JP3536314B2 - 車両の振動低減装置 - Google Patents

車両の振動低減装置

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JP3536314B2
JP3536314B2 JP16321093A JP16321093A JP3536314B2 JP 3536314 B2 JP3536314 B2 JP 3536314B2 JP 16321093 A JP16321093 A JP 16321093A JP 16321093 A JP16321093 A JP 16321093A JP 3536314 B2 JP3536314 B2 JP 3536314B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の振動つまり騒音
を、低減用振動を利用した干渉作用によって低減するよ
うにした車両の振動低減装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両、特にエンジンによる騒音振動つま
り第1振動が問題になる自動車等においては、スピ−カ
等から低減用振動つまり第2振動を発生させて、この第
1振動と第2振動との干渉により第1振動を低減するこ
とが提案されている。
【0003】この種の振動低減装置にあっては、特表平
1−501344号公報に示すように、振動源からの振
動つまり第1振動に相当する信号をリファレンス信号と
して取り出すリファレンス信号発生器と、第1振動によ
る騒音が問題となる所定空間での振動をピックアップす
るマイクと、所定空間に向けて第2振動を発生させるス
ピ−カと、スピ−カから出力させる第2振動を生成する
ための適応型デジタルフィルタと、上記フィルタのフィ
ルタ係数を逐次的に最適化するためのアルゴリズム演算
装置と、を有する。すなわち、リファレンス信号に応じ
て適応型デジタルフィルタがリファレンス信号のゲイン
や位相等を調整して第2振動を生成する一方、マイクで
検出される振動が小さくなるように、適応型デジタルフ
ィルタのフィルタ係数がアルゴリズム演算装置によって
逐次的に最適化される。そして、最適化のためのアルゴ
リズムとしては、一般には最少2乗法が用いられてい
る。
【0004】上述した振動低減装置にあっては、種々の
振動に対応して幅広く振動低減が行なえるという利点を
有する反面、計算量が極めて多くなるため、十分な応答
性を確保しようとすれば、高級な演算装置が必要にな
る。特に、スピ−カやマイクの数が多くなると、計算量
が級数倍的に多くなってしまう。
【0005】上述のような観点から、本出願人は、車両
においてはエンジン振動のように、打消すべき第1振動
が周期的なものが一般的である点を勘案して、低減用振
動生成のための計算量を極めて少なくすることができ、
しかも高級な演算装置を必要としなくてもすむ車両用振
動低減装置を開発した。
【0006】すなわち、第1振動源によって発生される
第1振動の周期を検出する周期検出手段と、第1振動の
振動エネルギを低減させる第2振動を出力させる第2振
動源(低減用振動発生源)例えばスピ−カと、車室等の
振動低減すべく箇所の振動を検出する振動検出手段例え
ばマイクと、第2振動源から出力させる第2振動の振動
エネルギを前記周期検出手段で検出される1周期毎に設
定する設定手段と、前記設定手段の出力を前記振動検出
手段および振動検出手段と第2振動源との間の伝達特性
に基づいて補正する補正手段と、を備えた構成としてあ
る。そして、補正手段による補正の手法つまり低減用振
動の最適化のための適応アルゴリズムは、最急降下法が
採択されている。
【0007】このような構成とすることにより、単発的
あるいは突発的な振動には対応できないものの、周期検
出手段で検出された周期に基づいて、第2振動つまり低
減用振動の波形生成処理やマイクでピックアップする振
動処理について1周期分まとめて行なうことができて、
この第2振動の振動波形の最適化のための計算が極めて
簡単になり、この結果、高級な演算装置を用いなくとも
十分に周期性振動を低減できることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た周期性振動の低減装置にあっては、最適化のための適
応アルゴリズムとして最急降下法を用いているので、振
動の収束安定性の点では優れているものの、振動の収束
応答性つまり振動が十分低減された状態に収束するまで
のまでにかなりの時間を要し、この点において改善が望
まれるものとなる。
【0009】本発明は以上のような事情を勘案してなさ
れたもので、低減すべき周期性振動の1周期分毎に低減
用振動を補正つまり最適化するものにおいて、振動収束
の安定性と応答性とを共に高い次元で満足し得るように
した車両の振動低減装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明はその第1の構成として次のようにしてあ
る。すなわち、第1振動源により発生される周期的な第
1振動を車両の所定空間において低減させる車両の振動
低減装置であって、前記第1振動の周期を検出する周期
検出手段と、前記第1振動の振動エネルギを低減させる
低減用振動としての第2振動を出力するための第2振動
源と、前記所定空間の振動を検出する振動検出手段と、
前記第2振動源から出力させる第2振動の振動エネルギ
を、前記周期検出手段で検出される1周期毎に設定する
設定手段と、前記設定手段の出力を、前記振動検出手段
の出力、および該振動検出手段と前記第2振動源との間
の伝達特性に基づいて補正する補正手段と、ニュ−トン
法における2次勾配ベクトルを記憶した記憶手段と、騒
音レベルを検出する騒音レベル検出手段と、前記騒音レ
ベル検出手段からの出力を受け、前記補正手段における
補正のための適応アルゴリズムとして、騒音レベルが所
定値よりも小さいときは最急降下法を設定すると共に、
騒音レベルが前記所定値よりも大きいときは前記記憶手
段に記憶されている2次勾配ベクトルを利用したニュ−
トン法を設定する適応アルゴリズム選択手段と、を備え
た構成としてある。上記第1の構成を前提とした好まし
い態様は、特許請求の範囲における請求項2に記載した
通りである。
【0011】上記目的を達成するため、本発明はその第
2の構成として次のようにしてある。すなわち、第1振
動源により発生される周期的な第1振動を車両の所定空
間において低減させる車両の振動低減装置であって、前
記第1振動の周期を検出する周期検出手段と、前記第1
振動の振動エネルギを低減させる低減用振動としての第
2振動を出力するための第2振動源と、前記所定空間の
振動を検出する振動検出手段と、前記第2振動源から出
力させる第2振動の振動エネルギを、前記周期検出手段
で検出される1周期毎に設定する設定手段と、前記設定
手段の出力を、前記振動検出手段の出力、および該振動
検出手段と前記第2振動源との間の伝達特性に基づいて
補正する補正手段と、ニュ−トン法における2次勾配ベ
クトルを記憶した記憶手段と、を備え、前記補正手段に
おける補正のための適応アルゴリズムとして、最急降下
法とニュ−トン法との2つの適応アルゴリズムが所定の
重み付けの割合でもって同時に行なわれるように設定さ
れている、ような構成としてある。上記第2の構成を前
提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求
項4に記載した通りである。
【0012】
【発明の効果】請求項1に記載された本発明によれば、
基本的に、低減用振動を1周期分毎に最適化していく利
点、つまり第2振動(低減用振動)の最適化のための計
算が極めて簡単になり、この結果高級な演算装置を用い
なくとも十分に周期性振動を低減できるという効果を奏
する。
【0013】また、請求項1に記載された構成とするこ
とにより、騒音レベルが大きいときは収束応答性に優れ
たニュ−トン法を利用して騒音を早期に収束させること
ができる一方、騒音レベルが小さいときは収束安定性に
優れた最急降下法を利用して収束安定性を得ることがで
き、収束安定性と収束応答性とを共に高い次元で満足さ
せることができる。
【0014】請求項2に記載したような構成とすること
により、ニュ−トン法を利用した収束応答性の向上を必
要最少限の短い時間として、つまりニュ−トン法による
収束応答性の確保を時間をパラメ−タとして見込み的に
管理して、収束安定性を十分に満足させることができ
る。と収束応答性とをより適切にバランスさせることが
できる。
【0015】請求項3に記載された本発明によれば、請
求項1に記載された発明と同様に基本的に、低減用振動
を1周期分毎に最適化していく利点、つまり第2振動
(低減用振動)の最適化のための計算が極めて簡単にな
り、この結果高級な演算装置を用いなくとも十分に周期
性振動を低減できるという効果を奏する。
【0016】また、請求項3に記載された発明によれ
ば、ニュ−トン法と最急降下法との両方の適応アルゴリ
ズムを所定の重み付けの割合で同時に利用して第2振動
の補正つまり最適化を行なうので、収束安定性の確保と
収束応答性の確保とを確実に得る上で好ましいものとな
る。
【0017】請求項4に記載したような構成とすること
により、請求項3で得られるのと同様の効果を得つつ、
騒音レベルを勘案した重み付けの割合の変更により、収
束安定性と収束応答性とをより高い次元で満足させるこ
とができる。
【0018】なお、前記公報記載のものにおいて、適応
アルゴリズムとして収束応答性に優れているとされるニ
ュ−トン法を用いた場合は、ニュ−トン法における2次
勾配ベクトルをそのつど計算しなければならない一方、
その計算量が膨大となって計算時間が長くなってしま
い、ニュ−トン法における収束応答性の利点を何等生か
せないものとなる(ニュ−トン法の採択は事実上不
能)。
【0019】
【実施例】以下本発明の実施例を添付した図面に基づい
て説明する。全体の概要 図1において、自動車1は、車室2内に運転席3と助手
席4と左右の後席5、6とを有する4人乗りの乗用車と
されている。車体前部に構成されたエンジンル−ム7に
は、直列4気筒のガソリンエンジン8が塔載され、その
イグニッションコイルが符号9で示される。
【0020】エンジン8が、エンジン回転数に応じた周
期的な振動を発生する騒音発生源つまり第1振動源とさ
れている。そして、車室2が、エンジン8の振動を低減
すべき所定空間とされている。このため、所定空間とし
ての車室2には、5個のスピ−カ11と、8個のマイク
12とが設置されている。スピ−カ11が、車室へエン
ジン騒音を低減するための第2振動を発生する第2振動
源とされる。そして、マイク12が、車室の実際の振動
を検出する振動検出手段とされる。なお、実施例ではス
ピ−カ11は、カセットデッキやチュ−ナ等のオ−ディ
オソ−ス用と兼用とされているが、振動低減用として専
用に設けたものであってもよい。
【0021】自動車1には、マイクロコンピュ−タを利
用して構成された制御ユニットUが塔載されている。制
御ユニットUに対する入出力関係を図2に示してあり、
制御ユニットUは、CPUからなる制御部20を有す
る。制御部20には、イグニッションコイル9の一次コ
イルからの信号つまりエンジン回転数に応じた点火パル
ス信号が、波形整形回路21、周期計算回路22を経て
入力されると共に、各マイク12からの信号が、アンプ
23、ロ−パスフィルタ24、A/D変換器25を介し
て入力される。また、制御部20からの出力信号は、D
/A変換器26、ロ−パスフィルタ27、アンプ28を
介してスピ−カ11へ出力される。
【0022】制御部20は、マイク12で検出される振
動が低減されるように、特に直列4気筒エンジンにおい
て問題となる回転2次成分の振動が低減されるように、
スピ−カ11から出力すべき第2振動(低減用振動)を
最適化する。以下、制御部20による第2振動の生成に
ついて説明するが、先ず、最急降下法による基本的な第
2振動の生成の点について説明し、その後ニュ−トン法
についてし説明し、さらにその後に最急降下法とニュ−
トン法との関係(使い分け)について説明する。
【0023】第2振動の生成(基本−最急降下法) 図3は、制御部20をブロック図的に示すものであり、
説明の簡単化のためにスピ−カ11およびマイク12を
それぞれ1個とした場合を示している。
【0024】制御部20は、周期計測回路22から入力
された結果によってスピ−カ11に出力するスピ−カ入
力信号yのベクトルyの周期を調整する(ステップ1、
以下ステップをSと略す)と共に、内蔵しているプロセ
ッサで、マイク12・スピ−カ2間の伝達特性であるイ
ンパルス応答hの行列hを、時系列h変換する(S
2)。
【0025】次に、制御部20はプロセッサで、インパ
ルス応答hの時系列hとマイク12から入力されるマイ
ク出力信号eとでベクトルyを逐次的に最適化し(S
3)、その後、このベクトルyを時系列yに変換してス
ピ−カ入力信号yとし(S4)、スピ−カ11に出力す
る。
【0026】スピ−カ11は、このスピ−カ入力信号y
をアンチ騒音Zとして再生する。一方、マイク12は、
騒音dとアンチ騒音Zが打ち消し合って振動エネルギが
低減した騒音を検出して、この結果をディジタルのマイ
ク出力信号eとして制御部20に内蔵されたプロセッサ
に出力する。以下、再びプロセッサは、上記ステップ3
およびステップ4を繰り返し行い、スピ−カ入力信号y
のベクトルyを逐次的に最適化して、最終的にマイク出
力信号eの値が0となるようにスピ−カ入力信号yのベ
クトルyを設定する。
【0027】次に、制御部20で行われる上記ステップ
のアルゴリズムの演算について、以下に説明する。
【0028】先ず、制御部20によるマイク12のマイ
ク出力信号eのサンプリング周期を△tとする。マイク
12・スピ−カ11間の伝達特性であるインパルス応答
hが有限時間J△t以内で0に収束すると仮定し、イン
パルス入力が与えられてからj△t時間経過後のインパ
ルス応答hの値をhj とすると、エンジン8から発生し
た第1振動である騒音d、スピ−カ入力信号yが与えら
れたときのスピ−カ11から発生する第2振動であるア
ンチ騒音Zおよびそのときの時刻kにおけるマイク出力
信号eの第kサンプル値e(k)の関係は、次式(1)で
表わすことができる。
【0029】e(k) =d(k)+Z(k) =d(k)+行列hT ・行列y(k) ・・・・(1) 但し、 行列h=[h012 ・・・・・hJ-1T 行列y(k)=[y(k) y(k-1) y(k-2)・・・・y
(k-J+1)]T d(k):e(k)に含まれている騒音dの成分 Z(k):e(k)に含まれているアンチ騒音Zの成分 y(k):スピ−カ入力信号yの第kサンプル値 従って、式(1)中のZ(k)は、次の式(2)で示され
る。
【0030】
【数1】
【0031】ところで、騒音dは、ある周期N△tを持
っている周期性騒音であるので、この騒音dの振動エネ
ルギを低減させるアンチ騒音Zおよびスピ−カ入力信号
y、騒音dと同じ周期N△tを持っている周期性振動お
よび周期性信号でなければならない。
【0032】従って、スピ−カ入力信号yに関して次式
(3)が成立する。 y(k) =y(K-qN)=y(k) y (k-1)=y(k-qN-1)=y(k+N-1) y(k-2) =y(k-qN-2)=y(k+N-2) ・・・・(3) ・・・ ・・・ ・・・ y(k-N+1) =y(k-(q+1)N+1)=y(k+1) 但し、 q=0,1,2,・・・・ ゆえに、式(1)は、 e(k) =d(k)+ベクトルhT ・時系列y(k) ・・・・(4) 但し、 時系列y(k) =[y (K) y(K+N-1) y(K+N-2) ・・・・y(K+1)]T
【0033】
【数2】
【0034】尚、Qは、J≦(q+1)Nを満たす整数qの最
小値である。
【0035】次に、時刻kからさらにiだけ時間が経過
した時刻k+i のマイク出力信号eの第K+i サンプル値e
(K+i)(但し、i=1,2,・・・・)は、次式(5)
で表わすことができる。
【0036】 e(k+i)=d(k+i) +ベクトルhT ・時系列y(k+i) =d(k+i) +時系列h(i)T・時系列y(k) ・・・・・(5) 但し、 時系列y(k+i) =[y(k+i)'y(k+i'-1 ) y(k+N-1) y(k+N-2) ・・・・・y(k+i'+1)]T 時系列h(i) =[バ−hi 'バ−hi+1 '・・・・・バ−hN+1 バ−h0 バ−h1 ・・・・バ−hi ' -1T 尚、i’は、iをNで割ったときの整数剰余である。
【0037】ところで、式(5)において、kはマイク
入力信号eの任意の初期時点を表わしているに過ぎな
い。よって、k=0と置き、iを改めてkに置き直す
と、次式(6)が得られる。
【0038】 e(k) =d(k) +時系列h(k)T・時系列y(0) =d(k) +時系列h(k)T・ベクトルy 但し、 ベクトルy=[y(0) y(N-1) y(N-2) ・・・y(1) ]T =[y0N-1N-2 ・・・・y1T ここで、次の評価関数を導入する。 F=E[e(k)2] =E[d(k) +時系列h(k)T・ベクトルy] =E[d(k)2]+2ベクトルyT ・E[d(k) ・時系列h(k) ] +ベクトルyT ・E[時系列h(k) ・時系列h(k)T]ベクトルy ・・・・・・(7) 但し、E[ ]は、期待値を表わすものとする(Eは期
待演算子)。式(7)より、この評価関数のベクトルy
に関する勾配は、次式(8)で与えられる。 ∂F/∂ベクトルy=2E[d(k) ・時系列h(k)] +2E[時系列h(k) ・時系列h(k)T]ベクトルy =2E[時系列h(k){d(k)+時系列h(k)Tベクトルy}] =2E[時系列h(k) ・e(k) ] ・・・・・(8) ここで、E[時系列h(k) ・e(K)]の瞬時推定値とし
て、時系列h(k)・e (K)を用いることにすれば、Fの最
小値を与える周期N△t(すなわち要素数N)を持つス
ピ−カ出力信号ベクトルであるベクトルyの値は、最急
降下法に基づく次の漸化式(9)を反復計算することに
より最適化することができる。
【0039】 ベクトルy(K+1) =ベクトルy(k) −μ・e(k) ・時系列h(k) ・・・(9) 但し、μ/2は収束係数である。
【0040】このようにして求めた漸化式(9)は、制
御部20に内蔵されたデ−タ処理装置であるプロセッサ
が騒音の振動エネルギを低減させるアンチ騒音の振動エ
ネルギの設定を補正する際には、以下に示すような、よ
り簡単なアルゴリズムに置き換えられる。
【0041】先ず、一対のスピ−カ11およびマイク1
2を用いる場合には、漸化式(9)は次式(10)に置
き換えられる。 y(k-j+QN) '(k+1)=y(k-j+QN) ' ・(k) −μ・e(k) ・hj ・・・(10) このときプロセッサは、時刻kにおいては、例えば以下
に示す4つの動作手順を行っている。
【0042】動作1:スピ−カ入力信号yk ' (k)をスピ
−カ11に対して出力する。 動作2:マイク出力信号e(K) をマイク12から入力す
る。 動作3:周期計測回路22から入力されたエンジン22
の回転周期にOrd/△tまたは1/(Ord・△t)を乗
じた値に最も近い整数値をNとする。 動作4:j=0,1,2,・・・・,J−1について漸
化式(10)の計算を行う。 但し、k’,(k−j+QN)’は、それぞれk(k−
j+QN)をNで,割ったときの整数剰余であり、ま
た、Ordは、低減させようとしている騒音のエンジン回
転数に対する最低次数を設定するための任意の一定の整
数である。
【0043】次に、複数のスピ−カ11・・・とマイク
12・・・とを用いる場合には、例えば、最急降下法に
基づき、
【0044】
【数3】
【0045】の瞬時推定値として、
【0046】
【数4】
【0047】を用いると、評価関数
【0048】
【数5】
【0049】を最小化する第1スピ−カ出力信号ベクト
ルであるベクトルy1 の最適値は、次の漸化式(11)
を反復計算することにより求められる。
【0050】
【数6】
【0051】但し、 ylk ' :時刻kにおける第1スピ−カ入力信号 e m :第mマイク出力信号 hlmj :第1スピ−カ・第mマイク間のインパルス応答
のj△t時間後の値 L:スピ−カの個数 M:マイクの個数 J:全てのスピ−カ・マイク間のインパルス応答が有限
時間△t以内で0に収束することを示す整数値 また、 ベクトルyl =[yl 0l N-1l N-2 ・・・yl 1T 時系列hlm(k) =[バ−hlm k' バ−hlm k'+1 ・・・バ−hlm N+1 バ−hlm 0 バ−hlm 1・・・バ−hlm k'-1T さらに、 バ−hlm 0=hlm 0 +hlm N +・・・・hlm QN バ−hlm 1=hlm 1 +hlm N+1+・・・hlm QN+1 ・・・・ ・・・ ・・・・ ・・・・ バ−hlm j-QN-1 =hlm j-QN-1 +hlm j-(Q-1)N-1 +・・・+hlm j-1 バ−hlm j-QN =hlm j-QN +hlm j-(Q-1)N +・・・+0 ・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・ バ−hlm N-1 =hlm N-1 +hlm 2N-1 +・・・+0 l=1,2,・・・・,L m=1,2,・・・・,M 従って、漸化式(9)は次式(12)に置き換えられ
る。
【0052】
【数7】
【0053】このときプロセッサは、時刻kにおいて
は、例えば以下に示す4つの動作手順を行っている。
【0054】動作11:スピ−カ入力信号y1k ' (k),
2k ' (k),・・・・,ylk '(k )をそれぞれ第1スピ
−カ、第2スピ−カ、・・・、第Lスピ−カに対して出
力する。 動作12:マイク出力信号e1(k), e2(k),・・・, eM(k)
をそれぞれ第1マイク、第2マイク、・・・・、第Mマ
イクから入力する。 動作13:周期計測回路22から入力されたエンジン2
2の回転周期にOrd/△tまたは1/(Ord・ △t)を
乗じた値に最も近い整数値をNとする。 動作14:1=1、2、・・・・・Lおよびj=0,
1,2,・・・・J−1について漸化式(12)の計算
を行う。 また、上記の複数のスピ−カ11・・・とマイク12・
・・とを用いる場合について、
【0055】
【数8】
【0056】の瞬時推定値として、α・時系列h1k '(k)
・ek ' (k)を用いると、最急降下法に基づいて評価関数
【0057】
【数9】
【0058】を最小化する第1スピ−カ出力信号ベクト
ルであるベクトルy1 の最適値は、次の漸化式(13)
を反復計算することにより求められる。 ベクトルy1 (k+ 1)=ベクトルy1 (k) −μ・α・時系列h1k "(k)・ek "(k) ・・・・(13) 但し、k”は、kをMで割ったときの整数剰余に1を加
えた値であり、また、αは任意の定数である。この漸化
式(13)は、漸化式(11)よりも短時間で演算でき
る。
【0059】従って、漸化式(9)は次式(14)に置
き換えられる。 y1(k-J+QN) '(k+1) =y1(K-j+QN) '(k)−μ・α・ek(k)・ h1k " j ・・・・・(14) このときプロセッサは、時刻においては、例えば以下に
示す4つの動作手順を行っている。
【0060】動作21:スピ−カ入力信号y1k '(k), y
2k '(k), ・・・・、yLk '(k )をそれぞれ第1スピ−
カ、第2スピ−カ、・・・・・、第Lスピ−カに対して
出力する。 動作22:マイク出力信号ek "(k) を第k”マイクから
入力する。 動作23:周期計測回路22から入力されたエンジン2
2の回転周期にOrd/△tまたは1/(Ord・△t)を
乗じた値に最も近い整数値をNとする。 動作24:1=1、2、・・・・、Lおよびj=0、
1、2・・・・、J−1について漸化式(14)の計算
を行う。 従って、上記アルゴリズムの演算は、漸化式(9)、
(11)および(13)、あるいはこれら漸化式を単純
化した漸化式(10)、(12)および(14)を反復
計算するだけで良いので、スピ−カ入力制御の計算時間
を短縮することが可能となる。
【0061】ニュ−トン法について これまでと同様に、J=E[e(k)2 ]を最小化する
ことを目的としつつ、ニュ−トン法によりベクトルyを
最適化するための漸化式は次式(15)となる。
【0062】 y(k+1)=y(k) −μ・E[h(k)h(k)T-1・E[h(k)・e(k) ] ・・・(15) ただし、e(k) :マイク信号。 y(k) :出力波形データベクトル。 h(k) :スピ−カノマイク間インパルス応答系列h
(k)を出力波形データベクトルと同じデータ長の領域
内で順次上方向にロ−テ−トしながら得られるベクト
ル。 μ :収束係数。
【0063】上記E[h(k)・e(k) ]の瞬時推定値とし
てh(k)・e(k) を用いるならば、(15)式は次式(1
6)で示される。 y(k+1)=y(k) −μ・E[h(k)h(k)T-1・h(k)・e(k) =y(k) −μ・g(k)・e(k) ・・・(16) ただし、g(k) :2次勾配ベクトルの瞬時推定値。 g(k) =E[h(k)h(k)T]・h(k) 以下これを単に2次勾配ベクトルと呼ぶ。
【0064】ところで、h(k) が一般的な信号系列であ
るならば、E[h(k)h(k)T]は対称Toepritzと呼ばれ
る構造になるが、本方式の場合には、h(k)は周期性を
有するために、E[h(k)h(k)T]はさらに特殊な構造
を有する。すなわち、出力波形データ長nが偶数の場合
には、次式(17)で示される。
【0065】
【数10】
【0066】ただし、δT =E[h(k)h(k+ τ)T] m=n/2 また、nが奇数の場合には、次式(18)で示される。
【0067】
【数11】
【0068】ただし、m=(n−1)/2 つまりこれらの行列は、対称Toepritzであるという特徴
に加えて、第i行は第i−1行を一要素分だけ右ロ−テ
−トしたものになるという特徴を持っている。以下この
ようなデータ構造を『周期対称Toepritz』と呼ぶことに
する。なお、周期対称Toepritzの逆行列はやはり周期対
称Toepritzになるという重要な性質がある。(一般的な
対称Toepritzの逆行列は対称Toepritzとはならない)こ
のことから、E[h(k)h(k)T-1を、次のような逆共
分散関数で次式(19)として表すことにする。
【0069】
【数12】
【0070】E[h(k)h(k)T]においてδ012,
…δm はh(k)の自己共分散関数(の一部)を表してい
るが、E[h(k)h(k)T-1におけるγ012,…γ
m は、自己共分散関数との相互共分散関数が単位インパ
ルス系列を与えるものである。以下この系列(γ01,
γ2,…γm )をh(k)の逆共分散関数と呼ぶことにす
る。
【0071】さて、(16)式を実際の制御に用いるた
めには、以下の2点について検討しなければならない。 勾配ベクトルの各要素を順次ロ−テ−トさせつつ計算
するという、従来の計算アルゴリズムがそのまま適用可
能であるか否か(つまり、出力波の位相を変えてもg
(k) に含まれる各要素の値は変化せず、単にロ−テ−ト
するだけで済むかどうか)。 エンジン回転数が変化したとき、若干の修正を加える
だけで(例えば単に0をいくつか挿入するだけで)新し
いg(k) を得ることができるかどうか。以下、この2点
についての考察結果を述べる。
【0072】の問題について 詳細については省略するが、g(k) =E[h(k)h
(k)T-1・h(k) における各ベクトルと行列の中に含ま
れる要素を詳しく検討してみると、h(k) がロ−テ−ト
したとき、g(k) もやはり同じ方向にロ−テ−トするだ
けであることがわかる。これは、E[h(k)h(k)T-1
が、周期対称Toepritzという特殊な構造を有しているた
めである。このことから、(16)式のニュ−トン法の
採用にあたっては、従来の計算アルゴリズムにおいて、
単にh(k)をg(k) に置き換えるだけで、全く同じアル
ゴリズムを用いることができる。したがって、計算量を
全く増やすことなく、収束速度を大幅に改善することが
できる。
【0073】の問題について 理論的にいえば、エンジン回転周期が変動することによ
って、逆共分散関数、ひいては逆共分散行列(E[h
(k)h(k)T-1)、さらには勾配ベクトル(g(k) )の
いずれの要素も悉く変化する。変化前の値に若干の修正
を加えるだけで変化後の値を得るということはできな
い。従って厳密にいえば各エンジン回転数毎の勾配ベク
トルの値をあらかじめ全て求めておくか、そうでなけれ
ばその時々のエンジン回転数に応じてその都度新たに勾
配ベクトルを求めなければならない。
【0074】しかしながら、エンジン回転数の変化に伴
って逆共分散関数や勾配ベクトルの各要素がどのように
変化するかを、インパルス応答系列の有効データ長(0
でない部分の長さ)が、出力波形データ長の1/2以下
の場合に限って詳しく見てみれば、ある種の傾向がある
ことがわかる。すなわち、逆共分散関数の傾向について
述べれば、 i)エンジン回転数が低くなるにつれて、γ012,
…は、この順序で(左端から順に)一定値に収束してゆ
く(なお、収束の模様は単調ではなく振動的である)。 ii)γ012,…の収束値は、この順序で(右端に近
くなるほど)0に近付いてゆく。 iii) i) の収束は、インパルス応答の有効データ長と出
力波形データ長との比が小さいほど早く進む。
【0075】つまり、インパルス応答持続時間がエンジ
ン回転周期に比べて十分短い場合には、逆共分散関数
は、γ012,…γ?,0,0,…0という形になり、
エンジン回転数がさらに低下したとき、後に0をいくつ
か追加するだけで済むようになる(理論的に言えばそう
ではないのだが、微小な変化分を無視するならば、こう
いう取扱いが可能である。コンピュ−タ上では離散値し
か扱わないので、この方法は厳密な処理を行なった場合
の結果と一致する)。この時、逆共分散行列E[h(k)
h(k)T-1は図4に示すような0部分と非0部分を持つ
行列となる。
【0076】この図4に示す行列において0部分の帯の
幅Wは、エンジン回転数が低下するに従って広がってゆ
くのであるが、さらにこのWがインパルス応答の有効デ
ータ長よりも大きくなった時、勾配ベクトルg(k) はや
はり図5に示すような0部分と非0部分を持つベクトル
となる。ただし、図5において、どこに0部分ができる
かは、hの有効データがh中のどこに位置するかによ
る。このベクトルでは、エンジン回転数がさらに低下す
るに従って0部分の長さが増してゆくだけである。
【0077】以上の事柄をまとめれば、インパルス応答
の有効データ長が出力波形データ長に比べて十分に短い
場合には、勾配ベクトルg(k) はエンジン回転数に依存
せず一定である(エンジン回転が低下した時、一定の個
所に0を挿入してゆくだけで済む)が、そうした好条件
が得られない場合には、勾配ベクトルg(k) はエンジン
回転数の変動に伴って要素毎に変化する。
【0078】振動低減制御(ANC制御)の実際 次に、図6以下を参照しつつ、前述した振動低減の制御
つまりANC制御を具体的にどのように行なうかについ
て、特に最急降下法とニュ−トン法とをどのように用い
て振動低減の制御を行なうかにうついて説明する。
【0079】先ず、図6は、ニュ−トン法における2次
勾配ベクトルについて、エンジン回転数に応じたデ−タ
数(第1振動の周期をサンプリング周期で除した整数)
と、デ−タ値の全体傾向を示す。図6に示すようなデ−
タ値の傾向からして、図6ハッチングを付した領域とな
る所定回転数以上の領域については、ニュ−トン法を用
いた振動低減制御を行なう限り2次勾配ベクトルを全て
記憶する必要がある。この一方、上記所定回転数未満の
領域では、2次勾配ベクトルそのものを記憶することな
く、記憶されているデ−タ値を利用して(オフセットし
たり0を付け加える)、記憶されていない回転域での2
次勾配ベクトルを決定することができる(全てのエンジ
ン回転数毎に2次勾配ベクトルを記憶しておく場合に比
して記憶量の低減が図られる)。
【0080】図7は、2次勾配ベクトルを逆共分散関数
の形式で記憶しておくときの好ましい記憶の仕方を示
し、ハッチングを付した領域のみ2次勾配ベクトル(の
デ−タ値)が記憶されて、これ以外の領域に関する2次
勾配ベクトルは、記憶されているデ−タ値に基づいて、
デ−タ値のオフセットや0値追加によって決定される。
【0081】図8は、最急降下法とニュ−トン法とを、
騒音レベルに応じて使い分ける場合の制御ブロック図を
示す。すなわち、適応アルゴリズムを選択する選択部1
1によって、騒音レベル検出部S14からの騒音レベル
が大きいときはニュ−トン法が選択され、騒音レベルが
小さいときは最急降下法が選択される。また、図7に示
すようにして所定の回転域についてのみ2次勾配ベクト
ルを記憶したメモリS13と、2次勾配ベクトルを選択
するための2次勾配ベクトル選択部S12とが設けられ
る。2次勾配ベクトル選択部S12は、ニュ−トン法を
用いたANC制御を行なう場合に、メモリS13から現
在のエンジン回転数に対応して、2次勾配ベクトルの選
択(記憶値そのものの選択、あるいは記憶されている2
次勾配ベクトルを利用した2次勾配ベクトルの調整)を
行なう。勿論、S12で選択された2次勾配ベクトルに
関するデ−タは、ベクトルyの最適化を行なう制御部S
3へ転送される。
【0082】ニュ−トン法を用いるか最急降下法を用い
るかのしきい値としての騒音レベルは、ハンチング防止
のために、図10に示すようにd1とd2との2つ設け
られる。d1はd2よりも大きくされて、騒音レベルが
d1以上になったときにニュ−トン法が選択され、ニュ
−トン法が選択されている状態で騒音レベルがd2以下
になると最急降下法が選択される。
【0083】ここで、騒音レベルの検出は、車室2外に
別途専用に設けたマイクによって行なうようにしてもよ
いが、次のようにして騒音レベルの検出を行なうことも
できる。第1に、車室2内に設けたマイク12の検出振
動レベルと、スピ−カ11から出力されている低減用振
動の振動レベルとから騒音レベルを演算することができ
る(騒音レベルから低減用振動の振動レベルを差し引い
たものがマイク12での検出振動レベルとなるという関
係を利用)。第2に、車両の走行状態、例えば、エンジ
ン回転数またはその変動量や、アクセル開度、ブレ−キ
踏力、変速位置などの状態やこれ等の変動量や、車速、
前後加速度などの状態やこれ等の変動量等に基づいて、
騒音レベルを予測するようにすることもできる。第3
に、マイク12で検出される振動レベルそのものを騒音
レベルをみなすこともできる(結果的に車室2内の騒音
レベルが問題となるので)。
【0084】図9は、騒音レベルに応じた適応アルゴリ
ズムの選択を行なうためのフロ−チャ−トである。この
図9のQ(ステップ−以下同じ)1において、騒音レベ
ルが算出(検出)された後、Q2においてフラグが1で
あるか否かが判別される。このフラグは1のときが、ニ
ュ−トン法によりANC制御されている場合を示す。こ
のQ2の判別でNOのときは、現在最急降下法によるA
NC制御が行なわれているときであり、このときは、Q
3において、騒音レベルがd1よりも大きいか否かが判
別される。Q3の判別でYESのときは、Q4におい
て、フラグを1にセットした後、Q5において、ニュ−
トン法によるANC制御が行なわれる。また、Q3の判
別でNOのときは、Q8において、最急降下法でのAN
C制御が行なわれる。
【0085】前記Q2の判別でYESのとき、つまり現
在ニュ−トン法によるANC制御が行なわれているとき
は、Q6において、騒音レベルがd2よりも小さいか否
かが判別される。このQ2の判別でYESのときは、Q
7においてフラグを0にリセットした後、Q8におい
て、最急降下法によるANC制御が行なわれる。また、
Q6の判別でNOのときは、Q5へ移行して、ニュ−ト
ン法によるANC制御が行なわれる。
【0086】図11は、騒音レベルに応じて適応アルゴ
リズムの使い分けを行なう一方、ニュ−トン法によるA
NC制御時間を所定時間内に限定するようにしたもので
あり、これに伴って、騒音レベルのしきい値d2は廃止
されている。すなわち、Q1〜Q3に対応したQ21〜
Q23の処理が行なわれて、Q23で騒音レベルがd1
よりも大きいと判別されたときは、先ずQ24において
フラグが1にセットされると共に、Q25においてタイ
マが0にリセットされ、その後、Q26においてニュ−
トン法によるANC制御が行なわれ、Q27においてタ
イマがカウントアップされる。
【0087】Q26、Q27を通った後はQ22の判別
がYESとなり、このときは、Q28において、タイマ
が所定値以上であるか否かが判別される。このQ28の
判別でNOのときは、Q26へ移行してニュ−トン法に
よるANC制御が続行される。そして、Q28の判別で
YESのときとなると、Q29においてフラグが0にリ
セットされると共に、Q30において最急降下法による
ANC制御が行なわれる。
【0088】図12、図13は、常に、ニュ−トン法と
最急降下法との両方を用いてANC制御を行なう場合の
一例を示す。すなわち、振動収束のための勾配ベクトル
が、次式(20) で示すように設定され、この(20) 式
中、重み付け係数「α」がニュ−トン法の重み付けの割
合を示し、「1−α」が最急降下法の重み付けの割合を
示す。なお、μ1 、μ2 は、それぞれ収束係数を示す。 勾配ベクトル= (1−α)・(μ1 h)+α(μ2 E[hhT ]h)・・・・(20)
【0089】図12は、騒音レベルに応じて、前記重み
付け係数αを設定するための図である。すなわち、ニュ
−トン法用の重み付け係数αは、騒音レベルが所定値以
下の小さいときは0で、騒音レベルが大きくなるにした
がって連続可変式に大きくなり、騒音レベルが所定値以
上になった後は1にされる。また、図13は、重み付け
係数αを利用してANC制御を行なう場合の制御系統を
ブロック図的に示すものであるが、その意味するところ
は前述した(20) 式の説明から明らかとなる。勿論、図
14におけるS21〜S24が、重み付けの割合を設定
すると共に変更する手段を構成する。なお、重み付け係
数αは常に一定値として設定することもできる。
【0090】以上実施例について説明したが、低減用振
動発生源としては、スピ−カに限らず、エンジンと車体
との間に介在される容量可変式のアクチュエ−タとする
こともできる。また、周期的な第1振動の発生源として
は、エンジンに限らず、車両に塔載された周期的振動を
発生する適宜の機器を対象とすることができる。勿論、
振動低減されるべき所定空間としては、車室に限らず、
エンジンル−ムや排気経路等適宜選択できるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両を上方から見た図。
【図2】低減用振動生成のための全体制御系統図。
【図3】図2のうち低減用振動の最適化部分の構成をブ
ロック図的に示す図。
【図4】逆共分散行列の全体の傾向を示す図。
【図5】図4に示す傾向が強調される状態のときを示す
図。
【図6】エンジン回転数に応じた2次勾配ベクトルのデ
−タ値の傾向と記憶が必要な回転域とを示す図。
【図7】逆共分散関数の形式での好ましい2次勾配ベク
トルの記憶例を示すもので、図6に対応した図。
【図8】ニュ−トン法と最急降下法とを使い分ける場合
の制御系統をブロック図的に示す図。
【図9】騒音レベルに応じてニュ−トン法と最急降下法
とを使い分ける場合の一例を示すフロ−チャ−ト。
【図10】騒音レベルに応じてニュ−トン法と最急降下
法とを使い分ける場合の制御内容を図式的に示す図。
【図11】騒音レベルに応じてニュ−トン法と最急降下
法とを使い分ける場合の他の例を示すフロ−チャ−ト。
【図12】ニュ−トン法と最急降下法とを同時に用いる
場合の重み付け係数を、騒音レベルに応じて設定する一
例を示す図。
【図13】ニュ−トン法と最急降下法とを同時に用いる
場合の重み付け係数を騒音レベルにう応じて変更する場
合の制御系統をブロック図的に示す図。
【符号の説明】
1:自動車 2:車室(所定空間) 8:エンジン(第1振動源) 11:スピ−カ(第2振動源) 12:マイク(振動検出手段) 20:低減用振動生成回路 S3:第2振動最適化のための制御部 S4:第1振動の周期(エンジン回転数)計測部 S11:適応アルゴリズム選択部 S12:2次勾配ベクトル選択部 S13:2次勾配ベクトルを記憶したメモリ S14:騒音レベル検出部 S21〜S24:重み付け係数設定、変更用の制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−347559(JP,A) 特開 平1−177604(JP,A) 特開 平5−11783(JP,A) 特開 平5−80786(JP,A) 特開 平6−348286(JP,A) 特表 平1−501344(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/178 B60R 11/02 F16F 15/02 G10K 11/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1振動源により発生される周期的な第1
    振動を車両の所定空間において低減させる車両の振動低
    減装置であって、 前記第1振動の周期を検出する周期検出手段と、 前記第1振動の振動エネルギを低減させる低減用振動と
    しての第2振動を出力するための第2振動源と、 前記所定空間の振動を検出する振動検出手段と、 前記第2振動源から出力させる第2振動の振動エネルギ
    を、前記周期検出手段で検出される1周期毎に設定する
    設定手段と、 前記設定手段の出力を、前記振動検出手段の出力、およ
    び該振動検出手段と前記第2振動源との間の伝達特性に
    基づいて補正する補正手段と、 ニュ−トン法における2次勾配ベクトルを記憶した記憶
    手段と、 騒音レベルを検出する騒音レベル検出手段と、 前記騒音レベル検出手段からの出力を受け、前記補正手
    段における補正のための適応アルゴリズムとして、騒音
    レベルが所定値よりも小さいときは最急降下法を設定す
    ると共に、騒音レベルが前記所定値よりも大きいときは
    前記記憶手段に記憶されている2次勾配ベクトルを利用
    したニュ−トン法を設定する適応アルゴリズム選択手段
    と、を備えていることを特徴とする車両の振動低減装
    置。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記ニュ−トン法を適応アルゴリズムとする補正が所定
    時間経過した後は、最急降下法を適応アルゴリズムとす
    る補正へと移行されるもの。
  3. 【請求項3】第1振動源により発生される周期的な第1
    振動を車両の所定空間において低減させる車両の振動低
    減装置であって、 前記第1振動の周期を検出する周期検出手段と、 前記第1振動の振動エネルギを低減させる低減用振動と
    しての第2振動を出力するための第2振動源と、 前記所定空間の振動を検出する振動検出手段と、 前記第2振動源から出力させる第2振動の振動エネルギ
    を、前記周期検出手段で検出される1周期毎に設定する
    設定手段と、 前記設定手段の出力を、前記振動検出手段の出力、およ
    び該振動検出手段と前記第2振動源との間の伝達特性に
    基づいて補正する補正手段と、 ニュ−トン法における2次勾配ベクトルを記憶した記憶
    手段と、を備え、前記補正手段における補正のための適
    応アルゴリズムとして、最急降下法とニュ−トン法との
    2つの適応アルゴリズムが所定の重み付けの割合でもっ
    て同時に行なわれるように設定されている、ことを特徴
    とする車両の振動低減装置。
  4. 【請求項4】請求項3において、 騒音レベルを検出する騒音レベル検出手段と、 前記騒音レベル検出手段からの出力を受け、前記重み付
    けの割合を、騒音レベルが大きいときは小さいときに比
    して前記ニュ−トン法での補正割合が大きくなるように
    変更する重み付け割合変更手段と、をさらに備えている
    もの。
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