるように制御
される(減速度に応じた可変オリフィスVVC・L、V
VC・Rの開度設定を、図4のステップE37に例示し
てある)。なお、クラッチ12は、締結状態でも、締結
解除状態のいずれでもよい。
【0031】(5)蓄圧モ−ド 蓄圧モ−ドは、走行中に、車両つまり後輪1RL、1R
Rによって駆動されるモ−タML、MRをポンプとして
機能させて、アキュムレ−タ41に蓄圧させるものであ
る。この蓄圧モ−ドでは、ライン21L(21R)がリ
ザ−バタンク16に連通される一方、開閉弁VVF・L
(VVF・R)が開となって、リザ−バタンク16内の
油液がモ−タML(MR)により汲み上げられて、アキ
ュムレ−タ41に蓄圧される。
【0032】(6)停車モ−ド 停車モ−ドは、パ−キングブレ−キが作動していない状
態において、車両を停止させるようにモ−タML、MR
を駆動制御するものである(車速が目標車速0となるよ
うに、モ−タML、MRの駆動を制御する)。この場
合、油圧供給のラインは第2供給ライン31Bが利用さ
れ、油圧の給排制御は、切換弁VVB・L(VVB・
R)を利用して行なわれる。
【0033】(7)駐車モ−ド 駐車モ−ドは、パ−キングブレ−キが作動した状態にお
いて、駐車状態を維持しようとする作用を高めるもので
ある。すなわち、駐車モ−ドでは、切換弁VVB・L
(VVB・R)が中央切換位置の閉位置とされて油圧の
給排ラインが遮断されると共に、クラッチ12が締結さ
れる。
【0034】(8)F/Sモ−ド F/Sモ−ドは、フェイルセ−フモ−ドであり、何等か
の異常があったとき、例えば高圧ラインが異常に高圧と
なったとき、モ−タML、MRが正常に駆動されなくな
ったとき、ある弁が固着してしまったとき、さらには油
温が所定温度以上に高くなってしまたとき等には、安全
弁VVGが開かれて、高圧ライン18の油圧が解放され
る。
【0035】制御系統の説明(図2) 図2は、本発明における制御系統を示すものである。図
中U1、U2、U3はそれぞれマイクロコンピュ−タを
利用して構成された制御ユニットで、制御ユニットU1
が前述した各弁VVA等の制御を行なうメイン制御ユニ
ットである。また、制御ユニットU2はABS制御(ア
ンチロックブレ−キ制御)用であり、制御ユニットU3
はトラクション制御用である。また、S1〜S13は、
それぞれセンサあるいはスイッチである。
【0036】センサS1〜S4は、各車輪1FL〜1R
Rの回転速度つまり車輪速を個々独立して検出するもの
であり、各センサS1〜S4で検出された車輪速は、制
御ユニットU2から制御ユニットU1およびU3へ伝送
される。センサS5は、車速を検出するもので、実施例
では対地車速を検出するものとなっている(絶対車速の
検出)。センサS6は、変速機4の変速位置つまりギア
位置を検出するものである。センサS7は、エンジン回
転数を検出するものである。センサS8はハンドル舵角
を検出するものである。センサS9はアクセル開度を検
出するものである。センサS10はブレ−キペダルの踏
込み量を検出するものである。スイッチS11は、イグ
ニッションスイッチである。スイッチS12はパ−キン
グブレキが作動したか否かを検出するものである。
【0037】センサS13は、悪路(凹凸路)を検出す
るものである。悪路検出は、例えば、センサS13がサ
スペンションの上下ストロ−クを検出するものとして、
所定時間内に所定量以上のストロ−クが所定回数以上生
じた場合を悪路として制御ユニットU1が判定する。ま
た、センサS14を車体に作用する上下G(加速度)を
検出するものとしてて、所定以上の上下G所定時間内に
所定回数以上生じたときに悪路であると制御ユニットU
1が判定するように構成することもできる。なお、悪路
の度合の判定は、上記の悪路判定の各しきい値のいずれ
か1つあるいは複数を変更することにより行なえばよ
い。
【0038】各センサあるいはスイッチS5〜S14の
信号は、制御ユニットU1に入力されて、制御ユニット
U1は、前述した各弁VVA〜VVJを制御する。勿
論、制御ユニットU2は、ブレ−キ時に車輪がロックす
るのを防止するためのもので、制御ユニットU2から
は、各車輪のブレ−キを個々独立して調整するためのブ
レ−キ液圧調整手段81を制御する。また、制御ユニッ
トU3は、加速時等に常時駆動輪となる左右前輪1F
L、1FRの路面に対するスリップが過大になったとき
に、少なくともエンジン出力(エンジン2の発生トル
ク)を低減させるもので、例えばエンジン2のスロット
ル弁の開度や、点火時期、燃料噴射量等を調整するのト
ルク調整手段82を制御する。
【0039】制御ユニットU2から制御ユニットU1へ
は、センサS1〜S4で検出された車輪速信号の他、A
BS制御実行中であることを示すABS信号および路面
μ(摩擦係数)を示すμ信号が伝送される。また、制御
ユニットU2から制御ユニットU3へは、車輪速信号が
伝送される。さらに制御ユニットU3から制御ユニット
U1へは、トラクション制御実行中であることを示すT
RC信号の他、トラクション制御によって行なわれたエ
ンジントルクの減少量を示すトルク減少量信号および路
面μ信号が伝送される。なお、路面μの検出は制御ユニ
ットU1によって行なうこともでき、またセンサS1〜
S4で検出された各車輪速は、制御ユニットU1に直接
入力させるようにしてもよい。
【0040】フロ−チャ−トの説明(図3) 次に、図3以下のフロ−チャ−トを参照しつつ、制御ユ
ニットU1の制御内容について説明する。なお、以下の
説明で、D、E、W、Zはそれぞれステップを示す。先
ず、図3のメインフロ−チャ−トにおいて、D0におい
て各センサ等からの信号が入力された後、D1におい
て、イグニッションスイッチのOFF時であるか否かが
判別される。このD1の判別でNOのときは、D2にお
いて、イグニッションスイッチがONであるか否かが判
別される。このD2の判別でNOのときのときは、D3
において、安全弁VVGが開かれて、高圧ライン18の
圧力が解放された状態とされる。また、D2の判別でY
ESのときは、D4において、安全弁VVGが閉じられ
て、高圧ライン18に高圧の油圧が供給される状態とさ
れる。
【0041】D5においては、車速(対地車速)がほぼ
0であるか否かが判別される。D5の判別でYESのと
きのときは、D6において、変速機4のギア位置がニュ
−トラルであるか否かが判別される。D6の判別でYE
Sのときは、D7において、パキングブレ−キが作動さ
れているか否かが判別される。D7の判別でYESのと
きのときは、D8において、駐車モ−ドの制御が実行さ
れる。D7の判別でNOのときは、D9において、停車
モ−ドの制御が実行される。
【0042】D5の判別でNOのとき、およびD6の判
別でNOのときは、それぞれD10において、変速機4
のギア位置が後退位置であるか否かが判別される。D1
0の判別でNOのときは、D11において、現在スタッ
ク中であるか否かが判別される。このスタックであるか
否かの判別は、例えば、アクセルが踏込み操作されてお
り、車速がほぼ0で、かつ左右前輪1FL、1FRの回
転速度が車速に比して十分高いときにスタックであると
判定することができる。このD11の判別でNOのとき
は、D12において、後述するように、駐車モ−ドと停
車モ−ド以外の他の制御モ−ドを行なうか否かが判別さ
れる。
【0043】D10の判別でYESのときのときは、D
15において、モ−タML、MRを利用した駆動補助が
実行されるが、この場合は、独立モ−ドでの正駆動とさ
れる(後退方向へ後輪1RL、1RRを駆動する)。ま
た、D11の判別でYESのときは、D14において、
モ−タML、MRを利用した駆動補助が実行されるが、
この場合は、目標車速を低車速(例えばスタック解除条
件となる10km/h程度)に設定した後述する独立モ
−ドでの正駆動が行なわれる。
【0044】前記D1の判別でYESのときは、D16
においてクラッチ16が締結された後、D17において
クラッチ締結の保持がなされ(切換弁VVLがライン6
2、63を共に閉とする)、この後、D18において、
安全弁VVGが開かれる。
【0045】フロ−チャ−トの説明(図4〜図9) 図3におけるD12の詳細が、図4〜図9のフロ−チャ
−トに示される。先ず、図4のE23において、現在、
制御ユニットU3によるトラクション制御中であるか否
かが判別される。E23の判別でNOのときのときは、
E24において、現在悪路を走行中であるか否かが判別
される。このE24の判別でNOのときは、E25にお
いて、路面が低μであるか否かが判別される。E25の
判別でNOのときのときは、E26において、現在直進
中であるか否かが判別される。この直進であるか否かの
判別は、実施例では、ハンドル舵角と車速とにより横G
を演算して、この横Gが所定値以下のときに直進時であ
る判定するようにしてある。
【0046】E26の判別でYESのときは、E27〜
E39の処理が行なわれるが、この処理は、良路、高μ
路かつ直進時を前提としたものとなる。そして、最終的
に、統合モ−ドでの正駆動(E28)および逆駆動(E
35)、蓄圧モ−ド(E33、E39)あるいは油圧ロ
ックモ−ド(E31、E37)を行なう制御条件が満足
されたか否かが判定される。
【0047】なお、加速の度合および減速の度合は既知
の種々の手法によりなし得る。例えば、加速の度合は、
アクセルの踏込み速度の大きさ、アクセル踏込み量の増
大量、車速を微分して得られる車体加速度等のいずれか
1つあるいは任意の複数の組み合わせによって知ること
ができる。また、減速の度合は、例えば、アクセル解放
速度の大きさ、ブレ−キ踏込み速度の大きさ、ブレ−キ
踏込み量の増大量、車速を微分して得られる車体減速度
等のいずれか1つあるいは任意の複数の組み合わせによ
って知ることができる。ただし、実施例では、少なくと
もアクセルの戻し速度が早いとき(アクセル解放速度は
早いとき)は、油圧ロックモ−ドとするための緩減速以
上の減速であると判定するようにしてある。
【0048】図4のE26の判別でNOのときは、図5
の処理が行なわれるが、この図5は、良路、高μ路でか
つ旋回時を前提したものとなる。そして、最終的に、独
立モ−ドでの正駆動(E42)と逆駆動(E44)ある
いはLSDモ−ド(E45)を行なう制御条件が満足し
たか否かが判定される。
【0049】図4のE25の判別がYESのときは、図
6に示す処理が行なわれる。この図6において、先ずE
51において、直進時であるか否かが判別される。この
E51の判別でYESのときは、E52〜E59の処理
が行なわれるが、これは、良路、低μ路でかつ直進時を
前提として処理となる。そして、最終的に、独立モ−ド
での正駆動(E55)と逆駆動(E57)、油圧ロック
モ−ド(E54)、LSDモ−ド(E59)を行なう制
御条件が満足したか否かが判定される。
【0050】図6のE51の判別でNOのときのとき
は、図7に示す処理が行なわれるが、この処理は、良
路、低μ路でかつ旋回時を前提とした処理となる。そし
て、最終的に、独立モ−ドでの正駆動(E62)、油圧
ロックモ−ド(E65)、LSDモ−ド(E66)を行
なう制御条件が満足したか否かが判定される。
【0051】図4のE24の判別でYESのときは、図
8のE71において、極悪路であるか否かが判別され
る。このE71の判別でNOのときは、E72〜E86
の処理が行なわれるが、これは、緩悪路での制御モ−ド
の判定となる。また、E71の判別でYESのときは、
図9のE91以降の処理がなされるが、これは極悪路で
の制御モ−ドの判定となる。
【0052】フロ−チャ−トの説明(図10) 図10は、独立モ−ドでの正駆動制御の詳細を示す。な
お、統合モ−ドでの正駆動制御は、左右後輪について同
じ目標車速を与える点において異なるのみで、独立モ−
ドでの正駆動制御と実質的に同じように行なわれる。先
ず、Z1において、デ−タ入力された後、Z2におい
て、アクセル開度と変速機4の変速位置とをパラメ−タ
として、目標車速VTRが設定される。
【0053】次いで、Z3において、目標車速VTRか
ら左後輪1RLの実際の車輪速VBLを差い引いた値
が、所定速度V1よりも大きいか否かが判別される。こ
のZ3の判別でNOのときのときは、正駆動による駆動
補助は必要ない状態であるとして、Z13において、左
後輪の正駆動が中止される。上記Z3、Z13の処理
は、右後輪1RRについても、左後輪1RLと別個独立
して行なわれる。なお、上記所定速度V1は、加速に十
分なスリップ量を示す速度に設定されるが、一定値でも
よく、車速VAが大きいほど大きくなるように可変の値
として設定することもできる。Z3の判別がYESのと
きは、Z4においてアクセルが全閉であるか否かが判別
され、Z4の判別でYESのときのときも、モ−タM
L、MRを利用した駆動補助は必要のない状態であると
して、Z13に移行する(この場合は、左右後輪1R
L、1RR同時に正駆動中止)。
【0054】Z4の判別でNOのときのときは、Z5に
おいて、車速VAとハンドル舵角とに基づいて、車体に
作用する横Gが演算される。この後、Z6において、補
正係数k1、k2が設定される。そして、Z7におい
て、右旋回であるか否かが判別される。このZ7の判別
でYESのときのときは、Z9において、左後輪1RL
の目標車輪速VTRLが、Z2で決定された目標車速V
TRに対して補正係数k1を乗算することにより算出さ
れ、同様に、右後輪1RRの目標車輪速VTRRが、目
標車速VTRに対して補正係数k2を乗算することによ
り算出される。
【0055】Z7の判別でNOのときは、Z8におい
て、左右後輪1RL、1RRの各目標車輪速が算出され
る。このZ6〜Z9の処理は、つまるところ、旋回外輪
側の目標車輪速を大きく、旋回内輪側の目標車輪速を遅
くする処理に相当する。ただし、直進時には、Z7の判
別でNOとなってZ8へ移行されるが、このときは、補
正係数が1とされているので(横Gが0あるいはほぼ0
である)、左右後輪1RL、1RRの目標車輪速は互い
に等しく)。
【0056】Z8あるいはZ9の後は、Z10におい
て、目標車輪速VTRL(VTRR)から後輪1RL
(1RR)の実際の車輪速VBL(VBR)を差い引い
た値に応じて、モ−タML(MR)に供給する油液量Q
が決定される。この油液量Qは、左右のモ−タML、M
Rに対して個々独立して決定されるものである。そし
て、Z11において、決定された油液量Qを実現するよ
うに、切換弁VVB・L、VVB・Rが個々独立して制
御される。
【0057】Z12においては、車速VAから、左後輪
1RLの実際の車輪速VBLを差し引いた値が、所定速
度「−V2」よりも小さいか否かが判別される。このZ
12の判別は、つまるところ、左後輪1RLの実際の車
輪速VBLが、車速VAに比して大き過ぎるか否かの判
別となるもので、Z12の判別でYESのときは、Z1
3において、後輪が所定スリップ値を維持するように、
供給流量Qを小さくする補正が行なわれる。なお、Z1
2、Z13の処理は、右後輪1RRについても同様に行
なわれる。Z12の判別でNOのときのときは、Z13
を経ることなくリタ−ンされる。
【0058】統合モ−ドでの正駆動制御においては、Z
5〜Z9の処理が不用になり、Z2で決定された目標車
速VTRが、左右後輪1RL、1RRの目標車輪速VT
RL、VTRRとなる。また、Z11での流量Qを実現
するために、切換弁VVAが利用される。
【0059】フロ−チャ−トの説明(図11) 図11は、独立モ−ドでの逆駆動の詳細を示す。なお、
統合モ−ドでの逆駆動制御は、流量調整に用いられる切
換弁が独立モ−ド時に用いられる切換弁と相違するのみ
であり、その他は独立モ−ドでの逆駆動制御と同じよう
に行なわれる。先ず、Z21においてデ−タ入力された
後、Z22において、逆駆動フラグが1であるか否かが
判別される。このZ22の判別でNOのときのときは、
Z30において、ハンドル舵角と車速VAとをパラメ−
タとして設定された領域のどこに現在状態があるかの確
認が行なわれる。この後、Z31において、現在の状態
がZ30に示す領域中ハッチングを施したC領域にある
か否かが判別される。このZ31の判別でYESのとき
のときは、Z32において逆駆動フラグが1にセットさ
れた後Z21に戻り、Z31の判別でNOのときは、Z
32を経ることなくZ21に戻る。
【0060】Z32を経たときは、Z22の判別がYE
Sとなり、このときは、Z23において、現在ABS制
御中であるか否かが判別される。このZ23の判別でN
Oのときのときは、Z24において、ブレ−キ踏込み量
が大きいか否かが判別される。このZ25の判別でNO
のときのときは、Z25において、車速VAが所定値V
3以下の低車速時であるか否かが判別される。
【0061】Z25の判別でNOのときのときは、Z2
6において、車速VAと変速機4の変速位置とをパラメ
−タとして、モ−タML、MRに対する供給流量Qが決
定される。この後、Z27において、Z26で決定され
た流量Qが左右のモ−タML、MRに供給されるよう
に、切換弁VVB・L、VVB・Rが制御される。Z2
7の後、Z28、Z29の処理が行なわれるが、この処
理は、図9のZ12、Z13の処理に対応しており、逆
駆動力が大きくなり過ぎるのを補正する処理となる。
【0062】前記Z23、Z24、Z25のいずれかの
判別でYESのときは、Z33において逆駆動制御が中
止された後、Z34において逆駆動フラグが0にリセッ
トされる。なお、統合モ−ドでの逆駆動制御は、Z26
で決定された流量Qを実現する切換弁として、VVAが
利用される。
【0063】フロ−チャ−ト(図12) 図12は、図4のE23の判別でYESのときに行なわ
れるもので、制御ユニットU3によってトラクション制
御が実行されているときのモ−タML、MRを利用した
駆動補助(左右独立した正駆動となる)の制御となる。
先ずZ41においてデ−タ入力された後、Z42におい
て、制御ユニットU3のトラクション制御に起因して生
じる前輪1FL、1FRへの付与トルクの減少量、つま
りエンジン2での発生トルク減少量TFが、制御ユニッ
トU3からの信号に基づいて読込まれる。この後、Z4
3において、上記トルク減少量TFに応じた車速の減少
量VCが決定される。
【0064】Z44では、車速減少量VCに応じて、モ
−タML、MRに供給すべき供給流量Qが決定される。
この供給流量Qは、モ−タML、とMRとの合計発生ト
ルクがエンジン2の発生トルク低減量と同じになるよう
に決定される。この後、Z45において、トラクション
制御が中止されたか否かが判別される。Z45の判別で
NOのときのときは、Z46〜Z52の処理が行なわれ
る。このZ46〜Z52の処理は、補正係数F1、F2
を用いて、左右後輪に対する供給流量QTRL、QTR
R、つまりトルクの分配比を決定するものである。より
具体的には、旋回時には旋回外輪側へのトルク分配量を
旋回内輪側へのトルク分配量よりも大きくし(Z49、
Z51)、直進時には左右後輪へのトルク分配比が等し
くされる(Z52)。
【0065】図49、Z51あるいいはZ52の後は、
Z53以降の処理が行なわれるが、この処理は、図9の
Z11〜Z13に対応したものなので、その重複した説
明は省略する。
【0066】フロ−チャ−トの説明(図13) 図13は、図3のD9における停車モ−ドの制御内容を
示すものである。先ず、Z61においてデ−タ入力され
た後、Z62において、アクセルが踏込み操作されて否
かが判別される。このZ62の判別のNOのときは、Z
63において、目標車速VTRが0にセットされた後、
Z64において、左右後輪1RL、1RRの実際の車輪
速VBLあるいはVBRがそれぞれ目標車速VTRとな
るように、モ−タML、MRに対する供給流量がフィ−
ドバック制御される(左右独立した制御)。
【0067】ところで、変速機4が自動変速機とされた
場合(この場合は、クラッチ3がトルクコンバ−タとさ
れる)は、クリ−プと呼ばれるように、アクセルを踏込
み操作していなくても極低速での走行が行なわれるよう
になっている。このクリ−プを得るために、目標車速V
TRを例えば5km/h等に設定すれば、停車中の路面
の傾斜にかかわりなく、常にクリ−プ速度を一定に維持
することができる。そして、目標車速VTRを例えばマ
ニュアル式に0〜15km/h程度の範囲で連続可変式
あるいは無段階式に選択し得るようにすることもできる
(目標車速が0のときはクリ−プなし)。
【0068】他の実施例(図14) 図14は、本発明の他の実施例を示すものである。本実
施例では、特許請求の範囲の記載における第1制御手段
による制御態様が第1モ−ドとして示され、第2制御手
段による制御態様が第2モ−ドとして示される。第1モ
−ドとするか第2モ−ドとするかの切換条件は、図14
から明らかなので、その補足説明のみを行なうものとす
る。
【0069】本実施例では、主駆動輪となる前輪1F
L、1FRの駆動力を強制的に低下させて第2モ−ドの
制御態様とする際には、制御ユニットU1から制御ユニ
ットU3に対して、エンジン2の発生トルクを所定分低
下させる要求信号を出力するようにしてある。勿論、こ
の所定分のトルク減少量は、車速、路面μ、横G等、車
両の挙動に大きな影響を与える種々の要素をパラメ−タ
として変更することができる。
【0070】また、本実施例では、第1モ−ドのとき
は、図10に示す正駆動制御のみを行ない(本実施例で
は逆駆動は行なわない)、第2モ−ドのときは図12に
示す場合とほぼ同じように行なわれる(トルク減少量の
設定は、制御ユニットU1が行なう)。なお、トラクシ
ョン制御用の制御ユニットU3を別途有しない場合は、
制御ユニットUによって直接エンジン2の発生トルク調
整手段82を制御すればよい。
【0071】先ず、Z72における旋回限界以内である
か否かの判別は、タイヤのコ−ナリングパワ−限界以内
であるか否かの判別で、旋回限界以内ということは、車
輪が大きな横滑り起すことなく旋回し得る安定領域であ
ることを意味する。なお、実施例では、旋回限界以上の
ときは、常にモ−タML、MRによる駆動補助を禁止す
るようにしてあるが、旋回限界以上のときは、少なくと
も第1モ−ドによる制御は禁止するものの、第2モ−ド
による制御は許容させるように設定することもできる。
【0072】Z73における常時駆動の選択であるか否
かの判別は、モ−タを利用した駆動を常時要求するか、
自動選択とするかの切換を行なうマニュアルスイッチの
操作状態をみるものである。モ−タML、MRによる常
時駆動は、例えば雪道を長時間走行するときなどが考え
られる。この常時駆動の場合、原則として第2モ−ドに
よる制御を行ないつつ、急加速時のみ第1モ−ドとする
ようにしてあるが、第2モ−ドにおいては、アキュムレ
−タ41と高圧ライン18とを遮断し(エンジン2の発
生トルクのみを確実に4つの車輪1FL〜1RRに分配
する)、第1モ−ドに切換えるときに上記遮断を解除し
て、アキュムレ−タ41に蓄圧されている油圧を利用し
たモ−タ駆動を行なわせることもできる。このようなア
キュムレ−タ41と高圧ライン18との遮断、遮断解除
は、他の場合(前記実施例の場合)にも行なうことがで
きる。
【0073】以上実施例について説明したが、本発明は
これに限らず、例えば次のような場合をも含むものであ
る。 (1)左右後輪1RL、1RRをエンジン2により駆動
し、左右前輪1FL、1FRをモ−タML、MRにより
駆動するようにしてもよい。 (2)モ−タML、MRは電動式であってもよく、この場
合は、アキュムレ−タ41の代りにバッテリが用いられ
(モ−タ用に専用のものを設けてもよい)、ポンプPの
代りに発電機が用いられる。 (3)モ−タは左右独立して設けることなく、左右共通の
1つのみとしてもよい(旋回時にもモ−タによる補助駆
動を行なうときは、差動装置が設けられる)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる油圧系統の一例を示す図。
【図2】制御系統の一例を示す図。
【図3】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図4】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図5】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図6】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図7】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図8】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図9】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図10】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図11】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図12】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図13】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図14】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【符号の説明】
U1:制御ユニット(モ−タ制御用) U2:制御ユニット(ABS制御用) U3:制御ユニット(トラクション制御用) P:ポンプ ML、MR:モ−タ 1FL、1FR:前輪 1RL、1RR:後輪 2:エンジン 4:変速機 5:差動装置 82:エンジンの発生トルク調整手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B60K 6/04 710 B60K 6/04 710 F02D 29/04 F02D 29/04 Z 41/04 301 41/04 301G (56)参考文献 特開 平1−136828(JP,A) 特開 平3−138428(JP,A) 特開 昭63−203429(JP,A) 実開 平4−76527(JP,U) 実開 昭55−110328(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 6/02 - 6/06 B60K 17/28 - 17/36 F02D 29/00 - 29/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】左右前輪と左右後輪とのいずれか一方の車
    輪が、変速機および差動装置を介してエンジンにより駆
    動される主駆動輪とされ、他方の車輪がモ−タにより駆
    動される補助駆動輪とされた車両において、 前記主駆動輪の駆動力を低下させることなく、前記モ−
    タによって前記補助駆動輪の駆動を行なわせる第1制御
    手段と、 前記主駆動輪の駆動力を強制的に所定分低下させると共
    に、前記モ−タによって前記補助駆動輪の駆動を行なわ
    せる第2制御手段と、 を備え、 通常時は前記主駆動輪のみによる駆動が実行される一
    方、少なくとも車両の急加速時および緩加速時を含む所
    定条件下では前記補助駆動輪による駆動が合わせて行わ
    れるようにされて、車両の急加速時には前記第1制御手
    段による制御が実行され、車両の緩加速時には前記第2
    制御手段による制御が実行される、 ことを特徴とする車両の駆動装置。
  2. 【請求項2】左右前輪と左右後輪とのいずれか一方の車
    輪が、変速機および差動装置を介してエンジンにより駆
    動される主駆動輪とされ、他方の車輪がモ−タにより駆
    動される補助駆動輪とされた車両において、 前記主駆動輪の駆動力を低下させることなく、前記モ−
    タによって前記補助駆動輪の駆動を行なわせる第1制御
    手段と、 前記主駆動輪の駆動力を強制的に所定分低下させると共
    に、前記モ−タによって前記補助駆動輪の駆動を行なわ
    せる第2制御手段と、 を備え、 通常時は前記主駆動輪のみによる駆動が実行される一
    方、少なくとも車両の高速時および低速時を含む所定条
    件下では前記補助駆動輪による駆動が合わせて行われる
    ようにされて、車両の低速時には前記第1制御手段によ
    る制御が実行され、車両の高速時には前記第2制御手段
    による制御が実行される、 ことを特徴とする車両の駆動装置。
  3. 【請求項3】左右前輪と左右後輪とのいずれか一方の車
    輪が、変速機および差動装置を介してエンジンにより駆
    動される主駆動輪とされ、他方の車輪がモ−タにより駆
    動される補助駆動輪とされた車両において、 前記主駆動輪の駆動力を低下させることなく、前記モ−
    タによって前記補助駆動輪の駆動を行なわせる第1制御
    手段と、 前記主駆動輪の駆動力を強制的に所定分低下させると共
    に、前記モ−タによって前記補助駆動輪の駆動を該強制
    的に所定分低下された駆動力に対応した駆動力でもって
    行なわせる第2制御手段と、 を備え、 通常時は前記主駆動輪のみによる駆動が実行される一
    方、少なくとも車両の旋回限界以内の時および車両の旋
    回限界以上の時を含む所定条件下では前記補助駆動輪に
    よる駆動が合わせて行われるようにされて、車両の旋回
    限界以内の時には前記第1制御手段による制御が実行さ
    れ、車両の旋回限界以上の時には前記第2制御手段によ
    る制御が実行される、ことを特徴とする車両の駆動装
    置。
  4. 【請求項4】左右前輪と左右後輪とのいずれか一方の車
    輪が、変速機および差動装置を介してエンジンにより駆
    動される主駆動輪とされ、他方の車輪がモ−タにより駆
    動される補助駆動輪とされた車両において、 前記主駆動輪の駆動力を低下させることなく、前記モ−
    タによって前記補助駆動輪の駆動を行なわせる第1制御
    手段と、 前記主駆動輪の駆動力を強制的に所定分低下させると共
    に、前記モ−タによって前記補助駆動輪の駆動を該強制
    的に所定分低下された駆動力に対応した駆動力でもって
    行なわせる第2制御手段と、 を備え、 通常時は前記主駆動輪のみによる駆動が実行される一
    方、少なくとも車両の直進時および旋回時を含む所定条
    件下では前記補助駆動輪による駆動が合わせて行われる
    ようにされて、車両の直進時には前記第1制御手段によ
    る制御が実行され、車両の旋回時には前記第2制御手段
    による制御が実行される、 ことを特徴とする車両の駆動装置。
  5. 【請求項5】左右前輪と左右後輪とのいずれか一方の車
    輪が、変速機および差動装置を介してエンジンにより駆
    動される主駆動輪とされ、他方の車輪がモ−タにより駆
    動される補助駆動輪とされた車両において、 前記主駆動輪の駆動力を低下させることなく、前記モ−
    タによって前記補助駆動輪の駆動を行なわせる第1制御
    手段と、 前記主駆動輪の駆動力を強制的に所定分低下させると共
    に、前記モ−タによって前記補助駆動輪の駆動を該強制
    的に所定分低下された駆動力に対応した駆動力でもって
    行なわせる第2制御手段と、 を備え、 通常時は前記主駆動輪のみによる駆動が実行される一
    方、少なくとも車両の加速要求時および車両の旋回時を
    含む所定条件下では前記補助駆動輪による駆動が合わせ
    て行われるようにされ、車両の加速要求時には前記第1
    制御手段による制御が実行され、車両の旋回時には前記
    第2制御手段による制御が実行される、 ことを特徴とする車両の駆動装置。
  6. 【請求項6】左右前輪と左右後輪とのいずれか一方の車
    輪が、変速機および差動装置を介してエンジンにより駆
    動される主駆動輪とされ、他方の車輪がモ−タにより駆
    動される補助駆動輪とされた車両において、 前記主駆動輪の駆動力を低下させることなく、前記モ−
    タによって前記補助駆動輪の駆動を行なわせる第1制御
    手段と、 前記主駆動輪の駆動力を強制的に所定分低下させると共
    に、前記モ−タによって前記補助駆動輪の駆動を該強制
    的に所定分低下された駆動力に対応した駆動力でもって
    行なわせる第2制御手段と、 を備え、 通常時は前記主駆動輪のみによる駆動が実行される一
    方、少なくとも車両の加速要求時および車両の旋回限界
    以上の時を含む所定条件下では前記補助駆動輪による駆
    動が合わせて行われるようにされて、車両の加速要求時
    には前記第1制御手段による制御が実行され、車両の旋
    回限界以上の時には前記第2制御手段による制御が実行
    される、 ことを特徴とする車両の駆動装置。
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