JP3325634B2 - 車両の駆動装置 - Google Patents

車両の駆動装置

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JP3325634B2
JP3325634B2 JP03165193A JP3165193A JP3325634B2 JP 3325634 B2 JP3325634 B2 JP 3325634B2 JP 03165193 A JP03165193 A JP 03165193A JP 3165193 A JP3165193 A JP 3165193A JP 3325634 B2 JP3325634 B2 JP 3325634B2
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの他にモータ
等のアクチュエータを利用して車輪の回転駆動力を得る
ようにした車両の駆動装置に関し、特にアクチュエータ
により駆動力のアシストを行うようにしたものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、車両の駆動形態においては、エン
ジンの出力を全車輪に適切に分配して各車輪の路面との
スリップを低減できる等の利点があることから、4輪駆
動車が増加する傾向にある。しかし、その反面、一般的
な4輪駆動車、例えば車体前部にエンジンが配置された
ものにあっては、エンジンの駆動力を後輪へ伝達するた
めのプロペラシャフト等がフロアパネルの下側に配設さ
れるので、この収容スペースを確保するためにフロアパ
ネルを車室内側に膨出させる必要があり、車体重量が増
大したり、或いはフロア面が高くなって車室内空間が狭
くなったりする等の問題がある。
【0003】これら問題を解消するために、従来、例え
ば特開昭57−74222号、特開昭63−38031
号、特開平2―12036号の各公報に示されているよ
うに、左右前輪又は左右後輪のうちの何れか一方をエン
ジンにより駆動する主駆動輪とし、他方をモータにより
駆動する補助駆動輪とした車両の駆動装置が提案されて
いる。
【0004】すなわち、特開昭57−74222号公報
の従来例には、左右2つの油圧モータ(油圧シリンダ)
に対する油圧供給の分配を左右の補助駆動輪に加わる路
面負荷に応じて自動的に行うようにすることにより、差
動装置の機能を付加するようにしたものが開示されてい
る。
【0005】また、特開昭63−38031号公報の従
来例には、左右2つの電動モータを用い、車速が大きく
なるほど発電電圧を大きくして、モータの発生トルクが
一定となるようにするとともに、マニュアルスイッチに
よってモータによる駆動実行と駆動停止とを切換選択し
得るようにすることが示されている。
【0006】さらに、特開平2―12036号公報に
は、変速段に応じて、駆動力の異なる2つの油圧モータ
の作動状態を切り換えるようにしたものが示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常の車両
においては、その諸元から限界運動性能が決まり、その
限界を越える場合には操縦安定性が低下する。例えば車
両の操舵輪を大きく切った大舵角状態でエンジンにより
大きな駆動力をかけたときには、車両の操縦が不安定に
なる。このことから、斯かる問題を解決することが望ま
れる。
【0008】本発明は以上の点に鑑みてなされたもの
で、その主たる目的は、上記のように左右の前輪又は後
輪の一方をエンジンにより駆動する主駆動輪とし、他方
をモータ等のアクチュエータにより駆動する補助駆動輪
とした車両に着目し、その補助駆動輪の回転制御を行う
ことにより、操舵角が大きい状態での車両の駆動力を抑
制するようにして、車両の操縦安定性を確保することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、車両の操舵角が大きいとき
には、アクチュエータに駆動連結される車輪に対し該ア
クチュエータにて制動負荷を与えるようにした。
【0010】具体的には、この発明では、図1に示すよ
うに、左右前輪1FL,1FR又は左右後輪1RL,1
RRの何れか一方の車輪1FL,1FRをエンジン2に
より駆動する第1駆動手段98と、他方の車輪1RL,
1RRをアクチュエータML,MRにより駆動する第2
駆動手段99とを備えた車両の駆動装置が前提である。
【0011】そして、操舵輪1FL,1FRの舵角θH
を検出する舵角検出手段S8と、変速機4と、この変速
機4の変速段を検出する変速段検出手段S6と、上記ア
クチュエータML,MRが車輪1RL,1RRに制動負
荷を加えるように上記第2駆動手段99を制御する制御
手段100とを設ける。そして、この制御手段100
は、上記舵角検出手段S8により検出された舵角θHが
所定値以上に大きいとき、上記変速機4の変速段が低速
段になるほど、アクチュエータML,MRの車輪1R
L,1RRに加える制動負荷が小さくなるように制御す
るものとする。
【0012】請求項の発明では、上記制御手段100
は、操舵輪1FL,1FRの舵角θHが大きいほど、第
2駆動手段99のアクチュエータML,MRによる制動
負荷を大きくするように構成する。
【0013】請求項の発明では、請求項1の車両の駆
動装置において、アクチュエータML,MRの駆動エネ
ルギーを蓄えるエネルギー備蓄手段41を設ける。そし
て、アクチュエータML,MRは、車輪1RL,1RR
から駆動を受けて該アクチュエータML,MRの駆動エ
ネルギーを発生するものとし、かつ、制御手段100
は、上記エネルギー備蓄手段41に蓄えられる駆動エネ
ルギーをアクチュエータML,MRで発生させることに
より、車輪1RL,1RRに制動負荷を加えるように構
成する。
【0014】請求項の発明では、路面が低μ路である
ことを検出する低μ路検出手段101と、この低μ路検
出手段101により低μ路が検出されたとき、制御手段
100の作動を禁止する禁止手段102とを設ける。
【0015】
【作用】上記の構成により、請求項1の発明では、車両
の操舵輪1FL,1FRの舵角θHが舵角検出手段S8
により検出され、この舵角検出手段S8の出力信号を受
けた制御手段100により、検出舵角θHが所定値以上
に大きいときに、変速機 4の変速段が低速段になるほど
アクチュエータML,MRが車輪1RL,1RRに小さ
制動負荷を加えるように第2駆動手段99が制御され
る。このように操舵輪1FL,1FRの舵角θHが大き
いときに、エンジン2の出力を車輪駆動力とする第1駆
動手段98とは別個に独立して第2駆動手段99が作動
し、そのアクチュエータML,MRにより車輪1RL,
1RRに対して変速機4の変速段が低速段になるほど大
きな制動負荷が与えられるので、例えば舵角θHの大き
い状態で高速段による高速運転時等に第1駆動手段98
のエンジン2により大きな駆動力をかけたとしても、上
記アクチュエータML,MRによる車輪1RL,1RR
の制動負荷により車両の駆動力が全体として抑制される
こととなり、よって高速段による高速運転時等であって
車両の操縦安定性を確保することができる。
【0016】請求項2の発明では、操舵輪1FL,1F
Rの舵角θHが大きくなるほど、第2駆動手段99のア
クチュエータML,MRによる制動負荷が大きくなるの
で、アクチュエータML,MRにより高精度で微妙な制
御を行うことができる。
【0017】請求項の発明では、舵角θHが大きいと
きには、アクチュエータML,MRは車輪1RL,1R
Rに駆動されて駆動エネルギーを発生するエネルギー発
生手段となり、このアクチュエータML,MRで発生し
た駆動エネルギーがエネルギー備蓄手段41に蓄えられ
る。すなわち、このエネルギー備蓄手段41に蓄えられ
る駆動エネルギーをアクチュエータML,MRで発生さ
せるために該アクチュエータML,MRが駆動されるの
で、そのアクチュエータML,MRが車輪1RL,1R
Rの制動負荷となり、この制動負荷により車両の駆動力
が抑制される。よって第2駆動手段99に連結されてい
る車輪1RL,1RRに制動負荷を与えるための手段が
容易に得られる。
【0018】請求項の発明では、路面が低μ路である
と、アクチュエータML,MRにより制動負荷をかけた
場合、該アクチュエータML,MRに駆動連結されてい
る車輪1RL,1RRがスリップする虞れがあるので、
この低μ路が検出手段101により検出されたときに
は、禁止手段102により制御手段100の作動が禁止
される。よって低μ路でのスリップを有効に防止して車
両の操縦安定性を確保することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。尚、説明の手順としては油圧系統等の構成の説
明、各制御モードの説明、制御系統の説明、各制御のフ
ローチャートの説明の順で行う。
【0020】[油圧系統等の説明(図2参照)] 図2において、1FLは車両の左前輪、1FRは右前輪
で、これらは操舵輪を構成する1RLは左後輪、1RR
は右後輪である。車体前部にはエンジン2が横置き状態
に配置され、このエンジン2の駆動力つまり発生トルク
はクラッチ3と前進5段で後進1段の手動変速機4とを
介して差動装置5へ伝達される。さらに、エンジン2の
駆動力は差動装置5から左駆動シャフト6Lを介して左
前輪1FLへ、また右駆動シャフト6Rを介して右前輪
1FRへそれぞれ伝達される。つまり、上記クラッチ
3、変速機4、差動装置5及びシャフト6L,6Rによ
り、左右前輪1FL,1FRをエンジン2により駆動す
るようにした第1駆動手段98が構成されている。
【0021】また、操舵輪となる上記左右前輪1FL,
1FR同士はタイロッド等のステアリングリンク7によ
って連係され、このステアリングリンク7はステアリン
グホイール8に対しラックアンドピニオン機構9を介し
て連係されている。
【0022】一方、上記左右の後輪1RL,1RRは左
右1対の油圧式モータML,MRによりエンジン2とは
別途独立して駆動されるようになっている。すなわち、
左後輪1RLは左駆動シャフト11Lを介して後輪駆動
用アクチュエータとしての左モータMLにより、また右
後輪1RRは右駆動シャフト11Rを介して同様のアク
チュエータとしての右モータMRによりそれぞれ駆動さ
れるようになっている。この左モータMLつまり左駆動
シャフト11Lと、右モータMRつまり右駆動シャフト
11Rとは互いに分断されていて、左右個々独立して駆
動可能となっている。そして、左右の駆動シャフト11
L,11R同士は油圧式のクラッチ12によって断続可
能とされている。つまり、上記油圧系により、左後輪1
RL,1RRをモータML,MR(アクチュエータ)に
より駆動するようにした第2駆動手段99が構成されて
いる。
【0023】上記モータML(MR)はタービン式(羽
根車式)のもので、それぞれ第1接続口La(Ra)及
び第2接続口Lb(Rb)を有し、第1接続口La(R
a)から第2接続口Lb(Rb)へ高圧の作動油が流れ
たときに前進方向に回転し、これとは逆方向に高圧の作
動油が流れたときに後退方向の回転となる。そして、モ
ータML,MRは互いに同一仕様とされ、その最大発生
トルクの合計値はエンジン2の最大発生トルクの1/3
〜1/2程度に設定されている。
【0024】尚、本実施例では、モータML,MRによ
る後輪駆動は後述する所定条件下においてのみ実行され
るものである。すなわち、エンジン2により左右前輪1
FL,1FRが駆動されているときでも、左右後輪1R
L,1RRがモータML,MRによって駆動されない場
合もある。
【0025】Pは油圧発生源としての容量可変型ポンプ
で、このポンプPは駆動プーリ13、ベルト14及び従
動プーリ15を介してエンジン2の出力軸2aにより駆
動連結されている。つまり、このポンプPにより、エン
ジン2にて駆動されてモータML,MRの駆動エネルギ
ーとしての油圧を発生するエネルギー発生手段が構成さ
れる。リザーバタンク16からポンプPによって汲み上
げられた高圧の作動油は、チェック弁17を配設した高
圧ライン18へ吐出される。この高圧ライン18には、
チェック弁10,32を配設した互いに並列な第1及び
第2の油圧供給ライン31A,31Bが接続されてい
る。また、リザーバタンク16には解放ライン23が接
続されている。さらに、モータML(MR)の各接続口
La,Lb(Ra,Rb)には互いに並列なライン20
L,21L(20R,21R)が接続されている。
【0026】上記左モータMLのライン20L,21L
は切換弁VVA、互いに並列なライン19,19L及び
ライン22,22L、並びに切換弁VVB・L,VVE
・Lの利用により、第1油圧供給ライン31Aと解放ラ
イン23とに対し選択的に接続可能とされている。同様
に、右モータMRのライン20R,21Rは切換弁VV
A、互いに並列なライン19,19R及びライン22,
22R、並びに切換弁VVB・R,VVE・Rの利用に
より、第1油圧供給ライン31Aと解放ライン23とに
対して選択的に接続可能とされている。
【0027】上記第2油圧供給ライン31Bには、上記
チェック弁32の下流側において切換弁VVIが、また
該切換弁VVI下流側において分流弁34がそれぞれ接
続されている。上記分流弁34により2本に分岐された
一方の分岐供給ライン33Lは上記ライン19Lに接続
され、他方の分岐供給ライン33Rは上記ライン19R
に接続されている。
【0028】高圧ライン18には、上記モータML,M
R用の駆動エネルギーとしての高圧の油圧を貯留してお
くためのエネルギー備蓄手段としてのアキュムレータ4
1が接続されている。この高圧ライン18には上記ライ
ン20L(20R)が通路42L(42R)によって接
続されている。この通路42L(42R)にはチェック
弁43L(43R)及び切換弁VVF・L(VVF・
R)が配設されている。両通路42L,42Rは互いに
並列で、前述の各弁VVA,VVB・L(VVB・
R),VVE・L(VVE・R),VVIや分流弁34
等をバイパスしている。
【0029】上記ライン20L(20R)とライン21
L(21R)とは連通路51L(51R)によって連通
され、この連通路51L(51R)には可変オリフィス
VVC・L(VVC・R)が配設されている。
【0030】また、61は上記クラッチ12を断続する
ためのアクチュエータで、このアクチュエータ61用の
供給ライン62が高圧ライン18に対して、また排出ラ
イン63が解放ライン23に対してそれぞれ切換弁VV
Jを利用して選択的に接続可能とされており、切換弁V
VJによって両ライン62,63が共に遮断された状態
をとり得るようになっている。
【0031】左右のモータML,MR同士は連通路71
によって接続され、この連通路71には開閉弁VVDが
配設されている。
【0032】上記解放ライン23は高圧ライン18に対
し、チェック弁17よりも上流側(ポンプP側)におい
てロード・アンロード弁VVHを介して、またチェック
弁17よりも下流側において安全弁VVGを介してそれ
ぞれ接続されている。
【0033】[制御モードの説明(表1)] 本実施例においては、後述するように合計8種類の制御
モードを有しており、各モードが実行されるときの上記
各弁の作動状態をまとめて表1に示す。この表1におい
て、左右を識別する符号「L」及び「R」の表示は省略
している。
【0034】尚、表1に示されないロード・アンロード
弁VVHは、高圧ライン18の圧力が下限値と上現値と
の間での所定圧範囲となるように開閉制御される。
【0035】
【表1】
【0036】表1に示された各制御モードにおいて、主
要な作用を果たす弁の作動状態を具体的に説明すると、
次のとおりである。
【0037】(1)統合モード 統合モードは、後に詳述するように左右後輪1RL,1
RRが同一回転数となるようにモータML,MRの駆動
制御を行うもので、正駆動(駆動補助)と逆駆動(制
動)との2種類がある。この統合モードにおいては、ク
ラッチ12が締結され(切換弁VVJがライン62を開
きかつライン63を閉じた状態)、切換弁VVB・L
(VVB・R),VVE・L(VVE・R),VVIの
作動態様は図2に示す状態とされる。この状態で、切換
弁VVAを制御して、正駆動或いは逆駆動に応じた油圧
供給方向の切換え(モータML,MRの正転、逆転の方
向設定)と、モータML,MRに対する供給流量とが制
御される(第1供給ライン31Aを利用した油圧供
給)。
【0038】尚、逆駆動においては、後述する油圧ロッ
クモードよりも大きい減速力を得るものであるが、当然
のことながら、車両の前進時にあっては、後輪1RL,
1RRが車両の進行方向に対して逆方向に回転するよう
な大きな駆動力を与えるものではなく、後輪1RL,1
RRに制動力を与えるものである。
【0039】(2)独立モード 独立モードは、後に詳述する如く左右後輪1RL,1R
Rがそれぞれ個々独立して設定される目標車輪速度とな
るようにモータML,MRの駆動制御を行うもので、上
述した統合モードの場合と同様に正駆動と逆駆動との2
種類がある。また、この独立モードにおいては、クラッ
チ12が締結解除される(切換弁VVJがライン62を
閉じライン63を開いた状態)。切換弁VVE・L(V
VE・R)の作動態様は図2に示す状態とされるが、切
換弁VVAは中央切換位置とされて、第1油圧供給ライ
ン31Aが遮断される。切換弁VVIは開位置とされ
て、第2油圧供給ライン31Bを利用した油圧供給態様
とされる。この状態で、切換弁VVB・L(VVB・
R)を制御して、正駆動或いは逆駆動に応じた油圧供給
方向の切換え(モータML,MRの正転、逆転の方向設
定)と、モータML,MRに対する供給流量とが制御さ
れる。
【0040】(3)LSDモード LSDモードは差動制限機能を得るもので、切換弁VV
B・L,VVB・Rがライン20L,21L(20R,
21R)を共に閉じて、モータML,MRに対する油圧
の給排を完全に遮断した状態とされる。そして、開閉弁
VVDが開かれて両モータML9MR各々の閉じられた
左右の油圧経路内同士を連通し、左右のモータML,M
Rの間で大きな回転差を生じてしまうのを防止する。ま
た、このLSDモードでは可変オリフィスVVC・L
(VVC・R)は全閉とされている。
【0041】(4)油圧ロックモード 油圧ロックモードは、通路抵抗つまり可変オリフィスV
VC・L(VVC・R)の絞り抵抗を利用した減速力を
得るものである。この油圧ロックモードでは、切換弁V
VB・L,VVB・Rが中央切換位置にあってライン2
0L,21L,20R,21Rが遮断され、かつ開閉弁
VVDが閉じられ、また可変オリフィスVVC・L,V
VC・Rが開かれる。この状態では、作動油はモータM
L(MR)の回転に応じて、可変オリフィスVVC・L
(VVC・R)を含んで形成される閉じられた閉油圧回
路を循環されることになるが、その循環中に作動油が通
過する可変オリフィスVVC・L(VVC・R)の絞り
抵抗が車両への減速力を与えることになる。そして、可
変オリフィスVVC・L,VVC・Rの開度は、車両の
減速度が大きいほど小さくなるように制御される(減速
度に応じた可変オリフィスVVC・L,VVC・Rの開
度設定を図5のステップE37に例示してある)。尚、
クラッチ12は締結状態又は締結解除状態のいずれでも
よい。
【0042】(5)蓄圧モード 蓄圧モードは、走行中に車両つまり後輪1RL,1RR
によって駆動されるモータML,MRをポンプ(油圧発
生手段)として機能させてアキュムレータ41に蓄圧さ
せるものである。この蓄圧モードでは、ライン21L
(21R)がリザーバタンク16に連通される一方、開
閉弁VVF・L(VVF・R)が開となってリザーバタ
ンク16内に作動油がモータML(MR)により汲み上
げられ、アキュムレータ41に蓄圧される。
【0043】(6)停車モード 停車モードは、パーキングブレーキが作動していない状
態において車両を停止させるようにモータML,MRを
駆動制御するものである(車速が目標車速「0」となる
ようにモータML,MRの駆動を制御する)。この場
合、油圧供給のラインは第2油圧供給ライン31Bが利
用され、油圧の給排制御は切換弁VVB・L(VVB・
R)を利用して行われる。
【0044】(7)駐車モード 駐車モードは、パーキングブレーキが作動した状態にお
いて駐車状態を維持しようとする作用を高めるものであ
る。すなわち、駐車モードでは、切換弁VVB・L(V
VB・R)が中央切換位置の閉位置とされて油圧の給排
ラインが遮断されるとともに、クラッチ12が締結され
る。
【0045】(8)F/Sモード F/Sモードはフェイルセーフモードであり、何等かの
異常があったとき、例えば高圧ライン18が異常に高圧
となったとき、モータML,MRが正常に駆動されなく
なったとき、ある弁が固着してしまったとき、さらには
油温が所定温度以上に高くなってしまったとき等に安全
弁VVGが開かれて、高圧ライン18の油圧が解放され
る。
【0046】[制御系統の説明(図3参照)] 図3は本発明における制御系統を示す。図中、U1〜U
3はそれぞれマイクロコンピュータを内蔵した制御ユニ
ットで、制御ユニットU1が前述した各弁VVA等の制
御を行うメイン制御ユニットである。また、制御ユニッ
トU2はABS制御(アンチロックブレーキ制御)用で
あり、制御ユニットU3はトラクション制御用である。
さらに、S1〜S10,S14はそれぞれセンサ、S1
1〜S13はそれぞれスイッチである。
【0047】上記センサS1〜S4はそれぞれ車輪1F
L〜1RRの回転速度つまり車輪速を個々独立して検出
するものであり、各センサS1〜S4で検出された車輪
速信号は、制御ユニットU2から制御ユニットU1,U
3へ伝送される。センサS5は車速を検出するもので、
本実施例では対地車速を検出する(絶対車速の検出)。
センサS6は上記変速機4の変速段を検出する変速段セ
ンサ、センサS7はエンジン回転数を検出するものであ
る。また、センサS8はハンドル舵角(操舵輪としての
前輪1FL,1FRの舵角θH)を検出する舵角検出手
段としての舵角センサである。センサS9はアクセルペ
ダルの踏込み量つまりアクセル開度を検出するアクセル
開度センサである。またセンサS10はフットブレーキ
ペダルの踏込み量を検出するフットブレーキ踏込みセン
サである。スイッチS11はイグニッションキースイッ
チ、スイッチS12はパーキングブレーキが作動したか
否かを検出するものである。
【0048】スイッチS13はマニュアルスイッチで、
「AUTO」、「統合制御」、「独立制御」及び「OF
F」の4つの制御態様を選択するものである。センサS
14は悪路(凹凸路)を検出するものであり、例えばセ
ンサS14がサスペンションの上下ストロークを検出し
て、所定時間内に所定量以上のストロークが所定回数以
上生じた場合を悪路とするようにメイン制御ユニットU
1が判定する。また、センサS14を車体に作用する上
下G(加速度)を検出するものとして、所定以上の上下
Gが所定時間内に所定回数以上生じたときを悪路である
とメイン制御ユニットU1が判定するように構成するこ
ともできる。尚、悪路の度合の判定は、上記の悪路判定
の各しきい値のいずれか1つ或いは複数を変更すること
により行えばよい。
【0049】上記各センサ及びスイッチS5〜S14の
信号はメイン制御ユニットU1に入力され、このメイン
制御ユニットU1は前述した各弁VVA〜VVJを制御
する。勿論、制御ユニットU2はブレーキ時に車輪1F
L〜1RRがロックするのを防止するためのもので、こ
の制御ユニットU2により、各車輪1FL〜1RRのブ
レーキを個々独立して調整するためのブレーキ液圧調整
手段81を制御する。また、制御ユニットU3は、加速
時等に常時駆動輪となる左右前輪1FL,1FRの路面
に対するスリップが過大になったときに、少なくともエ
ンジン出力(エンジン2の発生トルク)を低減させるも
ので、例えばエンジン2のスロットル弁の開度、点火時
期、燃料噴射量等を調整するトルク調整手段82を制御
する。
【0050】制御ユニットU2からメイン制御ユニット
U1へは、センサS1〜S4で検出された車輪速信号の
他に、ABS制御実行中であることを示すABS信号
と、路面の摩擦係数μを示すμ信号とが伝送される。ま
た、制御ユニットU2から制御ユニットU3へは車輪速
信号が伝送される。さらに制御ユニットU3からメイン
制御ユニットU1へは、トラクション制御実行中である
ことを示すTRC信号の他に、トラクション制御によっ
て行われたエンジントルクの減少量を示すトルク減少量
信号と、路面μ信号とが伝送される。尚、路面μの検出
はメイン制御ユニットU1によって行うこともでき、ま
たセンサS1〜S4で検出された各車輪速はメイン制御
ユニットU1に直接入力させるようにしてもよい。
【0051】[メイン制御の説明(図4参照)] 次に、図4以下のフローチャートを参照しつつ、メイン
制御ユニットU1の制御内容について説明する。最初
に、図4のメインフローチャートについて説明すると、
このメインフローチャートにおいては、先ず、ステップ
D0において各センサ等からの信号を入力させた後、ス
テップD1においてイグニッションスイッチS11がO
FF状態であるか否かを判定する。このステップD1で
イグニッションスイッチS11がOFF状態でないNO
と判定されたときには、ステップD2においてイグニッ
ションスイッチS11がON状態であるが否かを判定
し、このステップD2でイグニッションスイッチS11
がON状態でないNOと判定されたときには、ステップ
D3に進み、安全弁VVGを開いて高圧ライン18の圧
力を解放した状態とする。また、上記ステップD2でイ
グニッションスイッチS11がON状態であるYESと
判定されたときには、ステップD4において安全弁VV
Gを閉じて高圧ライン18に高圧の油圧を供給した状態
とする。
【0052】その後、ステップD5において、車速セン
サS5によって検出される車速(対地車速)が略0であ
るか否かを判定する。このステップD5で車速が略0で
あるYESと判定されたときには、ステップD6におい
てギヤ位置検出センサS6の検出により変速機4のギア
位置がニュートラルであるか否かを判定する。このステ
ップD6で変速機4のギア位置がニュートラルであるY
ESと判定されたときには、ステップD7においてパー
キングブレーキ検出スイッチS12の検出によりパーキ
ングブレーキが作動されているか否かを判定する。この
ステップD7でパーキングブレーキが作動状態であるY
ESと判定されたときには、ステップD8において上述
したような駐車モードの制御を実行し、車両の駐車状態
の維持性能が高められるように制御する。また、ステッ
プD7でパーキングブレーキが作動していないNOと判
定されたときには、ステップD9において上述したよう
な停車モードの制御を実行し、車両の車速が0となるよ
うに制御する。
【0053】一方、上記ステップD5で車速が略0でな
いNOと判定されたとき、つまり車両の走行時であると
きや、或いはステップD6で変速機4のギア位置がニュ
ートラルでないNOと判定されたときは、ステップD1
0において変速機4のギア位置が後退位置であるか否か
を判定する。このステップD10で変速機4のギア位置
が後退位置でないNOと判定されたときは、ステップD
11において現在スタック中であるか否かを判定する。
このスタック中であるか否かの判定は、例えばアクセル
開度検出センサS9の検出によりアクセルが踏込み操作
されており、車速が略0でかつ車輪速センサS1〜S4
によって検出される左右前輪1FL,1FRの回転速度
が車速に比べて十分高いときに、スタック中であると判
定する。そして、このステップD11でスタック中でな
いNOと判定されたときは、ステップD12において、
後述するような駐車モードと停車モード以外の他の制御
モードとを行う制御条件が満足したか否かを判定し、そ
の後、ステップD13において、後述するように制御モ
ードの実行判定により制御の実行/非実行を行う。
【0054】また、上記ステップD10で変速機4のギ
ア位置が後退位置にあるYESと判定されたときは、ス
テップD15においてモータML,MRを利用した駆動
を実行するが、この場合は、独立モードでの逆駆動とさ
れる(後退方向へ後輪1RL,1RRを駆動する)。
尚、この後退動作の詳細については後述する。
【0055】また、ステップD11でスタック中である
YESと判定されたときは、ステップD14においてモ
ータML,MRを利用した駆動補助を実行するが、この
場合は、目標車速を低車速(例えばスタック解除条件と
なる10km/h程度)に設定した後述する独立モード
での正駆動を行う。
【0056】さらに、上記ステップD1でイグニッショ
ンスイッチがOFF状態であるYESと判定されたとき
は、ステップD16においてクラッチ12を締結した
後、ステップD17においてクラッチ締結の保持を行い
(切換弁VVJがライン62,63を共に閉とする)、
その後、ステップD18において安全弁VVGを開く。
【0057】 [モード判定制御の説明(図5〜図8参照)] 次に、上述したメインフローチャート(図4参照)にお
けるステップD12の制御モードを行う制御条件が満足
したか否かの判定動作の詳細を、図5〜図8のモード判
定フローチャートに基づいて説明する。このモード判定
フローチャートは良路つまり悪路でないときを前提とし
ており、先ず、図5のステップE24において、現在、
制御ユニットU3によるトラクション制御中であるか否
かを判定する。このステップE24でトラクション制御
中でないNOと判定されたときは、ステップE25にお
いて路面が低μであるか否かを判定し、このステップE
25で路面が低μでないNOと判定されたときは、ステ
ップE26において現在直進中であるか否かを判定す
る。この直進であるか否かの判定は、本実施例では、ハ
ンドル舵角センサS8によって検出されるハンドル舵角
と車速センサS5によって検出される車速とにより横G
を演算し、この横Gが所定値以下のときに直進時である
と判定するようにしている。
【0058】そして、このステップE26で直進中であ
るYESと判定されたときは、ステップE27〜E39
の処理を行う。この処置は良路、高μ路かつ直進時を前
提としたものであり、最終的に、統合モードでの正駆動
(ステップE28)及び逆駆動(ステップE35)、蓄
圧モード(ステップE33,E39)或いは油圧ロック
モード(ステップE31,E37)を行う制御条件が満
足されたか否かを判定する。具体的には、ステップE2
7において急加速運転状態であるか否かを判定し、この
ステップE27で急加速運転状態であるYESと判定さ
れたときには、ステップE28において統合モードでの
正駆動の条件が成立したと判断する。つまり、高μ路の
直進時でかつ急加速時には後輪1RL,1RRを正転駆
動させることにより、駆動力の補助が行われるようにし
ている。
【0059】また、上記ステップE27で急加速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE29に
おいて高速運転状態であるか否かを判定し、このステッ
プE29で高速運転状態でないNOと判定されたときに
は、ステップE30において緩減速運転状態であるか否
かを判定する。このステップE30で緩減速運転状態で
あるYESと判定されたときには、ステップE31にお
いて油圧ロックモードの条件が成立されたと判断する。
つまり、高μ路の直進時でかつ中低速運転状態の緩減速
時においては、後輪1RL,1RRの回転に抵抗を与え
ることにより、減速力を僅かに増大させるようにしてい
る。
【0060】一方、上記ステップE30で緩減速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE32に
おいて急減速運転状態であるか否かを判定し、このステ
ップE32で急減速運転状態であるYESと判定された
ときには、ステップE33において蓄圧モードの条件が
成立されたと判断する。つまり、高μ路の直進時でかつ
中低速運転状態の急減速時においては、後輪1RL,1
RRの回転に抵抗を与えながら、この後輪1RL,1R
Rの回転を利用してアキュムレータ41に蓄圧するよう
にしている。
【0061】さらに、上記ステップE29で高速運転状
態であるYESと判定されたときには、ステップE34
において急減速運転状態であるか否かを判定し、このス
テップE34で急減速運転状態であるYESと判定され
たときには、ステップE35において統合モードでの逆
駆動の条件が成立したと判断する。つまり、高μ路の直
進時でかつ高速運転状態の急減速時においては、後輪1
RL,1RRの回転に大きな制動力を与えることによ
り、減速力を増大させるようにしている。
【0062】一方、上記ステップE34で急減速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE36に
おいて緩減速運転状態であるか否かを判定し、このステ
ップE36で緩減速運転状態であるYESと判定された
ときには、ステップE37において油圧ロックモードの
条件が成立されたと判断し、減速度に応じた可変オリフ
ィスVVCの開度を設定することになる。つまり、高μ
路の直進時でかつ高速運転状態の緩減速時においては、
減速度に応じた抵抗を後輪1RL,1RRの回転に与え
ることにより、減速力を僅かに増大させるようにしてい
る。
【0063】また、上記ステップE36で緩減速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE38に
おいて定常運転状態であるか否かを判定し、このステッ
プE38で定常運転状態であるYESと判定されたとき
には、ステップE39において蓄圧モードの条件が成立
されたと判断する。つまり、高μ路の直進時でかつ高速
運転状態の定常時においては、後輪1RL,1RRの回
転を利用してアキュムレータ41に蓄圧するようにして
いる。
【0064】また、上記ステップE32及びステップE
38でNOと判定されたときには、運転モードが成立せ
ず、そのままエンドされる。つまり、中低速運転状態の
定常時等では、後輪1RL,1RRの駆動を行わないよ
うにしている。
【0065】尚、上述したような加速の度合及び減速の
度合は既知の種々の手法によりなし得る。すなわち、加
速の度合は、例えばアクセルの踏込み速度の大きさ、ア
クセル踏込み量の増大量、車速を微分して得られる車体
加速度等の何れか1つ或いは任意の複数の組合せによっ
て知ることができる。また、減速の度合は、例えばアク
セル解放速度の大きさ、ブレーキ踏込み速度の大きさ、
ブレーキ踏込み量の増大量、車速を微分して得られる車
体減速度等のいずれか1つ或いは任意の複数の組合せに
よって知ることができる。
【0066】そして、上記ステップE26(図5参照)
で直進運転状態でないNOと判定されたときは、図6の
処理を行うが、この図6の処理は良路、高μ路かつ旋回
時を前提としたものである。そして、最終的に、独立モ
ードでの正駆動(ステップE42)と逆駆動(ステップ
E44)、或いはLSDモード(ステップE45)を行
う制御条件が満足されたか否かを判定する。具体的に
は、ステップE41において急加速運転状態であるか否
かを判定し、このステップE41で急加速運転状態であ
るYESと判定されたときには、ステップE42におい
て独立モードでの正駆動の条件が成立したと判断する。
つまり、高μ路での旋回を伴う急加速時に後輪1RL,
1RRを独立して正転駆動させることにより、旋回駆動
力の補助が行われるようにしている。
【0067】また、上記ステップE41で急加速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE43に
おいて減速運転状態であるか否かを判定する。このステ
ップE43で減速運転状態であるYESと判定されたと
きには、ステップE44において独立モードでの逆駆動
の条件が成立したと判断する。つまり、高μ路での旋回
を伴う減速時に後輪1RL,1RRにそれぞれ独立した
大きな制動力を与えることにより、減速力を増大させる
ようにしている。
【0068】一方、ステップE43で減速運転状態でな
いNOと判定されたときには、ステップE45において
LSDモードの条件が成立したと判断する。つまり、高
μ路での加減速を伴わない旋回時に左右後輪1RL,1
RRの大きな回転差の発生を抑制しながら円滑な旋回が
行われるようにしている。
【0069】さらに、上記ステップE25(図5参照)
で路面が低μであるYESと判定されたときは、図7に
示す処理を行う。この図7の処理では、先ず、ステップ
E51において直進時であるか否かを判定する。このス
テップE51で直進時であるYESと判定されたとき
は、ステップE52〜E59の処理を行うが、これは良
路、低μ路でかつ直進時を前提とした処理となる。そし
て、最終的に、独立モードでの正駆動(ステップE5
5)と逆駆動(ステップE57)、油圧ロックモード
(ステップE54)、LSDモード(ステップE59)
を行う制御条件が満足したか否かを判定する。具体的に
は、ステップE52において高速運転状態であるか否か
を判定し、このステップE52で高速運転状態であるY
ESと判定されたときには、ステップE53において減
速運転状態であるか否かを判定し、このステップE53
で減速運転状態であるYESと判定されたときには、ス
テップE54において油圧ロックモードの条件が成立し
たと判断する。つまり、低μ路の直進時でかつ高速運転
状態からの減速時に後輪1RL,1RRの回転に抵抗を
与えることにより、減速力を僅かに増大させるようにし
ている。
【0070】また、上記ステップE53で減速運転状態
でないNOと判定されたときには、ステップE55にお
いて独立モードでの正駆動の条件が成立したと判断す
る。つまり、低μ路の直進時でかつ高速運転時に後輪1
RL,1RRを独立して正転駆動させることにより、駆
動力の補助が行われるようにしている。
【0071】一方、上記ステップE52で高速運転状態
でないNOと判定されたときには、ステップE56にお
いて急加速運転状態であるか否かを判定し、このステッ
プE56で急加速運転状態であるYESと判定されたと
きには、ステップE57において独立モードでの正駆動
の条件が成立したと判断する。つまり、低μ路の直進時
でかつ停車又は中低速運転状態からの急加速時にも後輪
1RL,1RRを独立して正転駆動させることにより、
駆動力の補助が行われるようにしている。
【0072】また、上記ステップE56で急加速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE58に
おいて減速運転状態であるか否かを判定し、このステッ
プE58で減速運転状態でないNOと判定されたときに
は、ステップE59においてLSDモードの条件が成立
したと判断する。つまり、低μ路での加減速を伴わない
直進時に左右後輪1RL,1RRの大きな回転差の発生
を抑制しながら安定した走行が行われるようにしてい
る。
【0073】尚、上記ステップE58の判定がYESの
ときには、運転モードを成立させずにそのままエンドと
する。
【0074】また、上記ステップE51(図7参照)で
直進運転状態でないNOと判定されたときは、図8に示
す処理を行う。この処理は良路、低μ路でかつ旋回時を
前提とした処理であり、最終的に、独立モードでの正駆
動(ステップE62)、油圧ロックモード(ステップE
65)、LSDモード(ステップE66)を行う制御条
件が満足したか否かを判定する。具体的には、ステップ
E61において急加速運転状態であるか否かを判定し、
このステップE61で急加速運転状態であるYESと判
定されたときには、ステップE62において独立モード
での正駆動の条件が成立したと判断する。つまり、低μ
路での旋回を伴う急加速時に後輪1RL,1RRを独立
して正転駆動させることにより、旋回駆動力の補助が行
われるようにしている。
【0075】一方、上記ステップE61で急加速運転状
態でないNOと判定されたときには、ステップE63に
おいて高速運転状態であるか否かを判定し、このステッ
プE63で高速運転状態であるYESと判定されたとき
には、ステップE64において減速運転状態であるか否
かを判定し、このステップE64で減速運転状態である
YESと判定されたときには、油圧ロックモードの条件
が成立したと判断する。つまり、低μ路での旋回を伴う
高速運転時からの減速時に後輪1RL,1RRの回転に
抵抗を与えることにより、減速力を僅かに増大させるよ
うにしている。
【0076】また、上記ステップE64で減速運転状態
でないNOと判定されたときや、上記ステップE63で
高速運転状態でないNOと判定されたときには、ステッ
プE66においてLSDモードの条件が成立したと判断
する。つまり、低μ路での加減速のない旋回を伴う高速
運転時や中低速運転時には左右後輪1RL,1RRの大
きな回転差の発生を抑制しながら円滑な旋回が行われる
ようにしている。
【0077】[実行判定制御の説明(図9参照)] 次に、上述したメインフローチャート(図4参照)にお
けるステップD13の制御内容について図9に基づいて
説明する。この図9の処理は、前述した図5〜図8での
制御条件を満足したモードの実行及び非実行を最終的に
行うためのものである。
【0078】先ず、ステップW0において、統合モード
及び独立モード以外の制御モードを行う制御条件が満足
されたか否かを判定する。このステップW0で統合モー
ド及び独立モード以外の制御モードを行う制御条件が満
足されたYESと判定されたときは、ステップW4にお
いて制御条件を満足した制御モードを実行する(LSD
モード、油圧ロックモード、蓄圧モードの実行)。
【0079】上記ステップW0で統合モード或いは独立
モードの制御モードを行う制御条件が満足されたNOと
判定されたときは、ステップW1においてマニュアルス
イッチS13の操作状態(選択状態)が「OFF」であ
るか否かを判定する。このステップW1でマニュアルス
イッチS13の操作状態が「OFF」であるYESと判
定されたときは、運転者がモータML,MRを利用した
駆動補助を望んでいないときであるとして、ステップW
2に進み、モータML,MRを利用した駆動補助を禁止
する(非実行)。
【0080】一方、ステップW1でマニュアルスイッチ
S13の操作状態が「OFF」でないNOと判定された
ときは、ステップW3においてマニュアルスイッチS1
3の操作状態が「AUTO」であるか否かを判定する。
このステップW3でマニュアルスイッチS13の操作状
態が「AUTO」であるYESと判定されたときは、ス
テップW4においてモータML,MRによる駆動補助を
含めて、制御条件が満足された制御モードの実行を行
う。
【0081】また、ステップW3でマニュアルスイッチ
S13の操作状態が「AUTO」でないNOと判定され
たときは、ステップW5において統合モードでの制御条
件が満足されているか否かを判定する。このステップW
5で統合モードでの制御条件が満足されているYESと
判定されたときは、ステップW6においてマニュアルス
イッチS13の操作状態が「統合モード」選択であるか
否かを判定する。このステップW6でマニュアルスイッ
チS13の操作状態が「統合モード」選択であるYES
と判定されたときは、ステップW7において極悪路であ
るか否かを判定し、このステップW7で極悪路でないN
Oと判定されたときは、ステップW8において統合モー
ドでのモータML,MRの駆動を実行する。
【0082】また、ステップW6でマニュアルスイッチ
S13の操作状態が「統合モード」選択でないNOと判
定されたとき、或いはステップW7で極悪路であるYE
Sと判定されたときは、ステップW9において独立モー
ドでもってモータML,MRの駆動を実行する。
【0083】一方、上記ステップW5で統合モードでの
制御条件が満足されていないNOと判定されたときは、
ステップW10〜W15の処理を行うが、この処理は、
上述したステップW6〜W9の処理に対応したものとな
っている。すなわち、ステップW10において、独立モ
ードでの制御条件が満足されているか否かを判定し、こ
のステップW10で独立モードでの制御条件が満足され
ているYESと判定されたときは、ステップW11にお
いてマニュアルスイッチS13の操作状態が「独立モー
ド」の選択であるか否かを判定する。ステップW11で
マニュアルスイッチS13の操作状態が「独立モード」
の選択であるYESと判定されたときは、ステップW1
3において独立モードでのモータML,MRによる駆動
補助を実行する。
【0084】また、ステップW11でマニュアルスイッ
チS13の操作状態が「独立モード」の選択でないNO
と判定されたときは、ステップW12において極悪路で
あるか否かを判定し、このステップW12で極悪路でな
いNOと判定されたときは、ステップW14において旋
回時であるか否かを判定し、このステップW14で旋回
時でないNOと判定されたときに、ステップW15にお
いて統合モードによるモータML,MRによる駆動補助
を実行する。また、ステップW10で独立モードでの制
御条件が満足されていないNOと判定されたとき、ステ
ップW12で極悪路であるYESと判定されたとき、ス
テップW14で旋回時であるYESと判定されたとき
は、それぞれステップW2においてモータML,MRに
よる駆動補助を禁止する。
【0085】 [独立モード正駆動制御の説明(図10及び図11参
照)] 図10及び図11は、独立モードでの正駆動制御の詳細
を示す。尚、統合モードでの正駆動制御は、左右後輪に
ついて同じ目標車速を与える点において異なるのみで、
独立モードでの正駆動制御と実質的に同じように行われ
る。
【0086】先ず、ステップZ1において、対地車速V
Aや車輪速VB等の信号を入力した後、ステップZ2に
おいて、アクセル開度と変速機4の変速段とをパラメー
タとして設定目標車速VTRAを設定する。次いで、ス
テップZ3において舵角センサS8により検出された前
輪舵角θHを入力させ、ステップZ4では、上記制御ユ
ニットU2からメイン制御ユニットU1へ伝送されるμ
信号を基に、車両のある路面が低μ路であるかどうかを
判定する。この判定が「非低μ路」のNOのときには、
ステップZ5において、予め舵角θHに応じて設定され
たマップから目標車速補正係数VTRBを算出した後、
ステップZ6に進む。このマップでは、補正係数VTR
Bの最大値はVTRB=1であり、舵角θHが所定値以
上にあるときには該舵角θHが大きいほど補正係数VT
RBが「1」から小さく変化し、また同じ舵角θHの場
合には変速機4の変速段が低速段になるほど補正係数V
TRBが高くなるように設定されている。一方、上記ス
テップZ4の判定が「低μ路」のYESのときには、ス
テップZ7において上記目標車速補正係数VTRBを最
大値のVTRB=1に固定した後、ステップZ6に進
む。
【0087】上記ステップZ6においては、上記ステッ
プZ2で求められた設定目標車速VTRAと、ステップ
Z5,Z7で得られた補正係数VTRBとを乗算して新
たな目標車速VTRを演算し、その後のステップZ8で
は、目標車速VTRから左後輪1RLの実際の車輪速V
BLを差し引いた値の絶対値が所定速度V1以下である
か否かを判定する。このステップZ8の判定がYESの
ときは、正駆動による駆動補助は必要ない状態であると
し、ステップZ19において左後輪1RLの正駆動を中
止する。上記ステップZ8,Z19の処理は、右後輪1
RRについても左後輪1RLと別個独立して行う。尚、
上記所定速度V1は加速に十分なスリップ量を示す速度
に設定されるが、一定値でもよく、車速VAが大きいほ
ど大きくなるように可変の値として設定することもでき
る。
【0088】上記ステップZ8の判定がNOのときは、
ステップZ9においてアクセルが全閉であるか否かを判
定し、このステップZ9の判定がYESのときも、モー
タML,MRを利用した駆動補助は必要ない状態である
として、上記ステップZ19に移行する(この場合は、
左右後輪1RL,1RRを同時に正駆動中止する)。
【0089】ステップZ9の判定がNOのときは、ステ
ップZ10において車速VAと前輪舵角θHとに基づい
て、車体に作用する横Gを演算する。この後、ステップ
Z11において、この横Gに基づいた補正係数k1,k
2を設定する。つまり、ここで、旋回時に回転差が生ず
る旋回外輪と旋回内輪との目標車輪速をそれぞれ補正す
るための補正係数が得られることになる。そして、ステ
ップZ12(図11参照)において、右旋回であるか否
かを判定する。このステップZ12の判定がYESのと
きはステップZ14に進み、上記ステップZ6で決定さ
れた目標車速VTRに対して補正係数k1を乗算するこ
とにより、左後輪1RLの目標車輪速VTRLを算出
し、同様に、目標車速VTRに対して補正係数k2を乗
算することにより、右後輪1RRの目標車輪速VTRR
を算出する。
【0090】ステップZ12の判定がNOのときは、ス
テップZ13において左右後輪1RL,1RRの各目標
車輪速を算出する。このステップZ11〜Z14の処理
は、つまるところ、旋回外輪側の目標車輪速を大きく
し、旋回内輪側の目標車輪速を小さくする処理に相当す
る。但し、直進時には、ステップZ12の判定がNOと
なってステップZ13へ移行するが、このときは補正係
数k1,k2が共に1とされているので(横Gが0或い
は略0である)、左右後輪1RL,1RRの目標車輪速
は互いに等しくされることになる。
【0091】ステップZ13又はステップZ14の後
は、ステップZ15において、目標車輪速VTRL(V
TRR)から後輪1RL(1RR)の実際の車輪速VB
L(VBR)を差し引いた値に応じて、モータML(M
R)に供給する油量Qを決定する。この油量Qは、左右
のモータML,MRに対して個々独立して決定されるも
のである。尚、マップにおける正回転側ではモータM
L,MRが正駆動されるように、また逆回転側ではモー
タML,MRが逆駆動されるようにそれぞれ油圧供給方
向の切換え及びモータML,MRに対する供給流量が制
御される。
【0092】そして、ステップZ16において、上記決
定された油量Qを実現するように、切換弁VVB・L,
VVB・Rを個々独立して制御する。
【0093】その後のステップZ17においては、車速
VAから左後輪1RLの実際の車輪速VBLを差し引い
た値が所定速度「−V2」よりも小さいか否かを判定す
る。このステップZ17の判定は、つまるところ、左後
輪1RLの実際の車輪速VBLが車速VAに比して大き
過ぎるか否かの判定となるもので、この判定がYESの
ときは、ステップZ18において後輪が所定スリップ値
を維持するように供給流量Qを小さくする補正を行う。
尚、ステップZ17,Z18の処理は右後輪1RRにつ
いても同様に行う。ステップZ17の判定がNOのとき
は、ステップZ18を経ることなくリターンする。
【0094】統合モードでの正駆動制御においてはステ
ップZ10〜Z14の処理が不用になり、ステップZ6
で決定された目標車速VTRが左右後輪1RL,1RR
の目標車輪速VTRL,VTRRとなる。また、ステッ
プZ16での流量Qを実現するために、切換弁VVAが
利用される。
【0095】 [独立モード逆駆動制御の説明(図12参照)] 図12は独立モードでの逆駆動の詳細を示す。尚、統合
モードでの逆駆動制御は、流量調整に用いられる切換弁
が独立モード時に用いられる切換弁と相違するのみであ
り、その他は独立モードでの正駆動制御と同じように行
われる。
【0096】先ず、ステップZ21において各種信号を
入力した後、ステップZ22において逆駆動フラグが1
であるか否かを判定する。このステップZ22の判定が
NOのときは、ステップZ30において、ハンドル舵角
と車速VAとをパラメータとして設定された領域のどこ
に現在状態があるかの確認を行う。この後、ステップZ
31において現在の状態がステップZ30に示す領域中
ハッチングを施したC領域にあるか否かを判定する。こ
のステップZ31の判定がYESのときは、ステップZ
32において逆駆動フラグを1にセットした後、ステッ
プZ21に戻る一方、ステップZ31の判定がNOのと
きは、ステップZ32を経ることなくステップZ21に
戻る。
【0097】ステップZ32を経たときはステップZ2
2の判定がYESとなり、このときは、ステップZ23
において現在ABS制御中であるか否かを判定する。こ
のステップZ23の判定がNOのときは、ステップZ2
4においてブレーキ踏込み量が大きいか否かを判定す
る。このステップZ24の判定がNOのときは、ステッ
プZ25において車速VAが所定値V3以下の低車速時
であるか否かを判定する。
【0098】ステップZ25の判定がNOのときは、ス
テップZ26において車速VAと変速機4の変速段とを
パラメータとしたマップからモータML,MRに対する
供給流量Qを読み込む。上記マップは、変速機4の変速
段が低いほど供給流量Qが大きく、かつ各変速段におい
て車速VAの増大に応じて供給流量Qが増大するように
設定されている。この後、ステップZ27において、ス
テップZ26で決定された流量Qが左右のモータML,
MRに供給されるように切換弁VVB・L,VVB・R
を制御する。このステップZ27の後はステップZ2
8,Z29の処理が行われるが、この処理は図11のス
テップZ17,Z18の処理に対応しており、逆駆動力
が大きくなり過ぎるのを補正する処理となる。
【0099】上記ステップZ23,Z24,Z25のい
ずれかの判定がYESのときは、ステップZ33におい
て逆駆動制御を中止した後、ステップZ34において逆
駆動フラグを0にリセットする。
【0100】尚、統合モードでの逆駆動制御は、ステッ
プZ26で決定された流量Qを実現する切換弁として、
VVAが利用される。
【0101】 [トラクション制御の説明(図13及び図14参照)] 図13及び図14は、図5のステップE24の判定がY
ESのときに行われるもので、制御ユニットU3によっ
てトラクション制御が実行されているときのモータM
L,MRを利用した駆動補助(左右独立した正駆動とな
る)の制御となる。
【0102】先ず、ステップZ41において各種信号を
入力した後、ステップZ42において、制御ユニットU
3のトラクション制御に起因して生じる前輪1FL,1
FRへの付与トルクの減少量、つまりエンジン2での発
生トルク減少量TFを制御ユニットU3からの信号に基
づいて読み込む。この後、ステップZ43において上記
トルク減少量TFに応じた車速の減少量VCを決定す
る。
【0103】ステップZ44では、モータML,MRに
供給すべき供給流量Qを車速減少量VCに応じて決定す
る。この供給流量Qは、モータML,MRの合計発生ト
ルクがエンジン2の発生トルク低減量と同じになるよう
に決定される。この後、ステップZ45においてトラク
ション制御が中止されたか否かを判定する。ステップZ
45の判定がNOのときは、ステップZ46において車
速VAとハンドル舵角とに基づき車体に作用する横Gを
演算する。この後、ステップZ47において、この横G
に基づいた補正係数F1,F2を設定する。つまり、こ
こで、旋回時に回転差が生ずる旋回外輪と旋回内輪とに
対応するモータML,MRへの供給流量の分配割合、つ
まりトルクの分配比を決定するための補正係数が得られ
ることになる。そして、ステップZ48(図14参照)
において右旋回であるか否かを判定する。このステップ
Z48の判定がYESのときは、ステップZ49におい
て、ステップZ44で決定された供給流量Qに対して補
正係数F1を乗算することにより、左後輪1RLを駆動
させるモータMLへの作動油の供給流量QTRLを算出
し、同様に、ステップZ44で決定された供給流量Qに
対して補正係数F2を乗算することにより、右後輪1R
Rを駆動させるモータMRへの作動油の供給流量QTR
Rを算出する。
【0104】また、ステップZ48の判定がNOのとき
は、ステップZ50において、左旋回であるか否かを判
定する。このステップZ50の判定がYESのときは、
ステップZ51において、ステップZ44で決定された
供給流量Qに対して補正係数F2を乗算することによ
り、左後輪1RLを駆動させるモータMLへの作動油の
供給流量QTRLを算出し、同様に、ステップZ44で
決定された供給流量Qに対して補正係数F1を乗算する
ことにより、右後輪1RRを駆動させるモータMRへの
作動油の供給流量QTRRを算出する。
【0105】さらに、ステップZ50の判定がNOのと
きは直進状態であるので、ステップZ52に進み、ステ
ップZ44で決定された供給流量Qに0.5を乗算する
ことにより、各モータML,MRへの作動油の供給流量
QTR(L,R)を算出する。
【0106】このステップZ47〜Z52の処理は、つ
まるところ、旋回外輪側の駆動力を大きくし、旋回内輪
側の駆動力を小さくする処理に相当する。
【0107】このような処理の後は、ステップZ53に
おいて、決定された油量QTR(L,R)を実現するよ
うに切換弁VVB・L,VVB・Rを個々独立して制御
する。ステップZ54においては、車速VAから左後輪
1RLの実際の車輪速VBLを差し引いた値が所定速度
「−V4」よりも小さいか否かを判定する。このステッ
プZ54の判定は、つまるところ、左後輪1RLの実際
の車輪速VBLが車速VAに比して大き過ぎるか否かの
判定となるもので、ステップZ54の判定がYESのと
きは、ステップZ55において、後輪が所定スリップ値
を維持するように供給流量Qを小さくする補正を行う。
尚、ステップZ54,Z55の処理は、右後輪1RRに
ついても同様に行う。ステップZ54の判定がNOのと
きは、ステップZ55を経ることなくリターンする。
【0108】[停車モード制御の説明(図15参照)] 図15は、図4のステップD9における停車モードの制
御内容を示すものである。先ず、ステップZ61におい
て各種信号を入力した後、ステップZ62においてアク
セルが踏込み操作されているか否かを判定する。このス
テップZ62の判定がNOのときは、ステップZ63に
おいて目標車速VTRを0にセットした後、ステップZ
64において、左右後輪1RL,1RRの実際の車輪速
VBL或いはVBRがそれぞれ目標車速VTRとなるよ
うにモータML,MRに対する供給流量をフィードバッ
ク制御する(左右独立した制御)。
【0109】ところで、変速機4が自動変速機とされた
場合(この場合は、クラッチ3がトルクコンバータとさ
れる)には、アクセルを踏込み操作していなくても極低
速でのクリープと呼ばれる走行が行われるようになって
いる。このクリープを得るために、目標車速VTRを例
えば5km/h等に設定すれば、停車中の路面の傾斜に
拘りなく、常にクリープ速度を一定に維持することがで
きる。そして、目標車速VTRを例えばマニュアル式に
0〜15km/h程度の範囲で連続可変式或いは無段階
式に選択し得るようにすることもできる(目標車速が0
のときはクリープなし)。
【0110】この実施例では、上記ステップZ5,Z
6,Z8〜Z16により、上記舵角センサS8により検
出された前輪舵角θHが所定値以上に大きいときに、ア
クセル開度と変速機4の変速段とから得られる設定目標
車速VTRAに「1」以下の補正係数VTRBをかけて
目標車速VTRが常に実車速よりも低くなるように設定
し、後輪1RL,1RRの回転速度が実車速に対応した
回転速度よりも低くなるようにモータML,MRを制御
することにより、モータML,MRが後輪1RL,1R
Rに制動負荷を加え、かつそのモータML,MRへの作
動油の流量特性の変化によりモータML,MRによる制
動負荷特性が前輪舵角θHに応じて変わるように第2駆
動手段99を制御する制御手段100が構成されてい
る。この制御手段100は、上記舵角センサS8により
検出された舵角θHが所定値以上に大きいとき、上記変
速機4の変速段が低速段になるほど、上記モータML,
MRの後輪1RL,1RRに加える制動負荷が小さくな
るように制御するものとされている。
【0111】また、ステップZ3により、路面が低μ路
であることを検出する低μ路検出手段101が構成され
ている。
【0112】さらに、ステップZ7,Z6,Z19によ
り、上記低μ路検出手段101により低μ路が検出され
たときに、上記制御手段100の作動を禁止する禁止手
段102が構成されている。
【0113】したがって、上記実施例においては、車両
の減速時にアキュムレータ41にモータML,MRの駆
動エネルギーとしての油圧が蓄えられる。そして、車両
の前進中、アクセル開度と変速機4の変速段とに基づい
て設定目標車速VTRAが演算される。また、操舵輪と
しての前輪1FL,1FRの舵角θHが舵角センサS8
により検出され、この前輪舵角θHに応じて目標車速補
正係数VTRBが演算され、この補正係数VTRBと上
記設定目標車速VTRAとに基づいて目標車速VTRが
決定され、この目標車速VTRになるように、上記アキ
ュムレータ41に蓄えられている油圧POによりモータ
ML,MRが作動し、この作動によりエンジン2の駆動
力とは独立的に後輪1RL,1RRが駆動される。
【0114】そのとき、上記目標車速補正係数VTRB
は基本的に「1」以下の値であり、かつ前輪舵角θHの
増大に応じて「1」よりも小さくなるので、この補正係
数VTRBを基にして得られる上記目標車速VTRはア
クセル開度と変速機4の変速段とから設定された設定目
標車速VTRA以下の値となり、前輪舵角θHが大きく
なるほど設定目標車速VTRAよりも小さくなる。この
ため、後輪1RL,1RRの回転速度が実車速に対応し
た回転速度よりも低くなるようにモータML,MRが制
御されることとなり、この回転差によりモータML,M
Rから後輪1RL,1RRに制動負荷が加えられる。こ
のように前輪舵角θHが大きいときに、第2駆動手段9
9のモータML,MRにより車輪1RL,1RRに制動
負荷が与えられるので、例えば前輪舵角θHの大きい状
態でエンジン2により大きな駆動力をかけたとしても、
上記モータML,MRによる後輪1RL,1RRへの制
動負荷により、車両の駆動力が全体として抑制されて車
速の上昇は抑えられ、よって車両の操縦安定性を確保す
ることができる。
【0115】また、上記目標車速補正係数VTRBは前
輪舵角θHの増大に応じて「1」から減少するので、上
記モータML,MRによる後輪1RL,1RRの制動負
荷特性を前輪舵角θHに応じて変化させることができ、
モータML,MRによる制動制御を高精度で微妙な制御
とすることができる。
【0116】そして、路面が摩擦係数の低い低μ路であ
ると、上記目標車速補正係数VTRBが「1」に固定さ
れ、目標車速VTRから実際の車輪速VBL,VBRを
差し引いた値の絶対値が所定速度V1以下のときに、上
記モータML,MRによる後輪1RL,1RRの制動制
御が禁止される。すなわち、上記のようにモータML,
MRにより後輪1RL,1RRに制動負荷をかけた場
合、低μ路では後輪1RL,1RRがスリップする虞れ
があるので、このときには制御が禁止される。このこと
により、低μ路でもスリップを有効に防止して車両の操
縦安定性を確保することができる。
【0117】尚、上記実施例では、目標車速VTRをア
クセル開度と変速機4の変速段とに基づく設定目標車速
VTRAよりも低く補正して、後輪1RL,1RRの制
動負荷を得るようにしているが、これ以外に、可変オリ
フィスVVC・L,VVC・Rの絞り抵抗を利用した油
圧ロックモードや、モータML,MRをポンプとしてア
キュムレータ41に蓄圧させる蓄圧モードを利用するよ
うにしてもよい。
【0118】すなわち、図16は本発明の他の実施例を
示し(尚、図10と同じ部分については同じ符号を付し
てその詳細な説明は省略する)、アキュムレータ41へ
の蓄圧モードにより後輪1RL,1RRへの制動負荷を
得るようにしたものである。
【0119】この実施例では、基本的な制御動作は上記
実施例と同じであるが(図10参照)、ステップZ6の
後はステップZ80に進み、ステップZ6で得られた目
標車速VTRを、ステップZ2で算出された設定目標車
速VTRAの舵角θHに応じた規制値として、両目標車
速VTRA,VTRの大小を判定する。この判定がNO
つまりVTRA=VTRのときにはステップZ8に進む
が、VTRA>VTRのYESのときには、ステップZ
81において蓄圧モードを実行させ、ステップZ82で
モータML,MRによる後輪1RL,1RRの駆動アシ
ストを禁止した後、リターンする。
【0120】この実施例の場合、上記ステップZ80〜
Z82により制御手段100が構成され、この制御手段
100により、舵角センサS8により検出された前輪舵
角θHが所定値以上に大きいときに、上記アキュムレー
タ41に蓄えられる油圧をモータML,MRで発生さ
せ、このことによりモータML,MRで後輪1RL,1
RRに制動負荷を加えるようになされている。
【0121】したがって、この実施例では、前輪1F
L,1FRの舵角θHが大きいときには、モータML,
MRは後輪1RL,1RRに駆動されて油圧を発生する
ポンプとして機能し、このモータML,MRで発生した
油圧がアキュムレータ41に蓄圧される。このため、上
記モータML,MRは後輪1RL,1RRを制動する制
動負荷となり、この制動負荷により車両の駆動力が抑制
されることとなり、よって上記実施例と同様の作用効果
が得られる。
【0122】また、本発明は上記実施例に限らず、次の
ような変形例をも含むものである。
【0123】(1)マニュアルスイッチが選択している
モード(統合モード或いは独立モード)と、図4のステ
ップD12(図5〜図8参照)で制御条件が成立してい
たモード(統合モード或いは独立モード)とが相違する
ときは、モータML,MRを利用した駆動補助を何等行
わないようにしてもよい。
【0124】(2)悪路の場合についても、良路の場合
と全く同じようにモータML,MRを利用した駆動補助
を行うようにしてもよい。
【0125】(3)マニュアルスイッチによるモード選
択に優先して、悪路に応じた統合モードと独立モードと
の制御領域の設定を行うようにしてもよい。
【0126】また、極悪路では独立モードでの制御のみ
を許容する一方、緩悪路では統合モードでの制御を許容
するようにしてもよい。これとは逆に、極悪路では統合
モードでの制御のみを許容する一方、緩悪路では独立モ
ードでの制御を許容するようにしてもよい。
【0127】(4)左右後輪1RL,1RRをエンジン
2により駆動し、左右前輪1FL,1FRをモータM
L,MRにより駆動するようにしてもよい。また、アク
チュエータを油圧モータML,MRから電動モータに変
えてもよい。その場合、エネルギー備蓄手段は、電動モ
ータの駆動エネルギーとしての電力を蓄えるバッテリや
コンデンサとなる。また、走行中は常時モータML,M
Rを利用した駆動を行うようにすることもできる。
【0128】(5)直進時は、低速時は独立モードと
し、高速時は統合モードとしてもよい。このような設定
は、高μ路で行うこともできるが、特に低μ路において
行うことで、低速時の走破性向上と、高速時での直進安
定性とを満足させる上で好ましいものとなる。
【0129】(6)手動変速機4に限らず、自動変速機
を搭載した車両に適用することもできる。
【0130】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、左右前輪又は左右後輪の何れか一方の車輪をエ
ンジンにより変速機を介して駆動する第1駆動手段と、
他方の車輪をモータ等のアクチュエータで駆動する第2
駆動手段とを備えた車両に対し、その操舵輪の舵角が大
きいときには、変速機4の変速段が低速段になるほど
2駆動手段のアクチュエータにより車輪に小さな制動負
荷を与えるようにしたことにより、舵角の大きい状態で
第1駆動手段のエンジンにより車輪に大きな駆動力をか
けたとしても、上記アクチュエータによる車輪の制動負
荷により駆動力を抑えて車速の上昇を抑制でき、よって
高速段による高速運転時等であっても車両の操縦安定性
の確保を図ることができる。
【0131】請求項2の発明によれば、舵角が大きくな
るほど、第2駆動手段のアクチュエータによる制動負荷
が大きくなるようにしたことにより、アクチュエータに
より高精度で微妙な制御を行うことができる。
【0132】請求項の発明によると、アクチュエータ
の駆動エネルギーを蓄えるエネルギー備蓄手段を設け、
このエネルギー備蓄手段に蓄えられる駆動エネルギーを
アクチュエータで発生させて、車輪に制動負荷を加える
ようにしたことにより、アクチュエータをエネルギー備
蓄手段に蓄えられる駆動エネルギーを発生させるための
エネルギー発生手段として、その作動のための抵抗を車
輪の制動負荷とでき、よって第2駆動手段に連結されて
いる車輪に制動負荷を与えるための手段が容易に得られ
る。
【0133】請求項の発明によると、路面が低μ路で
あるときには、アクチュエータで車輪に制動負荷を付与
するのを禁止するようにしたことにより、低μ路であっ
ても車輪のスリップを有効に防止して車両の操縦安定性
を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施例に係る車両の油圧系統を示す
説明図である。
【図3】制御系統を示すブロック図である。
【図4】モータ駆動制御ルーチンを示すメインフローチ
ャート図である
【図5】モード判定制御ルーチンの一部を示すフローチ
ャート図である。
【図6】モード判定制御ルーチンの残部を示すフローチ
ャート図である。
【図7】モード判定制御ルーチンの他の残部を示すフロ
ーチャート図である。
【図8】モード判定制御ルーチンのさらに他の残部を示
すフローチャート図である。
【図9】実行判定制御ルーチンを示すフローチャート図
である。
【図10】独立正駆動制御ルーチンの一部を示すフロー
チャート図である。
【図11】独立正駆動制御ルーチンの残部を示すフロー
チャート図である。
【図12】独立逆駆動制御ルーチンを示すフローチャー
ト図である。
【図13】トラクション制御ルーチンの一部を示すフロ
ーチャート図である。
【図14】トラクション制御ルーチンの残部を示すフロ
ーチャート図である。
【図15】停車モードの制御ルーチンを示すフローチャ
ート図である。
【図16】本発明の他の実施例における独立正駆動制御
ルーチンを示す図10相当図である。
【符号の説明】
1FL,1FR 前輪 1RL,1RR 後輪 2 エンジン 4 変速機 41 アキュムレータ(エネルギー備蓄手段) 98 第1駆動手段 99 第2駆動手段 100 制御手段 101 低μ路検出手段 102 禁止手段 P ポンプ ML,MR モータ(アクチュエータ) U1 メイン制御ユニットS6 変速段センサ(変速段検出手段) S8 舵角センサ(舵角検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 17/28 - 17/36 B60K 23/00 - 23/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右前輪又は左右後輪の何れか一方の車
    輪をエンジンにより駆動する第1駆動手段と、他方の車
    輪をアクチュエータにより駆動する第2駆動手段とを備
    えた車両の駆動装置において、変速機の変速段を検出する変速段検出手段と、 操舵輪の舵角を検出する舵角検出手段と 上記 アクチュエータが車輪に制動負荷を加えるように上
    記第2駆動手段を制御する制御手段とを設け 上記制御手段は、上記舵角検出手段により検出された舵
    角が所定値以上に大きいとき、上記変速機の変速段が低
    速段になるほど、上記アクチュエータの車輪に加える制
    動負荷が小さくなるように制御するものとされている
    とを特徴とする車両の駆動装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両の駆動装置におい
    て、 制御手段は、操舵輪の舵角が大きいほど、第2駆動手段
    のアクチュエータによる制動負荷を大きくするように構
    成されていることを特徴とする車両の駆動装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の車両の駆動装置におい
    て、 アクチュエータの駆動エネルギーを蓄えるエネルギー備
    蓄手段を設け、 アクチュエータは、車輪から駆動を受けて該アクチュエ
    ータの駆動エネルギーを発生するものとされ、 制御手段は、上記エネルギー備蓄手段に蓄えられる駆動
    エネルギーをアクチュエータで発生させることにより、
    車輪に制動負荷を加えるように構成されていることを特
    徴とする車両の駆動装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の車両の駆動装置におい
    て、 路面が低μ路であることを検出する低μ路検出手段と、 上記低μ路検出手段により低μ路が検出されたとき、制
    御手段の作動を禁止する禁止手段とを設けたことを特徴
    とする車両の駆動装置。
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