JP3527151B2 - シートの格納式フットレスト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、シートクッショ
ンの下部位置に規定された格納位置に、少なくともその
回動を伴って格納可能なシートの格納式フットレスト、
特に、シートクッションの跳ね上げ可能な跳ね上げシー
トに適用可能なシートの格納式フットレストに関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用のシート、特に着座が比較的長時
間にわたりやすい観光バスや長距離旅客バス等のシー
ト、あるいは高速列車、客船、旅客機等のシートに装備
されるフットレストとして、たとえば、足、特にふくら
はぎ等を下方から支持することによって着座者のリラッ
クス姿勢等を確保可能とする形態のものが一般的に知ら
れている。そして、車両用のシート等に装備されるこの
種のフットレスト（オットマンとも称する）は、通常、
下方への回動のもとでシートクッションの下部位置に格
納可能な、いわゆる格納式とされ、ヒンジを中心とした
格納位置からのその回動により、シートクッション前端
前方に規定された使用位置への突出、設定が任意に可能
となっている。

【０００３】このような格納式フットレストの格納位
置、つまり着座者の足を直接的に支持するフットレスト
本体の格納位置としては、シートクッション前端下部の
ほぼ垂直位置が一般的となっている。そして、垂直状態
のフットレストの上端に位置するヒンジを中心とした回
動、および対応位置でのロックオンのもとで、この格納
式フットレストはその使用位置に設定される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ここで、シートクッシ
ョン前端下部にそのほぼ垂直状態で格納される構成の公
知の格納式フットレストにおいては、シートクッション
の下部スペースの前面が、この格納したフットレスト本
体によって塞がれることになりやすいため、格納したフ
ットレスト本体が、足元スペースの確保の妨げとなる虞
れがある。つまり、公知の構成においては、通常の着座
姿勢での快適性の低下を伴う可能性が、十分には否定で
きず、リラックス姿勢、および通常の着座姿勢での快適
性の両立が困難となっている。

【０００５】また、シートクッションの下部スペースが
大きく確保されたシートであれば、この下部スペースを
荷物等の収納スペースとして利用することもできる。し
かし、公知の構成においては、格納されたフットレスト
本体によってシートクッションの下部スペース前面が塞
がれるため、この下部スペースの利用性の低下も伴いや
すい。

【０００６】ところで、このような格納式フットレスト
の装備される車両等のシート、たとえば観光バスや長距
離旅客バス等のシートとして、シートクッションを垂直
方向に跳ね上げ可能とした、いわゆる跳ね上げシートが
知られている。そして、この跳ね上げシートの利用性に
リラックス姿勢の確保機能を併設することが、シートの
多機能化、あるいは高品質化等のための付加要素として
考えられている。

【０００７】しかし、公知の格納式フットレストは、シ
ートクッションの前端下部に、そのほぼ垂直状態で格納
される構成であり、言い換えれば、シートクッションの
下面に対するほぼ直交方向に突出した位置が、フットレ
スト本体の格納位置となるため、跳ね上げシートへの公
知の構成の適用は困難であるといわざるを得ない。

【０００８】この発明は、快適な使用状態を確保しつつ
格納形態のコンパクト化をはかり、これによって跳ね上
げシートへの適用も可能とするシートの格納式フットレ
ストの提供を目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明によれば、左右一対のレール体が、シート
クッションに対して固定されるとともに、左右一対の側
壁を有する正面略コ字形状をベースブラケットが、この
レール体に対し、左右の側壁に設けられた回転自在なロ
ーラを介して、シートクッションに対する後方の格納位
置と、その前方の使用位置との間でスライド自在に配設
されている。そして、外側面を弾性支持面としたフット
レスト本体が、下方に向けた弾性支持面をシートクッシ
ョンの下面とほぼ平行とする格納位置から、弾性支持面
を所定角度で上方に向けたその前方の使用位置に、回動
支点の上昇を伴いながら回動可能に、ベースブラケット
に対し、枢着点のそれぞれ異なるリンクアーム、および
サポートリンクを介して連結、支持されている。

【００１０】また、シートクッションに対して固定され
たラック、およびベースブラケットに回転自在に配設さ
れたピニオンの組み合わせとしてなる進退ギヤ手段が、
ピニオンの回転のもとでベースブラケットを対応する前
後方向にスライド可能に形成されるとともに、伝達ギヤ
手段を介して、リンクアームの回動が、対応方向への回
転力として進退ギヤ手段のピニオンに変換し伝達可能と
なっている。そして、シートクッションに対する後方の
格納位置、および前方の使用位置のそれぞれで、ベース
ブラケットの前後スライドを規制可能とするロック手段
を設け、このロック手段のロックオフのもとで、回動支
点の上昇を伴いながら、フットレスト本体を格納位置か
ら前方に回動させ、この回動に伴ったベースブラケット
の連鎖的な前方スライドによって、フットレスト本体を
シートクッション前端前方の使用位置に設定可能として
いる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発
明の実施の形態について詳細に説明する。

【００１２】図１、図２に示すように、この発明に係る
シートの格納式フットレスト10は、着座者の足、特にふ
くらはぎ等を下方から支持するフットレスト本体12を備
え、このフットレスト本体をシートクッション14の下部
位置に格納可能、かつこの格納位置からシートクッショ
ン前端前方の使用位置にその回動のもとで引き出し可能
に構成されている。

【００１３】この発明の格納式フットレスト（フットレ
スト自体は、別名オットマンとも称される）10におい
て、フットレスト本体12は、たとえば、図３に示す形状
の本体フレーム16の外面側に所定の弾性体を配置し、こ
れを表皮等で覆うことにより、短手、長手の弾性支持面
12S,12Lを有する側面略L形状に形成されている（図１参
照）。そして、図１、図３に加えて図４を見るとわかる
ように、たとえば、正面略コ字形状に折曲成形された取
付ブラケット18の基部18aが、このフットレスト本体12
に止めねじ20等によって固定され、この取付ブラケット
の一対の側壁18bの異なる箇所に一端22a,24aの枢着され
たリンクアーム22、およびサポートリンク24を介して、
フットレスト本体は、ベースブラケット26に対して回動
可能、かつ昇降可能に連結されている。

【００１４】なお、図１に示すように、この発明におい
ては、長手の弾性支持面12Lをシートクッション14の下
面とほぼ平行とした位置で下方に向け、短手の弾性支持
面12Sを前面に位置させた状態が、フットレスト本体12
の格納位置として規定され、この格納位置から、リンク
アーム22、およびサポートリンク24の回動のもとで、回
動支点の上昇を伴いながら対応方向に回動可能に、この
フットレスト本体は構成されている（図２参照）。

【００１５】図４に示すように、ベースブラケット26
は、基部26aの側辺に左右一対の側壁26bを有した正面略
コ字形状に形成され、この図４に加えて図１を見るとわ
かるように、この側壁の異なる箇所に、リンクアーム2
2、およびサポートリンク24の他端22b,24bがそれぞれ枢
着されている。

【００１６】このように、枢着点のそれぞれ異なるリン
クアーム22、およびサポートリンク24を介して、フット
レスト本体12をベースブラケット26に連結する構成にお
いては、たとえば、リンクアームの枢着点22aをフット
レスト本体の回動支点と仮定した場合、格納位置から
の、ベースブラケット側の枢着点22bを中心としたリン
クアームの回動のもとで、フットレスト本体の回動支点
は上昇するとともに、この回動支点に対するサポートリ
ンクの枢着点24aの位置変動によって、フットレスト本
体は、対応方向に回動される（図２参照）。つまり、こ
のリンクアーム22、およびサポートリンク24を設けるこ
とによって、フットレスト本体12は、昇降しながらの回
動が、このフットレスト本体12において確保可能とな
る。

【００１７】そして、図１に加えて図５を見るとわかる
ように、この発明においては、左右一対のレール体28
が、シートクッション14、たとえばシートクッションフ
レーム30に対し、たとえば、ユニットベース32を介して
固定されている。そして、図1、図５に加えて図４を見
るとわかるように、ベースブラケット26が、このレール
体28に対し、左右の側壁26bに設けられた回転自在なロ
ーラ34を介して、シートクッション14に対する後方の格
納位置と、その前方の使用位置との間でスライド自在に
配設、支持されている。

【００１８】なお、この発明の実施の形態においては、
レール体28が、内側の側壁に開口28aを有する断面略包
囲形状に形成され、この内部へのローラ34の内設によ
り、ベースブラケット26がレール体に対してスライド自
在に装着されている。

【００１９】ここで、レール体28、つまりはシートクッ
ション14に対するベースブラケット26のスライドは、進
退ギヤ手段36によって駆動制御可能となっている。

【００２０】図１、図４、および図５に示すように、進
退ギヤ手段36は、たとえばユニットベース32に固定され
たラック38と、ベースブラケットの側壁26bに回転自在
に配設されたピニオン40との組み合わせとされ、ラック
に対するピニオンの回転、自走のもとで、ベースブラケ
ット26を対応する前後方向にスライド可能としている。
そして、所定の伝達ギヤ手段42を介して、このピニオン
40が、リンクアーム22に連動可能に連結されている。

【００２１】図１、図４に示すように、伝達ギヤ手段42
は、たとえば、ベースブラケット側の枢着点22bの回り
でリンクアーム22に設けられたセクタギヤ44と、セクタ
ギヤに噛合可能な小径外歯車46と、ピニオン40に噛合し
て小径外歯車と一体に回転する大径外歯車48との組み合
わせからなり、リンクアームの回動を、対応方向への回
転力としてピニオンに変換し伝達可能に構成されてい
る。

【００２２】更に、この発明の格納式フットレスト10
は、図４、図６、および図７に示すようなロック手段50
を備え、シートクッション14に対する前後方向へのベー
スブラケット26のスライドが、このロック手段のロック
オンのもとで、図１に示す後方の格納位置と、図２に示
すその前方の使用位置とのそれぞれにおいて規制可能と
なっている。

【００２３】ロック手段50は、たとえば、ベースブラケ
ットの基部26aに固定されたサポートプレート52に、格
納位置用溝54-1と使用位置用溝54-2(54-2a〜54-2d)とを
それぞれ有する形態として形成された図４、図７に示す
ロック溝54と、図５、図６、および図７に示すように、
このロック溝に係合可能なロックピン56を一端に有して
形成され、シートクッション側部材、たとえばユニット
ベース32に固定された支持プレート58に対し、枢支ピン
60、および係止具62によってその支点の枢着されたロッ
クプレート64とを備えている。そして、このロック手段
50においては、図６、図７に示すように、弾性変形の可
能なばね鋼板から形成されたロックオフレバー66の、た
とえば段部66aが、ロックプレート64の自由端に設けら
れた係合孔68に対し、所定範囲の遊び、たとえばロック
レバーに対するロックオン位置、ロックオフ位置間での
ロックプレートの回動を保障可能とする範囲の遊びを介
して係合可能に挿通されるとともに、ロックばね70の偏
倚力のもとで、ロックプレート64、およびロックオフレ
バー66はロックオン方向にそれぞれ偏倚されている。

【００２４】ロックばね70として、たとえば引張コイル
ばねが利用でき、この引張コイルばねは、ロックオン方
向への偏倚力をロックプレート64、およびロックオフレ
バー66に付与可能に、たとえば、ロックオフレバーの端
末66bと、ラック38の形成されたギヤプレート72の係止
片72aとの間に架設、張設されている（図５ないし図７
参照）。

【００２５】なお、ロックオフレバー66は、その端末
に、たとえば牽引操作の可能なノブ74を一体的に有して
形成され、このノブによる、ロックばね70の偏倚力に抗
したロックオフレバー66の牽引によって、このロック手
段50はロックオフ可能となっている。

【００２６】たとえば、図１に示す状態、つまりシート
クッション14の下部に規定された格納位置にフットレス
ト本体12の格納された状態を、この格納式フットレスト
10の初期状態と仮定する。

【００２７】上述したように、この発明においては、長
手の弾性支持面12Lをシートクッション14の下面とほぼ
平行とした位置で下方に向け、短手の弾性支持面12Sを
前面に位置させた状態が、フットレスト本体12の格納位
置として規定され、レール体28に対するベースブラケッ
ト26の後方位置で、フットレスト本体のこの格納位置は
設定されている。

【００２８】なお、この初期状態においては、図７に示
すように、格納位置用溝54-1へのロックピン56の係合に
よるスライド規制のもとで、ベースブラケット26は、レ
ール体28に対する後方位置に保持され、このベースブラ
ケットのスライド規制のもとで、リンクアーム22の回
動、ひいてはフットレスト本体12の回動が規制されてい
る（図１参照）。

【００２９】この図１、図７に示す初期状態において、
まず、ノブ74でのロックレバー66の牽引操作により、ロ
ック手段50を、図７に一点鎖線で示すようにロックオフ
すると、レール体28に対するベースブラケット26のスラ
イド規制が解除され、それと同時に、リンクアーム22の
回動が保障される。そして、このロック手段50のロック
オフ状態において、フットレスト本体12を、たとえば、
短手の弾性支持面12Sに設けられた把持ベルト76を利用
してシートクッション14の前方（図１の左方）に牽引す
ると、フットレスト本体12の回動に伴って、リンクアー
ム22が対応方向に回動するとともに、伝達ギヤ手段42を
介したこのリンクアームの回動力の伝達、変換に伴う図
中時計方向へのピニオン40の回転、つまりはラック38に
対するピニオンの自走によって、ベースブラケット26
は、シートクッション14の前方に連鎖的にスライドされ
る（図２参照）。

【００３０】更に、フットレスト本体12は、枢着点の異
なるリンクアーム22とサポートリンク24とによって支持
されているため、図２に示すように、ベースブラケット
側の枢着点22bを中心としたリンクアームの回動のもと
で、フットレスト本体の回動支点が上昇するとともに、
この回動支点に対するサポートリンクの枢着点24aの位
置変動によって、対応方向、つまりはシートクッション
前端前方への突出方向に回動される。つまり、この発明
の格納式フットレスト10によれば、フットレスト本体12
は、回動支点を上昇させながら回動し、更には前方に連
鎖的にスライドしながらその使用位置に移動、設定され
る。

【００３１】フットレスト本体12の使用位置において
は、図８に示すように、ロックばね74の偏倚力による、
使用位置用溝54へのロックピン56の係合、つまりはロッ
ク手段50のロックオンのもとでのスライド規制により、
ベースブラケット26は、レール体28に対する所定の前方
位置に保持される。そして、このベースブラケットのス
ライド規制のもとで、リンクアーム22の回動、ひいては
フットレスト本体12の回動も同時に規制される（図２参
照）。

【００３２】また、図２、図８に示す使用位置におい
て、ロック手段50のロックオフ後、フットレスト本体12
を下方に回動させれば、リンクアーム22の回動に伴う図
中反時計方向へのピニオン40の回転によって、ベースブ
ラケット26は、シートクッション14の後方にスライドさ
れ、ロックばね70の偏倚力のもとでのロック手段のロッ
クオンにより、フットレスト本体は、図１に示す初期状
態の格納位置に設定、格納される。

【００３３】上記のように、この発明のシートの格納式
フットレスト10においては、フットレスト本体12が、長
手の弾性支持面12Lをシートクッション14の下面とほぼ
平行とした状態で、シートクッション14の下部位置に格
納されるため、フットレスト本体の格納状態であって
も、シートクッションの下部スペースは十分に広く確保
できる。つまり、格納式フットレスト10が、足元スペー
スの確保の妨げとならないため、通常の着座姿勢での快
適性の向上が確実にはかられる。

【００３４】そして、この発明では、格納位置からの上
昇を伴った回動、および連鎖的な前方スライのもとで、
フットレスト本体12の使用位置を設定するため、その使
用に適した使用位置の設定が、容易に確保可能となる。

【００３５】つまり、この発明によれば、フットレスト
本体12の使用時、格納時の双方での快適性が、その位置
設定のもとで容易に確保できるため、リラックス姿勢、
および通常の着座姿勢での快適性の両立がはかられる。

【００３６】そして、シートクッション14の下部スペー
スが広く確保できることによって、この下部スペースを
荷物等の収納スペースとしても利用できることから、こ
の下部スペースの有効利用も容易にはかられる。

【００３７】更に、この発明の格納式フットレスト10
は、長手の弾性支持面12Lをシートクッション14の下面
とほぼ平行とした状態でフットレスト本体12を格納可能
とする構成であるため、フットレスト本体の格納形態が
十分にコンパクト化されるとともに、シートクッション
の下面に対する組み付けのみのもとで、シートへの装着
が可能となることから、シートクッションを垂直方向に
跳ね上げ可能とする跳ね上げシートへも容易に適用可能
となる。

【００３８】そして、十分にコンパクト化された格納形
態であるため、シートクッション14の跳ね上げ時におけ
る外観品質の低下も、この発明の格納式フットレスト10
によれば十分に防止される。

【００３９】ところで、この発明の実施の形態において
は、シートクッション14に対する固定部材、たとえばレ
ール体28、ラック38、およびロックプレート64の枢着さ
れる支持プレート58等をユニットベース32にそれぞれ固
着し、このユニットベースをシートクッションに固定す
ることによって、シートクッションへの各部材の固定を
得ている。しかし、これらの固定部材は、シートクッシ
ョン14に対して固定されれば足りるため、ユニットベー
ス32を介することなく、各部材をシートクッションの下
面等に直接的に固着する構成としてもよい。

【００４０】しかしながら、この発明の実施の形態のよ
うに、シートクッション14に対する固定部材を、ユニッ
トベース32にそれぞれ固着する構成とすれば、格納式フ
ットレスト10が、ユニットベースにおいて予めユニット
化できるため、シートクッション14への取付作業の容易
化が十分にはかられるとともに、他機種のシートへの転
用、あるいは単独での販売等も容易に可能となる。

【００４１】ここで、この発明の実施の形態において
は、フットレスト本体12を側面略L形状として具体化し
ているが、少なくとも、着座者のふくらはぎ等を下方か
ら弾性支持可能な形状であれば足りるため、この形状に
限定されず、たとえばほぼ平板状に、フットレスト本体
を形成してもよい。

【００４２】しかしながら、この実施の形態のように、
フットレスト本体12を側面略L形状とし、その短手の弾
性支持面12Sを格納時に前面に配置する構成とすれば、
格納位置のフットレスト本体に着座者の足等が接触した
としても、それは単に弾性支持面に接触したにすぎない
ため、着座者の安全性、および快適性が十分に向上され
る。

【００４３】また、この発明の実施の形態においては、
ロック手段のロックオフレバー66を、弾性変形の可能な
ばね鋼板から形成している。そして、ロックオフレバー
66は、牽引操作に耐え得る程度の肉厚のもので十分に足
りるため、ロッド等に比べて、その肉厚は十分に抑えら
れる。

【００４４】つまり、ロックオフレバー66をばね鋼板か
ら形成すれば、このロックオフレバーの配置スペース、
あるいは延出経路が確実に削減でき、ひいては単なる隙
間等を配置スペース等として利用できるため、ロックオ
フレバーの配置が、全体の構造、形状等に悪影響を与え
ることなく容易に行える。

【００４５】そして、このばね鋼板は、弾性変形の可能
なものであるため、他の部材との干渉等が、その撓みに
よって容易に回避できる。従って、この点からも、全体
の構造、形状等に対するロックオフレバー66の影響は十
分に抑制される。

【００４６】なお、図７、図８を見るとわかるように、
この発明の実施の形態においては、ロック手段50のロッ
ク溝54が、複数、たとえば４つの使用位置用溝54-2a〜5
4-2dを有する形態として具体化されている。このよう
に、複数の使用位置用溝54-2a〜54-2dを有する形態とし
てロック溝54に形成すれば、図２に二点鎖線で示すよう
に、使用位置でのフットレスト本体12の設定角度が段階
的に得られ、着座者の好み等に応じて、任意に選択でき
るため、使用性、および快適性に優れた格納式フットレ
スト10が容易に確保可能となる。

【００４７】この発明のシートの格納式フットレスト
は、リラックス姿勢の要求されるシート、たとえば、観
光バスや長距離旅客バス等や高速列車、客船、旅客機等
の各種車両のシート、あるいは家庭用、理髪用、あんま
用、あるいは映画館等の各種シートに装備されるフット
レストとして、いずれに適用可能であることはいうまで
もない。

【００４８】上述した実施の形態は、この発明を説明す
るためのものであり、この発明を何等限定するものでな
く、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたも
のも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。

【００４９】

【発明の効果】上記のように、この発明に係るシートの
格納式フットレストによれば、フットレスト本体がその
弾性支持面をシートクッション下面とほぼ平行とした状
態で、シートクッションの下部位置に格納されるため、
フットレスト本体の格納状態であっても、シートクッシ
ョンの下部スペースは十分に広く確保できる。つまり、
格納式フットレストが、足元スペースの確保の妨げとな
らないため、通常の着座姿勢での快適性の向上が確実に
はかられる。

【００５０】そして、この発明では、回動支点の上昇を
伴った格納位置からの回動、および連鎖的な前方スライ
ドのもとで、フットレスト本体の使用位置を設定する構
成であるため、その使用に適した使用位置が容易に設定
できることから、フットレスト本体の使用時、格納時の
双方での快適性が、その位置設定のもとで容易に確保で
きる。従って、リラックス姿勢、および通常の着座姿勢
での快適性の両立がはかられる。

【００５１】また、シートクッションの下部スペースが
広く確保できることによって、この下部スペースを荷物
等の収納スペースとしても利用できることから、この下
部スペースの有効利用も容易にはかられる。

【００５２】更に、この発明の格納式フットレストによ
れば、フットレスト本体の格納形態が十分にコンパクト
化されるとともに、シートクッションの下面に対する組
み付けのみのもとでシートクッションへの取り付けが可
能となることから、シートクッションを垂直方向に跳ね
上げ可能とする跳ね上げシートへの適用も容易に可能と
なる。そして、十分にコンパクト化された格納形態であ
るため、シートクッションの跳ね上げ時における外観品
質の低下も、この発明の格納式フットレストによれば十
分に防止される。

【００５３】また、フットレスト本体を側面略L形状と
し、その短手の弾性支持面を前面に位置させて格納すれ
ば、格納位置のフットレスト本体に着座者の足等が接触
したとしても、それは単に弾性支持面に接触したにすぎ
ないため、着座者の安全性、および快適性が十分に向上
される。

【００５４】更に、ロック手段のロックオフレバーを弾
性変形の可能なばね鋼板から形成すれば、ロックオフレ
バーの配置スペースが確実に削減でき、ひいては単なる
隙間等を配置スペース、あるいは延出経路として利用で
きるため、ロックオフレバーの配置が、全体の構造、形
状等に悪影響を与えることがない。

【００５５】そして、このばね鋼板は弾性変形の可能な
ものであるため、他の部材との干渉等が、その撓みによ
って容易に回避できる。従って、この点からも、全体の
構造、形状等に対するロックオフレバーの影響は十分に
抑制される。

【００５６】また、シートクッションに対して固定され
る固定部材を、所定のユニットベースに対して固定すれ
ば、格納式フットレストのユニット化が可能となること
から、シートクッションへの取付作業の容易化が十分に
はかられるとともに、他機種のシートへの転用、あるい
は単独での販売等も容易に可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】格納位置における、この発明に係るシートの格
納式フットレストの概略側面図である。

【図２】使用位置における、シートの格納式フットレス
トの概略側面図である。

【図３】フットレスト本体を要部とする、シートの格納
式フットレストの概略分解斜視図である。

【図４】ベースブラケット、リンクアーム、および伝達
ギヤ手段を要部とする、シートの格納式フットレストの
概略分解斜視図である。

【図５】レール体、および進退ギヤ手段を要部とする、
シートの格納式フットレストの概略分解斜視図である。

【図６】ロック手段を要部とする、シートの格納式フッ
トレストの概略分解斜視図である。

【図７】シートの格納式フットレストの格納位置におけ
る、ロック手段の概略平面図である。

【図８】シートの格納式フットレストの使用位置におけ
る、ロック手段の概略平面図である。

【符号の説明】

10 シートの格納式フットレスト 12 フットレスト本体 14 シートクッション 22 リンクアーム 24 サポートリンク 26 ベースブラケット 28 レール体 32 ユニットベース 36 進退ギヤ手段 42 伝達ギヤ手段 50 ロック手段 66 ロックオフレバー

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートクッションに対して固定された左
   右一対のレール体と；左右一対の側壁を有した正面略コ
   字形状に形成され、レール体に対し、左右の側壁に設け
   られた回転自在なローラを介して、シートクッションに
   対する後方の格納位置と、その前方の使用位置との間で
   スライド自在に配設されたベースブラケットと；外側面
   を弾性支持面とし、下方に向けた弾性支持面をシートク
   ッションの下面とほぼ平行とする格納位置から、弾性支
   持面を所定角度で上方に向けたその前方の使用位置に、
   回動支点の上昇を伴いながら回動可能に、ベースブラケ
   ットに対し、枢着点のそれぞれ異なるリンクアーム、お
   よびサポートリンクを介して連結、支持されたフットレ
   スト本体と；シートクッションに対して固定されたラッ
   ク、およびベースブラケットに回転自在に配設されたピ
   ニオンの組み合わせとしてなり、ピニオンの回転のもと
   で、ベースブラケットを対応する前後方向にスライドさ
   せる進退ギヤ手段と；リンクアームの回動を、対応方向
   への回転力として進退ギヤ手段のピニオンに変換し伝達
   する伝達ギヤ手段と；シートクッションに対する後方の
   格納位置、および前方の使用位置のそれぞれで、ベース
   ブラケットの前後スライドを規制可能とするロック手段
   と；を具備し、 回動支点の上昇を伴いながら、フットレスト本体を格納
   位置から前方に回動させ、この回動に伴ったベースブラ
   ケットの連鎖的な前方スライドによって、フットレスト
   本体をシートクッション前端前方の使用位置に設定可能
   としたシートの格納式フットレスト。
2. 【請求項２】 フットレスト本体が側面略L形状に形成
   され、短手の弾性支持面を前面に位置させて、フットレ
   スト本体を格納位置に格納する請求項１記載のシートの
   格納式フットレスト。
3. 【請求項３】 ロック手段が、格納位置用の溝、および
   使用位置用の溝をそれぞれ有して、ベースブラケット側
   に配置、固定されたロック溝と；このロック溝に係合可
   能なロックピンを一端に有して、シートクッション側部
   材にその支点の枢着されたロックプレートと；弾性変形
   の可能なばね鋼板から形成され、ロックプレートの自由
   端に対し、所定範囲の遊びを有して連動可能に連結され
   たロックオフレバーと；ロックプレート、およびロック
   オフレバーに、ロックオン方向への偏倚力を付与するロ
   ックばねと；を備えて形成された請求項１または２記載
   のシートの格納式フットレスト。
4. 【請求項４】 シートクッションに対して固定される固
   定部材を、所定のユニットベースに対して固定すること
   によってユニット化し、このユニットベースを介して、
   全体をシートクッションに対して取付可能とした請求項
   １ないし３のいずれか記載のシートの格納式フットレス
   ト。