JP3527718B2 - プレストレストコンクリート構造物 - Google Patents
プレストレストコンクリート構造物Info
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Description
クリート構造物に関するものである。
向の海洋型地震に対応したものであるため、建物が再利
用不能となるまでの損傷限界を許容している。この設計
基準で構築される耐震構造物の一つとして、プレストレ
スが付与されたプレキャストコンクリート柱と、プレス
トレスが付与されたプレキャストコンクリート梁とをP
C鋼材で接合するプレストレストコンクリート構造物が
ある。このプレストレストコンクリート構造物における
各部材の接合、すなわちプレキャストコンクリート柱と
基礎との接合、およびプレキャストコンクリート柱とプ
レキャストコンクリート梁との接合は、PC鋼材をPC
鋼材降伏強度の80%の有効緊張力で緊張した剛接合が
標準になっていた。
プレストレストコンクリート構造物はレベル1(20〜
25cm/sec)の中地震には剛接合の構造物として
対応するが、レベル2(40〜50cm/sec)の大
地震や、レベル3(60〜75cm/sec)の巨大地
震には剛接合の構造物として対応することができずに、
PC鋼材が降伏して、プレキャストコンクリート柱やプ
レキャストコンクリート梁が損傷してしまう恐れがあっ
た。このような構造物は、人命の安全性という観点から
は問題ないが、建物の健全性や資産価値を低下させてし
まうという恐れがあった。
たものであり、その目的は、中地震を越える大地震にも
対応することができ、人命の安全性はもとより、健全性
と資産価値とを失うことのないプレストレストコンクリ
ート構造物を提供することである。
めの手段であるプレストレストコンクリート構造物は、
球体と、該球体が嵌合される受け座とからなる曲面構造
をもってプレキャストコンクリート柱が基礎に立設さ
れ、この基礎に立設されたプレキャストコンクリート柱
間にプレキャストコンクリート梁が架設され、該プレキ
ャストコンクリート梁の接合端部がプレキャストコンク
リート柱の梁受け用顎に設置され、前記基礎とプレキャ
ストコンクリート柱とにかけて配線したPC鋼材と、プ
レキャストコンクリート梁とプレキャストコンクリート
柱とにかけて配線したPC鋼材とが、PC鋼材降伏強度
の30〜60%の有効緊張力で緊張され、中地震程度の
荷重を受けた場合は剛接合のラーメン構造物とし、中地
震を越える大地震の荷重を受けた場合は各接合部が回転
する柔接合の構造物になる構成である。またプレキャス
トコンクリート柱とプレキャストコンクリート梁との接
合部、および曲面構造の周囲には目地材が充填されたこ
とを含む。また目地材は、プレキャストコンクリート
柱、プレキャストコンクリート梁、台座ブロックおよび
基礎と同じ強度、またはこれらよりも弱い強度であるこ
とを含む。またプレキャストコンクリート梁とプレキャ
ストコンクリート柱とにかけて配線したPC鋼材の有効
緊張力を階高に応じて変えたことを含む。またプレキャ
ストコンクリート柱は台座ブロックを介して立設され、
該台座ブロックの下面に曲面構造が形成されたことを含
む。またプレキャストコンクリート柱とプレキャストコ
ンクリート梁との接合部におけるPC鋼材を弾性シース
で被覆したことを含む。また弾性シースは合成樹脂また
は硬質ゴムであることを含む。またPC鋼材は、PC鋼
撚線、PC鋼棒、PC鋼線のいずれかであることを含む
ものである。
トコンクリート柱とにかけて配線したPC鋼材をPC鋼
材降伏強度の30〜60%の有効緊張力で緊張したこと
により、中地震には剛接合のプレストレストコンクリー
ト構造物として対応し、中地震を越える大地震に対して
は、プレキャストコンクリート柱とプレキャストコンク
リート梁とが接合部を中心に回転する、柔接合の弾性構
造物として対応する。プレストレストコンクリート構造
物の健全性と資産価値とを失うことがない。曲面構造に
よりプレキャストコンクリート柱、または台座ブロック
を備えたプレキャストコンクリート柱が接合部を中心に
回転する。接合部における弾性シースが変形して地震荷
重を吸収することにより、プレキャストコンクリート柱
とプレキャストコンクリート梁との回転による接合部の
損傷を防ぐことができる。弾性シースとコンクリートと
がアンボンドの状態になる。プレキャストコンクリート
柱とプレキャストコンクリート梁との回転による目地材
の離間または一部損傷により、プレキャストコンクリー
ト柱、プレキャストコンクリート梁、台座ブロックおよ
び基礎を弾性体にすることにより、その損傷を防ぐこと
ができる。目地材の軽微な損傷を補修することで、プレ
ストレストコンクリート構造物が簡単に修理できる。
ンクリート構造物(以下PS構造物という)の実施の形
態について説明する。
あり、これはプレストレスが付与されたプレストレスト
コンクリート柱(以下PS柱という)2に、プレストレ
スが付与されたプレキャストコンクリート梁(以下PS
梁という)3が架設されて構成されている。上記のプレ
ストレスはPS柱2およびPS梁3に配設されたPC鋼
材(一次ケーブル)4aをPC鋼材降伏強度の80%の
有効緊張力で緊張して付与したものである。
台座ブロック5を介して基礎6上に立設され、PC鋼材
降伏強度の50%の有効緊張力で緊張したPC鋼材(一
次ケーブル)4で接合されている。上記の台座ブロック
5には、PS柱2を回転させる曲面構造7が設けられ、
この曲面構造7が鋳鉄製の球体8と鋳鉄製の受け座9と
から構成され、これらの周囲にモルタルなどの目地材1
0が充填されている。またPC鋼材4は、PC鋼材降伏
強度の30〜60%の有効緊張力で緊張することもでき
る。よって、有効緊張力がPC鋼材降伏強度の30%未
満になると、基礎6との剛接合ができず、有効緊張力が
PC鋼材降伏強度の60%を越えると、中地震を越える
大地震の荷重によりPC鋼材4が降伏する恐れがある。
このようにPS柱2は基礎6に、PC鋼材降伏強度の5
0%の有効緊張力で接合されたことにより、中地震程度
の荷重では剛接合として対応し、中地震を越える大地震
の荷重を受けると曲面構造7を中心に回転するようにな
っている。
端部11がモルタルなどの目地材10を介してPS柱の
梁受け用顎12に設置され、PC鋼材降伏強度の50%
の有効緊張力で緊張したPC鋼材(上下段の二次ケーブ
ル)4で接合されている。このPC鋼材4の外周はメタ
ルシース13で被覆され、接合部側のみがポリエチレン
樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの合成樹脂や硬
質ゴムなどの弾性シース14で被覆されて、コンクリー
ト15とアンボンドの関係になっている。またPC鋼材
4は、PC鋼材降伏強度の30〜60%の有効緊張力で
緊張することもできる。よって、有効緊張力がPC鋼材
降伏強度の30%未満になるとPS梁3との剛接合がで
きず、有効緊張力がPC鋼材降伏強度の60%を越える
と、中地震を越える大地震の荷重によって、PC鋼材4
が降伏する恐れがある。以上のように、PC鋼材降伏強
度の50%の有効緊張力で接合されたPS梁3は、中地
震程度の荷重ではPS柱2に剛接合された状態である
が、中地震を越える大地震の荷重を受けると、図5に示
すように、PS柱2から離間して回転する。
るPC鋼撚線であり、図6に示すように、芯線16の外
周と側線17の外周とに、合成樹脂粉末塗料からなる被
覆層18が密着され、該被覆層18とシース13、14
との間に防錆材19が充填されている。なお、PC鋼材
4はPC鋼撚線の他に、PC鋼線またはPC鋼棒で形成
することもできる。
0の強度や、PS柱2とPS梁3との接合部における目
地材10の強度を、PS柱2、PS梁3、台座ブロック
5、基礎6と同じか、あるいはそれらよりも弱くするこ
とにより、これらの目地材10がPS柱2やPS梁3の
回転で損傷されるようになっている。
生した場合、剛接合のラーメン構造物として対応する
が、中地震を越える大地震が発生した場合、各接合部が
回転する柔接合の構造物、すなわち弾性構造物として対
応する。このように大地震に対しては構造物全体が弾性
変形して、各接合部における目地材10を損傷させるこ
とにより、PS構造物1全体としての損傷を抑制するこ
とができる。これは、予めPS構造物1の損傷箇所を目
地材10に設定することにより、損傷度のコントロール
と修復とを簡単にして、その健全性と資産価値とを維持
しようとするものである。
や免震ダンパーなどを新設すると、レベル3(60〜7
5cm/sec)の巨大地震にも、柔接合の弾性構造物
として対応することができる(図示せず)。
PS柱2とPS梁3との接合部における回転性能を表し
たものである。また図8および9は、PS柱2とPS梁
3との接合部における復元力特性を表したものであり、
層間変形角が1/50の大変形になっても残留変形の少
ない非線形弾性の性質を示し、弾性構造物としての下記
の効果を確認することができた。
3で被覆したPC鋼材4により、PS柱2とPS梁3と
を接合した第2の実施の形態のPS構造物20を示した
ものであり、これ以外は第1の実施の形態のPS構造物
1と同じ構成で、同じ効果を奏する。
されたPC鋼材4の有効緊張力は、PS構造物1の高さ
に応じてPC鋼材降伏強度の30〜60%の範囲で変え
ることにより、制震効果を高める。これは、例えば、階
が高くなるにしたがって、PC鋼材4の有効緊張力を小
さくするようなことである。
PC鋼材降伏強度の30〜60%の有効緊張力で緊張し
たことにより、中地震には剛接合のPS構造物として対
応し、中地震を越える大地震には弾性構造物として対応
する。
とがない。
中心に回転する。
ことにより、回転によるPS柱とPS梁との接合部の損
傷を防ぐことができる。
の状態にすることができる。
傷により、PS柱、PS梁、台座ブロックおよび基礎の
損傷を防ぐことができる。
S構造物が簡単に修理できる。
定することができる。
ーなどを新設すると、レベル3(60〜75cm/se
c)の巨大地震にも、柔接合の弾性構造物として対応す
ることができる。
る。
柱とPS梁との接合部の断面図で
Claims (8)
- 【請求項1】 球体と、該球体が嵌合される受け座とか
らなる曲面構造をもってプレキャストコンクリート柱が
基礎に立設され、この基礎に立設されたプレキャストコ
ンクリート柱間にプレキャストコンクリート梁が架設さ
れ、該プレキャストコンクリート梁の接合端部がプレキ
ャストコンクリート柱の梁受け用顎に設置され、前記基
礎とプレキャストコンクリート柱とにかけて配線したP
C鋼材と、プレキャストコンクリート梁とプレキャスト
コンクリート柱とにかけて配線したPC鋼材とが、PC
鋼材降伏強度の30〜60%の有効緊張力で緊張され、
中地震程度の荷重を受けた場合は剛接合のラーメン構造
物とし、中地震を越える大地震の荷重を受けた場合は各
接合部が回転する柔接合の構造物になることを特徴とす
るプレストレストコンクリート構造物。 - 【請求項2】 プレキャストコンクリート柱とプレキャ
ストコンクリート梁との接合部、および曲面構造の周囲
には目地材が充填された ことを特徴とする請求項1に記
載のプレストレストコンクリート構造物。 - 【請求項3】 目地材は、プレキャストコンクリート
柱、プレキャストコンクリート梁、台座ブロックおよび
基礎と同じ強度、またはこれらよりも弱い強度であるこ
とを特徴とする請求項2 に記載のプレストレストコンク
リート構造物。 - 【請求項4】 プレキャストコンクリート梁とプレキャ
ストコンクリート柱とにかけて配線したPC鋼材の有効
緊張力を階高に応じて変えた ことを特徴とする請求項1
〜3のいずれかに記載のプレストレストコンクリート構
造物。 - 【請求項5】 プレキャストコンクリート柱は台座ブロ
ックを介して立設され、該台座ブロックの下面に曲面構
造が形成された ことを特徴とする請求項1〜4のいずれ
かに記載のプレストレストコンクリート構造物。 - 【請求項6】 プレキャストコンクリート柱とプレキャ
ストコンクリート梁との接合部におけるPC鋼材を弾性
シースで被覆したことを特徴とする請求項1〜5のいず
れかに 記載のプレストレストコンクリート構造物。 - 【請求項7】 弾性シースは合成樹脂または硬質ゴムで
あることを特徴とする請求項6 に記載のプレストレスト
コンクリート構造物。 - 【請求項8】 PC鋼材は、PC鋼撚線、PC鋼棒、P
C鋼線のいずれかであ ることを特徴とする請求項1〜7
のいずれかに 記載のプレストレストコンクリート構造
物。
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