JP3524899B2 - 重荷重用タイヤ - Google Patents

重荷重用タイヤ

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JP3524899B2
JP3524899B2 JP2001315697A JP2001315697A JP3524899B2 JP 3524899 B2 JP3524899 B2 JP 3524899B2 JP 2001315697 A JP2001315697 A JP 2001315697A JP 2001315697 A JP2001315697 A JP 2001315697A JP 3524899 B2 JP3524899 B2 JP 3524899B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雪上、氷上性能を
ともに向上させ、かつ耐偏摩耗性能に優れることによ
り、スタッドレス空気入りタイヤとして採用しうる重荷
重用空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】冬用タイヤ、スノータイヤ、スタッドレ
スタイヤ等にあっては、トレッド面を、縦溝及び横溝に
より区画したブロックからなるブロックパターンに形成
し、その溝内に噛込まれかつ踏み固められた雪柱の剪断
力、即ち雪柱に作用させうる剪断反力によって雪上での
走行性能を高めている。
【0003】他方、氷上性能については、主として、ト
レッド部を軟らかいゴム材で形成することによる氷路面
との粘着摩擦力と、ブロックに形成するサイピングとに
よって向上させうる。
【0004】これは、一般に0℃から−15℃付近の氷
路面上では、タイヤの接地圧により氷面上の氷が溶ける
ことによる水膜が、タイヤトレッド面と氷面との間に介
在してその水がタイヤを滑らせるが、トレッド面に施さ
れた前記サイピングは、接地面内で開閉することによ
り、その水をサイピング内に吸収して水膜を破るととも
に、サイピングのエッジが氷路面をひっかき、路面摩擦
係数を向上するエッジ効果によって氷面上のグリップを
向上させる。また、氷上での耐横滑り性能について、例
えば特開平7−205617号公報は、タイヤ周方向に
のびるサイピングを用いることを提案している。
【0005】一方、一般に、サイピングはその溝容積が
少なく、サイピングの壁面が通常、また接地時において
接触するため、サイピングのエッジ部の動きが少なく、
タイヤの摩耗寿命、耐偏摩耗性能に及ぼす悪影響は少な
いと言われている。
【0006】しかしながら、高荷重で使用される重荷重
用空気入りタイヤにあっては、トレッド接地面に加わる
高い荷重、及びそれに伴うブロックの激しい動きによ
り、サイピングの数を多くし、深さを増大させること
は、氷上走行性能を高める反面、偏摩耗、クラック(ト
レッドの一部が欠けること)の発生原因となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】重荷重用空気入りタイ
ヤにおいて、これらの損傷を防止するため初期における
サイピングの深さ、又は長さを減じることも考えられる
が、摩耗中期から後期のサイピングの効果がなくなり、
また、ブロックの動きが抑制されるため、氷上の横滑り
性能も低下する。また各ブロックを小さく、そして数を
多くすることにより、雪上性能及び氷上性能の向上を図
ることもできるが、同時に偏摩耗やブロック欠けを生じ
やすくなる。
【0008】本発明は、偏摩耗、クラックの発生を抑制
しつつ、氷上のグリップ性能を高め氷雪走行性能を向上
しうる重荷重用空気入りタイヤの提供を目的としてい
る。
【0009】トレッド面を、周方向に連続してのびる複
数の縦溝Gと、この縦溝間を横切る複数の横溝gとによ
り区分することにより、複数のブロックBが周方向に並
ぶブロック列BLを少なくとも1つ有する重荷重用タイ
ヤにおいて、該ブロックBを、周方向に隔てる2つの主
部Bmと、その間に位置しタイヤ軸方向の巾、周方向長
さがともに前記主部Bmより小かつ前記主部Bmとはタ
イヤ軸方向にのびるサイピングS1を介する副部Bsと
により形成し、主部Bmに、一端が横溝gに開口しタイ
ヤ周方向にのびるとともに、他端が主部Bm内で前記サ
イピングS1と交わることなく終端するサイピングS2
を配置するとともに、前記周方向に隣り合うブロックB
間を、横溝g内に設けられかつその上面Csがトレッド
面より半径方向内方、かつタイヤ軸方向の巾WCが前記
主部Bmの巾WBmより小の連結部Cにより継ぐととも
に、この連結部Cは、主部Bmの巾WBmの平均の平均
主部巾MBmに対する該連結部Cの巾WCの平均の連結
部巾MCの比MC/MBmが、0.80以上かつ0.9
0以下の範囲にあることを特徴としている。
【0010】また請求項2に係る発明は、ブロックB
は、前記主部Bmの周方向長さLBmに対する副部Bs
の周方向長さLBsの比LBs/LBmが、実質的に全
巾において0.40以上かつ0.75以下の範囲にある
ことを特徴とする。
【0011】さらに請求項3に係る発明は、ブロックB
が、主部Bmの巾WBmの平均主部巾MBmに対する副
部Bsの巾WBsの平均副部巾MBsとの比MBs/M
Bmが、0.80以上かつ0.90以下の範囲にあるこ
とを特徴とする。
【0012】さらに請求項4に係る発明は、縦溝Gが、
溝巾が4.0mm以上かつ20.0mm以下の主縦溝Gm
と、溝巾が2.0mm以上かつ4.0mm未満の副縦溝Gs
とからなり、主縦溝Gmの溝底面のトレッド面からの主
縦溝深さHGmに対する連結部Cの上面Csのトレッド
面からの連結部深さHCの比HC/HGmが、0.50
以上かつ0.75以下の範囲にあることを特徴とし、か
つ請求項5に係る発明は、前記連結部Cが、前記主部B
mとタイヤ周方向中心線を揃えて巾WCを主部Bmの巾
WBmより小とする対称巾をなし、かつ上面Csは、前
記主縦溝Gmの溝底面よりも高く、連結部Cの主縦溝G
mに向く側のタイヤ軸方向端縁は、該主縦溝Gmの溝底
面に連なる下向きの側壁cw1を形成し、連結部Cの上
面Csよりも溝底面が半径方向上方にある副縦溝Gs側
では、該連結部Cの端部は上向きの側壁cw2を形成す
ことを特徴とし、さらに請求項6に係る発明は、サイ
ピングS1が、その深さHS1を、主縦溝深さHGmの
40〜70%の範囲にあることを、請求項7に係る発明
は、サイピングS2が、その深さHS2を、連結部深さ
HCの50〜85%の範囲とすることを特徴としてい
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図面
に基づき説明する。図1は、重荷重用空気入りタイヤ1
(以下タイヤ1という)が、例えば、タイヤサイズが1
1R22.5の冬用タイヤであり、正規リムRに組み込
まれ正規内圧を充填した状態した標準状態におけるタイ
ヤ子午線断面での赤道面EPの右半分を示している。
【0014】本明細書において、「正規リム」とは、J
ATMAで規定する標準リム、TRAで規定する ”D
esign Rim” 、或いはETRTOで規定する
”Measuring Rim” のいずれかに従っ
て定め、また「正規内圧」とは、JATMAで規定する
最高空気圧、TRAの表 ”TIRE LOADLIM
ITS AT VARIOUS COLD INFLA
TIONPRESSURES” に記載の最大値、或い
はETRTOで規定する”INFLATION PRE
SSURE” のいずれかに従って定められる。
【0015】タイヤ1は、ビードコア2が通る両側のビ
ード部3と、各ビード部3からタイヤ半径方向外向きに
のびるサイドウォール部4と、その上端間を継ぐトレッ
ド部5とを具え、前記ビード部3、3間にカーカス6が
架け渡されるとともに、このカーカス6のタイヤ半径方
向外側かつトレッド部5のタイヤ半径方向内側にはベル
ト層7が周方向に巻装される。
【0016】前記カーカス6は、カーカスコードをタイ
ヤ赤道EPに対して70〜90°の角度で配列した1枚
以上のカーカスプライから形成され、このカーカスプラ
イは、前記トレッド部5からサイドウォール部4をへて
ビード部3のビードコア2の廻りで内側かつ外側に折返
されて係止されることにより前記のごとく、カーカス6
がビード部3,3間に架け渡される。カーカスプライの
カーカスコードとして、ナイロン、ポリエステル、レー
ヨン、芳香族ポリアミド繊維等からなる有機繊維コード
も用いうるが、本例では、スチールのカーカスコードを
タイヤ赤道EPに対して略90°の角度で配列した1枚
のカーカスプライから形成している。
【0017】前記ベルト層7は、本例では、スチールの
ベルトコードをタイヤ赤道EPに対して、例えば40°
から70°程度のコード角度で傾けたタイヤ半径方向最
内層となる第1ベルトプライ7Aと、タイヤ赤道面EP
に対してベルトコードを10°から30°の小なコード
角度で傾けた第2〜第4のベルトプライ7B、7C、7
Dとの複数枚のベルトプライを用いている。
【0018】又前記トレッド部5の外表面をなすトレッ
ド面5Sには、図2に示すように、周方向に連続しての
びる複数本の縦溝Gと、この縦溝G間を横切る複数本の
横溝gが設けられる。
【0019】前記縦溝Gは、溝巾WGmが4.0mm以上
かつ20.0mm以下の主縦溝Gmと、溝巾WGsが溝巾
WGmよりも小であって、通常4.0mm未満かつ2.0
mm以上の副縦溝Gsとを含みうる。
【0020】前記主縦溝Gmは、本形態では、タイヤ赤
道面に沿って延びる第1の主縦溝Gm1と、タイヤ赤道
面EPとトレッド縁との間の領域をほぼ二等分する位置
に配される左右各1本の第2の主縦溝Gm2、Gm2か
らなる。また副縦溝Gsは、主縦溝Gm1、主縦溝Gm
2のタイヤ軸方向ほぼ中間位置を通り、さらに本形態で
は、トレッド縁の近傍を通る各2本の細溝Gk1,Gk
2とを設けて、短冊状の細巾ブロックを形成して横滑
り、轍乗り越し性を向上している。
【0021】これにより、主縦溝Gm1と副縦溝Gsと
の間、副縦溝Gsと主縦溝Gm2との間には、前記横溝
gにより区分されたブロックBが並ぶ前記ブロック列B
Lを形成している。また主縦溝Gm2のタイヤ軸方向外
側には、前記細巾ブロックを有し、かつトレッド縁から
のびるラグ溝Gr1と、主縦溝Gm2からのびるラグ状
溝Gr2とを周方向交互に設けたリブ状列RLをトレッ
ド縁側に形成し、これにより連続性を維持しつつ把持力
を高めうる。
【0022】本形態では、その結果、トレッド面5Sに
は、タイヤ赤道EPの両側に各対称となる主縦溝Gm1
と副縦溝Gsとの間のブロック列BL1、BL1と、そ
のタイヤ軸方向外側に配され副縦溝Gsと主縦溝Gm2
との間のブロック列BL2、BL2との合計4列のブロ
ック列BLを具えることとなる。ブロック列BLの本
数、配置をタイヤサイズなどに応じて変化することもで
きる。
【0023】又横溝gにより区切られたブロックBは、
周方向に隔てる2つの主部Bm、Bmと、その間に位置
しかつ図3に示すごとく、前記主部Bmタイヤ軸方向の
巾WBm、周方向長さLBmよりもともに小さい巾WB
s、周方向長さLBsの副部Bsとからなり,かつ前記
主部Bmと副部Bsとは、全体としてタイヤ軸方向に全
巾をのび縦溝Gで開口するサイピングS1を介在してい
る。なおタイヤ軸方向線に対する角度とはサイピングS
1の両端を結ぶ角度をいうが、本例ではサイピングS1
は、タイヤ軸方向に対して小角度、例えば2〜15゜で
傾く3つの斜辺からなるジグザグ状をなす。なお、2〜
5個程度の斜辺によりV字状、乃至ジグザグ状とするこ
ともできる。なおサイピングS1の周方向長さLS1は
長くとも副部Bsの周方向長さLBs以下とする
【0024】各ブロックBにおいて、全巾に亘って、主
部Bmの周方向長さLBmよりも副部Bsの周方向長さ
LBsを短くすることにより、副部Bsのタイヤ周方向
への曲げ剛性を主部よりも小さくし接地面内での動きを
容易として、氷上でのエッジ効果を発揮しやすくする。
またタイヤ周方向の両側を周方向剛性の高い主部Bm挟
まれているので、ブロックB全体の動きを抑制し、ブロ
ック欠け、偏摩耗の発生を低減しうる。
【0025】又主部Bmの周方向長さLBmに対する副
部Bsの周方向長さLBsの比LBs/LBmは、0.
40以上かつ0.75以下、好ましくは0.55〜0.
70の範囲に設定される。0.75を越えると、前記主
部Bm、副部Bsのコンビネーションの効果が発揮し難
く、0.40未満では、副部Bsのタイヤ周方向剛性が
小さくなりすぎ、偏摩耗、ブロック欠けが発生すること
がある。
【0026】さらにブロックBは、主部Bmの巾WBm
の平均の主部巾MBmに対する副部Bsの巾WBsの平
均の副部巾MBsとの比MBs/MBmが、0.80以
上かつ0.90以下として、平均の主部巾MBmよりも
平均の副部巾MBsを小に設定することにより、ブロッ
クB内でタイヤ軸方向への突面からなるブロックエッジ
を生じさせる段差Tを形成する。この段差Tは、ブロッ
クのタイヤ軸方向両側に形成してもよいが、本例ではブ
ロックの片側の側壁に設けられ、かつ隣接するブロック
列BLでブロックBの周方向の向きを変えることによ
り、タイヤ赤道EPの各片側で、副縦溝Gsを隔てる各
2本のブロック列BL1、BL2が一対となって、その
タイヤ軸方向両側に段差Tを形成する。
【0027】前記段差Tは、雪上においては、縦溝内に
できる雪柱のタイヤ周方向のせん断力を高めて雪上グリ
ップ性能を向上させ、氷上ではエッジを増加させて氷上
グリップ性能を向上させる。前記比MBs/MBmが
0.90を越えると前記グリップ性能向上の効果が少な
く、0.80未満では、副部Bsの軸方向曲げ剛性が少
なくなりすぎ、偏摩耗、ブロック欠けを起こしやすくな
る。
【0028】またこのため、主部Bmと副部Bsを区切
るサイピングS1の深さHS1(図5に示す)は、主縦
溝深さHGmの40〜70%の範囲にあることが好まし
い。70%を越えるとブロックB全体の周方向曲げ剛性
が小さくなりすぎ、乾燥路面走行時にブロック欠けを起
こしやすく、40%未満では前記主部Bm、副部Bsの
コンビネーション効果が発揮されにくい。
【0029】前記横溝gには、周方向に隣り合うブロッ
クBを継ぐ連結部Cが配されることにより、ブロックの
周方向の動きを制御して偏摩耗、特にブロックBのタイ
ヤ周方向の一端が早期に摩耗して、タイヤを軸方向外方
から見たとき鋸刃状になるヒールアンドトウ摩耗(H/
T摩耗)を防止することができ、かつブロックBの欠け
を防ぐとともに雪の踏み固め率の増加による雪柱せん断
力を増して駆動、制動力を向上しうる。
【0030】また連結部Cは、本形態では、前記主部B
mとタイヤ周方向中心線を揃えて巾WCを主部Bmの巾
WBmより小とする対称巾をなし、かつ上面Csは、前
記トレッド面5Sより半径方向内方に沈み、かつ前記主
縦溝Gmの溝底面よりも高く形成される。又本形態で
は、連結部Cの主縦溝Gmに向く側のタイヤ軸方向端縁
は、該主縦溝Gmの溝底面に連なる下向きの側壁cw1
を形成する。他方、副縦溝Gsに向く側のタイヤ軸方向
端部は、図4,5に示すように、この副縦溝Gsの溝底
面が、前記連結部Cの上面Csよりも半径方向上方にあ
ることによって、その端部は上向きの側壁cw2を形成
している。
【0031】このため、主部Bmの前記平均の主部巾M
Bmに対する連結部Cの巾WCの平均の連結部巾MCの
比MC/MBmを、0.80以上かつ0.90以下の範
囲に設定することが好ましい。0.90を越えるとブロ
ックパターンとしての雪上性能、氷上性能が低下し、
0.80未満では連結部を設けた効果を発揮し難い。
【0032】なお、主縦溝Gmの深さHGmに対する連
結部Cの上面Csまでの深さHCの比HC/HGmは、
0.50以上かつ0.75以下の範囲にあることが好ま
しい。0.50未満では前記連結部の効果が発揮されに
くく、0.75を越えるとブロックパターンとしての雪
上グリップ性能が低下する。さらに本形態では、前記副
縦溝Gsの深さHGsは、前記上面Csまでの深さHC
の0.2〜0.7倍程度としている。
【0033】さらに、本形態のように、連結部Cの一方
のタイヤ軸方向の外方部において副縦溝Gsによって連
結部Cの上面Csよりも浅くすることにより、比較的早
い摩耗の中期以前にトレッド面に露出させ、これにより
タイヤ軸方向のエッジ効果を補強してタイヤの横滑りを
低減する。なお、図6に示すように、副縦溝Gsの溝底
面を前記連結部Cの上面Csよりも半径方向下方とする
こともでき、排水性を維持するようにも構成しうる。こ
のとき副縦溝Gsの深さはHGsを連結部Cの深さHC
よりも大であって、主縦溝Gmの深さHGmの0.9〜
0.4倍程度とし排水性を向上することもできる。
【0034】又連結部Cに関して、ブロックBの周方向
長さLBに対する連結部Cの周方向長さLCの比LC/
LBを0.05〜0.45とする。0.05未満では、
雪上グリップのもとになる横溝g内の雪柱せん断力は減
少し。0.45を越えると摩耗寿命の低下が大となる。
【0035】又連結部Cの巾WC(副縦溝Gsの溝底面
が、上面Csの半径方向上方にあるときにも前記上面C
sの巾をいう)は、ブロックBの主部Bmの巾WBmの
0.60〜0.70の範囲とする。0.60未満では、
連結部の効果が発揮されにくく、0.70を越えると、
横溝gの効果がでにくい。
【0036】さらに主部Bmには一端が横溝gに開口し
かつ周方向に延びるとともに、他端が主部Bmの周方向
長さLBmの20〜60%の範囲内で終端するサイピン
グS2が設けられる。サイピングS2は、本例では、横
溝gに向く壁面を略等分する位置に配される2本のサイ
ピングS21、S22からなり、このサイピングS2に
より、氷上での横滑りが減少される。サイピングS2の
深さは、連結部深さHCの65〜75%の範囲に設定さ
れることが好ましい。75%を越えると主部Bmの軸方
向曲げ剛性が小さくなりすぎ、乾燥路面走行時にブロッ
ク欠けを起こしやすく、65%未満ではサイピングS2
の横滑り防止効果が発揮されにくい。
【0037】また同様の理由でサイピングS2のタイヤ
周方向長さLS2は、主部Bmのタイヤ周方向長さLB
mの半分以下に設定することが好ましい。さらに好まし
くは、主部の周方向長さLBmの平均値の25〜40%
の範囲に設定される。さらにサイピングS2は、その深
さHS2が、連結部深さHCの50〜85%、好ましく
は65〜75%の範囲にある。
【0038】図4、図5に示すように、主縦溝深さHG
mに対する連結部深さHCの比HC/HGmは、0.5
0以上かつ0.75以下の範囲に設定されることが好ま
しい。0.75を越えるとブロックパターンとしての雪
上性能、氷上性能が低下し、0.50未満では連結部を
設けた効果が発揮されにくい。
【0039】さらにブロック列BL1,BL2・・にお
いてブロックBの周方向の向きを異ならせ、トレッドパ
ターンはタイヤ赤道EP上の点において点対称としてい
る。これにより、複輪装着、タイヤローテンションか
ら、方向性パターンを用いにくい重荷重用空気入りタイ
ヤにおいて、非方向性パターンとする。また向きを異な
らせることにより、各主縦溝Gm1、Gm2の雪柱せん
断力を高めている。
【0040】さらにブロックBは、ピッチはピッチバリ
エーション法によりピッチパターンを選定することもで
き、またタイヤ軸方向に隣り合うブロック列BLのブロ
ックBにおいてタイヤ周方向に位相をずらして配置し、
各ブロック列BLのブロックBの略周方向中央位置に
は、隣のブロック列BLにおける横溝gが配置され、こ
のように、本形態では、トレッドパターンはタイヤ赤道
EPに対して点対称をなし、複輪取付、タイヤローテー
ションを容易とし、かつこれにより、タイヤ周方向での
トレッド全体の曲げ剛性の小さい横溝gの部分がトレッ
ド周方向に分散されて偏摩耗及びブロック欠けを防止し
うる。
【0041】
【実施例】図1、2の構成を有するタイヤサイズが11
R22.5(実施例1,実施例3〜5)、245/70
R19.5(実施例2)のタイヤを表1の仕様に基づき
試作するとともに、各試供タイヤにおける氷雪性能をテ
ストし、これらを比較した。なおタイヤ構造は、表2に
示す如く、各タイヤ共通である。テストは、試供タイヤ
を8.25×22.5のリムにリム組みし、内圧700
kPaを充填し、積載量8tの2−D車両の全輪に装着
して、定積載荷重にて以下の評価・測定を行った。さら
に図7,図8に示す比較例1,2についても評価・測定
した。比較例1は副部がなく(主部と同巾)、又比較例
2は副部、連結部がない。なお表1において各部深さ
は、実施例図に準じた高さで示している。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】<氷上の横滑り量>氷上発進時のドライブ
軸の横滑り量を前後、左右のG測定を行い、比較例1を
100とする指数に換算することにより求めた。前後G
が大、左右Gが小、前後Gが小、左右Gが大であるとき
横すべり量が大となる。
【0045】<氷雪上制動性能>制動テストと発進テス
トとを行い、制動テストとしては、氷雪路において、速
度30km/hからロック急制動をかけて制動距離を調
べるとともに、比較例1を100とする指数で表示して
いる。数値が大きいほど制動距離が短く氷雪制動性に優
れる。
【0046】<氷雪上発信テスト>氷雪路で車両を発進
させたり走行中に加速させ、その時のトラクション性能
をドライバーのフィーリングにより比較例1を100と
する指数で表示している。数値が大きいほどトラクショ
ン性能に優れ発進性が良い。
【0047】<偏摩耗・ブロック欠け評価>各タイヤで
20,000kmを走行し、偏摩耗量として、ブロック間
の段差、いわゆるヒールアンドトウ摩耗量を測定し、ブ
ロック欠け、サイピング底のクラックの有無を評価し
た。
【0048】
【発明の効果】前述の如く本発明は構成しているため、
雪柱剪断力とエッジ効果とを大巾に向上でき、氷雪性能
を高め、また、偏摩耗やブロック欠けを有効に防止しう
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態を例示する断面図である。
【図2】そのトレッドパターンを示す展開図である。
【図3】ブロックの一部を示す拡大平面図である。
【図4】各溝の断面図である。
【図5】ブロックの斜視図である。
【図6】他の態様を例示する断面図である。
【図7】比較例1の右半分のパターン図である。
【図8】比較例2の右半分のパターン図である。
【符号の説明】
2 ビードコア 3 ビード部 4 サイドウォール部 5 トレッド部 6 カーカス 7 ベルト B ブロック BL ブロック列 Bm ブロックの主部 Bs ブロックの副部 S1 サイピング S2 サイピング G 縦溝 Gm 主縦溝 Gs 副縦溝 g 横溝 T 段差 LBm 主部周方向長さ LBs 副部周方向長さ MBm 平均の主部長さ MBs 平均の副部長さ WGm 主部タイヤ軸方向の巾 WBs 副部巾 HC 連結部深さ HGm 主部深さ MC 平均の連結部深さ LS1,LS2 サイピングの周方向長さ HS1,HS2 サイピングの深さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 11/12 B60C 11/04 B60C 11/11

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド面を、周方向に連続してのびる複
    数の縦溝Gと、この縦溝間を横切る複数の横溝gとによ
    り区分することにより、複数のブロックBが周方向に並
    ぶブロック列BLを少なくとも1つ有する重荷重用タイ
    ヤにおいて、 該ブロックBを、周方向に隔てる2つの主部Bmと、そ
    の間に位置しタイヤ軸方向の巾、周方向長さがともに前
    記主部Bmより小かつ前記主部Bmとはタイヤ軸方向に
    のびるサイピングS1を介する副部Bsとにより形成
    し、 主部Bmに、一端が横溝gに開口しタイヤ周方向にのび
    るとともに、他端が主部Bm内で前記サイピングS1と
    交わることなく終端するサイピングS2を配置するとと
    もに、 前記周方向に隣り合うブロックB間を、横溝g内に設け
    られかつその上面Csがトレッド面より半径方向内方、
    かつタイヤ軸方向の巾WCが前記主部Bmの巾WBmよ
    り小の連結部Cにより継ぐとともに、この連結部Cは、主部Bmの巾WBmの平均の平均主部
    巾MBmに対する該連結部Cの巾WCの平均の連結部巾
    MCの比MC/MBmが、0.80以上かつ0.90以
    下の範囲にある ことを特徴とする重荷重用空気入りタイ
    ヤ。
  2. 【請求項2】ブロックBは、前記主部Bmの周方向長さ
    LBmに対する副部Bsの周方向長さLBsの比LBs
    /LBmが、実質的に全巾において0.40以上かつ
    0.75以下の範囲にあることを特徴とする請求項1記
    載の重荷重用空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】ブロックBは、主部Bmの巾WBmの平均
    の主部巾MBmに対する副部Bsの巾WBsの平均の副
    部巾MBsとの比MBs/MBmが、0.80以上かつ
    0.90以下の範囲にあることを特徴とする請求項1又
    は2記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】縦溝Gは、溝巾が4.0mm以上かつ20.
    0mm以下の主縦溝Gmと、溝巾が2.0mm以上かつ4.
    0mm未満の副縦溝Gsとからなり、主縦溝Gmの溝底面
    のトレッド面からの主縦溝深さHGmに対する連結部C
    の上面Csのトレッド面からの連結部深さHCの比HC
    /HGmが、0.50以上かつ0.75以下の範囲にあ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重
    荷重用空気入りタイヤ。
  5. 【請求項5】前記連結部Cは、前記主部Bmとタイヤ周
    方向中心線を揃えて巾WCを主部Bmの巾WBmより小
    とする対称巾をなし、かつ上面Csは、前記主縦溝Gm
    の溝底面よりも高く、連結部Cの主縦溝Gmに向く側の
    タイヤ軸方向端縁は、該主縦溝Gmの溝底面に連なる下
    向きの側壁cw1を形成し、連結部Cの上面Csよりも
    溝底面が半径方向上方にある副縦溝Gs側では、該連結
    部Cの端部は上向きの側壁cw2を形成することを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の重荷重用空気入
    りタイヤ
  6. 【請求項6】サイピングS1は、その深さHS1が、主
    縦溝深さHGmの40〜70%の範囲にあることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の重荷重用空気入
    りタイヤ。
  7. 【請求項7】サイピングS2は、その深さHS2が、連
    結部深さHCの50〜85%の範囲にあることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の重荷重用空気入り
    タイヤ。
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