JP3527928B2 - 光学材料用有機ガラス - Google Patents

光学材料用有機ガラス

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JP3527928B2 JP34277893A JP34277893A JP3527928B2 JP 3527928 B2 JP3527928 B2 JP 3527928B2 JP 34277893 A JP34277893 A JP 34277893A JP 34277893 A JP34277893 A JP 34277893A JP 3527928 B2 JP3527928 B2 JP 3527928B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学材料用有機ガラスに
関するものであり、さらに詳しくは比重が比較的軽くか
つ屈折率が高く、しかも耐衝撃性の優れた眼鏡用レンズ
材料やその他の光学用材料として好適な有機ガラスを与
える素材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、有機ガラスは無機ガラスに比
較して軽量であるために、ジエチレングリコールジアリ
ルカーボネート(以下「CR−39」と略す)やメチル
メタクリレート等の重合体からなる有機ガラスが使用さ
れている。しかし、これらの有機ガラスの屈折率は1.
49〜1.50と無機ガラス(ホワイトクラウンガラス
の場合1.523)に比較して低く、無機ガラスの場合
よりも厚くなり軽量化のメリットが損なわれる。また視
力矯正用レンズとして用いた場合、度が強くなると見か
けが悪くなるという欠点があった。このため、屈折率の
高い有機レンズの開発が行われてきたが、高屈折率のプ
ラスチックスを得ようとする場合には、分子構造にフッ
素を除くハロゲン原子の導入や硫黄原子の導入を行うの
が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
は、ハロゲン原子を導入した場合には比重が大きくな
り、また硫黄原子を導入した場合には切削加工時に硫黄
特有の臭気が発生するという欠点があった。本発明の目
的は従来の有機ガラスの上記欠点を解決し、ハロゲン元
素や硫黄化合物を使用することなく、比重が比較的軽く
かつ屈折率も高く、しかも耐衝撃性の優れた光学材料と
して好適な有機ガラスを与える素材を開発することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記事実に
鑑み鋭意研究を行った結果、ハロゲン元素や硫黄化合物
を使用することなく、特定のアリル系モノマーやアリル
系オリゴマーなどを必須成分として組み合わせ、かつ特
定の粘度になるように調製した原料を共重合させること
により上記の課題を解決することができることを見いだ
し、ついに本発明を完成するに至った。
【0005】本発明(I)は、下記の(a)成分および
(b)成分の化合物を含み、かつ30℃での粘度が5〜
8000cPにあることを特徴とする光学材料用組成物
である。 (a)フェニル酢酸アリル、ジフェニル酢酸アリルおよ
びトリフェニル酢酸アリルからなる群から選ばれた少な
くとも1種以上の化合物 (b)ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、
ジアリルテレフタレート、ジアリルアジペート、トリア
リルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3
−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ジエチレングリコー
ルジアリルカーボネート、ジアリルフタレートプレポリ
マーからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合
【0006】本発明で用いる上記のジアリルフタレート
プレポリマーとはDAPプレポリマーおよび/またはD
AIPプレポリマーおよび/またはDATPプレポリマ
ーなどであり、このプレポリマー中には、低分子の原料
モノマーが残存する。プレポリマー中の残存モノマーを
ガスクロマトグラフィー等により定量し、プレポリマー
と残存モノマーの混合物として取り扱うことにより、こ
れらの残存モノマーを分離することなくそのまま使用す
ることができる。
【0007】本発明(II)は、下記の(a)成分、
(b)成分および(c)成分の化合物を含み、かつ30
℃での粘度が5〜8000cPにあることを特徴とする
光学材料用組成物である。 (a)フェニル酢酸アリル、ジフェニル酢酸アリルおよ
びトリフェニル酢酸アリルからなる群から選ばれた少な
くとも1種以上の化合物 (b)ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、
ジアリルテレフタレート、ジアリルアジペート、トリア
リルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3
−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ジエチレングリコー
ルジアリルカーボネート、ジアリルフタレートプレポリ
マーからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合
(c)末端にアリルエステル基がついていて、以下の繰
り返し単位を有するオリゴマー CH2 =CHCH2 O(CO-A-COO-B-O) n CO-A-COOCH2 CH=CH2 (ただし、Aは炭素数が2〜20からなる2価の有機残
基を表し、Bは炭素数が2〜20からなるジオールから
誘導された2価の有機残基を表す。nは1〜20の
数。)
【0008】合成された(c)成分のオリゴマー中に
は、アリルエステルモノマーのような低分子の原料モノ
マーが残存する。(c)成分のオリゴマー中のアリルエ
ステルモノマーをガスクロマトグラフィー等により定量
し、(c)成分と(b)成分の混合物として取り扱うこ
とにより、これらの残存モノマーを分離することなくそ
のまま使用することができる。
【0009】さらに、本発明(III)は、下記の
(d)成分の化合物を含み、かつ30℃での粘度が5〜
8000cPにあることを特徴とする本発明の(I)ま
たは本発明の(II)の光学材料用組成物である(d)安息香酸ビニル、安息香酸アリル、フェニル(メ
タ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートから
なる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物 また本
発明の(IV)は、本発明の光学材料用組成物を硬化し
てなる光学材料用有機ガラスであるさらに、本発明の
(V)は、本発明の光学材料用有機ガラスの製造方法で
ある。
【0010】本発明の(a)成分であるジフェニル酢酸
アリルなどの配合量としては、屈折率を高くする上では
多く用いることが望ましいが、あまりに多く用いると、
アリル基を一個しか有していないために、耐熱性、耐溶
剤性が悪くなるという問題が起こる。そこでこれらの配
合量としては、各成分を含む原料100重量部中に5〜
60重量部、より好ましくは10〜50重量部含むこと
が望ましい。
【0011】本発明の(b)成分であるジアリルフタレ
ート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレー
ト、ジアリルアジペート、トリアリルイソシアヌレー
ト、トリアリルトリメリテート、1,2−シクロヘキサ
ンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカ
ルボン酸ジアリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸ジアリル、ジエチレングリコールジアリルカーボネー
ト、ジアリルフタレートプレポリマーの配合量として
は、あまりに少なすぎると耐熱性、耐溶剤性に支障をき
たし、あまりに多すぎる場合には耐衝撃性が著しく低下
するという問題が起こる。そこでこれらの配合量として
は、各成分を含む原料100重量部中に10〜90重量
部、より好ましくは20〜80重量部含むことが望まし
い。
【0012】またこれらの(b)成分中で、ジアリルア
ジペート、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリ
ル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ジエチ
レングリコールジアリルカーボネートは、耐衝撃性につ
いては好ましい性能を発揮するものの、屈折率が著しく
低下するという問題を起こすために、これらの使用量は
配合するジアリルモノマーの20重量%以下にとどめる
ことが好ましい。
【0013】本発明の(c)成分のアリルエステルオリ
ゴマーは、具体的には、例えば、特開平2−25150
9号公報に記載されたようにアリルアルコールと飽和多
価カルボン酸の低級エステルと多価アルコールとから合
成することができる。光学材料用の原料としてはジメチ
ルテレフタレートやジメチルイソフタレートのような芳
香族ジカルボン酸の低級エステルと、プロピレングリコ
ールや1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−
プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオールのような
ジオールを原料に組み合わせて合成することが、後述す
る粘度の調製のために好ましい。また、ビスフェノール
−Aのエチレンオキサイド2モル付加体やビスフェノー
ル−Aのエチレンオキサイド3モル付加体またはビスフ
ェノール−Aのプロピレンオキサイド2モル付加体を用
いることは屈折率を高くするために好ましい。
【0014】本発明の(c)成分のアリルエステルオリ
ゴマーを配合しなくても高屈折率の光学材料用有機ガラ
スを得ることができるが、(c)成分を配合することに
より得られる光学材料用有機ガラスの耐衝撃性を向上さ
せることができる。ただし、あまりに配合量が多すぎる
場合には粘度が高くなりすぎてしまい、光学材料で一般
に用いられている注型重合ができなくなる。そこで、配
合量としては各成分を含む原料100重量部中に0〜6
0重量部、より好ましくは20〜60重量部の範囲内か
ら選択することが望ましい。
【0015】また、(c)成分のアリルエステルオリゴ
マーを合成する際に、対応するジアリルモノマーが副生
するので、そのまま混合させた状態で、または必要に応
じて多価アリルエステルモノマーを追加して、前記した
モノマー類の目的の濃度として使用することが可能であ
る。
【0016】さらに、多価アリルエステルモノマー濃度
が高い場合には耐衝撃性をさらに向上させるために、反
対にアリルエステルオリゴマー濃度が高い場合には粘度
を低下させる目的で、アリル基との共重合性に優れた本
発明の(d)成分のベンゼン環を有する単官能重合性モ
ノマーを組み合わせることも可能である。
【0017】ここでアリル基との共重合性があり、かつ
ベンゼン環を有するという二つの項目は重要な因子であ
る。例えば、スチレンのようなベンゼン環は持つが、ア
リル基との共重合性が悪いモノマーを使用した場合に
は、硬化物が濁ってしまい、光学材料としての使用に支
障をきたしてしまう。また、酢酸ビニルやメチルメタア
クリレートのようなアリル基との共重合性はいいが、ベ
ンゼン環を持たないモノマーを使用した場合には、屈折
率が低下してしまい上記問題を解決することができな
い。
【0018】本発明の(d)成分としては具体的には、
安息香酸ビニル、安息香酸アリル、フェニル(メタ)ア
クリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げる
ことができる。これらは単独で使用してもあるいは組み
合わせて使用してもよい。これらの配合量としてはあま
りに多く使用しすぎると、耐熱性、耐溶剤性に支障をき
たすので各成分を含む原料100重量部中で30重量部
以下、より好ましくは20重量部以下の範囲から選択す
ることが望ましい。
【0019】本発明において各成分を含む原料は、各成
分の単純な配合の重量比だけでなく、各成分を配合後の
粘度も重要な因子である。CR−39で一般に行われて
いる注型重合を実施する場合、配合後の粘度があまりに
高いと配合物の脱気が困難になり、モールド中に気泡を
取り込んでしまうといった問題を生じ、また、粘度があ
まりに低いと重合の際、装置の隙間から漏れだしてしま
うといった可能性があるため、注型を行う前に予備重合
により粘度を上げるという操作が必要になる。そこで、
原料の配合後の粘度としては、前記重量比の範囲内で5
〜8000cP(30℃)、より好ましくは20〜10
00cP(30℃)になるように配合物を調製すること
が望ましい。
【0020】また、本発明の配合物にはラジカル硬化剤
が添加される。この硬化剤としては熱、マイクロ波、赤
外線、または紫外線によってラジカルを生成し得るもの
であれば、いずれのラジカル重合開始剤の使用も可能で
あり、硬化性配合物の用途、目的、硬化方法、および成
分の配合比等によって選択することができる。
【0021】しかし事実上は、CR−39の重合で行わ
れているように、ジイソプロピルパーオキシジカーボネ
ート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ
−sec−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーカ
ーボネート類を該硬化性配合物に対して1〜10重量部
用い、30℃から100℃の温度範囲で注型重合法によ
り、硬化させて有機レンズを得ることが、現状の有機ガ
ラスの生産ラインを変える必要がないので好ましい。
【0022】
【実施例】以下本発明を実施例により、具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。 [本発明で用いる(c)成分のアリルエステルオリゴマ
ーの製造参考例] (参考例−1)蒸留装置のついた1リットル三ツ口フラ
スコに、ジアリルテレフタレート600g、プロピレン
グリコール123.6g、ジブチル錫オキサイド0.3
gを仕込んで窒素気流下で180℃に加熱し、生成して
くるアリルアルコールを留去した。アリルアルコールが
120g程度留出したところで、反応系内を50mmH
gまで減圧にし、アリルアルコールの留出速度を速め
た。理論量のアリルアルコールが留出した後、更に1時
間加熱を続けた。この後、さらに減圧にして残存アリル
アルコールを留去し、粘稠性液体506gを得た。ガス
クロマトグラフィーでの定量結果より、この粘稠性液体
中には12.6重量%のジアリルテレフタレートが含ま
れていた。粘稠性液体中のアリルエステルオリゴマーを
以下アリルエステルオリゴマー−Aとする。
【0023】(参考例−2)蒸留装置のついた1リット
ル三ツ口フラスコに、ジアリルテレフタレートを600
g、1,3−ブタンジオール109.8g、ジブチル錫
オキサイド0.3gを仕込んで窒素気流下で180℃に
加熱し、生成するアリルアルコールを留去した。アリル
アルコールが100g程度留出したところで、反応系内
を50mmHgまで減圧にし、アリルアルコールの留出
速度を速めた。理論量のアリルアルコールが留去した
後、更に1時間加熱を続けた。この後、さらに減圧にし
て残存アリルアルコールを留去し、粘稠性液体570g
を得た。ガスクロマトグラフィーでの定量結果より、こ
の粘稠性液体中には25.9重量%のジアリルテレフタ
レートが含まれていた。粘稠性液体中のアリルエステル
オリゴマーを以下アリルエステルオリゴマー−Bとす
る。
【0024】(参考例−3)蒸留装置のついた1リット
ル三ツ口フラスコにジアリルイソフタレート600g、
プロピレングリコール92.7g、ジブチル錫オキサイ
ド0.3gを仕込んで窒素気流下で180℃に加熱し、
生成してくるアリルアルコールを留去した。アリルアル
コールが100g程度留出したところで、反応系内を5
0mmHgまで減圧にし、アリルアルコールの留出速度
を速めた。理論量のアリルアルコールが留去した後、更
に1時間加熱を続けた。この後、さらに減圧にして残存
アリルアルコールを留去し、粘稠性液体523gを得
た。ガスクロマトグラフィーでの定量結果より、この粘
稠性液体中には23.8重量%のジアリルイソフタレー
トが含まれていた。粘稠性液体中のアリルエステルオリ
ゴマーを以下アリルエステルオリゴマー−Cとする。
【0025】(参考例−4)蒸留装置のついた1リット
ル三ツ口フラスコにジアリルテレフタレートを540
g、ジアリルアジペート55.1g、プロピレングリコ
ール123.6g、ジブチル錫オキサイド0.3gを仕
込んで窒素気流下で180℃に加熱し、生成してくるア
リルアルコールを留去した。アリルアルコールが120
g程度留出したところで反応系内を50mmHgまで減
圧にし、アリルアルコールの留出速度を速めた。論理量
のアリルアルコールが留去した後、更に1時間加熱を続
けた。この後、さらに減圧にして残存アリルアルコール
を留去し、粘稠性液体498gを得た。ガスクロマトグ
ラフィーでの定量結果より、この粘稠性液体中には1
1.3重量%のジアリルモノマーが含まれていた。粘稠
性液体中のアリルエステルオリゴマーを以下アリルエス
テルオリゴマー−Dとする。
【0026】(参考例−5)蒸留装置のついた1リット
ル三ツ口フラスコにジアリルテレフタレートを1000
g、1,3−ブタンジオール91.5g、ライトポリオ
ールBP−200S(共栄社油脂株式会社製ビスフェノ
ール−Aのプロピレンオキサイド2モル付加体)34
9.7g、ジブチル錫オキサイド0.5gを仕込んで窒
素気流下で180℃に加熱し、生成してくるアリルアル
コールを留去した。アリルアルコールが160g程度留
出したところで反応系内を50mmHgまで減圧にし、
アリルアルコールの留出速度を速めた。理論量のアリル
アルコールが留去した後、更に1時間加熱を続けた。こ
の後、さらに減圧にして残存アリルアルコールを留去
し、粘稠性液体1186gを得た。ガスクロマトグラフ
ィーでの定量結果より、この粘稠性液体中には21.6
重量%のジアリルテレフタレートが含まれていた。粘稠
性液体中のアリルエステルオリゴマーを以下アリルエス
テルオリゴマー−Eとする。
【0027】(参考例−6)蒸留装置のついた1リット
ル三ツ口フラスコにジアリルテレフタレートを1000
g、Newcol−1900(日本乳化剤株式会社製ビ
スフェノール−Aのエチレンオキサイド2モル付加体)
642.4g、ジブチル錫オキサイド0.5gを仕込ん
で窒素気流下で180℃に加熱し、生成してくるアリル
アルコールを留去した。アリルアルコールが160g程
度留出したところで反応系内を50mmHgまで減圧に
し、アリルアルコールの留出速度を速めた。理論量のア
リルアルコールが留去した後、更に1時間加熱を続け
た。この後、さらに減圧にして残存アリルアルコールを
留去し、粘稠性液体1350gを得た。ガスクロマトグ
ラフィーでの定量結果より、この粘稠性液体中には1
8.5重量%のジアリルテレフタレートが含まれてい
た。粘稠性液体中のアリルエステルオリゴマーを以下ア
リルエステルオリゴマー−Fとする。
【0028】[本発明で用いる(a)成分の製造参考
例] (参考例−7)1リットル三ツ口フラスコにフェニル酢
酸680g、アリルアルコール580g、ベンゼン68
0g、濃硫酸3.4gを仕込んで、加熱還流し、生成す
る水をディーンスタークにより系外に別取した。水が約
130g留出したところで加熱を止め、反応液を水、1
0%−炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し
た。無水硫酸ナトリウムにより乾燥した後、常圧下でベ
ンゼンを、さらに減圧下でフェニル酢酸アリル790g
を留出した。
【0029】(参考例−8)参考例7と同様の手法によ
り、ジフェニル酢酸1060g、アリルアルコール58
0g、ベンゼン1060g、濃硫酸5.0gより、ジフ
ェニル酢酸アリル1130gを得た。
【0030】(参考例−9)参考例7と同様の手法によ
り、トリフェニル酢酸30g、アリルアルコール12
g、ベンゼン30g、濃硫酸0.15gより、トリフェ
ニル酢酸アリル30gを得た。
【0031】(実施例1)表1に示す原料の配合で重合
用配合物を調製し、粘度を測定した。この配合物にさら
にジイソプロピルパーオキシジカーボネート(以下IP
Pと略す)を表1に示した量だけ混合し、セロハン張り
のガラス板を用いて注型重合により、16時間かけて4
0℃から100℃まで昇温させて硬化させて、有機ガラ
ス成形品を得た。硬化物の諸物性を表1に示す。
【0032】(実施例2〜14)実施例1と同様にし
て、表1に示す原料の配合で重合用配合物を調製し、粘
度を測定し、有機ガラス成形品を得た。各実施例の硬化
物の諸物性を表1に合わせて示す。
【0033】(比較例1)重合性モノマーとしてCR−
39を用い、その粘度を測定し、次いでIPPを表2に
示した量だけ配合し、実施例1と同様にして注型重合に
より有機ガラス成形品を得た。硬化物の諸物性を表2に
示す。
【0034】(比較例2)重合性モノマーとしてメチル
メタクリレートを用い、IPPを表2に示した量だけ配
合し、実施例1と同様にして注型重合により有機ガラス
成形品を得た。硬化物の諸物性を合わせて表2に示す。
【0035】(比較例3)重合性モノマーとしてジアリ
ルテレフタレートを用い、その粘度を測定し、次いでI
PPを表2に示した量だけ配合し、実施例1と同様にし
て注型重合により有機ガラス成形品を得た。硬化物は多
数のクラックを生じレンズにはならない。硬化物の諸物
性を合わせて表2に示す。
【0036】なお、諸物性の測定は以下の試験方法によ
って行った。 1.透過率 ASTM D−1003に準じて測定を行った。 2.屈折率 アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて測定した。 3.表面硬度(鉛筆硬度) JIS K−5400に準じて、荷重1kgfで実施
し、傷の付かない最高の鉛筆硬度で示した。 4.粘度(30℃) JIS K−7117に準じて、ブルックフィールド型
単一円筒回転粘度計を用い、S法により測定温度30℃
で測定した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】CR−39を用いた比較例1およびメチル
メタクリレートを用いた比較例2の硬化物は耐衝撃性は
高いが、屈折率が低く、ジアリルテレフタレートのみを
用いた比較例3の硬化物の場合は屈折率は比較的に高
く、耐熱性に優れているが、硬化物は多数のクラックを
生じ、耐衝撃性が低くレンズとしての実用性がない。そ
れに対して実施例1〜13の硬化物は比較例3の硬化物
の屈折率よりも高い屈折率を示し、また、光線透過率、
鉛筆硬度、耐熱性、耐衝撃性についてもバランスのとれ
た性能を示すので、実用性の高い有機ガラスとなること
が判る。
【0040】
【発明の効果】本発明の光学材料用有機ガラスは、特定
のアリル系モノマーやアリル系オリゴマーを必須成分と
して組合せ、かつ特定の粘度になるように調製した原料
を用いて、現状の有機ガラスの生産ラインを変えること
なく注型重合法により硬化させて製造することができ
る。本発明によれば、硫黄化合物やハロゲン元素を使用
することなく、従来の有機ガラスに比較して比重が比較
的軽くかつ屈折率も高く、しかも耐衝撃性の優れた光学
材料として好適な有機ガラスを提供することができ、眼
鏡レンズに限らず、プリズム、光ディスク等の光学的な
性質を重視する分野に使用できるのでその産業上の利用
価値は甚だ大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02B 1/04 G02B 1/04 (56)参考文献 特開 平7−33831(JP,A) 特開 平7−33830(JP,A) 特開 平7−33834(JP,A) 特開 平7−70260(JP,A) 特開 平6−16750(JP,A) 特開 平5−339321(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 218/12 C08F 218/10 C08F 218/16 C08F 220/20 C08F 226/06 C08F 290/06 G02B 1/04 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(a)成分および(b)成分の化
    合物を含み、かつ30℃での粘度が5〜8000cPに
    あることを特徴とする光学材料用組成物。 (a)フェニル酢酸アリル、ジフェニル酢酸アリルおよ
    びトリフェニル酢酸アリルからなる群から選ばれた少な
    くとも1種以上の化合物 (b)ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、
    ジアリルテレフタレート、ジアリルアジペート、トリア
    リルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、
    1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3
    −シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シク
    ロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ジエチレングリコー
    ルジアリルカーボネート、ジアリルフタレートプレポリ
    マーからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合
  2. 【請求項2】 下記の(a)成分、(b)成分および
    (c)成分の化合物を含み、かつ30℃での粘度が5〜
    8000cPにあることを特徴とする光学材料用組成
    物。 (a)フェニル酢酸アリル、ジフェニル酢酸アリルおよ
    びトリフェニル酢酸アリルからなる群から選ばれた少な
    くとも1種以上の化合物 (b)ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、
    ジアリルテレフタレート、ジアリルアジペート、トリア
    リルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、
    1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3
    −シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シク
    ロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ジエチレングリコー
    ルジアリルカーボネート、ジアリルフタレートプレポリ
    マーからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合
    (c)末端にアリルエステル基がついていて、以下の繰
    り返し単位を有するオリゴマー CH2 =CHCH2 O(CO-A-COO-B-O) n CO-A-COOCH2 CH=CH2 (ただし、Aは炭素数が2〜20からなる2価の有機残
    基を表し、Bは炭素数が2〜20からなるジオールから
    誘導された2価の有機残基を表す。nは1〜20の
    数。)
  3. 【請求項3】 下記の(a)成分、(b)成分および
    (d)成分の化合物を 含み、かつ30℃での粘度が5〜
    8000cPにあることを特徴とする光学材料用組成
    (a)フェニル酢酸アリル、ジフェニル酢酸アリルおよ
    びトリフェニル酢酸アリルからなる群から選ばれた少な
    くとも1種以上の化合物 (b)ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、
    ジアリルテレフタレート、ジアリルアジペート、トリア
    リルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、
    1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3
    −シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シク
    ロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ジエチレングリコー
    ルジアリルカーボネート、ジアリルフタレートプレポリ
    マーからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合
    (d)安息香酸ビニル、安息香酸アリル、フェニル(メ
    タ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートから
    なる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物
  4. 【請求項4】 下記の(a)成分、(b)成分、(c)
    成分および(d)成分の化合物を含み、かつ30℃での
    粘度が5〜8000cPにあることを特徴とする光学材
    料用組成物。 (a)フェニル酢酸アリル、ジフェニル酢酸アリルおよ
    びトリフェニル酢酸アリルからなる群から選ばれた少な
    くとも1種以上の化合物 (b)ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、
    ジアリルテレフタレート、ジアリルアジペート、トリア
    リルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、
    1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3
    −シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シク
    ロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ジエチレングリコー
    ルジアリルカーボネート、ジアリルフタレートプレポリ
    マーからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合
    (c)末端にアリルエステル基がついていて、以下の繰
    り返し単位を有するオリゴマー CH2 =CHCH2 O(CO-A-COO-B-O) n CO-A-COOCH2 CH=CH2 (ただし、Aは炭素数が2〜20からなる2価の有機残
    基を表し、Bは炭素数が2〜20からなるジオールから
    誘導された2価の有機残基を表す。nは1〜20の
    数。(d)安息香酸ビニル、安息香酸アリル、フェニル(メ
    タ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートから
    なる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物
  5. 【請求項5】 光学材料用組成物100質量部中におけ
    る(c)成分の配合量が60質量部以下であることを特
    徴とする請求項2あるいは請求項3記載の光学材料用組
    成物
  6. 【請求項6】 光学材料用組成物100質量部中におけ
    る(d)成分の配合量が30質量部以下であることを特
    徴とする請求項3あるいは請求項4記載の光学材料用組
    成物
  7. 【請求項7】 光学材料用組成物100質量部中におけ
    る(a)成分の配合量が5〜60質量部の範囲にあるこ
    とを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載
    の光学材料用組成物
  8. 【請求項8】 光学材料用組成物100質量部中におけ
    る(b)成分の配合量が10〜50質量部の範囲にある
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記
    載の光学材料用組成物。
  9. 【請求項9】 ラジカル重合開始剤を含有することを特
    徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の光学
    材料用組成物
  10. 【請求項10】 ラジカル重合開始剤がジイソプロピル
    パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキ
    シジカーボネートおよびジ−sec−ブチルパーオキシ
    ジカーボネートからなる群から選ばれた少なくとも1種
    以上であることを特徴とする請求項1から請求項9のい
    ずれかに記載の光学材料用組成物
  11. 【請求項11】 ラジカル重合開始剤の含有量が、1〜
    10質量部の範囲であることを特徴とする請求項1から
    請求項10のいずれかに記載の光学材料用組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1から請求項11のいずれかに
    記載の光学材料用組成物を硬化してなる光学材料用有機
    ガラス
  13. 【請求項13】 30〜100℃の範囲で注型重合法に
    より製造することを特徴とする請求項12に記載の光学
    材料用有機ガラスの製造方法。
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