JP3575483B2 - インクジェットヘッドの駆動方法、駆動用半導体装置 - Google Patents
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Description
まず、図15の駆動回路で、共通トランジスタTr0のオン抵抗及び各振動子までの共有する共通インピーダンスをR0、個別トランジスタTr1、Tr2、Tr3、、、のオン抵抗をR1、R2、R3、、、とする。個別トランジスタTr1のオン抵抗は、解像度を高くするためにノズル数を多くすると、集積化のため抵抗値が高くなってしまう(約3kΩ)。また、共通電極側は、シリコン基板にボロン(ホウ素)をドープしており、抵抗値が低い(数十Ω)が、個別電極側は、ガラス基板にITOにより高密度に配線されているため、ITOの配線抵抗Riがノズル毎に約3kΩある。ここで、共通電極を兼用するシリコン基板と個別電極が載っているガラス基板のギャップが約0.23μmと小さく、また、各インク室で等間隔のギャップを保持しなければならないことと、ガラス基板とシリコン基板とを陽極接合するために高温を印加するため、ガラス基板に載せる個別電極は、ITOにする必要がある。ITOの配線抵抗は、おのずと高く(数kΩ)なってしまう。
Va(t)=Vh・(1−exp(−t/((n・R0+Ri+R1)・Ca))
・・・・(式1)
となる。このときの時定数T=(n・R0+Ri+R1)・Caとなり、R0=1kΩ、Ri=3kΩ、R1=3kΩ、Ca=25pFとすると、n=1のときT(1)=0.18μs、n=50のときT(50)=1.4μsとなる。
(A)浮遊容量の影響によって、オフノズル(非吐出ノズル)が、オンノズル(吐出ノズル)の影響により、吐出してしまうこともあるので、浮遊容量の影響をなくし、オフノズルの吐出を防止する。そのために、シリコン振動子は、オフノズルのときは両端を短絡(ショート)しておく。
(B)さらに、浮遊容量の影響を防止しつつ、振動板に正逆両方のパルス電位を印加し、振動板への電荷の蓄積を防止し、シリコン振動板の永久的なガラス基板へのたわみを防止するとともに、簡単な駆動回路を実現する。
(C)また、吐出ノズル数が増大すると、振動板に印加される個々の電位が低下してしまうことを防止する。そのため、吐出ノズル数を検出し、吐出ノズル数に応じて、駆動パルスのタイミング等のパルス波形を変化させる。そのために、駆動パルスのタイミングをずらし、同時に駆動するノズル数を少なくする。また、印加電圧の大きさを変化させる。さらに、パルスの立ち上がり、立ち下がり、パルス幅を変化させ、吐出性能を変化させる。
(D)また、吐出ノズル数を検出するかわりに、吐出ノズル数が増大しても振動板に印加される個々の電位の低下を防止する。そのため、式1でnの数に効いてくる、R0(共通トランジスタTr1のオン抵抗+共通インピーダンス)の値を小さくする。そのため、共通トランジスタTr1を構成するCMOSIC内部のトランジスタサイズを大きくした。また、共通インピーダンスを小さくするとともに、各振動板間での共通インピーダンス側の配線抵抗を等しくし、そのため、シリコン基板上に、金属べた部を設けた。
(E)さらに、各ノズル間の吐出特性を揃えることを目的とする。そのため、シリコン基板上の配線抵抗を等しくした。また、絶縁基板側の抵抗値を等しくし、そのため、配線距離を各個別電極で等しくし、また、個別スイッチング手段のオン抵抗を等しくした。
(F)また、共通スイッチング手段と個別スイッチング手段とを集積化するため、CMOSICを用いた。
(G)さらに、CMOSIC内部でパルスを生成すると振動板に印加されるパルス波形がノイズにより乱れてしまい、吐出特性が低下することを防止する。そのため、CMOSIC内部でパルス波形を作成せず、外部からパルス波形を作成し、CMOSICに印加するようにした。
(H)また、容量性手段への充放電の方向を双方向とし、充電時間、放電時間を早めた。そのために、CMOSIC内部でのスイッチング手段をトランスミッションゲートとした。
前記容量性手段は、それぞれ電圧を印加するための端子を二つ有し、
前記複数の容量性手段の内、静電的に変形させる容量性手段については、前記2端子間に第1のパルス電圧を印加し、
当該容量性手段に2回目のパルス電圧を印加して静電的に変形させるときは、前記2端子間に前記第1のパルス電圧と反対方向の電位差の第2のパルス電圧を印加し、
前記複数の容量性手段の内、変形させない容量性手段については、前記2端子間を同電位とすることを特徴とする。
また、本発明の静電駆動方法は、
パルス電圧を複数のシリコン振動子に印加し、該シリコン振動子を変形させるシリコン振動子の静電駆動方法において、
前記シリコン振動子は、それぞれ電圧を印加するための端子を二つ有し、
前記複数のシリコン振動子の内、変形させるシリコン振動子については、前記2端子間に第1のパルス電圧を印加し、
当該シリコン振動子に2回目のパルス電圧を印加して変形させるときは、前記2端子間に前記第1のパルス電圧と反対方向の電位差の第2のパルス電圧を印加し、
前記複数のシリコン振動子の内、変形させないシリコン振動子については、前記2端子間を同電位とすることを特徴とする。
また、本発明の静電駆動用半導体装置は、一端が共通端子に接続され他端がそれぞれ個別端子に接続されるシリコン振動子に印加する駆動パルス電圧を制御し、前記シリコン振動子が撓む第1の状態と撓まない第2の状態とを制御するシリコン振動子の静電駆動用半導体装置において、
前記シリコン振動子の共通端子の電位を駆動パルス電圧側またはGND電位側に切り換える共通スイッチング手段と、
前記シリコン振動子の個別端子の電位を駆動パルス電圧側またはGND電位側にそれぞれ切り換える複数の個別スイッチング手段と、
前記シリコン振動子を前記第1の状態とするとき前記共通端子と前記個別端子のうち一方の端子を駆動パルス電圧側に接続し他方をGND電位側に接続し、前記シリコン振動子を前記第2の状態とするとき前記共通端子と前記個別端子とを同電位に接続するよう、前記共通スイッチング手段と前記個別スイッチング手段とを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明の静電駆動制御方法は、
一端が共通端子に接続され他端がそれぞれ個別端子に接続されるシリコン振動子に印加する駆動パルス電圧を制御し、前記シリコン振動子が撓む第1の状態と撓まない第2の状態とを制御するシリコン振動子の静電駆動制御方法において、
前記シリコン振動子の共通端子の電位を駆動パルス電圧側またはGND電位側に切り換える共通スイッチング手段と、前記シリコン振動子の個別端子の電位を駆動パルス電圧側またはGND電位側にそれぞれ切り換える複数の個別スイッチング手段と、を備え、
前記シリコン振動子を前記第1の状態とするとき、前記共通端子と前記個別端子のうち一方の端子を駆動パルス電圧側に接続し他方をGND電位側に接続し、
前記シリコン振動子を前記第2の状態とするとき、前記共通端子と前記個別端子とを同電位に接続する
よう前記共通スイッチング手段と前記個別スイッチング手段とを制御することを特徴とする。
また、本発明のシリコン振動子の駆動方法は、
共通端子と個別端子との2つの端子を有するシリコン振動子を複数備え、
前記複数のシリコン振動子は、それぞれ前記共通端子が共通に接続されて共通に高電圧かGNDを切り替えて接続され、
前記複数のシリコン振動子は、それぞれ前記個別端子が個別に高電圧かGNDを切り替えて接続されるシリコン振動子の駆動方法において、
(a) 前記複数のシリコン振動子の内、撓ませるシリコン振動子については、当該シリコン振動子の前記2つの端子のうちのいずれか一端を高電圧に接続するとともに、他端をGNDに接続し、パルス電圧を印加して、当該シリコン振動子を撓ませ、
(b) 前記(a)工程で撓ませたシリコン振動子について、再び前記シリコン振動子を撓ませるときは、前記(a)工程で高電圧に接続した端子をGNDに接続するとともに、前記(a)工程でGNDに接続した端子を高電圧に接続し、パルス電圧を印加して、前記シリコン振動子を撓ませ、
(c) 前記複数のシリコン振動子の内、撓ませないシリコン振動子については、当該シリコン振動子の前記2つの端子の両端を高電圧かまたはGNDに接続して、両端を短絡しておくことを特徴とする。
(A)浮遊容量の影響を防止することができ、オフノズルからあやまってインク滴が吐出されることがなくなった。
(B)浮遊容量の影響を防止しつつ、振動板への電荷の蓄積を防止する簡単な駆動回路を実現した。
(C)同時吐出ノズル数が増大しても、印字が可能になった。
(D)各ノズル間の吐出特性が揃い、印字品質が向上した。
(E)CMOSICを用い、小型なインクジェットヘッドを提供できる。
(F)CMOSICの外部から駆動パルスを印加するため、ノイズの影響を防止し、印字品質が向上できる。
(G)共通スイッチング手段のオン抵抗を小さくしたため、駆動パルスを印加した後、放電するためにキャパシタをショートするとき、時定数が低下し、速く放電する。
(H)トランスミッションゲートを採用したため、双方向に電流を流すことができ、印加パルス電圧およびタイミングにかかわらず充放電を早くすることができる。
インクジェットヘッド10は、インク供給チューブ306を介してインクタンク301よりインク供給される。もちろん、インクジェットヘッド10は、それ自身が、インクタンクを有し、インクタンクと一緒に交換可能にキャリッジ302に搭載されてもよい。
制御手段213は、検出信号により、必要に応じて、ヘッド駆動制御回路210を制御し、ヘッドドライバ220に印加される駆動パルスVpのパルス形状や駆動タイミングの制御を行う。
従って、キャパシタンスCa、印加電圧Vaを小さくすると、インク滴が吐出しなくなってしまうため、キャパシタンスCaは、小さくできない。式1において、ノズル数nを大きくすると、n・Ca・R0の項が大きくなる。そのため、R0を小としておき、ノズル数nが大きくなっても、時定数Tがあまり大きくならないようにすることが必要となる。本出願人は、
n・Ca・R0≦(Ri+R1)・Ca・・・(式3)
とすることにより、ノズル数nが大きくなって時定数Tが大きくなっても、吐出できるという知見を得た。ここで、ノズル数n=64、キャパシタンスCa=25pF、個別電極側ITO抵抗Ri=3kΩ、個別ドライバオン抵抗R1=3kΩとしたとき、R0(共通ドライバオン抵抗+シリコン基板抵抗)=93Ωとすれば、吐出できる。シリコン基板抵抗が、約50Ωあるため、CMOSIC内部の共通ドライバのオン抵抗を43Ω以下とすれば、吐出可能である。そのため、CMOSIC内部の共通ドライバのトランジスタサイズを個別ドライバのトランジスタサイズの64倍以上の面積とした。共通ドライバのオン抵抗を低減する観点からはトランジスタサイズは大きければ大きいほどよい。しかし、トランジスタサイズを大きくしすぎると、集積化の点、製造上(歩留まり)の点から不利であるため、本実施形態では、ICのチップサイズが約4.7*4.1(mm)となるようにしてある。
3・・・・ガラス基板
5・・・・振動板
10・・・インクジェットヘッド
17・・・共通電極(金属べた部)
31・・・個別電極
32・・・個別リード部
61・・・SEGドライバ
62・・・COMドライバ
210・・ヘッド駆動制御回路
212・・ノズル数検出手段
213・・制御手段
220・・ヘッドドライバ用CMOSIC
Claims (5)
- パルス電圧を複数の容量性手段に印加し、該容量性手段を静電的に変形し、ノズルからそれぞれインク滴を吐出し、記録を行うインクジェットヘッドの駆動方法において、
前記容量性手段は、それぞれ電圧を印加するための端子を二つ有し、
前記複数の容量性手段の内、静電的に変形させる容量性手段については、前記2端子間に第1のパルス電圧を印加し、
当該容量性手段に2回目のパルス電圧を印加して静電的に変形させるときは、前記2端子間に前記第1のパルス電圧と反対方向の電位差の第2のパルス電圧を印加し、
前記複数の容量性手段の内、変形させない容量性手段については、前記2端子間を同電位とする
ことを特徴とするインクジェットヘッドの駆動方法。 - パルス電圧を複数のシリコン振動子に印加し、該シリコン振動子を変形させるシリコン振動子の静電駆動方法において、
前記シリコン振動子は、それぞれ電圧を印加するための端子を二つ有し、
前記複数のシリコン振動子の内、変形させるシリコン振動子については、前記2端子間に第1のパルス電圧を印加し、
当該シリコン振動子に2回目のパルス電圧を印加して変形させるときは、前記2端子間に前記第1のパルス電圧と反対方向の電位差の第2のパルス電圧を印加し、
前記複数のシリコン振動子の内、変形させないシリコン振動子については、前記2端子間を同電位とする
ことを特徴とするシリコン振動子の静電駆動方法。 - 一端が共通端子に接続され他端がそれぞれ個別端子に接続されるシリコン振動子に印加する駆動パルス電圧を制御し、前記シリコン振動子が撓む第1の状態と撓まない第2の状態とを制御するシリコン振動子の静電駆動用半導体装置において、
前記シリコン振動子の共通端子の電位を駆動パルス電圧側またはGND電位側に切り換える共通スイッチング手段と、
前記シリコン振動子の個別端子の電位を駆動パルス電圧側またはGND電位側にそれぞれ切り換える複数の個別スイッチング手段と、
前記シリコン振動子を前記第1の状態とするとき前記共通端子と前記個別端子のうち一方の端子を駆動パルス電圧側に接続し他方をGND電位側に接続し、前記シリコン振動子を前記第2の状態とするとき前記共通端子と前記個別端子とを同電位に接続するよう、前記共通スイッチング手段と前記個別スイッチング手段とを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするシリコン振動子の静電駆動用半導体装置。 - 一端が共通端子に接続され他端がそれぞれ個別端子に接続されるシリコン振動子に印加する駆動パルス電圧を制御し、前記シリコン振動子が撓む第1の状態と撓まない第2の状態とを制御するシリコン振動子の静電駆動制御方法において、
前記シリコン振動子の共通端子の電位を駆動パルス電圧側またはGND電位側に切り換える共通スイッチング手段と、前記シリコン振動子の個別端子の電位を駆動パルス電圧側またはGND電位側にそれぞれ切り換える複数の個別スイッチング手段と、を備え、
前記シリコン振動子を前記第1の状態とするとき、前記共通端子と前記個別端子のうち一方の端子を駆動パルス電圧側に接続し他方をGND電位側に接続し、
前記シリコン振動子を前記第2の状態とするとき、前記共通端子と前記個別端子とを同電位に接続する
よう前記共通スイッチング手段と前記個別スイッチング手段とを制御することを特徴とするシリコン振動子の静電駆動制御方法。 - 共通端子と個別端子との2つの端子を有するシリコン振動子を複数備え、
前記複数のシリコン振動子は、それぞれ前記共通端子が共通に接続されて共通に高電圧かGNDを切り替えて接続され、
前記複数のシリコン振動子は、それぞれ前記個別端子が個別に高電圧かGNDを切り替えて接続されるシリコン振動子の駆動方法において、
(a) 前記複数のシリコン振動子の内、撓ませるシリコン振動子については、当該シリコン振動子の前記2つの端子のうちのいずれか一端を高電圧に接続するとともに、他端をGNDに接続し、パルス電圧を印加して、当該シリコン振動子を撓ませ、
(b) 前記(a)工程で撓ませたシリコン振動子について、再び前記シリコン振動子を撓ませるときは、前記(a)工程で高電圧に接続した端子をGNDに接続するとともに、前記(a)工程でGNDに接続した端子を高電圧に接続し、パルス電圧を印加して、前記シリコン振動子を撓ませ、
(c) 前記複数のシリコン振動子の内、撓ませないシリコン振動子については、当該シリコン振動子の前記2つの端子の両端を高電圧かまたはGNDに接続して、両端を短絡しておくことを特徴とするシリコン振動子の駆動方法。
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- 2003-11-14 JP JP2003385212A patent/JP3575483B2/ja not_active Expired - Lifetime
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