JP4042300B2 - インクジェットヘッドの駆動制御方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクノズルに連通したインク室の周壁に形成した振動板を静電気力によって振動させることによりインクノズルからインク液滴の吐出を行う形式のインクジェットヘッドの駆動制御方法および装置に関するものである。さらに詳しくは、この形式のインクジェットヘッドにおいて、1画素を複数回のインク液滴の吐出により構成する形式のインクジェットヘッドの駆動制御方法に関し、周囲環境温度の変化に影響されることなく適切なインク液滴の吐出動作を行い、安定した印字濃度が確保可能なインクジェットヘッドの駆動制御方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
静電気力を利用してインクを貯留したインク室の容積を変化させて、インク液滴の吐出を行う形式のインクジェットヘッドとしては、例えば、特開平6−71882号、同6−55732号、同5−50601号の各公報に記載されたものが従来知られている。
【0003】
これらのインクジェットヘッドにおいて、印刷画像の品位を一定に保持するためには、吐出するインク液滴の質量、吐出速度の安定化と、さらには、1画素を構成するインク液滴の質量の安定化が必要である。
【0004】
これらの課題に対処するために、複数のインク液滴の吐出により1画素を記録するインクジェット記録方法として、特開平10−278309号の公報に記載されたものが従来知られている。
【0005】
上記の特開平10−278309号においては、環境温度に応じてインクの吐出回数を制御して記録品質を高めるものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来のインクジェットヘッドの駆動制御方法を、前述の静電気力を利用してインクを貯留したインク室の容積を変化させて、インク液滴の吐出を行う形式のインクジェットヘッドに適用した場合には、更に、次のような解決すべき課題がある。
【0007】
インクジェットヘッド周囲の環境温度が変化すると、インクの粘度の変化と共に、ヘッドに印加される駆動電圧パルスのパルス幅及び電圧の変化に対するインク液滴質量変動の特性が変わる。同パルス幅を固定の値とした場合は、吐出回数を制御し、1画素を形成する複数のインク液滴の合計質量を所望の値に合わせるようにしても、各インク液滴が不安定な吐出となるパルス幅の領域が発生し、所望の画素の大きさ、濃さを一定に保てず、印刷結果の品質を一定に保つことができなくなってしまったり、さらには、印刷不能になってしまうという課題を有していた。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、インク室容積を増減させてインクノズルからインク液滴を吐出させる形式のインクジェットヘッドにおいて、1画素を複数回のインク液滴の吐出により構成する際に、インクジェットヘッドの周囲環境温度が変化した場合でも、各インク液滴を安定的に吐出し、かつ、1画素を形成する複数のインク液滴の合計質量を安定的に制御することが可能なインクジェットヘッドの駆動制御方法を提供する事にある。
【0009】
更には、画素の大きさを様々に変調可能であり、階調印刷が可能で、品質が高く美しい印刷結果が安定して得られる駆動制御装置を提案し、印刷装置を提供可能とすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、インク液滴を吐出するインクノズルと、当該インクノズルに連通していると共にインクを保持しているインク室と、当該インク室に形成された変位可能な振動板と、当該振動板と対峙する基板上に形成された対向電極とを有し、前記振動板と前記対向電極の間にパルス状の電気信号を印加して前記振動板を変形させて前記インクノズルからインク液滴を吐出させ、1画素を複数回のインク吐出により構成するインクジェットヘッドの駆動制御方法において、
前記インクジェットヘッドの所定の周囲環境温度における吐出インク質量がピークとなるパルス幅をパルス初期値とし、周囲環境温度において吐出インク質量がピークとなるパルス幅と前記パルス初期値の差をパルス補正値として設定し、
前記インクジェットヘッドの周囲環境温度を検出し、検出された温度に基づく前記パルス幅補正値を決定し、検出された周囲環境温度における吐出インク質量がピークとなるように、前記パルス初期値に検出された周囲環境温度に対応する前記パルス補正値を加算して求まったパルス幅を補正パルス幅として前記対向電極に印加して振動板を駆動することを特徴とする。
【0011】
更に、本発明のインクジェットヘッドの駆動制御方法および装置は、検出された温度に基づき、前記パルス状の電気信号のパルス数補正値を決定し、予め設定されている前記パルス状の電気信号のパルス数初期値に前記パルス数補正値を加算して求まった補正パルス数で前記パルス状の電気信号を前記対向電極間に印加して駆動することを特徴とする。
【0012】
インクジェットヘッドが置かれている環境の周囲温度を検出し、検出された周囲温度に対応付けてパルス数補正値を算出し、予め設定されているパルス数初期値と対応付けられたパルス数補正値とから求まった1画素当たりの補正パルス数をパルス状の電気信号を対向電極間に印加する。つまり、上記温度検出と駆動制御により、1画素当たりに対向電極間に印加するパルス状の電気信号のパルス数を周囲の環境温度に対応して変化させることが可能となり、1画素当たりの振動板の変形回数を変化させ、しいては、吐出インク滴の吐出回数を変化させ、1画素当たりの吐出インク質量を変化させることができるため、周囲の環境温度が変化しても、吐出インク質量を略一定の値に保持することが可能となる。
【0013】
また、前記インクジェットヘッドの所定の周囲環境温度における吐出インク質量がピークとなるパルス幅をパルス初期値とし、周囲環境温度において吐出インク質量がピークとなるパルス幅と前記パルス初期値の差をパルス補正値として設定し、
前記インクジェットヘッドの周囲環境温度を検出し、検出された温度に基づく前記パルス幅補正値を決定し、検出された周囲環境温度における吐出インク質量がピークとなるように、前記パルス初期値に検出された周囲環境温度に対応する前記パルス補正値を加算して求まったパルス幅を補正パルス幅として前記対向電極に印加して振動板を駆動することを特徴とする。
【0014】
温度検出と駆動制御により、1画素当たりの吐出インク滴の吐出回数を変化させることができるため、インクジェットヘッドの周囲の環境温度が変化しても、吐出インク質量を略一定の値に保持することが可能となるインクジェットヘッドの駆動制御装置を容易に実現可能となる。従って、紙等の被記録媒体上に着弾するインク滴の質量が一定であり、被記録媒体上の印字濃度も略一定にすることが可能で、周囲の環境温度に影響されること無く、安定した印刷品位を確保できるインクジェット記録装置の提案も可能となる。
【0015】
インクジェットヘッドが置かれている環境の周囲温度を検出し、検出された周囲温度に対応付けてパルス幅補正値を算出し、予め設定されているパルス幅初期値と対応付けられたパルス幅補正値とから求まったパルス幅を設定済みの補正パルス数の回数分、パルス状の電気信号を対向電極間に印加する。つまり、上記温度検出と駆動制御により、対向電極間に印加するパルス状の電気信号のパルス幅を周囲の環境温度に対応して変化させることが可能で、各環境温度において安定的にインク滴が吐出するパルス幅領域にて吐出可能となり、周囲の環境温度が変化しても、吐出インク滴の飛翔状態を安定的に保つことが可能となる。従って、周囲の環境温度に影響されること無く、安定した印刷品位を確保できるインクジェット記録装置の提案が可能となる。
【0016】
また、更に、インク吐出をおこなわせる複数回の前記パスル状の電気信号の電圧波形またはパルスの数は、1画素単位で設定されていることを特徴とする。
【0017】
加えて、前記インクノズルからインク液滴を吐出させる前記パルス状の電気信号によって前記対向電極間に生ずる電界の極性が、異なる1対又は複数対のパルス状の電気信号を印加することを特徴とする。
【0018】
異なる一対あるいは複数対のパルス状の電気信号を印加することにより、静電気力を用いて振動板を変形させることによりインク液滴の吐出を行なう形式のインクジェットヘッド特有の駆動制御方法である正逆交互駆動にも対応可能となり、静電気力を用いたインクジェットヘッドにおいても、周囲の環境温度が変化しても、吐出インク質量を略一定の値に保持することが可能となる。従って、周囲の環境温度に影響されること無く、安定した印刷品位を確保できるインクジェット記録装置の提案も可能となる。
【0019】
更に加えて、前期温度補償値算出工程は、前記温度検出工程にて検出された温度が、前記パルス状の電気信号のパルス数初期値を設定した時の温度以下の場合は、前記パルス数補正値を正の整数に算出することを特徴とする。
【0020】
温度補償値算出工程は、温度検出工程にて検出された温度が、パルス数初期値を設定した時の温度以下の場合は、パルス数補正値を正の整数に算出し、補正パルス数をパルス数初期値より多いパルス数に補正する。インクジェットヘッドで用いるインクは環境温度の変化に伴い粘度も変化し、環境温度が低下すると粘度は高くなる。つまり、吐出するインク滴質量が減少し、被記録媒体上の印字濃度が薄くなる。そこで、環境温度が低下する場合には、吐出インク滴の吐出回数を増加し、印字濃度の低下を抑え、安定した印字濃度を保持できる。従って、周囲の環境温度に影響されること無く、安定した印刷品位を確保できるインクジェット記録装置の提案も可能となる。
【0021】
また、更に加えて、前記インクジェットヘッドの周囲環境温度とパルス数補正値の対応テーブルを記憶した記憶部を備え、検出された温度に対応するパルス数補正値を前記対応テーブルから検索出力するようになっていることを特徴とする。
【0022】
前記記憶部は、温度とパルス数補正値とを対応付けたテーブルを記憶し、検出された温度に対応するパルス数補正値を対応テーブルから検索し、検索されたパルス数補正値とパルス数初期値とから求まった補正パルス数をパルス状の電気信号を対向電極間に印加し、環境温度の変化に伴って吐出インク滴の吐出回数を変化することが可能となる。
【0023】
さらには、1画素単位でパルス数補正値、パルス数初期値を設定することにより、印刷するパターン、文字等変化に影響されず、上記対応テーブルを容易に作製可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1に本発明による駆動制御対象のインクジェットヘッドの構成を示し、その流路及びアクチュエータの断面を示す。図1に示されるように、この形式のインクジェットヘッド100は、3枚の半導体基板102、103とガラス基板104の3枚の基板を積層して、その中間の半導体基板102に複数のインクノズル105および各インクノズル105に連通する独立したインク室106を区画形成すると共に、各インク室106の底壁を面外方向に振動可能な振動板107としてある。各振動板107は共通電極として機能し、これに対峙する下側の半導体基板104によって規定される対向板108の部分に対向電極109を形成してある。これらの電極間に駆動電圧(パルス状の電気信号)を印加することによって発生する静電気力を利用して、振動板107を振動(駆動)させるようになっている。振動板107の振動によって、インク室106の容積が増減し、これによってインク室106内に発生するインク圧力の変動に基づき、インク室106に連通しているインクノズル105からインク液滴110が吐出される。
【0025】
本発明の制御対象のインクジェットヘッドでは、図1に示された流路及び、アクチュエータが同一形状寸法にて同一ヘッド内に64構成され、インクノズル105が64ある64ノズル構成となっている。64のノズル105から選択してインク液滴を吐出させて駆動制御することにより、文字や画像を印刷する。
【0026】
図1に示したインクジェットヘッドの例では、対向電極109と振動板107との距離は一定となったアクチュエータの構成としたが、必要に応じて、この距離を同一アクチュエータ内で変化させる構造としてもよい。対向電極109の形状を段付き形状として、対向電極109と振動板107を非平行となる構造とし、振動板107の一部を部分的に振動させることにより、インク質量がさらに小さなインク液滴吐出が可能となり、1画素当たりのインク質量を調整可能となる。
【0027】
また、本例のインクジェットヘッド100は、静電気力を利用して振動板を吸引、振動させることによりノズルに連通したインク室の容積を変化させてインク液滴の吐出を行なう形式のものである。勿論、圧電素子等を利用してノズルに連通したインク室の容積を変化させてインク液滴の吐出を行なう形式のものを採用することもできる。本例では、基板103上面に設けたノズル孔からインク液滴を吐出させるフェイスイジェクトタイプであるが、インク液滴を基板の端部に設けたノズル孔から吐出させるエッジイジェクトタイプでもよい。
【0028】
図2は、本発明を適用したインクジェットヘッドの駆動制御装置の概略ブロック図である。この図に示す駆動制御装置1により駆動制御されるインクジェットヘッドは図1に示すものと同一であるので、同一の符号を付してその説明は省略するものとする。
【0029】
インクジェットヘッドの駆動制御装置1はインクジェットヘッド制御部2を有し、このインクジェットヘッド制御部2は、CPUを中心に構成されている。すなわち、CPUには外部装置3からバスを介して印刷情報が供給される。CPUには、内部バスを介してROM、RAMおよびキャラクタジェネレータ4が接続されており、RAM内の記憶領域を作業領域として用いて、ROM内に格納されている制御プログラムを実行し、キャラクタージェネレータ4から発生するキャラクター情報に基づき、インクジェットヘッド駆動用の制御信号を生成する。ゲートアレイ5はCPUから制御信号によりヘッドドライバIC9へ印刷情報に対応した駆動制御信号を供給するとともに、駆動電圧パルス発生回路6へ、駆動電圧パルスを生成するための制御信号を供給する。
【0030】
駆動電圧パルス発生回路6は論理ゲートアレイ5から制御信号を供給されて、駆動電圧パルスを発生し、ヘッドドライバIC9へ駆動パルスを供給する。駆動電圧パルス発生回路6ではデジタル情報としての制御信号をD/A(デジタル−アナログ)変換器によりアナログの駆動電圧パルス波形へと変換する。すなわち、駆動電圧パルス発生回路6では駆動電圧パルスのパルス幅、電圧、パルスの立ち上がり時間、立ち下がり時間等パルス信号波形生成条件に関する制御信号より、駆動パルス波形を生成する。駆動パルス発生回路6をD/A変換器にて構成することにより、駆動電圧パルス波形を精度良く生成するには、波形の分解能を上げるために使用するD/A変換器のビット数を増やすのみでよいので、駆動電圧パルス波形の精度を容易に向上することが可能である。駆動パルス発生回路6をRC回路により構成してもよい。駆動パルス発生回路6をRC回路により構成すれば、D/A変換器により構成する場合より安価な回路構成とすることが可能である。
【0031】
駆動制御信号および駆動電圧パルスはコネクタ7を経由して、ヘッド基板8に形成されたヘッドドライバIC9に供給される。ヘッドドライバIC9は電源回路10から高電圧系の駆動電圧Vhおよび論理回路系の駆動電圧Vccを供給されて動作し、供給された駆動制御信号により、駆動電圧パルスとGND電位を切り換えて、インクジェットヘッド100の各インクノズルに対応する対向電極間に印加する。この結果、対向電極間に駆動パルスによる電位差が生じたインクノズルからインク液滴が吐出される。
【0032】
図3は駆動電圧パルス発生回路6で生成される駆動電圧パルスVpの基本パルスである、駆動パルスPwの電圧波形を示す。
【0033】
本発明では、駆動対象のインクノズル105に複数の合計k回の吐出を行わせ、1画素を構成するようにしている。駆動パルスPwは1回のパルス印加で、1ショットのインク液滴をインクノズルより吐出する。Pwn(n=1,2,・・・k)は、n回目の吐出を行うための駆動電圧パルスPw(n)のパルス幅であり、 Pwin(n=1,2,・・・k−1)は、n回目とn+1回目の吐出を行うための駆動電圧パルスPw(n)とPw(n+1)の時間間隔である。
【0034】
また、V(n)は駆動パルスPw(n)の駆動電圧である。ここで、Pwinは固有振動周期とPwn分の時間間隔以上に設定される。以下に詳説する。
【0035】
n=1の時の吐出後、すなわち、Pw(1)を印加し、1回目のインク液滴吐出直後のメニスカスの挙動から、従来の駆動ではメニスカスが復元するまでは本来Pw(2)を印加して吐出を行うことは不可能であった。しかしながら、高速な印刷を実現するためには、メニスカスが復元するのを待たずにPw(2)を印加吐出させることが必要とされた。
【0036】
そこで、パルス間隔時間Pwinの設定方法及び、1回目と2回目及びそれ以降のパルス幅時間Pwnまたは駆動電圧V(n)の設定について吐出特性が印刷結果の品質にとって最適となるように各々個別に設定することにした。
【0037】
パルス間隔時間Pwinは、T0を固有周期とすると、
Pwin≧Pw(n)+T0
と設定することができる。これは、発明者らの観測に依れば、インク滴がインクノズルから吐出して切れるまでの時間がPwn+T0に相当することから、経験的に上述の関係にてPwinを設定することが、インク滴の安定吐出に必要であることが発見されたためである。ここでT0とはインク流路の電圧印加時の固有振動周期であって、インク室とインクノズル等で構成されるインク流路のインクの音響定数であるイナータンスとインクの圧縮率やインク流路周壁のコンプライアンスにより主に決定される。
【0038】
図3には2回の吐出を行う駆動パルスPwを示してあり、その駆動波形について説明している。例えば、駆動パルスPw(2)による2回目のインク吐出を安定的に行わせ、1回目と2回目の吐出時間差を最も短くするために、Pwi1=Pw1+T0に設定される。
【0039】
Pwcn(n=1,2,・・・k)はPw(n)の充電時間を規制する充電間隔で、Pwdn(n=1,2,・・・k)はPw(n)の放電時間を規制する放電時間である。
【0040】
駆動パルスPwの波形の内、駆動パルス幅Pwnは、インクジェットヘッドの流路の寸法諸元によるところが大きい。図1に示された、インクジェットヘッドの実施形態おいては、インクノズルのノズル形状が円形であり、その径が20μm、インク室106の幅が45μm 、長さが3mm、深さが178μmである。又、振動板107の幅はインク室106と同じく45μmで、厚みは0.8μmである。振動板107と対向電極109の間隔は0.175μmであり、振動板107と対向電極109の間の振動板107の表面には熱酸化膜が敷設されていて(熱酸化膜は図示されていない)、駆動電圧が印加されても壊れないようになっている。
【0041】
図3に示された駆動電圧パルスVpでは、図1に示すインクジェットヘッドで2回の吐出で1画素を構成し、25℃で、振動板107と対向電極109が当接する条件にて駆動する場合は、V(n)=、V1=、V2=27Vにて、Pw1=、Pw2=10μ秒、Pwi1=50μ秒、Pwc1=、Pwc2=2μ秒、Pwd1=、Pwd2=1μ秒と設定して、駆動制御することにより、インク液滴を吐出することが可能であった。
【0042】
Pwnは前述のインクジェットヘッドの流路の諸元の中では、振動板107が変位するのに所要する時間と変位してからインク室106内のインクの圧力が最も高くなるまでの時間により決まる。図1にて説明されるインクジェットヘッドの実施形態においては、振動板107が対向電極109に当接する場合、Pw(n)は振動板107が対向電極109に当接するまでの時間と振動板107が当接中のインク室106内部のインクの応答時間によって決まる。当接中のインク室106の応答時間はインク流路周壁のコンプライアンスとインク室106内のインクのイナータンスによって決まる。つまり、インク室の寸法諸元によりその多くが決まる。
【0043】
これは、振動板107が対向電極109に当接する構造と制御方法を有するインクジェットヘッドでは各Pwnは大きくその値が変わることがなく、インクジェットヘッドのインク流路の寸法が決まればほぼ決定することができることを意味している。更にこの場合、インクジェットヘッドの製造ばらつきによってPwnが大きく変わることがなく、Pwnの設定が容易であるばかりでなく、印刷品位も安定して確保することが可能であるという利点を有する。
【0044】
1画素の形成に複数回の駆動電圧パルスを設定することにおいて、その駆動電圧は、正逆交互駆動の実施形態でも可能である。正逆交互駆動とは、静電気力を用いて振動板107を変形させることによりインク液滴の吐出を行なう形式のインクジェットヘッドの駆動方法であって、振動板107に残留する残留電荷の影響を排除して常に良好なインク液滴の吐出動作を行なうことを目的として行われるインクジェットヘッドの駆動制御方法であり、本出願人による別の発明である。
【0045】
振動板107と対抗電極109の間に第1の極性の電圧を印加する第1の駆動形態で振動板107を変形させてノズル105からインク液滴の吐出を行なわせると共に、少なくとも1回の第1の駆動形態によるインク液滴の吐出動作毎に、振動板107と対抗電極109の間に第1の極性とは逆の第2の極性の電圧を印加する第2の駆動形態で振動板107を変形させてノズル105からインク液滴の吐出を行なわせるインクジェットヘッドの駆動方法に於て、第1および第2の駆動形態によるインク液滴の吐出動作を交互に行い、連続して行なわれるこれら第1および第2の駆動形態による2回のインク液滴の吐出動作により、1ドット印字を記録媒体上に順次に形成していくことを特徴とするインクジェットヘッドの駆動方法である。
【0046】
第1の駆動形態と第2の駆動形態における駆動パルス幅が異なることにより、電荷の蓄積が懸念されるので、例えば、駆動パス毎に更に、振動板107と対抗電極109の間に印加する電圧の極性が入れ替わるように工夫する。これにより、第1の駆動形態と第2の駆動形態における駆動パルス幅が異なることにより振動板に残留する残留電荷の蓄積は抑制され、その影響は実用上無視できるレベルとなる。又、この場合は、1画素を形成する吐出の回数は偶数回とするのが好ましい。
【0047】
図3に示された駆動電圧パルスVpは、前述の駆動パルス発生回路6の少なくとも1つのD/A変換器又はRC回路を用いて生成可能である。
【0048】
図4は、図2のブロック図に示された、本発明を適用したヘッドドライバIC9の内部の概略ブロック図である。ヘッドドライバIC9は電源回路10から高電圧系の駆動電圧Vhおよび論理回路系の駆動電圧Vccを供給されて動作するCMOSの64ビット出力の高耐圧ドライバである。ヘッドドライバIC9は、供給された駆動制御信号により、駆動電圧パルスとGND電位を切り換えて、インクジェットヘッド100の各インクノズルに対応する対向電極間に印加する。
【0049】
図4において、91は64ビットのシフトレジスタであり、シリアルデータとして論理ゲートアレイ5より送信された64ビット長のDI信号入力を、DI信号に同期する基本クロックパルスであるところのXSCLパルス信号入力によりデータをシフトアップし、シフトレジスタ91内のレジスタに格納するスタティクシフトレジスタとなっている。DI信号は、64のノズルの各ノズルの選択情報をON/OFFによる制御信号がシリアルデータとして送信される。
【0050】
92は64ビットのラッチ回路であり、シフトレジスタ61内に格納された64ビットデータをラッチパルスLPによりラッチしてデータを格納し、格納されたデータを、64ビット反転回路93に信号出力するスタティクラッチである。ラッチ回路92では、シリアルデータのDI信号が各ノズルの駆動を行なうための64のセグメント出力を行なうための64ビットのパラレルの信号へと変換される。
【0051】
反転回路93では、ラッチ回路92から入力される信号と、REV信号との排他的論理和をレベルシフタ94へ出力する。レベルシフタ94は、反転回路93からの信号の電圧レベルをロジック系の電圧レベル(5Vレベル又は3.3Vレベル)からヘッド駆動系の電圧レベル(0V〜45Vレベル)に変換するレベルインターフェイス回路である。
【0052】
SEGドライバ95は64チャンネルのドランスミッションゲート出力となっていて、レベルシフタ94の入力により、SEG1〜SEG64のセグメント出力に対して、駆動電圧パルスVp入力か又はGND入力かの何れかを出力する。COMドライバは、REV入力に対して、駆動電圧パルスVp入力か又はGND入力かの何れかをCOMへ出力する。
【0053】
XSCL、DI、LPとREVの各信号は、ロジック系の電圧レベルの信号であり、論理ゲートアレイ5よりヘッドドライバIC9に送信される信号である。
【0054】
このように、ヘッドドライバIC9を構成することにより、駆動するセグメント数(ノズル数)が増加した場合においても容易にヘッドの各ノズルの駆動する駆動電圧パルスVpとGNDとを切り換え、かつ前述の正逆交互駆動を容易に実現することが可能となる。
【0055】
図5は、本発明のインクジェットヘッドの駆動方法における駆動制御信号パルスおよび駆動電圧パルス信号の実施例を示すタイミングーチャートである。
【0056】
本実施例では、最大8の駆動パルスにより、1画素(1ドット)を形成する。駆動パルスPwはPw(1)とPw(2)、Pw(3)とPw(4)、Pw(5)とPw(6)、Pw(7)とPw(8)がそれぞれ対を成し、ショットセットSsを構成している。ショットセットSsは前述の各駆動パルスPwの対に対して、それぞれ、Ss(1)、Ss(2)、Ss(3)、Ss(4)となっている。即ち図5に示された実施例のタイミングチャートによれば、最大8ショットのインク液滴の吐出が可能で、4つのショットセットSsにより非駆動の場合を含めて4種類の画素(ドット)変調による階調印刷が可能であり、一連の駆動電圧パルスVpにより、1つのインクノズルから吐出する各インク液滴のショットセットSsの数を選択することにより変調された1画素を構成する。
【0057】
本例では1つのショットセットSsを対を成す2つのショットで構成しているが、1つのショットセットを構成するショット数はいくつでも可能である。本例では正逆交互駆動を適用したので、1ショットセットを構成するショット数は偶数ショットであることが好ましく、更には、階調を最も細かく構成するためには、1ショットセットを構成するショット数は2ショットであることが好ましい。
【0058】
また、正逆交互駆動以外に、振動板107の残留電荷が多少影響する可能性が有るが、正逆逆、逆正正の様に1セットショットを3ショットで構成した場合も今のところ問題が無いことがわかっているため、有効な手段の一つである。
【0059】
各ショットセットの選択は、ゲートアレイ5より、ヘッドドライバIC9にラッチパルスLPを各ショットセットSs毎に入力して、DI信号入力により、セグメント出力の選択を行なうことにより行なう。
【0060】
本例において、1画素の濃度が最も濃くなるのは、ショットセットSs(1)〜Ss(4)までの全てのショットセットSsの選択を行なった場合であり、この場合、8ショットのインク液滴がインクノズルより吐出する(セグメント出力1の吐出パターン)。
【0061】
セグメント出力2には、セグメント出力1の吐出パターンの次に画素の濃度が濃くなる、6ショットのインク液滴の吐出を行なう吐出パターンが示されている。セグメント出力2では、ショットセットSs(2)とSs(3)とSs(4)の3つのショットセットSsを選択する。Ss(1)は選択されないので、共通電極(COM)出力とセグメント出力では同電位となっていてインク液滴が吐出されない。6ショットのインク液滴の吐出を行なうためにはこの他に、ショットセットSs(1)とSs(3)とSs(4)、ショットセットSs(1)とSs(2)とSs(4)、ショットセットSs(1)とSs(2)とSs(3)の組み合わせを選択することも可能である。
【0062】
非駆動の場合はセグメント出力3に示す駆動パターンの様に何れのショットセットも駆動しない。この場合のセグメント出力は共通電極(COM)の出力と同じ出力となって振動板は駆動されず、インク液滴も吐出されない。
【0063】
一方、再び図2を参照して説明すると、本例のインクジェットヘッドの駆動制御装置1のインクジェットヘッド制御部2は温度検出回路14を備えている。この温度検出回路14は、コネクタ7を介してヘッド基板8の表面に搭載した温度検出素子であるサーミスタ15に接続されている。従って、インクジェットヘッド100の周囲の環境温度変化は、サーミスタ15の抵抗値変化として温度検出回路14において検出される。検出された抵抗値変化は、当該温度検出回路14でA/D変換された後に、入出力ポートI/Oを介してCPUに供給される。
【0064】
ROM内には、予め、インクジェットヘッドの周囲温度と、駆動電圧のパルス幅補正値dPw及びパルス数補正値dSsとの対応テーブルが格納されている。
【0065】
例えば、図6(A)の表に示すように、周囲温度とサーミスタ抵抗値とパルス幅補正値dPwが対応関係にあり、同様にして、図6(B)の表では、周囲温度とサーミスタ抵抗値とパルス数補正値dSsの対応関係を示している。
【0066】
インクジェットヘッド制御部2のCPUは、検出した温度に対応するパルス幅補正値dPwを対応テーブルから検索出力させて、RAM内に展開する。この結果、インクジェットヘッド100の駆動電圧のパルス幅Pwは次式のように、インクジェットヘッドの周囲温度および予め設定されているパルス幅初期値Pwsに基づき、次式(1)のように算出される。
【0067】
Pw=Pws+dPw (1)
同様にして、インクジェットヘッド制御部2のCPUは、検出した温度に対応するパルス数補正値dSsを対応テーブルから検索出力させて、RAM内に展開する。この結果、インクジェットヘッド100の駆動電圧のパルス数Ssは次式のように、インクジェットヘッドの周囲温度および予め設定されているパルス数初期値Sssに基づき、次式(2)のように算出される。
【0068】
Ss=Sss+dSs (2)
具体的にどのように周囲温度に対するパルス幅補正値を設定しているかを以下に示す。
【0069】
図7のグラフは、本発明を適用するインクジェットヘッドの駆動電圧のパルス幅に対する各周囲温度中におけるインクジェットヘッド100の1ショット当たりの吐出インク液滴の質量を示している。この時、パルス幅初期値Pwsを周囲温度25℃にてインク液滴の質量がピーク値となるパルス幅付近の10μ秒と設定する。周囲温度10℃においては、インク液滴の質量がピーク値となるパルス幅は約9μ秒であるため、10℃におけるパルス幅補正値dPwを−1μ秒と設定する。また、周囲温度40℃においては、インク液滴の質量がピーク値となるパルス幅は約12μ秒であるため、40℃におけるパルス幅補正値dPwを2μ秒と設定する。同様にして、上記周囲温度以外のインク液滴の質量特性の結果より、前記周囲温度以外のパルス幅補正値dPwを設定すると、図6(A)に示す表の通りとなり、この表に対応した対応テーブルを用いる事により、各周囲温度において、駆動電圧のパルス幅に対するインクジェットヘッド100の吐出インク液滴の質量(あるいはインクスピード)のピーク値となるパルス幅にて、インク液滴の吐出が行われ、インク液滴の質量は異なるものの、各温度にて安定的なインク液滴の吐出が行われる事になる。
【0070】
図8のグラフは、本発明を適用しない場合における、1画素(dot)を3セットショット構成とした場合、言い換えると6ショット構成とした場合の、駆動電圧のパルス幅に対する各周囲温度中におけるインクジェットヘッド100の1画素当たりの吐出インク液滴の質量を示している。10℃から40℃の間において、インク液滴の質量の差は約12ngとなり、大きくばらつくことがわかる。
【0071】
プリンタに要求される印字品位として、認識可能な文字を印字する程度であれば不具合となる可能性が小さいものの、カラー印刷、さらには、写真並みの印字品位が要求されるプリンタとしては使用できないことがわかる。
【0072】
図9のグラフは、本発明を適用した場合における、1画素(dot)を構成するパルス数初期値を3セットショット構成とした場合、言い換えると6ショット構成とした場合の、駆動電圧のパルス幅に対する各周囲温度中におけるインクジェットヘッド100の1画素当たりの吐出インク液滴の質量を示している。10℃から40℃の間において、インク液滴の質量の差は約3ngとなり、ばらつきが小さくなっていることががわかる。
【0073】
以下に、どのようにして、周囲温度に対するパルス数補正値を設定しているかを示す。
【0074】
パルス数初期値Sssを、日常頻繁に使用される周囲温度付近の25℃にて、1画素当たりの所望のインク液滴質量(約42ng)となる様に、3ショットセットと設定する。周囲温度10℃においては、パルス数を3ショットセットとした場合は1画素当たりのインク液滴質量は約33ng、パルス数を4ショットセットとした場合は約44ngとなり、4ショットセットの場合が所望のインク液滴質量に近い値になるため、パルス幅補正値dPsを1と設定する。また、周囲温度40℃においては、パルス数を3ショットセットとした場合は1画素当たりのインク液滴質量は約45ng、パルス数を4ショットセットとした場合は約60ngとなり、3ショットセットの場合が所望のインク液滴質量に近い値になるため、パルス幅補正値dPsを0と設定する。同様にして、上記周囲温度以外のインク液滴の質量特性の結果より、前記周囲温度以外のパルス数補正値dSsを設定すると、図6(B)に示す表の通りとなる。この表に対応した対応テーブルを用いた結果、駆動電圧のパルス幅に対する各周囲温度中におけるインクジェットヘッド100の1画素当たりの吐出インク液滴の質量は約42ngから45ngの範囲に収まり、インクジェットヘッド周囲温度変化の影響を小さく抑えられる。
【0075】
前述にて、設定した周囲温度とサーミスタ抵抗値とパルス数補正値dSsの対応表を考慮して、周囲温度とサーミスタ抵抗値とパルス幅補正値dPwの対応表を0.1μ秒以下の単位にて微妙にパルス幅補正値dPwを設定し直すことにより、インクジェットヘッド周囲温度変化の影響を極僅かに抑えることも可能である。
【0076】
このように、本例のインクジェットヘッドの駆動制御装置1では、インクジェットヘッド100の周囲温度に基づき、インクジェットヘッド100の駆動電圧のパルス幅Pw及びパルス数Ssを補正しているので、温度変化に起因したインク吐出特性の変動を補償して、常に安定したインク吐出特性を得ることができる。
【0077】
温度検出のサンプリング周期は例えば2秒程度とするのが好ましい。また、印字行程中の補正パルス数dSs及び補正パルス幅dPwの変更は行わず、一旦、印刷工程終了後の、次の行程の印刷時に補正値の変更を行なう。
【0078】
また、補正時に補正値切り換え温度付近で頻繁な補正値の切り換えによる印刷濃淡の顕在化を抑制するために、補正時にヒステリシス特性を持たせることも良好な印刷結果を得る為に有効である。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインクジェットヘッドの駆動制御方法および装置においては、インク室容積を増減させてインクノズルからインク液滴を吐出させる形式のインクジェットヘッドにおいて、1画素を複数回のインク液滴の吐出により構成する際に、インクジェットヘッド100の周囲温度に基づき、インクジェットヘッド100の駆動電圧のパルス幅Pw及びパルス数Ssを補正しているので、温度変化に起因したインク吐出特性の変動を補償して、常に安定したインク吐出特性を得ることができる。
【0080】
更に、パルス数Ssの設定を1画素単位にて設定することにより、CPUからヘッドドライバIC9への制御信号の扱いも容易になるため、パルス幅Pw、パルス数Ssの補償も安定的に行われることになる。
【0081】
また、異なる一対あるいは複数対のパルス状の電気信号を印加することにより、静電気力を用いて振動板107を変形させることによりインク液滴の吐出を行なう形式のインクジェットヘッド特有の駆動制御方法である正逆交互駆動にも対応可能となり、静電気力を用いたインクジェットヘッドにおいても、温度変化に起因したインク吐出特性の変動を補償して、常に安定したインク吐出特性を得ることが可能となる。
【0082】
更に、ROM内に、予め、インクジェットヘッドの周囲温度と、駆動電圧のパルス幅補正値dPw及びパルス数補正値dSsとの対応テーブルが格納されているため、さらに、駆動電圧のパルス幅及びパルス数を容易かつ安定的に制御可能となり、常に安定したインク吐出特性を得ることが可能となる。
【0083】
更には、画素の大きさを様々に変調可能であり、階調印刷が可能で、品質が高く美しい印刷結果が安定して得られる駆動制御装置を提案し、印刷画像が鮮明で奇麗な印刷装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による駆動制御装置の制御対象のインクジェットヘッドの構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明を適用したインクジェットヘッドの駆動制御装置の制御系の概略ブロック図である。
【図3】本発明を適用したインクジェットヘッドの駆動電圧パルス信号を示す信号波形図である。
【図4】図2におけるドライバICの内部の概略ブロック図である。
【図5】本発明を適用したインクジェットヘッドの駆動制御方法を示すタイミングチャートである。
【図6】(A)は本発明を適用したインクジェットヘッド周囲温度とサーミスタ抵抗値とパルス幅補正値の対応関係を示す表、(B)は本発明を適用したインクジェットヘッド周囲温度とサーミスタ抵抗値とパルス数補正値の対応関係を示す表である。
【図7】本発明の適用対象となるインクジェットヘッドの各インクジェットヘッド周囲温度におけるパルス幅に対する1ショット当たりのインク液滴の質量特性を示すグラフである。
【図8】本発明を適用しない場合の、各インクジェットヘッド周囲温度におけるパルス幅に対する1画素当たりのインク液滴の質量特性を示すグラフである。
【図9】本発明を適用した場合の、各インクジェットヘッド周囲温度におけるパルス幅に対する1画素当たりのインク液滴の質量特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッドの駆動制御装置
2 インクジェットヘッド制御部
6 駆動パルス発生回路
8 ヘッド基板
9 ヘッドドライバIC
14 温度検出回路
15 サーミスタ
100 インクジェットヘッド
105 インクノズル
106 インク室
107 振動板(電極)
108 対向板
109 電極
110 インク液滴
Claims (12)
- インク液滴を吐出するインクノズルと、当該インクノズルに連通していると共にインクを保持しているインク室と、当該インク室に形成された変位可能な振動板と、当該振動板と対峙する基板上に形成された対向電極とを有し、前記振動板と前記対向電極の間にパルス状の電気信号を印加して前記振動板を変形させて前記インクノズルからインク液滴を吐出させ、1画素を複数回のインク吐出により構成するインクジェットヘッドの駆動制御方法において、
前記インクジェットヘッドの所定の周囲温度において、前記パルス状の電気信号のパルス幅を変更し、吐出インク重量を各々測定することで、前記吐出インク質量がピークとなるパルス幅をパルス初期値として求め、周囲環境温度において吐出インク質量がピークとなるパルス幅と前記パルス初期値の差をパルス補正値として設定し、
前記インクジェットヘッドの周囲環境温度を検出し、検出された温度に基づく前記パルス幅補正値を決定し、検出された周囲環境温度における吐出インク質量がピークとなるように、前記パルス初期値に検出された周囲環境温度に対応する前記パルス補正値を加算して求まったパルス幅を補正パルス幅として前記対向電極に印加して振動板を駆動することを特徴とするインクジェットの駆動制御方法。 - 請求項1において、検出された温度に基づき、前記パルス状の電気信号のパルス数補正値を決定し、予め設定されている前記パルス状の電気信号のパルス数初期値に前記パルス数補正値を加算して求まった補正パルス数で前記パルス状の電気信号を前記対向電極間に印加して駆動することを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。
- 請求項1もしくは2において、インク吐出をおこなわせる複数回の前記パスル状の電気信号の電圧波形またはパルスの数は、1画素単位で設定されていることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。
- 請求項1乃至3において、前記インクノズルからインク液滴を吐出させる前記パルス状の電気信号によって前記対向電極間に生ずる電界の極性が、異なる1対又は複数対のパルス状の電気信号を印加することを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。
- 請求項1乃至4において、検出された温度が、前記パルス状の電気信号のパルス数初期値を設定した時の温度以下の場合は、前記パルス数補正値を正の整数に算出することを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。
- 請求項1乃至5において、前記インクジェットヘッドの周囲環境温度とパルス数補正値の対応テーブルを記憶した記憶部を備え、検出された温度に対応するパルス数補正値を前記対応テーブルから検索出力するようになっていることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。
- インク液滴を吐出するインクノズルと、当該インクノズルに連通していると共にインクを保持しているインク室と、当該インク室に形成された変位可能な振動板と、当該振動板と対峙する基板上に形成された対向電極とを有し、前記振動板と前記対向電極の間にパルス状の電気信号を印加して前記振動板を変形させて前記インクノズルからインク液滴を吐出させ、1画素を複数回のインク吐出により構成するインクジェットヘッドの駆動制御装置において、
前記インクジェットヘッドの所定の周囲温度において、前記パルス状の電気信号のパルス幅を変更し、吐出インク重量を各々測定することで、前記吐出インク質量がピークとなるパルス幅をパルス初期値として求め、周囲環境温度において吐出インク質量がピークとなるパルス幅と前記パルス初期値の差をパルス補正値として設定し、
前記インクジェットヘッドの周囲環境温度を検出し、検出された温度に基づく前記パルス幅補正値を決定し、検出された周囲環境温度における吐出インク質量がピークとなるように、前記パルス初期値に検出された周囲環境温度に対応する前記パルス補正値を加算して求まったパルス幅を補正パルス幅として前記対向電極に印加して振動板を駆動することを特徴とするインクジェットの駆動制御装置。 - 請求項7において、検出された温度に基づき、前記パルス状の電気信号のパルス数補正値を決定し、予め設定されている前記パルス状の電気信号のパルス数初期値に前記パルス数補正値を加算して求まった補正パルス数で前記パルス状の電気信号を前記対向電極間に印加して駆動することを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御装置。
- 請求項7もしくは8において、インク吐出をおこなわせる複数回の前記パルス状の電気信号の電圧波形またはパルスの数は、1画素単位で設定されていることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御装置。
- 請求項7乃至9において、前記インクノズルからインク液滴を吐出させる前記パルス状の電気信号によって前記対向電極間に生ずる電界の極性が、異なる1対又は複数対のパルス状の電気信号を印加することを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御装置。
- 請求項7乃至10において、検出された温度が、前記パルス状の電気信号のパルス数初期値を設定した時の温度以下の場合は、前記パルス数補正値を正の整数に算出することを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御装置。
- 請求項7乃至11において、前記インクジェットヘッドの周囲環境温度とパルス数補正値の対応テーブルを記憶した記憶部を備え、検出された温度に対応するパルス数補正値を前記対応テーブルから検索出力するようになっていることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御装置。
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