JP3528426B2 - インクジェットヘッドの駆動方法及びインクジェット記録装置及びインクジェットヘッド及びインクジェットヘッド駆動用半導体装置 - Google Patents

インクジェットヘッドの駆動方法及びインクジェット記録装置及びインクジェットヘッド及びインクジェットヘッド駆動用半導体装置

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JP3528426B2
JP3528426B2 JP12065996A JP12065996A JP3528426B2 JP 3528426 B2 JP3528426 B2 JP 3528426B2 JP 12065996 A JP12065996 A JP 12065996A JP 12065996 A JP12065996 A JP 12065996A JP 3528426 B2 JP3528426 B2 JP 3528426B2
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置、インクジェットヘッドの駆動方法、インクジェ
ットヘッド、インクジェットヘッド駆動用半導体装置等
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、キャパシタのような容量性手段で
ある振動板に電気的エネルギを印加し、機械的エネルギ
に変換してインク室の圧力を高め、ノズルからインクを
吐出するインクジェットヘッドとしては、(1)ピエゾ
(PZT)等の圧電振動子である容量性手段を振動板と
し、振動板を圧力板に接合し圧力板をたわませるもの
(例えば特開平6−340075号公報)や、(2)イ
ンク室を兼用するシリコン基板とガラス基板との間の容
量性手段に静電エネルギを印加し、シリコン基板の薄膜
部を振動板としてたわませるもの(例えば特開平7−4
0535号公報、特開平7−81088号公報)があ
る。
【0003】ここで、(1)の圧電振動子を駆動する回
路は、特開平6−340075号公報の図5に示すよう
なものであり、(2)のシリコン振動子を静電力で駆動
する回路は、特開平7−81088号公報の図22に示
すような回路である。(1)の圧電振動子は、それ自身
の容量が、約10nF(10-8ファラッド)あり、イン
ク室に連通するノズルからインクを吐出させないとき圧
電振動子をオープンしても、浮遊容量の影響を受けるこ
とがない。しかしながら、(2)のシリコン振動子を静
電力で駆動する場合、シリコン振動子とガラス基板上の
ITO(Indium−Tin−Oxide,スズ添加
−酸化インジウム;透明導電膜)との間の容量が、シリ
コンとガラスとの間は空気であり(ε=1)、低電圧
(40V)で振動させるためギャップが0.23μm、
面積0.65mm2より約25pFであるため、浮遊容
量の影響を受けてしまうという課題がある。
【0004】以下、(2)のシリコン振動子の駆動回路
について図15を用いて説明する。まず、図15の駆動
回路で、共通トランジスタTr0のオン抵抗及び各振動
子までの共有する共通インピーダンスをR0、個別トラ
ンジスタTr1、Tr2、Tr3、、、のオン抵抗をR1、
R2、R3、、、とする。個別トランジスタTr1のオン
抵抗は、解像度を高くするためにノズル数を多くする
と、集積化のため抵抗値が高くなってしまう(約3k
Ω)。また、共通電極側は、シリコン基板にボロン(ホ
ウ素)をドープしており、抵抗値が低い(数十Ω)が、
個別電極側は、ガラス基板にITOにより高密度に配線
されているため、ITOの配線抵抗Riがノズル毎に約
3kΩある。ここで、共通電極を兼用するシリコン基板
と個別電極が載っているガラス基板のギャップが約0.
23μmと小さく、また、各インク室で等間隔のギャッ
プを保持しなければならないことと、ガラス基板とシリ
コン基板とを陽極接合するために高温を印加するため、
ガラス基板に載せる個別電極は、ITOにする必要があ
る。ITOの配線抵抗は、おのずと高く(数kΩ)なっ
てしまう。
【0005】各ノズルがオンされたときの等価回路を図
16に示す。図16で、同時駆動(印字)ノズル数を
n、各振動子の容量をCa(単純化モデルとするため、
Ca、R1、Riを各ノズル共通値とする)、電源電圧を
Vhとすると、オン時に各振動子に印加される電圧Va
(t)は、 Va(t)=Vh・(1−exp(−t/((n・R0+Ri+R1)・Ca)) ・・・・(式1) となる。このときの時定数T=(n・R0+Ri+R1)
・Caとなり、R0=1kΩ、Ri=3kΩ、R1=3k
Ω、Ca=25pFとすると、n=1のときT(1)=
0.18μs、n=50のときT(50)=1.4μs
となる。
【0006】シリコン振動子に静電力を印加するとき、
立ち上がり及び立ち下がりが約1〜2μs程の速いパル
スを印加しないと、ノズルからインクが吐出しないとい
う課題がある。そのため、パルス幅Pw=約14μs、
立ち上がり約2μs、立ち下がり約1μsの駆動パルス
を印加してシリコン振動子を駆動するとき、同時駆動ノ
ズル数nが増えるに従って、図17の波形Va(n=5
0)のようにVaの波形がなまってしまい、立ち上がり
時に、Vhより低い電圧が印加され、立ち下がり時にG
NDにすぐ落ちない。よって、同時駆動ノズル数が増え
ると、立ち上がり・立ち下がり時間が遅くなり、インク
が吐出できなくなるという課題がある。
【0007】さらに、多数のノズルからインクを吐出さ
せる際、個々の振動板のシリコン基板側のインピーダン
スや、ガラス基板側の配線インピーダンスが異なると、
ノズル間で印加電圧が異なってしまい、ノズル間で吐出
特性が異なってしまうという課題がある。
【0008】また、シリコン振動子とガラス基板との間
のキャパシタに静電エネルギが印加されると、電荷が蓄
積してしまい、静電エネルギを解除しても電荷が残留
し、シリコン振動子がガラス基板側にたわんだままの状
態ができてしまうという課題がある(特開平7−810
88号公報参照)。そのため、反対側の電荷を印加する
ように静電エネルギを印加し、シリコン振動子の永久的
なたわみを防止するとともに、浮遊容量を少なくする必
要があるという課題がある。
【0009】また、集積化するため、CMOSICを用
いるが、振動板に立ち上がり2μs程度の40V程度の
パルス電圧を繰り返し印加し、また、正逆パルスを繰り
返し印加するため、CMOSIC内部でパルス波形を作
成しようとすると、パルス波形にヒゲ等が発生し乱れて
しまい、ノイズが発生したり、吐出できなくなるという
課題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記課題を解決し、以下に示すことを目的とする。
【0011】(A)浮遊容量の影響によって、オフノズ
ル(非吐出ノズル)が、オンノズル(吐出ノズル)の影
響により、吐出してしまうこともあるので、浮遊容量の
影響をなくし、オフノズルの吐出を防止する。そのため
に、シリコン振動子は、オフノズルのときは両端を短絡
(ショート)しておく。
【0012】(B)さらに、浮遊容量の影響を防止しつ
つ、振動板に正逆両方のパルス電位を印加し、振動板へ
の電荷の蓄積を防止し、シリコン振動板の永久的なガラ
ス基板へのたわみを防止するとともに、簡単な駆動回路
を実現する。
【0013】(C)また、吐出ノズル数が増大すると、
振動板に印加される個々の電位が低下してしまうことを
防止する。そのため、吐出ノズル数を検出し、吐出ノズ
ル数に応じて、駆動パルスのタイミング等のパルス波形
を変化させる。そのために、駆動パルスのタイミングを
ずらし、同時に駆動するノズル数を少なくする。また、
印加電圧の大きさを変化させる。さらに、パルスの立ち
上がり、立ち下がり、パルス幅を変化させ、吐出性能を
変化させる。
【0014】(D)また、吐出ノズル数を検出するかわ
りに、吐出ノズル数が増大しても振動板に印加される個
々の電位の低下を防止する。そのため、式1でnの数に
効いてくる、R0(共通トランジスタTr1のオン抵抗+
共通インピーダンス)の値を小さくする。そのため、共
通トランジスタTr1を構成するCMOSIC内部のト
ランジスタサイズを大きくした。また、共通インピーダ
ンスを小さくするとともに、各振動板間での共通インピ
ーダンス側の配線抵抗を等しくし、そのため、シリコン
基板上に、金属べた部を設けた。
【0015】(E)さらに、各ノズル間の吐出特性を揃
えることを目的とする。そのため、シリコン基板上の配
線抵抗を等しくした。また、絶縁基板側の抵抗値を等し
くし、そのため、配線距離を各個別電極で等しくし、ま
た、個別スイッチング手段のオン抵抗を等しくした。
【0016】(F)また、共通スイッチング手段と個別
スイッチング手段とを集積化するため、CMOSICを
用いた。
【0017】(G)さらに、CMOSIC内部でパルス
を生成すると振動板に印加されるパルス波形がノイズに
より乱れてしまい、吐出特性が低下することを防止す
る。そのため、CMOSIC内部でパルス波形を作成せ
ず、外部からパルス波形を作成し、CMOSICに印加
するようにした。
【0018】(H)また、容量性手段への充放電の方向
を双方向とし、充電時間、放電時間を早めた。そのため
に、CMOSIC内部でのスイッチング手段をトランス
ミッションゲートとした。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
ヘッドの駆動方法は、 (1)パルス電圧を複数の容量性手段に印加し、該容量
性手段を変形し、ノズルからそれぞれインク滴を吐出
し、記録を行うインクジェットヘッドの駆動方法におい
て、前記容量性手段の一端は、少なくとも3端子有する
共通スイッチング手段の第1の端子に接続され、前記共
通スイッチング手段は、前記第1の端子と前記パルス電
圧が印加される第2の端子とGND電位が印加される第
3の端子とを有し、前記第1の端子を前記第2の端子ま
たは前記第3の端子に切り換えて接続され、前記容量性
手段の他端は、それぞれ少なくとも3端子有する個別ス
イッチング手段の第4の端子に接続され、前記個別スイ
ッチング手段は、前記第4の端子と前記パルス電圧が印
加される第5の端子とGND電位が印加される第6の端
子とをそれぞれ有し、前記第4の端子を前記第5の端子
または前記第6の端子にそれぞれ切り換えて接続される
とともに、前記容量性手段を変形させ吐出させるとき、
前記第1の端子と前記第4の端子のうち一方をパルス電
圧側に接続し他方をGND電位側に接続し、前記容量性
手段にパルス電圧を印加し、前記容量性手段を非変形状
態にし非吐出状態にするとき、前記第1の端子と前記第
4の端子とを同電位側に接続することを特徴とする。
【0020】(2)前記共通スイッチング手段の第2の
端子と、前記個別スイッチング手段のそれぞれの第5の
端子とを接続してなることを特徴とする。
【0021】(3)前記容量性手段を変形させ前記ノズ
ルから吐出させるとき、前記第1の端子または前記第4
の端子のうち一方を前記パルス電圧側に接続し、他方を
GND電位に接続し、前記パルス電圧側に接続した端子
にパルス電圧を印加する工程と、前記一方の端子を前記
GND電位に接続し、前記他方の端子を前記パルス電圧
側に接続し、該パルス電圧側に接続した端子にパルス電
圧を印加する工程と、を含むことを特徴とする。
【0022】(4)出ノズル数に応じて、前記容量性
手段に印加されるパルス形状を変化させることを特徴と
する。
【0023】(5)前記吐出ノズル数に応じて、前記パ
ルス電圧のパルス印加幅を変化させることを特徴とす
る。
【0024】(6)出ノズル数に応じて、前記パルス
電圧の印加タイミングをずらすことを特徴とする。
【0025】
【0026】また、本発明のインクジェット記録装置
は、 (1)パルス電圧が印加されることにより変形する複数
の容量性手段と、該容量性手段が変形することによりそ
れぞれインク滴を吐出するノズルと、を有するインクジ
ェット記録装置において、前記複数の容量性手段は、一
端が共通端子に接続され、他端がそれぞれ個別端子に接
続され、前記容量性手段の共通端子の電位を駆動パルス
電圧側またはGND電位側に切り換える共通スイッチン
グ手段と、前記容量性手段の個別端子の電位を駆動パル
ス電圧側またはGND電位側にそれぞれ切り換える複数
の個別スイッチング手段と、前記容量性手段を変形させ
前記ノズルから吐出させるとき前記共通端子と前記個別
端子のうち一方の電位を駆動パルス電圧側に接続し他方
をGND電位側に接続し、前記容量性手段を非吐出にす
るとき前記共通端子と前記個別端子とを同電位に接続す
るよう、前記共通スイッチング手段と前記個別スイッチ
ング手段とを制御する制御手段と、を設けたことを特徴
とする。
【0027】(2)前記共通端子を有する導電性の第1
の基板と、前記第1の基板と略平行に設けられた第2の
基板と、を備え、前記第2の基板は、前記個別端子と、
前記個別端子と前記個別スイッチング手段とをそれぞれ
接続する複数の個別電極と、を有することを特徴とす
る。
【0028】(3)前記共通スイッチング手段は、前記
容量性手段の共通端子の電位を駆動パルス電圧側または
GND電位側に接続されたとき、第1のオン抵抗を有
し、前記個別スイッチング手段は、前記容量性手段の個
別端子のそれぞれの電位を駆動パルス電圧側またはGN
D電位側に接続されたとき、それぞれ第2のオン抵抗を
有し、全吐出ノズル数を前記共通スイッチング手段の第
1のオン抵抗に乗じた値は、前記個別スイッチング手段
の第2のオン抵抗と個別電極の抵抗値との和より小であ
ることを特徴とする。
【0029】(4)前記複数の個別スイッチング手段の
第2のオン抵抗をそれぞれ等しくしたことを特徴とす
る。
【0030】(5)前記容量性手段は、共通端子側が前
記第1の基板に設けられた複数の振動板であり、個別端
子側が前記振動板に対しそれぞれ所定の間隙を有して配
設され前記第2の基板に設けられた個別端子であること
を特徴とする。
【0031】(6)前記共通スイッチング手段から前記
複数の振動板までの抵抗値をそれぞれ等しくしてなるこ
とを特徴とする。
【0032】(7)前記個別スイッチング手段から前記
個別端子までの抵抗値をそれぞれ等しくしてなることを
特徴とする。
【0033】(8)前記共通スイッチング手段と前記個
別スイッチング手段とは、CMOSIC内に形成されて
なることを特徴とする。
【0034】(9)前記駆動パルス電圧は、前記CMO
SICの外部より入力されてなることを特徴とする。
【0035】(10)前記CMOSIC内部の共通スイ
ッチング手段または個別スイッチング手段は、トランス
ミッションゲートより構成されることを特徴とする。
【0036】(11)出ノズル数を検出する検出手段
を設けたことを特徴とする。
【0037】また、本発明のインクジェットヘッド駆動
用半導体装置は、 (1)一端が共通端子に接続され他端がそれぞれ個別端
子に接続される容量性手段に印加する駆動パルス電圧を
制御し、インク滴の吐出または非吐出状態を制御するイ
ンクジェットヘッド駆動用半導体装置において、前記容
量性手段の共通端子の電位を駆動パルス電圧側またはG
ND電位側に切り換える共通スイッチング手段と、前記
容量性手段の個別端子の電位を駆動パルス電圧側または
GND電位側にそれぞれ切り換える複数の個別スイッチ
ング手段と、前記容量性手段を変形させインク滴を吐出
させるとき前記共通端子と前記個別端子のうち一方の電
位を駆動パルス電圧側に接続し他方をGND電位側に接
続し、前記容量性手段を非吐出にするとき前記共通端子
と前記個別端子とを同電位に接続するよう、前記共通ス
イッチング手段と前記個別スイッチング手段とを制御す
る制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0038】(2)前記インクジェットヘッド駆動用半
導体装置は、CMOSICであり、前記共通スイッチン
グ手段のオン抵抗を小さくするよう、CMOSIC内部
の共通トランジスタサイズを個別スイッチング手段の個
別トランジスタサイズより大きくしたことを特徴とす
る。
【0039】(3)前記共通スイッチング手段のオン抵
抗は、43Ω以下であることを特徴とする。
【0040】また、本発明のインクジェット記録装置
は、上記(1)〜(3)のインクジェットヘッド駆動用
半導体装置を備えたことを特徴とする。
【0041】また、本発明のインクジェットヘッドは、
パルス電圧が印加されることにより変形する複数の容量
性手段と、該容量性手段が変形することによりそれぞれ
インク滴を吐出するノズルと、を有するインクジェット
ヘッドにおいて、前記複数の容量性手段は、一端が共通
端子に接続され、他端がそれぞれ個別端子に接続され、
前記容量性手段の共通端子の電位を駆動パルス電圧側ま
たはGND電位側に切り換える共通スイッチング手段
と、前記容量性手段の個別端子の電位を駆動パルス電圧
側またはGND電位側にそれぞれ切り換える複数の個別
スイッチング手段と、前記容量性手段を変形させ前記ノ
ズルから吐出させるとき前記共通端子と前記個別端子の
うち一方の電位を駆動パルス電圧側に接続し他方をGN
D電位側に接続し、前記容量性手段を非吐出にするとき
前記共通端子と前記個別端子とを同電位に接続するよ
う、前記共通スイッチング手段と前記個別スイッチング
手段とを制御する制御手段と、を設けたことを特徴とす
る。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0043】図1は、本発明に係るインクジェットヘッ
ド10を搭載したインクジェット記録装置310の概観
斜視図である。インクジェットヘッド10は、キャリッ
ジ302に搭載され、プラテン300に巻かれた記録紙
105に対し、インク滴を吐出する。キャリッジ302
は、プラテン軸に平行に移動可能に配置されている。イ
ンクジェットヘッド10は、インク供給チューブ306
を介してインクタンク301よりインク供給される。も
ちろん、インクジェットヘッド10は、それ自身が、イ
ンクタンクを有し、インクタンクと一緒に交換可能にキ
ャリッジ302に搭載されてもよい。
【0044】インクキャップ304は、キャリッジ30
2のホームポジション近傍に設けられ、インクジェット
ヘッド10が長時間吐出しないときや、インク吐出不良
が発生しインク吸引するとき、インクジェットヘッド1
0にキャップして、廃インク回収チューブ308を介し
て廃インク溜305に回収するために用いられる。廃イ
ンクを回収するとき、電動または手動のポンプ303を
用いる。
【0045】図2は、インクジェットヘッド10の分解
斜視図である。インクジェットヘッド10は、3枚の基
板1、2、3を重ね合わせた積層構造をしている。
【0046】中間の基板2は、シリコン基板をエッチン
グしてエッジノズル4、共通インク室8、各ノズルに連
通するインク室6、オリフィス7、インク室の底壁を兼
用する振動板5を有している。共通インク室8の近傍に
は、共通電極17を有している。シリコン基板2は、ホ
ウ素をドープされ、抵抗率が約0.1Ω・cmの導体と
なっている。
【0047】絶縁性基板としてのホウ系酸ガラス基板
1、3が、シリコン基板2を挟むように陽極接合され
る。陽極接合の方法としては、ガラス基板1とシリコン
基板2とを温度300〜500℃、電圧500〜100
0V印加することで行い、ガラス基板3とシリコン基板
2との間も同様に陽極接合する。上側ガラス基板1の上
方よりインク供給チューブ306、接続パイプ16、供
給口14を介して、共通インク室8にインクが供給され
る。
【0048】下側ガラス基板2には、振動板5に対向し
て個別電極31が端子部33、配線リード部32ととも
にITOにより配設されている。ITO31、32に
は、絶縁膜34が被覆されている。絶縁膜34は、IT
O側ではなく、シリコン基板側に設けてもよい。インク
ジェットヘッドドライバ回路220から、共通電極17
と個別電極31、31、にそれぞれ電気エネルギが印加
される。
【0049】図3は、インクジェットヘッド10の側断
面図である。図3のA−Aから見た平面図が、図4であ
る。シリコン基板2のインク室6の底壁を兼ねる振動板
5は、ガラス基板3上に設けられた個別電極31との間
に間隙(空気)を介し、キャパシタを形成している。振
動板5は、厚さ2μmである。間隙9(図2参照)は、
シリコン基板2を両面からエッチングしてもよいし、シ
リコン基板2を底面からエッチングせず、シリコン基板
2とガラス基板3との間にギャップ調整機構を設け、間
隙をもたしてもよい。この間隙は、0.225μmであ
る。インク滴13が、ノズル4から吐出され、記録紙1
05に記録される。なお、ノズル4は、シリコン基板2
に設けるのではなく、ガラス基板1に設け、振動板5の
振動によるインク滴をガラス基板1から吐出させてもよ
い。
【0050】ドライバ回路220により、正の電圧パル
スを吐出させたいノズルに連通するインク室に対向する
個別電極に印加すると、個別電極の表面が正に、振動板
5側の表面が負に帯電する。そのため、振動板は、静電
気力によって吸引され、下方へたわむ。次に、個別電極
へ印加している正電圧パルスをオフすると、振動板は元
の位置に復帰し、インク室の内圧が急激に上昇し、ノズ
ルからインク滴が吐出する。
【0051】図5は、本発明のインクジェット記録装置
に用いられるインクジェットヘッドの駆動制御系を示す
ブロック図である。プリンタ制御回路201は、1チッ
プマイクロコンピュータで構成され、アドレスバスおよ
びデータバスを含む内部バス202、203、204を
介してRAM205、ROM206、CG(キャラクタ
ジェネレータ)−ROM207が接続されている。ヘッ
ド駆動制御回路210は、プリンタ制御回路201によ
り制御され、ヘッドドライバ回路220に駆動選択信号
SEL等を出力し、データバス211を介して印刷デー
タDATAをヘッドドライバ回路220に出力する。ヘ
ッドドライバ220に印加される駆動パルスVpは、ヘ
ッド駆動制御回路210で形成される。
【0052】印刷データDATAはノズル数検出手段2
12に接続され、ノズル数検出手段212は、同時駆動
ノズル数を検出し、検出信号を制御手段213に送出す
る。制御手段213は、検出信号により、必要に応じ
て、ヘッド駆動制御回路210を制御し、ヘッドドライ
バ220に印加される駆動パルスVpのパルス形状や駆
動タイミングの制御を行う。
【0053】ヘッドドライバ220は、CMOS−IC
で構成され、インクジェットヘッド10上に一体的に設
けてもよいし、FPC(フレキシブル基板)上に設け、
インクジェットヘッド10とユニット化してもよい。
【0054】ヘッドドライバ220用CMOS−ICの
ブロック図を、図6に示す。このヘッドドライバ用CM
OS−ICは、個別電極用(SEG)ドライバ61を6
4ビット有し、共通電極用(COM)ドライバ62を1
ビット有している。64ドットのノズルを吐出させると
きは、このCMOS−ICを1個使用すればよいし、1
28ドットのノズルを吐出させるときは、2個使用すれ
ばよい。
【0055】ヘッド駆動制御回路210から出力された
電圧値31V、立ち上がり2μs、幅14μs、立ち下
がり1μs、周波数16kHz(それぞれTyp値)の
駆動電圧パルスVpがVp端子に入力される。Vp端子か
ら入力された駆動電圧パルスVpは、SEGドライバ6
1及びCOMドライバ62に接続される。記録データD
ATAは、バス211によりシリアルデータとして64
ビット入力され、シリアル−パラレル変換回路64によ
りシリアル−パラレル変換されたあと、反転回路63を
介してSEGドライバ61に入力される。反転回路63
では、各ノズルデータとSELとのXOR(イクスクル
ーシブオア;排他的論理和)をSEGドライが61に出
力する。ヘッド駆動制御回路210から出力された選択
信号SELは、端子SELに入力され、反転回路63と
COMドライバ62に接続される。
【0056】COMドライバとnビットのSEGドライ
バの要部回路図を図7に示し、等価回路図を図8に示
し、さらに共通トランジスタ、個別トランジスタのオン
抵抗を考慮した等価回路図を図9に示す。
【0057】図8において、COMドライバ62を3端
子の共通スイッチS0、SEGドライバ61を3端子の
個別スイッチS1、S2、、、Snで表しており、COM
−SEG端子間に接続される振動板5−個別電極31間
のキャパシタをC1、C2、、、Cnで表している。吐出
させたいノズル番号をmとすると、キャパシタCmに対
して共通スイッチS0側の電位と個別スイッチSm側の電
位とを異ならせ、約31Vの電圧がキャパシタCmに印
加されることを必要とする。
【0058】また、吐出させたくないノズル番号をkと
すると、キャパシタCkには、共通スイッチS0側の電位
と個別スイッチSk側の電位とを同電位とさせることが
必要となる。同電位とすることにより、キャパシタCk
を短絡したことになり、浮遊容量によるノイズの影響を
防止でき、他の吐出ノズルへの駆動パルスによる吐出ミ
スが防止できる。
【0059】図10(a)(b)を用いてキャパシタに
印加される電圧波形について説明する。駆動パルス電圧
Vpは、周波数16kHzで、VhとGNDを繰り返しヘ
ッドドライバ220に入力される。図10(b)で、S
0〜S2の波形のHは駆動電圧Vp側、LはGND側にそ
れぞれスイッチを切り換えることを示している。共通ス
イッチS0は、ヘッド駆動制御回路210から出力され
る選択信号SELにより、駆動パルス電圧Vpの半分の
周波数で繰り返し駆動電圧Vp側とGND側とを切り換
えられる。
【0060】タイミングに応じて、個別スイッチS1〜
Snの電位を切り換えるため、反転回路63とSEL信
号及びDATA信号を用いる(図6参照)。
【0061】図10(a)に戻り、タイミング1におい
て、ノズル1を非吐出とするため、共通スイッチS0及
び個別スイッチS1をVp側とする。そのため、共通電
極の電位VCOMとノズル1の個別電極電位VSEG1がVhで
等しくなり、キャパシタ1は短絡状態となり、浮遊容量
の影響を防止され、かつ、吐出しない。一方、ノズル2
から吐出するため、個別スイッチS2をGND側とする
と、ノズル2の共通電極側(振動板)に電位VCOM=Vh
が印加され、ノズル2の個別電極側(個別電極)の電位
VSEG2がGNDになり、キャパシタ2には、電位差Vh
が印加されるため、吐出できる。
【0062】タイミング2において、ノズル1を非吐出
とするため、共通スイッチS0及び個別スイッチS1をG
ND側とし、共通電極電位VCOMとノズル1の個別電極
電位VSEG1がGNDで等しくなり、キャパシタ1は短絡
状態となり、浮遊容量の影響を防止され、かつ、吐出し
ない。一方、ノズル2から吐出するため、個別スイッチ
S2をVp側とすると、ノズル2の共通電極側の電位がG
ND、個別電極側の電位VSEG2=Vhとなり、キャパシ
タ2には、電位差Vhが印加されるため、吐出できる。
【0063】図10(a)のタイミング3、4より、吐
出するとき、キャパシタ1には、電位差Vhが印加され
るが、VCOM−VSEG1は、タイミング3とタイミング4
とで、電位が反転している。本発明においては、簡単な
回路により、浮遊容量を防止しつつ、反転駆動回路を実
現した。キャパシタ1〜nに反転電位を印加し電荷を中
和するため、電荷の蓄積による振動板5のガラス基板1
側への永久的なたわみを防止することができ、振動板5
−個別電極31間の間隙を一定に保つことが可能になっ
た。
【0064】図2を参照し、シリコン基板2には金属べ
た部17が設けられている。従って、金属べた部17か
ら各インク室への共通基板側の抵抗値は、シリコン基板
の比抵抗を場所に応じて変化しないようにホウ素をドー
プすればノズル毎の抵抗値を等しくすることができる。
また、ガラス基板3に設けられた個別リード部32、3
2、、の距離及び幅を各ノズルで等しくすることによ
り、ITOの抵抗値を各ノズルで等しくすることができ
る。また、振動板5、5のエッチング特性及び個別電極
31、31の面積を等しくすることにより、各インク室
のキャパシタのキャパシタンスを等しくすることができ
る。
【0065】よって、図9において、共通スイッチS0
を駆動パルスVp側にしたときの共通ドライバのオン抵
抗+シリコン基板抵抗をRO、GND側にしたときの共
通ドライバのオン抵抗+シリコン基板抵抗をROとする
(CMOS−ICのため、Nチャネル側のオン抵抗とP
チャネル側のオン抵抗をほぼ等しいものとみなせ、個別
ドライバも同様である)。また、振動板5−個別電極3
1間のキャパシタンスをCaとし、各インク室(各ノズ
ル)で等しくできる。さらに、個別電極31、32、3
3を構成するITOの抵抗をRiとし、各ノズルで等し
くできる。また、個別スイッチS1を駆動パルスVp側に
したときの個別ドライバのオン抵抗をR1、GND側に
したときの個別ドライバのオン抵抗をR1とする。CM
OSICで集積化して形成するため、各個別ドライバの
オン抵抗R1をほぼ等しくすることができる。
【0066】よって、各インク室に印加されるパルス波
形の時定数T(式1参照)が等しくなり、同一の波形で
それぞれ印加されるため、ノズル間でのインク吐出特性
が同一になり、印字特性が向上する。
【0067】また、駆動パルスVpは、CMOSIC内
部で作成せず、ヘッド駆動制御回路210等の外部で作
成し、CMOSICに印加する。さらに、キャパシタを
反転駆動するため、CMOSIC内部での共通スイッチ
S0、個別スイッチS1〜Snの切り換え周波数は、それ
ぞれ駆動パルスVpの周波数の半分で済む。また、駆動
パルスVpを外部で作成するため、CMOSIC内部で
の高電圧(約31V)の高速パルス(立ち上がり約2μ
s、立ち下がり約1μs)を作成する必要がない。従っ
て、パルス波形にヒゲ等のノイズが発生することがな
く、パルス波形が乱れず、キャパシタを正確に駆動する
ことができる。
【0068】図7の共通ドライバ62は、図14のよう
にトランスミッションゲートにすると、より望ましい。
さらに、個別ドライバ61も図14のようにトランスミ
ッションゲートを採用することが望ましい。図14にお
いて、SELをHにしておくと、トランジスタ141、
142がオンし、Vpの電位によらず、Vp−COM間
で双方向の電流を流すことができる。SELがHの間、
パルスVpを印加すると、COM端子にはVpの電位が
そのまま出力され、吐出ノズルに対し、パルスVpの立
ち上がりでキャパシタを充電し、パルスVpの立ち下が
りでキャパシタを放電する。SELがLの間、トランジ
スタ141、142はオフし、トランジスタ143がオ
ンし、COM端子にはGND電位が出力される。SEL
をH−L切り換えるパルス幅内に駆動パルスVpのパル
ス幅を入れているため、外部で形成された駆動パルスV
pの電位に応じて吐出キャパシタの充放電ができ、CM
OSIC内で早いタイミングの切り換えを行う必要がな
い。そのため、キャパシタの充放電時間を早くすること
ができるとともに、CMOSIC内部でのタイミング切
り換えに伴うノイズやパルス波形の乱れが生じない。ま
た、オン抵抗を低減するため、図14の3つのトランジ
スタのサイズを大きくしている。
【0069】次に、多ノズル同時に印字駆動することを
考える。この場合、式1における時定数T=(n・R0
+Ri+R1)・Caは、小のままでないと、印加電圧波
形がなまって印加電圧が小さくなり、吐出できなくな
る。従って、時定数Tを小さくし、立ち上がり及び立ち
下がりを速くするためには、同時駆動ノズル数n、R0
(共通ドライバのオン抵抗+シリコン基板抵抗)、Ri
(ITO抵抗)、R1(個別ドライバ側のオン抵抗)、
キャパシタンスCaのそれぞれを小さくする必要があ
る。しかしながら、静電エネルギWは、キャパシタンス
*(電圧の2乗)に比例し、電圧波形として、矩形波を
用いるため、パルス幅tにも比例する。
【0070】W∝C・V2・t・・・(式2) 従って、キャパシタンスCa、印加電圧Vaを小さくする
と、インク滴が吐出しなくなってしまうため、キャパシ
タンスCaは、小さくできない。式1において、ノズル
数nを大きくすると、n・Ca・R0の項が大きくなる。
そのため、R0を小としておき、ノズル数nが大きくな
っても、時定数Tがあまり大きくならないようにするこ
とが必要となる。本出願人は、 n・Ca・R0≦(Ri+R1)・Ca・・・(式3) とすることにより、ノズル数nが大きくなって時定数T
が大きくなっても、吐出できるという知見を得た。ここ
で、ノズル数n=64、キャパシタンスCa=25p
F、個別電極側ITO抵抗Ri=3kΩ、個別ドライバ
オン抵抗R1=3kΩとしたとき、R0(共通ドライバオ
ン抵抗+シリコン基板抵抗)=93Ωとすれば、吐出で
きる。シリコン基板抵抗が、約50Ωあるため、CMO
SIC内部の共通ドライバのオン抵抗を43Ω以下とす
れば、吐出可能である。そのため、CMOSIC内部の
共通ドライバのトランジスタサイズを個別ドライバのト
ランジスタサイズの64倍以上の面積とした。共通ドラ
イバのオン抵抗を低減する観点からはトランジスタサイ
ズは大きければ大きいほどよい。しかし、トランジスタ
サイズを大きくしすぎると、集積化の点、製造上(歩留
まり)の点から不利であるため、本実施形態では、IC
のチップサイズが約4.7*4.1(mm)となるよう
にしてある。
【0071】また、共通スイッチS0のオン抵抗R1を小
さくしたため、キャパシタの充電時間を早めることがで
きる。さらに、駆動パルスを印加した後、浮遊容量の影
響を防止し、かつ、放電するためにキャパシタをショー
トするとき、時定数Tが小さいため、速く放電すること
ができる。その結果、電荷の蓄積時間が短くなり、永久
的なたわみが少なくなるとともに、残留電荷が少なくな
るため、次の駆動パルス電圧の充電時間も短くなり、駆
動周波数を高くできる。
【0072】ここで、R0を小さくしない場合を考え
る。図11に、本発明において用いた駆動パルス波形を
示す。はパルスの立ち上がり時間であり、容量性手段
である吐出インク室への充電カーブ、はパルス頂上で
の幅、はパルスの立ち下がり時間であり、放電カー
ブ、はパルス電圧値、は各パルスの印加タイミン
グ、をそれぞれ示す。の充電カーブの傾きが寝るほ
ど、電流量を下げ、ドライバのオン抵抗による電圧降下
を防止することができる。また、の放電カーブもの
充電カーブと同様の効果を奏する。〜のパルス波形
を形成する部分をそれぞれ変化させることにより、吐出
ノズル数に応じた制御が可能になる。
【0073】また、ノズル数nを検出し、吐出ノズル数
nに応じて印加電圧Vhの大きさ(図11の)を変化
させることにより、吐出特性を向上することができる。
式2の印加静電エネルギが、吐出エネルギに比例するの
で、吐出エネルギは電圧の2乗で効いてくる。ところ
が、式1より、nが大きくなると、パルス波形の立ち上
がりが遅くなり、印加電圧が小さくなってしまう。よっ
て、ノズル数検出手段212(図5参照)により、印字
データDATAの同時吐出ノズル数nを検出し、nが所
定の値以上であれば、制御手段213に信号を送出し、
制御手段213は、ヘッド駆動制御回路210の駆動パ
ルス出力Vpの電圧値Vhを大きくするよう制御する。図
12(a)において、吐出ノズル数1のとき、電圧値V
1のパルスを印加し、一方、吐出ノズル数32のとき、
電圧値V2(>V1)を印加し、吐出ノズル数nが大きく
なるときの各インク室への印加電圧が小さくなる分を補
償した。
【0074】また、印加パルス幅(図11の)を変化
させることによって、ノズル数nの増大による吐出特性
の劣化を防止することもできる。上述したように、式2
における印加静電エネルギが吐出エネルギに比例し、吐
出エネルギはパルス幅で効いてくる。よって、ノズル数
nを検出し、吐出ノズル数nに応じて印加パルス幅Pw
を変化させることにより、吐出特性を向上することがで
きる。本発明では、ノズル数検出手段212により、印
字データDATAの同時吐出ノズル数nを検出し、nが
所定の値以上であれば、制御手段213に信号を送出
し、制御手段213は、ヘッド駆動制御回路210の駆
動パルス出力Vpのパルス幅Pwを大きくするよう制御す
る。図12(b)において、吐出ノズル数1のとき、パ
ルス幅Pw1のパルスを印加し、一方、吐出ノズル数32
のとき、パルス幅Pw2(>Pw1)のパルスを印加し、吐
出ノズル数nが大きくなるときの各インク室への印加電
圧が小さくなる分を、電圧値Vhをそのままでパルス幅
を変化させることにより補償した。
【0075】もちろん、ノズル数検出手段212が検出
するノズル数nに応じ、図12(a)における電圧値を
逐一アナログ的に変化させ、または、図12(b)にお
けるパルス幅を逐一アナログ的に変化させる方が望まし
い。
【0076】また、吐出ノズル数nが大きくなったと
き、インク室(キャパシタ)に同時に印加されるパルス
をずらし、見かけ上同時駆動パルス数を小さくすること
により、印加電圧の低下を防止する方法(図11の)
を図13により説明する。ノズル数検出手段212(図
5)により、同時吐出ノズル数が50個であり、ノズル
番号1〜50を同時に吐出するものとする。そのとき、
共通スイッチS0のオン時間を長くし、個別スイッチS1
〜S25と、個別スイッチS26〜S50とを同時にオンする
タイミングを共通スイッチS0のオン時間の間でずら
す。タイミングをずらし制御するために、ノズル数検出
手段212の検出出力を制御手段213に送出し、ヘッ
ド駆動制御回路210は、制御手段213の信号を受
け、SEL信号タイミングを制御し、ヘッドドライバ2
20に出力する。よって、駆動パルスのインク室への同
時印加数が半分の25個となるため、時定数Tがあまり
小さくならず、同時吐出が可能になる。タイミングのず
らし方は、遅延回路を使用するなど、種種採用できる。
【0077】また、共通スイッチのオン抵抗R0を小さ
くするだけでなく、個別電極の配線抵抗Ri、個別スイ
ッチのオン抵抗R1を小さくすることも、多数ノズル同
時駆動のためにより有効である。さらに、R0を小さく
し、かつ吐出ノズル数に応じてパルス電圧の大きさまた
はパルス幅を変化させることもより有効である。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
以下の効果を奏する。
【0079】(A)浮遊容量の影響を防止することがで
き、オフノズルからあやまってインク滴が吐出されるこ
とがなくなった。
【0080】(B)浮遊容量の影響を防止しつつ、振動
板への電荷の蓄積を防止する簡単な駆動回路を実現し
た。
【0081】(C)同時吐出ノズル数が増大しても、印
字が可能になった。
【0082】(D)各ノズル間の吐出特性が揃い、印字
品質が向上した。
【0083】(E)CMOSICを用い、小型なインク
ジェットヘッドを提供できる。
【0084】(F)CMOSICの外部から駆動パルス
を印加するため、ノイズの影響を防止し、印字品質が向
上できる。
【0085】(G)共通スイッチング手段のオン抵抗を
小さくしたため、駆動パルスを印加した後、放電するた
めにキャパシタをショートするとき、時定数が低下し、
速く放電する。
【0086】(H)トランスミッションゲートを採用し
たため、双方向に電流を流すことができ、印加パルス電
圧およびタイミングにかかわらず充放電を早くすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の概観斜視
図。
【図2】本発明のインクジェットヘッドの分解斜視図。
【図3】本発明のインクジェットヘッドの側断面図。
【図4】図3におけるA−A矢線図。
【図5】本発明のインクジェット記録装置のヘッド駆動
回路ブロック図。
【図6】本発明のヘッド駆動回路用CMOSICの内部
ブロック図。
【図7】本発明のドライバ部回路図。
【図8】本発明のドライバ部回路図。
【図9】本発明のドライバ部等価回路図。
【図10】本発明のヘッド駆動タイミング図で、(a)
は図7の電圧タイミング図、(b)は図8のスイッチタ
イミング図。
【図11】本発明のヘッド駆動パルスタイミング図。
【図12】本発明のヘッド駆動パルスを表す図で、
(a)はパルス電圧値の変化図、(b)はパルス幅の変
化図。
【図13】本発明のヘッド駆動タイミング図。
【図14】本発明のドライバ部等価回路図。
【図15】従来のドライバ部回路図。
【図16】従来のドライバ部等価回路図。
【図17】従来のヘッド駆動パルス及び印加パルス図。
【符号の説明】
2・・・・シリコン基板 3・・・・ガラス基板 5・・・・振動板 10・・・インクジェットヘッド 17・・・共通電極(金属べた部) 31・・・個別電極 32・・・個別リード部 61・・・SEGドライバ 62・・・COMドライバ 210・・ヘッド駆動制御回路 212・・ノズル数検出手段 213・・制御手段 220・・ヘッドドライバ用CMOSIC
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−137249(JP,A) 特開 平7−137252(JP,A) 特開 平7−214771(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/01 B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/16

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス電圧を複数の容量性手段に印加
    し、該容量性手段を変形し、ノズルからそれぞれインク
    滴を吐出し、記録を行うインクジェットヘッドの駆動方
    法において、 前記容量性手段の一端は、少なくとも3端子有する共通
    スイッチング手段の第1の端子に接続され、 前記共通スイッチング手段は、前記第1の端子と前記パ
    ルス電圧が印加される第2の端子とGND電位が印加さ
    れる第3の端子とを有し、前記第1の端子を前記第2の
    端子または前記第3の端子に切り換えて接続され、 前記容量性手段の他端は、それぞれ少なくとも3端子有
    する個別スイッチング手段の第4の端子に接続され、 前記個別スイッチング手段は、前記第4の端子と前記パ
    ルス電圧が印加される第5の端子とGND電位が印加さ
    れる第6の端子とをそれぞれ有し、前記第4の端子を前
    記第5の端子または前記第6の端子にそれぞれ切り換え
    て接続されるとともに、 前記容量性手段を変形させ吐出させるとき、前記第1の
    端子と前記第4の端子のうち一方をパルス電圧側に接続
    し他方をGND電位側に接続し、前記容量性手段にパル
    ス電圧を印加し、 前記容量性手段を非変形状態にし非吐出状態にすると
    き、前記第1の端子と前記第4の端子とを同電位側に接
    続することを特徴とするインクジェットヘッドの駆動方
    法。
  2. 【請求項2】 前記共通スイッチング手段の第2の端子
    と、前記個別スイッチング手段のそれぞれの第5の端子
    とを接続してなることを特徴とする請求項1記載のイン
    クジェットヘッドの駆動方法。
  3. 【請求項3】 前記容量性手段を変形させ前記ノズルか
    ら吐出させるとき、 前記第1の端子または前記第4の端子のうち一方を前記
    パルス電圧側に接続し、他方をGND電位に接続し、前
    記パルス電圧側に接続した端子にパルス電圧を印加する
    工程と、 前記一方の端子を前記GND電位に接続し、前記他方の
    端子を前記パルス電圧側に接続し、該パルス電圧側に接
    続した端子にパルス電圧を印加する工程と、 を含むことを特徴とする請求項1記載のインクジェット
    ヘッドの駆動方法。
  4. 【請求項4】 出ノズル数に応じて、前記容量性手段
    に印加されるパルス形状を変化させることを特徴とする
    請求項1記載のインクジェットヘッドの駆動方法。
  5. 【請求項5】 前記パルス電圧の大きさを変化させるこ
    とを特徴とする請求項4記載のインクジェットヘッドの
    駆動方法。
  6. 【請求項6】 出ノズル数に応じて、前記パルス電圧
    の印加タイミングをずらすことを特徴とする請求項1記
    載のインクジェットヘッドの駆動方法。
  7. 【請求項7】 パルス電圧が印加されることにより変形
    する複数の容量性手段と、 該容量性手段が変形することによりそれぞれインク滴を
    吐出するノズルと、 を有するインクジェット記録装置において、 前記複数の容量性手段は、一端が共通端子に接続され、
    他端がそれぞれ個別端子に接続され、 前記容量性手段の共通端子の電位を駆動パルス電圧側ま
    たはGND電位側に切り換える共通スイッチング手段
    と、 前記容量性手段の個別端子の電位を駆動パルス電圧側ま
    たはGND電位側にそれぞれ切り換える複数の個別スイ
    ッチング手段と、 前記容量性手段を変形させ前記ノズルから吐出させると
    き前記共通端子と前記個別端子のうち一方の電位を駆動
    パルス電圧側に接続し他方をGND電位側に接続し、前
    記容量性手段を非吐出にするとき前記共通端子と前記個
    別端子とを同電位に接続するよう、前記共通スイッチン
    グ手段と前記個別スイッチング手段とを制御する制御手
    段と、 を設けたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 前記共通端子を有する導電性の第1の基
    板と、 前記第1の基板と略平行に設けられた第2の基板と、を
    備え、 前記第2の基板は、前記個別端子と、前記個別端子と前
    記個別スイッチング手段とをそれぞれ接続する複数の個
    別電極と、を有することを特徴とする請求項記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  9. 【請求項9】 前記共通スイッチング手段は、前記容量
    性手段の共通端子の電位を駆動パルス電圧側またはGN
    D電位側に接続されたとき、第1のオン抵抗を有し、 前記個別スイッチング手段は、前記容量性手段の個別端
    子のそれぞれの電位を駆動パルス電圧側またはGND電
    位側に接続されたとき、それぞれ第2のオン抵抗を有
    し、 全吐出ノズル数を前記共通スイッチング手段の第1のオ
    ン抵抗に乗じた値は、前記個別スイッチング手段の第2
    のオン抵抗と個別電極の抵抗値との和より小であること
    を特徴とする請求項記載のインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】 前記複数の個別スイッチング手段の第
    2のオン抵抗をそれぞれ等しくしたことを特徴とする請
    求項記載のインクジェット記録装置。
  11. 【請求項11】 前記容量性手段は、共通端子側が前記
    第1の基板に設けられた複数の振動板であり、個別端子
    側が前記振動板に対しそれぞれ所定の間隙を有して配設
    され前記第2の基板に設けられた個別端子であることを
    特徴とする請求項記載のインクジェット記録装置。
  12. 【請求項12】 前記共通スイッチング手段から前記複
    数の振動板までの抵抗値をそれぞれ等しくしてなること
    を特徴とする請求項11記載のインクジェット記録装
    置。
  13. 【請求項13】 前記個別スイッチング手段から前記個
    別端子までの抵抗値をそれぞれ等しくしてなることを特
    徴とする請求項11記載のインクジェット記録装置。
  14. 【請求項14】 前記共通スイッチング手段と前記個別
    スイッチング手段とは、CMOSIC内に形成されてな
    ることを特徴とする請求項記載のインクジェット記録
    装置。
  15. 【請求項15】 前記駆動パルス電圧は、前記CMOS
    ICの外部より入力されてなることを特徴とする請求項
    14記載のインクジェット記録装置。
  16. 【請求項16】 前記CMOSIC内部の共通スイッチ
    ング手段または個別スイッチング手段は、トランスミッ
    ションゲートより構成されることを特徴とする請求項
    記載のインクジェット記録装置。
  17. 【請求項17】 出ノズル数を検出する検出手段を設
    けたことを特徴とする請求項記載のインクジェット記
    録装置。
  18. 【請求項18】 一端が共通端子に接続され他端がそれ
    ぞれ個別端子に接続される容量性手段に印加する駆動パ
    ルス電圧を制御し、インク滴の吐出または非吐出状態を
    制御するインクジェットヘッド駆動用半導体装置におい
    て、 前記容量性手段の共通端子の電位を駆動パルス電圧側ま
    たはGND電位側に切り換える共通スイッチング手段
    と、 前記容量性手段の個別端子の電位を駆動パルス電圧側ま
    たはGND電位側にそれぞれ切り換える複数の個別スイ
    ッチング手段と、 前記容量性手段を変形させインク滴を吐出させるとき前
    記共通端子と前記個別端子のうち一方の電位を駆動パル
    ス電圧側に接続し他方をGND電位側に接続し、前記容
    量性手段を非吐出にするとき前記共通端子と前記個別端
    子とを同電位に接続するよう、前記共通スイッチング手
    段と前記個別スイッチング手段とを制御する制御手段
    と、 を備えたことを特徴とするインクジェットヘッド駆動用
    半導体装置。
  19. 【請求項19】 前記インクジェットヘッド駆動用半導
    体装置は、CMOSICであり、 前記共通スイッチング手段のオン抵抗を小さくするよ
    う、CMOSIC内部の共通トランジスタサイズを個別
    スイッチング手段の個別トランジスタサイズより大きく
    したことを特徴とする請求項18記載のインクジェット
    ヘッド駆動用半導体装置。
  20. 【請求項20】 前記共通スイッチング手段のオン抵抗
    は、43Ω以下であることを特徴とする請求項19記載
    のインクジェットヘッド駆動用半導体装置。
  21. 【請求項21】 請求項18または請求項19記載のイ
    ンクジェットヘッド駆動用半導体装置を備えたことを特
    徴とするインクジェット記録装置。
  22. 【請求項22】 パルス電圧が印加されることにより変
    形する複数の容量性手段と、 該容量性手段が変形することによりそれぞれインク滴を
    吐出するノズルと、 を有するインクジェットヘッドにおいて、 前記複数の容量性手段は、一端が共通端子に接続され、
    他端がそれぞれ個別端子に接続され、 前記容量性手段の共通端子の電位を駆動パルス電圧側ま
    たはGND電位側に切り換える共通スイッチング手段
    と、 前記容量性手段の個別端子の電位を駆動パルス電圧側ま
    たはGND電位側にそれぞれ切り換える複数の個別スイ
    ッチング手段と、 前記容量性手段を変形させ前記ノズルから吐出させると
    き前記共通端子と前記個別端子のうち一方の電位を駆動
    パルス電圧側に接続し他方をGND電位側に接続し、前
    記容量性手段を非吐出にするとき前記共通端子と前記個
    別端子とを同電位に接続するよう、前記共通スイッチン
    グ手段と前記個別スイッチング手段とを制御する制御手
    段と、 を設けたことを特徴とするインクジェットヘッド。
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