JP3530084B2 - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも誘導型
磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドおよびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードディスク装置の面記録密度
の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められ
ている。薄膜磁気ヘッドとしては、書き込み用の誘導型
磁気変換素子を有する記録ヘッドと読み出し用の磁気抵
抗(以下、MR(Magnetoresistive)とも記す。)素子
を有する再生ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気
ヘッドが広く用いられている。
【0003】ところで、記録ヘッドの性能のうち、記録
密度を高めるには、磁気記録媒体におけるトラック密度
を上げる必要がある。このためには、記録ギャップ層を
挟んでその上下に形成された下部磁極および上部磁極の
エアベアリング面での幅を数ミクロンからサブミクロン
寸法まで狭くした狭トラック構造の記録ヘッドを実現す
る必要があり、これを達成するために半導体加工技術が
利用されている。
【0004】ここで、図40ないし図43を参照して、
従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例として、複合型
薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例について説明する。な
お、図40ないし図43において、(a)は薄膜磁気ヘ
ッドのエアベアリング面に垂直な断面を示し、(b)は
薄膜磁気ヘッドの磁極部分のエアベアリング面に平行な
断面を示している。
【0005】この製造方法では、まず、図40に示した
ように、例えばアルティック(Al 23・TiC)より
なる基板101の上に、例えばアルミナ(Al23)よ
りなる絶縁層102を、約5〜10μm程度の厚みで堆
積する。次に、絶縁層102の上に、磁性材料よりなる
再生ヘッド用の下部シールド層103を形成する。
【0006】次に、下部シールド層103の上に、例え
ばアルミナを100〜200nmの厚みにスパッタ堆積
し、絶縁層としての下部シールドギャップ膜104を形
成する。次に、下部シールドギャップ膜104の上に、
再生用のMR素子105を、数十nmの厚みに形成す
る。次に、下部シールドギャップ膜104の上に、MR
素子105に電気的に接続される一対の電極層106を
形成する。
【0007】次に、下部シールドギャップ膜104およ
びMR素子105の上に、絶縁層としての上部シールド
ギャップ膜107を形成し、MR素子105をシールド
ギャップ膜104,107内に埋設する。
【0008】次に、上部シールドギャップ膜107の上
に、磁性材料からなり、再生ヘッドと記録ヘッドの双方
に用いられる上部シールド層兼下部磁極層(以下、下部
磁極層と記す。)108を、約3μmの厚みに形成す
る。
【0009】次に、図41に示したように、下部磁極層
108の上に、絶縁膜、例えばアルミナ膜よりなる記録
ギャップ層109を0.2μmの厚みに形成する。次
に、磁路形成のために、記録ギャップ層109を部分的
にエッチングして、コンタクトホール109aを形成す
る。次に、磁極部分における記録ギャップ層109の上
に、記録ヘッド用の磁性材料よりなる上部磁極チップ1
10を、0.5〜1.0μmの厚みに形成する。このと
き同時に、磁路形成のためのコンタクトホール109a
の上に、磁路形成のための磁性材料からなる磁性層11
9を形成する。
【0010】次に、図42に示したように、上部磁極チ
ップ110をマスクとして、イオンミリングによって、
記録ギャップ層109と下部磁極層108をエッチング
する。図42(b)に示したように、上部磁極部分(上
部磁極チップ110)、記録ギャップ層109および下
部磁極層108の一部の各側壁が垂直に自己整合的に形
成された構造は、トリム(Trim)構造と呼ばれる。
【0011】次に、全面に、例えばアルミナ膜よりなる
絶縁層111を、約3μmの厚みに形成する。次に、こ
の絶縁層111を、上部磁極チップ110および磁性層
119の表面に至るまで研磨して平坦化する。
【0012】次に、平坦化された絶縁層111の上に、
例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の第1
層目の薄膜コイル112を形成する。次に、絶縁層11
1およびコイル112の上に、フォトレジスト層113
を、所定のパターンに形成する。次に、フォトレジスト
層113の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理
する。次に、フォトレジスト層113の上に、第2層目
の薄膜コイル114を形成する。次に、フォトレジスト
層113およびコイル114上に、フォトレジスト層1
15を、所定のパターンに形成する。次に、フォトレジ
スト層115の表面を平坦にするために所定の温度で熱
処理する。
【0013】次に、図43に示したように、上部磁極チ
ップ110、フォトレジスト層113,115および磁
性層119の上に、記録ヘッド用の磁性材料、例えばパ
ーマロイよりなる上部磁極層116を形成する。次に、
上部磁極層116の上に、例えばアルミナよりなるオー
バーコート層117を形成する。最後に、スライダの機
械加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベ
アリング面118を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成す
る。
【0014】図44は、図43に示した薄膜磁気ヘッド
の平面図である。なお、この図では、オーバーコート層
117や、その他の絶縁層および絶縁膜を省略してい
る。
【0015】図43において、THは、スロートハイト
を表し、MR−Hは、MRハイトを表している。なお、
スロートハイトとは、2つの磁極層が記録ギャップ層を
介して対向する部分の、エアベアリング面側の端部から
反対側の端部までの長さ(高さ)をいう。また、MRハ
イトとは、MR素子のエアベアリング面側の端部から反
対側の端部までの長さ(高さ)をいう。また、図43に
おいて、P2Wは、磁極幅すなわち記録トラック幅を表
している。薄膜磁気ヘッドの性能を決定する要因とし
て、スロートハイトやMRハイト等の他に、図43にお
いてθで示したようなエイペックスアングル(Apex Ang
le)がある。このエイペックスアングルは、フォトレジ
スト層113,115で覆われて山状に盛り上がったコ
イル部分(以下、エイペックス部と言う。)における磁
極側の側面の角部を結ぶ直線と絶縁層111の上面との
なす角度をいう。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】薄膜磁気ヘッドの性能
を向上させるには、図43に示したようなスロートハイ
トTH、MRハイトMR−H、エイペックスアングルθ
および記録トラック幅P2Wを正確に形成することが重
要である。
【0017】特に、近年は、高面密度記録を可能とする
ため、すなわち狭トラック構造の記録ヘッドを形成する
ために、トラック幅P2Wには1.0μm以下のサブミ
クロン寸法が要求されている。そのために半導体加工技
術を利用して上部磁極をサブミクロン寸法に加工する技
術が必要となる。
【0018】ここで、問題となるのは、エイペックス部
の上に形成される上部磁極層を微細に形成することが困
難なことである。
【0019】ところで、上部磁極層を形成する方法とし
ては、例えば、特開平7−262519号公報に示され
るように、フレームめっき法が用いられる。フレームめ
っき法を用いて上部磁極層を形成する場合は、まず、エ
イペックス部の上に全体的に、例えばパーマロイよりな
る薄い電極膜を、例えばスパッタリングによって形成す
る。次に、その上にフォトレジストを塗布し、フォトリ
ソグラフィ工程によりパターニングして、めっきのため
のフレーム(外枠)を形成する。そして、先に形成した
電極膜をシード層として、めっき法によって上部磁極層
を形成する。
【0020】ところが、エイペックス部と他の部分とで
は、例えば7〜10μm以上の高低差がある。このエイ
ペックス部上に、フォトレジストを3〜4μmの厚みで
塗布する。エイペックス部上のフォトレジストの膜厚が
最低3μm以上必要であるとすると、流動性のあるフォ
トレジストは低い方に集まることから、エイペックス部
の下方では、例えば8〜10μm以上の厚みのフォトレ
ジスト膜が形成される。
【0021】上述のようにサブミクロン寸法の記録トラ
ック幅を実現するには、フォトレジスト膜によってサブ
ミクロン寸法の幅のフレームパターンを形成する必要が
ある。従って、エイペックス部上で、8〜10μm以上
の厚みのあるフォトレジスト膜によって、サブミクロン
寸法の微細なパターンを形成しなければならない。とこ
ろが、このような厚い膜厚のフォトレジストパターンを
狭パターン幅で形成することは製造工程上極めて困難で
あった。
【0022】しかも、フォトリソグラフィの露光時に、
露光用の光が、シード層としての下地電極膜で反射し、
この反射光によってもフォトレジストが感光して、フォ
トレジストパターンのくずれ等が生じ、シャープかつ正
確なフォトレジストパターンが得られなくなる。
【0023】このように、従来は、磁極幅がサブミクロ
ン寸法になると、上部磁性層を精度よく形成することが
困難になるという問題点があった。
【0024】このようなことから、上述の従来例の図4
1ないし図43の工程でも示したように、記録ヘッドの
狭トラックの形成に有効な上部磁極チップ110によっ
て、1.0μm以下のトラック幅を形成した後、この上
部磁極チップ110と接続されるヨーク部分となる上部
磁極層116を形成する方法も採用されている(特開昭
62−245509号公報、特開昭60−10409号
公報参照)。このように、通常の上部磁極層を、上部磁
極チップ110とヨーク部分となる上部磁極層116と
に分割することにより、記録トラック幅を決定する上部
磁極チップ110を、記録ギャップ層109の上の平坦
な面の上に、ある程度微細に形成することが可能にな
る。
【0025】しかしながら、図43に示したような構造
の薄膜磁気ヘッドでも、以下のような(1)ないし
(3)の問題点があった。
【0026】(1)図43に示した薄膜磁気ヘッドで
は、上部磁極チップ110によって記録トラック幅とス
ロートハイトとを規定している。従って、この薄膜磁気
ヘッドでは、記録トラック幅が極微細、特に0.5μm
以下になってくると、上部磁極チップ110の大きさが
極めて小さくなるため、パターン端が丸みを帯びたりし
て、上部磁極チップ110を精度よく形成するのが困難
になる。そのため、図43に示したような構造の薄膜磁
気ヘッドでは、記録トラック幅が極微細になってくる
と、記録トラック幅とスロートハイトとを精度よく規定
することが困難になるという問題点があった。
【0027】(2)図43に示した薄膜磁気ヘッドで
は、上部磁極チップ110によって記録トラック幅が規
定されるため、上部磁極層116は、上部磁極チップ1
10ほどには微細に加工する必要はないと言える。それ
でも、記録トラック幅が極微細、特に0.5μm以下に
なってくると、上部磁極層116においてもサブミクロ
ン幅の加工精度が要求される。しかしながら、図43に
示した薄膜磁気ヘッドでは、上部磁極層116はエイペ
ックス部の上に形成されることから、前述の理由によ
り、上部磁極層116を微細に形成することが困難であ
った。また、上部磁極層116は、幅の狭い上部磁極チ
ップ110に対して磁気的に接続する必要があることか
ら、上部磁極チップ110よりも広い幅に形成する必要
があった。これらの理由から、図43に示した薄膜磁気
ヘッドでは、上部磁極層116は上部磁極チップ110
よりも広い幅に形成されていた。また、上部磁極層11
6の先端面はエアベアリング面に露出している。そのた
め、図43に示した薄膜磁気ヘッドでは、上部磁極層1
16側でも書き込みが行われ、記録媒体に対して、本
来、記録すべき領域以外の領域にもデータを書き込んで
しまう、いわゆるサイドライトや、記録すべき領域以外
の領域におけるデータを消去してしまう、いわゆるサイ
ドイレーズが発生するという問題点があった。このよう
な問題点は、記録ヘッドの性能を向上させるためにコイ
ルを2層や3層に形成した場合に、コイルを1層に形成
する場合に比べてエイペックス部の高さが高くなり、よ
り顕著になる。
【0028】(3)また、図43に示した薄膜磁気ヘッ
ドでは、上部磁極層116と上部磁極チップ110との
接触部分で磁路の断面積が急激に減少するため、この部
分で磁束の飽和が生じ、薄膜コイル112,114で発
生した起磁力を効率よく記録に利用することができなく
なるという問題点があった。
【0029】また、従来の薄膜磁気ヘッドでは、磁路長
(Yoke Length)を短くすることが困難であるという問
題点があった。すなわち、コイルピッチが小さいほど、
磁路長の短いヘッドを実現することができ、特に高周波
特性に優れた記録ヘッドを形成することができるが、コ
イルピッチを限りなく小さくしていった場合、スロート
ハイトゼロ位置(磁極部分のエアベアリング面とは反対
側の端部の位置)からコイルの外周端までの距離が大き
くなり、これが磁路長を短くすることを妨げる大きな要
因となっていた。このことを詳しく説明する。磁路長
は、1層のコイルよりは2層のコイルの方が短くできる
ことから、多くの高周波用の記録ヘッドでは2層コイル
を採用している。しかしながら、従来の磁気ヘッドで
は、1層目のコイルを形成した後、コイルの巻線間を絶
縁するために、1層目のコイルを覆うようにフォトレジ
スト層を約2μmの厚みで形成している。この1層目の
コイルを覆うフォトレジスト層の外周端近傍には、丸み
を帯びた部分が形成される。次に、1層目のコイルを覆
うフォトレジスト層の上に2層目のコイルを形成する
が、その際に、フォトレジスト層の外周端近傍の丸みを
帯びた部分では、コイルのシード層のエッチングができ
ず、コイルがショートするため、2層目のコイルは平坦
部に形成する必要がある。
【0030】従って、例えば、コイルの厚みを2〜3μ
mとし、コイルの巻線間を絶縁するフォトレジスト層の
厚みを2μmとし、エイペックスアングルを45°〜5
5°とすると、磁路長としては、コイルに対応する部分
の長さに加え、コイルの外周端からスロートハイトゼロ
位置の近傍までの距離である3〜4μmの距離の2倍
(上部磁極層と下部磁極層とのコンタクト部からコイル
内周端までの距離も3〜4μm必要。)の6〜8μmが
必要である。このコイルに対応する部分以外の長さが、
磁路長の縮小を妨げる要因となっていた。
【0031】ここで、例えば、コイルの線幅が1.2μ
m、スペースが0.8μmの11巻コイルを2層で形成
する場合を考える。この場合、図43に示したように、
1層目を6巻、2層目を5巻とすると、磁路長のうち、
1層目のコイル112に対応する部分の長さは11.2
μmである。磁路長には、これに加え、1層目のコイル
112の外周端および内周端より、1層目のコイル11
2を絶縁するためのフォトレジスト層113の端部まで
の距離として、合計6〜8μmの長さが必要になる。従
って、磁路長は17.2〜19.2μmとなる。また、
もし11巻コイルを1層で形成するとなると、磁路長は
27.2〜29.2μmとなる。なお、本出願では、磁
路長を、図43において符号L0で示したように、磁極
層のうちの磁極部分およびコンタクト部分を除いた部分
の長さで表す。このように、従来は、磁路長の縮小が困
難であり、これが高周波特性の改善を妨げていた。
【0032】ところで、図43に示した薄膜磁気ヘッド
では、コイルは、渦巻き状に巻回されている。これに対
し、例えば米国特許第5,703,740号、特開昭4
8−55718号公報、特開昭60−113310号公
報、特開昭63−201908号公報には、コイルを、
磁極層を中心にして螺旋状に巻回した薄膜磁気ヘッドが
示されている。このようにコイルを螺旋状に巻回した構
造によれば、コイルで発生した起磁力を効率よく磁極層
に伝えることができるため、コイルを渦巻き状に巻回し
た構造に比べて、コイルの巻き数を少なくすることがで
き、その結果、磁路長の縮小が可能となる。
【0033】しかしながら、このようにコイルを螺旋状
に巻回した構造の従来の薄膜磁気ヘッドにおいても、エ
イペックス部ができるため、依然として、上述のように
エイペックス部に起因する問題点が残っている。
【0034】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、誘導型磁気変換素子のトラック幅を
小さくした場合でもトラック幅とスロートハイトを精度
よく規定することができ、また、磁路長の縮小を可能に
し、更に、記録すべき領域以外の領域へのデータの書き
込みおよび磁路の途中における磁束の飽和を防止するこ
とができるようにした薄膜磁気ヘッドおよびその製造方
法を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】本発明の第1ないし第3
の薄膜磁気ヘッドは、互いに磁気的に連結され、記録媒
体に対向する媒体対向面側において互いに対向する磁極
部分を含み、それぞれ少なくとも1つの層からなる第1
および第2の磁性層と、第1の磁性層の磁極部分と第2
の磁性層の磁極部分との間に設けられたギャップ層と、
第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態で、一
部が第1および第2の磁性層の間を通過し、且つ少なく
とも一方の磁性層を中心にして螺旋状に巻回された薄膜
コイルとを備えている。
【0036】本発明の第1の薄膜磁気ヘッドでは、一方
の磁性層は、一方の面がギャップ層に隣接し、磁極部分
を形成する磁極部分層と、磁極部分層の他方の面に接続
され、ヨーク部分を形成するヨーク部分層とを有し、薄
膜コイルの一部は、磁極部分層の側方に配置され、ヨー
ク部分層の媒体対向面側の端面は、媒体対向面から離れ
た位置に配置され、磁極部分層は、トラック幅を規定す
るトラック部と、ヨーク部分層と直接または間接的に接
触する接触部と、トラック部と接触部とを連結する連結
部とを有し、接触部は、連結部より分岐された複数の枝
部を含み、複数の枝部の間の位置における連結部の媒体
対向面とは反対側の端部によってスロートハイトが規定
される。
【0037】本発明の第1の薄膜磁気ヘッドでは、薄膜
コイルは、一部が第1および第2の磁性層の間を通過
し、且つ少なくとも一方の磁性層を中心にして螺旋状
(つるまき状)に巻回され、薄膜コイルの一部は、一方
の磁性層の磁極部分層の側方に配置される。これによ
り、磁路長の縮小が可能になる。また、磁極部分層を平
坦な面の上に形成することが可能になり、トラック幅と
スロートハイトを精度よく規定することが可能になる。
また、本発明の第1の薄膜磁気ヘッドでは、一方の磁性
層のヨーク部分層の媒体対向面側の端面は、媒体対向面
から離れた位置に配置され、磁極部分層の接触部は、連
結部より分岐された複数の枝部を含み、複数の枝部の間
の位置における連結部の媒体対向面とは反対側の端部に
よってスロートハイトが規定されるので、記録すべき領
域以外の領域へのデータの書き込みおよび磁路の途中に
おける磁束の飽和を防止することが可能になる。
【0038】本発明の第1の薄膜磁気ヘッドは、更に、
磁極部分層の側方に配置された薄膜コイルの一部を覆
い、ヨーク部分層側の面が平坦化された絶縁層を備えて
いてもよい。また、本発明の第1の薄膜磁気ヘッドは、
更に、磁極部分層の接触部と他方の磁性層との間に配置
され、磁束の通過を阻止する磁束阻止層を備えていても
よい。
【0039】本発明の第2の薄膜磁気ヘッドでは、一方
の磁性層は、一方の面がギャップ層に隣接し、磁極部分
を形成する磁極部分層と、ヨーク部分を形成するヨーク
部分層と、一方の面が磁極部分層の他方の面に接続さ
れ、他方の面がヨーク部分層に接続された中間層とを有
し、薄膜コイルは、一部が磁極部分層の側方に配置され
た第1の部分と、一部が中間層の側方に配置された第2
の部分とを有し、中間層およびヨーク部分層の媒体対向
面側の端面は、媒体対向面から離れた位置に配置され、
磁極部分層は、トラック幅を規定するトラック部と、中
間層と接触する接触部と、トラック部と接触部とを連結
する連結部とを有し、接触部は、連結部より分岐された
複数の枝部を含み、複数の枝部の間の位置における連結
部の媒体対向面とは反対側の端部によってスロートハイ
トが規定される。
【0040】本発明の第2の薄膜磁気ヘッドでは、薄膜
コイルは、一部が一方の磁性層の磁極部分層の側方に配
置された第1の部分と、一部が中間層の側方に配置され
た第2の部分とを有し、且つ少なくとも一方の磁性層を
中心にして螺旋状に巻回される。これにより、磁路長の
縮小が可能になる。また、磁極部分層を平坦な面の上に
形成することが可能になり、トラック幅とスロートハイ
トを精度よく規定することが可能になる。また、本発明
の第2の薄膜磁気ヘッドでは、一方の磁性層の中間層お
よびヨーク部分層の媒体対向面側の端面は、媒体対向面
から離れた位置に配置され、磁極部分層の接触部は、連
結部より分岐された複数の枝部を含み、複数の枝部の間
の位置における連結部の媒体対向面とは反対側の端部に
よってスロートハイトが規定されるので、記録すべき領
域以外の領域へのデータの書き込みおよび磁路の途中に
おける磁束の飽和を防止することが可能になる。
【0041】本発明の第2の薄膜磁気ヘッドは、更に、
磁極部分層の側方に配置された薄膜コイルの第1の部分
の一部を覆い、中間層側の面が平坦化された第1の絶縁
層と、中間層の側方に配置された薄膜コイルの第2の部
分の一部を覆い、ヨーク部分層側の面が平坦化された第
2の絶縁層とを備えていてもよい。
【0042】本発明の第3の薄膜磁気ヘッドでは、第1
の磁性層および第2の磁性層は、それぞれ、一方の面が
ギャップ層に隣接し、磁極部分を形成する磁極部分層
と、磁極部分層の他方の面に接続され、ヨーク部分を形
成するヨーク部分層とを有し、薄膜コイルは、一部が第
1の磁性層における磁極部分層の側方に配置された第1
の部分と、一部が第2の磁性層における磁極部分層の側
方に配置された第2の部分とを有し、一方の磁性層にお
けるヨーク部分層の媒体対向面側の端面は、媒体対向面
から離れた位置に配置され、一方の磁性層における磁極
部分層は、トラック幅を規定するトラック部と、ヨーク
部分層と接触する接触部と、トラック部と接触部とを連
結する連結部とを有し、接触部は、連結部より分岐され
た複数の枝部を含み、複数の枝部の間の位置における連
結部の媒体対向面とは反対側の端部によってスロートハ
イトが規定される。
【0043】本発明の第3の薄膜磁気ヘッドでは、薄膜
コイルは、一部が第1の磁性層における磁極部分層の側
方に配置された第1の部分と、一部が第2の磁性層にお
ける磁極部分層の側方に配置された第2の部分とを有
し、且つ少なくとも一方の磁性層を中心にして螺旋状に
巻回される。これにより、磁路長の縮小が可能になる。
また、一方の磁性層における磁極部分層を平坦な面の上
に形成することが可能になり、トラック幅とスロートハ
イトを精度よく規定することが可能になる。また、本発
明の第3の薄膜磁気ヘッドでは、一方の磁性層における
ヨーク部分層の媒体対向面側の端面は、媒体対向面から
離れた位置に配置され、一方の磁性層における磁極部分
層の接触部は、連結部より分岐された複数の枝部を含
み、複数の枝部の間の位置における連結部の媒体対向面
とは反対側の端部によってスロートハイトが規定される
ので、記録すべき領域以外の領域へのデータの書き込み
および磁路の途中における磁束の飽和を防止することが
可能になる。
【0044】本発明の第3の薄膜磁気ヘッドは、更に、
第1の磁性層における磁極部分層の側方に配置された薄
膜コイルの第1の部分の一部を覆い、ギャップ層側の面
が平坦化された第1の絶縁層と、第2の磁性層における
磁極部分層の側方に配置された薄膜コイルの第2の部分
の一部を覆い、ヨーク部分層側の面が平坦化された第2
の絶縁層とを備えていてもよい。
【0045】本発明の第1ないし第3の薄膜磁気ヘッド
の製造方法は、互いに磁気的に連結され、記録媒体に対
向する媒体対向面側において互いに対向する磁極部分を
含み、それぞれ少なくとも1つの層からなる第1および
第2の磁性層と、第1の磁性層の磁極部分と第2の磁性
層の磁極部分との間に設けられたギャップ層と、第1お
よび第2の磁性層に対して絶縁された状態で、一部が第
1および第2の磁性層の間を通過する薄膜コイルとを備
えた薄膜磁気ヘッドを製造する方法であって、第1の磁
性層を形成する工程と、第1の磁性層の上にギャップ層
を形成する工程と、ギャップ層の上に第2の磁性層を形
成する工程と、第1および第2の磁性層に対して絶縁さ
れた状態で、一部が第1および第2の磁性層の間を通過
し、且つ少なくとも一方の磁性層を中心にして螺旋状に
巻回されるように薄膜コイルを形成する工程とを含んで
いる。
【0046】本発明の第1の薄膜磁気ヘッドの製造方法
では、一方の磁性層を形成する工程は、一方の面がギャ
ップ層に隣接し、磁極部分を形成する磁極部分層を形成
する工程と、磁極部分層の他方の面に接続され、ヨーク
部分を形成するヨーク部分層を形成する工程とを含み、
薄膜コイルを形成する工程は、薄膜コイルの一部を磁極
部分層の側方に配置し、ヨーク部分層を形成する工程
は、ヨーク部分層の媒体対向面側の端面を、媒体対向面
から離れた位置に配置し、磁極部分層を形成する工程
は、磁極部分層が、トラック幅を規定するトラック部
と、ヨーク部分層と直接または間接的に接触する接触部
と、トラック部と接触部とを連結する連結部とを有し、
接触部が、連結部より分岐された複数の枝部を含み、複
数の枝部の間の位置における連結部の媒体対向面とは反
対側の端部によってスロートハイトが規定されるように
磁極部分層を形成する。
【0047】本発明の第1の薄膜磁気ヘッドの製造方法
において、一方の磁性層は第2の磁性層であり、薄膜磁
気ヘッドの製造方法は、更に、磁極部分層の側方に配置
された薄膜コイルの一部を覆い、ヨーク部分層側の面が
平坦化された絶縁層を形成する工程を含んでいてもよ
い。また、本発明の第1の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、更に、磁極部分層の接触部と他方の磁性層との間に
配置され、磁束の通過を阻止する磁束阻止層を形成する
工程を含んでいてもよい。
【0048】本発明の第2の薄膜磁気ヘッドの製造方法
では、一方の磁性層を形成する工程は、一方の面がギャ
ップ層に隣接し、磁極部分を形成する磁極部分層を形成
する工程と、ヨーク部分を形成するヨーク部分層を形成
する工程と、一方の面が磁極部分層の他方の面に接続さ
れ、他方の面がヨーク部分層に接続される中間層を形成
する工程とを含み、薄膜コイルを形成する工程は、一部
が磁極部分層の側方に配置された第1の部分と、一部が
中間層の側方に配置された第2の部分とを形成し、中間
層を形成する工程およびヨーク部分層を形成する工程
は、中間層およびヨーク部分層の媒体対向面側の端面
を、媒体対向面から離れた位置に配置し、磁極部分層を
形成する工程は、磁極部分層が、トラック幅を規定する
トラック部と、中間層と接触する接触部と、トラック部
と接触部とを連結する連結部とを有し、接触部が、連結
部より分岐された複数の枝部を含み、複数の枝部の間の
位置における連結部の媒体対向面とは反対側の端部によ
ってスロートハイトが規定されるように磁極部分層を形
成する。
【0049】本発明の第2の薄膜磁気ヘッドの製造方法
において、一方の磁性層は第2の磁性層であり、薄膜磁
気ヘッドの製造方法は、更に、磁極部分層の側方に配置
された薄膜コイルの第1の部分の一部を覆い、中間層側
の面が平坦化された第1の絶縁層を形成する工程と、中
間層の側方に配置された薄膜コイルの第2の部分の一部
を覆い、ヨーク部分層側の面が平坦化された第2の絶縁
層を形成する工程とを含んでいてもよい。
【0050】本発明の第3の薄膜磁気ヘッドの製造方法
では、第1の磁性層を形成する工程および第2の磁性層
を形成する工程は、それぞれ、一方の面がギャップ層に
隣接し、磁極部分を形成する磁極部分層を形成する工程
と、磁極部分層の他方の面に接続され、ヨーク部分を形
成するヨーク部分層を形成する工程とを含み、薄膜コイ
ルを形成する工程は、一部が第1の磁性層における磁極
部分層の側方に配置された第1の部分と、一部が第2の
磁性層における磁極部分層の側方に配置された第2の部
分とを形成し、一方の磁性層におけるヨーク部分層を形
成する工程は、ヨーク部分層の媒体対向面側の端面を、
媒体対向面から離れた位置に配置し、一方の磁性層にお
ける磁極部分層を形成する工程は、磁極部分層が、トラ
ック幅を規定するトラック部と、ヨーク部分層と接触す
る接触部と、トラック部と接触部とを連結する連結部と
を有し、接触部が、連結部より分岐された複数の枝部を
含み、複数の枝部の間の位置における連結部の媒体対向
面とは反対側の端部によってスロートハイトが規定され
るように磁極部分層を形成する。
【0051】本発明の第3の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、更に、第1の磁性層における磁極部分層の側方に配
置された薄膜コイルの第1の部分の一部を覆い、ギャッ
プ層側の面が平坦化された第1の絶縁層を形成する工程
と、第2の磁性層における磁極部分層の側方に配置され
た薄膜コイルの第2の部分の一部を覆い、ヨーク部分層
側の面が平坦化された第2の絶縁層を形成する工程とを
含んでいてもよい。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。 [第1の実施の形態]まず、図1ないし図9を参照し
て、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドお
よびその製造方法について説明する。なお、図1ないし
図6において、(a)はエアベアリング面に垂直な断面
を示し、(b)は磁極部分のエアベアリング面に平行な
断面を示している。
【0053】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、まず、図1に示したように、例えばアルティ
ック(Al23・TiC)よりなる基板1の上に、例え
ばアルミナ(Al23)よりなる絶縁層2を、約5μm
の厚みで堆積する。次に、絶縁層2の上に、磁性材料、
例えばパーマロイよりなる再生ヘッド用の下部シールド
層3を、約3μmの厚みに形成する。下部シールド層3
は、例えば、フォトレジスト膜をマスクにして、めっき
法によって、絶縁層2の上に選択的に形成する。次に、
図示しないが、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁層
を、例えば4〜5μmの厚みに形成し、例えばCMP
(化学機械研磨)によって、下部シールド層3が露出す
るまで研磨して、表面を平坦化処理する。
【0054】次に、図2に示したように、下部シールド
層3の上に、絶縁膜としての下部シールドギャップ膜4
を、例えば約20〜40nmの厚みに形成する。次に、
下部シールドギャップ膜4の上に、再生用のMR素子5
を、数十nmの厚みに形成する。MR素子5は、例え
ば、スパッタによって形成したMR膜を選択的にエッチ
ングすることによって形成する。なお、MR素子5に
は、AMR素子、GMR素子、あるいはTMR(トンネ
ル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を
用いた素子を用いることができる。次に、下部シールド
ギャップ膜4の上に、MR素子5に電気的に接続される
一対の電極層6を、数十nmの厚みに形成する。次に、
下部シールドギャップ膜4およびMR素子5の上に、絶
縁膜としての上部シールドギャップ膜7を、例えば約2
0〜40nmの厚みに形成し、MR素子5をシールドギ
ャップ膜4,7内に埋設する。シールドギャップ膜4,
7に使用する絶縁材料としては、アルミナ、窒化アルミ
ニウム、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等があ
る。また、シールドギャップ膜4,7は、スパッタ法に
よって形成してもよいし、化学的気相成長(CVD)法
によって形成してもよい。アルミナ膜よりなるシールド
ギャップ膜4,7をCVD法によって形成する場合に
は、材料としては例えばトリメチルアルミニウム(Al
(CH33)およびH2Oを用いる。CVD法を用いる
と、薄く、且つ緻密でピンホールの少ないシールドギャ
ップ膜4,7を形成することが可能となる。
【0055】次に、上部シールドギャップ膜7の上に、
磁性材料からなり、再生ヘッドと記録ヘッドの双方に用
いられる上部シールド層兼下部磁極層(以下、下部磁極
層と記す。)8の第1の層8aを、約2〜3μmの厚み
で、選択的に形成する。なお、下部磁極層8は、この第
1の層8aと、後述する第2の層8bおよび第3の層8
cとで構成される。下部磁極層8の第1の層8aは、後
述する薄膜コイルの少なくとも一部に対向する位置に配
置される。
【0056】次に、図3に示したように、下部磁極層8
の第1の層8aの上に、下部磁極層8の第2の層8bお
よび第3の層8cを、約1〜2μmの厚みに形成する。
第2の層8bは、下部磁極層8の磁極部分を形成し、第
1の層8aの薄膜コイルが形成される側(図において上
側)の面に接続される。第3の層8cは、第1の層8a
と後述する上部磁極層とを接続するための部分である。
【0057】次に、全体に、アルミナ、シリコン酸化物
等の無機絶縁材料よりなる絶縁層9を、約2〜3μmの
厚みに形成する。次に、例えばCMPによって、下部磁
極層8の第2の層8bおよび第3の層8cが露出し、下
部磁極層8全体の厚みが2.5〜3.5μmの厚みにな
るように、絶縁層9を研磨して、表面を平坦化処理す
る。
【0058】下部磁極層8の第2の層8bおよび第3の
層8cは、NiFe(Ni:80重量%,Fe:20重
量%)や、高飽和磁束密度材料であるNiFe(Ni:
45重量%,Fe:55重量%)等を用い、めっき法に
よって所定のパターンに形成してもよいし、高飽和磁束
密度材料であるFeN,FeZrN等の材料を用い、ス
パッタ後、イオンミリング等によって選択的にエッチン
グして所定のパターンに形成してもよい。この他にも、
高飽和磁束密度材料であるCoFe,Co系アモルファ
ス材等を用いてもよい。
【0059】次に、下部磁極層8の第2の層8bと第3
の層8c、および絶縁層9の上に、絶縁材料よりなる記
録ギャップ層10を、例えば0.15〜0.3μmの厚
みに形成する。記録ギャップ層10に使用する絶縁材料
としては、一般的に、アルミナ、窒化アルミニウム、シ
リコン酸化物系材料、シリコン窒化物系材料、ダイヤモ
ンドライクカーボン(DLC)等がある。また、記録ギ
ャップ層10は、スパッタ法によって形成してもよい
し、CVD法によって形成してもよい。アルミナ膜より
なる記録ギャップ層10をCVD法によって形成する場
合には、材料としては例えばトリメチルアルミニウム
(Al(CH33)およびH2Oを用いる。CVD法を
用いると、薄く、且つ緻密でピンホールの少ない記録ギ
ャップ層10を形成することが可能となる。
【0060】次に、磁路形成のために、下部磁極層8の
第3の層8cの上において、記録ギャップ層10を部分
的にエッチングしてコンタクトホールを形成する。
【0061】次に、記録ギャップ層10の上に、上部磁
極層11の磁極部分を形成する磁極部分層11aを例え
ば2〜4μmの厚みに形成すると共に、下部磁極層8の
第3の層8cの上に形成されたコンタクトホールの位置
に、磁性層11bを2〜4μmの厚みに形成する。な
お、本実施の形態における上部磁極層11は、磁極部分
層11aおよび磁性層11bと、後述するヨーク部分層
11cとで構成される。磁性層11bは、ヨーク部分層
11cと下部磁極層8の第3の層8cとを接続するため
の部分である。
【0062】上部磁極層11の磁極部分層11aおよび
磁性層11bは、NiFe(Ni:80重量%,Fe:
20重量%)や、高飽和磁束密度材料であるNiFe
(Ni:45重量%,Fe:55重量%)等を用い、め
っき法によって形成してもよいし、高飽和磁束密度材料
であるFeN,FeZrN等の材料を用い、スパッタに
よって形成してもよい。この他にも、高飽和磁束密度材
料であるCoFe,Co系アモルファス材等を用いても
よい。
【0063】次に、図4に示したように、上部磁極層1
1の磁極部分層11aをマスクとして、ドライエッチン
グにより、記録ギャップ層10を選択的にエッチングす
る。このときのドライエッチングには、例えば、BCl
2,Cl2等の塩素系ガスや、CF4,SF6等のフッ素系
ガス等のガスを用いた反応性イオンエッチング(RI
E)が用いられる。次に、例えばアルゴンイオンミリン
グによって、下部磁極層8の第2の層8bを選択的に例
えば0.2〜0.5μmの深さだけエッチングして、図
4(b)に示したようなトリム構造とする。このトリム
構造によれば、狭トラックの書き込み時に発生する磁束
の広がりによる実効的なトラック幅の増加を防止するこ
とができる。
【0064】次に、全体に、例えばアルミナよりなる絶
縁膜12を、約0.3〜0.6μmの厚みに形成する。
【0065】次に、上部磁極層11の磁極部分層11a
と磁性層11bとの間の位置における絶縁膜12の上
に、フォトレジストをフォトリソグラフィ工程によりパ
ターニングして、薄膜コイルの第1層部分をフレームめ
っき法によって形成するための図示しないフレームを形
成する。次に、このフレームを用いて、フレームめっき
法によって、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイル13
の第1層部分13aを、例えば1〜2μmの厚みに形成
する。なお、本実施の形態における薄膜コイル13は、
第1層部分13aと、後述する第2層部分13bおよび
連結部13cとで構成される。次に、フレームを除去す
る。薄膜コイル13の第1層部分13aは、上部磁極層
11の磁極部分層11aの側方(図4(a)における右
側)に配置される。また、薄膜コイル13の第1層部分
13aは、図4(a)における紙面に交差する方向に延
びる複数の四角柱状の部分からなる。
【0066】次に、図5に示したように、全体に、例え
ばアルミナよりなる絶縁層14を、約3〜4μmの厚み
に形成する。次に、例えばCMPによって、上部磁極層
11の磁極部分層11aと磁性層11bが露出するま
で、絶縁層14を研磨して、表面を平坦化処理する。こ
こで、図5(a)では、薄膜コイル13の第1層部分1
3aは露出していないが、第1層部分13aが露出する
ようにしてもよい。
【0067】次に、図6に示したように、平坦化された
上部磁極層11の磁極部分層11aおよび磁性層11b
と、絶縁層14の上に、記録ヘッド用の磁性材料からな
る上部磁極層11のヨーク部分を形成するヨーク部分層
11cを、例えば2〜3μmの厚みに形成する。このヨ
ーク部分層11cは、磁性層11bを介して、下部磁極
層8の第3の層8cと接触し、磁気的に連結している。
上部磁極層11のヨーク部分層11cは、NiFe(N
i:80重量%,Fe:20重量%)や、高飽和磁束密
度材料であるNiFe(Ni:45重量%,Fe:55
重量%)等を用い、めっき法によって形成してもよい
し、高飽和磁束密度材料であるFeN,FeZrN等の
材料を用い、スパッタによって形成してもよい。この他
にも、高飽和磁束密度材料であるCoFe,Co系アモ
ルファス材等を用いてもよい。また、高周波特性の改善
のため、上部磁極層11のヨーク部分層11cを、無機
系の絶縁膜とパーマロイ等の磁性層とを何層にも重ね合
わせた構造としてもよい。
【0068】本実施の形態では、上部磁極層11のヨー
ク部分層11cのエアベアリング面30側の端面は、エ
アベアリング面30から離れた位置(図6(a)におい
て右側の位置)に配置されている。
【0069】次に、全体に、例えばアルミナよりなる絶
縁層16を、約3〜4μmの厚みに形成する。次に、例
えばCMPによって、上部磁極層11のヨーク部分層1
1cが露出するまで、絶縁層16を研磨して、表面を平
坦化処理する。次に、全体に、例えばアルミナよりなる
絶縁膜17を、約0.3〜0.5μmの厚みに形成す
る。
【0070】次に、図示しないが、薄膜コイル13の第
1層部分13aの各四角柱部分における両端部の上側の
部分において、例えば反応性イオンエッチングやイオン
ミリングによって、絶縁膜17および絶縁層14を貫通
して薄膜コイル13の第1層部分13aに達するような
コンタクトホールを形成する。
【0071】次に、上部磁極層11のヨーク部分層11
cの上に位置する絶縁膜17の上に、フレームめっき法
によって、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイル13の
第2層部分13bを、例えば1〜2μmの厚みに形成す
る。薄膜コイル13の第2層部分13bは、図6(a)
における紙面に直交する方向に延びる複数の四角柱状の
部分からなる。この薄膜コイル13の第2層部分13b
の各四角柱部分における両端部は、上記のコンタクトホ
ールに薄膜コイルの材料が充填されて形成される連結部
を介して、薄膜コイル13の第1層部分13aの各四角
柱部分における両端部に接続される。
【0072】次に、全体に、例えばアルミナよりなるオ
ーバーコート層19を、例えば20〜40μmの厚みに
形成し、その表面を平坦化して、その上に、図示しない
電極用パッドを形成する。最後に、スライダの研磨加工
を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリン
グ面30を形成して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドが完成する。
【0073】図7は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの断面図(図7において上側に配置された図)と主要
部分についての平面図(図7において下側に配置された
図)とを対応付けて示す説明図である。図7において、
符号THはスロートハイトを表し、TH0はスロートハ
イトゼロ位置を表し、MR−HはMRハイトを表してい
る。
【0074】図8は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの主要部分を示す斜視図である。なお、この図では、
便宜上、上部磁極層11のヨーク部分層11cを破線で
示している。
【0075】図9は、上部磁極層11の磁極部分層11
aを示す平面図である。この図に示したように、磁極部
分層11aは、記録トラック幅W1を規定するトラック
部11a1と、ヨーク部分層11cと接触する接触部1
1a3と、トラック部11a1と接触部11a3とを連結
する連結部11a2とを有している。接触部11a3は、
連結部11a2より分岐された2つの枝部11a31,1
1a32を含んでいる。2つの枝部11a31,11a32
間の位置における連結部11a2のエアベアリング面3
0とは反対側の端部11a4は、エアベアリング面30
と平行な直線状に形成されている。本実施の形態では、
図7に示したように、端部11a4がスロートハイトT
Hを規定する。すなわち、端部11a4の位置がスロー
トハイトゼロ位置TH0となる。以下、端部11a4
スロートハイト規定端部とも言う。また、接触部11a
3の全体の幅W2は、トラック部11a1の幅である記録
トラック幅W1よりも大きくなっている。
【0076】枝部11a31,11a32の幅方向外側の端
縁はエアベアリング面30に対して直交するように延び
ている。枝部11a31,11a32の幅方向内側の端縁
は、エアベアリング面30側から見ると、途中まではエ
アベアリング面30に対して直交するように延び、途中
からは幅方向外側に広がるように延びている。
【0077】図7に示したように、トラック部11a1
と連結部11a2との境界の位置は、MRハイトゼロ位
置(MR素子5のエアベアリング面30とは反対側の端
部の位置)の近傍に配置されている。連結部11a2
エアベアリング面30側の端部はエアベアリング面30
と平行な直線状に形成されている。
【0078】また、図7に示したように、上部磁極層1
1のヨーク部分層11cは、エアベアリング面30側か
ら順に配置された第1の部分11c1、第2の部分11
2および第3の部分11c3を有している。第1の部分
11c1の幅は、磁極部分層11aの接触部11a3の全
体の幅とほぼ等しい一定の幅になっている。第3の部分
11c3の幅は第1の部分11c1の幅よりも大きい一定
の幅になっている。第2の部分11c2の幅は、エアベ
アリング面30に近づくに従って、第3の部分11c3
の幅から第1の部分11c1の幅へ徐々に小さくなって
いる。第2の部分11c2の幅が変化する部分における
幅方向の端縁は、エアベアリング面30に直交する方向
に対して30°〜60°をなすのが好ましい。
【0079】また、図7に示したように、上部磁極層1
1のヨーク部分層11cのエアベアリング面30側の端
面は、エアベアリング面30から例えば0.5〜2.0
μmだけ離れた位置、本実施の形態では特に、スロート
ハイトゼロ位置TH0またはMRハイトゼロ位置の近傍
に配置されている。
【0080】また、図7に示したように、薄膜コイル1
3の第1層部分13aと第2層部分13bは、連結部1
3cを介してジグザク形に連結されている。これによ
り、薄膜コイル13は、上部磁極層11のヨーク部分層
11cを中心にして螺旋状に巻回される。
【0081】本実施の形態では、第1の層8a、第2の
層8bおよび第3の層8cよりなる下部磁極層8は、本
発明における第1の磁性層に対応し、磁極部分層11
a、磁性層11bおよびヨーク部分層11cよりなる上
部磁極層11は、本発明における第2の磁性層に対応す
る。
【0082】以上説明したように、本実施の形態に係る
薄膜磁気ヘッドは、再生ヘッドと記録ヘッド(誘導型磁
気変換素子)とを備えている。再生ヘッドは、MR素子
5と、記録媒体に対向する媒体対向面すなわちエアベア
リング面30側の一部がMR素子5を挟んで対向するよ
うに配置され、MR素子5をシールドするための下部シ
ールド層3および上部シールド層(下部磁極層8)とを
有している。
【0083】記録ヘッドは、互いに磁気的に連結され、
エアベアリング面30側において互いに対向する磁極部
分を含み、それぞれ少なくとも1つの層からなる下部磁
極層8および上部磁極層11と、この下部磁極層8の磁
極部分と上部磁極層11の磁極部分との間に設けられた
記録ギャップ層10と、これら下部磁極層8および上部
磁極層11に対して絶縁された状態で、一部が下部磁極
層8および上部磁極層11の間を通過し、且つ上部磁極
層11を中心にして螺旋状に巻回された薄膜コイル13
とを有している。
【0084】上部磁極層11は、一方の面が記録ギャッ
プ層10に隣接し、磁極部分を形成する磁極部分層11
aと、磁極部分層の他方の面に接続され、ヨーク部分を
形成するヨーク部分層11cとを有している。薄膜コイ
ル13の一部は、磁極部分層11aの側方に配置されて
いる。また、ヨーク部分層11cのエアベアリング面3
0側の端面は、エアベアリング面30から離れた位置に
配置されている。
【0085】磁極部分層11aは、トラック幅を規定す
るトラック部11a1と、ヨーク部分層11cと接触す
る接触部11a3と、トラック部11a1と接触部11a
3とを連結する連結部11a2とを有している。接触部1
1a3は、連結部11a2より分岐された2つの枝部11
31,11a32を含み、これらの枝部11a31,11a
32の間の位置における連結部11a2のエアベアリング
面30とは反対側の端部11a4によってスロートハイ
トが規定される。
【0086】また、絶縁層9は、上部磁極層11の磁極
部分層11aの接触部11a3と下部磁極層8の第1の
層8aとの間に配置され、両者の間における、磁極層
8,11を経由しない磁束の通過を阻止する。絶縁層9
は、本発明における磁束阻止層に対応する。なお、磁束
阻止層として、絶縁層9の代りに、非磁性材料よりなる
層を設けてもよい。
【0087】本実施の形態によれば、薄膜コイル13
を、上部磁極層11を中心にして螺旋状に巻回したの
で、薄膜コイル13で発生した起磁力を効率よく上部磁
極層11に伝えることができる。そのため、薄膜コイル
を渦巻き状に巻回した構造に比べて、薄膜コイル13の
巻き数を少なくすることができる。
【0088】更に、本実施の形態では、薄膜コイル13
の第1層部分13aを、上部磁極層11の磁極部分層1
1aの側方において、平坦な絶縁膜12上に配置し、こ
の第1層部分13aを覆う絶縁層14の上面を平坦化
し、その絶縁層14の上に上部磁極層11のヨーク部分
層11cを形成し、更に、平坦なヨーク部分層11cの
上に絶縁膜17を介して薄膜コイル13の第2層部分1
3bを形成している。そのため、薄膜コイル13の第1
層部分13aと第2層部分13bの双方を、平坦な面の
上に形成することができる。これにより、薄膜コイル1
3を微細に形成することが可能になる。
【0089】更に、本実施の形態によれば、薄膜コイル
13の巻線間を絶縁する絶縁層の外周端近傍に丸みを帯
びた部分が形成されないので、丸みを帯びた部分によっ
て磁路長が長くなることがない。
【0090】これらのことから、本実施の形態によれ
ば、例えば従来に比べて30〜50%以下程度に、磁路
長の縮小が可能となる。
【0091】また、本実施の形態によれば、記録トラッ
ク幅とスロートハイトを規定する上部磁極層11の磁極
部分層11aを平坦な面の上に形成することができるの
で、この磁極部分層11aを微細に精度よく形成するこ
とが可能になる。従って、本実施の形態によれば、記録
トラック幅をハーフミクロン寸法やクォータミクロン寸
法にも微細に形成可能となり、このように記録トラック
幅を小さくした場合でも、記録トラック幅とスロートハ
イトを精度よく規定することが可能になる。
【0092】また、本実施の形態では、上部磁極層11
のヨーク部分層11cのエアベアリング面30側の端面
を、エアベアリング面30から離れた位置に配置してい
る。そのため、本実施の形態によれば、上部磁極層11
のヨーク部分層11cがエアベアリング面30に露出す
ることがなく、その結果、いわゆるサイドライトやサイ
ドイレーズの発生を防止することができる。
【0093】ところで、記録トラック幅に等しい幅とス
ロートハイトに等しい長さとを有する磁極部分層にヨー
ク部分層を接続する場合には、両者の接続部分で磁路の
断面積が急激に減少するため、この部分で磁束の飽和が
生じる。また、記録トラック幅に等しい幅とスロートハ
イトに等しい長さとを有する磁極部分層にヨーク部分層
を接続する場合に、ヨーク部分層のエアベアリング面側
の端面をエアベアリング面から離れた位置に配置する
と、磁極部分層とヨーク部分層との接触面積が減少する
ため、両者の接続部分での磁束の飽和がより生じやすく
なる。また、このような磁束の飽和を防止するために磁
極部分層の長さを長くすると、スロートハイトが大きく
なってしまう。
【0094】これに対し、本実施の形態では、磁極部分
層11aは、トラック幅を規定するトラック部11a1
と、ヨーク部分層11cと接触する接触部11a3と、
トラック部11a1と接触部11a3とを連結する連結部
11a2とを有し、接触部11a3は、連結部11a2
り分岐された2つの枝部11a31,11a32を含み、こ
れらの枝部11a31,11a32の間の位置における連結
部11a2のエアベアリング面30とは反対側の端部1
1a4によってスロートハイトが規定されるようにして
いる。
【0095】そのため本実施の形態によれば、スロート
ハイトゼロ位置よりもエアベアリング面30から離れた
位置においても、接触部11a3によって、磁極部分層
11aとヨーク部分層11cとを、十分な接触面積を確
保しながら接触させることができる。従って、本実施の
形態によれば、ヨーク部分層11cのエアベアリング面
30側の端面をエアベアリング面30から離れた位置に
配置してサイドライトやサイドイレーズの発生を防止し
ながら、上部磁極層11において磁路の断面積が急激に
減少することを防止して、磁路の途中での磁束の飽和を
防止することができる。しかも、本実施の形態では、枝
部11a31,11a32の間の位置における連結部11a
2のエアベアリング面30とは反対側の端部11a4によ
ってスロートハイトが規定されるので、接触部11a3
の存在によってスロートハイトが大きくなることがな
い。
【0096】また、本実施の形態によれば、磁極部分層
11aの接触部11a3の形状や大きさを制御すること
により、上部磁極層11を通過する磁束の流れを制御す
ることが可能になる。
【0097】以上のことから、本実施の形態によれば、
薄膜コイル13で発生した起磁力を効率よく記録に利用
することができる。従って、本実施の形態によれば、記
録ヘッドの高周波特性や、非線形トランジションシフト
(Non-linear Transition Shift;以下、NLTSと記
す。)や、重ね書きする場合の特性であるオーバーライ
ト特性の優れた薄膜磁気ヘッドを提供することが可能と
なる。
【0098】また、本実施の形態によば、上部磁極層
11の磁極部分層11aの接触部11a3と下部磁極層
8の第1の層8aとの間に、磁束の通過を阻止する磁束
阻止層としての絶縁層9を設けたので、接触部11a3
と第1の層8aとの間における、磁極層8,11を経由
しない磁束の通過を防止することができる。
【0099】また、本実施の形態によれば、薄膜コイル
13の第1層部分13aを、上部磁極層11の磁極部分
層11aの側方に配置し、この第1層部分13aを覆う
絶縁層14の上面を平坦化し、その絶縁層14の上に上
部磁極層11のヨーク部分層11cを形成するようにし
たので、ヨーク部分層11cを平坦な面の上に平坦な層
として形成することができる。そのため、本実施の形態
によれば、ヨーク部分層11cの組成を正確に制御する
ことが可能となり、薄膜磁気ヘッドの量産時に、安定し
た記録ヘッドの特性を確保することが可能となる。
【0100】また、本実施の形態では、下部磁極層8
と、薄膜コイル13の第1層部分13aの間に、記録ギ
ャップ層10の他に、この記録ギャップ層10よりも厚
く十分な絶縁耐圧が得られる無機材料よりなる絶縁層9
および絶縁膜12が設けられるので、下部磁極層8と薄
膜コイル13の第1層部分13aとの間に大きな絶縁耐
圧を得ることができる。
【0101】[第2の実施の形態]次に、図10を参照
して、本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド
およびその製造方法について説明する。図10は、本実
施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面図(図10におい
て上側に配置された図)と主要部分についての平面図
(図10において下側に配置された図)とを対応付けて
示す説明図である。
【0102】本実施の形態では、上部磁極層11の磁極
部分層11aにおける2つの枝部11a31,11a
32は、エアベアリング面30から離れるに従って互いの
間隔が広がるような形状になっている。また、連結部1
1a2と2つの枝部11a31,11a32を合わせた部分
はV字形状をなしている。
【0103】また、上部磁極層11のヨーク部分層11
cは、エアベアリング面30側から順に配置された第1
の部分11c4および第2の部分11c5を有している。
第2の部分11c5の幅は、第1の実施の形態における
ヨーク部分層11cの第3の部分11c3と同程度の一
定の幅になっている。第1の部分11c4の幅は、エア
ベアリング面30に近づくに従って第2の部分11c5
の幅から徐々に小さくなっている。第1の部分11c4
の幅が変化する部分における幅方向の端縁は、エアベア
リング面30に直交する方向に対して30°〜60°を
なすのが好ましい。
【0104】磁極部分層11aの接触部11a3とヨー
ク部分層11cの第1の部分11c4とが重なる部分で
は、両者の幅はほぼ等しくなっている。また、上部磁極
層11のヨーク部分層11cのエアベアリング面30側
の端面は、スロートハイトゼロ位置またはMRハイトゼ
ロ位置の近傍に配置されている。
【0105】本実施の形態では、ヨーク部分層11cの
第1の部分11c4の幅を、エアベアリング面30に近
づくに従って徐々に小さくなるようにすると共に、磁極
部分層11aの接触部11a3の形状を、エアベアリン
グ面30に近づくに従って2つの枝部11a31,11a
32の間隔が徐々に小さくなるようにしたので、上部磁極
層11において磁路の断面積が急激に減少することがな
く、磁路の途中での磁束の飽和を防止することができ
る。
【0106】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0107】[第3の実施の形態]次に、図11を参照
して、本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド
およびその製造方法について説明する。図11は、本実
施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面図(図11におい
て上側に配置された図)と主要部分についての平面図
(図11において下側に配置された図)とを対応付けて
示す説明図である。
【0108】本実施の形態では、上部磁極層11の磁極
部分層11aにおける2つの枝部11a31,11a32
平面形状は四角形をなしている。また、連結部11a2
の平面形状は、幅方向に長い四角形をなしている。
【0109】また、上部磁極層11のヨーク部分層11
cは、第1の実施の形態と同様の第1の部分11c1
第2の部分11c2および第3の部分11c3を有してい
る。
【0110】磁極部分層11aの接触部11a3とヨー
ク部分層11cの第1の部分11c1とが重なる部分で
は、両者の幅はほぼ等しくなっている。また、上部磁極
層11のヨーク部分層11cのエアベアリング面30側
の端面は、スロートハイトゼロ位置またはMRハイトゼ
ロ位置の近傍に配置されている。
【0111】本実施の形態では、上部磁極層11の磁極
部分層11aにおける2つの枝部11a31,11a32
平面形状を四角形としたので、第1または第2の実施の
形態に比べて、磁極部分層11aの接触部11a3とヨ
ーク部分層11cの第1の部分11c1との接触面積を
大きくすることができ、その結果、両者の接触部分にお
ける磁束の飽和をより確実に防止することが可能にな
る。
【0112】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0113】[第4の実施の形態]次に、図12および
図13を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る薄
膜磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。図
12において、(a)は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドのエアベアリング面に垂直な断面を示し、(b)は
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの磁極部分のエアベ
アリング面に平行な断面を示している。図13は、本実
施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面図(図13におい
て上側に配置された図)と主要部分についての平面図
(図13において下側に配置された図)とを対応付けて
示す説明図である。
【0114】本実施の形態では、上部磁極層11のヨー
ク部分層11cは、第2の実施の形態と同様の第1の部
分11c4および第2の部分11c5を有している。
【0115】上部磁極層11の磁極部分層11aにおけ
る2つの枝部11a31,11a32の幅方向外側の端縁
は、エアベアリング面30側から見ると、幅方向外側に
広がるように延びている。枝部11a31,11a32の幅
方向内側の端縁は、エアベアリング面30に対して直交
するように延びている。
【0116】磁極部分層11aの接触部11a3とヨー
ク部分層11cの第1の部分11c4とが重なる部分で
は、両者の幅はほぼ等しくなっている。また、上部磁極
層11のヨーク部分層11cのエアベアリング面30側
の端面は、スロートハイトゼロ位置またはMRハイトゼ
ロ位置の近傍に配置されている。
【0117】また、本実施の形態では、図13に示した
ように、絶縁層9を、磁極部分層11aの2つの枝部1
1a31,11a32とヨーク部分層11cの第1の部分1
1c 4とが重なる2つの領域に分けて配置している。本
実施の形態では、下部磁極層8は一つの層で形成され、
下部磁極層8の上面の所定の領域に凹部が形成され、こ
の凹部に絶縁層9が埋め込まれている。なお、図12
(a)および図13における断面図は、切断線が絶縁層
9を通過するようにして表した図となっている。
【0118】なお、上述のような絶縁層9を形成する代
りに、例えば、磁極部分層11aの2つの枝部11
31,11a32とヨーク部分層11cの第1の部分11
4とが重なる2つの領域において、記録ギャップ層1
0の上に、フォトレジストのような有機絶縁材料よりな
る絶縁層を形成し、その上に磁極部分層11aを形成す
るようにしてもよい。
【0119】本実施の形態では、第1ないし第3の実施
の形態に比べて、磁極部分層11aのスロートハイト規
定端部11a4の長さを大きくしている。そのため、フ
ォトリソグラフィによって、スロートハイト規定端部1
1a4を正確に形成することが可能になると共に、連結
部11a2の形状も正確に制御することが可能になる。
従って、本実施の形態によれば、スロートハイトをより
正確に規定することができる。また、本実施の形態によ
れば、連結部11a2の長さや幅の設計により、連結部
11a2における磁束の流れを制御することが可能にな
る。そして、このように磁束の流れを制御することによ
り、エアベアリング面30において過度の磁束が発生す
ることによって生じる、いわゆる書きにじみ(記録媒体
におけるデータ記録領域が大きくなること)やサイドラ
イトやサイドイレーズを防止することが可能になると共
に、高周波帯域で生じる書きにじみを防止することが可
能になる。
【0120】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0121】[第5の実施の形態]次に、図14および
図15を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る薄
膜磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。図
14において、(a)は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドのエアベアリング面に垂直な断面を示し、(b)は
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの磁極部分のエアベ
アリング面に平行な断面を示している。図15は、本実
施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面図(図15におい
て上側に配置された図)と主要部分についての平面図
(図15において下側に配置された図)とを対応付けて
示す説明図である。
【0122】本実施の形態では、上部磁極層11のヨー
ク部分層11cは、第2の実施の形態と同様の第1の部
分11c4および第2の部分11c5を有している。
【0123】上部磁極層11の磁極部分層11aにおけ
る2つの枝部11a31,11a32は、エアベアリング面
30から離れるに従って互いの間隔が広がるような形状
になっている。また、連結部11a2と2つの枝部11
31,11a32を合わせた部分はV字形状をなしてい
る。また、本実施の形態では、各枝部11a31,11a
32の幅は、それぞれ、エアベアリング面30に近づくに
従って徐々に小さくなっている。
【0124】磁極部分層11aの接触部11a3とヨー
ク部分層11cの第1の部分11c4とが重なる部分で
は、両者の幅はほぼ等しくなっている。また、上部磁極
層11のヨーク部分層11cのエアベアリング面30側
の端面は、スロートハイトゼロ位置またはMRハイトゼ
ロ位置の近傍に配置されている。
【0125】また、本実施の形態では、図15に示した
ように、絶縁層9を、磁極部分層11aの連結部11a
2および接触部11a3に対応する領域に配置している。
本実施の形態では、第4の実施の形態と同様に、下部磁
極層8の上面の所定の領域に凹部が形成され、この凹部
に絶縁層9が埋め込まれている。
【0126】また、本実施の形態では、絶縁膜12が設
けられておらず、記録ギャップ層10の上に薄膜コイル
13の第1層部分13aが形成されている。
【0127】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0128】[第6の実施の形態]次に、図16を参照
して、本発明の第6の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド
およびその製造方法について説明する。図16は、本実
施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの主要部分についての平
面図である。
【0129】本実施の形態では、上部磁極層11のヨー
ク部分層11cは、第1の実施の形態と同様に、エアベ
アリング面30側から順に配置された第1の部分11c
1、第2の部分11c2および第3の部分11c3を有し
ている。本実施の形態では、第1の部分11c1は、磁
極部分層11aにおける枝部11a31に対応する位置に
配置された枝部11c11と、磁極部分層11aにおける
枝部11a32に対応する位置に配置された枝部11c12
とに分割されている。
【0130】本実施の形態によれば、ヨーク部分層11
cの第1の部分11c1(枝部11c11,11c12
が、磁極部分層11aの接触部11a3(枝部11
31,11a32)と対応する形状になっているので、両
者の接触部分における磁束の飽和をより確実に防止する
ことが可能になる。
【0131】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0132】[第7の実施の形態]次に、図17ないし
図19を参照して、本発明の第7の実施の形態に係る薄
膜磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。本
実施の形態は、上部磁極層11の磁極部分層11aの形
成方法を工夫した例である。図17ないし図19は、本
実施の形態における磁極部分層の形成手順を示す平面図
である。
【0133】本実施の形態における磁極部分層11aの
形成方法では、まず、図示しない記録ギャップ層の上
に、図17に示したように、磁極部分層11aのトラッ
ク部11a1と連結部11a2となる磁性層21を形成す
る。この磁性層21は、T字形状をなしている。なお、
磁極部分層11aの接触部11a3を形成する領域で
は、記録ギャップ層の下または上に絶縁層9が形成され
ている。
【0134】次に、図18に示したように、接触部11
3を形成する領域に、接触部11a3となる磁性層22
を形成する。この磁性層22は、磁性層21に接するか
一部重なるように形成される。次に、トラック部11a
1をマスクとして、記録ギャップ層と下部磁極層をエッ
チングしてトリム構造とする。次に、薄膜コイルの第1
層部分13aを形成する領域に絶縁膜を形成し、この絶
縁膜の上に薄膜コイルの第1層部分13aを形成する。
【0135】次に、図19に示したように、全体に例え
ばアルミナよりなる絶縁層を形成し、例えばCMPによ
って、トラック部11a1と連結部11a2が露出するま
で研磨して、表面を平坦化処理する。これにより、磁極
部分層11aが完成する。
【0136】このような磁極部分層11aの形成方法に
よれば、トラック部11a1と連結部11a2となる磁性
層21を正確に形成することができる。従って、スロー
トハイト規定端部11a4を正確に形成することがで
き、スロートハイトを正確に規定することができる。
【0137】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0138】[第8の実施の形態]次に、図20ないし
図22を参照して、本発明の第8の実施の形態に係る薄
膜磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。本
実施の形態は、第7の実施の形態と同様に、上部磁極層
11の磁極部分層11aの形成方法を工夫した例であ
る。図20ないし図22は、本実施の形態における磁極
部分層の形成手順を示す平面図である。
【0139】本実施の形態における磁極部分層11aの
形成方法では、まず、図示しない記録ギャップ層の上
に、図20に示したように、磁極部分層11aのトラッ
ク部11a1と連結部11a2となる磁性層21を形成す
る。本実施の形態では、磁性層21は、接触部11a3
の枝部11a31,11a32の一部となる部分も有し、全
体としてY字に近い形状をなしている。また、磁極部分
層11aの接触部11a 3を形成する領域では、記録ギ
ャップ層の下または上に絶縁層9が形成されている。
【0140】次に、図21に示したように、接触部11
3の枝部11a31,11a32を形成する領域に、枝部
11a31,11a32となる磁性層22,22を形成す
る。この磁性層22は、磁性層21に一部重なるように
形成される。次に、トラック部11a1をマスクとし
て、記録ギャップ層と下部磁極層をエッチングしてトリ
ム構造とする。次に、薄膜コイルの第1層部分13aを
形成する領域に絶縁膜を形成し、この絶縁膜の上に薄膜
コイルの第1層部分13aを形成する。
【0141】次に、図22に示したように、全体に例え
ばアルミナよりなる絶縁層を形成し、例えばCMPによ
って、トラック部11a1と連結部11a2が露出するま
で研磨して、表面を平坦化処理する。これにより、磁極
部分層11aが完成する。
【0142】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第7の実施の形態と同様である。
【0143】[第9の実施の形態]次に、図23ないし
図29を参照して、本発明の第9の実施の形態に係る薄
膜磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。な
お、図23ないし図28において、(a)はエアベアリ
ング面に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエアベ
アリング面に平行な断面を示している。
【0144】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、薄
膜コイルが、上部磁極層を中心にして螺旋状に2重に巻
回されたものである。本実施の形態では、この薄膜コイ
ルのうち、外側の部分を第1の部分といい、内側の部分
を第2の部分という。なお、薄膜コイルの第1の部分と
第2の部分は、いずれも、例えば銅によって形成され
る。
【0145】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、上部シールドギャップ膜7を形成する工程ま
では、第1の実施の形態と同様である。
【0146】次に、図23に示したように、上部シール
ドギャップ膜7の上に下部磁極層8を約3μmの厚みで
選択的に形成する。
【0147】下部磁極層8は、NiFe(Ni:80重
量%,Fe:20重量%)や、高飽和磁束密度材料であ
るNiFe(Ni:45重量%,Fe:55重量%)等
を用い、めっき法によって所定のパターンに形成しても
よいし、高飽和磁束密度材料であるFeN,FeZrN
等の材料を用い、スパッタ後、イオンミリング等によっ
て選択的にエッチングして所定のパターンに形成しても
よい。この他にも、高飽和磁束密度材料であるCoF
e,Co系アモルファス材等を用いてもよい。
【0148】次に、図示しないが、全体に、例えばアル
ミナよりなる絶縁層を、例えば4〜5μmの厚みに形成
し、例えばCMPによって、下部磁極層8が露出するま
で研磨して、表面を平坦化処理する。
【0149】次に、図24に示したように、下部磁極層
8の上に、絶縁材料よりなる記録ギャップ層10を、例
えば0.15〜0.3μmの厚みに形成する。次に、磁
路形成のために、記録ギャップ層10を部分的にエッチ
ングしてコンタクトホールを形成する。
【0150】次に、記録ギャップ層10の上に、上部磁
極層31の磁極部分を形成する磁極部分層31aを例え
ば2〜4μmの厚みに形成すると共に、上記のコンタク
トホールの位置に、磁性層31bを2〜4μmの厚みに
形成する。なお、本実施の形態における上部磁極層31
は、磁極部分層31a、磁性層31bと、後述する中間
層31c、磁性層31dおよびヨーク部分層31eとで
構成される。磁性層31b,31dは、ヨーク部分層3
1eと下部磁極層8とを接続するための部分である。
【0151】次に、図25に示したように、上部磁極層
31の磁極部分層31aをマスクとして、ドライエッチ
ングにより、記録ギャップ層10を選択的にエッチング
する。次に、例えばアルゴンイオンミリングによって、
下部磁極層8を選択的に例えば0.2〜0.5μmの深
さだけエッチングして、図25(b)に示したようなト
リム構造とする。
【0152】次に、全体に、例えばアルミナよりなる絶
縁膜32を、約0.3〜0.6μmの厚みに形成する。
【0153】次に、上部磁極層31の磁極部分層31a
と磁性層31bとの間の位置における絶縁膜32の上
に、フレームめっき法によって、薄膜コイルの第1の部
分の第1層部分41aを、例えば1〜2μmの厚みに形
成する。なお、薄膜コイルの第1の部分は、第1層部分
41aと、後述する第2層部分41bおよび図示しない
連結部とで構成される。第1層部分41aは、上部磁極
層31の磁極部分層31aの側方(図25(a)におけ
る右側)に配置される。また、第1層部分31aは、図
25(a)における紙面に交差する方向に延びる複数の
四角柱状の部分からなる。
【0154】次に、図26に示したように、全体に、例
えばアルミナよりなる絶縁層33を、約3〜4μmの厚
みに形成する。次に、例えばCMPによって、上部磁極
層31の磁極部分層31aと磁性層31bが露出するま
で、絶縁層33を研磨して、表面を平坦化処理する。こ
こで、図26(a)では、薄膜コイルの第1の部分の第
1層部分41aは露出していないが、第1層部分41a
が露出するようにしてもよい。
【0155】次に、図27に示したように、上部磁極層
31の磁極部分層31aの上から絶縁層33の上にかけ
て、上部磁極層31の中間層31cを例えば3〜4μm
の厚みに形成すると共に、磁性層31bの上に磁性層3
1dを3〜4μmの厚みに形成する。中間層31cのエ
アベアリング面30側の端面は、エアベアリング面30
から離れた位置(図27(a)において右側の位置)に
配置されている。
【0156】上部磁極層31の磁極部分層31a、磁性
層31b、中間層31cおよび磁性層31dは、NiF
e(Ni:80重量%,Fe:20重量%)や、高飽和
磁束密度材料であるNiFe(Ni:45重量%,F
e:55重量%)等を用い、めっき法によって形成して
もよいし、高飽和磁束密度材料であるFeN,FeZr
N等の材料を用い、スパッタによって形成してもよい。
この他にも、高飽和磁束密度材料であるCoFe,Co
系アモルファス材等を用いてもよい。
【0157】次に、全体に、例えばアルミナよりなる絶
縁膜34を、約0.3〜0.6μmの厚みに形成する。
【0158】次に、上部磁極層31の中間層31cと磁
性層31dとの間の位置における絶縁膜34の上に、フ
レームめっき法によって、薄膜コイルの第2の部分の第
1層部分42aを、例えば1〜2μmの厚みに形成す
る。なお、薄膜コイルの第2の部分は、第1層部分42
aと、後述する第2層部分42bおよび図示しない連結
部とで構成される。第1層部分42aは、上部磁極層3
1の中間層31cの側方(図27(a)における右側)
に配置される。また、第1層部分42aは、図27
(a)における紙面に交差する方向に延びる複数の四角
柱状の部分からなる。
【0159】次に、図28に示したように、全体に、例
えばアルミナよりなる絶縁層35を、約3〜4μmの厚
みに形成する。次に、例えばCMPによって、上部磁極
層31の中間層31cと磁性層31dが露出するまで、
絶縁層35を研磨して、表面を平坦化処理する。
【0160】次に、平坦化された上部磁極層31の中間
層31cと磁性層31dと、絶縁層35の上に、上部磁
極層31のヨーク部分を形成するヨーク部分層31e
を、例えば3〜4μmの厚みに形成する。このヨーク部
分層31eは、磁性層31d,31bを介して、下部磁
極層8と接触し、磁気的に連結している。ヨーク部分層
31eは、NiFe(Ni:80重量%,Fe:20重
量%)や、高飽和磁束密度材料であるNiFe(Ni:
45重量%,Fe:55重量%)等を用い、めっき法に
よって形成してもよいし、高飽和磁束密度材料であるF
eN,FeZrN等の材料を用い、スパッタによって形
成してもよい。この他にも、高飽和磁束密度材料である
CoFe,Co系アモルファス材等を用いてもよい。ま
た、高周波特性の改善のため、ヨーク部分層31eを、
無機系の絶縁膜とパーマロイ等の磁性層とを何層にも重
ね合わせた構造としてもよい。
【0161】上部磁極層31のヨーク部分層31eのエ
アベアリング面30側の端面は、エアベアリング面30
から離れた位置(図28(a)において右側の位置)に
配置されている。
【0162】次に、全体に、例えばアルミナよりなる絶
縁層36を、約3〜4μmの厚みに形成する。次に、例
えばCMPによって、上部磁極層31のヨーク部分層3
1eが露出するまで、絶縁層36を研磨して、表面を平
坦化処理する。次に、全体に、例えばアルミナよりなる
絶縁膜37を、約0.3〜0.5μmの厚みに形成す
る。
【0163】次に、図示しないが、薄膜コイルの第2の
部分の第1層部分42aの各四角柱部分における両端部
の上側の部分において、例えば反応性イオンエッチング
やイオンミリングによって、絶縁膜37および絶縁層3
5を貫通して薄膜コイルの第2の部分の第1層部分42
aに達するようなコンタクトホールを形成する。
【0164】次に、上部磁極層31のヨーク部分層31
eの上に位置する絶縁膜37の上に、フレームめっき法
によって、薄膜コイルの第2の部分の第2層部分42b
を、例えば1〜2μmの厚みに形成する。薄膜コイルの
第2の部分の第2層部分42bは、図28(a)におけ
る紙面に直交する方向に延びる複数の四角柱状の部分か
らなる。この薄膜コイルの第2の部分の第2層部分42
bの各四角柱部分における両端部は、上記のコンタクト
ホールに薄膜コイルの材料が充填されて形成される連結
部を介して、薄膜コイルの第2の部分の第1層部分42
aの各四角柱部分における両端部に接続される。
【0165】次に、全体に、例えばアルミナよりなる絶
縁層38を、約3〜4μmの厚みに形成し、その表面を
平坦化する。
【0166】次に、図示しないが、薄膜コイルの第1の
部分の第1層部分41aの各四角柱部分における両端部
の上側の部分において、例えば反応性イオンエッチング
やイオンミリングによって絶縁層38、絶縁膜37およ
び絶縁層33を貫通して薄膜コイルの第1の部分の第1
層部分41aに達するようなコンタクトホールを形成す
る。
【0167】次に、絶縁層38の上に、フレームめっき
法によって、薄膜コイルの第1の部分の第2層部分42
bを、例えば1〜2μmの厚みに形成する。薄膜コイル
の第1の部分の第2層部分42bは、図28(a)にお
ける紙面に直交する方向に延びる複数の四角柱状の部分
からなる。この薄膜コイルの第1の部分の第2層部分4
2bの各四角柱部分における両端部は、上記のコンタク
トホールに薄膜コイルの材料が充填されて形成される連
結部を介して、薄膜コイルの第1の部分の第1層部分4
1aの各四角柱部分における両端部に接続される。
【0168】次に、全体に、例えばアルミナよりなるオ
ーバーコート層39を、例えば20〜40μmの厚みに
形成し、その表面を平坦化して、その上に、図示しない
電極用パッドを形成する。最後に、スライダの研磨加工
を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリン
グ面30を形成して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドが完成する。
【0169】本実施の形態では、磁極部分層31a、磁
性層31b、中間層31c、磁性層31dおよびヨーク
部分層31eよりなる上部磁極層が、本発明における第
2の磁性層に対応する。
【0170】図29は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの断面図(図29において上側に配置された図)と
主要部分についての平面図(図29において下側に配置
された図)とを対応付けて示す説明図である。
【0171】本実施の形態では、薄膜コイルの第1の部
分の第1層部分41aと第2層部分41bは、図29に
示した連結部41cを介してジグザク形に連結されてい
る。これにより、薄膜コイルの第1の部分は、上部磁極
層31のヨーク部分層31eを中心にして螺旋状に巻回
される。同様に、薄膜コイルの第2の部分の第1層部分
42aと第2層部分42bは、図示しない連結部を介し
てジグザク形に連結されている。これにより、薄膜コイ
ルの第2の部分も、上部磁極層31のヨーク部分層31
eを中心にして螺旋状に巻回される。
【0172】また、薄膜コイルの第1の部分の第2層部
分41bと第2の部分の第1層部分42aは、図29に
示した連結部43によって連結される。連結部43は、
絶縁層38、絶縁膜37および絶縁層35を貫通して薄
膜コイルの第2の部分の第1層部分42aに達するよう
なコンタクトホールに、薄膜コイルの材料が充填されて
形成される。
【0173】なお、薄膜コイルの第1の部分と第2の部
分は、同じ方向の電流に対して同じ方向の磁界を発生さ
せるように巻回されている。
【0174】図28および図29に示したように、薄膜
コイルの第1の部分の第1層部分41aは、上部磁極層
31の磁極部分層31aの側方に配置される。薄膜コイ
ルの第2の部分の第1層部分42aは、上部磁極層31
の中間層31cの側方に配置される。
【0175】図29に示したように、上部磁極層31の
磁極部分層31aは、記録トラック幅を規定するトラッ
ク部31a1と、中間層31cと接触する接触部11a3
と、トラック部31a1と接触部31a3とを連結する連
結部31a2とを有している。接触部31a3は、連結部
31a2より分岐された2つの枝部31a31,31a 32
を含んでいる。2つの枝部31a31,31a32の間の位
置における連結部31a2のエアベアリング面30とは
反対側の端部が、スロートハイト規定端部31a4とな
っている。
【0176】上部磁極層31の中間層31cの平面形状
は、接触部31a3の全体の幅とほぼ等しい一定の幅を
有する四角形をなしている。中間層31cは、接触部3
1a 3の上に配置され、接触部31a3に接触している。
【0177】上部磁極層31のヨーク部分層31eは、
エアベアリング面30側から順に配置された第1の部分
31e1、第2の部分31e2および第3の部分31e3
を有している。第1の部分31e1の幅は、中間層31
cの幅とほぼ等しい一定の幅になっている。第3の部分
31e3の幅は第1の部分31e1の幅よりも大きい一定
の幅になっている。第2の部分31e2の幅は、エアベ
アリング面30に近づくに従って、第3の部分31e3
の幅から第1の部分31e1の幅へ徐々に小さくなって
いる。第2の部分31e2の幅が変化する部分における
幅方向の端縁は、エアベアリング面30に直交する方向
に対して30°〜60°をなすのが好ましい。
【0178】ヨーク部分層31eの第1の部分31e1
は、中間層31cの上に配置され、中間層31cに接触
している。磁極部分層31aの接触部31a3は、中間
層31cを介して、間接的にヨーク部分層31eに接触
している。
【0179】本実施の形態によれば、上部磁極層31を
中心にして2重に巻回された薄膜コイルを設けたので、
第1の実施の形態に比べて、薄膜コイルの起磁力を大き
くすることができ、NLTSやオーバーライト特性をよ
り向上させることができる。
【0180】また、本実施の形態によれば、薄膜コイル
の第1の部分の第1層部分41aを上部磁極層31の磁
極部分層31aの側方に配置し、この第1層部分41a
を覆う絶縁層33の上面(中間層31c側の面)を平坦
化したので、上部磁極層31の中間層31cおよび薄膜
コイルの第2の部分の第1層部分42aを、平坦な面の
上に精度よく形成することができる。
【0181】また、本実施の形態によれば、薄膜コイル
の第2の部分の第1層部分42aを上部磁極層31の中
間層31cの側方に配置し、この第1層部分42aを覆
う絶縁層35の上面(ヨーク部分層31e側の面)を平
坦化したので、上部磁極層31のヨーク部分層31eを
平坦な面の上に精度よく形成することができる。
【0182】また、本実施の形態によれば、上部磁極層
31の中間層31cおよびヨーク部分層31eのエアベ
アリング面30側の端面をエアベアリング面30から離
れた位置に配置したので、サイドライトやサイドイレー
ズの発生を防止することができる。
【0183】また、本実施の形態では、上部磁極層31
の磁極部分層31aは、トラック部31a1と連結部3
1a2と接触部31a3とを有し、接触部31a3は2つ
の枝部31a31,31a32を含み、これらの枝部31a
31,31a32の間の位置における連結部31a2のエア
ベアリング面30とは反対側の端部31a4によってス
ロートハイトが規定されるようにしている。
【0184】そのため本実施の形態によれば、スロート
ハイトゼロ位置よりもエアベアリング面30から離れた
位置においても、接触部31a3によって、磁極部分層
31aと中間層31cとを、十分な接触面積を確保しな
がら接触させることができる。従って、本実施の形態に
よれば、中間層31cおよびヨーク部分層31eのエア
ベアリング面30側の端面をエアベアリング面30から
離れた位置に配置してサイドライトやサイドイレーズの
発生を防止しながら、上部磁極層31において磁路の断
面積が急激に減少することを防止して、磁路の途中での
磁束の飽和を防止することができる。しかも、本実施の
形態では、枝部31a31,31a32の間の位置における
連結部31a2のエアベアリング面30とは反対側の端
部31a4によってスロートハイトが規定されるので、
接触部31a3の存在によってスロートハイトが大きく
なることがない。
【0185】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0186】[第10の実施の形態]次に、図30を参
照して、本発明の第10の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドおよびその製造方法について説明する。図30は、
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドのエアベアリング面
に垂直な断面を示す断面図である。
【0187】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、第
9の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドにおける下部磁極
層8を、上部シールド層8Aと下部磁極層8Bとに分
け、両者の間に、例えばアルミナよりなり、例えば0.
1〜0.2μmの厚みの絶縁層50を設けたものであ
る。本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法で
は、上部シールドギャップ膜7の上に、磁性材料からな
る上部シールド層8Aを形成し、その上に絶縁層50を
形成し、その上に磁性材料からなる下部磁極層8Bを形
成する。
【0188】本実施の形態によれば、再生ヘッドの上部
シールド層8Aと記録ヘッドの下部磁極層8Bとが、絶
縁層50によって分離されているので、記録ヘッドにお
ける残留磁気が再生ヘッドのMR素子5に対するノイズ
となって再生ヘッドに悪影響を与えることを防止でき、
再生ヘッドの特性を向上させることができる。この効果
は、特に、MR素子5として高出力のGMR素子を用い
る場合に顕著になる。
【0189】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第9の実施の形態と同様である。
【0190】[第11の実施の形態]次に、図31を参
照して、本発明の第11の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドおよびその製造方法について説明する。図31は、
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面図(図31に
おいて上側に配置された図)と主要部分についての平面
図(図31において下側に配置された図)とを対応付け
て示す説明図である。
【0191】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、第
9の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドにおける下部磁極
層8の上面の所定の領域に凹部が形成され、この凹部に
磁束阻止層としての絶縁層9が埋め込まれたものであ
る。絶縁層9は、上部磁極層31の磁極部分層31aの
接触部31a3と下部磁極層8の間に配置され、両者の
間における、磁極層8,31を経由しない磁束の通過を
阻止する。
【0192】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第9の実施の形態と同様である。
【0193】[第12の実施の形態]次に、図32ない
し図39を参照して、本発明の第12の実施の形態に係
る薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法について説明す
る。なお、図32ないし図39において、(a)はエア
ベアリング面に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分の
エアベアリング面に平行な断面を示している。
【0194】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、薄
膜コイルが、上部磁極層を中心にして螺旋状に2重に巻
回されたものである。本実施の形態では、この薄膜コイ
ルのうち、外側の部分を第1の部分といい、内側の部分
を第2の部分という。なお、薄膜コイルの第1の部分と
第2の部分は、いずれも、例えば銅によって形成され
る。
【0195】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、上部シールドギャップ膜7を形成する工程ま
では、第1の実施の形態と同様である。
【0196】次に、図32に示したように、上部シール
ドギャップ膜7の上に、磁性材料からなり、再生ヘッド
と記録ヘッドの双方に用いられる上部シールド層兼下部
磁極層(以下、下部磁極層と記す。)58のヨーク部分
層58aを、約1〜2μmの厚みで、選択的に形成す
る。なお、下部磁極層58は、このヨーク部分層58a
と、後述する磁極部分層58bおよび磁性層58cとで
構成される。下部磁極層58のヨーク部分層58aは、
後述する薄膜コイルの少なくとも一部に対向する位置に
配置される。
【0197】次に、図33に示したように、下部磁極層
58のヨーク部分層58aの上に、下部磁極層58の磁
極部分層58bおよび磁性層58cを、約1.5〜2.
5μmの厚みに形成する。磁極部分層58bは、下部磁
極層58の磁極部分を形成し、ヨーク部分層58aの薄
膜コイルが形成される側(図において上側)の面に接続
される。磁性層58cは、ヨーク部分層58aと後述す
る上部磁極層とを接続するための部分である。
【0198】下部磁極層58の磁極部分層58bおよび
磁性層58cは、NiFe(Ni:80重量%,Fe:
20重量%)や、高飽和磁束密度材料であるNiFe
(Ni:45重量%,Fe:55重量%)等を用い、め
っき法によって所定のパターンに形成してもよいし、高
飽和磁束密度材料であるFeN,FeZrN等の材料を
用い、スパッタ後、イオンミリング等によって選択的に
エッチングして所定のパターンに形成してもよい。この
他にも、高飽和磁束密度材料であるCoFe,Co系ア
モルファス材等を用いてもよい。
【0199】次に、図34に示したように、全体に、例
えばアルミナよりなる絶縁膜59を、約0.3〜0.6
μmの厚みに形成する。
【0200】次に、下部磁極層58の磁極部分層58b
と磁性層58cとの間の位置における絶縁膜59の上
に、フレームめっき法によって、薄膜コイルの第1の部
分の第1層部分71aを、例えば1〜2μmの厚みに形
成する。なお、薄膜コイルの第1の部分は、第1層部分
71aと、後述する第2層部分71bおよび図示しない
連結部とで構成される。第1層部分71aは、下部磁極
層58の磁極部分層58bの側方(図34(a)におけ
る右側)に配置される。また、第1層部分71aは、図
34(a)における紙面に交差する方向に延びる複数の
四角柱状の部分からなる。
【0201】次に、図35に示したように、全体に、例
えばアルミナよりなる絶縁層60を、約3〜4μmの厚
みに形成する。次に、例えばCMPによって、下部磁極
層58の磁極部分層58bと磁性層58cが露出するま
で、絶縁層60を研磨して、表面を平坦化処理する。こ
こで、図35(a)では、薄膜コイルの第1の部分の第
1層部分71aは露出していないが、第1層部分71a
が露出するようにしてもよい。
【0202】次に、図36に示したように、下部磁極層
58の磁極部分層58bと磁性層58c、および絶縁層
60の上に、記録ギャップ層10を例えば0.15〜
0.3μmの厚みに形成する。次に、磁路形成のため
に、下部磁極層58の磁性層58cの上において、記録
ギャップ層10を部分的にエッチングしてコンタクトホ
ールを形成する。
【0203】次に、記録ギャップ層10の上に、上部磁
極層11の磁極部分層11aを例えば2〜4μmの厚み
に形成すると共に、下部磁極層58の磁性層58cの上
に形成されたコンタクトホールの位置に、磁性層11b
を2〜4μmの厚みに形成する。
【0204】次に、上部磁極層11の磁極部分層11a
をマスクとして、ドライエッチングにより、記録ギャッ
プ層10を選択的にエッチングする。次に、例えばアル
ゴンイオンミリングによって、下部磁極層58の磁極部
分層58bを選択的に例えば0.2〜0.5μmの深さ
だけエッチングして、図36(b)に示したようなトリ
ム構造とする。
【0205】次に、全体に、例えばアルミナよりなる絶
縁膜62を、約0.3〜0.6μmの厚みに形成する。
【0206】次に、上部磁極層11の磁極部分層11a
と磁性層11bとの間の位置における絶縁膜62の上
に、フレームめっき法によって、薄膜コイルの第2の部
分の第1層部分72aを、例えば1〜2μmの厚みに形
成する。なお、薄膜コイルの第2の部分は、第1層部分
72aと、後述する第2層部分72bおよび図示しない
連結部とで構成される。第1層部分72aは、上部磁極
層11の磁極部分層11aの側方(図36(a)におけ
る右側)に配置される。また、第1層部分72aは、図
36(a)における紙面に交差する方向に延びる複数の
四角柱状の部分からなる。
【0207】次に、図37に示したように、全体に、例
えばアルミナよりなる絶縁層63を、約3〜4μmの厚
みに形成する。次に、例えばCMPによって、上部磁極
層11の磁極部分層11aと磁性層11bが露出するま
で、絶縁層63を研磨して、表面を平坦化処理する。
【0208】次に、図38に示したように、平坦化され
た上部磁極層11の磁極部分層11aおよび磁性層11
bと、絶縁層63の上に、上部磁極層11のヨーク部分
層11cを、例えば2〜3μmの厚みに形成する。この
ヨーク部分層11cは、磁性層11bを介して、下部磁
極層58の磁性層58cと接触し、磁気的に連結してい
る。また、ヨーク部分層11cのエアベアリング面30
側の端面は、エアベアリング面30から離れた位置(図
38(a)において右側の位置)に配置されている。
【0209】次に、全体に、例えばアルミナよりなる絶
縁層64を、約3〜4μmの厚みに形成する。次に、例
えばCMPによって、上部磁極層11のヨーク部分層1
1cが露出するまで、絶縁層64を研磨して、表面を平
坦化処理する。
【0210】次に、図39に示したように、全体に、例
えばアルミナよりなる絶縁膜65を、約0.3〜0.5
μmの厚みに形成する。
【0211】次に、図示しないが、薄膜コイルの第2の
部分の第1層部分72aの各四角柱部分における両端部
の上側の部分において、例えば反応性イオンエッチング
やイオンミリングによって、絶縁膜65および絶縁層6
3を貫通して薄膜コイルの第2の部分の第1層部分72
aに達するようなコンタクトホールを形成する。
【0212】次に、上部磁極層11のヨーク部分層11
cの上に位置する絶縁膜65の上に、フレームめっき法
によって、薄膜コイルの第2の部分の第2層部分72b
を、例えば1〜2μmの厚みに形成する。薄膜コイルの
第2の部分の第2層部分72bは、図39(a)におけ
る紙面に直交する方向に延びる複数の四角柱状の部分か
らなる。この薄膜コイルの第2の部分の第2層部分72
bの各四角柱部分における両端部は、上記のコンタクト
ホールに薄膜コイルの材料が充填されて形成される連結
部を介して、薄膜コイルの第2の部分の第1層部分72
aの各四角柱部分における両端部に接続される。
【0213】次に、全体に、例えばアルミナよりなる絶
縁層66を、約3〜4μmの厚みに形成し、その表面を
平坦化する。
【0214】次に、図示しないが、薄膜コイルの第1の
部分の第1層部分71aの各四角柱部分における両端部
の上側の部分において、例えば反応性イオンエッチング
やイオンミリングによって絶縁層66、絶縁膜65、記
録ギャップ層10および絶縁層60を貫通して薄膜コイ
ルの第1の部分の第1層部分71aに達するようなコン
タクトホールを形成する。
【0215】次に、絶縁層66の上に、フレームめっき
法によって、薄膜コイルの第1の部分の第2層部分72
bを、例えば1〜2μmの厚みに形成する。薄膜コイル
の第1の部分の第2層部分72bは、図39(a)にお
ける紙面に直交する方向に延びる複数の四角柱状の部分
からなる。この薄膜コイルの第1の部分の第2層部分7
2bの各四角柱部分における両端部は、上記のコンタク
トホールに薄膜コイルの材料が充填されて形成される連
結部を介して、薄膜コイルの第1の部分の第1層部分7
1aの各四角柱部分における両端部に接続される。
【0216】次に、全体に、例えばアルミナよりなるオ
ーバーコート層67を、例えば20〜40μmの厚みに
形成し、その表面を平坦化して、その上に、図示しない
電極用パッドを形成する。最後に、スライダの研磨加工
を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリン
グ面30を形成して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドが完成する。
【0217】本実施の形態では、ヨーク部分層58a、
磁極部分層58bおよび磁性層58cよりなる下部磁極
層が、本発明における第1の磁性層に対応する。
【0218】本実施の形態では、第9の実施の形態と同
様に、薄膜コイルの第1の部分の第1層部分71aと第
2層部分71bは、図示しない連結部を介してジグザク
形に連結されている。これにより、薄膜コイルの第1の
部分は、上部磁極層11のヨーク部分層11cを中心に
して螺旋状に巻回される。同様に、薄膜コイルの第2の
部分の第1層部分72aと第2層部分72bは、図示し
ない連結部を介してジグザク形に連結されている。これ
により、薄膜コイルの第2の部分も、上部磁極層11の
ヨーク部分層11cを中心にして螺旋状に巻回される。
【0219】また、第9の実施の形態と同様に、薄膜コ
イルの第1の部分の第2層部分71bと第2の部分の第
1層部分72aは、図示しない連結部によって連結され
る。この連結部は、絶縁層66、絶縁膜65および絶縁
層63を貫通して薄膜コイルの第2の部分の第1層部分
72aに達するようなコンタクトホールに、薄膜コイル
の材料が充填されて形成される。
【0220】なお、薄膜コイルの第1の部分と第2の部
分は、同じ方向の電流に対して同じ方向の磁界を発生さ
せるように巻回されている。
【0221】本実施の形態によれば、薄膜コイルの第1
の部分の第1層部分71aを下部磁極層58の磁極部分
層58bの側方に配置し、この第1層部分71aを覆う
絶縁層60の上面(記録ギャップ層10側の面)を平坦
化したので、上部磁極層11の磁極部分層11aを、平
坦な面の上に精度よく形成することができる。
【0222】また、本実施の形態によれば、薄膜コイル
の第2の部分の第1層部分72aを上部磁極層11の磁
極部分層11aの側方に配置し、この磁極部分層11a
を覆う絶縁層63の上面(ヨーク部分層11c側の面)
を平坦化したので、上部磁極層11のヨーク部分層11
cを平坦な面の上に精度よく形成することができる。
【0223】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1または第9の実施の形態と同様であ
る。
【0224】本発明は、上記各実施の形態に限定され
ず、種々の変更が可能である。例えば、上記各実施の形
態では、磁極部分層の接触部が2つの枝部を含むように
したが、接触部が3つ以上の枝部を含むようにしてもよ
い。
【0225】また、上記各実施の形態では、基体側に読
み取り用のMR素子を形成し、その上に、書き込み用の
誘導型磁気変換素子を積層した構造の薄膜磁気ヘッドに
ついて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。
【0226】つまり、基体側に書き込み用の誘導型磁気
変換素子を形成し、その上に、読み取り用のMR素子を
形成してもよい。このような構造は、例えば、上記実施
の形態に示した上部磁極層の機能を有する磁性膜を下部
磁極層として基体側に形成し、記録ギャップ膜を介し
て、それに対向するように上記実施の形態に示した下部
磁極層の機能を有する磁性膜を上部磁極層として形成す
ることにより実現できる。この場合、誘導型磁気変換素
子の上部磁極層とMR素子の下部シールド層を兼用させ
ることが好ましい。
【0227】また、本発明は、誘導型磁気変換素子のみ
を備えた記録専用の薄膜磁気ヘッドや、誘導型磁気変換
素子によって記録と再生を行う薄膜磁気ヘッドにも適用
することができる。
【0228】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし3の
いずれかに記載の薄膜磁気ヘッドまたは請求項8ないし
10のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によ
れば、薄膜コイルは、一部が第1および第2の磁性層の
間を通過し、且つ少なくとも一方の磁性層を中心にして
螺旋状に巻回され、薄膜コイルの一部は、一方の磁性層
の磁極部分層の側方に配置されるので、磁路長の縮小が
可能になるという効果を奏する。また、本発明によれ
ば、磁極部分層を平坦な面の上に形成することが可能に
なり、トラック幅とスロートハイトを精度よく規定する
ことが可能になるという効果を奏する。また、本発明に
よれば、一方の磁性層のヨーク部分層の媒体対向面側の
端面は、媒体対向面から離れた位置に配置され、磁極部
分層の接触部は、連結部より分岐された複数の枝部を含
み、複数の枝部の間の位置における連結部の媒体対向面
とは反対側の端部によってスロートハイトが規定される
ので、記録すべき領域以外の領域へのデータの書き込み
および磁路の途中における磁束の飽和を防止することが
可能になるという効果を奏する。
【0229】また、請求項2記載の薄膜磁気ヘッドまた
は請求項9記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、
磁極部分層の側方に配置された薄膜コイルの一部を覆
い、ヨーク部分層側の面が平坦化された絶縁層を設けた
ので、更に、ヨーク部分層を平坦な面の上に精度よく形
成することが可能になるという効果を奏する。
【0230】また、請求項3記載の薄膜磁気ヘッドまた
は請求項10記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、磁極部分層の接触部と他方の磁性層との間に配置さ
れ、磁束の通過を阻止する磁束阻止層を設けたので、更
に、磁性層を経由せずに、磁極部分層の接触部と他方の
磁性層との間を磁束が通過することを防止することがで
きるという効果を奏する。
【0231】請求項4または5記載の薄膜磁気ヘッドも
しくは請求項11または12記載の薄膜磁気ヘッドの製
造方法によれば、薄膜コイルは、一部が一方の磁性層の
磁極部分層の側方に配置された第1の部分と、一部が中
間層の側方に配置された第2の部分とを有し、且つ少な
くとも一方の磁性層を中心にして螺旋状に巻回されるの
で、磁路長の縮小が可能になるという効果を奏する。ま
た、磁極部分層を平坦な面の上に形成することが可能に
なり、トラック幅とスロートハイトを精度よく規定する
ことが可能になるという効果を奏する。また、本発明に
よれば、一方の磁性層の中間層およびヨーク部分層の媒
体対向面側の端面は、媒体対向面から離れた位置に配置
され、磁極部分層の接触部は、連結部より分岐された複
数の枝部を含み、複数の枝部の間の位置における連結部
の媒体対向面とは反対側の端部によってスロートハイト
が規定されるので、記録すべき領域以外の領域へのデー
タの書き込みおよび磁路の途中における磁束の飽和を防
止することが可能になるという効果を奏する。
【0232】また、請求項5記載の薄膜磁気ヘッドまた
は請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、磁極部分層の側方に配置された薄膜コイルの第1の
部分の一部を覆い、中間層側の面が平坦化された第1の
絶縁層と、中間層の側方に配置された薄膜コイルの第2
の部分の一部を覆い、ヨーク部分層側の面が平坦化され
た第2の絶縁層とを設けたので、更に、中間層およびヨ
ーク部分層をそれぞれ平坦な面の上に精度よく形成する
ことが可能になるという効果を奏する。
【0233】請求項6または7記載の薄膜磁気ヘッドも
しくは請求項13または14記載の薄膜磁気ヘッドの製
造方法によれば、薄膜コイルは、一部が第1の磁性層に
おける磁極部分層の側方に配置された第1の部分と、一
部が第2の磁性層における磁極部分層の側方に配置され
た第2の部分とを有し、且つ少なくとも一方の磁性層を
中心にして螺旋状に巻回されるので、磁路長の縮小が可
能になるという効果を奏する。また、一方の磁性層にお
ける磁極部分層を平坦な面の上に形成することが可能に
なり、トラック幅とスロートハイトを精度よく規定する
ことが可能になるという効果を奏する。また、本発明に
よれば、一方の磁性層におけるヨーク部分層の媒体対向
面側の端面は、媒体対向面から離れた位置に配置され、
一方の磁性層における磁極部分層の接触部は、連結部よ
り分岐された複数の枝部を含み、複数の枝部の間の位置
における連結部の媒体対向面とは反対側の端部によって
スロートハイトが規定されるので、記録すべき領域以外
の領域へのデータの書き込みおよび磁路の途中における
磁束の飽和を防止することが可能になるという効果を奏
する。
【0234】また、請求項7記載の薄膜磁気ヘッドまた
は請求項14記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、第1の磁性層における磁極部分層の側方に配置され
た薄膜コイルの第1の部分の一部を覆い、ギャップ層側
の面が平坦化された第1の絶縁層と、第2の磁性層にお
ける磁極部分層の側方に配置された薄膜コイルの第2の
部分の一部を覆い、ヨーク部分層側の面が平坦化された
第2の絶縁層とを設けたので、更に、第2の磁性層にお
ける磁極部分層およびヨーク部分層をそれぞれ平坦な面
の上に精度よく形成することが可能になるという効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの製造方法における一工程を説明するための断面図で
ある。
【図2】図1に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図3】図2に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図4】図3に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図5】図4に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの断面図と主要部分についての平面図とを対応付けて
示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの主要部分を示す斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドにおける上部磁極層の磁極部分層を示す平面図であ
る。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの断面図と主要部分についての平面図とを対応付け
て示す説明図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの断面図と主要部分についての平面図とを対応付け
て示す説明図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの断面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの断面図と主要部分についての平面図とを対応付け
て示す説明図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの断面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの断面図と主要部分についての平面図とを対応付け
て示す説明図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの主要部分についての平面図である。
【図17】本発明の第7の実施の形態における磁極部分
層の形成手順を示す平面図である。
【図18】本発明の第7の実施の形態における磁極部分
層の形成手順を示す平面図である。
【図19】本発明の第7の実施の形態における磁極部分
層の形成手順を示す平面図である。
【図20】本発明の第8の実施の形態における磁極部分
層の形成手順を示す平面図である。
【図21】本発明の第8の実施の形態における磁極部分
層の形成手順を示す平面図である。
【図22】本発明の第8の実施の形態における磁極部分
層の形成手順を示す平面図である。
【図23】本発明の第9の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの製造方法における一工程を説明するための断面図
である。
【図24】図23に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図25】図24に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図26】図25に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図27】図26に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図28】本発明の第9の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの断面図である。
【図29】本発明の第9の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの断面図と主要部分についての平面図とを対応付け
て示す説明図である。
【図30】本発明の第10の実施の形態に係る薄膜磁気
ヘッドの断面図である。
【図31】本発明の第11の実施の形態に係る薄膜磁気
ヘッドの断面図と主要部分についての平面図とを対応付
けて示す説明図である。
【図32】本発明の第12の実施の形態に係る薄膜磁気
ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面
図である。
【図33】図32に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図34】図33に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図35】図34に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図36】図35に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図37】図36に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図38】図37に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図39】本発明の第12の実施の形態に係る薄膜磁気
ヘッドの断面図である。
【図40】従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法における一
工程を説明するための断面図である。
【図41】図40に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図42】図41に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図43】図42に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図44】従来の薄膜磁気ヘッドの平面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁層、3…下部シールド層、5…MR
素子、8…下部磁極層、9…絶縁層、10…記録ギャッ
プ層、11…上部磁極層、11a…磁極部分層、11a
1…トラック部、11a2…連結部、11a3…接触部、
11a31,11a32…枝部、11a4…スロートハイト
規定端部、11b…磁性層、11c…ヨーク部分層、1
3a…薄膜コイルの第1層部分、13b…薄膜コイルの
第2層部分、14…絶縁層、17…絶縁膜、19…オー
バーコート層。

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに磁気的に連結され、記録媒体に対
    向する媒体対向面側において互いに対向する磁極部分を
    含み、それぞれ少なくとも1つの層からなる第1および
    第2の磁性層と、 前記第1の磁性層の磁極部分と前記第2の磁性層の磁極
    部分との間に設けられたギャップ層と、 前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態
    で、一部が前記第1および第2の磁性層の間を通過し、
    且つ少なくとも一方の磁性層を中心にして螺旋状に巻回
    された薄膜コイルとを備え、 一方の磁性層は、一方の面が前記ギャップ層に隣接し、
    磁極部分を形成する磁極部分層と、前記磁極部分層の他
    方の面に接続され、ヨーク部分を形成するヨーク部分層
    とを有し、 前記薄膜コイルの一部は、前記磁極部分層の側方におい
    て平坦な面の上に配置され、 前記ヨーク部分層の媒体対向面側の端面は、媒体対向面
    から離れた位置に配置され、 前記磁極部分層は、トラック幅を規定するトラック部
    と、前記ヨーク部分層と直接または間接的に接触する接
    触部と、前記トラック部と前記接触部とを連結する連結
    部とを有し、前記接触部は、前記連結部より分岐された
    複数の枝部を含み、複数の枝部の間の位置における前記
    連結部の媒体対向面とは反対側の端部によってスロート
    ハイトが規定されることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 更に、前記磁極部分層の側方に配置され
    た薄膜コイルの一部を覆い、ヨーク部分層側の面が平坦
    化された絶縁層を備えたことを特徴とする請求項1記載
    の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 更に、前記磁極部分層の接触部と他方の
    磁性層との間に配置され、磁束の通過を阻止する磁束阻
    止層を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の
    薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 互いに磁気的に連結され、記録媒体に対
    向する媒体対向面側において互いに対向する磁極部分を
    含み、それぞれ少なくとも1つの層からなる第1および
    第2の磁性層と、 前記第1の磁性層の磁極部分と前記第2の磁性層の磁極
    部分との間に設けられたギャップ層と、 前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態
    で、一部が前記第1および第2の磁性層の間を通過し、
    且つ少なくとも一方の磁性層を中心にして螺旋状に巻回
    された薄膜コイルとを備え、 一方の磁性層は、一方の面が前記ギャップ層に隣接し、
    磁極部分を形成する磁極部分層と、ヨーク部分を形成す
    るヨーク部分層と、一方の面が前記磁極部分層の他方の
    面に接続され、他方の面が前記ヨーク部分層に接続され
    た中間層とを有し、 前記薄膜コイルは、一部が前記磁極部分層の側方におい
    て平坦な面の上に配置された第1の部分と、一部が前記
    中間層の側方において平坦な面の上に配置された第2の
    部分とを有し、 前記中間層および前記ヨーク部分層の媒体対向面側の端
    面は、媒体対向面から離れた位置に配置され、 前記磁極部分層は、トラック幅を規定するトラック部
    と、前記中間層と接触する接触部と、前記トラック部と
    前記接触部とを連結する連結部とを有し、前記接触部
    は、前記連結部より分岐された複数の枝部を含み、複数
    の枝部の間の位置における前記連結部の媒体対向面とは
    反対側の端部によってスロートハイトが規定されること
    を特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 更に、前記磁極部分層の側方に配置され
    た薄膜コイルの第1の部分の一部を覆い、中間層側の面
    が平坦化された第1の絶縁層と、前記中間層の側方に配
    置された薄膜コイルの第2の部分の一部を覆い、ヨーク
    部分層側の面が平坦化された第2の絶縁層とを備えたこ
    とを特徴とする請求項4記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 互いに磁気的に連結され、記録媒体に対
    向する媒体対向面側において互いに対向する磁極部分を
    含み、それぞれ少なくとも1つの層からなる第1および
    第2の磁性層と、 前記第1の磁性層の磁極部分と前記第2の磁性層の磁極
    部分との間に設けられたギャップ層と、 前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態
    で、一部が前記第1および第2の磁性層の間を通過し、
    且つ少なくとも一方の磁性層を中心にして螺旋状に巻回
    された薄膜コイルとを備え、 前記第1の磁性層および第2の磁性層は、それぞれ、一
    方の面が前記ギャップ層に隣接し、磁極部分を形成する
    磁極部分層と、前記磁極部分層の他方の面に接続され、
    ヨーク部分を形成するヨーク部分層とを有し、 前記薄膜コイルは、一部が前記第1の磁性層における磁
    極部分層の側方において平坦な面の上に配置された第1
    の部分と、一部が前記第2の磁性層における磁極部分層
    の側方において平坦な面の上に配置された第2の部分と
    を有し、 一方の磁性層におけるヨーク部分層の媒体対向面側の端
    面は、媒体対向面から離れた位置に配置され、 一方の磁性層における磁極部分層は、トラック幅を規定
    するトラック部と、ヨーク部分層と接触する接触部と、
    前記トラック部と前記接触部とを連結する連結部とを有
    し、前記接触部は、前記連結部より分岐された複数の枝
    部を含み、複数の枝部の間の位置における前記連結部の
    媒体対向面とは反対側の端部によってスロートハイトが
    規定されることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 更に、前記第1の磁性層における磁極部
    分層の側方に配置された薄膜コイルの第1の部分の一部
    を覆い、ギャップ層側の面が平坦化された第1の絶縁層
    と、前記第2の磁性層における磁極部分層の側方に配置
    された薄膜コイルの第2の部分の一部を覆い、ヨーク部
    分層側の面が平坦化された第2の絶縁層とを備えたこと
    を特徴とする請求項6記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 互いに磁気的に連結され、記録媒体に対
    向する媒体対向面側において互いに対向する磁極部分を
    含み、それぞれ少なくとも1つの層からなる第1および
    第2の磁性層と、前記第1の磁性層の磁極部分と前記第
    2の磁性層の磁極部分との間に設けられたギャップ層
    と、前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状
    態で、一部が前記第1および第2の磁性層の間を通過す
    る薄膜コイルとを備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であ
    って、 前記第1の磁性層を形成する工程と、 前記第1の磁性層の上に前記ギャップ層を形成する工程
    と、 前記ギャップ層の上に前記第2の磁性層を形成する工程
    と、 前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態
    で、一部が前記第1および第2の磁性層の間を通過し、
    且つ少なくとも一方の磁性層を中心にして螺旋状に巻回
    されるように前記薄膜コイルを形成する工程とを含み、 一方の磁性層を形成する工程は、一方の面が前記ギャッ
    プ層に隣接し、磁極部分を形成する磁極部分層を形成す
    る工程と、前記磁極部分層の他方の面に接続され、ヨー
    ク部分を形成するヨーク部分層を形成する工程とを含
    み、 前記薄膜コイルを形成する工程は、前記薄膜コイルの一
    部を前記磁極部分層の側方において平坦な面の上に配置
    し、 前記ヨーク部分層を形成する工程は、前記ヨーク部分層
    の媒体対向面側の端面を、媒体対向面から離れた位置に
    配置し、 前記磁極部分層を形成する工程は、前記磁極部分層が、
    トラック幅を規定するトラック部と、前記ヨーク部分層
    と直接または間接的に接触する接触部と、前記トラック
    部と前記接触部とを連結する連結部とを有し、前記接触
    部が、前記連結部より分岐された複数の枝部を含み、複
    数の枝部の間の位置における前記連結部の媒体対向面と
    は反対側の端部によってスロートハイトが規定されるよ
    うに前記磁極部分層を形成することを特徴とする薄膜磁
    気ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記一方の磁性層は第2の磁性層であ
    り、 更に、前記磁極部分層の側方に配置された薄膜コイルの
    一部を覆い、ヨーク部分層側の面が平坦化された絶縁層
    を形成する工程を含むことを特徴とする請求項8記載の
    薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 更に、前記磁極部分層の接触部と他方
    の磁性層との間に配置され、磁束の通過を阻止する磁束
    阻止層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項8
    または9記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 互いに磁気的に連結され、記録媒体に
    対向する媒体対向面側において互いに対向する磁極部分
    を含み、それぞれ少なくとも1つの層からなる第1およ
    び第2の磁性層と、前記第1の磁性層の磁極部分と前記
    第2の磁性層の磁極部分との間に設けられたギャップ層
    と、前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状
    態で、一部が前記第1および第2の磁性層の間を通過す
    る薄膜コイルとを備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であ
    って、 前記第1の磁性層を形成する工程と、 前記第1の磁性層の上に前記ギャップ層を形成する工程
    と、 前記ギャップ層の上に前記第2の磁性層を形成する工程
    と、 前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態
    で、一部が前記第1および第2の磁性層の間を通過し、
    且つ少なくとも一方の磁性層を中心にして螺旋状に巻回
    されるように前記薄膜コイルを形成する工程とを含み、 一方の磁性層を形成する工程は、一方の面が前記ギャッ
    プ層に隣接し、磁極部分を形成する磁極部分層を形成す
    る工程と、ヨーク部分を形成するヨーク部分層を形成す
    る工程と、一方の面が前記磁極部分層の他方の面に接続
    され、他方の面が前記ヨーク部分層に接続される中間層
    を形成する工程とを含み、 前記薄膜コイルを形成する工程は、一部が前記磁極部分
    層の側方において平坦な面の上に配置された第1の部分
    と、一部が前記中間層の側方において平坦な面の上に
    置された第2の部分とを形成し、 前記中間層を形成する工程およびヨーク部分層を形成す
    る工程は、前記中間層および前記ヨーク部分層の媒体対
    向面側の端面を、媒体対向面から離れた位置に配置し、 前記磁極部分層を形成する工程は、前記磁極部分層が、
    トラック幅を規定するトラック部と、前記中間層と接触
    する接触部と、前記トラック部と前記接触部とを連結す
    る連結部とを有し、前記接触部が、前記連結部より分岐
    された複数の枝部を含み、複数の枝部の間の位置におけ
    る前記連結部の媒体対向面とは反対側の端部によってス
    ロートハイトが規定されるように前記磁極部分層を形成
    することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記一方の磁性層は第2の磁性層であ
    り、 更に、前記磁極部分層の側方に配置された薄膜コイルの
    第1の部分の一部を覆い、中間層側の面が平坦化された
    第1の絶縁層を形成する工程と、前記中間層の側方に配
    置された薄膜コイルの第2の部分の一部を覆い、ヨーク
    部分層側の面が平坦化された第2の絶縁層を形成する工
    程とを含むことを特徴とする請求項11記載の薄膜磁気
    ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 互いに磁気的に連結され、記録媒体に
    対向する媒体対向面側において互いに対向する磁極部分
    を含み、それぞれ少なくとも1つの層からなる第1およ
    び第2の磁性層と、前記第1の磁性層の磁極部分と前記
    第2の磁性層の磁極部分との間に設けられたギャップ層
    と、前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状
    態で、一部が前記第1および第2の磁性層の間を通過す
    る薄膜コイルとを備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であ
    って、 前記第1の磁性層を形成する工程と、 前記第1の磁性層の上に前記ギャップ層を形成する工程
    と、 前記ギャップ層の上に前記第2の磁性層を形成する工程
    と、 前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態
    で、一部が前記第1および第2の磁性層の間を通過し、
    且つ少なくとも一方の磁性層を中心にして螺旋状に巻回
    されるように前記薄膜コイルを形成する工程とを含み、 前記第1の磁性層を形成する工程および第2の磁性層を
    形成する工程は、それぞれ、一方の面が前記ギャップ層
    に隣接し、磁極部分を形成する磁極部分層を形成する工
    程と、前記磁極部分層の他方の面に接続され、ヨーク部
    分を形成するヨーク部分層を形成する工程とを含み、 前記薄膜コイルを形成する工程は、一部が前記第1の磁
    性層における磁極部分層の側方において平坦な面の上に
    配置された第1の部分と、一部が前記第2の磁性層にお
    ける磁極部分層の側方において平坦な面の上に配置され
    た第2の部分とを形成し、 一方の磁性層におけるヨーク部分層を形成する工程は、
    ヨーク部分層の媒体対向面側の端面を、媒体対向面から
    離れた位置に配置し、 一方の磁性層における磁極部分層を形成する工程は、磁
    極部分層が、トラック幅を規定するトラック部と、前記
    ヨーク部分層と接触する接触部と、前記トラック部と前
    記接触部とを連結する連結部とを有し、前記接触部が、
    前記連結部より分岐された複数の枝部を含み、複数の枝
    部の間の位置における前記連結部の媒体対向面とは反対
    側の端部によってスロートハイトが規定されるように前
    記磁極部分層を形成することを特徴とする薄膜磁気ヘッ
    ドの製造方法。
  14. 【請求項14】 更に、前記第1の磁性層における磁極
    部分層の側方に配置された薄膜コイルの第1の部分の一
    部を覆い、ギャップ層側の面が平坦化された第1の絶縁
    層を形成する工程と、前記第2の磁性層における磁極部
    分層の側方に配置された薄膜コイルの第2の部分の一部
    を覆い、ヨーク部分層側の面が平坦化された第2の絶縁
    層を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項13
    記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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