JP3534197B2 - 複屈折フィルムシートの製造装置 - Google Patents

複屈折フィルムシートの製造装置

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JP3534197B2
JP3534197B2 JP14878694A JP14878694A JP3534197B2 JP 3534197 B2 JP3534197 B2 JP 3534197B2 JP 14878694 A JP14878694 A JP 14878694A JP 14878694 A JP14878694 A JP 14878694A JP 3534197 B2 JP3534197 B2 JP 3534197B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複屈折性フィルムシー
トの製造装置に関し、特に、液晶表示装置に採用される
フィルムシートの製造装置に関する。
【0002】液晶表示装置は、低電圧、低消費電力でI
C回路への直結が可能であること、表示機能が多様であ
ること、軽量化が可能であること等多くの特徴を有して
おり、ワードプロセッサやパーソナルコンピューター等
の表示装置として広く使用されている。その中で、液晶
分子のツイスト角が160°以上のツイステッドネマテ
ィック液晶表示装置(以後STN−LCD)は従来のツ
イスト角が90°のツイステッドネマティック液晶表示
装置(以後TN−LCD)に比べて、大容量表示が可能
であり、高速応答性に優れていることから、現在液晶表
示装置の主流となっている。
【0003】しかしながらSTN−LCDには、表示画
像が青色あるいは黄色に着色する(ブルーモードあるい
はイエローモード)という問題があり、このため白黒表
示ではコントラスト、視認性が低く、またカラー化が極
めて困難であった。そこでこの着色を補償するために、
逆ねじりのSTN液晶セルを用いる二層液晶方式の白
黒、あるいは、カラー表示が提案されたが、複数の液晶
セルを用いるため、表示装置の重量、容積が大きくな
る、あるいはコストが高くなる等の問題点、また視角の
僅かな変化でコントラストが急激に低下する、あるいは
背景色が変化する等の、視角特性の劣化という別の問題
があった。この問題を解決するために、特開昭63-16730
3,同63-167304,同63-189804,同63-261302,同63-149624,
特開平1-201607, 同1-201608, 同1-105217, 特開平2-28
5303, 同2-59702,同2-24406,同2-146002, 同2-257103,
特開平3-23404,同3-126012, 同3-181905, 同3-104503公
報等に記載されている様に、複屈折性フィルムを位相差
板として用いる方法が提案されている。
【0004】これらの方法によれば、STN−LCDの
着色が大幅に改善され、表示装置自身の重量、容積も著
しく小さくなり、コストも低くなるが、STN−LDC
の視角特性についてはほとんど改良されなかった。そこ
で、この視角特性を改良するために、特開平2-285303号
公報には電場印加下で配向変化を与え、厚さ方向の屈折
率が複屈折の光軸に垂直な方向の屈折率よりも大きい複
屈折率フィルムを作成し、これを位相差板として用いる
方法が提案されている。この方法によれば視角によるコ
ントラストの変化が小さくなり、視角特性が改善される
が、その効果は未だ小さく、また溶融したポリカーボネ
ートに高電圧を長時間に渡って印加する必要があるので
その製造工程が複雑になり、生産性を高くして、コスト
を低下させることが困難である。また特開平2-160204号
公報には、押し出し形成によって得られる棒状のポリカ
ーボネートを板状に切り、研磨したものを位相差板とし
て用いる方法が提案されているが、大面積の位相差板を
低コストで生産することが極めて困難となる。また、欧
州公開EP-0482620A2公報には、熱収縮フィルムの収縮力
によってポリカーボネートフィルムの配向に変化を与
え、位相差板として用いる方法が提案されているが、ポ
リカーボネートフィルムのほかに熱収縮フィルム及び粘
着剤が必要であり低コストで生産することは困難であ
る。
【0005】更に、特開平2-256023号, 特開平3-141303
号, 同 3-14122号, 同 3-24502号公報には、固有複屈折
値が正と負のフィルムを各々1枚づつ、あるいは積層し
たものを位相差板として用いる方法が提案されている。
この方法によれば液晶セルの特性に合わせて二枚のフィ
ルムの複屈折性を調整できるので、視角特性をより緻密
に改良することができるが、別個に作成した複屈折フィ
ルムを二枚以上使う必要があり、それだけにコストも高
くなる。
【0006】ここで、特願平 4-282907 号では、熱可塑
性フィルムシートの搬送経路において、表裏の温度差を
10℃以上にするように熱風や加熱ローラーによる加熱
側と冷風等による冷却側を設け、加熱側が曲部内側にな
るようにフィルムシートを搬送し、続く位置ではフィル
ムシートの非加熱側を曲部内側で加熱するように加熱と
冷却とを入れ換えて同様の搬送を行い、フィルム表裏の
流動性の差を利用して加熱側の圧縮を伴う搬送を繰り返
して、厚さ方向の屈折率を上げることが示されている。
このような製造によると、効率的に且つ安価に位相差板
を製作できるが、表裏に10℃以上の温度差を効率的に
付けるという問題が存在している。ローラー等による片
側接触では、フィルムの温度が接触している側の温度に
支配されてしまうため、温度差を付ける調節において非
常に微妙なものがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ST
N−LCDの着色および視角特性を大幅に改善できる複
屈折性フィルムを、簡単な工程により、低コストで且つ
高い生産性の基に製造する装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題は、熱伝導性材
料によって内部を構成された容器と、その容器内で熱可
塑性フィルムシートが潤滑されて搬送される曲部を有す
るスリット状経路と、該曲部内側に近接して配置されて
その曲部内側を加熱する加熱手段と、その加熱手段と対
向する曲部外側及びスリット状経路全体を冷却する冷却
手段とを有することを特徴とする複屈折フィルムシート
の製造装置によって達成される。
【0009】本発明に使用される熱可塑性樹脂は特に制
限はないが、本発明のフィルムシート中で配向した分子
が、LCDの製造工程や通常加熱による配向緩和を防ぐ
ために、本発明のフィルムシートに用いる熱可塑性樹脂
のガラス移転点として、好ましくは90℃以上、より好
ましくは110℃以上であり、分子量は特別に小さいも
のでなければ特に大きな制約はないが、好ましくは重量
平均分子量が1万から100万の範囲で、特に好ましく
は3万から70万の範囲である。このポリマーの合成方
法には通常行われる方法が適用可能である。
【0010】また、このフィルムシートに用いる熱可塑
性樹脂は、複屈折発現性を有するものが好ましく、その
固有複屈折値は正或いは負のどちらであってもよい。正
の固有複屈折値を有するポリマーの具体例としては、ポ
リカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、
ポリエーテルスルホン等が好ましく、特にポリカーボネ
ート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエステル
系高分子等、固有複屈折値が大きくなる溶液製膜により
面状の均質なフィルムを作りやすい高分子が好ましい。
また、上記ポリマーは、単にホモポリマーだけでなく、
コポリマー、それらの誘導体、ブレンド物等であっても
よい。また、負の固有複屈折を有するポリマーの具体例
としては、スチレン系重合体、アクリル酸エステル系重
合体、メタアクリル酸エステル系重合体、アクリロニト
リル系重合体及びメタアクリロニトリル系重合体が好ま
しく、ポリスチレン系重合体が3つの観点即ち、固有複
屈折値の絶対値が大きいこと、透明性に優れ着色が無い
こと、溶液製膜が可能であることから最も好ましい。
【0011】ここでスチレン系重合体とは、スチレン及
びスチレン誘導体のホモポリマー、スチレン及びスチレ
ン誘導体のコポリマー、主鎖または側鎖に少なくとも不
飽和の二重結合を有するポリマーに対して、少なくとも
スチレン或いはスチレン誘導体を含むモノマーを付加重
合したグラフト重合体、及びブレンド物等を含む。スチ
レン誘導体とは例えば、α−メチルスチレン、o−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレ
ン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カ
ルボキシスチレン、2,5−ジクロロスチレン等が挙げ
られるが、上記に制限されるものではない。スチレン及
びスチレン誘導体(以下STと略す)とのコポリマー、
ブレンド物はSTと適度な成膜性を有するものであれば
特に限定されるものではなく、相分離構造を有していて
も透明性等が損なわなければ本発明の対象となるもので
あり、例えば、コポリマーとしてはST/アクリロニト
リル、ST/メタアクリロニトリル、ST/メタアクリ
ル酸メチル、ST/メタアクリル酸エチル、ST/α−
クロロアクリロニトリル、ST/アクリル酸メチル、S
T/アクリル酸エチル、ST/アクリル酸ブチル、ST
/アクリル酸、ST/メタクリル酸、ST/ブタジエ
ン、ST/イソプレン、ST/無水マレイン酸、ST/
N−フェニルマレイミド、ST/イタコン酸、ST/ビ
ニルカルバゾール、ST/n−フェニルアクリルアミ
ド、ST/ビニルピリジン、ST/ビニルナフタレン、
α/メチルスチレン/アクリロニトリル、α−メチルス
チレン/メタクリロニトリル、ST/酢酸ビニルコポリ
マー及びスチレン/スチレン誘導体コポリマー等が挙げ
られる。もちろん、以上に挙げた二元コポリマー以外
に、ST/α−メチルスチレン/アクリロニトリル、S
T/N−フェニルマレイミド/アクリロニトリル、ST
/α−メチルスチレン/メチルメタクリレート等の三元
以上のコポリマーも使用することができる。
【0012】また主鎖又は側鎖に少なくとも不飽和二重
結合を有するポリマーに対して、少なくともスチレンあ
るいはスチレン誘導体を含むモノマーを付加重合したグ
ラフト重合体として、SBR,SBS,BR等のラバー
に、スチレンあるいはスチレン誘導体を含むモノマーを
付加重合したグラフト重合体を挙げることができる。こ
のグラフト重合体の具体例としては、SBRにスチレン
−アクリロニトリルをグラフトしたグラフト重合体、B
Rにスチレン−アクリロニトリルをグラフトしたグラフ
ト重合体、SBSにスチレンをグラフトしたグラフトし
たグラフト重合体が挙げられる。更に、セルロースアセ
テートなども使用できる。また、ブレンド物は上記のス
チレンホモポリマー、スチレン誘導体ホモポリマー、ス
チレン及びスチレン誘導体コポリマーおよびグラフト重
合体間のブレンドはもちろんとして、スチレン及びスチ
レン誘導体からなるポリマー(以下PSTと略す)と、
PSTを含まないポリマーとのブレンド物も使用でき
る。これらのブレンドの一例としてはPST/ブチルセ
ルロース、PST/クマロン樹脂がある。本発明におけ
る負の固有複屈折値を有するポリマーとしては、脆性の
点から、主鎖又は側鎖に、少なくともスチレン或いはス
チレン誘導体を含むモノマーを付加重合したグラフト重
合体が好ましい。
【0013】
【作用】これらの熱可塑性樹脂を用い、溶融押出法、溶
液流延法、あるいはカレンダー法などにより、まずプラ
スチックフィルムが作成される。プラスチックフィルム
がさらに1軸延伸されると、延伸した方向(X方向)に
ポリマー主鎖が配向し、それと垂直な幅方向(Y方向)
および厚み方向(Z方向)では、X方向へのポリマー主
鎖の配向に伴い、ポリマー鎖のYおよびZ方向への配向
が減少する。結果として正の固有複屈折値を有するポリ
マーは延伸方向の屈折率nxがそれと垂直な方向の屈折
率ny,nzよりも大きいフィルムが得られ、この場
合、一般的に厚み方向の屈折率nzは、面に平行な屈折
率nx,nyのいずれよりも小さい。また、負の固有複
屈折値を有するポリマーの場合には、延伸方向へのポリ
マー主鎖の配向により、一般的に厚み方向の屈折率nz
は、面に平行な屈折率nx,nyのいずれよりも大きく
なる。
【0014】そしてこのようなフィルムにおいて、フィ
ルムの厚み方向(Z方向)に温度差をつけることによ
り、フィルムを曲げた場合で(内側の圧縮圧力)<(外
側の延伸圧力)となる状態を作りだし、つまり、潤滑さ
れたスリットのなかで、加熱側が曲部内側になるように
フィルムシートを搬送し、続く搬送位置ではフィルムシ
ートの前の位置での非加熱側を加熱される曲部内側とし
て加熱と冷却とを入れ換えて同様の搬送を行い、フィル
ム表裏の流動性の差を利用して加熱側の圧縮を伴う搬送
を繰り返して、厚さ方向の屈折率を上げる。
【0015】なお、このような製造装置によれば、厚み
方向の屈折率が面に平行な方向の主屈折率の少なくとも
いずれか一方より大きい複屈折性フィルムシートが得ら
れる。この複屈折フィルムは位相差板として用いること
ができる。また、スリット状経路内の熱可塑性フィルム
シートの潤滑について、熱伝達の均一化という観点から
も該スリット内が潤滑液によって満たされる構成とする
ことができる。更に、上記スリット状経路が互いに反対
方向に曲げられている少なくとも1対の曲部を有する構
成とし、対となる曲部は同一の曲率を有する構成とする
ことで、より均一な圧縮状態とすることができる。更に
は、スリット状経路から送出された熱可塑性フィルムシ
ートを再びスリット状経路内に搬送し、曲部内を所定回
数通過させる搬送手段を設ける構成とすることで、加熱
部を増やすことなしに処理回数を増やすことができる。
更に上記加熱手段は、曲部内側における熱可塑性フィル
ムシートを該シートに固有のガラス転移点以上に加熱す
る温度に設定され、上記冷却手段は曲部外側における熱
可塑性フィルムシートをガラス転移点以下に冷却する温
度に設定されて、より確実に熱可塑性フィルムシートの
厚さ方向に温度分布を発生させる構成とすることができ
る。
【0016】
【実施例】本発明を以下に示す図に従って説明する。図
1は本発明の複屈折性フィルムシート製造装置の概略断
面図である。熱導電性材料2で構成されている容器1内
に熱可塑性フィルムシートの厚みよりも若干広いスリッ
ト経路5が形成されている。図示はしていないが容器1
は断熱手段によって断熱されている。このスリット経路
5には潤滑液7が満たされており、フィルムシートは潤
滑液7の中を搬送されることになる。また、スリット経
路5はそれぞれ反対方向に曲げられて対として構成され
る曲部101,102,・・・を備えている。それぞれ
の曲部101,102,・・・内側には、スリット経路
5に近接した位置でスリット内部を加熱する発熱体20
1,202,・・・と断熱材301,302,・・・が
配置されている。また、これらの発熱体201,20
2,・・・が加熱する以外の部分は複数の冷却体13が
配置されており、容器1内部全体を冷却している。ここ
で、加熱体が備えてある曲部については複数示している
が、少なくとも互いに反対方向に曲がる一対があれば良
い。
【0017】図2は発熱体201が配置された曲部10
1の構成を示す拡大部分断面図である。この図を利用し
てフィルムシートの一つの曲部における圧縮工程を説明
する。発熱体201を中心として曲部101の反対側に
は断熱材301が配設され、発生した熱は曲部101へ
集中するようになっている。そして、曲部101にフィ
ルムシートが搬送されてくると、曲部内側においてフィ
ルムシートは潤滑液7を介して加熱され、曲部外側にお
いてフィルムシートは潤滑液7を介して冷却される。従
って、フィルムシート内部において発熱体201側と曲
部冷却体13側との間で温度差が生じることになる。そ
して、フィルムシート内部の発熱体201側のみ流動性
が発生し、この状態で曲部101で強制的に曲げられる
ので、冷却側の延伸応力によって流動性が発生している
発熱体201側が圧縮され、厚み方向の屈折率が高い方
向に変化する。この圧縮工程を表裏同一回数で所定回数
繰り返すことで所望の複屈折フィルムシートを得ること
ができる。各曲部101,102,・・・では同一曲
率、同一温度で処理することによって、厚み方向により
均一な屈折率を有する複屈折フィルムシートとなる。
【0018】上記圧縮工程の回数を増やしたい場合に
は、図1中に点線で示す循環路19を介して圧縮工程を
任意回数循環させてもよい。または、搬送経路を往復可
能に構成し、供給ローラー15と搬送ローラー17間に
示した点線矢印の方向に逆転し、同じ経路を任意回数往
復させて処理を行うこともできる。いずれの方法でも圧
縮工程を所定回数繰り返すことにより、屈折率を増して
行き、厚み方向の所望の屈折率を達成することができ
る。この繰り返しを所定回数行うことによって屈折率を
増して行き、厚み方向の所望の屈折率を達成する。この
繰り返し回数としては後述の実験のようにスリットクリ
アランス、搬送スピード、曲部曲率、潤滑液、加熱及び
冷却温度、フィルム自体の材質等の処理条件によって設
定は異なってくる。これらの処理条件については、以下
に示す実験例によってある程度の傾向は判明している。
【0019】以下、本発明の装置の実験例を説明する。 (実験例1−1)図3は、図1に示す装置を用いてポリ
カーボネートフィルムを処理したときの処理回数と厚み
方向の屈折率の変化を示している。処理条件は以下のと
おりである。 フィルム:ポリカーボネート(厚さ80μm) 処理条件:スリットクリアランス:100μm 搬送スピード:20m/分 曲部の曲率半径:25mm 潤滑液:シリコンオイル 加熱温度:165℃ 冷却温度:40℃ 図に示すように、フィルムの処理回数を増やすに従って
厚み方向の屈折率が増加するのが判る。また、図4では
同条件においてフィルムの厚み方向と幅方向との屈折率
の差と処理回数との変化を示している。これによると、
処理回数を増やすことにより、厚み方向と幅方向との屈
折率の差が増すことが判る。
【0020】(実験例1−2)図3の処理条件におい
て、曲部の曲率半径のみを50mmと設定した場合の処
理回数と厚み方向の屈折率の変化が図5に示されてい
る。図2との比較において、曲率半径を倍にしたこの実
験例では厚み方向の屈折率の増加傾向は小さくなり、曲
部の曲率半径が小さいほうが厚み方向の屈折率を増加さ
せる効果が大きいことが伺える。
【0021】(実験例1−3)図3の処理条件におい
て、加熱温度を120℃とした場合の処理回数と厚み方
向の屈折率の変化が図6に示されている。処理回数が増
えても屈折率は殆ど変化しておらず、この実験で使用し
ているポリカーボネートフィルムの場合、カラス転移点
が130℃程度であるので、加熱温度が不十分であっ
て、十分な流動性が得られていないことが判る。
【0022】(実験例1−4)図3の処理条件におい
て、搬送スピードを5m/分とした場合の処理回数と厚
み方向の屈折率の変化が図7に示されている。処理スピ
ードを小さくすることにより、処理回数の増加による厚
み方向の屈折率の増加の傾きが増加方向に大きくなるこ
とが判る。
【0023】(実験例1−5)図8は、図1に示す装置
において、フィルムシートとしてポリスルホンフィルム
を用いて処理する場合の処理回数と厚み方向の屈折率の
変化を示している。処理条件としては以下の条件となっ
ている。
【0024】ここで他の実施例として図9に示す構成
は、図2の曲部構成の他の実施例である。ここに示した
以外の曲部も同様の構成とできるのは言うまでもない。
この中で、図2と同様の構成要素には同一の符号を付
す。曲部101の頂点にはフィルムシートに曲部の曲率
をほぼ維持させながら回転するローラー401が配設さ
れている。このローラー401自体は加熱部材ではない
が、潤滑液と同程度の温度となっている。このような構
成において、図3の基になる処理条件によってフィルム
シートを処理した。その結果、実験例1−1と比較して
同程度の処理効果となり、且つフィルムシートの微小な
擦り傷の減少が認められた。
【0025】なお、本発明に使用できる潤滑液としては
水を利用することができる。この場合、加熱温度が10
0℃を越えてしまうので、水に圧力を加えるために、容
器全体を耐圧のものとし、窒素ガスによりゲージ圧20
kg/cm2 に加圧して図3の基になる処理条件によっ
てフィルムシートを処理できる。このように潤滑液とし
ては水を利用しても十分に効果を得ることができる。更
に、シリコンオイルを用いた場合はこれを除去するのが
容易ではないが、水の場合、圧力を加える必要性がある
反面、容易に除去することができるという利点もある。
なお、本発明のフィルム幅方向の温度分布幅としては5
℃以下とするのが、均一な厚み方向屈折率を得る上で好
ましい。
【0026】
【発明の効果】本発明の複屈折性フィルムシートの製造
装置によれば、潤滑されたスリット経路の中で加熱側が
曲部内側になるようにフィルムシートを搬送し、続く搬
送位置ではフィルムシートの前の位置での非加熱側を加
熱される曲部内側として加熱と冷却とを入れ換えて同様
の搬送を行い、フィルム表裏の流動性の差を利用して加
熱側の圧縮を伴う搬送を繰り返して、厚さ方向の屈折率
を上げることとなる。従って、厚み方向の屈折率が面に
平行な方向の主屈折率の少なくともいずれか一方より大
きい複屈折性フィルムシートが得られ、STN−LCD
の着色および視角特性を大幅に改善できる複屈折性フィ
ルムを、簡単な工程により、低コストで且つ高い生産性
の基に製造する装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複屈折性フィルムシート製造装置の概
略断面図である。
【図2】曲部の構成を示す拡大部分断面図である。
【図3】実験例1−1の処理回数と厚み方向の屈折率の
変化を示す。
【図4】実験例1−1のフィルムの厚み方向と幅方向と
の屈折率の差と処理回数との変化を示す。
【図5】実験例1−2の処理回数と厚み方向の屈折率の
変化を示す。
【図6】実験例1−3の処理回数と厚み方向の屈折率の
変化を示す。
【図7】実験例1−4の処理回数と厚み方向の屈折率の
変化を示す。
【図8】実験例1−5の処理回数と厚み方向の屈折率の
変化を示す。
【図9】図2の曲部構成の他の実施例である。
【符号の説明】
1 容器 5 スリット経路 7 潤滑液 101,102, ‥‥ 曲部 201,202, ‥‥ 発熱体 301,302, ‥‥ 断熱材 13 冷却体 15 供給ローラー 17 搬送ローラー 19 ループ経路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 疋田 伸治 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写 真フイルム株式会社内 (72)発明者 伊藤 洋士 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写 真フイルム株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−130228(JP,A) 特開 平3−235902(JP,A) 特開 平2−89007(JP,A) 特開 平6−59121(JP,A) 特公 昭43−20776(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱伝導性材料によって内部を構成された
    容器と、前記容器内で熱可塑性フィルムシートが潤滑さ
    れた状態で搬送される曲部を有するスリット状経路と、
    前記曲部内側に近接して配置されて該曲部内側を加熱す
    る加熱手段と、前記加熱手段と対向する前記曲部外側及
    び前記スリット状経路全体を冷却する冷却手段とを有す
    ることを特徴とする複屈折フィルムシートの製造装置。
  2. 【請求項2】 前記スリット状経路が潤滑液によって満
    たされて前記熱可塑性フィルムシートが潤滑されること
    を特徴とする請求項1に記載の複屈折フィルムシートの
    製造装置。
  3. 【請求項3】 前記スリット状経路が互いに反対方向に
    曲げられている少なくとも1対の曲部を有していること
    を特徴とする請求項1に記載の複屈折フィルムシートの
    製造装置。
  4. 【請求項4】 前記対の曲部は同一の曲率を有すること
    を特徴とする請求項3に記載の複屈折フィルムシートの
    製造装置。
  5. 【請求項5】前記スリット状経路から送出された前記熱
    可塑性フィルムシートを再び前記スリット状経路内に搬
    送し、前記曲部内を所定回数通過させる搬送手段を有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の複屈折フィルムシ
    ートの製造装置。
  6. 【請求項6】前記加熱手段が前記曲部内側における前記
    複屈折フィルムシートを該シートに固有のガラス転移点
    以上に加熱する温度で設定され、前記冷却手段が前記曲
    部外側における前記複屈折フィルムシートを前記ガラス
    転移点以下に冷却する温度に設定されることを特徴とす
    る請求項1に記載の複屈折フィルムシートの製造装置。
  7. 【請求項7】 潤滑液中で熱可塑性フィルムシートを搬
    送し、曲面を有するように変形しつつ、熱伝導性材料を
    介して加熱又は冷却された当該潤滑液により曲面内側を
    加熱、曲面外側を冷却する工程を有することを特徴とす
    る複屈折フィルムシートの製造方法。
  8. 【請求項8】 潤滑液中で熱可塑性フィルムシートを搬
    送し、曲面を有するように変形しつつ、当該潤滑液を介
    して曲面内側を加熱、曲面外側を冷却する第一工程、曲
    面の解消とともに、加熱された曲面内側を曲面外側と同
    様に当該潤 滑液を介して冷却する第二工程、第一工程に
    おける曲面内側面を外側、曲面外側面を内側となるよう
    に曲面を形成しつつ、当該潤滑液を介して曲面内側を加
    熱、曲面外側を冷却する第三工程を有することを特徴と
    する請求項7に記載の複屈折フィルムシートの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 第一工程及び第三工程において形成され
    る曲面の曲率が同一であることを特徴とする請求項8に
    記載の複屈折フィルムシートの製造方法。
  10. 【請求項10】 第一工程から第三工程を繰り返し行う
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の複屈折フィル
    ムシートの製造方法。
  11. 【請求項11】 第一工程及び第三工程における曲面内
    側の加熱温度がガラス転移点以上であることを特徴とす
    る請求項8〜10のいずれかに記載の複屈折フィルムシ
    ートの製造方法。
  12. 【請求項12】 第一工程及び第三工程における曲面外
    側の冷却温度がガラス転移点以下であることを特徴とす
    る請求項8〜11のいずれかに記載の複屈折フィルムシ
    ートの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項7〜12のいずれかの方法によ
    り製造された複屈折フィルムシート。
  14. 【請求項14】 ツイステッドネマティック液晶表示装
    置の位相差フィルムとして使用されることを特徴とする
    請求項13に記載の複屈折フィルムシート。
  15. 【請求項15】 請求項13の複屈折フィルムシートを
    位相差フィルムとして有するツイステッドネマティック
    液晶表示装置。
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