JP4237382B2 - インクジェットヘッドの駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印加電圧に応じて変形動作する圧電部材等のアクチュエータによりインク室内の圧力を変化させてインク吐出口からインク滴を吐出させるインクジェットヘッドの駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
隣接するインク室の隔壁を圧電部材等のアクチュエータで構成したオンディマンド方式のインクジェットヘッドが知られている。このヘッドは、隔壁で仕切られた多数のインク室を高密度に並べることが容易にできるという利点を有する。
【0003】
例えば、アクチュエータとして圧電部材を使用したインクジェットヘッドは、図14及び図15に示すように、2枚の長方形の圧電部材1、2を分極方向が互いに板厚方向で外側に向いて反対になるように張合わせ、これを圧電部材よりも誘電率の低い基板3の上に固着し、この圧電部材1、2を例えばダイヤモンドカッタを使用して一定の間隔で平行に同じ幅で、同じ深さ、同じ長さの複数の長溝を切削加工し、これによりインク室4を形成している。
【0004】
そして、インク室4の側面と底面に無電解ニッケルメッキにより電極5を形成し、さらにインク室4の後端から前記基板3の後部上面に同じく無電解ニッケルメッキにより電極6を形成し、基板3の後端上面に駆動回路を形成した回路基板7を接着固定している。
【0005】
前記圧電部材1、2のインク室4の上には、共通インク室8を構成する枠状部材9を接着固定し、その枠状部材9の上を共通インク室8に連通するインク供給口10を設けた天板11により閉塞している。また、前記各圧電部材1、2の先端に複数のインク吐出口12を設けたオリィフィスプレート13を接着剤で接着固定している。
【0006】
次に、このインクジェットヘッドの動作原理について説明する。
【0007】
5つのインク室4a、4b、4c、4d、4eに着目し、各インク室4a〜4eの電極5a〜5eを接地電位にした状態で中央のインク室4cの電極5cに正電圧を印加すると、圧電部材1、2は図中矢印で示すように分極方向が互いに外側に向いているため、図16の(a)に示すように、せん断歪みにより、インク室4cの両側面はインク室4cの容積を収縮するように内側に変形する。
【0008】
また、各インク室4a〜4eの電極5a〜5eを接地電位にした状態で中央のインク室4cに隣接するインク室4a、4b、4d、4eの電極5a、5b、5d、5eに正電圧を印加すると、図16の(b)に示すように、インク室4cの電極5cの両側面は逆にインク室4cの容積を拡大するように外側に変形する。
このようなインク室の変形を利用してインク室からインク滴を吐出させる。具体的には、インク室の容積を拡大して共通インク室8からこのインク室にインクを充填させた後、このインク室の容積を収縮させることでインク室内の圧力を高めインク吐出口12からインク滴を吐出させることになる。
【0009】
このインクジェットヘッドを実際に駆動させるにはインク室の電極に正電圧、負電圧に変化する駆動波形W1を印加することになる。なお、ここでは隣接したインク室をi−3、i−2、i−1、i、i+1、i+2、i+3として説明する。
【0010】
駆動波形W1は、図17に示すように、図18に示すようなインク室を拡大させる負電圧パルス(以下、拡大パルスと称する。)W2aとインク室を収縮させる正電圧パルス(以下、収縮パルスと称する。)W2bからなる駆動パルスの1つ又は複数からなり、複数の場合は駆動パルスが連続して連なっている。
【0011】
このような各インク室間の隔壁を圧電部材で構成したヘッドはシェアモードタイプヘッドと呼ばれ、例えばi番目のインク室を駆動する場合、隣接したi−1番目及びi+1番目のインク室はその影響を直接受けるため同時に駆動させないようにしている。また、その隣のi−2番目、i+2番目のインク室はi−3番目及びi+3番目のインク室を駆動する場合にその影響を直接受けるため同時に駆動させないようにしている。
【0012】
すなわち、このヘッドはi−3番目、i番目、i+3番目のインク室は同時駆動するがその間にあるi±2番目、i±1番目のインク室は同時に駆動させない、また、i−2番目、i+1番目のインク室は同時駆動するがその間にあるi番目、i−1番目のインク室は同時に駆動させない、また、i−1番目、i+2番目のインク室は同時駆動するがその間にあるi番目、i+1番目のインク室は同時に駆動させないというように3分割駆動を行うようになっている。
【0013】
駆動パルスを構成する拡大パルスW2aのパルス時間幅を1AL、収縮パルスW2bのパルス時間幅を2ALとしている。なお、ALは時間の単位であり、インク室内の圧力が固有振動により正圧から負圧へ、あるいは、負圧から正圧へと反転する時間で、インク室内のインクの固有振動周期の半分の時間になっている。ここで、インク室内のインクの固有振動周期とは、インク室内のインクの主音響共振周波数における振動周期であって、この主音響共振周波数は、圧電部材(アクチュエータ)に正弦波電圧を与えたときにインク室内のインクに発生する圧力波がインク室内のインク中を伝播し、その圧力波が重畳して最も大きな圧力振動となる周波数である。
【0014】
1つの駆動パルスによって1つのインク滴を吐出させ、複数の駆動パルスによって複数のインク滴を吐出させることができるので、例えば、駆動パルスを最大7つ連続的に印加できるようにすれば、白を含めて最大8階調の階調印字ができることになる。
【0015】
駆動パルスを与えたときのインク室の動作について述べると、先ず、拡大パルスW2aはその波形の立ち下がりでインク室の容積を拡大するので、インク室のインクの圧力は負圧となる。そして、波形の立ち下がりから1ALの時間が経過すると、インク室内のインクの圧力はインクの固有振動により正圧になる。さらに、拡大パルスW2aが終わると同時に収縮パルスW2bが立ち上がりインク室の容積を収縮させる。これによりインク室のインクの圧力が更に上昇してインク吐出口12からインクが吐出される。
【0016】
収縮パルスW2bの立ち上がりから1AL時間経過したときインクの固有振動によりインクの圧力は負圧になりインクの吐出は終了し、さらにもう1AL時間経過すると、インクの圧力はインクの固有振動により再び正圧になる。この時点で収縮パルスW2bが終了してインク室の容積を拡大してインク室のインクの圧力を減圧して残留振動を低下させる。
このように駆動パルスを印加することでインク室内のインクの圧力は図19に示すように変化することになる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の駆動方法においてはインク室の圧力変動が近傍のインク室のインクに大きな変動を与えるというクロストークが発生する問題がある。図20は、7個の駆動パルスからなる駆動波形W1により3つおきのインク室を同時に7ドロップ駆動した場合(以下、1/3同時駆動と称する。)と6つおきのインク室を同時に7ドロップ駆動した場合(以下、1/6同時駆動と称する。)の各インク滴の吐出速度を比較した図で、△は1/3同時駆動の場合を示し、□は1/6同時駆動の場合を示している。この図から、特に2ドロップ目のインク滴の吐出速度が1/3同時駆動と1/6同時駆動とで大きく異なっていることが分かる。
【0018】
このことは、1/3同時駆動の場合にクロストークの影響を大きく受け、例えば、i番目のインク室を駆動する場合に、i−3番目のインク室やi+3番目のインク室を同時に駆動させるか否かでインクの吐出速度が変化することを示している。すなわち、ライン方向に並んでいる多数のインク室において、あるインク室については1/3同時駆動と同じ条件になり、また、別のあるインク室については1/6同時駆動と同じ条件になる場合が多々あり、このような場合に従来の駆動方法ではあるインク室と別のあるインク室とでインクの吐出速度が変化するので印字媒体に対するインク滴の着弾位置が変化することになり、その結果印字品質の低下を招くという問題があった。
【0019】
ところで、本発明者はシェアモードタイプのインクジェットヘッドにおけるクロストークはインク室の圧力が隔壁を構成する圧電部材を変位させ、隣接及び近傍のインク室内のインク圧力を変化させるために生じると考え、ヘッドの周波数応答解析を行って図21に示すような解析結果を得た。
【0020】
すなわち、図21は1/3同時駆動と1/6同時駆動の場合における駆動波形のもつ各周波数成分がインク室内のインクにどの程度の圧力振幅を発生させているかを示した図で、横軸のf/frは、駆動波形の周波数成分fの、インクの固有振動周波数frに対する比を示している。なお、縦軸は圧力振幅を示している。また、インクの固有振動周波数frとインク室内のインクの固有振動周期ALとの関係は、fr=1/(2AL)となっている。
【0021】
このことから、1/3同時駆動と1/6同時駆動の圧力振幅の差がクロストークの大きさと見ることができ、固有振動周波数frに近い周波数成分の圧力振動は大きなクロストークを発生するということが分かった。
このように、従来のヘッド駆動では1つのインク滴の吐出動作が終了した後、収縮パルスW2bの立ち下がりで残留振動を低減させているが、その後もかなりの大きさの残留振動が残ることになる。そして、この残留振動がインクの固有振動周波数で振動するため、大きなクロストークを発生することになる。
【0022】
このクロストークは、インクの圧力が圧電部材を変位させるために発生するので、圧電部材の剛性を上げれば減少させることができる。しかしながら、圧電部材の剛性を上げるには圧電部材の幅を大きくするか、インク室の高さを低くしなければならない。しかし、そうすると、圧電部材に作用する電界が低下したり幾何学的に大きな歪みが得られにくくなり、実用的な駆動電圧でインクを吐出させることができなくなる。
【0023】
そこで各請求項記載の発明は、インク室の容積を拡大させる拡大パルスとインク室の容積を収縮させる収縮パルスとの間に所定の休止時間を設けた駆動パルスを使用することで、ヘッド構造を変更すること無しに残留固有振動を確実に低減してクロストークを低減でき、これにより各インク室におけるインク滴の吐出速度の差を無くして印刷品質の向上を図ることができるインクジェットヘッドの駆動装置を提供する。
【0024】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、インク滴を吐出させるためのインク吐出口を設けたインク室を、隣接するインク室と印加電圧に応動して変形動作するアクチュエータで隔壁を構成して複数配列するとともに、インク室にそれぞれ連通してインクを供給する共通インク室を設けたインクジェットヘッドの駆動装置において、インク室隔壁を構成するアクチュエータを変形動作させてそのインク室の容積を拡大させる拡大パルスと、アクチュエータを変形動作させてそのインク室の容積を収縮させる収縮パルスとを有し、拡大パルスと収縮パルスとの間に所定の休止時間を有する駆動信号を連続的に複数回発生する駆動信号発生手段を備え、駆動信号発生手段から駆動信号を複数回発生させ、インク室の容積の拡大と収縮を繰り返し行ってインク吐出口から複数のインク滴を連続的に吐出させるとともに、休止時間を拡大パルスの中心と収縮パルスの中心との時間差がインク室内のインクの固有振動周期に等しくなるように設定することで隣接するインク室間のクロストークを低下させることにある。
【0026】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェットヘッドの駆動装置において、インク室のインク温度を検出するインク温度検出手段を設け、この検出手段でインク温度を検出することにより、インク温度によるインクの固有振動周期の変化に応じて拡大パルスと収縮パルスとの間の休止時間を変化させることにある。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態のインクジェットヘッドの駆動装置の構成を示すブロック図である。図1において、21は、各部を制御するプリンタコントローラ、22は、このプリンタコントローラ21からの印刷データを記憶する画像メモリ、23は、前記プリンタコントローラ21により制御され、前記画像メモリ22に記憶した印刷データをヘッド駆動回路24に転送する印刷データ転送ブロックである。
【0028】
前記ヘッド駆動回路24は印刷データ転送ブロック23から転送される印刷データに基づいてインクジェットヘッド25を駆動するようになっている。前記ヘッド駆動回路24がインクジェットヘッド25を駆動するときの駆動波形は駆動波形制御回路26によって制御され、この駆動波形制御回路26は前記プリンタコントローラ21により制御されるようになっている。
【0029】
本実施の形態に用いるインクジェットヘッド25はシェアモードタイプのインクジェットヘッドであり、その構成は図14及び図15に示したインクジェットヘッドと同一である。
【0030】
図2〜図4はヘッド駆動回路24がインクジェットヘッド25のインク室を駆動するときの駆動波形を示す図である。なお、図中、i−3、i−2、i−1、i、i+1、i+2、i+3は連続して連なったインク室を示している。
【0031】
図2は各インク室i−3〜i+3にそれぞれ正の電圧を所定のタイミングで印加してそれぞれ7ドロップ駆動するときの駆動波形を示し、図3は動作しないインク室に印加する電圧が接地電位になるように設定して各インク室i−3〜i+3をそれぞれ7ドロップ駆動するときの駆動波形を示している。
【0032】
図2の駆動波形を使用しても図3の駆動波形を使用してもインク室は同じ動作を行うものであるが、ここでは図3の駆動波形を使用してインク室を駆動する場合について述べる。
【0033】
このシェアモードタイプのヘッドは、i−3番目、i番目、i+3番目のインク室は同時駆動するがその間にあるi±2番目、i±1番目のインク室は同時に駆動させない、また、i−2番目、i+1番目のインク室は同時駆動するがその間にあるi番目、i−1番目のインク室は同時に駆動させない、また、i−1番目、i+2番目のインク室は同時駆動するがその間にあるi番目、i+1番目のインク室は同時に駆動させないというように3分割駆動を行うようになっている。この3分割駆動により駆動するインク室に隣接するインク室が直接に影響を受けて例えばインクの誤吐出等が発生しないようにしている。
【0034】
図3に示す各駆動波形W3は、図4で示す構成の駆動パルスW4が7つ連なったもので、それぞれの駆動パルスW4は、インク室を拡大させる負電圧パルスである拡大パルスW4aとパルス印加を休止させる休止時間W4bとインク室を収縮させる正電圧パルスである収縮パルスW4cとで形成されている。
【0035】
このインクジェットヘッドは、この駆動パルスW4が1個印加されると小さなインク滴を1つ吐出させる1ドロップ駆動し、この駆動パルスW4が1〜7個の範囲で連なることで1〜7ドロップ駆動が選択的に行われ、これにより白を除いて7階調印字が可能になっている。
【0036】
拡大パルスW4aの中心と収縮パルスW4cの中心との時間差は2ALで、インク室内のインクの固有振動周期に等しい時間に設定されている。拡大パルスW4aのパルス時間幅は1ALに設定され、収縮パルスW4cのパルス時間幅は0.6AL〜1ALの範囲、ここでは1ALに設定されている。なお、ALは時間の単位であり、インク室内の圧力が固有振動により正圧から負圧へ、あるいは、負圧から正圧へと反転する時間で、インク室内のインクの固有振動周期の半分の時間になっている。
【0037】
次に、図4で示される駆動パルスがインクジェットヘッド25のインク室に印加されたときのインク室内の圧力変化について図5を参照して説明する。
先ず、拡大パルスW4aはその波形の立ち下がりでインク室の容積を拡大させ、内部のインクの圧力は負圧P1となる。そして、波形の立ち下がりから1ALの時間が経過すると、インク室内部のインクの圧力は固有振動により正圧P2になる。さらに、拡大パルスW4aが終わると、インク室が収縮してインクの圧力はP2からP3にさらに上昇し、インク室のインク吐出口からインクの吐出が開始される。
【0038】
インクの吐出が開始されてからおよそ0.5ALの時間が経過すると、インク室内のインクの圧力は固有振動により負圧P4に転じる。そして、拡大パルスW4aの立ち上がりから1AL経過した時点で、インクの吐出が終了する。その時点で休止時間W4bが終了し、収縮パルスW4cの立ち上がりによってインク室は収縮し、インク室の負圧状態はP5からP6に緩和される。
【0039】
収縮パルスW4cの立ち上がりから1AL経過した時点では、インクの圧力は正圧P7になっている。その時点で収縮パルスW4cが立ち下がり、収縮していたインク室が元の状態に戻り、インク室の圧力がほとんど0になる。このように、図4に示す駆動パルスをインクジェットヘッドのインク室に与えることにより、クロストークを発生しやすいインクの固有振動周波数をもつ残留圧力振動をほぼ0にすることができる。
【0040】
図6は、図3に示す7個の駆動パルスを連ねた駆動波形W3により3つおきのインク室を同時に7ドロップ駆動した場合(以下、1/3同時駆動と称する。)と6つおきのインク室を同時に7ドロップ駆動した場合(以下、1/6同時駆動と称する。)の各インク滴の吐出速度を比較した図である。なお、△は1/3同時駆動の場合を示し、□は1/6同時駆動の場合を示している。
【0041】
また、図7は、1/6同時駆動時のインク滴の吐出速度に対する1/3同時駆動時のインク滴の吐出速度の比、すなわち、クロストークを、従来例と比較した図である。×は本実施の形態を示し、点は従来例を示している。
【0042】
図からも分かるように従来例では特に2ドロップ目のクロストークが大きく発生していたが、本実施の形態では2ドロップ目のクロストークが大幅に小さくなっている。このように、本実施の形態ではクロストークの最悪値を従来に比べて大きく改善することができる。
【0043】
なお、この実施の形態では図4に示す構成の駆動パルスW4を複数連ねた図3に示す駆動波形W3を使用したが必ずしもこれに限定するものではない。
すなわち、図8に示すような駆動波形W5を使用してもよい。上述した実施の形態では、駆動パルスが複数連なる場合に収縮パルスW4cの立ち下がりのタイミングがそのまま次の拡大パルスW4aの立ち下がりになっていたのに対し、ここでは図9に部分拡大図を示すように、駆動パルスが複数連なる場合に収縮パルスW4cが立ち下がった後、所定の休止時間W4dが経過してから拡大パルスW4aを立ち下げるようにしている。
【0044】
このように駆動パルス間に所定の休止時間W4dを設けることで、拡大パルスの中心と収縮パルスの中心との時間差を2ALに保ったまま駆動周期を延ばすことができる。そして、このように駆動周期を延ばすことでヘッドによってはインク滴の吐出安定性を向上できる場合がある。
【0045】
また、駆動パルスとして、図10に示すような駆動パルスW6を使用してもよい。この駆動パルスW6は、拡大パルスW6aの中心と収縮パルスW6cの中心との時間差を2ALに保ったまま、収縮パルスW6cのパルス時間幅を狭めたもので、その分休止時間W6bは1ALよりも長くなる。
【0046】
このような駆動パルスW6は、例えば、拡大パルスW6aにより発生する圧力振動が収縮パルスW6cを印加する時点で減衰しているようなヘッドの場合に有効であり、このようなヘッドに対しては、より一層残留圧力振動を減衰させることができるという効果を奏する。
【0047】
さらに、圧力振動の減衰量に応じて収縮パルスの電圧を低くした図11に示すような駆動パルスW7を使用してもよい。すなわち、この駆動パルスW7は、拡大パルスW7aの中心と収縮パルスW7cの中心との時間差を2ALに保ったまま、収縮パルスW7cの電圧のみが小さくなっている。なお、拡大パルスW7aと収縮パルスW7cとの間の休止時間W7bは1ALである。
【0048】
次に、本発明の他の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、前述した実施の形態と同一の部分には同一の符号を付しその部分の詳細な説明は省略する。
この実施の形態は、図12に示すように、インクジェットヘッド25にこのヘッドの温度を検出する温度センサー27を設けるとともに温度テーブル28を設けている。前記温度テーブル28には、図13に示すように、各種温度におけるインクの固有振動周期のデータが設定されている。
【0049】
すなわち、拡大パルスと収縮パルスの時間差を決めているインク室内のインクの固有振動周期に影響を与える粘度、密度、体積弾性率などの物性は、温度によって変化するので、前記温度センサー27によってヘッド25の温度を検出することでインク温度を間接的に検出し、駆動波形制御回路26は温度センサー27からの温度検出信号を取り込み、この温度検出信号に基づいて前記温度テーブル28から該当する固有振動周期を読み出し、その固有振動周期に応じた拡大パルスと収縮パルスの時間差をヘッド駆動回路24に設定する。
【0050】
これにより、前記ヘッド駆動回路24はインクジェットヘッド25のインク温度に応じて拡大パルスと収縮パルスの時間差が設定された駆動パルスを使用してインク室を駆動するようになる。
【0051】
このようにインクジェットヘッドの温度を検出し、これにより、インク温度に応じたインクの固有振動周期に応じて駆動パルスの拡大パルスと収縮パルスの時間差を設定しているので、インク温度が変化し、それによってインクの固有振動周期が変化してもその変化したインクの固有振動周期に応じた拡大パルスと収縮パルスとの適切な時間差をもった駆動パルスを使用してインクジェットヘッドのインク室を駆動させることができる。
【0052】
なお、前述した各実施の形態ではインク室の隔壁を構成するアクチュエータとして圧電部材を使用したものについて述べたが必ずしもこれに限定するものではなく、要は、電圧印加によって変形動作する部材でインク室の隔壁を構成すればよい。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、各請求項記載の発明によれば、インク室の容積を拡大させる拡大パルスとインク室の容積を収縮させる収縮パルスとの間に所定の休止時間を設けた駆動パルスを使用することで、ヘッド構造を変更すること無しに残留固有振動を確実に低減してクロストークを低減でき、これにより各インク室におけるインク滴の吐出速度の差を無くして印刷品質の向上を図ることができる。
【0054】
また、拡大パルスの中心とその収縮パルスの中心との時間差をインク室内のインクの固有振動周期に等しくしているので、拡大パルスにより発生するインク吐出のための圧力振動を収縮パルスが最適なタイミングで相殺でき、これにより残留固有振動を更に確実に低減し、よりクロストークを低減できる。
【0055】
また、請求項2記載の発明によれば、さらに、インク温度に応じた固有振動周期に応じて駆動パルスの拡大パルスの中心とその収縮パルスの中心との時間差を設定するので、インク温度が変化しても常に適切な駆動パルスを使用してインク室を駆動させることができ、インク温度に影響されずにクロストークを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるインクジェットヘッド駆動装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態におけるヘッド駆動波形例を示す図。
【図3】同実施の形態におけるヘッド駆動波形例を示す図。
【図4】図3における駆動波形の1つの駆動パルスの構成を示す図。
【図5】図4の駆動パルスをインク室に印加したときのインク室の圧力変化を示す波形図。
【図6】同実施の形態において7個の駆動パルスを連ねた駆動波形により1/3同時駆動した場合と1/6同時駆動した場合の各インク滴の吐出速度を比較した図。
【図7】同実施の形態において1/6同時駆動時のインク滴の吐出速度に対する1/3同時駆動時のインク滴の吐出速度の比を従来と比較して示した図。
【図8】同実施の形態における他のヘッド駆動波形例を示す図。
【図9】図8における駆動波形の1つの駆動パルスの構成を示す図。
【図10】同実施の形態における他の駆動パルス例を示す図。
【図11】同実施の形態における他の駆動パルス例を示す図。
【図12】本発明の他の実施の形態におけるインクジェットヘッド駆動装置の構成を示すブロック図。
【図13】同実施の形態における温度テーブルの構成を示す図。
【図14】インクジェットヘッドの構成を示す縦断面図。
【図15】インクジェットヘッドの部分横断面図。
【図16】同インクジェットヘッドの動作原理を説明するための図。
【図17】従来の3分割駆動時の駆動波形を示す図。
【図18】図17の駆動波形の1つの駆動パルスの構成を示す図。
【図19】図18の駆動パルスをインク室に印加したときのインク室の圧力変化を示す波形図。
【図20】従来の7個の駆動パルスを連ねた駆動波形により1/3同時駆動した場合と1/6同時駆動した場合の各インク滴の吐出速度を比較した図。
【図21】従来の1/3同時駆動と1/6同時駆動の場合における駆動波形の周波数成分fのインクの固有振動周波数frに対する比と圧力振幅との関係を示す図。
【符号の説明】
1,2…圧電部材
4…インク室
12…インク吐出口
24…ヘッド駆動回路
25…インクジェットヘッド
26…駆動波形制御回路
Claims (2)
- インク滴を吐出させるためのインク吐出口を設けたインク室を、隣接するインク室と印加電圧に応動して変形動作するアクチュエータで隔壁を構成して複数配列するとともに、前記インク室にそれぞれ連通してインクを供給する共通インク室を設けたインクジェットヘッドの駆動装置において、
インク室隔壁を構成するアクチュエータを変形動作させてそのインク室の容積を拡大させる拡大パルスと、前記アクチュエータを変形動作させてそのインク室の容積を収縮させる収縮パルスとを有し、前記拡大パルスと前記収縮パルスとの間に所定の休止時間を有する駆動信号を連続的に複数回発生する駆動信号発生手段を備え、
前記駆動信号発生手段から駆動信号を複数回発生させ、インク室の容積の拡大と収縮を繰り返し行ってインク吐出口から複数のインク滴を連続的に吐出させるとともに、前記休止時間を前記拡大パルスの中心と前記収縮パルスの中心との時間差がインク室内のインクの固有振動周期に等しくなるように設定することで隣接するインク室間のクロストークを低下させることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動装置。 - インク室のインク温度を検出するインク温度検出手段を設け、この検出手段でインク温度を検出することにより、インク温度によるインクの固有振動周期の変化に応じて拡大パルスと収縮パルスとの間の休止時間を変化させることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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