JP3435761B2 - 車両の駆動装置 - Google Patents

車両の駆動装置

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JP3435761B2 JP27360993A JP27360993A JP3435761B2 JP 3435761 B2 JP3435761 B2 JP 3435761B2 JP 27360993 A JP27360993 A JP 27360993A JP 27360993 A JP27360993 A JP 27360993A JP 3435761 B2 JP3435761 B2 JP 3435761B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、前輪または後輪の何れ
か一方からなる第1駆動輪を駆動するエンジンを備えた
第1駆動手段と、他方の第2駆動輪を駆動するアクチュ
エータを備えた第2駆動手段とを有する車両の駆動装置
に関するものである。 【0002】 【従来の技術】最近の車両においては、エンジンの出力
を前後輪に分配することにより、路面に対する各車輪の
スリップを低減することができる4輪駆動車が増加する
傾向にある。しかし、エンジンが車体の前方に配設され
た一般的な4輪駆動車では、エンジンの駆動力を後輪側
に伝達するプロペラシャフト等をフロアパネルの下方に
配設する必要があるため、車体重量が増大するととも
に、上記プロペラシャフト等の収容部が車室内側に突出
して車室内スペースが減少する等の問題がある。 【0003】上記の問題点を解決するため、従来、例え
ば特開平2−120136号公報に示されるように、駆
動力の互いに異なる2つのモータを用い、変速機の変速
段に応じて作動するモータの種類や個数を変更すること
が行われている。また、特開昭57−74222号公報
に示されるように、左右の補助的な駆動輪を駆動する一
対の油圧モータに分配される油圧の供給量を、上記左右
の補助的な駆動輪に作用する路面負荷に応じて自動的に
制御するように構成することにより、差動装置の機能を
付加することが行われている。 【0004】さらに特開昭63−38031号公報に示
されるように、左右に設置された電気モータの駆動電圧
を車速に応じて制御することにより、上記電気モータに
よって駆動される左右の車輪の駆動力を一定に制御する
とともに、マニュアルスイッチの操作に応じて上記駆動
モータの駆動と、停止とを選択的に実行するようにした
ものが提案されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記のように前後両輪
を駆動するように構成した場合には、走行路の路面状態
に応じて走行特性が変化し易いため、エンジンとは別体
に設けられた上記モータ等のアクチュエータによって駆
動される第2駆動輪の駆動状態を、路面状態に適合させ
て制御することが望まれていた。また、上記第2駆動輪
を補助的に駆動するアクチュエータの駆動力が最終的に
エンジンに依存するため、上記モータの作動時期を必要
最小限に限定して燃費の向上を図る必要がある。 【0006】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、前輪または後輪の何れか一方からなる第1駆動
輪を駆動するエンジンを備えた第1駆動手段と、他方の
第2駆動輪を駆動するアクチュエータを備えた第2駆動
手段とを備えた車両の駆動装置において、走行路の路面
状態に適合させて第2駆動輪の駆動状態を適正に制御す
ることができるようにすることを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、アクチュエー
タML,MRによって第2駆動輪を正転方向と逆転方向
との両方向に駆動するように構成し、車両の走行状態応
じて第2駆動輪1RL,1RRを正駆動するか、逆駆動
するかを判定する判定手段104を設けるとともに、路
面μ検出手段100の検出値に応じて走行路が低μ路で
あることが確認された場合に、上記アクチュエータM
L,MRによる第2駆動輪の逆駆動を禁止するように構
成したものである。 【0008】 【作用】上記発明によれば、路面μ検出手段100の検
出値に応じて走行路が、車両の挙動変化を生じ易い低μ
路であると判定された場合には、車両の走行安定性を維
持しつつ、走破性を向上させるように、高μ路と異なる
態様で第2駆動輪の駆動状態が制御されることになる。 【0009】更に、低μ路の走行時に第2駆動輪が進行
方向と逆方向に駆動されることが禁止され、車両の挙動
が大きく変化することに起因する走行安定性の低下が防
止されることになる。 【0010】 【実施例】〔油圧系統等の説明(図2参照)〕 図2は本発明に係る車両の駆動装置の実施例を示してい
る。この駆動装置には、左右の前輪1FL,1FRから
なる第1駆動輪を駆動するエンジン2を備えた第1駆動
手段98と、左右の後輪1RL,1RRからなる第2駆
動輪をそれぞれ個別に駆動するモータML,MRからな
るアクチュエータを備えた第2駆動手段99とが設けら
れている。 【0011】上記エンジン2の駆動力は、クラッチ3、
変速機4、差動装置5および左右の駆動シャフト6L,
6Rを介して左右の前輪後輪1FL,1FRに伝達され
るようになっている。そして、操舵輪となる上記左右の
前輪1FL,1FRが、タイロッド等からなるステアリ
ングリンク7によって互いに連係されるとともに、この
ステアリングリンク7がラックアンドピニオン機構9を
介してステアリングホイール8に連係されている。 【0012】また、上記左右の後輪1RL,1RRは、
左右の駆動シャフト11L,11Rを介して上記モータ
ML,MRに連係されるとともに、この左右の駆動シャ
フト11L,11Rが油圧式のクラッチ12によって互
いに接続可能に連結されている。上記モータML,MR
は、それぞれ第1接続口La、Raと、第2接続口L
b,Rbとを有し、この第1接続口La、Raから第2
接続口Lb,Rbに高圧の作動油が供給されたときに、
前進方向に回転し、これとは逆方向に油圧が供給された
ときに、後退方向に回転するタービン式に構成されてい
る。 【0013】また、上記モータML,MRは、互いに同
一仕様とされ、その最大発生トルクの合計値がエンジン
2の最大発生トルクの1/3〜1/2程度に設定されて
いる。なお、本実施例では、上記モータML,MRによ
る後輪駆動が後述する所定条件下においてのみ実行さ
れ、左右の前輪1FL,1FRがエンジンによって駆動
されているときでも、左右の後輪1RL,1RRが上記
モータML,MRによって駆動されない場合もある。 【0014】上記第2駆動手段99は、油圧発生源とな
る容量可変ポンプPを有し、このポンプPは駆動プーリ
13、ベルト14および従動プーリ15を介して上記エ
ンジン2の出力軸2aに連結されている。そして、リザ
ーバタンク16から上記ポンプPによって汲み上げられ
た高圧の作動油は、チェック弁17が配設された高圧ラ
イン18に吐出される。 【0015】上記高圧ライン18には、チェック弁1
0,32が配設されるとともに、互いに並列に設置され
た第1,第2油圧供給ライン31A,31Bが接続され
ている。また、上記リザーバタンク16には、解放ライ
ン23が接続されている。さらに、上記モータML,M
Rの各接続口La,Lb、Ra,Rbには、互いに並列
に設置されたライン20L,21L,20R,21Rが
接続されている。 【0016】上記左側のモータMLのライン20L,2
1Lは、切換弁VVAと、ライン19,19Lと、ライ
ン22,22Lと、切換弁VVB・L,VVE・Lとを
介して上記第1油圧供給ライン31Aと、解放ライン2
3とに対して選択的に接続されるようになっている。ま
た、右側のモータMRのライン20R,21Rは、切換
弁VVAと、ライン19,19Rと、ライン22,22
Rと、切換弁VVB・R,VVE・Rとを介して上記第
1油圧供給ライン31Aと、解放ライン23とに対して
選択的に接続されるようになっている。 【0017】また、上記第2油圧供給ライン31Bに
は、チェック弁32の下流側において切換弁VVIが設
置されるともに、その下流側において分流弁34が設置
されている。この分流弁34には、2本の分岐ライン3
3L,33Rが接続され、一方の分岐ライン33Lが上
記ライン19Lに接続されるとともに、他方の分岐ライ
ン33Rが上記ライン19Rに接続されている。 【0018】上記高圧ライン18は、上記モータML,
MRの駆動エネルギーとなる高圧の作動油を備蓄するア
キュームレータ41に接続されている。また、上記高圧
ライン18には、上記ライン20L,20Rが通路42
L,42Rを介して接続され、この通路42L,42R
には、チェック弁43L,43Rおよび切換弁VVF・
L,VVF・Rが配設されている。上記両通路42L,
42Rは、上記各切換弁VVA,VVB・L,VVB・
R,VVE・L,VVE・R,VVIおよび分流弁34
をバイパスして互いに並列に配設されている。 【0019】また、上記ライン20L,20Rと、ライ
ン21L,21Rとは、連通路51L,51Rによって
それぞれ相連通され、この連通路51L,51Rには、
可変オリフィスVVC・L,VVC・Rがそれぞれ配設
されている。 【0020】上記クラッチ12は、アクチュエータ61
によって断続されるように構成されている。すなわち、
上記アクチュエータ61の供給ライン62が切換弁VV
Jを介して上記高圧ライン18に接続されたクラッチ1
2の締結状態と、上記アクチュエータ61の排出ライン
63が切換弁VVJを介して上記解放ライン23に接続
されたクラッチ12の締結解除状態と、上記両ライン6
2,63が共に遮断状態となったクラッチ12の保持状
態とに選択的に切換制御されるようになっている。 【0021】上記左右のモータML,MRは、開閉弁V
VDが配設された連通路71によって互いに接続されて
いる。また、上記解放ライン23は、チェック弁17の
上流側がロード・アンロード弁VVHを介して高圧ライ
ン18に接続されるとともに、上記チェック弁17の下
流側が安全弁VVGを介して高圧ライン18に接続され
ている。 【0022】〔制御モードの説明(表1)〕 上記第2駆動手段99は、後述するように8種類の制御
モードを有しており、各制御モードが実行される際の上
記各弁の作動状態が下記表1に示すように設定されてい
る。この表1においては、左右を識別する符号「L」お
よび「R」の表示が省略されている。なお、上記表1に
示されていないロード・アンロード弁VVHは、高圧ラ
イン18の圧力が下限値と上限値との間で所定範囲とな
るように開閉制御される。 【0023】 【表1】【0024】上記表1に示された各制御モードにおい
て、主要な作用を果たす各弁の作動状態を以下に説明す
る。 【0025】(1)総合モード 総合モードは、後に詳述するように左右の後輪1RL,
1RRが同一回転数となるようにモータML,MRの駆
動制御を行うものであり、上記後輪1RL,1RRの進
行方向に補助的な駆動力を付与する正駆動と、この後輪
1RL,1RRを進行方向と逆向きに駆動して制動力を
付与する逆駆動との2種類がある。 【0026】この総合モードにおいては、クラッチ12
が締結された状態、つまり上記切換弁VVJが供給ライ
ン62を開放するとともに、排出ライン63を閉止した
状態で、切換弁VVB・L,VVB・R,VVE・L,
VVE・R,VVIの作動態様が図2に示す状態とな
る。この状態で、切換弁VVAを制御することにより、
上記モータML,MRの正駆動および逆駆動に応じた油
圧の供給方向の切換制御と、上記第1油圧供給ライン3
1Aを利用したモータML,MRに対する油圧の供給流
量の制御とが実行される。 【0027】なお、上記逆駆動においては、後述する油
圧ロックモードよりも大きい減衰力を得るものである
が、当然のことながら、車両の前進時にあっては、後輪
1RL,1RRを車両の進行方向に対して逆方向に回転
させるような大きな駆動力を与えるものではなく、後輪
1RL,1RRに適度な制動力を与えるものである。 【0028】(2)独立モード 独立モードは、後に詳述するように左右の後輪1RL,
1RRがそれぞれ個別に設定された目標車輪速度なるよ
うに、上記モータML,MRの駆動制御を行うものであ
り、上記総合モード同様に、正駆動と逆駆動との2種類
がある。また、上記独立モードにおいては、切換弁VV
Jが供給ライン62を閉止するとともに、排出ライン6
3を開放した状態となってクラッチ12の締結が解除さ
れる。 【0029】また、上記切換弁VVE・L,VVE・R
の作動態様は、図2に示す状態となるが、切換弁VVA
が中央切換位置となって、上記第1油圧供給ライン31
Aが遮断される。さらに、切換弁VVIは、開位置とな
って、第2油圧供給ライン31Bを利用した油圧の供給
態様となる。この状態で上記切換弁VVB・L,VVB
・Rを制御することにより、上記モータML,MRの正
駆動および逆駆動に応じた油圧の供給方向の切換制御
と、モータML,MRに対する油圧の供給流量の制御と
が実行される。 【0030】(3)LSDモード LSDモードは、作動制御機能を得るものである。この
LSDモードでは、切換弁VVB・L,VVB・Rがラ
イン20L,21L,20R,21Rをそれぞれ閉止状
態とすることにより、モータML,MRに対する油圧の
給排を完全に遮断した状態とされる。そして、上記開閉
弁VVDを開放して両モータML,MRの閉じられた左
右の経路内同士を連通させることにより、左右のモータ
ML,MRの間で大きな回転差を生じることが防止され
る。また、上記LSDモードでは、可変オリフィスVV
C・L,VVC・Rは全閉状態となっている。 【0031】(4)油圧ロックモード 油圧ロックモードは、通路抵抗、つまり可変オリフィス
VVC・L,VVC・Rの絞り抵抗を利用した減速力を
得るものである。この油圧ロックモードでは、切換弁V
VB・L,VVB・Rが中央切換位置にあってライン2
0L、21L、20R,21Rがそれぞれ遮断され、か
つ開閉弁VVDが閉じられるとともに、可変オリフィス
VVC・L,VVC・Rが開放される。 【0032】この状態では、作動油がモータML,MR
の回転に応じ、上記可変オリフィスVVC・L,VVC
・Rを有する閉油圧回路を循環することになるが、この
循環中に油圧が通過する際に生じる可変オリフィスVV
C・L,VVC・Rの絞り抵抗より、車両に減速力が付
与されることになる。そして、上記可変オリフィスVV
C・L,VVC・Rの開度は、車両の減速度が大きい
程、小さくなるように制御される。なお、上記油圧ロッ
クモードにおいて、クラッチ12は締結状態または締結
解除状態の何れでもよい。 【0033】(5)蓄圧モード 蓄圧モードは、走行中に後輪1RL,1RRによって回
転駆動されるモータML,MRをポンプとして機能させ
てアキュームレータ41に作動油の蓄圧を行うものであ
る。この蓄圧モードでは、ライン21L,21Rがリザ
ーバタンク16に連通されるとともに、開閉弁VVF・
L,VVF・Rが開放状態となってリザーバタンク16
内の作動油が汲み上げられてアキュームレータ41に蓄
圧されるようになっている。 【0034】(6)停車モード 停車モードは、パーキングブレーキが作動していない状
態において、0に設定された目標車速に応じてモータM
L,MRの作動状態を制御することにより、車両を停止
させるものである。この場合、油圧供給のラインとして
第2油圧供給ライン31Bが利用され、油圧の給排制御
は切換弁VVB・L,VVB・Rを利用して行われる。 【0035】(7)駐車モード 駐車モードは、パーキングブレーキが作動した状態にお
いて、駐車状態を維持する作用を高めるものである。す
なわち、上記駐車モードでは、切換弁VVB・L,VV
B・Rが中央切換位置の閉止状態とされ、油圧の給排ラ
インが遮断されるとともに、クラッチ12が締結され
る。 【0036】(8)F/Sモード F/Sモードは、フェイルセーフモードであり、何らか
の異常が生じた場合、例えば高圧ライン18が異常に高
圧となったとき、モータML,MRが正常に作動しなく
なったとき、特定の弁が固着したとき、あるいは油温が
所定温度以上に上昇したとき等に、上記安全弁VVGが
開放されて高圧ライン18の油圧が解放状態となるよう
に構成されている。 【0037】〔制御系統の説明(図3参照)〕 図3は、上記第2駆動手段99の制御部を示している。
この制御部には、マイクロコンピュータを内蔵したメイ
ン制御ユニットU1と、アンチロックブレーキ制御用の
ABS制御ユニットU2と、トラクション制御用のTR
C制御ユニットU3と、各種のセンサS1〜S10,S
14,S15,S17と、各種のスイッチS11〜S1
3,S16とが設けられている。 【0038】上記センサS1〜S4は、それぞれ左右前
輪1FL,1FRおよび左右後輪1RL,1RRの回転
速度、つまり車輪速を個別に検出するものであり、この
各センサS1〜S4で検出された車輪速信号は、ABS
制御ユニットU2からメイン制御ユニットU1およびT
RC制御ユニットU3に、それぞれ伝達されるようにな
っている。また、上記センサS5は、車速を検出するも
ので、本実施例では対地車速からなる絶対車速を検出す
るように構成されている。 【0039】上記センサS6は、変速機4の変速位置、
つまりギヤ位置を検出するものであり、センサS7は、
エンジン回転数を検出するものである。また、センサS
8は、ステアリングホイールの操作角度、つまりハンド
ル舵角を検出し、センサS9は、アクセル開度を検出
し、さらにセンサS10は、ブレーキペダルの踏み込み
量を検出するものである。また、上記スイッチS11
は、イグニッションキースイッチであり、スイッチS1
2は、パーキングブレーキが作動したか否かを検出する
ものである。 【0040】上記スイッチS13は、マニュアルスイッ
チで「AUTO」、「総合制御」、「独立制御」および
「OFF」の4つの制御態様を選択するものである。ま
た、上記スイッチS14は、悪路、つまり凹凸路を検出
するものであり、例えばサスペンションの上下ストロー
クの検出値に応じて所定時間内に所定量以上のストロー
クが所定回数以上生じた場合に、悪路であると判定する
ように構成されている。なお、この悪路の度合の判定
は、上記各要素毎に設定されたしきい値の少なくとも一
つ以上を複数個に区画することによって行うことができ
る。 【0041】上記センサS15は、上記アキュームレー
タ41内の圧力、つまりアキュームレータ圧を検出する
圧力センサである。また、上記スイッチS16は、エン
ジン2の停止状態において、モータML,MRによって
車両を駆動するエマージェンシースイッチであり、OF
F状態と、各種の出力値を有するON状態との間で、乗
員によってマニュアル操作されるものである。さらに、
上記センサS17は、車体に対して鉛直軸回りに作用す
る旋回力の角速度を検出するヨーレートセンサである。 【0042】上記メイン制御ユニットU1は、上記各セ
ンサS5〜S10,S14,S15,S17、各スイッ
チS11〜13、S16、上記ABS制御ユニットU2
およびTRC制御ユニットU3からから出力される信号
に応じ、上記各弁VVA〜VVJを制御する制御信号を
出力することにより、必要時に上記モータML,MRを
作動させて後輪1RL,1RRを駆動するように構成さ
れている。 【0043】また、上記ABS制御ユニットU2は、各
車輪1FL〜1RRのブレーキをそれぞれ個別に制御す
る制御信号をブレーキ液圧調節手段81に出力すること
により、制動時に上記車輪1FR〜1RRに付与される
ブレーキ力を調節して各車輪1FL〜1RRがロックす
るのを防止するように構成されている。 【0044】上記TRC制御ユニットU3は、加速時等
に常時駆動輪となる左右前輪1FL,1FRの路面に対
するスリップが過大になったときに、エンジン2の発生
トルクを制御する制御信号をトルク調節手段82に出力
することにより、スロットル弁の開度、燃料の点火時期
および燃料噴射量等を調節するとともに、上記各車輪1
FR〜1RRに付与されるブレーキ力を調節する制御信
号を上記ブレーキ液圧調節手段81に出力することによ
り、上記前輪1FL,1FRのスリップを抑制するよう
に構成されている。 【0045】上記ABS制御ユニットU2からメイン制
御ユニットU1に対し、上記センサS1〜S4によって
検出された車輪速信号と、ABS制御中であることを示
すABS制御信号と、路面μ(摩擦係数)を示すμ信号
とが伝送されるとともに、上記ABS制御ユニットU2
からTRC制御ユニットU3に対し、上記各車輪1FL
〜1RRの車輪速信号が伝送される。 【0046】また、上記TRC制御ユニットU3からメ
イン制御ユニットU1に対し、トラクション制御中であ
ることを示すTRC信号と、トラクション制御が実行さ
れることによって生じたエンジントルクの減少量を示す
トルク減少量信号と、路面μ信号とが伝送されるように
なっている。 【0047】そして、上記メイン制御ユニットU1に
は、ABS制御ユニットU2およびTRC制御ユニット
U3の出力信号に応じて走行路の摩擦係数を検出する路
面μ検出手段100と、ヨーレートセンサS17の出力
信号に応じて車両に作用するヨーレートを検出するヨー
レート検出手段101と、ハンドル舵角センサS8の出
力信号に応じてステアリングホイールの操舵速度を検出
する操舵速度検出手段102と、車両の走行状態に応じ
て後輪1RL,1RRの駆動状態を制御する第2駆動輪
制御手段103とが設けられている。 【0048】上記第2駆動輪制御手段103には、車両
の走行状態および路面の状態等に応じて後輪1RL,1
RRを駆動するか否かを判定するとともに、その駆動方
向を判定する判定手段104と、後輪1RL,1RRの
駆動時にその駆動力を設定するが駆動力設定手段105
とが設けられている。 【0049】なお、上記センサS1〜S4によって検出
された各車輪速を上記メイン制御ユニットU1に直接入
力し、この車輪速と、車両の走行速度とに応じ、走行路
の摩擦係数を上記路面μ検出手段100において検出す
るように構成してもよい。 【0050】〔メイン制御の説明(図4参照)〕 次に上記メイン制御ユニットU1の制御動作を図4に示
すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作が
スタートすると、まずステップD0において、各センサ
等の信号を入力した後、ステップD1において、イグニ
ッションキースイッチS11がOFF状態であるか否か
を判定する。この判定結果がNOである場合には、ステ
ップD2において、イグニッションキースイッチS11
がON状態であるか否かを判定し、この判定結果がNO
である場合には、ステップD3に進み、安全弁VVGを
開いて高圧ライン18の圧力を解放状態とした後に制御
動作を終了する。 【0051】また、上記ステップD2でYESと判定さ
れ、イグニッションキースイッチS11がON状態であ
ることが確認された場合には、ステップD4において、
安全弁VVGを閉じて高圧ライン18に高圧の作動油を
供給する。その後、ステップD5において、車速センサ
S5によって検出された対地車速が略0であるか否かを
判定し、YESと判定された場合には、ステップD6に
おいて、ギヤ検出位置のセンサS6の検出値に応じて変
速機4のギヤがニュートラル位置にあるか否かを判定す
る。 【0052】上記ステップD6でYESと判定されて変
速機のギヤがニュートラル位置にあることが確認された
場合には、ステップD7において、パーキングブレーキ
検出スイッチS12の検出信号に応じてパーキングブレ
ーキが作動状態にあるか否かを判定する。この判定結果
がYESとなってパーキングブレーキが作動状態にある
ことが確認された場合には、ステップD8において、上
記駐車モードの制御を実行することにより、車両の駐車
状態を維持する機能が高められるように制御する。ま
た、上記ステップD7でNOと判定されてパーキングブ
レーキが作動状態にないことが確認された場合には、ス
テップS9において、上記停車モードの制御を実行し、
車速が0となるように制御する。 【0053】また、上記ステップD5でNOと判定され
て車両が走行状態にあることが確認され、あるいはステ
ップD6でNOと判定されて変速機4のギヤがニュート
ラル位置にないことが確認された場合には、ステップD
10において、変速機4のギヤが後退位置であるか否か
を判定する。この判定結果がNOである場合には、ステ
ップD11において、現在、車両がスタック状態にある
か否かを判定する。このスタック状態の判定は、例えば
アクセル開度検出センサS9の検出信号に応じてアクセ
ルペダルが踏み込まれた状態で車速が0となり、かつ車
輪速センサS1,S2によって検出された左右前輪1F
L,1FRの回転速度が車速に比べて十分に高いか否か
によって行われる。 【0054】そして、上記ステップD11でNOと判定
されて車両がスタック状態にないことが確認された場合
には、ステップD12において、後述するような駐車モ
ードと停車モード以外の他の制御モードを実行する制御
条件が成立したか否かを判定した後、ステップD13に
おいて、後述するように制御モードの実行判定により、
制御を実行するか否かを決定する。 【0055】また、上記ステップD10でYESと判定
されて変速機4のギヤが後退位置にあることが確認され
ると、ステップD15において、モータML,MRを利
用した駆動を行うが、この場合には、独立モードでの駆
動状態となり、後輪1RL,1RRが後退方向に駆動さ
れることになる。また、上記ステップD11でYESと
判定され、車両がスタック状態にあることが確認された
場合には、ステップD14において、モータML,MR
を利用した後輪1RL,1RRの補助駆動が行われる。
この場合には、目標車速が例えば、スタック解除条件と
なる10km/h程度の低車速に設定された後述する独
立モードでの正駆動が行われる。 【0056】さらに、上記ステップD1でYESと判定
されてイグニッションスイッチがOFF状態であること
が確認された場合には、ステップD16において、クラ
ッチ12を締結状態とした後、ステップD17におい
て、切換弁VVJを供給ライン62および解放ライン6
3の開放状態に位置させてクラッチ12の締結力を保持
するとともに、ステップD18において、安全弁VVG
を開放状態とする制御信号を出力する。 【0057】〔モード判定制御の説明(図5〜図8参
照)〕 次に、上記メインフローチャートのステップD12にお
ける制御モードを実行する制御条件が成立したか否かの
判定動作を、図5〜図8に示すフローチャートに基づい
て説明する。上記モード判定のフローチャートは、悪路
でない路面、つまり良路を前提としている。 【0058】上記の制御動作がスタートすると、まず図
5のステップE24において、現在、TRC制御ユニッ
トU3によるトラクション制御を実行中であるか否かを
判定する。この判定結果がNOである場合には、ステッ
プE25において、上記路面μ検出手段100の検出値
に基づいて路面が低μ路であるか否かを判定し、この判
定の結果、路面が低μ路でないことが確認された場合に
は、ステップE26において、現在、車両が直進状態に
あるか否かを判定する。この直進時にあるか否かの判定
は、ハンドル舵角センサS8によって検出されるハンド
ル舵角と、車速センサS5によって検出される車速とに
応じて車体に作用する横Gを演算し、この横Gが予め設
定された所定値以下か否かによって行われるようになっ
ている。 【0059】そして、上記ステップE26でYESと判
定されて車両が直進状態にあることが確認された場合に
は、ステップE27〜E39に示す通常路の制御動作を
実行する。この制御動作は、良路かつ高μ路における直
進状態を前提としたものであり、最終的に、ステップE
28における総合モードの正駆動、ステップE35にお
ける逆駆動およびステップE33,E39における蓄圧
モード、あるいはステップE31,E37における油圧
ロックモードの制御を実行する条件が満足されたか否か
の判定を、上記判定手段104において行うように構成
されている。 【0060】すなわち、ステップE27において、現
在、急加速運転状態にあるか否かを判定し、この判定結
果がYESである場合には、ステップE28において、
総合モードにおける正駆動の条件が成立したと判断し、
高μ路の直進状態における急加速時に、後輪1RL,1
RRを正転駆動することにより、この後輪1RL,1R
Rに補助的な駆動力を付与するように上記モータML,
MRを制御する。 【0061】また、上記ステップE27でNOと判定さ
れて車両が急加速状態にないことが確認された場合に
は、ステップE29において、車両が高速運転状態にあ
るか否かを判定し、NOと判定された場合には、ステッ
プE30において、緩減速状態にあるか否かを判定す
る。この判定結果がYESである場合には、ステップE
31において、油圧ロックモードの条件が成立したと判
断し、後輪1RL,1RRの回転に抵抗力を付与するこ
とにより、高μ路の直進時おける中低速運転状態の緩減
速時に、車両の減速力を緩やかに増大させるようにす
る。 【0062】また、上記ステップE30でNOと判定さ
れて車両が緩減速状態にないことが確認された場合に
は、ステップE32において、車両が急減速状態にある
か否かを判定し、YESと判定された場合には、ステッ
プE33において、蓄圧モードの条件が成立した判断し
て蓄圧モードの制御を実行する。つまり、高μ路の直進
時における中低速運転状態の急減速時に、後輪1RL,
1RRの回転に抵抗力を与えながら、この後輪1RL,
1RRの回転を利用してアキュームレータ41に対する
蓄圧を行う。 【0063】さらに、上記ステップE29でYESと判
定されて車両が高速運転状態にあることが確認された場
合には、ステップE34において、車両が急減速状態に
あるか否かを判定し、この判定結果がYESである場合
には、ステップE35において、総合モードにおける逆
駆動の条件が成立した判断して上記逆駆動制御を実行す
る。つまり、高μ路の直進時における高速運転状態の急
減速時に、後輪1RL,1RRの回転に大きな制動力を
与えることにより、減速力を増大させる。 【0064】また、上記ステップE34でNOと判定さ
れて車両が急減速運転状態にないことが確認された場合
には、ステップE36において、車両が緩減速状態にあ
るか否かを判定し、この判定結果がYESとなった場合
には、ステップE37において、油圧ロックモードの条
件が成立したと判断し、減速度に応じた可変オリフィス
VVCの開度を設定する。つまり、高μ路の直進時にお
ける高速運転状態の緩減速時に、減速度をパラメータと
するグラフの特性αに基づいて可変可変オリフィスVV
Cの開度を設定することにより、減速度に応じた抵抗を
後輪1RL,1RRに与えて減速力を僅かに増大させる
ように制御する。 【0065】また、上記ステップE36でNOと判定さ
れて車両が緩減速状態にないことが確認された場合に
は、ステップE38において、車両が定常運転状態にあ
るか否かを判定し、この判定結果がYESである場合に
は、ステップE39において、蓄圧モードの条件が成立
したと判断してアキュームレータの蓄圧を行う。すなわ
ち、高μ路の直進時における高速運転状態の定常時に、
後輪1RL,1RRの回転に抵抗力を与えながら、この
後輪1RL,1RRの回転を利用してアキュームレータ
41に対する蓄圧を行う。 【0066】また、上記ステップE32およびステップ
E38でNOと判定されたときには、後輪1RL,1R
Rの駆動条件が成立していないと判断し、制御動作を終
了する。つまり、中低速運転状態の定常走行時等におい
ては、第2駆動手段99による後輪1RL,1RRの駆
動が行われないことになる。 【0067】なお、上記加速の度合および減速の度合
は、既知の手法によって適宜になし得る。すなわち、加
速の度合い、例えばアクセル踏み込み速度の大きさ、ア
クセル踏み込み量の増大量、車速を微分して得られる車
体加速度等の何れか一つ、あるいはその任意の組合せに
よって知ることができる。また、減速の度合いは、例え
ばアクセル解放速度の大きさ、ブレーキ踏み込み量の増
大量、車速を微分して得られる車体減速度等の何れか一
つ、あるいはその任意の組合せによって知ることができ
る。 【0068】そして、上記ステップE26でNOと判定
され、車両が直進状態にないことが確認された場合に
は、図6に示すフローチャートに示す制御動作が実行さ
れる。この制御動作は、良路における旋回時を前提とし
たものであり、最終的に、ステップE42における独立
モードの正駆動、ステップE44における逆駆動あるい
はステップE45におけるLSDモードの制御を実行す
る条件が満足されたか否かの判定が、判定手段104に
おいて行われるようになっている。 【0069】具体的には、ステップE41において、車
両が急加速運転状態にあるか否かを判定し、YESと判
定された場合には、ステップE42において独立モード
における正駆動の条件が成立したと判断する。そして、
高μ路での旋回を伴う急加速時に、後輪1RL,1RR
を独立して正転駆動することにより、旋回力が補助され
るように制御する。 【0070】また、上記ステップE41でNOと判定さ
れ、車両が急加運転速状態にないことが確認された場合
には、ステップE43において、車両が減速運転状態に
あるか否かを判定する。この判定結果がYESである場
合には、ステップE44において、独立モードにおける
逆駆動の条件が成立したと判断する。そして、高μ路で
の旋回を伴う減速時に、後輪1RL,1RRにそれぞれ
独立した制動力を付与することにより、減速力を増大さ
せるように制御する。 【0071】一方、上記ステップE43でNOと判定さ
れ、車両が減速運転状態にないことが確認された場合に
は、ステップE45において、LSDモードの条件が成
立したと判断する。そして、高μ路での加減速を伴わな
い旋回時に、後輪1RL,1RRに大きな回転差が生じ
るのを抑制しつつ、円滑な旋回が行われるように制御す
る。 【0072】さらに、上記ステップE25でYESと判
定されて走行路が低μ路であることが確認された場合に
は、図7に示す制御動作を実行する。この制御動作がス
タートすると、ステップE51において、車両が直進状
態にあるか否かを判定する。この判定結果がYESであ
る場合には、ステップE52〜E59の処理を実行する
が、この処理は良路の低μ路における直進状態を前提と
している。そして最終的に、ステップE55,E57に
おける独立モードの正駆動、ステップE54における油
圧ロックモード、あるいはステップE59におけるLS
Dモードの制御を実行する条件が満足されたか否かの判
定を行う。 【0073】具体的には、ステップE52において、車
両が中速以上の運転状態にあるか否かを判定し、YES
と判定された場合には、ステップE53において車両が
減速運転状態にあるか否かを判定する。そして、この判
定結果がYESである場合には、ステップE54におい
て、油圧ロックモードの条件が成立したと判断し、減速
度に応じた可変オリフィスVVCの開度を設定する。 【0074】上記可変オリフィスVVCの開度特性β
は、上記ステップE37に示す高μ路の場合に対応する
特性αに比べ、早期に閉じ始めるように設定されてい
る。つまり、低μ路の直進状態における中高速の運転状
態からの減速時には、高μ路の走行時に比べて後輪1R
L,1RRに付与される抵抗が大きくなり、速やかな減
速が行われることになる。 【0075】また、ステップE53でNOと判定されて
車両が減速運転状態にないことが確認された場合には、
ステップE55において、独立モードにおける正駆動の
条件が成立したと判断する。そして、低μ路の直進状態
における中高速の運転状態に、後輪1RL,1RRを独
立して正転駆動することにより、補助的な駆動が行われ
るように制御する。 【0076】また、上記ステップE52でNOと判定さ
れて車両が中速以上の運転状態にないことが確認された
場合には、ステップE56において、車両が中加速以上
の運転状態にあるか否かを判定し、この判定結果がYE
Sである場合には、ステップE58において、独立モー
ドにおける正駆動の条件が成立したと判断する。そし
て、低μ路の直進状態における停車時または低速運転状
態からの中高加速時に、後輪1RL,1RRを独立して
正転駆動することにより、補助的な駆動が行われるよう
に制御する。 【0077】また、上記ステップE56でNOと判定さ
れて車両が中加速以上の運転状態にないことが確認され
た場合には、ステップE58において、車両が減速運転
状態にあるか否かを判定し、この判定結果がNOである
場合には、ステップE59において、LSDモードの条
件が成立したと判断する。そして、低μ路での減速を伴
わない直進時に、後輪1RL,1RRに大きな回転差が
生じること抑制しながら、安定した走行が行われるよう
に制御する。なお、上記ステップE58での判定結果が
YESのときには、運転モードを成立させずにそのまま
制御動作を終了する。 【0078】また、上記ステップE51でNOと判定さ
れて車両が直進運転状態にないことが確認された場合に
は、図8に示す制御動作を実行する。この制御動作は、
低μ路での加減速を伴わない状態を前提としている。そ
して最終的に、ステップE62における独立モードの正
駆動、ステップE65における油圧ロックモード、ステ
ップE66におけるLSDモードの制御を実行する条件
が満足されたかが、上記判定手段104において判定さ
れる。 【0079】具体的には、ステップE61において、車
両が中加速以上の運転状態にあるか否かを判定し、YE
Sと判定された場合には、ステップE62において独立
モードにおける正駆動の条件が成立したと判断する。そ
して、低μ路での旋回を伴う中高加速の運転時に、後輪
1RL,1RRを独立して正転駆動することにより、正
転駆動力を補助する制御を実行する。 【0080】一方、上記ステップE61でNOと判定さ
れて車両が中加速以上の運転状態にないことが確認され
た場合には、ステップE63において、車両が中速運転
状態にあるか否かを判定し、この判定結果がYESであ
る場合には、ステップE64において、車両が減速運転
状態にあるか否かを判定する。この判定結果がYESで
ある場合には、油圧ロックモードの条件が成立したと判
断する。そして、低μ路での旋回を伴う中高速運転状態
からの減速時に、後輪1RL,1RRの回転に抵抗力を
与えることにより、減速力を増大させるように制御す
る。 【0081】また、上記ステップE64でNOと判定さ
れて車両が減速運転状態にないことが確認され、あるい
は上記ステップE63でNOと判定されて車両が中高速
運転状態にないことが確認された場合には、ステップE
66において、LSDモードの条件が成立したと判断す
る。そして、低μ路における旋回を伴う低速運転時に、
後輪1RL,1RRに大きな回転差が生じるのを抑制し
つつ、円滑な旋回が行われるように制御する。 【0082】上記のように路面μ検出手段100によっ
て検出された路面の摩擦係数μに応じ、ステップE25
で走行路が低μ路であるか否かを判定し、その判定結果
に応じて上記第2駆動輪制御手段103によって後輪1
RL,1RRからなる第2駆動輪の駆動状態を制御する
ように構成したため、車両の挙動が変化し易い低μ路の
走行時における走行安定性を維持しつつ、走破性を向上
させることができる。 【0083】すなわち、高μ路の走行時には、ステップ
E41で車両が急加速の旋回状態にあることが確認され
た場合にのみ、後輪1RL,1RRが独立モードで正駆
動されるようになっている。これに対して低μ路の走行
時には、ステップE53で車両が減速を伴わない中高速
の直進状態にあることが確認された場合、ステップE5
6で中加速以上の低速直進状態にあることが確認された
場合、あるいはステップE61で中加速以上の旋回状態
にあることが確認された場合に、後輪1RL,1RRが
独立モードで正駆動されるようになっている。 【0084】このように低μ路の走行時には、高μ路に
比べて後輪1RL,1RRの独立モードにおける正駆動
領域を拡大し、後輪1RL,1RRを積極的に駆動する
よう構成したため、運転者が意図していない車体の挙動
変化等が生じようとした場合に、これを抑制するように
上記後輪1RL,1RRが駆動されて走行安定性が向上
することになる。また、低μ路の走行状態における旋回
時には、その旋回性を向上させるように後輪1RL,1
RRに駆動力が付与されることにより、スムーズなコー
ナリングが行われる。これに対して高μ路の走行時に
は、後輪1RL,1RRの独立モードにおける正駆動領
域が制限されるため、エンジン2の駆動力が無駄に消費
されることが防止されることになる。 【0085】また、高μ路の走行時には、ステップE3
4で車両が高速運転状態の急減速状態あることが確認さ
れた場合、あるいはステップE41で旋回を伴う減速時
に後輪1RL,1RRを逆転方向の駆動力を付与するよ
うにしているのに対し、低μ路の走行時には、上記逆転
方向の駆動を行うことなく、これを禁止している。この
ため、走行安定性が損なわれにくい高μ路の走行時に、
後輪1RL,1RRに大きな制動力が付与されて積極的
に姿勢制御が実行され、車両の運転性能が向上すること
になる。 【0086】これに対して車輪のスリップし易い易い低
μ路の走行時には、後輪1RL,1RRの逆駆動が禁止
されるため、後輪1RL,1RRが進行方向と逆方向に
駆動されることによる後輪1RL,1RRのスリップ防
止されて車両の走行安定性が維持されることになる。 【0087】また、高μ路の走行状態における緩減速時
に、ステップE37で実行される油圧ロックモードの制
御時に設定される可変オリフィスVVCの開度特性α
と、低μ路の走行時にステップE54で実行される制御
時の可変オリフィスVVCの開度特性βとを異なる特性
に設定し、低μ路の走行時には、高μ路に比べて上記可
変オリフィスVVCを早期に閉じ始めるように設定して
いる。この結果、低μ路の走行時には、高μ路の場合に
比べて後輪1RL,1RRに付与される回転抵抗が増大
し、緩減速時における走破性が向上することになる。 【0088】〔実行判定制御の説明(図9参照)〕 次に、図4に示すメインフローチャートにおけるステッ
プD13の制御内容を図9に基づいて説明する。この制
御は、上記図5〜図8における制御条件を満足したモー
ドの実行および非実行を最終的に行うものである。 【0089】上記制御動作がスタートすると、まずステ
ップW0において、総合モードおよび独立モード以外の
モードの制御を実行する条件が満足されたか否かを判定
す。この判定結果がYESである場合には、ステップW
4において、条件を満足したモード、つまり、LSDモ
ード、油圧ロックモードあるいは蓄圧モードの制御を実
行する。 【0090】上記ステップW0でNOと判定されて総合
モードあるいは独立モードの制御を実行する条件が満足
されたことが確認された場合には、ステップW1におい
て、マニュアルスイッチS13の操作状態(選択状態)
が「OFF」であるか否かを判定する。この判定結果が
YESである場合には、運転者がモータML,MRを利
用した補助的な駆動を望んでいないと判断してステップ
W2に進み、モータML,MRを利用した後輪1RL,
1RRの駆動を禁止する。 【0091】一方、上記ステップW1でNOと判定され
てマニュアルスイッチS13が「OFF」でないことが
確認されたときは、ステップW3において、マニュアル
スイッチS13の操作状態が「AUTO」であるか否か
を判定する。この判定結果がYESである場合には、上
記ステップW4に進み、モータML,MRによる後輪1
RL,1RRの補助的な駆動を含めて制御条件が満足さ
れたモードの制御を実行する。 【0092】また、上記ステップW3でNOと判定され
てマニュアルスイッチS13が「AUTO」でないこと
が確認されたときは、ステップW5において、総合モー
ドでの制御条件が満足されているか否かを判定する。こ
の判定結果がYESである場合には、ステップW6にお
いて、マニュアルスイッチS13の操作状態が「総合モ
ード」であるか否かを判定する。この判定結果がYES
である場合には、ステップW7において、走行路が極悪
路であるか否かを判定し、NOと判定された場合には、
ステップW8において、総合モードに基づくモータM
L,MRの駆動制御を実行する。 【0093】また、上記ステップW6でNOと判定され
てマニュアルスイッチS13の操作状態が「総合モー
ド」でないことが確認され、あるいは上記ステップW7
でYESと判定されて走行路が極悪路であることが確認
された場合には、ステップW9において独立モードに基
づくモータML,MRの駆動制御を実行する。 【0094】一方、上記ステップW5でNOと判定され
て総合モードに基づく制御条件が満足されていないこと
が確認された場合には、ステップW10において、独立
モードの制御条件が満足されているか否かを判定する。
この判定結果がYESである場合には、ステップW11
において、マニュアルスイッチS13の操作状態が「独
立モード」であるか否かを判定する。この判定結果がY
ESである場合には、ステップW13において、独立モ
ードに基づくモータML,MRの駆動制御を実行する。 【0095】また、上記ステップW11でNOと判定さ
れてマニュアルスイッチS13の操作状態が「独立モー
ド」でないことが確認され場合には、ステップW12に
おいて、走行路が極悪路であるか否かを判定し、NOと
判定された場合には、ステップW14において、車両が
旋回状態にあるか否かを判定する。この判定結果がNO
である場合には、ステップW15において、総合モード
に基づくモータML,MRの駆動制御を実行する。 【0096】また、上記ステップW10でNOと判定さ
れて独立モードの制御条件が満足されていないことが確
認されたとき、ステップW12でYESと判定されて走
行路が極悪路であることが確認されたとき、あるいはス
テップW14でYESと判定されて車両が旋回状態にあ
ることが確認された場合には、それぞれステップW2に
おいて、モータML,MRによる後輪1RL,MRの補
助的な駆動制御を禁止する。 【0097】〔独立モードにおける正駆動制御の説明
(図10〜図13参照)〕 図10〜図13は、独立モードにおける正駆動制御の詳
細を示している。この制御動作がスタートすると、まず
ステップZ1において、対地車速VAおよび車輪速VB
L,VBR等の信号を入力した後、ステップZ2におい
て、アクセル開度と変速機4の変速位置とをパラメータ
として目標車速VTRを設定する。また、ステップZ3
において、目標車速VTRから左後輪1RLの実際の車
輪速VBLを差し引いた値が、予め設定された所定車速
V1以上であるか否かを判定する。 【0098】上記ステップZ3の判定結果がNOである
場合には、正転方向の補助的な駆動が必要でない状態で
あるため、ステップZ40において、左後輪1RLの正
駆動を中止する。また、上記ステップZ3,Z40の処
理は、右後輪1RRについても上記左後輪1RLと同様
に行う。なお、上記所定車速V1は、加速時に許容され
るスリップ量の限界値に対応して設定されるが、この値
を一定値に設定しもよく、車速VAが大きい程、大きく
なるように変化する可変の値として設定してもよい。 【0099】上記ステップZ3でYESと判定されて上
記値が所定車速V1以上であることが確認された場合に
は、ステップZ4において、アクセル開度が全閉である
か否かを判定し、YESと判定された場合には、モータ
ML,MRを利用した正転方向の補助的な駆動は必要で
ない状態であると判断してステップZ40に移行し、左
右後輪1RL,1RRの正駆動を共に中止する。 【0100】また、上記ステップZ4でNOと判定さ
れ、アクセル開度が全閉でないことが確認された場合に
は、ステップZ5において、車速VAとハンドル舵角と
に基づいて車体に作用する横Gを演算する。そして、ス
テップZ6において、上記横Gの絶対値が予め設定され
た基準値aよりも大きいか否かを判定し、NOと判定さ
れた場合には、図11に示すように、ステップZ7にお
いて、上記横Gに基づき、旋回時に回転差が生じる旋回
外輪と、旋回内輪との目標車速を補正するための補正係
数K1,K2を設定する。 【0101】その後、ステップZ8において、車両が右
旋回状態にあるか否かを判定し、YESと判定された場
合には、ステップZ10において、上記ステップZ2で
設定された目標車速VTRに対し、1以上の値で横Gに
応じて設定された補正係数K1をおよび後述する補正係
数K1Aを乗算することより、左後輪1RLの目標車輪
速VTRLを算出するとともに、上記目標車輪速VTR
に対し、1以下の値で横Gに応じて設定された補正係数
K2および後述する補正係数K2Aを乗算することよ
り、右後輪1RRの目標車輪速VTRRを算出する。 【0102】また、上記ステップZ8の判定結果がNO
である場合には、ステップZ9において、上記目標車速
VTRと、補正係数K1,K2および補正係数K1A,
K2Aとに基づいて左右後輪1RL,1RRの各目標車
輪速VTRL,VTRRを算出する。上記ステップZ6
〜Z10の処理を行うことにより、旋回外輪側の目標車
輪速を大きくし、旋回内輪側の目標車輪速を小さくする
制御が実行されることになる。 【0103】なお、車両の直進時には、上記ステップZ
8の判定結果がNOとなってステップZ9に移行する
が、この場合には、横Gが0あるいは略0であるため、
上記補正係数K1,K2が共に1に設定され、左右後輪
1RL,1RRの各目標車輪速は互いに等しい値に設定
されることになる。 【0104】また、上記ステップZ6でYESと判定さ
れて車体に作用する横Gが基準値aよりも大きいことが
確認された場合には、図12に示すように、ステップZ
11において、上記ヨーレート検出手段101によって
検出されたヨーレートψの絶対値が、予め設定された基
準ヨーレートbよりも大きいか否かを判定し、YESと
判定された場合には、ステップZ12において、走行路
が低μ路であるか否かを判定する。 【0105】そして、上記ステップZでNOと判定され
て走行路が高μ路であることが確認された場合には、ス
テップZ13において、ヨーレートψをパラメータとす
る高μ路用のグラフから上記ヨーレートψの検出値に対
応する補正係数K3,K4を設定する。これに対して上
記ステップ12でYESと判定されて走行路が低μ路で
あることが確認された場合には、ステップZ14におい
て、ヨーレートψをパラメータとする低μ路用のグラフ
から上記ヨーレートψの検出値に対応する補正係数K
3,K4を設定する。 【0106】上記上記補正係数K3,K4は、車両の旋
回時に回転差が生じる旋回外輪側と、旋回内輪側とに対
応するモータML,MRへの供給油量Qの配分割合、つ
まりトルクの配分比を設定するための係数であり、上記
補正係数K3は1よりも大きい値となり、補正係数K4
は1よりも小さな値となるように、それぞれヨーレート
ψの大きさに応じて設定されている。また、上記補正係
数K3は、低μ路の値が高μ路の値よりも大きく設定さ
れ、補正係数K4は、低μ路の値が高μ路よりも小さく
設定されている。なお、ヨーレートψの符号は、右旋回
時に正となり、左旋回時に負となるように設定されてい
る。 【0107】次いで、ステップZ15において、上記ヨ
ーレートψの検出値の符号が正であるか否かを判定し、
この判定結果がYESとなって車両が右旋回状態にある
ことが確認されたときは、ステップZ16において、上
記供給油量QTRLの設定値に対して補正係数K4を乗
算することにより、左後輪1RLを駆動するモータML
の供給油量QTRLを補正するとともに、上記供給油量
QTRRの設定値に対して補正係数K3を乗算すること
により、右後輪1RRを駆動するモータMRの供給油量
QTRRを補正する。 【0108】また、上記ステップZ15でNOと判定さ
れて上記ヨーレートψの検出値の符号が負となって車両
が左旋回状態にあることが確認された場合には、ステッ
プZ17において、上記供給油量QTRLの設定値に補
正係数K3を乗算することにより、左後輪1RLを駆動
するモータMLの供給油量QTRLを補正するととも
に、上記供給油量QTRRの設定値に補正係数K4を乗
算することにより、右後輪1RRを駆動するモータMR
の供給油量QTRRを補正する。 【0109】このようにして後述するステップZ19も
しくはステップZ22で設定される後輪1RL,1RR
用のモータML,MRに対する供給油量Qが旋回方向に
応じてそれぞれ補正される。すなわち、ヨーレートψの
検出値の符号が正となった右旋回時には、旋回内輪側の
右後輪1RRへの供給油量Qが左後輪1RLよりも大き
くなるように補正され、ヨーレートψの検出値の符号が
負となった右旋回時には、上記旋回内輪側の左後輪1R
Lへの供給油量Qが右後輪1RRよりも大きくなるよう
に補正され、これによって車体に作用する旋回力が低減
されることになる。 【0110】そして、上記のようにステップZ12で走
行路が低μ路であることが確認された場合には、旋回内
輪側の補正係数K3として高μ路時の値よりも大きな値
が設定されるとともに、旋回外輪側の補正係数K4とし
て高μ路の値よりも小さな値が設定されるため、低μ路
の走行時には、高μ路の走行状態比べて左右後輪1R
L,1RR間の駆動力差が大きくなるように補正され、
車体に作用する旋回力がより低減されることになる。 【0111】なお、上記ステップZ11でNOと判定さ
れてヨーレートψの検出値が基準ヨーレートbよりも小
さいことが確認された場合には、上記補正係数K3,K
4の設定および供給油量Qの補正を行うことなく、図1
1のステップZ18に移行し、走行路が低μ路であるか
否かを判定する。 【0112】上記ステップZ18でNOと判定されて走
行路が高μ路であることが確認された場合には、ステッ
プZ19において、目標車輪速VTRL,VTRRから
左右後輪1RL,1RRの実際の車輪速VBL,VBR
を差し引いた値をパラメータとする高μ路用のグラフに
基づき、モータML,MRに供給する油量Qを設定す
る。なお、この油量Qは左右のモータML,MRごとに
それぞれ個別に設定される。 【0113】その後、ステップZ20において、上記油
量Qの設定値に基づいて切換弁VVB・L,VVB・R
の開度を個別に設定するとともに、ステップZ21にお
いて、左右後輪1RL,1RRのスリップ率目標値SR
を、左右前輪のスリップ率目標値SFと等しい値に設定
した後、リターンする。 【0114】また、上記ステップ18でYESと判定さ
れて走行路が低μ路であることが確認された場合には、
図13に示すように、ステップZ22において、目標車
輪速VTRL,VTRRから左右後輪1RL,1RRの
実際の車輪速VBL,VBRを差し引いた値と、走行路
の摩擦係数μとをパラメータとする低μ路用のグラフに
基づき、モータML,MRに供給する油量Qを設定す
る。 【0115】上記ステップZ22で設定される低μ路用
の供給油量Qは、ステップZ19に示す高μ路用の油量
Qに比べて大きな値に設定され、走行路の摩擦係数μが
小さい程、大きな値となるように設定されるとともに、
車速VAが大きい程、大きな値となるように設定されて
いる。これによって低μ路の高速走行時に、上記モータ
ML,MRに供給される油量Qの設定値が大きな値とな
り、後輪1RL,1RRの駆動が迅速に行われるように
なっている。 【0116】そしてステップZ23おいて、上記油量Q
の設定値に基づいて切換弁VVB・L,VVB・Rの開
度を個別に設定した後、ステップ24において、路面の
摩擦係数μおよび車速VAをパラメータとするグラフか
ら、左右後輪1RL,1RRのスリップ率目標値SRを
設定するための係数Cを読出す。次いでステップZ25
において、上記係数Cを左右前輪1FL,1FRのスリ
ップ率目標値SFに乗算することにより、後輪1RL,
1RRのスリップ率目標値SRを前輪1FL,1FRの
スリップ率目標SFよりも低い値に設定する。 【0117】上記ステップZ25で左右後輪1RL,1
RRのスリップ率目標値SRに乗算される係数Cは、1
よりも小さな値の範囲内で、上記摩擦係数μが小さい
程、小さな値となるように設定されるとともに、車速V
Aが大きい程、小さな値となるように設定されている。
これによって低μ路の低速走行時に、前輪1FL,1F
Rに対する後輪1RL,1RRのスリップ率が小さくな
るように抑制され、そのグリップ力が前輪1FL,1F
Rよりも大きな値となるように制御されるようになって
いる。 【0118】上記のように路面μ検出手段100によっ
て検出された路面の摩擦係数μに応じて走行路が低μ路
であることが確認された場合に、ステップS22で設定
されるモータML,MRへの供給油量Qを、高μ路の走
行時にステップZ19で設定される供給油量Qよりも大
きな値とするように構成したため、低μ路の走行時に上
記モータML,MRの作動応答性を高めることができ
る。 【0119】したがって、車両の挙動を迅速に修正する
ことが望まれる低μ路の走行時に、上記第2駆動手段9
9の作動応答性を向上させて車両の走破性を向上させる
ことができる。そして、上記低μ路の走行時にステップ
19で設定される供給油量Qを、路面の摩擦係数μに応
じて変化させ、この摩擦係数μが小さい程、上記供給油
量Qの設定値を大きくするように構成した場合には、路
面の状態に適合した駆動制御を実行することができる。 【0120】また、車両の旋回時に車体に作用する横G
に応じ、ステップZ7で設定された補正係数K1,K2
に基づいて上記供給油量Qの設定値を補正することによ
り、旋回時の走破性を向上させるように構成された車両
の駆動装置において、上記車体に作用するヨーレートを
ヨーレート検出手段102によって検出し、この検出値
に応じて設定された補正係数K3,K4によって供給油
量Qの設定値を補正するとともに、この補正係数K3,
K4を高μ路と、低μ路とで変化させるように構成した
ため、車両の走行状態に適合した後輪1RL,1RRの
駆動制御を実行することができる。 【0121】すなわち、上記ステップZ6で車両に作用
する横Gの絶対値が大きいことが確認された場合に、旋
回内輪側の駆動力を補正する補正係数K3として1より
も大きな値を設定するとともに、旋回外輪側の駆動力を
補正する補正値として1よりも小さな値を設定するよう
にようしたため、車体に作用するヨーレートを減少させ
る方向に後輪1RL,1RRの駆動力が補正され、これ
によって車両の走行安定性が向上させることができる。 【0122】そして、上記補正係数K3,K4を設定す
る際に、ステップZ12で走行路が低μ路であるか否か
を判定し、低μ路であることが確認された場合には、高
μ路に比べて旋回内輪側の補正係数K3を大きな値に設
定するとともに、旋回内輪側の補正係数K4を小さな値
を設定するように構成したので、車体に作用するヨーレ
ートを積極的に低減させるために実行される後輪駆動制
御のゲインが増大することになる。このため、車両の挙
動変化の生じ易い低μ路の走行時における走行安定性
を、より効果的に向上させることができる。 【0123】これに対して車両の走破性を向上させるこ
とが望まれる高μ路の走行時には、上記補正係数K3,
K4が1に近い値に設定されるため、車体に作用するヨ
ーレートを減少させるために実行される上記後輪駆動制
御のゲインが減少することになる。これによって上記旋
回力を極端に減少させる制御が実行されることが防止さ
れ、これによって車両の走行安定性を維持しつつ、車両
の旋回性を向上させことができる。 【0124】また、高μ路の走行時には、ステップZ2
1で前輪1FL,1FRのスリップ率目標値SFと、後
輪1RL,1RRのスリップ率目標値SRとを等しく設
定しているのに対し、低μ路の走行時には、ステップZ
25で後輪1RL,1RRのスリップ率目標SRを、前
輪1FL,1FRのスリップ率目標値SFよりも小さく
する補正を実行するように構成したため、低μ路の走行
時における後輪1RL,1RRのグリップ力を増大させ
ることができる。 【0125】すなわち、車両の挙動変化の生じ易い低μ
路の走行時には、上記係数Cに基づいて前輪1FL,1
FRに対する後輪1RL,1RRの駆動力比が、高μ路
の走行時に比べて小さくなるように後輪1RL,1RR
の駆動力が設定されるため、高μ路の走行時における旋
回性を維持しつつ、低μ路の走行時に車両をアンデース
テアー状態として走行安定性を向上させることができ
る。 【0126】また、上記後輪1RL,1RRのスリップ
率目標値SRを設定する係数Cを、走行路の摩擦係数μ
に応じて変化させ、この摩擦係数μが小さくなる程、上
記係数Cの値を小さくして前輪1FL,1FRに対する
後輪の駆動力比を小さくするように構成した場合には、
走行路の摩擦係数μに対応した適正な制御を実行するこ
とができる。 【0127】なお、総合モードにおける正駆動制御は、
上記ステップZ5〜Z9の処理が不要となって上記ステ
ップZ2で設定された目標車速VTRが左右後輪1R
L,1RRの目標車輪速VTRL,VTRRとなるとと
もに、上記流量Qの調節に使用される切換弁としてVV
Aが利用されている点を除いて、上記独立モードの正駆
動制御と同様に実行される。 【0128】〔旋回時制御の説明(図14参照)〕 上記旋回時における左右後輪1RL,1RRの目標車速
VTRL,VTRRに乗算される補正係数K1A,K2
Aを設定し、モータML,MRの駆動力によって車両に
所定の旋回力を生じさせて旋回性を向上させるための制
御動作を、図14に基づいて説明する。この制御は、車
両の高速運転状態における旋回時に、旋回願輪側の回転
駆動力を増大させて車体に旋回方向への必要なヨーレー
トを発生させる一方、車両の中低速運転状態における旋
回時に、旋回内輪側の回転駆動力を低減させて車体に旋
回方向のヨーレートを発生させるようにそれぞれ補正係
数K1A,K2Aを設定することにより実行される。 【0129】上記制御動作がスタートすると、まずステ
ップZ71において、旋回時制御用のフラグFAが1に
セットされているか否かを判定し、NOと判定された場
合には、ステップZ72において、操舵速度検出手段1
01によって検出された操舵速度が予め設定された所定
値以上であるか否かを判定する。この判定結果がNOで
ある場合には、ステップZ73において、車速VAの検
出値が予め設定された所定車速V0以上であるか否かが
判定される。 【0130】上記ステップZ73でYESと判定されて
車速VAが上記所定値V0以上であることが確認された
場合には、ステップZ74において、操舵速度の絶対値
をパラメータとして設定された高μ路用および低μ路用
の補正係数KA1を読出す。この補正係数K1Aは、1
以上の範囲内で、操舵速度が所定以上の領域において操
舵速度が大きい程、大きな値となるように設定され、か
つ高μ路用の係数が低μ路用の係数よりも大きな値に設
定されている。 【0131】上記ステップZ73でNOと判定されて車
速VAの検出値が基準値よりも小さいことが確認された
場合には、ステップZ75において、操舵速度の絶対値
をパラメータとして設定された高μ路用および低μ路用
の補正係数K2Aを読出した後、ステップZ76におい
て、上記フラグFAを1にセットする。上記補正係数K
2Aは、1以下の範囲内で、操舵速度が所定以上の領域
において操舵速度が大きい程、小さな値となるように設
定され、かつ低μ路用の係数が高μ路用の係数よりも大
きな値に設定されている。 【0132】そして、上記補正係数K1A,K2Aは、
図11に示すフローチャートのステップZ9,Z10に
おける補正係数K1A,K2Aに対応するものであり、
上記ステップZ74で補正係数K1Aが設定された場合
には、補正係数K2Aに基準値として1が設定され、逆
に上記ステップZ75で補正係数K2Aが設定された場
合には、補正係数K1Aに基準値として1が設定され
る。 【0133】このようにして補正係数K1A,K2Aが
設定されることにより、車両の高速運転状態おける旋回
時には、旋回外輪側の回転駆動力を増大させて車両の旋
回方向に必要なヨーレートを作用させるように、後輪1
RL,1RRの目標車速VTRL,VTRRが設定され
る。また、車両の中低速運転状態における旋回時には、
旋回内輪側の回転駆動力を減少させて車両の旋回方向に
必要なヨーレートを作用させるように、後輪1RL,1
RRの目標車速VTRL,VTRRが設定されることな
る。 【0134】上記のように高速運転状態における旋回時
に、旋回外輪側の回転駆動力を増大させるように構成し
たのは、車両をオーバーステア傾向とすることなく、旋
回性を向上させることにより、走行安定性を維持しつ
つ、必要なヨーレートを生じさせるためである。これに
対して低速運転状態における旋回時に、旋回内輪側の回
転駆動力を低減させるようにしたのは、車両をオーバー
ステア傾向として積極的に姿勢変化を生じさせ、運転性
能を向上させることにより、機敏な動きを実現するため
である。 【0135】また、低μ路の高速運転時には、旋回外輪
側の回転駆動力を増大させる上記補正係数K1Aを、高
μ路の走行時に比べて小さな値に設定するように構成し
たため、さらに走行安定性が向上する。そして低μ路の
低速運転時には、旋回内輪側の回転駆動力を低減させる
上記補正係数K2Aを、高μ路の走行時に比べて1に近
い値に設定するように構成したため、走行安定性が向上
する。 【0136】上記ステップZ76で旋回時制御用のフラ
グFAが1にセットされると、ステップZ71でYES
と判定されるため、ステップZ77に進み、車両が直進
状態に戻ったか否かが判定される。そして、NOと判定
された場合には、ステップZ78において、上記ヨーレ
ート検出手段101により検出されたヨーレートがピー
ク値を超えたか否かが判定される。 【0137】上記ステップZ78でNOと判定されて未
だピークを超えていないことが確認された場合には、上
記ステップZ73に戻って上記制御が繰り返される。ま
た、上記ステップZ78でYESと判定された場合に
は、ステップZ79において、上記補正係数K1Aの設
定が上記ステップZ74で行われたか否か、つまり旋回
外輪側が制御される高速運転状態であるか否かが判定さ
れる。この判定結果がYESである場合には、ステップ
Z80において、補正係数K1Aに0.9を乗算してこ
の補正係数K1Aを小さな値に変更する。 【0138】一方、上記ステップZ79でNOと判定さ
れて補正係数K1Aの設定が行われていない状態、つま
り上記ステップZ75で補正係数K2Aが設定された中
低速運転状態にあることが確認された場合には、ステッ
プZ81において、上記補正係数K2Aを1に戻した
後、上記ステップZ80に進み、補正係数K1Aに0.
9を乗算する。このようにして補正係数K1Aを小さな
値に変更し、あるいはこの補正係数K1Aと上記補正係
数K2Aとの大小関係を逆転させることにより、旋回時
の後半に車両のオーバーステア状態が解消されてニュー
トラルステアの走行状態に戻されることになる。これに
よってカーブの後半部で、車両の姿勢がカーブから脱出
方向に向けられることになる。 【0139】また、上記ステップZ77でYESと判定
されて車両が直進状態にあることが確認された場合に
は、ステップZ82において、旋回時制御用のフラグF
Aを0にリセットした後、ステップZ83において、上
記補正係数K1A,K2Aを基準値1に設定する。 【0140】上記のようにステップZ74,Z75にお
いて、高速旋回時に旋回性を向上させるために操舵速度
をパラメータとするに応じて設定される補正係数K1
A,K1Aとして、高μ路用と低μ路用との2種類の係
数を設け、旋回時に必要なヨーレートを作用させるよう
に実行される後輪1RL,1RRの駆動制御のゲインを
走行路の路面μに応じて変化させるように構成したた
め、高μ路における車両の旋回性を維持しつつ、低μ路
のおける走行安定性を向上させることができる。 【0141】すなわち、車両の挙動が変化し易い低μ路
の走行時には、上記駆動制御のゲインを高μ路の場合に
比べて小さな値とするように構成したため、上記ヨーレ
ートを増大させる後輪1RL,1RRの駆動力制御が必
要以上に実行されることを防止し、車両の走行安定性を
向上させることができる。これに対して走破性を向上さ
せることが望まれる高μ路の走行時には、上記駆動制御
のゲインを大きな値とするように構成したため、上記ヨ
ーレートを十分に大きな値として旋回性を維持すること
ができる。 【0142】〔独立モードにおける逆駆動制御の説明
(図15参照)〕 図15は、独立モードにおける逆駆動制御の詳細を示し
ている。この制御動作がスタートすると、まずステップ
Z26において、各種の信号を入力した後、ステップZ
27において、逆駆動フラグが1であるか否かを判定す
る。この判定結果がNOである場合には、ステップZ3
5において、現在の走行状態が、ハンドル舵角と車速V
Aとをパラメータとして設定された領域の何れに該当す
るかを判断する。 【0143】その後、ステップZ36において、現在の
走行状態が、上記ステップZ35で設定された領域のハ
ッチングを施したC領域にあるか否かを判定する。この
判定結果がYESである場合には、ステップZ37にお
いて、上記逆駆動フラグを1にセットした後、ステップ
Z26に戻る。これに対して上記ステップZ36の判定
結果がNOの場合には、上記ステップZ37を経ること
なくステップZ26に戻る。 【0144】上記ステップZ37を経た場合には、上記
逆駆動フラグが1にセットされているため、ステップZ
27においてYESと判定された後、ステップZ28に
おいて、現在がABS制御の実行中であるか否かが判定
される。この判定結果がNOである場合には、ステップ
Z29において、ブレーキ踏み込み量が大きいか否かが
判定され、NOと判定された場合には、ステップZ30
において、車速VAが予め設定された所定車速V3以下
の低車運転状態にあるか否かが判定される。 【0145】そして上記ステップZ30でNOと判定さ
れて車両が高速運転状態にあることが確認された場合に
は、ステップZ31において、車速VAと、変速機4の
変速位置とをパラメータとして設定されたグラフからモ
ータML,MRに供給する油量Qを読出して設定した
後、ステップZ32において、上記油量Qの設定値に応
じて切換弁VVB・L,VVB・Rを個別に制御する。 【0146】その後、ステップZ33,Z34の処理が
実行されるが、この処理は、上記図11のステップZ1
9および図13のステップZ25の処理に対応したもの
であり、逆駆動力が大きくなり過ぎるのを防止するため
に実行される補正処理である。また、上記ステップZ2
8,Z29,Z30の何れかにおいてYESと判定され
た場合には、ステップZ38おいて、逆駆動制御を中止
した後、ステップZ39において、上記逆駆動フラグを
0にリセットする。 【0147】なお、総合モードにおける逆駆動制御は、
油量Qの調節に使用される切換弁としてVVAが利用さ
れている点を除いて、上記独立モードの逆駆動制御と同
様に実行される。 【0148】〔トラクション制御時の補助駆動制御の説
明(図16〜図17参照)〕 次に、上記図5のステップE24の判定結果がYESの
場合に実行されるトラクション制御時の制御動作につい
て図16〜図17に示すフローチャートに基づいて説明
する。 【0149】上記制御動作がスタートすると、まずステ
ップZ41において、各種の制御信号を入力した後、ス
テップZ42において、TRC制御ユニットU3による
トラクション制御が実行されることに起因して生じる前
輪1FL,1FRへの付与トルクの減少量、例えばエン
ジントルクの減少量TFを、上記TRC制御ユニットU
3からの出力信号に基づいて読み込む。その後、ステッ
プZ43において、上記トルク減少量TFに応じた車速
の減少量VCを決定する。 【0150】次いで、ステップZ44において、モータ
ML,MRに供給すべき油量Qを車速の減少量VCに応
じて設定する。この供給油量Qは、モータML,MRの
合計発生トルクがエンジントルクの減少量TFと同じに
なるように設定される。その後、ステップZ45におい
て、上記トラクション制御が中止されたか否かを判定
し、NOと判定された場合には、ステップZ46におい
て、車速VAと、ハンドル舵角とに基づき車体に作用す
る横Gを算出した後、ステップZ47において、この横
Gに基づいた補正係数F1,F2を設定する。この補正
係数F1は、横Gがある程度以上大きい場合に、0.5
よりも大きな値に設定されるとともに、補正係数F2
は、横Gがある程度以上大きい場合に、0.5よりも小
さな値に設定され、これらに基づいて車両の旋回時に回
転差が生じる旋回外輪と、旋回内輪とに対応するモータ
ML,MRへの供給油量Qの配分割合、つまりトルクの
配分比が設定されることになる。 【0151】そして、図17に示すステップZ48にお
いて、車両が右旋回状態あるか否かを判定し、この判定
結果がYESのときは、ステップZ49において、上記
ステップZ44で設定された供給油量Qに対して補正係
数F1を乗算することにより、左後輪1RLを駆動する
モータMLに対する供給油量QTRLを算出するととも
に、上記供給油量Qに対して補正係数F2を乗算するこ
とにより、右後輪1RRを駆動するモータMRに対する
供給油量QTRRを算出する。 【0152】また、上記ステップZ48でNOと判定さ
れて車両が右旋回状態にないことが確認された場合に
は、ステップZ50において、車両が左旋回状態あるか
否かを判定し、この判定結果がYESのときは、ステッ
プZ51において、上記ステップZ44で設定された供
給油量Qに対し、0.5以下の値で横Gに応じて設定さ
れた補正係数F2を乗算することにより、左後輪1RL
の駆動モータMLに供給される油量QTRLを算出する
とともに、上記供給油量Qの設定値に対し、0.5以上
の値で横Gに応じて設定された補正係数F1を乗算する
ことにより、右後輪1RRの駆動モータMRに供給され
る油量QTRRを算出する。 【0153】さらに、上記ステップZ50においてNO
と判定されて車両が右旋回状態および左旋回状態の何れ
でもなく、直進状態にあることが確認された場合には、
ステップZ52において、上記ステップZ44で設定さ
れた供給油量Qに対して0.5を乗算することにより、
各モータML,MRに供給される油量QTRL,QTR
Rを算出する。このようにして旋回時には、旋回外輪側
の駆動力を大きくするとともに、旋回内輪側の駆動力を
小さくし、直進時には、左右の後輪1RL,1RRの駆
動力を等しく設定して直進状態を維持する処理が実行さ
れる。 【0154】その後、ステップZ53において、上記供
給油量QTRL,QTRRの設定値に応じて切換弁VV
B・L,VVB・Rを個別に制御する。次いで、ステッ
プZ54において、車速VAからから左後輪1RLの実
際の車輪速VBLを差し引いた値が、予め設定された所
定車速「−V4」よりも小さいか否かを判定する。この
所定車速「−V4」は、左後輪1RLの実際の車輪速V
BLが実際の車速VAに対して大き過ぎるか否かの判定
基準となるものである。 【0155】そして、上記ステップZ54でYESと判
定された場合には、ステップZ55において、左後輪1
RLが所定のスリップ値を維持するように、供給油量Q
を小さくする補正を行う。なお、上記ステップZ54、
Z55の処理は、右後輪1RRについても上記左後輪1
RLと同様に行う。また、上記ステップZ54の判定結
果がNOである場合には、ステップZ55を経ることな
くリターンする。 【0156】上記のようにTRC制御ユニットU3によ
るトラクション制御の実行時に、第2駆動手段99によ
って後輪1RL,1RRからなる第2駆動輪の補助的な
駆動制御を実行するように構成したため、上記トラクシ
ョン制御が実行されることにより低下した前輪1FL,
1FRからなる第1駆動輪の駆動トルクが、上記第2駆
動手段99のモータML,MRから後輪1RL,1RR
に付与される駆動力によって補われることになる。した
がって、車両の加速時等に前輪1FL,1FRがスリッ
プするのを防止しつつ、加速性が損なわれるのを効果的
に防止することができる。 【0157】そして、上記第2駆動手段99による後輪
1RL,1RRの駆動は、トラクション制御の実行によ
ってエンジン2から前輪1FL,1FRに付与される駆
動トルクの減少時に行われるため、上記エンジン2の余
剰駆動トルクを利用して上記第2駆動手段99のモータ
ML,MRからなるアクチュエータを効果的に駆動する
ことができる。さらに、上記第2駆動手段99の駆動
は、上記トラクション制御の実行時等の限られた時期に
行われるため、後輪1RL,1RRを常時駆動するよう
に構成された場合に比べ、第2駆動手段99の耐久性を
向上させることができるとともに、エンジン2の駆動力
の浪費を抑制することができる。 【0158】また、上記トラクション制御が実行される
ことよって低下した上記前輪1FL,1FRの駆動力に
対応する駆動力を、上記アクチュエータから後輪1R
L,1RRに付与するように構成した場合には、上記ト
ラクション制御の実行時に低下した車両の加速性を上記
後輪1RL,1RRに付与される駆動力を適正に補うこ
とができる。 【0159】〔停車モードの制御の説明(図18参
照)〕 上記図4に示すフローチャートのステップD9における
停車モードの制御動作を図18に基づいて説明する。こ
の制御動作がスタートすると、まずステップZ61にお
いて、各種の信号を入力した後、ステップZ62におい
て、アクセルが踏み込まれた状態にあるか否かを判定す
る。この判定結果がNOである場合には、ステップ63
において、目標車速VTRが0に設定された後、ステッ
プZ64において、左右後輪1RL,1RRの実際の車
輪速VBL,VBRが、それぞれ目標車速VTRとなる
ように、モータML,MRに対する供給油量がフィード
バック制御されることにより、左右の後輪1RL,1R
Rがそれぞれ個別に駆動制御される。 【0160】ところで、上記変速機4が自動変速機とな
り、クラッチ3がトルクコンバートなった場合には、ア
クセルを踏み込み操作していなくてもクリープと呼ばれ
る極低速での走行状態が行われるようになっている。こ
のクリープ状態を得るために、目標車速VTRを5km
/h程度に設定すれば、停車中の路面の傾斜状態に拘り
なく、常にクリープ速度を一定に維持することができ
る。そして、上記目標車速VTRを、例えばマニュアル
式に0〜15km/h程度の範囲で連続可変式あるいは
無段変速式に選択しうるように構成することもできる。 【0161】なお、本発明は上記実施例に限定されるこ
となく、例えば以下に示すような変形例をも含むもので
ある。 【0162】(1)マニュアルスイッチS13が選択し
ているモード、つまり総合モードあるいは独立モード
と、図4のステップD12で制御条件が成立したモード
とが相違する場合には、モータML,MRを利用した補
助的な駆動を行わないように構成してもよい。 【0163】(2)悪路の場合についても、良路の場合
と同様にモータML,MRを利用した補助的な駆動を行
うように構成してもよい。 【0164】(3)マニュアルスイッチS13の選択に
優先して悪路に応じた総合モードと独立モードとの制御
領域に設定を行うように構成してもよい。また、極悪路
では、独立モードでの制御のみを許容する一方、緩悪路
では、総合モードでの制御を許容するように構成しても
よい。さらに、これとは逆に、極悪路では、総合モード
での制御のみを許容する一方、緩悪路では、独立モード
での制御を許容するように構成してもよい。 【0165】(4)左右後輪1RL,1RRをエンジン
2により駆動するとともに、左右前輪1FL,1FRを
モータML,MRにより駆動するように構成してもよ
い。また、上記油圧モータからなるアクチュエータに代
えて電動モータを使用してもよい。この場合、エネルギ
ー備蓄手段として電力を蓄えるバッテリーやコンデンサ
ーが使用されることになる。 【0166】(5)直進時には、低速時に独立モードに
基づく制御を実行し、高速時に総合モードに基づく制御
を実行するように構成してもよい。このような設定は、
高μ路で行うこともできるが、特に低μ路において実行
するように構成した場合には、低速時における走破性の
向上効果と高速時における直進安定性の向上効果と満足
させる上で好ましいものとなる。 【0167】 【発明の効果】以上説明したように、本発明は、路面μ
検出手段によって検出された路面の摩擦係数に応じ、走
行路が低μ路であるか否かを判定し、その判定結果に応
じて第2駆動輪制御手段によって第2駆動輪の駆動状態
を制御するように構成するとともに、走行安定性の損な
われる可能性が低い高μ路の走行時に、第2駆動輪の逆
転方向に駆動力を付与することにより、運転性能を向上
させるように構成された車両の駆動装置において、車輪
がスリップし易い低μ路の走行時に、上記逆転方向の駆
動を禁止するように構成しているので、車輪がスリップ
することに起因した走行安定性の低下を効果的に防止で
きる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る車両の駆動装置の実施例を示す説
明図である。 【図2】上記駆動装置の油圧系統を示す説明図である。 【図3】上記駆動装置の制御系統を示すブロック図であ
る。 【図4】上記制御系による制御動作を示すメインフロー
チャートである。 【図5】上記制御系によるモード判定ルーチンの第1部
を示すフローチャートである。 【図6】上記モード判定ルーチンの第2部を示すフロー
チャートである。 【図7】上記モード判定ルーチンの第3部を示すフロー
チャートである。 【図8】上記モード判定ルーチンの第4部を示すフロー
チャートである。 【図9】上記制御系による実行判定ルーチンを示すフロ
ーチャートである。 【図10】上記制御系による独立正駆動ルーチンの第1
部を示すフローチャートである。 【図11】上記独立正駆動ルーチンの第2部を示すフロ
ーチャートである。 【図12】上記独立正駆動ルーチンの第3部を示すフロ
ーチャートである。 【図13】上記独立正駆動ルーチンの第4部を示すフロ
ーチャートである。 【図14】上記制御系による旋回時制御のルーチンを示
すフローチャートである。 【図15】上記制御系による独立逆駆動ルーチンを示す
フローチャートである。 【図16】トラクション制御時の補助駆動制御の第1部
を示すフローチャートである。 【図17】トラクション制御時の補助駆動制御の第2部
を示すフローチャートである。 【図18】停車モードの制御動作を示すフローチャート
である。 【符号の説明】 1FL,1FR 前輪(第1駆動輪) 1RL,1RR 後輪(第2駆動輪) 81 ブレーキ液圧調節手段(制動力制御手段) 82 トルク調節手段82(エンジン出力制御手段) 98 第1駆動手段 99 第2駆動手段 100 路面μ検出手段 101 ヨーレート検出手段 102 操舵速度検出手段 103 第2駆動輪制御手段 104 判定手段 105 駆動力設定手段 ML,MR モータ(アクチュエータ)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 前輪または後輪の何れか一方からなる第
    1駆動輪を駆動するエンジンを備えた第1駆動手段と、
    他方の第2駆動輪を駆動するアクチュエータを備えた第
    2駆動手段と、走行路の摩擦係数を検出する路面μ検出
    手段と、この路面μ検出手段によって検出された走行路
    の摩擦係数に応じて上記第2駆動輪の駆動状態を制御す
    る第2駆動輪制御手段とを有する車両の駆動装置におい
    て、アクチュエータによって第2駆動輪を正転方向と逆
    転方向との両方向に駆動するように構成し、車両の走行
    状態応じて第2駆動輪を正駆動するか、逆駆動するかを
    判定する判定手段を設けるとともに、路面μ検出手段の
    検出値に応じて走行路が低μ路であることが確認された
    場合に、上記アクチュエータによる第2駆動輪の逆駆動
    を禁止するように構成したことを特徴とする車両の駆動
    装置。
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