JP3525558B2 - 電動パワ−ステアリング装置の制御装置 - Google Patents
電動パワ−ステアリング装置の制御装置Info
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Description
ング装置の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】車両用の電動パワ−ステアリング装置に
は、操向ハンドルの操作によりステアリングシヤフトに
発生する操舵トルクその他を検出し、その検出信号に基
づいてモ−タの制御目標値である電流指令値を演算し、
電流フイ−ドバツク制御回路において、前記した制御目
標値である電流指令値と実際にモ−タに流れる電流との
差を電流制御値として求め、電流制御値によりモ−タを
駆動して操向ハンドルの操舵力を補助するものがある。 【0003】このような電動式パワ−ステアリング装置
では、モ−タ線に故障、即ちモ−タ線がオ−プン(断
線)、地絡あるいは天絡した場合、制御系からみたモ−
タ系の動特性が制御系が許容できる変動を越えて変化す
るため、発振を起したりセルフステアを起すことがあ
る。これを防ぐため、モ−タの端子間電圧を監視して上
記故障を検出する方法が知られている。また、イグニツ
シヨンキ−をONとした時に、モ−タ端子間電圧を監視
して検出精度を向上することが提案されている(特開平
2−28062号公報参照)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提
案されている方法では、地絡あるいは天絡箇所のインピ
−ダンスがモ−タ系のインピ−ダンスに比べて十分に低
い場合のみ検出可能であり、地絡あるいは天絡箇所のイ
ンピ−ダンスが大きい場合は、発振、又はセルフステア
を起しているにも拘らず検出することができなかつた。
また、イグニツシヨンキ−をONとした時にモ−タ端子
間電圧を監視する方法では、走行中に地絡あるいは天絡
を検出することができない。 【0005】また、従来提案されている方法では、モ−
タ端子電圧を検出して所定値と比較する回路を設けるた
め、構成が複雑になり高価になるなどの不都合があつ
た。 【0006】 【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解
決するもので、少なくともステアリングシヤフトに発生
する操舵トルクに基づいて演算された電流指令値と検出
されたモータ電流値から演算した電流制御値に基づいて
ステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を
制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置
の制御装置において、モータ系の正常時の電気的特性を
示す数学モデルにおけるパラメータを記憶する記憶手段
と、モータ角速度の周波数帯域以上で、且つモータ系の
動特性のカットオフ周波数よりも低いカットオフ周波数
のハイパスフイルタと、異常検出手段を備え、前記異常
検出手段は、前記ハイパスフイルタにより処理されたモ
ータ系の実際の動作時の電気的特性を示すパラメータと
前記記憶手段に記憶されたモータ系の正常時の電気的特
性を示す数学モデルのパラメータとを比較してモータ系
の異常を検出することを特徴とする。 【0007】 【作用】モ−タ系の実際の動作時の電気的特性を示すパ
ラメ−タと記憶手段に記憶されたモ−タ系の正常時の電
気的特性を示す数学モデルのパラメ−タとを比較してモ
−タ系の異常を検出するから、モ−タの地絡あるいは天
絡した箇所のインピ−ダンスの大小に影響されることな
く、確実に検出することができる。 【0008】 【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。
まず、図1乃至図3により、この発明を実施するに適し
た電動パワ−ステアリング装置の概略を説明する。図1
は電動パワ−ステアリング装置の構成の概略を説明する
図で、操向ハンドル1の軸2は減速ギア4、ユニバ−サ
ルジョイント5a、5b、ピニオンラツク機構7を経て
操向車輪のタイロツド8に結合されている。軸2には操
向ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ3が
設けられており、また、操舵力を補助するモ−タ10が
クラツチ9、減速ギア4を介して軸2に結合している。 【0009】パワ−ステアリング装置を制御する電子制
御回路13は、バツテリ14からイグニツシヨンキ−1
1を経て電力が供給される。電子制御回路13は、トル
クセンサ3で検出された操舵トルクと車速センサ12で
検出された車速に基づいて電流指令演算を行い、演算さ
れた電流指令値に基づいてモ−タ10に供給する電流を
制御する。 【0010】クラツチ9は電子制御回路13により制御
される。クラツチ9は通常の動作状態では結合してお
り、電子制御回路13によりパワ−ステアリング装置の
故障と判断された時、及び電源がOFFとなつている時
に切離される。 【0011】図2は、電子制御回路13のブロツク図で
ある。この実施例では電子制御回路13は主としてCP
Uから構成されるが、ここではそのCPU内部において
プログラムで実行される機能を示してある。例えば、位
相補償器21は独立したハ−ドウエアとしての位相補償
器21を示すものではなく、CPUで実行される位相補
償機能を示す。 【0012】以下、電子制御回路13の機能と動作を説
明する。トルクセンサ3から入力された操舵トルク信号
は、位相補償器21で操舵系の安定を高めるために位相
補償され、電流指令演算器22に入力される。また、車
速センサ12で検出された車速も電流指令演算器22に
入力される。 【0013】電流指令演算器22は、入力され位相補償
された操舵トルク信号及び車速信号に基づいて所定の演
算式によりモ−タ10に供給する電流の制御目標値であ
る電流指令値Iを演算する。 【0014】比較器23、微分補償器24、比例演算器
25、積分演算器26、加算器27から構成される回路
は、実際のモ−タ電流値iが電流指令値Iに一致するよ
うにフイ−ドバツク制御を行う回路である。 【0015】比較器23では、電流指令演算器22で演
算された制御目標値である電流指令値Iと後述するモ−
タ電流検出回路42で検出された実際のモ−タ電流値i
とが比較され、その差の信号が出力される。 【0016】比例演算器25では、電流指令値Iと実際
のモ−タ電流値iとの差に比例した比例値が出力され
る。さらに比例演算器25の出力信号はフイ−ドバツク
系の特性を改善するため積分演算器26において積分さ
れ、差の積分値の比例値が出力される。 【0017】微分補償器24では、電流指令値Iに対す
る実際にモ−タに流れるモ−タ電流値iの応答速度を高
めるため、電流指令値Iの微分値が出力される。 【0018】微分補償器24から出力された電流指令値
Iの微分値、比例演算器25から出力された電流指令値
Iと実際のモ−タ電流値iとの差に比例した比例値、積
分演算器26から出力された積分値は、加算器27にお
いて加算演算され、演算結果である電流制御値に基づく
供給電圧V1 Dがモ−タ駆動回路41に出力される。実
際にモ−タに流れるモ−タ電流iは、モ−タ電流検出回
路42により検出される。 【0019】また、43はモ−タ系の地絡あるいは天絡
などモ−タ系の異常を検出する異常検出回路、44はモ
−タ系の正常時の電気的特性を示す数学モデルのパラメ
−タを記憶させたメモリである。これ等については、後
で詳細に説明する。 【0020】図3にモ−タ駆動回路41の構成の一例を
示す。モ−タ駆動回路41は加算器27から入力された
電流制御値をPWM信号と電流方向信号とに分離変換す
る変換部45、FET(電界効果トランジスタ)のゲ−
トを駆動するゲ−ト駆動回路46、FET1 〜FET4
からなるHブリツジ回路等からなる。なお、昇圧電源4
7はFET1 、FET2 のハイサイド側を駆動する電源
である。 【0021】PWM信号(パルス幅変調信号)は、モ−
タに流れる電流の大きさを時間で決定する信号で、加算
器27において演算された電流制御値の絶対値によりP
WM信号のデユ−テイ比(FETのゲ−トをON/OF
Fする時間比)が決定される。FET1 とFET2 は前
記したPWM信号のデユ−テイ比Dに基づいてゲ−トが
ON/OFFされ、モ−タに流れる電流の大きさが制御
される。以下の説明では、モ−タに印加される電圧V1
、デユ−テイ比Dの供給電圧をV1 Dと略記すること
にする。 【0022】電流方向信号は、モ−タに供給する電流の
方向を指示する信号で、加算器27において演算された
電流制御値の符号(正負)により決定される。また、F
ET3 とFET4 は前記した電流方向信号に基づいてゲ
−トがON或いはOFFされ(一方がONの時、他方は
OFFとなる)、モ−タに流れる電流の方向、即ちモ−
タの回転方向が切り換えられる。 【0023】FET3 が導通状態にあるときは、電流は
FET1 、モ−タ10、FET3 、抵抗R1 を経て流
れ、モ−タ10に正方向の電流が流れる。また、FET
4 が導通状態にあるときは、電流はFET2 、モ−タ1
0、FET4 、抵抗R2 を経てて流れ、モ−タ10に負
方向の電流が流れる。 【0024】モ−タ電流検出回路42は、抵抗R1 の両
端における電圧降下に基づいて正方向電流の大きさを検
出し、また、抵抗R2 の両端における電圧降下に基づい
て負方向電流の大きさを検出する。検出された実際のモ
−タ電流値iは比較器23にフイ−ドバツクして入力さ
れる(図2参照)。 【0025】次に、この発明のモ−タ系の異常を検出す
る原理を説明する。図4はモ−タ系の異常検出を説明す
る図で、内部抵抗R、インダクタンスLのモ−タMはF
ET半導体素子4個をHブリツジ接続して構成されたモ
−タ駆動回路に接続される。その入力側にはバツテリか
ら電圧V1 の電力が供給され、設定された動作状態に応
じて図示のようにFETの1つがデユ−テイ比Dで動作
し、その他のFETはON、OFFに設定されるものと
する。 【0026】図4(a)はモ−タが正常な状態にあると
きを示すもので、このとき電流iaが流れるものとす
る。以下、電流ia を理論電流値と呼ぶことにする。
今、モ−タが地絡(モ−タ巻線が抵抗Rt でア−スされ
た状態)すると、図4(b)のように地絡電流ie が流
れ、モ−タ駆動回路のア−ス側に接続された電流検出用
抵抗Rm には電流im が流れる。 【0027】そこで、モ−タが正常な状態にあるときの
理論電流値ia と、実際の動作状態にあるときの検出電
流iを比較し、検出電流i=理論電流値ia であれば正
常と判定し、検出電流iが理論電流値ia よりも少ない
電流im であれば、モ−タが地絡したと判定することが
できる。 【0028】以下、モ−タの地絡あるいは天絡などモ−
タ系の異常を検出する第1実施例について説明する。図
5はモ−タの正常な状態を示す数学モデルと実際のモ−
タ(右方向回転指令を受けているとき)とを比較判別
し、モ−タの異常(ここでは地絡)を検出するモ−タ系
の異常を検出する異常検出回路43を、伝達関数で示し
たものである。 【0029】図5において、51はモ−タの数学モデ
ル、52は実際のモ−タの地絡した状態を示す。53
a、53bは加算器で、それぞれモ−タ供給電圧V1 D
に対しKT ω、KT *ω′がモ−タ入力側に加算される
ことを示している。54も加算器を示し、加算器54か
らモ−タの数学モデルに流れる理論電流値ia と実際の
モ−タに流れる電流im との差Eが出力されることを示
している。 【0030】なお、モ−タの数学モデルは制御回路を構
成するCPU50の内部に構成されるもので、その電気
的特性を示すパラメ−タはメモリ44に記憶されてい
る。 【0031】図5において、L*は数学モデルのモ−タ
のインダクタンス、R*は数学モデルのモ−タの内部抵
抗、Rは実際のモ−タの内部抵抗、Lは実際のモ−タの
インダクタンス、V1 は供給電圧、DはFETを駆動す
るデユ−テイ比、KT は逆起電力定数、ωはモ−タ角速
度、sはラプラス演算子、Rf はFETのON抵抗、R
t は地絡箇所のインピ−ダンスを表す。 【0032】モ−タの数学モデルではモ−タ駆動回路の
電流検出用抵抗Rm に流れる理論電流値はia は、以下
の式(1)で表される。 【0033】 【数1】 また、モ−タが地絡した場合、例えばモ−タのコ−ルド
側が地絡した場合には、モ−タ駆動回路の電流検出用抵
抗Rm に流れる電流im は、以下の式(2)で表され
る。 【0034】 【数2】 モ−タが地絡した場合には、電流検出用抵抗Rm に流れ
る電流はim であり、モ−タの数学モデルにおける電流
はia であるから、以下の式(3)で示すように、電流
ia と電流im との差の絶対値Eが所定値αより大きい
とき、モ−タが地絡したと判定することができる。 【0035】 【数3】 以上の式では、モ−タ駆動回路の入力側にはモ−タ逆起
電力KT ωが加算されているため、モ−タの角速度を検
出する角速度センサを設け、モ−タ逆起電力KT ωを演
算処理する必要がある。しかし、これは構成を複雑にす
るのみならず、コストの増加になるので好ましくない。
そこで、この発明では、以下述べる方法によりモ−タ逆
起電力KT ωの影響を排除してモ−タの地絡を検出す
る。 【0036】前記式(2)簡略化して書き直すと、モ−
タが地絡した場合に電流検出用抵抗Rm に流れる電流i
m は、以下の式(4)で表すことができる。ここでLe
は地絡したモ−タのインダクタンス、Re は地絡したモ
−タの内部抵抗を表す。 【0037】 【数4】 図6は、図5に示した判別回路を処理しやすいように書
き改め、伝達関数で示したものである。図6において、
61はモ−タの数学モデル、62はハイパスフイルタ、
63は実際のモ−タ、64は実際のモ−タが地絡した状
態を示している。65は加算器で、モ−タ供給電圧V1
Dに対しモ−タ逆起電力KT ωが加算されることを示し
ている。66はハイパスフイルタ、67は加算器を示す
もので、加算器67からはモ−タの数学モデルに流れる
電流と実際のモ−タに流れる電流との差が出力される。 【0038】図6において、i′m は実際のモ−タの検
出電流im をハイパスフイルタ66を通過させた後の値
で、i′a はモ−タの数学モデルの電流ia をハイパス
フイルタ62を通過させた後の値であり、実際のモ−タ
の検出電流i′m と数学モデルの電流i′a との差E=
(i′m −i′a )は以下の式(5)で表される。 【0039】 【数5】 まず、実際のモ−タが正常であるときについて検討す
る。モ−タ角速度ωは操向ハンドルに同期した周波数帯
域で現れる物理量であるため、その周波数帯域はせいぜ
い5Hzである。一方、モ−タ系の動特性は図6に示す
ようにハイパスフイルタとゲインの組み合わせの特性を
持ち、そのカツトオフ周波数は通常数百Hz程度であ
る。 【0040】そこで、5Hz以上のカツトオフ周波数を
有し、且つモ−タ系の前記カツトオフ周波数(数百Hz
程度)よりも低いカツトオフ周波数であるようにハイパ
スフイルタの時定数を設定すると、前記式(5)で表さ
れるE=(i′m −i′a )は、供給電圧V1 Dの周波
数帯域に関係無く、モ−タの入力側に現われるモ−タ逆
起電力KT ωがハイパスフイルタにより除かれるので、
実際のモ−タの電気的特性は数学モデルとほぼ一致し、
式(5)で表されるE=(i′m −i′a )は零に近い
値となる。 【0041】次に、実際のモ−タが地絡した場合ついて
検討する。実際のモ−タが地絡した場合、その伝達特性
は図6で符号64で示すようになる。このとき、モ−タ
系の特性の変化を検出するためには、ハイパスフイルタ
のカツトオフ周波数以上の成分を含む供給電圧V1 Dが
必要である。なぜならばハイパスフイルタによりそのカ
ツトオフ周波数以下の成分は全てカツトされるからであ
る。 【0042】モ−タが地絡した場合、地絡箇所のインピ
−ダンスが大きいときは、電流フイ−ドバツクル−プが
振動を起こし、地絡箇所のインピ−ダンスが小さいとき
はセルフステアを起こす。この発明ではセルフステアに
至る前に地絡箇所の検出を行う。地絡箇所のインピ−ダ
ンスが大きいときは、実際にモ−タに流れる電流iと検
出電流im とはほぼ一致するから、セルフステアを起こ
すことはない。 【0043】モ−タに流れる電流iは、モ−タ系の動特
性が変化したため電流フイ−ドバツクル−プの内部で、
フイ−ドバツクル−プの時定数に等しい周波数で振動を
起こす。図7はこの状態を示すもので、地絡時に実際に
モ−タに流れる電流ie 、及び検出電流im が振動して
いることがわかる。 【0044】この振動成分は供給電圧V1 Dにフイ−ド
バツク信号として含まれるため、図6における検出信号
E=(i′m −i′a )にも現われるから、検出信号E
に含まれる振動成分を検出することでモ−タの地絡を検
出することができる。 【0045】図8に、前記第1実施例をCPUで実行す
るときの処理の概略をフロ−チヤ−トで示しておく。即
ち、この処理では先に説明したデ−タ処理をβ回繰り返
すサンプリング処理による。そして検出信号E=(i′
m −i′a )が所定値αよりも大きい回数がβ回あつた
とき、モ−タが異常であると判断し、警報を出力するよ
うにする。ここで、(k) はその時点のサンプルを示して
いる。 【0046】この方法によれば、故障検出から故障確定
までの時間を電動パワ−ステアリング装置の機械的時定
数に比べて十分に小さく設定することができるので、操
舵に支障を生じる前、即ち地絡により発生するセルフス
テアを起こす前に確実に検出することができる。 【0047】次に、モ−タ系の異常を検出する第2の実
施例について説明する。前記した第1の実施例では、モ
−タ駆動回路の出力側の電流を基準にして、モ−タの正
常モデルの理論電流値ia と実際のモ−タの電流im と
の差に基づいてモ−タ系の異常を検出しているが、以下
説明する第2の実施例では、モ−タ駆動回路の入力側の
電流を基準にしてモ−タ系の異常を検出するものであ
る。 【0048】この構成では、電動パワ−ステアリング装
置の制御装置内に設けられているモ−タ角速度を推定す
る角速度推定器を利用してモ−タの異常を検出する。角
速度推定器はモ−タ印加電圧、モ−タ逆起電力定数KT
及びモ−タ電流iに基づいて制御装置のCPUで演算に
より角速度を推定するから、特別な回路を必要とせず、
コストの増大を招くことがない。 【0049】図9は第2の実施例のモ−タの数学モデル
と実際のモ−タの地絡状態とを比較判別して異常を検出
する異常検出回路を伝達関数で示したブロツク図で、9
1はモ−タの数学モデル、92は実際のモ−タの正常な
状態、93は実際のモ−タが地絡した状態を示す。94
は加算器で、モ−タ供給電圧V1 Dに対しモ−タ逆起電
力KT ωが加算されることを示している。 【0050】図9において、L*は数学モデルのモ−タ
のインダクタンス、R*は数学モデルのモ−タの内部抵
抗、Lは実際のモ−タの正常な状態におけるインダクタ
ンス、Rは実際のモ−タの正常な状態における内部抵
抗、Le は地絡したモ−タのインダクタンス、Re は地
絡したモ−タの内部抵抗、V1 は供給電圧、DはFET
を駆動するデユ−テイ比、KT は逆起電力定数、ωはモ
−タ角速度、sはラプラス演算子を表す。 【0051】また、95は比較器、96は時定数T1 の
ハイパスフイルタ、97は逆起電力定数KT の逆数を乗
ずる演算器、98は減算器を示す。 【0052】図9から明らかなように、この方法では数
学モデルのモ−タ91を実際のモ−タの正常な状態の特
性とは逆の特性のものに定義し、その出力m(s) を比較
器95で供給電圧V1 Dと比較して差da (s)を求めて
いる。差da (s)は以下の式(6)で表わすことができ
る。 【0053】 【数6】実際のモ−タが正常な状態にあるときは、モ−タの数学
モデルのインダクタンスL*、内部抵抗R*と、実際の
モ−タのインダクタンスL、内部抵抗Rとはそれぞれ一
致するから(L*=L、R*=R)、式(6)からモ−
タ逆起電力KTωを求めることができ、演算器97によ
り逆起電力定数KT の逆数を乗ずることにより、モ−タ
角速度推定値ωを得ることができる。この場合、モ−タ
角速度推定値ωに含まれるノイズを除くため、ロ−パス
フイルタを通過させてもよい。 【0054】次に、実際のモ−タが地絡した場合ついて
検討する。第1実施例の場合と同様に、モ−タに流れる
電流は、モ−タ系の動特性が変化したため電流フイ−ド
バツクル−プの内部で、フイ−ドバツクル−プの時定数
に等しい周波数で振動を起こす。 【0055】式(6)で表わされる比較器95で供給電
圧V1 Dと比較して得た差da (s)と、前記差da (s)
を時定数T1 のハイパスフイルタ96を通過させた出力
との差を減算器98で求めると、その検出信号Eは前記
したフイ−ドバツクル−プの時定数に等しい周波数で振
動する振動成分を検出することになり、モ−タの地絡を
検出することができる。減算器98で得られた検出信号
Eは以下の式(7)で表わすことができる。 【0056】 【数7】 検出信号Eは、正常時にはL*=L、R*=Rとなるか
らほぼ零となるが、モ−タが地絡した場合にはハイパス
フイルタ96を通過した振動成分が現れるので零となら
ず、モ−タの地絡を検出することができる。 【0057】図10に、前記第2実施例をCPUで実行
するときの処理の概略をフロ−チヤ−トで示しておく。
即ち、この処理では先に説明したデ−タ処理をβ回繰り
返すサンプリング処理による。そして検出信号E(k) の
絶対値|E(k) |>が所定値αよりも大きい回数がβ回
あつたとき、モ−タが異常であると判断し、警報を出力
するようにする。ここで、(k) はその時点のサンプルを
示している。なお、ここで(k) はその時点のサンプルを
示している。 【0058】この構成では、従来の構成に減算器98を
追加しただけで済むから、ほとんどコストの増加なし
に、確実に故障の検出が可能となる。 【0059】図11は、地絡発生の場合のモ−タ電流の
変化を示す一例で、地絡が発生するとモ−タ電流が激し
く変動していることがわかる。 【0060】以上の説明では、モ−タが地絡した場合の
検出について説明したが、モ−タが天絡した場合も、全
く同様に検出できることは言うまでもない。 【0061】 【発明の効果】以上説明したとおり、この発明の電動パ
ワーステアリング装置の制御装置によれば、予めモータ
系の正常時の電気的特性を示す数学モデルを設定し、そ
のパラメータを記憶手段に記憶させておき、モータ系の
実際の動作時に、その電気的特性を示すパラメータと記
憶手段に記憶された数学モデルのパラメータとを比較し
てモータ系の異常を検出するもので、モータ系の実際の
動作時の電気的特性を示すパラメータは、モータ角速度
の周波数帯域以上で、且つモータ系の動特性のカットオ
フ周波数よりも低いカットオフ周波数のハイパスフイル
タにより処理されてモータ逆起電力の影響が除かれる。
この構成により、モータの地絡あるい天絡した箇所のイ
ンピーダンスの大小に影響されることなく、確実にモー
タ系の異常を検出することができる。
説明する図。 【図2】電動式パワ−ステアリング装置の電子制御回路
のブロツク図。 【図3】モ−タ駆動回路の構成を示す回路ブロツク図。 【図4】モ−タ系の異常検出を説明する回路ブロツク
図。 【図5】第1実施例のモ−タ系の異常を検出する回路ブ
ロツク図。 【図6】図5に示した判別回路を書き改めた回路ブロツ
ク図。 【図7】モ−タ系の異常状態における検出電流の振動を
説明する図。 【図8】第1実施例をCPUで実行するときの処理の概
略を示すフロ−チヤ−ト。 【図9】第2実施例のモ−タ系の異常を検出する回路ブ
ロツク図。 【図10】第2の実施例をCPUで実行するときの処理
の概略を示すフロ−チヤ−ト。 【図11】地絡発生の場合のモ−タ電流の変化の一例を
示す図。 【符号の説明】 3 トルクセンサ 10 モ−タ 11 イグニツシヨンキ− 12 車速センサ 13 電子制御回路 14 バツテリ 21 位相補償器 22 電流指令演算器 23 比較器 24 微分補償器 25 比例演算器 26 積分演算器 27 加算器 41 モ−タ駆動回路 42 モ−タ電流検出回路 43 異常検出回路 44 メモリ 51 モ−タ系の数学モデル 52 実際のモ−タ系(地絡状態) 53a、53b 加算器 54 加算器
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくともステアリングシヤフトに発生
する操舵トルクに基づいて演算された電流指令値と検出
されたモータ電流値から演算した電流制御値に基づいて
ステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を
制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置
の制御装置において、 モータ系の正常時の電気的特性を示す数学モデルにおけ
るパラメータを記憶する記憶手段と、モータ角速度の周波数帯域以上で、且つモータ系の動特
性のカットオフ周波数よりも低いカットオフ周波数のハ
イパスフイルタと、 異常検出手段を備え、 前記異常検出手段は、前記ハイパスフイルタにより処理
されたモータ系の実際の動作時の電気的特性を示すパラ
メータと前記記憶手段に記憶されたモータ系の正常時の
電気的特性を示す数学モデルのパラメータとを比較して
モータ系の異常を検出することを特徴とする電動パワー
ステアリング装置の制御装置。
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---|---|---|---|
JP13887295A JP3525558B2 (ja) | 1995-05-15 | 1995-05-15 | 電動パワ−ステアリング装置の制御装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP13887295A JP3525558B2 (ja) | 1995-05-15 | 1995-05-15 | 電動パワ−ステアリング装置の制御装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH08310418A JPH08310418A (ja) | 1996-11-26 |
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- 1995-05-15 JP JP13887295A patent/JP3525558B2/ja not_active Expired - Fee Related
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