JP3535126B2 - 揺動開閉式入浴装置 - Google Patents

揺動開閉式入浴装置

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JP3535126B2
JP3535126B2 JP2001321091A JP2001321091A JP3535126B2 JP 3535126 B2 JP3535126 B2 JP 3535126B2 JP 2001321091 A JP2001321091 A JP 2001321091A JP 2001321091 A JP2001321091 A JP 2001321091A JP 3535126 B2 JP3535126 B2 JP 3535126B2
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bathtub
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車椅子に載せた主
に身体障害者や老人を座位の姿勢で入浴させることがで
きる揺動開閉式入浴装置に用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】介護に適した入浴装置としては、入浴者
が快適に利用するために、浴槽が傾動できるものが存在
する。例えば、特開平7−473号では、入浴者が座る
椅子を取り出し可能に収容できるバスタブが傾動可能に
なっている入浴装置が提案されている。この入浴装置で
は、前記バスタブを立てた状態では、バスタブ内の椅子
に入浴者が座った姿勢となり、しかも、バスタブの開口
部が、側方を向くようになるため、入浴者はバスタブに
容易に出入りでき、介助者による介護も容易である。そ
して、入浴時には、バスタブを傾動させることで、上方
開口されているバスタブ内で、通常の風呂と同様に入浴
者が横になって快適に入浴できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この特開平7−473
号のように、90°近い角度を回転傾動すると、入浴者
に恐怖感を与えることがあるため、これを解消する必要
がある。このように、車椅子ごと入浴者を収容した浴槽
を傾動するにあたっては、数々の問題を克服する必要が
あった。また、近年、入浴者が、車椅子に乗ったまま浴
槽に収容されることで、入浴できる入浴装置について
も、各種提案されているが、このような入浴装置におい
ても、入浴者が横になって入浴できるようにしたいとい
う要求があった。
【0004】このような要求に応えるために、特開平8
−141039には、搬送車に乗ったまま浴槽がスイン
グする技術が開示されている。このような技術におい
て、車椅子ごと入浴者を収容した浴槽を、何らかの傾動
手段によって傾動するとは言っても、以下のような問題
がある。例えば、特に、車椅子が搬入可能な浴槽は、大
型となる傾向があるため、湯の使用量の増大、準備時間
や清掃時間の延長等の問題がある。さらに、浴槽とその
内部の湯および/または入浴者の全てを傾動する必要が
あるため、駆動機構が大型化し、製造コストも上昇して
しまうという問題があった。大規模な病院・介護施設等
以外にこのような入浴装置を設置する場合には、さらな
る入浴装置全体の小型化、湯の使用量の低減が求められ
ている。また、前述の特開平7−473号のように、9
0°近い角度を回転傾動する浴槽であると、車椅子(搬
送車)を浴槽に対して所定の位置に搬入するために必要
なスペースと、浴槽がスイングするスペースとが必要で
ある。さらに、近年、浴槽に供給する湯を貯留しておく
ためのタンクを併設する場合があり、これらのスペース
をも含めて、入浴装置全体としての小型化を図りたいと
いう要求があった。
【0005】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、車椅子ごと浴槽内に収容した入浴者を横になった姿
勢で入浴させることができ、しかも、入浴者に恐怖感を
与えること無く浴槽および入浴者を傾動することがで
き、しかも、浴槽に貯留する湯量を節約でき、入浴装置
全体の小型化省スペース化を図ることができる等の効果
が得られる入浴装置を提供することを目的とするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、着脱可能な椅
子部を有する車椅子に載せた入浴者を、前記車椅子の構
成のうちの少なくとも前記椅子部と一緒に、浴槽内所定
位置に浴槽の開口から収容した後、浴槽を閉塞した内部
に湯が満たされる入浴装置であって、前記浴槽は、一側
方が開口する固定浴槽と、該固定浴槽の開口に対応する
開口を有するとともにこの開口が前記固定浴槽の開口に
連結して前記固定浴槽外部に浴槽を延長可能な揺動浴槽
とを有し、前記揺動浴槽が、前記開口部分上端部付近に
配置された揺動支点により前記固定浴槽の開口方向に揺
動可能とされ、入浴時には前記固定浴槽と水密状態に連
続して湯を貯留可能とされるとともに、開放時には前記
固定浴槽の下側に収納可能とされてなり、前記固定浴槽
には、前記揺動浴槽の揺動により前記椅子部上の入浴者
を後方に傾斜するべく椅子部を傾動し、前記揺動浴槽の
揺動動作のみで入浴者の収容状態と横にする状態とを移
行させる傾動手段が設けられ、 前記車椅子が、キャス
タ付きの台車と、該台車に着脱手段により着脱可能に立
設された支持ロッドと、支持ロッドの上部によって支持
される前記椅子部とを備えてなることにより上記課題を
解決した。本発明の前記固定浴槽には、前記台車前側の
中央には、前記着脱手段を介して前記支持ロッドが只1
本だけ立設されている手段を採用することができる。本
発明の前記着脱手段が、前記支持ロッド下端位置におい
て略水平方向に接続される着脱板と、前記着脱板の装着
位置に対応して前記台車の前記支持ロッドより前側にお
いて前記着脱板をその上下から挟持するための対となる
ローラおよび押さえローラと、前記着脱板に貫通された
着脱穴に係止される着脱ピンと、前記着脱ピンを上下動
させて前記着脱板の固定解除を可能とするピン着脱手段
と、を具備するものとされることができる 発明の前
記固定浴槽には、前記傾動手段が、前記椅子部の背もた
れ基部付近に設けられた回転支点を中心に回転可能な椅
子支持部と、前記開口部分よりも前記固定浴槽外側に位
置する前記椅子支持部の開口側先端部に設けられ前記揺
動浴槽の揺動に従って該揺動浴槽内面に当接するととも
に転動して前記椅子支持部を傾動可能な転動部とを具備
してなることができる。本発明において、前記固定浴槽
底部下方に、当該固定浴槽に対する所定位置に位置させ
た前記台車を着脱自在に固定する車椅子固定手段が設け
られていることが好ましい。本発明は、前記揺動浴槽の
前記底部には、前記固定浴槽に固定状態とされた前記台
車位置よりも前記固定浴槽側に向けて伸延する排水部が
設けられることが好ましい。また、本発明の前記着脱手
段に対して、前記固定浴槽の所定位置以外で椅子部を取
り外せないようにするセーフティ手段が設けられること
もある。
【0007】本発明は、前記車椅子が、キャスタ付きの
台車と、該台車に着脱手段により着脱可能に立設された
支持ロッドと、支持ロッドの上部によって支持される椅
子部とを備えてなることにより、台車から着脱した椅子
部のみを浴槽内部に載置して、入浴者を入浴させること
ができるので、水没することが好ましくない台車の部分
を湯にいれることなく浴槽内部に湯を満たすことができ
る。さらに、本発明においては、車椅子に載せた入浴者
を、前記車椅子の構成のうちの少なくとも椅子部と一緒
に、前記開口から前記固定浴槽内方所定位置に収容した
後、前記揺動浴槽を水密に閉塞した内部に湯が満たされ
ることができ、これにより、車椅子上の入浴者を一度も
おろすことなく入浴させて介護者の負担を低減できると
ともに、身体保持を確実にすることができ、入浴者の安
定を保つことができ、また、浴槽内に収容した入浴者を
そのまま横にすることができるため、入浴者は一般の風
呂と同様の姿勢となって快適に入浴することができる。
【0008】本発明の前記固定浴槽には、前記台車前側
の中央には、前記着脱手段を介して前記支持ロッドが只
1本だけ立設されていることにより、着脱手段により支
持ロッドを容易に台車から離脱して椅子部ごと入浴者を
浴槽内部に搬入することができ、また、搬出した椅子部
を入浴者ごと台車に載せて支持ロッドを装着することの
より容易に、車椅子で入浴者を移動することが可能とな
る。また、台車前側中央に支持ロッドが立設されること
により、後側を浴槽に接触して浴槽の所定位置に固定状
態とされた台車に対して椅子部を着脱する場合に椅子部
と台車との間に浴槽等が位置した場合でもこれに干渉さ
れることなく入浴者を入浴させることができる。
【0009】本発明の前記着脱手段が、着脱板と、ロー
ラおよび押さえローラと、着脱ピンと、ピン着脱ペダル
を有するピン着脱手段と、を具備するものとされて、ピ
ン着脱手段により押さえローラとローラとに挟持された
着脱板を着脱し、台車に対して椅子部を着脱自在とする
ことができる。具体的には、ピン着脱ペダルを踏むこと
で椅子部の着脱をおこなうことが可能となる。
【0010】本発明の揺動開閉式入浴装置においては、
前記揺動浴槽が、前記開口部分上端部付近に配置された
揺動支点により前記固定浴槽の開口方向に揺動可能とさ
れ、入浴時に揺動浴槽の位置するスペースを入浴者の搬
入搬出に用い、浴槽としての必要なスペースが固定浴槽
そのものとほぼ等しいスペースしか必要ないため、浴槽
自体が揺動する構造とは異なり、設置に必要なスペース
を小さくすることができるとともに、湯の入った浴槽お
よび入浴者を揺動(傾動)する必要がないため、駆動機
構を小型化し、製造コストを削減することができる。
【0011】また、本発明の前記固定浴槽および揺動浴
槽の底部開口側側壁に水密状態を維持するための水密手
段(パッキン)を設けたため、揺動浴槽を閉塞するだけ
で、浴槽を水密状態とすることができ、構造を簡略化す
ることができ、製造コストを削減することができる。
【0012】本発明の前記固定浴槽には、前記揺動浴槽
の揺動に従って椅子部上の入浴者を横にするべく椅子部
を傾動する傾動手段が設けられることにより、揺動浴槽
の開閉状態において入浴者を浴槽内に収容し、揺動浴槽
を閉塞する動作のみで同時に入浴者を横にすることが可
能となる。
【0013】本発明の前記傾動手段が、固定浴槽底部に
固定された回転支点を中心に回転可能な椅子支持部(平
行な2本のレール)と、前記開口の部分よりも前記固定
浴槽外側に位置する前記レールの開口側先端部下方に延
在して設けられる傾動支持部と、この傾動支持部の先端
に設けられ前記揺動浴槽内面に当接するとともに該揺動
浴槽の揺動に従って転動して前記椅子支持部を傾動可能
な転動部(ローラ)とを具備してなることにより、揺動
浴槽の開閉動作に従って、揺動する揺動浴槽内面上をロ
ーラが転動し、これにともなって回転支点を中心にレー
ルが傾動して、入浴者の姿勢における収容状態と横にす
る状態とを移行させることができる。
【0014】本発明において、前記固定浴槽底部下方
に、当該固定浴槽に対する所定位置に位置させた前記車
椅子を着脱自在に固定する車椅子固定手段が設けられて
いることにより、入浴者の収容時、入浴時、搬出時に車
椅子の台車を固定しておくことが可能なため、収容搬出
時に入浴者の安定を保つとともに、入浴中に台車が介護
者の作業のじゃまになることを低減できる。
【0015】本発明は、前記揺動浴槽の前記底部には、
前記固定浴槽に固定状態とされた前記台車位置よりも前
記固定浴槽側に向けて伸延する排水部が設けられ、言い
換えると、この排水部が、揺動浴槽の閉塞状態において
最下部となる揺動浴槽の開口側底部に、この開口よりも
前記固定浴槽側に伸延した状態で設けられ、この排水部
が、開口付近の揺動浴槽底部に設けられた排水穴と、こ
の排水穴からさらに開口方向固定浴槽側に水平より略下
向きに延在する排水管と、この排水管端部下側に設けら
れ排水栓により密閉可能な排水孔とを具備することによ
り、揺動浴槽の閉塞状態において、排水をおこなう際
に、浴槽略中心位置に設けた排水孔から排水して、後述
する車椅子の台車に干渉することないようすることが可
能であるとともに、揺動浴槽の開閉時に、固定浴槽と干
渉することなくスムーズに開閉することが可能となる。
【0016】本発明の固定浴槽内部に湯量低減部として
椅子支持部の下側に中空容器(フロート)が設けられる
ことにより、入浴者の入浴には必要のない椅子支持部の
下側空間に入る湯を節約し、入浴時に使用する湯量を低
減することができる。また、フロートの浮力を椅子支持
部に作用させることができるため、入浴中において椅子
支持部を支持している揺動浴槽内面への荷重を低減する
ことができる。
【0017】本発明の揺動開閉式入浴装置においては省
スペース化を図ることができるため、固定浴槽に供給す
る湯を貯留するためのタンクを一体として設けた場合で
も、従来の浴槽全体を揺動(傾動)する浴槽とほぼ同じ
スペースを占有するだけで、設置に必要なスペースが増
大することがなく、また、離れた場所にタンクを設置し
なくてすむため、これらの間の配管等を短縮して製造
(設置)コストの低減をおこなうこともできる。
【0018】本発明は、前記揺動浴槽の開放状態におい
ては湯の注入がおこなわれないよう制御するか、また
は、前記揺動浴槽の開閉を、浴槽内部に湯がある状態で
おこなわないよう制御する制御手段が設けられてなるこ
とにより、入浴中に揺動浴槽が開閉する、あるいは、入
浴者の収容・搬出作業中に湯が注入されることがなく、
安全性を向上することが可能となる。
【0019】前記車椅子の支持ロッドと前記台車とを着
脱可能とする着脱手段として着脱板を固定解除する着脱
ピンと、このピンに接続されたピン着脱ペダルとを設け
たため、入浴者の収容時および、搬入時にピン着脱ペダ
ルを踏むだけで効率よく椅子部を台車から分離すること
ができる。また、前記着脱手段に対して、前記固定浴槽
の所定位置にいなければ椅子部を取り外せないセーフテ
ィ手段が設けられてなることにより、着脱手段のロック
状態および解除状態を切り替えて、入浴者の収容時搬入
時には椅子部を素早く分離するとともに、移動搬送時に
は台車と椅子部とが不用意に分離することを防止でき
る。
【0020】また、上述の台車部には前後方向に延在す
る台車位置決め用の角パイプが設けられるとともに、上
述の椅子支持部のレールの下側には略平行な2本のガイ
ドレールが開口方向に延在して設けられる。これによ
り、車椅子の角パイプがこのガイドレール間に進入する
ことで台車部の位置決めがおこなわれる。また、ガイド
レールの先端側が、これらガイドレールどうしの対向間
距離が開口方向外側に向けて拡大するように設定されて
おり、角パイプの進入をより容易にして、車椅子固定位
置設定が容易になる。この際、最終的にレール間に支持
ロッドが位置すればよいため、角パイプ先端をガイドレ
ール内に進入させるだけで位置設置できることにより、
レールを前側に延長した線に沿ってその外側から車椅子
を進入させる必要がない。このため、浴槽の開口方向に
向かって車椅子の進入位置決めをするスペースが必要な
くなり、設置に必要なスペースを低減することができ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の揺動開閉式入浴装
置における一実施形態を図面に基づいて説明する。図1
は本発明に係る揺動開閉式入浴装置の入浴状態における
概形を示す斜視図、図2は同揺動開閉式入浴装置の開放
状態を示す斜視図、図3は開口側から見た揺動浴槽を示
す斜視図、図4は開口の水密手段を示す断面図、図5は
車椅子を示す正断面図、図6は入浴者の搬入状態におけ
る揺動開閉式入浴装置を示す正断面図、図7は入浴者の
収容状態における揺動開閉式入浴装置を示す正断面図、
図8は入浴状態における揺動開閉式入浴装置を示す正断
面図、図9は固定浴槽の開口側から見た揺動開閉式入浴
装置を示す側面図、図10は揺動開閉式入浴装置を示す
平面図である。
【0022】これらの図に示すように、本実施形態にか
かる入浴装置は、入浴者を載せる車椅子1と、車椅子1
において入浴者を載せた状態のまま、内方所定位置に位
置させて、内部に湯を満たすことによって、入浴者を入
浴状態にさせる揺動開閉式入浴装置2とからなる。
【0023】まず、車椅子1について説明すると、図5
にも示すように、車椅子1は、キャスタ付きの台車10
と、台車10に着脱手段100により着脱可能に立設さ
れた支持ロッド11と、支持ロッド11の上部によって
支持される椅子部12とを備える。
【0024】台車10は、両側下部にキャスタ14,1
4が取り付けられた前後の板材13a,13bと、それ
ら前後の板材13a,13bの中央の凹部を互いに連結
する連結板15と、該連結板15を補強する上側の角パ
イプ16からなる。そして、前側の板材13aの中央に
は、着脱手段100を介して前記支持ロッド11が只1
本だけ立設されている。
【0025】支持ロッド11の上部に取り付けられた椅
子部12は、両側下部にローラ17aが取り付けられた
椅子部フレーム17が設けられ、この椅子部フレーム1
7には、前部から後部にかけて、フットレスト18、座
部19、および背もたれ部20が設けられている。
【0026】フットレスト18は、椅子部フレーム17
の左右に取り付けられたブラケット21に軸21aが支
持され、この軸21aに回動自在に支持されたロッド2
2の下端によって支持されている。ブラケット21に
は、介助者が車椅子1を移動操作するときに把持する部
分である把持部23aを先端に有するアーム23が回動
自在に支持されている。アーム23を支持する軸24に
はリンクを介して図示せぬローラが取り付けられてお
り、アーム23、軸24、およびこのローラは一体的に
回動するようになっている。このため、介助者がアーム
23の先端の把持部23aを持って図5中右回りに上方
向へ回転させると、ローラが該アーム23の回動と一体
的に回動してフットレスト支持ロッド22の下面に当接
し、同支持ロッド22を軸21aを中心に回動させる。
これにより、フットレスト18は、所定角度まで強制的
に回動されて、その位置でロックされる。このロック
は、前記アーム23の把持部23aとは逆側の先端23
bに設けられた被ロック部材が、図示せぬ付勢部材によ
って軸26を中心に図5中時計方向へ回動するように付
勢されるロック部材27の図示せぬ先端に係合すること
によって行なわれる。
【0027】このロック状態において、フットレスト1
8は下方(図5中反時計方向)への回動は規制される
が、上方(図5中時計方向)への回動は自由である。ロ
ック状態を解除するには、ロック部材27を図示せぬ付
勢部材に抗して図5中時計方向へ回動操作することによ
って、アーム23の先端23bの被ロック部材との係合
を解除すればよい。
【0028】また、前記ロック状態において、前記フッ
トレスト18の高さは、フットレスト18の下部に設け
られたローラ28が、開放状態の揺動浴槽31の内面3
8に当接するように設定されている。
【0029】着脱手段100は、角パイプ16上に略水
平位置に並設された複数のローラ101,101と、こ
のローラ101上に載置され支持ロッド下端に接続され
る着脱板102と、着脱板102の一端側(図5の左
側)上に設けられ着脱板102を押さえる押さえローラ
103と、押さえローラ103の近傍(図5の右側)に
位置してこの着脱板102に貫通された着脱穴104に
係止される着脱ピン105と、着脱ピン105を上下動
させて着脱板102の固定解除を可能とするピン着脱手
段106とを具備するものとされる。
【0030】複数のローラ101は入浴者の収容時に車
椅子1が固定浴槽30に当接した状態で支持ロッド11
および椅子部12を固定浴槽30内部に向かって(図5
の右方向である後側に向かって)移動可能に開口方向に
複数並設される。ピン着脱手段106としては、一端が
ピン支点106aに回動自在に支持されるピン着脱ペダ
ル106bと、このピン着脱ペダル106bと一体に着
脱ピン105を上下動可能とするピン支持部106cと
からなる。このピン着脱ペダル106bは、図示しない
付勢手段によって図5の時計回り方向に付勢されている
とともに、ピン着脱ペダル106bを着脱ピン105に
おける着脱板102固定位置と開放位置とに位置設定す
ることを可能とする図示しない位置設定手段が設けられ
る。これらの構成によって、ピン着脱ペダル106bを
踏みつけることにより、着脱ピン105における着脱板
102固定位置と開放位置とが位置設定される。
【0031】押さえローラ103は、最も前側の一つの
ローラ101に対応する位置に設けられて、この対応す
るローラ101と着脱板102を挟み込んで固定可能と
される。同時に、押さえローラ103は、椅子部12の
着脱時とされる着脱板102の移動時に、固定状態にお
いて対応するローラ101の真上位置から椅子部12の
移動方向にオフセットするとともに、この対応するロー
ラ101から上方向に離間するように構成されている。
このように対応するローラ101から斜め後方に移動す
ることで、対応するローラ101との間に着脱板102
を挿入しやすくなるよう固定位置から移動可能(揺動可
能)とされている。
【0032】ピン着脱ペダル106bには、走行中など
入浴者を固定浴槽30への搬入・収容時以外に着脱ピン
105による着脱板102の係止が解除されないよう
に、固定浴槽30に対する所定位置に位置したときのみ
にピン着脱ペダル106bが回動可能となる係止解除セ
ーフティ手段107が設けられる。この係止解除セーフ
ティ手段107は、後述するように、固定浴槽30に設
けられたセーフティ当接部108に当接した際、台車1
0に対する椅子部12の移動方向と同方向に移動可能と
して台車10の角パイプ16に設けられたセーフティロ
ッド107aと、このセーフティロッド107aがセー
フティ当接部(ガイドレール)108に当接しない状態
でピン着脱ペダル106bを着脱ピン105の係止位置
に維持するロック部材107bとからなる。このロック
部材107bは、その中心付近を回転支点として回動可
能とされるとともに図5に示す係止状態(ロック状態)
では略直立状態とされてその下端にセーフティロッド1
07aが回動自在に接続され、このセーフティロッド1
07aの往復動作により、図5に示すロック状態と、図
7,8に示すように、直立状態からは多少傾いた解除状
態との切り替え可能とされている。
【0033】前記揺動開閉式入浴装置2は、前面(図6
〜8において左側が前面となる)が開口された固定浴槽
30と、この固定浴槽30の開口に対応する開口を有す
るとともにこの開口が固定浴槽30の開口に連結して前
記固定浴槽30外部に浴槽30,31を延長可能な揺動
浴槽31とからなる。
【0034】揺動浴槽31は、図3に示すように、略半
割椀状とされて、固定浴槽30よりも大きな内側寸法を
有している。揺動浴槽31は、固定浴槽30の開口部分
上端部付近に配置された揺動支点91により図6〜8に
おいて左右方向とされる固定浴槽30の開口方向に揺動
可能とされる。この揺動浴槽31は、入浴時に固定浴槽
30と水密状態に連続して湯を貯留可能とされるととも
に、開放時に固定浴槽30の下側に収納可能とされてい
る。
【0035】前記固定浴槽30には、浴槽下部フレーム
80に固着されたナットにボルトが螺合されてなる高さ
調整手段81によって、底部36が略水平状となるよう
に調整されて浴室の床面に設置される。固定浴槽30に
は、その上辺および開口部分付近をのぞいた外側下部が
カバー93によって覆われており、このカバー93内部
には、揺動浴槽31を収納するためのスペース、揺動支
点91を支持する揺動フレーム92、および、供給する
湯を貯留するためのタンク60が設けられている。揺動
フレーム92は、固定浴槽30両側に浴槽下部フレーム
80から立設される縦フレーム92aと、縦フレームか
ら開口方向に向けて略水平に延設されその開口側(前
側)の一端に揺動支点91が設けられる横フレーム92
bとを有する構成とされる。横フレーム92bの後側他
端には揺動浴槽31を駆動するためのシリンダ90が回
動自在に固定されており、横フレーム92b中央付近か
らは、支持部材92cが固定浴槽30の開口に沿った位
置と平行な状態に固定浴槽30の下側を帯状に支持する
ように設けられている。
【0036】揺動支点91には揺動部材94が回動自在
に支持され、この揺動部材94には揺動浴槽31の開口
側に接続される支持部材95が設けられる。横フレーム
92bの開口側端部(前側端部)は、揺動浴槽31の揺
動時にこの支持部材95の揺動と干渉しないための逃げ
として下方向に開口側から後側に傾斜して形成されてい
る。支持部材95にはシリンダ90のロッドが接続され
て、シリンダ90の伸縮により揺動浴槽31を揺動可能
となっている。
【0037】前記固定浴槽30の開口に沿った底部36
および側壁37と、前記揺動浴槽31の開口に沿った底
部38および側壁39とが、図4に示すように、前記開
口方向と直交する方向に折曲されてそれぞれに折曲部3
0a、31aが形成されている。これら折曲部30a,
31aの互いに対向する位置には、入浴時における前記
固定浴槽30と前記揺動浴槽31との水密状態を維持す
るための水密手段40として、パッキン40aおよびそ
の受け部材40bが前記開口の形状に沿って設けられ
る。これらのパッキン40aおよびその受け部材40b
は、図8に示す揺動浴槽31の閉塞状態(入浴状態)に
おいては、揺動浴槽を閉塞するだけで、互いに密着し、
浴槽30,31を水密状態とすることができる。
【0038】固定浴槽30の底部36は、図6に示すよ
うに、開口側位置において、車椅子1のキャスタ14よ
りも上方に位置し、車椅子1の椅子部フレーム17より
下側位置に配設されている。同時に、開放状態(収納状
態)の揺動浴槽31の底部38は、図6に示すように、
車椅子1のキャスタ14よりも上方に位置し、車椅子1
の支持ロッド11下端より下側位置に位置されている。
【0039】揺動浴槽31の閉塞状態(入浴状態)にお
いて最下部となる開口側底部38には、図3,図6〜8
に示すように、この開口よりも開口方向固定浴槽30側
(後側方向)に伸延する排水部41が設けられる。この
排水部41は、開口付近の底部に設けられた排水穴42
と、この排水穴42からさらに開口方向固定浴槽側に水
平より略下向きに延在する排水管43と、この排水管4
3端部下側に設けられ排水栓44により密閉可能な排水
孔45とを具備するものとされる。排水部41は、図8
に示す揺動浴槽31の閉塞状態(入浴状態)において、
排水をおこなう際に、浴槽略中心位置に設けた排水孔4
5から排水して、後述する車椅子1の台車10に干渉す
ることない位置に配されるとともに、揺動浴槽31の開
閉時に、固定浴槽30と干渉することなくスムーズに開
閉することが可能となるよう構成される。
【0040】この排水孔45の下側には、揺動浴槽31
の閉塞状態において対応する位置に、この排水孔45よ
りも形寸法が大きく揺動開閉式入浴装置2の下側に排水
するための排水孔45Aが設けられるとともに、この近
傍には、排水栓44を開閉するための排水栓開閉ペダル
47と、この排水栓開閉ペダル47によって上下動され
この上下動により排水栓44を開閉させる排水ピン46
とが設けられる。排水ピン46は排水孔45Aの中心に
上下動可能に設けられるとともに、排水栓開閉ペダル4
7によって上方に移動した際に、排水孔45を閉塞して
いる排水栓44を上方に押し上げて開状態として排水を
おこなう。
【0041】固定浴槽30底部36下方に位置する浴槽
下部フレーム80には、この固定浴槽30に対する車椅
子1の搬入位置を設定し着脱可能に固定するための車椅
子固定手段82が設けられる。車椅子固定手段82とし
ては、図6〜8,図10に示すように、固定浴槽30の
開口よりも前方(図6〜8,10の左側方向)に突出
し、かつ車椅子1の固定状態に影響を及ぼさないように
側方(図10では上側)位置に車椅子解除ペダル82c
が設けられる。この車椅子解除ペダル82cは、回転軸
82aに回動可能に支持され、この回転軸には、水平状
態に前方に伸びてその先端部に上側に突出する凸部を有
する鍵状のロック部材82bが接続される。これら車椅
子解除ペダル82cおよびロック部材82bは、回転軸
82aを中心に一体的に回動可能とされるとともに、図
6〜8の時計回り方向に付勢されている。ロック部材8
2bは、台車10の板材13bがロック部材82の凸部
を乗り越えた状態になるよう凸部の前側が傾斜した状態
とされて、ロック部材82bの凸部は、台車10が固定
浴槽30に当接した際に、板材13bを固定する位置に
設けられている。
【0042】固定浴槽30には、前記揺動浴槽31の揺
動に従って椅子部12上の入浴者を横にするべく椅子部
12を傾動する傾動手段が設けられる。この傾動手段
は、図6〜8,図10に示すように、固定浴槽30底部
36に固定された回転支点51を中心に回転可能な椅子
支持部52と、揺動浴槽31とから構成される。この椅
子支持部52としては、開口方向に延在する平行な2本
のレール52a,52aと、開口よりも固定浴槽外側
(図6〜8における左側)に位置する前記レール52a
の開口側(同左側)先端部下方に延在して設けられる傾
動支持部52bと、この傾動支持部52bの先端に設け
られ前記揺動浴槽31の揺動に従って該揺動浴槽31内
面(底面)38に当接するとともに転動する転動部(ロ
ーラ)52cとを具備してなるものとされる。この傾動
手段により、揺動浴槽31の閉塞時には、この揺動浴槽
31の揺動動作に従って、ローラ52cが揺動浴槽31
内面38上を転動し、これにともなって回転支点51を
中心にレール52aが図6〜8における左側が上昇する
ように時計回りに回動(傾動)して、車椅子1に座った
座位の入浴者を横にすることができる。
【0043】また、椅子支持部52の回転支点51付近
には、例えばリミットスイッチとされる椅子部検出スイ
ッチ121が設けられる。この椅子部検出スイッチ12
1は、椅子支持部52上の所定位置に椅子部12が載置
されたことを検出するとともに、椅子支持部52の傾動
により椅子部12の背もたれ部20の姿勢が変化するこ
とを検出して、椅子支持部52の傾動状態をも検出可能
なものとされている。
【0044】レール52aの下方には、図10に示すよ
うに、このレール52aよりも幅狭に2本のガイドレー
ル71,71が設けられている。これら2本のガイドレ
ール71,71は、その間に車椅子1における角パイプ
16が進入することで台車10(椅子部12)の位置決
めがおこなわれる。このガイドレール71のそれぞれ対
向する位置には複数のガイドローラ72,72が設けら
れて角パイプ16の進入を容易にしているとともに、こ
のガイドレール71の先端部分はセーフティ当接部10
8とされている。ガイドレール71の先端側は、これら
ガイドレール71,71どうしの対向間距離が外側に向
けて拡大するように設定されており、角パイプ16の進
入をより容易にしている。
【0045】固定浴槽30内部には、湯量低減部として
椅子支持部52の下側に中空容器(フロート)Fが設け
られる。また湯量低減部として、固定浴槽30の底部3
6に浴槽内部側に突出した凸部36Aを設けられる。こ
れらフロートF、凸部36Aにより、入浴者の入浴には
必要のない椅子支持部52の下側空間に入る湯を節約
し、入浴時に使用する湯量を低減することができる。ま
た、フロートFの浮力を椅子支持部52に作用させるこ
とができるため、入浴中において椅子支持部52を支持
している揺動浴槽30内面への荷重を低減することがで
きる。
【0046】前記揺動開閉式入浴装置2には、カバー9
3内部に、揺動開閉式入浴装置2内の湯を蓄えるタンク
60と、浴槽30,31とタンク60との間の湯の出し
入れをする給排湯手段61が付設されている。給排湯手
段61について説明すると、図6〜8に示すように、タ
ンク60の給湯口62には配管63aを介してポンプ6
5が介在され、さらにこの配管を介して浴槽本体30の
給湯口に接続される。したがって、図示しない制御手段
によってポンプが制御され、これにより、タンク60か
ら浴槽30,31へ供湯されるときには、湯は前記タン
ク60の給湯口62から配管63aを介してポンプ65
の吸い込み側に至り、ポンプ65の吐出側から配管合流
部,配管を介して浴槽30,31へ至るようになってい
る。
【0047】固定浴槽30には、浴槽30,31内の湯
量を検出する水位センサ122a、122bが接続され
ている。これは、センサ配管に分岐接続されて浴槽3
0,31内の水位を測定するフロート式のセンサであ
り、水位センサ122bは浴槽30,31内の水位が所
定の上限位置以上になった時点で、水位センサ122a
は浴槽30,31内の水位が所定の下限位置以上または
以下になった時点でそれを検知して制御手段に信号を送
るものである。ここでいう所定の上限位置とは、浴槽3
0,31のオーバーフロー状態、つまり、揺動浴槽31
の側壁39上端近傍を指し、下限値とは、浴槽30,3
1底部36,38程度の位置を指している。
【0048】タンク60には、浴槽30,31内の湯量
を検出する水位センサ123a、123bが接続されて
いる。これは、センサ配管123cに分岐接続されてタ
ンク60内の水位を測定するフロート式のセンサであ
り、水位センサ123bはタンク60内の水位が所定の
上限位置以上になった時点で、水位センサ123aはタ
ンク60内の水位が所定の下限位置以上または以下にな
った時点でそれを検知して制御手段に信号を送るもので
ある。また、タンク60には図示しない湯温センサが設
けられ、浴槽30,31に供給する湯の温度を検出し、
所定の設定温度とされた湯を供給可能とされている。
【0049】固定浴槽30外側には、揺動浴槽31の開
放状態を検出する揺動位置検出手段124aと、閉塞状
態を検出する揺動位置検出手段124bとが設けられ
る。
【0050】上記の揺動開閉式入浴装置2には、図示し
ない制御手段が設けられ、この制御手段は、シリンダ9
0による揺動浴槽31の揺動の制御、浴槽30,31に
供給する湯量および温度の制御、タンクに貯留する湯量
および温度の制御をおこなうものとされる。
【0051】次に、前記構成の入浴装置の作用について
説明する。
【0052】前記した入浴装置により、入浴者を入浴さ
せる場合には、まず、図5に示すように、入浴者を車椅
子1上に載せるとともに、アーム23を上方へ引き上げ
てフットレスト18を斜め上に引き上げる。この状態
で、図6に示すように、予め揺動浴槽31をあけておい
た揺動開閉式入浴装置2の搬入位置にセットする。この
とき、車椅子1の角パイプ16先端をガイドレール7
1,71間に沿わせるため、車椅子1の揺動開閉式入浴
装置2への進入にはなんら支障はない。同時に、椅子部
フレーム17の17aをレール52a上で転動させて、
椅子部12が椅子支持部52で支持可能にする。
【0053】そして、図7に示すように、そのまま車椅
子1を固定浴槽30側に押圧して、ロック部材82bの
凸部により板材13bの固定位置設定をおこなうととも
にこれを固定し、車椅子固定手段82により車椅子1の
台車10を固定し、固定状態(搬入状態)とする。この
とき、ガイドレール先端71のセーフティ当接部108
にセーフティロッド107a先端が当接し、このセーフ
ティロッド107aが車椅子1の進入方向に移動する。
これにより、直立したロック状態であったロック部材1
07bが図6〜8における時計回りに回動して傾き、ピ
ン着脱ペダル106bから離間した解除状態となる。
【0054】次いで、図7に示すように、ピン着脱ペダ
ル106bを踏みつけて着脱ピン105を下方向に移動
させ、着脱板102の固定状態を解除する。椅子部12
を図における右側に押して台車10から分離するととも
に、略水平位置とされるレール52a上でローラ17a
が転動することにより、該レール52aに沿って椅子部
12を移動して、図8に示すように、入浴者を浴槽3
0,31内に収容した状態とする。このとき、押さえロ
ーラ103は、固定状態において対応するローラ101
の真上位置から椅子部12の移動方向にオフセットし
て、この対応するローラ101から上方向に離間するよ
うに、固定位置から図の右上に揺動した状態となってい
る。
【0055】この状態で、椅子部検出スイッチ121に
より椅子部12が所定の位置に載置されたことを検出し
た後、制御手段により、シリンダ90を駆動して、揺動
支点91を中心として時計回りに揺動浴槽31を揺動す
る。この際、揺動位置検出手段124bにより閉塞状態
となったことが検出されるまで揺動浴槽31を揺動し、
図8に示すように、揺動浴槽31の上端が略水平となる
閉塞状態とする。揺動浴槽31の揺動に従って、ローラ
52cが揺動浴槽31内面38上を転動し、これにとも
なって回転支点51を中心にレール52aが図6〜8に
おける左側が上昇するように時計回りに回動(傾動)し
て、車椅子1に座った座位の入浴者を横にする。ここ
で、折曲部30a,31aの水密手段40としてのパッ
キン40aおよびその受け部材40bが互いに密着し
て、入浴時における前記固定浴槽30と前記揺動浴槽3
1とを水密状態とする。
【0056】次いで、タンク60から湯を浴槽30,3
1に満たす。この時、揺動開閉式入浴装置2は、水位セ
ンサ122a,122b,123a,123bにより湯
量を検出するとともに図示しない湯温センサにより湯の
温度を検出しながらおこなうようにする。また、入浴者
は、椅子部12に乗ったままであるから、身体保持が確
実になされ、傾動動作中も安定が保たれる。入浴使用時
は、入浴者は、一般の風呂と同様の姿勢となるから、快
適に入浴できる。図8のように入浴者の傾動状態された
揺動開閉式入浴装置2では、フロートFの浮力により椅
子支持部52から揺動浴槽31底部36に係る荷重を低
減することができる。
【0057】入浴が終了したら、排水栓開閉ペダル47
を踏んで、排水孔45を閉塞している排水栓44を上方
に押し上げて開状態として排水をおこなう。水位センサ
122aにより浴槽30,31内の湯が排水されたこと
が検出されたら、シリンダ90を駆動して、揺動浴槽3
1を開放状態とする。揺動浴槽31の揺動に従って、ロ
ーラ52cが揺動浴槽31内面38上を転動し、これに
ともなって回転支点51を中心にレール52aが図6〜
8における左側が下降するように反時計回りに回動(傾
動)して、横になった入浴者を車椅子1に座った座位に
する。
【0058】座位に起きあがった入浴者を椅子部12ご
とレール52aに沿って前方に移動させ、着脱板102
を押さえローラ103とローラ101によって押さえ込
んだ状態で、着脱ピン105を着脱穴104に挿入して
固定する。この状態で、車椅子解除ペダル82cを踏
み、車椅子1のロックを解除して、車椅子1を前方(図
の左側方向)に移動することにより、ガイドレール先端
71のセーフティ当接部108に当接していたセーフテ
ィロッド107aがセーフティ当接部108から離間す
ることで、このセーフティロッド107aが台車10に
対して車椅子1の発進方向後側(右方向)に移動する。
これにより、傾いて解除状態であったロック部材107
bが図6〜8における反時計回りに回動して直立し、ピ
ン着脱ペダル106bに当接したロック状態となるた
め、車椅子1の移動時に台車10と椅子部12とが不用
意に分離することを防止できる。
【0059】本実施形態の揺動開閉式入浴装置2におい
ては、前記揺動浴槽31が、前記開口部分上端部付近に
配置された揺動支点91により前記固定浴槽30の開口
方向に揺動可能とされ、入浴時に揺動浴槽31の位置す
るスペースを入浴者の搬入搬出に用い、浴槽30,31
としての必要なスペースが固定浴槽30そのものとほぼ
等しいスペースしか必要ないため、浴槽自体が揺動する
構造とは異なり、設置に必要なスペースを小さくするこ
とができるとともに、湯の入った浴槽全体および入浴者
を揺動(傾動)する必要がないため、駆動機構としての
シリンダ90等を小型化し、製造コストを削減すること
ができる。
【0060】また、固定浴槽30および揺動浴槽31の
開口に沿って水密状態を維持するための水密手段40を
設けたことにより、揺動浴槽31を閉塞状態にするだけ
で、浴槽30,31を水密状態とすることができ、その
ため、構造を簡略化することができ、製造コストを削減
することができる。
【0061】本実施形態の前記固定浴槽30には、前記
揺動浴槽31の揺動に従って椅子部12上の入浴者を横
にするべく椅子部12を傾動する傾動手段が設けられる
ことにより、揺動浴槽31の開閉状態において入浴者を
浴槽30,31内に収容し、揺動浴槽30,31を閉塞
する動作のみで同時に入浴者を横にすることが可能とな
る。
【0062】本実施形態の前記傾動手段において、固定
浴槽30底部36に固定された回転支点51を中心に回
転可能な椅子支持部52のローラ52cが、揺動浴槽3
1の開閉動作に従って揺動浴槽31内面38上を転動
し、これにともなって回転支点51を中心にレール52
aが傾動して、入浴者の姿勢を変化できるので、揺動浴
槽31の揺動動作のみで入浴者の収容状態と横にする状
態とを移行させることができる。
【0063】本実施形態において、揺動浴槽31の閉塞
状態において最下部となる揺動浴槽31の開口側底部3
6に、この開口よりも後側に伸延する排水部41が設け
られたことにより、揺動浴槽31の閉塞状態において、
排水をおこなう際に、浴槽30,31の略中心位置に設
けた排水孔45から排水して、車椅子1の台車10に干
渉しないようにすることが可能であるとともに、揺動浴
槽31の開閉時に、固定浴槽30と干渉することなくス
ムーズに開閉することが可能となる。
【0064】固定浴槽30内部に湯量低減部としてフロ
ートFや凸部36Aが設けられることにより、入浴者の
入浴には必要のない椅子支持部52の下側空間に入る湯
を節約し、入浴時に使用する湯量を低減することができ
る。同時に、フロートFの浮力を椅子支持部52に作用
させることができるため、入浴中において椅子支持部5
2からローラ52cを介する揺動浴槽31内面への荷重
を低減することができる。
【0065】本実施形態の揺動開閉式入浴装置2におい
ては省スペース化を図ることができるため、浴槽30,
31に供給する湯を貯留するためのタンク60を一体と
して設けた場合でも、従来の浴槽全体を揺動(傾動)す
る浴槽とほぼ同じスペースを占有するだけで、タンクを
別に設置するために必要なスペースが増大することがな
く、また、離れた場所にタンクを設置しなくてすむた
め、これらの間の配管等を短縮して製造(設置)コスト
の低減をおこなうこともできる。
【0066】前記揺動浴槽31の開放状態においては湯
の注入がおこなわれないよう制御するか、または、前記
揺動浴槽31の開閉動作を、浴槽30,31内部に湯が
ある状態でおこなわないよう制御する制御手段が設けら
れてなることにより、入浴中に揺動浴槽31が開閉す
る、あるいは、入浴者の収容・搬出作業中に湯が注入さ
れることがなく、安全性を向上することが可能となる。
【0067】本実施形態においては、キャスタ14付き
の台車10と、台車10に着脱自在に立設された支持ロ
ッド11と、支持ロッド11の上部によって支持される
椅子部12とを備える車椅子1により、車椅子1に座っ
た状態のままで入浴者を揺動開閉式入浴装置2に入浴さ
せることができ、この場合、車椅子1に載せた入浴者
を、前記車椅子1の構成のうちの少なくとも椅子部12
と一緒に、前記開口から前記固定浴槽30内方所定位置
に収容した後、前記揺動浴槽31を閉塞して水密状態に
した浴槽30,31内部に湯を満たすことができ、これ
により、車椅子1上の入浴者を一度もおろすことなく入
浴させて介護者の負担を低減できるとともに、身体保持
を確実にすることができ、入浴者の安定を保つことがで
き、また、浴槽30,31内に収容した入浴者をそのま
ま横にすることができるため、入浴者は一般の風呂と同
様の姿勢となって快適に入浴することができる。
【0068】また、本実施形態においては、前記固定浴
槽30底部36下方に、当該固定浴槽30に対する所定
位置に位置させた前記車椅子1を着脱自在に固定する車
椅子固定手段82が設けられていることにより、入浴者
の収容時、入浴時、搬出時に車椅子1の台車10を固定
しておくことが可能なため、収容搬出時に入浴者の安定
を保つとともに、入浴中に台車10が介護者の作業のじ
ゃまになることを低減できる。
【0069】また、略平行な2本のガイドレール71,
71が開口方向に延在して設けられ、その先端側が、こ
れらガイドレール71,71どうしの対向間距離が開口
方向外側に向けて拡大するように設定されており、角パ
イプ16の進入をより容易にしているため、車椅子1の
角パイプ16がこのガイドレール71,71間に進入す
ることで台車部10の位置決めがおこなわれる。この
際、最終的にレール52a,52a間に支持ロッド11
が位置すればよいため、角パイプ16先端をガイドレー
ル71,71内に進入させるだけでよく、レール52a
を前側に延長した線に沿ってその外側から車椅子1を進
入させる必要がない。このため、浴槽30,31の開口
方向に向かって車椅子1の進入位置決めをするスペース
が必要なくなり、設置に必要なスペースを低減すること
ができる。
【0070】車椅子1の支持ロッド11と台車10とを
着脱可能とする着脱手段100を設けたため、入浴者の
収容時および、搬入時にピン着脱ペダル106bを踏む
だけで効率よく椅子部12を台車10から分離すること
ができる。また、着脱手段100に対して、固定浴槽3
0の所定位置にいなければ椅子部12を取り外せないセ
ーフティ手段107が設けられてなることにより、着脱
手段100のロック状態および解除状態を切り替えて、
入浴者の収容時搬入時には椅子部12を素早く分離する
とともに、移動搬送時には台車10と椅子部12とが不
用意に分離することを防止できる。
【0071】また、椅子部12の着脱、排水、固定浴槽
30から台車10の離脱を、それぞれ、ピン着脱ペダル
106b、排水栓開閉ペダル47、車椅子解除ペダル8
2cを踏むという操作だけで、つまり、入浴者に対して
両手を空けた状態でも、足での操作によりおこなうこと
ができ、介護者の負担を低減することができる。
【0072】
【発明の効果】本発明の揺動開閉式入浴装置によれば、
前記車椅子が、キャスタ付きの台車と、該台車に着脱手
段により着脱可能に立設された支持ロッドと、支持ロッ
ドの上部によって支持される椅子部とを備えてなること
により、台車から着脱した椅子部のみを浴槽内部に載置
して、入浴者を入浴させることができるので、水没する
ことが好ましくない台車の部分を湯にいれることなく浴
槽内部に湯を満たすことができ、さらに、本発明におい
ては、車椅子に載せた入浴者を、前記車椅子の構成のう
ちの少なくとも椅子部と一緒に、前記開口から前記固定
浴槽内方所定位置に収容した後、前記揺動浴槽を水密に
閉塞した内部に湯が満たされることができ、これによ
り、車椅子上の入浴者を一度もおろすことなく入浴させ
て介護者の負担を低減できるとともに、身体保持を確実
にすることができ、入浴者の安定を保つことができ、ま
た、浴槽内に収容した入浴者をそのまま横にすることが
できるため、入浴者は一般の風呂と同様の姿勢となって
快適に入浴することができ、前記揺動浴槽が、前記開口
部分上端部付近に配置された揺動支点により前記固定浴
槽の開口方向に揺動可能とされ、入浴時に揺動浴槽の位
置するスペースを入浴者の搬入搬出に用い、浴槽として
の必要なスペースが固定浴槽そのものとほぼ等しいスペ
ースしか必要ないため、浴槽自体が揺動する構造とは異
なり、設置に必要なスペースを小さくすることができる
という効果を奏する。また、前記車椅子が、キャスタ付
きの台車と、該台車に着脱手段により着脱可能に立設さ
れた支持ロッドと、支持ロッドの上部によって支持され
る椅子部とを備えてなることにより、台車から着脱した
椅子部のみを浴槽内部に載置して、入浴者を入浴させる
ことができるので、水没することが好ましくない台車の
部分を湯にいれることなく浴槽内部に湯を満たすことが
できる。さらに、本発明においては、車椅子に載せた入
浴者を、前記車椅子の構成のうちの少なくとも椅子部と
一緒に、前記開口から前記固定浴槽内方所定位置に収容
した後、前記揺動浴槽を水密に閉塞した内部に湯が満た
されることができ、これにより、車椅子上の入浴者を一
度もおろすことなく入浴させて介護者の負担を低減でき
るとともに、身体保持を確実にすることができ、入浴者
の安定を保つことができ、また、浴槽内に収容した入浴
者をそのまま横にすることができるため、入浴者は一般
の風呂と同様の姿勢となって快適に入浴することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る揺動開閉式入浴装置の
一実施形態における入浴状態の概形を示す斜視図であ
る。
【図2】 図2は同揺動開閉式入浴装置の一実施形態
における開放状態を示す斜視図である。
【図3】 図3は開口側から見た揺動浴槽31を示す
斜視図である。
【図4】 図4は開口における水密手段40を示す断
面図である。
【図5】 図5は車椅子1を示す正断面図である。
【図6】 図6は入浴者の搬入状態における揺動開閉
式入浴装置を示す正断面図である。
【図7】 図7は入浴者の収容状態における揺動開閉
式入浴装置を示す正断面図である。
【図8】 図8は入浴状態における揺動開閉式入浴装
置を示す正断面図である。
【図9】 図9は固定浴槽の開口側から見た揺動開閉
式入浴装置を示す側面図である。
【図10】 図10は揺動開閉式入浴装置を示す平面
図である。
【符号の説明】
1 車椅子 2 揺動開閉式入浴装置 10 台車 11 支持ロッド 12 椅子部 13a,13b 板材 14 キャスタ 15 連結板 16 角パイプ 17a ローラ 17 椅子部フレーム 18 フットレスト 19 座部 20 背もたれ部 30 固定浴槽 30a 折曲部 30 揺動浴槽(浴槽) 30 浴槽本体 30 開口方向固定浴槽 31 揺動浴槽(浴槽) 36A 凸部 36,38 底部 37,39 側壁 40a パッキン 40 水密手段 41 排水部 42 排水穴 43 排水管 44 排水栓 45 排水孔 45A 排水孔 46 排水ピン 47 排水栓開閉ペダル 51 回転支点 52a レール 52c ローラ 52b 傾動支持部 52 椅子支持部 60 タンク 61 給排湯手段 62 給湯口 63a 配管 65 ポンプ 71 ガイドレール 72 ガイドローラ 80 浴槽下部フレーム 81 調整手段 82b ロック部材 82a 回転軸 82 車椅子固定手段 82c 車椅子解除ペダル 90 シリンダ 91 揺動支点 92 揺動フレーム 92c 支持部材 92b 横フレーム 92a 縦フレーム 93 カバー 94 揺動部材 95 支持部材 100 着脱手段 101 ローラ 102 着脱板 103 押さえローラ 104 着脱穴 105 着脱ピン 106c ピン支持部 106a ピン支点 106b ピン着脱ペダル 106 ピン着脱手段 107a セーフティロッド 107 セーフティ手段 107b ロック部材 108 セーフティ当接部 121 椅子部検出スイッチ 122a,122b,123a,123b 水位センサ 123c センサ配管 124a 揺動位置検出手段 124b 揺動位置検出手段 F フロート
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61H 33/00 310

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着脱可能な椅子部を有する車椅子に載せ
    た入浴者を、前記車椅子の構成のうちの少なくとも前記
    椅子部と一緒に、浴槽内所定位置に浴槽の開口から収容
    した後、浴槽を閉塞した内部に湯が満たされる入浴装置
    であって、前記浴槽は、一側方が開口する固定浴槽と、該固定浴槽
    の開口に対応する開口を有するとともにこの開口が前記
    固定浴槽の開口に連結して前記固定浴槽外部に浴槽を延
    長可能な揺動浴槽とを有し、 前記揺動浴槽が、前記開口部分上端部付近に配置された
    揺動支点により前記固定浴槽の開口方向に揺動可能とさ
    れ、入浴時には前記固定浴槽と水密状態に連続して湯を
    貯留可能とされるとともに、開放時には前記固定浴槽の
    下側に収納可能とされてなり、 前記固定浴槽には、前記揺動浴槽の揺動により前記椅子
    部上の入浴者を後方に傾斜するべく椅子部を傾動し、前
    記揺動浴槽の揺動動作のみで入浴者の収容状態と横にす
    る状態とを移行させる傾動手段が設けられ、 前記車椅子が、キャスタ付きの台車と、該台車に着脱手
    段により着脱可能に立設された支持ロッドと、該支持ロ
    ッドの上部によって支持される前記椅子部とを備えてな
    ることを特徴とする揺動開閉式入浴装置。
  2. 【請求項2】 前記台車前側の中央には、前記着脱手段
    を介して前記支持ロッドが只1本だけ立設されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の揺動開閉式入浴装置。
  3. 【請求項3】 前記着脱手段が、 前記支持ロッド下端位置において略水平方向に接続され
    る着脱板と、 前記着脱板の装着位置に対応して前記台車の前記支持ロ
    ッドより前側において前記着脱板をその上下から挟持す
    るための対となるローラおよび押さえローラと、 前記着脱板に貫通された着脱穴に係止される着脱ピン
    と、 前記着脱ピンを上下動させて前記着脱板の固定解除を可
    能とするピン着脱手段と、 を具備するものとされることを特徴とする請求項1また
    は2記載の揺動開閉式入浴装置。
  4. 【請求項4】 前記傾動手段が、前記椅子部の背もたれ
    基部付近に設けられた回転支点を中心に回転可能な椅子
    支持部と、前記開口部分よりも前記固定浴槽外側に位置
    する前記椅子支持部の開口側先端部に設けられ前記揺動
    浴槽の揺動に従って該揺動浴槽内面に当接するとともに
    転動して前記椅子支持部を傾動可能な転動部とを具備し
    てなることを特徴とする請求項記載の揺動開閉式入浴
    装置。
  5. 【請求項5】 前記固定浴槽底部下方に、当該固定浴槽
    に対する所定位置に位置させた前記台車を着脱自在に固
    定する車椅子固定手段が設けられていることを特徴とす
    る請求項1記載の揺動開閉式入浴装置。
  6. 【請求項6】 前記揺動浴槽の前記底部には、前記固定
    浴槽に固定状態とされた前記台車位置よりも前記固定浴
    槽側に向けて伸延する排水部が設けられることを特徴と
    する請求項5記載の揺動開閉式入浴装置。
  7. 【請求項7】 前記着脱手段に対して、前記固定浴槽の
    所定位置以外で椅子部を取り外せないようにするセーフ
    ティ手段が設けられてなることを特徴とする請求項1記
    載の揺動開閉式入浴装置。
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