JP3525736B2 - モータを駆動源とした機械の診断装置 - Google Patents

モータを駆動源とした機械の診断装置

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JP3525736B2
JP3525736B2 JP11940398A JP11940398A JP3525736B2 JP 3525736 B2 JP3525736 B2 JP 3525736B2 JP 11940398 A JP11940398 A JP 11940398A JP 11940398 A JP11940398 A JP 11940398A JP 3525736 B2 JP3525736 B2 JP 3525736B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータを駆動源と
した機械に生じた不具合を検出するための診断装置に関
し、特に、モータの消費電力を測定することにより不具
合を検出する診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】モータを駆動源とした機械の状態を診断
する手法の一つとして、モータにより駆動される機械各
部の劣化がモータの回し難さとなり、これをモータの消
費電力として測定して機械の状態を診断する手法があ
る。このような手法を採用した診断方法として、例えば
特開平9−198123号公報には、モータの消費電力
を測定して、測定した電力が予め決められた電力以上ま
たは以下となっている場合に何等かの不具合が発生して
いることを検出する方法が開示されている。
【0003】この方法は、図9に示すように、駆動源で
あるモータ51の駆動力を減速機52を介して回転軸5
3に伝達し、この回転軸53の回転運動をクランク・カ
ム機構60により往復運動に変換し、動作部位55を往
復運動させる機械構成において、モータ51の消費電力
を電力測定器71により測定し、回転軸53の回転角度
を回転角測定器72により測定して、モニタ装置本体7
4が、測定結果を、図10に示すように、モータ51の
消費電力の変化を回転軸53の回転角度に応じてプロッ
トして、測定した消費電力と予め決められた基準となる
判定レベルとを比較することにより、回転角度に応じて
判定レベルを越えたか否かにより不具合の発生を検出し
ている。また、この方法では、回転角に応じた消費電力
の変化を比較することで、どの部位に不具合が生じたか
を推定することができるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の方法にあっては、測定した消費電力の絶対量を基
準値と比較しているため、例えば温度変化によって機械
内部のオイル粘度に変化がある場合、機械自体には何等
不具合がなくても、オイル粘度が高くなったようなとき
には、測定されるモータの消費電力の絶対値が増加し
て、基準値を越えてしまうような場合がある。このよう
な場合、従来の方法では、不具合と判断してしまい、誤
った診断結果を出してしまうという問題がある。
【0005】このような温度やオイル粘度、また、正常
な状態での負荷の増大や減少などといった外乱要因によ
る誤診断を防止するためには、モータの消費電力の測定
に合わせて、機械や周囲の温度、機械内部のオイル粘度
などを測定し、これらの測定結果を用いて測定したモー
タの消費電力、または基準値を補正しなければならず、
このような装置構成は非常に複雑、かつ、高価なシステ
ムとなることがさけられない。
【0006】そこで、本発明は、モータの消費電力の測
定のみによっても、外乱要因によって生じる誤診断を防
止することができる診断装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記す
る手段により達成される。
【0008】
【0009】
【0010】()モータを駆動源とした機械に生じた
不具合を検出するための診断装置であって、前記モータ
の消費電力を測定する電力測定手段と、前記電力測定手
段によって測定したモータの消費電力が、機械の動作開
始指示からピーク電力となるまでの時間を計測するピー
ク電力時間測定手段と、前記ピーク電力時間計測手段に
より測定された時間と、予め決められた時間とを比較し
て前記機械の不具合の有無を検出するピーク電力時間基
準診断手段と、を有することを特徴とするモータを駆動
源とした機械の診断装置。
【0011】()モータを駆動源とした機械に生じた
不具合を検出するための診断装置であって、前記モータ
の消費電力を測定する電力測定手段と、前記電力測定手
段によって測定したモータの消費電力が、無電力となっ
たことを検出した時点から機械の動作完了となるまでの
時間を計測する無電力時間測定手段と、前記無電力時間
計測手段により測定された時間と、予め決められた時間
とを比較して前記機械の不具合の有無を検出する無電力
時間基準診断手段と、を有することを特徴とするモータ
を駆動源とした機械の診断装置。
【0012】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、請求項ご
とに以下のような効果を奏する。
【0013】
【0014】
【0015】請求項記載の本発明は、モータの起動開
始指令から消費電力がピークに達するまでの時間を基準
時間と比較することで不具合の有無を検出すること、す
なわち、時間を基準として機械に生じた不具合の有無を
検出することとしたので、機械の動作中における消費電
力の絶対値の変化に影響されることなく、簡易に機械の
不具合を検出することができる。
【0016】請求項記載の本発明は、モータの消費電
力がなくなった時点から機械の動作が完了するまでの無
電力時間を基準時間と比較することで不具合の有無を検
出すること、すなわち、時間を基準として機械に生じた
不具合の有無を検出することとしたので、機械の動作中
における消費電力の絶対値の変化に影響されることな
く、簡易に機械の不具合を検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付した図面を参照して、
本発明の一実施の形態を説明する。
【0018】図1は、本発明を適用した診断装置10に
より診断を行うモータを駆動源とする機械の構成を示す
概略図であり、図2は、診断装置の内部構成をその動作
に基づき説明するための機能ブロック図である。
【0019】まず、診断を行う機械構成について、図1
を参照して説明する。
【0020】この機械は、モータを駆動源として動作す
るロボットアームであり、その構成は、駆動源となるサ
ーボモータ1(以下、単にモータを称する)と、このモ
ータ1の回転軸に接続された減速機2と、減速機2の出
力軸に接続されたロボットアーム3よりなる。なお、ロ
ボットアームの先端には、図示する場合にはエンドエフ
ェクターとして溶接機が接続されている。
【0021】モータ1はモータ1の制御回路4から適宜
ロボットアーム3を動作させるために必要な電力の供給
を配線5を介して受けることにより回転する。ここで、
モータ1に供給される電力は交流である。
【0022】また、モータ1には、回転数や回転速度の
サーボのために必要なモータの回転数を検出するための
パルスエンコーダ(不図示)が設けられており、その信
号は、制御回路4に出力されている。減速機2は、歯車
やベアリングなどによって構成された通常のもので、そ
の内部には、歯車やベアリングなどの潤滑および劣化防
止のためにオイルが充填されている。
【0023】制御回路4では、適宜ロボットアーム3を
動作さるために必要なモータの起動、停止の指示、およ
びモータ1の回転速度を制御(サーボ)しており、ロボ
ットアーム3の動作に必要な回転速度となるように、モ
ータ1に設けられているパルスエンコーダからのパルス
信号により、その回転速度となるような電力がモータ1
に対して供給される。また、パルスエンコーダのパルス
信号によって、モータ1が実際に停止したか否かを検出
して、モータ1が実際に停止したことを示す停止信号が
出力されている。さらにこのパルスエンコーダからのパ
ルス数をカウントすることで、ロボットアームの位置決
めが行われている(ロボットの位置決めにはモータの動
作の他、位置決め専用のセンサなどが設けられている場
合もある)。なお、このようなモータの制御および機械
の動作は通常のロボットにおける制御や動作である。
【0024】このような機械の診断を行うための診断装
置10は、モータの制御回路4内部の、実際にモータ1
へ電力を供給している配線上の電流値および電圧値を検
出して、モータの消費電力を測定し、また、制御回路4
が行うモータの起動指示、およびロボットアーム3が所
定の動作を完了して、モータ1が実際に停止したことを
示す停止信号を検出するようになっている。
【0025】診断装置10の構成は、図2に示すよう
に、制御回路4から電力を測定するために設けられてい
る電流計11および電圧計12、これら電流計11およ
び電圧計12からの信号値を掛け算して電力を求める掛
け算機13、掛け算機13によって得られた電力値から
有効電力を検出する有効電力検出部14、有効電力検出
部14によって求められた有効電力からさらにその実行
値を算出する実行値算出部15、モータの制御回路4か
ら起動指示信号および停止信号を受けて、この起動から
停止までの間に測定された電力(実行値算出部から出力
された実行値)を記憶する一時記憶部16、この一時記
憶部16に記憶されたモータの起動指示から停止信号が
あるまでの間の電力値を高速フーリエ変換(FFT)す
るFFT演算部17、基準となる周波数分布波形を記憶
した基準波形記憶部19、基準波形記憶部19に記憶さ
れている基準となる周波数分布波形とFFT演算部17
から得られた周波数分布波形とを比較して不具合の有無
を検出す第1診断部18、一時記憶部16に記憶された
電力値からモータの起動指示信号からピーク電力に達す
るまでの時間と無電力となったときから停止信号を検出
したとき(実際にモータが停止したとき)までの時間を
検出する時間計測部20、ピーク電力となるまでの基準
時間と無電力となったときからモータが停止するまでの
基準時間を記憶した基準時間記憶部22、時間計測部2
0が計測したピーク電力までの時間、および無電力とな
ったときから停止信号を検出したときまでの時間と基準
時間記憶部21が記憶しているそれぞれの基準時間とを
比較して機械の不具合の有無を検出する第2診断部2
1、および第1診断部18、第2診断部21による診断
結果を表示するディスプレイ23と診断結果を記憶する
記憶装置24よりなる。
【0026】ここで、上記各部のうち、電流計11、電
圧計12、掛け算機13、有効電力検出部14、および
実行値算出部15が本発明に係る電力測定手段として機
能し、一時記憶部16、およびFFT演算部16が同じ
く演算手段として機能し、また、基準波形分布記憶部1
8および第1診断部19が周波数基準診断手段として機
能し、時間計測部20、基準時間記憶部22、および第
2診断部21がピーク電力時間基準診断手段または無電
力時間基準診断手段として機能する。
【0027】なお、上記した診断装置10内の各部は、
この診断装置10の動作および機能を説明するためのも
のであり、実際の装置としては、電流計11および電圧
計12を除き、その他の各部はいわゆるパソコンやワー
クステーションなどと称されているコンピュータが、上
記各部の機能を実施するためのプログラムを実行するこ
とにより機能するものである。なお、もちろん全ての構
成をコンピュータによらず構成してもよいことは言うま
でもない。
【0028】以下、上記した診断装置10の各部の機能
にしたがって、診断装置10の動作を説明する。
【0029】図3は、実際に測定されたモータの消費電
力を示す図面で、上記一時記憶部16に記憶された起動
指示からロボットが所定の動作を完了するまでの間の消
費電力(実行値)の変化を表す電力波形を示す。ここ
で、データ1とデータ2は、ロボットアーム3に同じ動
作をさせたときのものであるが、データ1は暫くロボッ
トが停止した状態(すなわち、ロボット各部が冷えてい
る状態)から起動させた直後のものであり、一方、デー
タ2は連続的に動作させた後のものである。なお、ここ
でロボットの所定の動作とは、ロボットアーム3が予め
教示された動作を行い位置決め点まで移動する動作であ
る。
【0030】図示するように、データ1とデータ2とで
は、同じ動作であっても、消費電力の絶対値が異なるこ
とが分かる。この違いは、データ1では、ロボットが冷
えた状態で稼働しているため、データ2のときと比較し
て、機械内部のオイル粘度が高く、その分モータ1にか
かる負荷が大きいため、同じ動作であっても、データ2
のときより消費電力の絶対値が高くなっているものであ
る。なお、このような負荷の違いは正常な負荷範囲での
違いである。
【0031】このような違いは、オイル粘度の差に限ら
ず、温度そのものによる影響や正常な状態での負荷の変
化(例えばロボットの場合には、エンドエフェクターの
交換などによるロボットアーム先端の重量の変化や、ロ
ボットハンドを取り付けているときには把持するワーク
重量の違いなど)によっても発生する。
【0032】この図3においては、丸で囲んだ不具合発
生部位に、実際には機械に不具合が発生しているために
消費電力の微小な振動に変化が現れているのであるが
(図中の拡大図参照)、このような消費電力の絶対値を
記録しただけでは判断することができない。
【0033】図4は、一時記憶部16に記憶された図3
に示したような電力波形をFFT演算部17により高速
フーリエ変換して得られた周波数分布波形を示す図面で
ある。
【0034】このように高速フーリエ変換することによ
って、時間経過による消費電力の変化を周波数分布とし
て表すことができ、周波数ごとのレベルが機械の状態に
よって生じる消費電力の微小な振動の振幅を示すことに
なる。そして、この機械の状態によって生じる消費電力
の微小な振動は、消費電力の絶対値が変化しても、変化
することがないため、もし、不具合の発生している部分
があれば、周波数分布における不具合が発生した部分
で、そのレベルに正常時と比較して差が生じる。なお、
図4において、丸で囲んだ不具合レベルおよび正常レベ
ルの図は、それぞれの部分における高速フーリエ変換す
る前の消費電力の絶対値を拡大したものである。
【0035】そこで、第1診断部18では、基準波形記
憶部19に予め記憶してある基準となる周波数分布波形
と、測定された消費電力を高速フーリエ変換した波形と
を比較して、周波数ごとにレベル差のある部分で不具合
が生じているものと判断する。
【0036】図示する場合には、(f)で示した周波数
部分でそのレベルが、正常値と比較して高くなってお
り、この部分で不具合が発生していることが分かる。
【0037】なお、基準となる周波数分布波形は、予め
正常であることが確認されているロボットを動作させる
ことにより得られた周波数分布波形を基準波形記憶部1
8に記憶し、診断の際の基準としたものである。
【0038】また、この周波数分布は、機械の各動作部
位の動作と相関関係がある。これは、モータの回転によ
り各部を動作させる機械の場合、モータや回転軸、また
減速機内の歯車などといった回転体に固有の周波数に対
応するものである(機械自体に固有の振動周波数ではな
い)。そして、このような回転体に固有の周波数は、回
転体の基本回転周波数の整数倍の周波数として、電力測
定から得られた周波数分布に現れる。したがって、この
回転体の基本回転周波数およびその整数倍の周波数が分
かれば、電力測定によって得られた周波数分布の中の周
波数が、どの動作部位に対応しているかを知ることがで
きる。
【0039】このような回転体に固有の周波数は、計算
によって求めることができる。例えばモータの回転軸、
または、モータに減速機などを介さずに直接接続された
回転軸の場合、モータの回転数からその固有周波数を求
めることができる。基本回転周波数f0 は、f0 (H
z)=N/60(ここでNはモータの回転数(rpm)
である)で求められる。そして、その整数倍の周波数
は、f1 =2×f0 、f2=3×f0 、…などとなる。
【0040】具体的には、仮にモータの回転数を120
0rpmとすると、その固有周波数は、 f0 =1200/60=20(Hz)、 f1 =2×20=40(Hz)、 f2 =3×20=60(Hz)、… などとなる。
【0041】また、減速機の固有周波数は、減速機内の
歯車の回転による歯車の歯の接触により基本回転周波数
が決定される。したがって、その基本回転数周波数fz0
は、fz0=(N/60)×Z(ここでNは歯車の回転数
(rpm)、Zは歯車の歯数である)により求めること
ができる。
【0042】具体的には、仮に、2つの歯車の組み合わ
せにより、減速比10の減速機を構成した場合、この減
速機の入力側歯車[IN](モータに接続されている方)の
歯数を10、出力側歯車[OUT] (ロボットアームなどの
動作のための軸に接続される方)の歯数を100とする
と、この減速機の固有周波数は、モータの回転数を前記
同様1200(rpm)とすると、下記のように求める
ことができる。
【0043】まず、入力側歯車[IN]では、モータの回転
により入力側歯車が1200(rpm)で回転するた
め、その固有周波数は、 fz0[IN]=(1200/60)×10)=200(H
z)、 fz1[IN]=2×200=400(Hz)、 fz2[IN]=3×200=600(Hz)、… となる。
【0044】一方、出力側歯車[OUT] では、出力側歯車
が120(rpm)で回転するため、その固有周波数
は、 fz0[OUT] =(120/60)×100)=200(H
z)、 fz1[OUT] =2×200=400(Hz)、 fz2[OUT] =3×200=600(Hz)、… となる。
【0045】ここでは、各歯車による固有周波数は、入
力側、出力側ともに同じであるため、減速機としての固
有周波数は、200(Hz)、400(Hz)、600
(Hz)、…となる。なお、入力側と出力側で各歯車に
よる固有周波数が異なる場合でも同様に求められるが、
その場合には、減速機全体としての固有周波数ではな
く、個々の歯車ごとの固有周波数が分かる。
【0046】このようにして算出された回転体の固有周
波数は、その固有周波数を発する回転体による動作部位
との対応関係と共に、基準波形を記憶させている基準波
形記憶部19内に記憶しておき、第1診断部18におい
て、記憶した機械の固有周波数と、不具合の検出された
周波数を対比することで不具合の発生箇所を推定する。
【0047】さらに、不具合が検出されたときには不具
合のある周波数のレベル(正常値との差の量)によっ
て、その不具合の程度をも推定することもできる。これ
は、回転体の磨耗やきずなどによって振動が生じた場
合、その振動の程度が周波数の振幅となって現れ、この
振幅が、振動を生じる原因となる磨耗やきずなどの程度
と比例しているためである。
【0048】具体的には、例えば、モータの軸や回転軸
などの回転体、およびその軸受部などの磨耗や、これら
の部分の剥離(フレーキング)、あるいは、減速機内の
歯車の磨耗により、回転体や歯車を回転したときにたわ
みが生じて、このたわみが回転体の回転に際して抵抗と
なり、この抵抗が磨耗量や剥離量に比例するため、回転
に必要なトルクがこれらの磨耗量や剥離量に比例して変
化し、これが電力量に影響して、周波数成分の振幅とな
って現れる。したがって、この不具合がある周波数での
振幅の度合い(図4において示した劣化程度)から回転
体の剥離量や磨耗量を推定することができるのである。
【0049】次に本実施形態では、上述した高速フーリ
エ変換を用いた診断の他に、さらに診断精度を向上させ
るために、第2診断部21により時間を基準にした2つ
の診断を行っている。
【0050】その第1は、起動指示があってから消費電
力がピークに達するまでの時間(図3においてT1で示
した区間)を元に診断するもので、第2診断部21が、
一時記憶部16に記憶された消費電力の実行値から、起
動指示の信号を受けてからピーク電力となった時点まで
の時間を計測し、この計測した時間と、予め基準時間記
憶部22に記憶されている起動からピーク電力となるま
での基準時間とを比較し、この時間の差によって不具合
の有無を検出する。
【0051】図5は、このピーク電力となるまでの時間
から診断する方法の具体例を示す図面である。
【0052】この図において、起動指示からピーク電力
に達するまでの時間T(a)が正常な状態での時間であ
り、これに対し、T(b)およびT(c)が不具合のあ
るときの時間である。図から分かるように、不具合があ
るときには、起動指示からピーク電力に達するまでの時
間が正常な状態より遅れることが分かる。
【0053】このように不具合のある場合に、この不具
合をピーク電力に到達する時間の遅れとして検出できる
のは、モータの消費電力として有効電力を測定している
からである。
【0054】この診断の原理について説明する。例え
ば、減速機内のベアリングが破損し、回転時の抵抗とな
っているときなどには、このベアリングの破損によっ
て、モータにかかる負荷が大きくなる。モータの等価回
路を図6に示す。この図において、抵抗Rがモータにか
かる負荷であり(図中Lはモータの電気系統(特にモー
タ内のコイル)のインダクタンスである)、この負荷が
増大すると、供給電力の電圧が一定のとき、負荷増大分
を補うためにモータへ流れる電流が増加する。なお、図
6において、Vはモータに供給する電力の電圧、VR は
負荷抵抗による電圧降下、VL モータに実際かかる電圧
である。
【0055】このようなモータの動作概念は、図7に示
すようにベクトル空間図として表される。なお、図中、
ia は電機子電流、iaTはトルク電流、iaMは磁化電
流、φは発生磁束、φd は回転子磁束成分、φq は回転
子磁束成分である。
【0056】ここでモータの電機子電流ia は、トルク
電流iaTと磁化電流iaMのベクトル和ia =iaT+iaM
となる。そして、負荷の増大によって必要となるモータ
出力が、モータ性能のトルク値を超過すると電機子電流
ia が増加しても、トルク電流iaTは限界値にて飽和
し、磁化電流iaMのみが増加することになる。このた
め、力率が悪化することになる。
【0057】そして、力率の悪化によって、無効電力が
発生するため、有効電力のみ監視することで、図8に示
すように、ピーク電力の到達が遅れて見えるようにな
る。本実施形態ではこの有効電力の監視によりピーク電
力の遅れを検出しているものである。
【0058】これにより、高速フーリエ変換によっても
捕らえることができないような不具合として、負荷の増
大によりモータ性能としてのトルク値を越えるような負
荷がかかり、機械の動作に遅れが生じるような不具合を
検出できるようになる。これは、例えばロボットアーム
においては、アーム動作に遅れが出て、その動作の遅れ
が見た目でも分かる程大きければ、作業者によって発見
されるのであるが(もちろんこのような場合も検出する
ことができるが)、アーム動作の遅れが局部的であった
り、ごく僅かであったりして、作業者の見た目では遅れ
を発見できないような場合であっても、このピーク電力
の監視により、ごく僅かな動作遅れを生じるような不具
合を検出することができる。
【0059】また、この不具合の検出は、機械自体の損
傷などによる負荷の増大に限らず、正常ではない過大な
負荷がかかった場合にも検出することができるので、こ
のような過大な負荷により、機械、特にモータに過大な
負荷がかかることによる機械的損傷に至るような不具合
を検出して、これを防止することができる。
【0060】次に時間を基準にした診断の第2は、消費
電力がなくなって(無電力)から機械の動作が完了する
までの時間(図3においてT2で示した区間)により診
断するものである。
【0061】この時間を基準にした診断の第2方法は、
前記第1のものとほぼ同様であり、第2診断部21が、
一時記憶部16に記憶された消費電力の実行値から、消
費電力がなくなった時点から機械の動作が完了したこと
を示す停止信号を受けたときまでの時間を計測して、こ
の計測した時間と、予め基準時間記憶部22に記憶され
ている無電力状態の基準時間と比較し、この時間の差に
よって、不具合の有無を検出する。
【0062】ここで、モータは、ロボットアームなどの
位置決めに際して、動作を停止するための減速点からア
ームが実際に停止までの間、その消費電力が0となって
いる。このとき、無効電力を捉えると、モータは完全に
停止するまでの間、回転しており、この間、モータのサ
ーボアンプでは、モータの回転によって生じる起電力を
回生放電という形で放電している。なお、回生放電と
は、モータが慣性により回されることにより、発電機の
働きをし、放電することである。
【0063】そして、機械自体に何等かの不具合が生じ
て、これが機械内部の抵抗となり機械自体の動き難さと
なる場合には、これがモータの回転抵抗となるので、モ
ータを止める機械的なブレーキとして働き、正常時と比
較してモータの回転が止まるのが早くなり、無効電力の
発生期間が短くなる。
【0064】したがって、有効電力を検出しているとき
には、これが0となってから実際にモータが停止するま
での時間、すなわち、図3におけるT2の時間が短くな
るので、これを正常値と比較することで、モータに対し
てブレーキとして作用するような機械的な不具合がある
場合に、これを検出することができる。
【0065】なお、以上のような時間を基準とした不具
合の検出においては、起動指示からピーク電力に達する
までの正常な状態での基準時間、および動作を停止させ
る際の無電力状態の基準時間は、予め正常な状態におい
て、これらがどの程度の時間であるか測定しておき、こ
れを基準時間記憶部22に記憶するようにしてもよい
し、また、ピーク電力となる時間は機械に最も負荷のか
かる動作に対応し、一方、無電力状態の時間(動作停止
のための無効電力の発生から実際にモータが停止するま
で)についてもモータに電力を供給する必要がなくなっ
たときから動作完了までの時間に対応するため、これら
は機械(本実施形態ではロボットアーム)の動作と関連
しているため、診断する機械の動作から求めて、各基準
時間としてもよい。
【0066】以上のように本実施形態によれば、消費電
力のみを測定することで、外乱要因いよる誤診断を防止
して、消費電力の絶対値からは検出できないような不具
合を高速フーリエ変換を行うことにより検出し、さらに
この高速フーリエ変換によっても検出が難しい、機械動
作部位の動作遅れやモータに対して機械的なブレーキと
して作用するのような不具合をも、消費電力がピークに
達するまでの時間や無電力状態の時間から検出すること
ができる。
【0067】また、この診断装置では、診断に必要な信
号がモータの消費電力と起動指示および動作完了の信号
だけであるので、消費電力はモータへの電力供給回路中
から容易に測定することができ、起動指示および動作完
了の信号は機械の制御を行っているプログラマブルコン
トローラなどの制御回路から容易に取得することができ
るので、例えば上述した診断装置を可搬式のパソコン、
好ましくは小型のパソコンにより実施することで、複数
の機械の診断をこのパソコンを持ち運んで診断すること
ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施形態の診断装置により診断
を行う機械構成の概略である。
【図2】 上記診断装置の構成を説明するための機能ブ
ロック図である。
【図3】 上記診断装置において測定されたモータの消
費電力波形を示す図面である。
【図4】 上記診断装置において高速フーリエ変換され
たモータ消費電力の周波数分布波形を示す図面である。
【図5】 上記診断装置においてモータの起動指示から
ピーク電力に達するまでのモータ消費電力を示す図面で
ある。
【図6】 モータの等価回路図である。
【図7】 モータの動作概念を説明するためのベクトル
空間図である。
【図8】 ピーク電力の遅れを説明するための有効電力
と無効電力の関係を示す図面である。
【図9】 従来の診断装置による測定を説明するための
機械の構成と従来の診断装置を示す図面である。
【図10】 従来の診断方法を説明するためのモータ消
費電力を示す図面である。
【符号の説明】
10…診断装置、 11…電流計、 12…電圧計、 13…掛け算機、 14…有効電力検出部、 15…RMS処理部、 16…一時記憶部、 17…FFT演算部、 18…第1診断部、 19…基準波形記憶部、 20…時間計測部、 21…第2診断部、 22…基準時間記憶部、 23…ディスプレイ、 24…記憶装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−2843(JP,A) 特開 平5−45251(JP,A) 特開 平9−198123(JP,A) 特開 平8−166330(JP,A) 特開 平8−43258(JP,A) 特開 平5−264404(JP,A) 特開 平8−122142(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 19/00 G05B 23/02 G05B 23/02 302 H02K 11/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータを駆動源とした機械に生じた不具
    合を検出するための診断装置であって、 前記モータの消費電力を測定する電力測定手段と、 前記電力測定手段によって測定したモータの消費電力
    が、機械の動作開始指示からピーク電力となるまでの時
    間を計測するピーク電力時間測定手段と、 前記ピーク電力時間計測手段により測定された時間と、
    予め決められた時間とを比較して前記機械の不具合の有
    無を検出するピーク電力時間基準診断手段と、を有する
    ことを特徴とするモータを駆動源とした機械の診断装
    置。
  2. 【請求項2】 モータを駆動源とした機械に生じた不具
    合を検出するための診断装置であって、 前記モータの消費電力を測定する電力測定手段と、 前記電力測定手段によって測定したモータの消費電力
    が、無電力となったことを検出した時点から機械の動作
    完了となるまでの時間を計測する無電力時間測定手段
    と、 前記無電力時間計測手段により測定された時間と、予め
    決められた時間とを比較して前記機械の不具合の有無を
    検出する無電力時間基準診断手段と、を有することを特
    徴とするモータを駆動源とした機械の診断装置。
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