JP3524681B2 - メソポーラスシリケートの調製方法 - Google Patents

メソポーラスシリケートの調製方法

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JP3524681B2 JP16707396A JP16707396A JP3524681B2 JP 3524681 B2 JP3524681 B2 JP 3524681B2 JP 16707396 A JP16707396 A JP 16707396A JP 16707396 A JP16707396 A JP 16707396A JP 3524681 B2 JP3524681 B2 JP 3524681B2
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  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はメソポーラスシリケ
ートの低温調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決する課題】MCM−41、
MCM−9、MCM−22等のメソポーラスシリケート
は約10オングストローム以上の内径の中空を有する柱
状構造物の集合体であり、その表面積は最大1500m
2 /gに達する多孔質体である。
【0003】ここでMCM−41メソポーラスシリケー
トは、メソ孔を持ち、比表面積が1000m2 /g以上
有り、メソ孔間の壁はアモルファス構造を持つシリカラ
イトである。
【0004】これらの多孔質体は、モービル社の国際公
開WO第91/11390号で最初に公開されたもので
あり、シリカゾルに水酸化ナトリウム水溶液に溶解した
n−ドデシルトリメチィルアンモニウムクロライド及び
硫酸を少量交互に加えた後、pHを13.5程度に調製
してゲル化しこれを室温で2時間攪拌した後、オートク
レイブで140℃,48時間静置して水熱合成を行い、
得られた生成物を濾過水洗,乾燥した後、550℃で数
時間焼成して残留する有機物を除去して得られる。
【0005】上記公開公報によるとpHを13.5程度
に調製されたゲルの中ではn−ドデシルトリメチィルア
ンモニウムクロライドが棒状のミセルを形成しその表面
に珪酸が配位し、140℃の温度条件下で表面の珪酸が
脱水、縮重合してSi−O−Siのネットワークを形成
するとされている。この形成されたn−ドデシルトリメ
チィルアンモニウムクロライドのミセルは、550℃の
昇温に伴い焼成除去されて外表面に配位し水熱合成で形
成されたシリカネットワークはそのまま残るため、約1
0オングストローム以上の中空を有するシリカ多孔質体
が得られることとなる。この多孔質体はn−ドデシルト
リメチィルアンモニウムクロライドの様な形状決定剤
(有機テンプレートとも呼ぶ)の大きさを調整すること
によりその中空の内径を変更することも可能である。こ
のメソポーラス物質の調製方法には80℃以上、好まし
くは140℃の高温高圧での水熱合成が必要であり、こ
の為の反応設備が本物質のコストの上昇の要因の一つと
なっている。
【0006】これに対してシリカ源としてテトラエトキ
シシラン(TEOS)を使用し、pHを0程度の酸性条
件でヘキサデシルトリメチィルアンモニウムブロマイド
等の有機テンプレートと反応させることにより得られる
ゲル状の物質は室温で脱水縮合が進行して、MCM−4
1と類似の柱状で表面積が1000m2 /g以上の多孔
質体を生成することがStucky等により報告されている
(Chem. Mater. 1994, 6, 1176-1191)。この方法では高
温の水熱合成が省略されるため、高温高圧容器を使用す
る必要が無く、100℃以下での反応のために大気圧で
の本物質の調製が可能となり設備費、加熱用熱量の低減
効果はかなり大きい。しかしこのようなコスト低減効果
はあるものの、従来のMCM−41ではシリカ源として
安価なシリカゾルを用いたのに対し、低温酸性でのこの
調製ではシリカゾルに比べて高価なTEOSを用いるた
め原料費が上昇することから全コストとしては必ずしも
安価な調製方法とはなっていない。
【0007】従来無機系の多孔質体としてはA,X,
Y,ペンタシル等のゼオライトが良く知られているがこ
れらゼオライト系の多孔質体では細孔内比表面積は60
0m2/g程度で有り、活性炭素の吸着剤の1500−
2000m2 /gに対して1/3程度に留まり、これが
活性炭に比べて吸着剤として性能の差異につながる場合
が多かった。この点でMCM−41及び低温酸性で合成
されるメソポーラスシリケートでは活性炭に匹敵する比
表面積を有し且つ、珪素の酸化物から構成されるため活
性炭系の多孔質体に比べて化学的に極めて安定と考えら
れる。
【0008】以上述べたように、これらメソポーラスシ
リケートでは極めて優れた吸着能を示すことが予想でき
るが、依然残る課題としては、以下1)〜3)に示すよ
うなものがある。
【0009】1)低温酸性メソポーラスシリケートの調
製では室温での調製が実現されるものの、シリカ源とし
ては高価なTEOSの使用が必要なことからトータルコ
ストとしては必ずしも低減されない。
【0010】2)MCM−41,低温酸性メソポーラス
シリケート等の調製では有機テンプレートとして使用す
るヘキサデシルトリメチィルアンモニウムブロマイド等
の原料は非常に高価であり、このため作られるメソポー
ラスシリケートの価格は上述したA,X,Y型ゼオライ
トに比較して10倍程度のコストが予想され、そのコス
トの60〜80%以上を有機テンプレートが占めてい
る。本発明の珪酸高分子の調製では、ミセルの表面にシ
リカが配位し脱水縮合によりSi−O−Siのネットワ
ークの形成が進行してメソポーラスシリケートが生成す
ると考えられているため原理的に有機テンプレートの使
用量を大幅に削減をすることは難しく、かなりのコスト
高が予想される、有機テンプレートを使用する限り、触
媒、吸着剤等の工業用素材としての採用には経済的な制
限が加わることとなる。
【0011】3)ミセルを形成する有機テンプレートの
除去には現在550℃程度での焼成が必要であるが、ミ
セルの表面に生成したシリカのネットワークは不安定で
あり、過度な焼成では生成した中空のシリカネットワー
クが破壊され又焼成が不十分な場合にはテンプレートが
中空の中に残存して細孔容積の減少をきたすと共に、熱
分解生成物が残存する場合には内表面の吸着活性点が減
少してメソポーラスな多孔質体としての機能は期待出来
ないこととなる。工業的には大量の素材を対象として制
度の高い均一な熱処理条件で珪酸高分子から有機テンプ
レートを除去することは難しく、シリカネットワークが
破壊されない効率的な有機テンプレートの除去について
は高度な熱処理の管理が必要となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述した課題を解決する
ための、第1の発明によるメソポーラスシリケートの調
製方法は、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ヘキ
サデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラデ
シルトリメチルアンモニウムクロライドのいずれかの有
機テンプレートの酸性溶液に珪酸ナトリウム溶液を加え
て酸性条件下又は中性条件下で反応させて、得られた生
成物を洗浄した後、当該生成物中から上記有機テンプレ
ートを除去することにより、メソポーラスシリケートを
得ることを特徴とする。
【0013】
【0014】また、第2の発明によるメソポーラスシリ
ケートの調製方法は、第1の発明において、前記生成物
に対して熱処理を行うことにより、当該生成物中から前
記有機テンプレートを除去することを特徴とする。
【0015】また、第3の発明によるメソポーラスシリ
ケートの調製方法は、第1の発明において、前記生成物
に対して超臨界抽出を行うことにより、当該生成物中か
ら前記有機テンプレートを除去することを特徴とする。
【0016】また、第4の発明によるメソポーラスシリ
ケートの調製方法は、第3の発明において、超臨界抽出
された前記生成物に対して熱処理することにより、当該
生成物中から前記有機テンプレートを除去することを特
徴とする。
【0017】また、第5の発明によるメソポーラスシリ
ケートの調製方法は、第3又は第4の発明において、超
臨界抽出により除去された前記有機テンプレートをメソ
ポーラスシリケートの合成原料として再利用することを
特徴とする。
【0018】ここで、本発明でイオン又はゾル状態のシ
リカ源とは、例えば珪酸ナトリウム等の溶液をいうが、
これに限定されるものではない。ここで、本発明でゲル
化とは、合成反応時のメソポーラスシリケートの生成過
程をいう。ここで、本発明で晶析反応とは、メソポーラ
スシリケートが析出する過程をいう。ここで、本発明で
珪酸高分子とは、メソポーラスシリケートをいう。ここ
で、本発明で有機物とは、例えばヘキサデシルトリメチ
ルアンモニウムクロリド,ヘキサデシルピリジニウムク
ロライド等をいうが、これに限定されるものではない。
【0019】
【0020】
【0021】
【発明の実施の形態】上述したように、低温酸性メソポ
ーラスシリケートの調製に於いては、シリカ源として使
用するTEOS等の有機珪酸化合物及びヘキサデシルト
リメチィルアンモニウムブロマイド等の有機テンプレー
トがコストのかなりの部分を占めており安価な工業用素
材として普及させるためには、安価な原料への代替又は
使用量の削減の必要なことが判った。
【0022】このため発明者等はメソポーラスシリケー
トの調製のコストの大幅な低減を検討する中で、TEO
Sを原料として低温酸性で調製されるSTUCKY等の
メソポーラスシリケートの調製法に着目し、TEOSの
代わりに安価に入手できる珪酸ナトリウムをシリカ源と
して使用しこれを水溶液中に溶解した後15w%程度の
濃厚塩酸によりpHを−1程度に保持されたヘキサデシ
ルピリジニウムクロライド水溶液に少量づつ加えてゲル
化し、これを室温で一昼夜静置或いは3時間攪拌して、
珪酸高分子の合成を行った後、生成物を濾過水洗、乾燥
し550℃で数時間(約6時間程度)焼成して残留する
有機物を除去してメソポーラスシリケートを得ることが
できた。
【0023】更に本発明では室温酸性の合成条件で得ら
れたゲル状物質を濾過水洗して生成物を得た後、高圧容
器に装架し高圧、高温の超臨界圧CO2 を溶媒として生
成物質と接触すると、有機テンプレートとして使用した
ヘキサデシルピリジニウムクロライドの大部分は超臨界
圧のCO2 によって抽出され、この後ヘキサデシルピリ
ジニウムクロライドを含有するCO2 を低温低圧に導く
と超臨界圧のCO2 に溶解したヘキサデシルピリジニウ
ムクロライドは液相として再析出し回収された。
【0024】超臨界で抽出したヘキサデシルピリジニウ
ムクロライド及びゲル状物質中に残存するヘキサデシル
ピリジニウムクロライドをメソポーラスシリケートの原
料として再利用することによりヘキサデシルピリジニウ
ムクロライドの使用量を1/3から1/4に低減し得る
こととなる。
【0025】また、本発明の超臨界圧抽出によりゲル状
物質に含有されるヘキサデシルピリジニウムクロライド
の大部分が超臨界圧CO2 相に移行するので、長時間の
精密な熱処理は必要無く又従来の550℃の温度よりも
低温側での熱処理が実施できるためシリカネットワーク
の破壊が最低限に抑制される。
【0026】また、代表的なメソポーラスシリケートで
あるMCM−41と同様に有機テンプレートの側鎖長を
変更することによりメソポアの径の変更が可能であり、
発明者等は10〜100オングストロームの間でのメソ
ポアの径の可変性を確認した。
【0027】以上、本発明の採用により、安価なシリカ
源である珪酸ナトリウムを使用し、室温近傍でメソポー
ラス物質を合成するためその合成過程は大幅に簡素化さ
れ、又有機テンプレートの使用量が1/4−1/5に低
減できたため、メソポーラスシリケートのコストを従来
の1/3程度に低減でき、又熱処理温度を従来と同一の
550℃であれば従来の焼成時間の6時間に対し、1時
間程度で有機テンプレートの除去が達成でき、又従来と
同一の6時間であれば焼成温度は従来の550℃よりか
なり低い400℃でテンプレートの完全な除去が達成で
きる。
【0028】また、吸着剤に使用する場合には熱処理を
しなくてもそのテンプレートの残存は吸着量の低減につ
ながる程度であり、熱処理はこの場合には不要である。
超臨界圧抽出後のメソポーラスシリケートを熱処理を行
うことなく吸着量を比較したがジクロヘキサノン500
0ppmの室温での吸着に於いて吸着量の低下は20%
程度に留まり敢えて熱処理を行わなくとも実用に供せら
れることが判った。又有機テンプレートの側鎖長を変更
することによりメソポアの径を8−50オングストロー
ムの間で変更可能な点は従来の調製方法と同一である。
【0029】また、上記メソポーラスシリケートの合成
方法は、室温近傍酸性下で行っているが、酸性条件のp
Hを保つ為の濃厚塩酸を使用する必要がある。また、該
塩酸を使用した場合には、廃液処理する手間と時間がか
かる。この為、本発明では更に検討した結果、酸性条件
から中性条件でもメソポーラスシリケートの合成を行い
得ることを知見した。すなわち、珪酸ナトリウムをシリ
カ源として使用し、これを水中液中に溶解した後、塩酸
でpHを7程度の中性条件下に保持されたヘキサデシル
ピリジニウムクロライド水溶液に少量づつ加えてゲル化
し、これを室温で一昼夜静置或いは3時間攪拌して、珪
酸高分子の合成を行った後、生成物を濾過水洗、乾燥し
550℃で数時間(約6時間程度)焼成して残留する有
機物を除去してメソポーラスシリケートを得ることがで
きた。得られたメソポーラスシリケートは酸性下で合成
した場合と同様な特性であった。
【0030】
【実施例】以下、本発明の有効性を実証するために、珪
酸ナトリウムをシリカ源とし有機テンプレートとしてヘ
キサデシルピリジニウムクロライドを使用した低温酸性
でのメソポーラスシリケートの合成方法により1000
2 /g以上の比表面積を有するメソポーラスシリケー
トの合成の可能なこと及び合成物に含有される有機テン
プレートの除去に於いて超臨界圧CO2 に前駆物質を接
触して有機テンプレートを除去し、超臨界圧抽出して得
られた有機テンプレートを再利用してメソポーラスシリ
ケートを調製しても同じく1000m2 /g以上の比表
面積を有するメソポーラスシリケートの調製が可能なこ
とを実証した。以下に本発明の具体的な実施方法を示
す。
【0031】(第1実施例;酸性条件での調整方法)先
ず、精製水50mlにヘキサデシルピリジニウムクロラ
イド1gを溶解した後、濃厚塩酸10mlを加えて酸性
の溶液とする(これを「溶液A−1」とする)。次に精
製水5mlに珪酸ナトリウム2.85gを25〜35℃
に加温しながら溶解する(これは「溶液B−1」とす
る)。溶液A−1に溶液B−1を加えると白濁した沈殿
が生じるが、これを室温で3時間半攪拌した後、生成物
を濾過水洗し、ヘキサデシルピリジニウムクロライドを
含有するメソポーラスシリケートを得た。これを110
℃で3時間乾燥した後、昇温速度を100℃/時間で昇
温し、550℃で6時間保持して有機テンプレートを除
去してメソポーラスシリケートを得た。得られた物質の
X線回折像を図1に示す。同図に示すように、この格子
定数d 100 は31オングストロームと計測された。ま
た、窒素吸着BETの結果によると吸着表面積は140
0m2 /g、細孔径は21オングストロームと評価さ
れ、MCM−41と同程度の多孔体であることが判明し
た。
【0032】(第2実施例)第1実施例で得られた有機
テンプレートを除去していない焼成前のメソポーラスシ
リケートを、図2に示す高圧のカラム1に充填して、上
流から400atmのCO2 を加熱器2で温度80℃に
て流路3から100mlN/分の流量で30分流過し
た。ここで、CO2 は25℃、25atmが臨界点なの
で、80℃、400atmは超臨界条件であり、この条
件ではCO2 は有機物6に対して非常に大きな溶解度を
示すので、前駆物質に含有されているヘキサデシルピリ
ジニウムクロライドは効率良く除去されて1時間の流過
で含有されたヘキサデシルピリジニウムクロライドの9
5%以上が超臨界圧CO2 相に移動する。この後、超臨
界のCO2 は流路4から減圧弁5を経てフラッシュドラ
ム6に入りCO2 に溶解したヘキサデシルピリジニウム
クロライドは再凝縮する。流路7から回収されたヘキサ
デシルピリジニウムクロライドを、FTIR,NMR,
ガスクロマトグラフで測定して、フレッシュ品と比較し
たが高温の熱変質及び、CO2 への溶解に伴う変質等の
劣化は認められなかった。また、ヘキサデシルピリジニ
ウムクロライドの20%程度は水熱合成時に液相にミセ
ルを形成すること無く溶解しているがこれも又シリカゾ
ル、又はゲルを含有する水溶液からn−ヘキサンを抽出
溶剤として液/液抽出で回収した。ヘキサデシルピリジ
ニウムクロライドを放出したCO2 は流路8を経て混合
槽9から圧縮機10で再び400atmまで加圧されて
高圧カラム1に供給される。尚容器11はCO2 のリザ
ーバータンクであり超臨界抽出に伴い回収有機テンプレ
ートへの随伴による系外への流出、リーク等で不足する
CO2 を補充している。
【0033】この後、合成物を400℃以上で焼成し残
留するヘキサデシルピリジニウムクロライドを除去して
メソポーラスシリケートを得た。ここで、再びX−線回
折により熱処理前の前駆物質との構造の差異を比較した
がX−線回折パターンには大きな差異は認められなかっ
た。このことから超臨界抽出直後にメソポーラスシリケ
ート特有の構造は形成されており、その後の熱処理では
大きな変化のないことを示している。この後、超臨界C
2 抽出で得られたヘキサデシルピリジニウムクロライ
ド及び水熱合成時の母液に溶解し液−液抽出で回収した
ヘキサデシルピリジニウムクロライドを原料の一部とし
て、これに不足のヘキサデシルピリジニウムクロライド
及びシリカ源となる珪酸ソーダ、pH調製剤となる塩酸
を使用して本発明の方法でメソポーラスシリケートの調
製を行った。得られたメソポーラスシリケートについて
も同じくX−線回折パターンを計測して比較したが1回
目に得られたメソポーラスシリケートと大きな差異はな
かった。
【0034】ここで、a)従来法である550℃焼成で
得られたMCM−41、b)本発明の第1実施例で得ら
れた低温酸性条件で調製され550℃で有機テンプレー
トが除去されたメソポーラスシリケート、c)本発明第
1実施例の方法で合成され第2実施例のCO2 超臨界圧
抽出でヘキサデシルピリジニウムクロライドを抽出し、
そのCO2 超臨界圧抽出により得られたヘキサデシルピ
リジニウムクロライドを原料の1部として再利用して水
熱合成を行い、その後550℃、6時間熱処理を行なっ
たメソポーラスシリケートについて、各々シクロヘキサ
ノンを5000ppm含有する空気と接触させて上記3
サンプル及び、d)参照として現在揮発性有機物吸着に
多用されているUSYについての25℃での平衡吸着量
を比較した。この結果を「表1」に示す。
【0035】
【表1】
【0036】「表1」に示すように、MCM−41と本
発明の低温酸性条件下で調製されたメソポーラスシリケ
ートの間には吸着性能に関する大きな差異のないことが
判明した。また、ヘキサデシルピリジニウムクロライド
を再利用してもX−線回折パターンの比較からある程度
予測されていたことだが、得られたメソポーラスシリケ
ートの吸着性能に差異のないことが判明した。また、C
2 超臨界圧抽出後従来通り熱処理を行った場合と熱処
理を行わない場合とを比較すると、吸着量に関して熱処
理を行った場合の方が20%程度大きい。これはメソポ
ーラス内に残留するヘキサデシルピリジニウムクロライ
ドのために細孔容量が減少しているためと思われた。し
かし、実用的には微妙な熱処理工程を実施して20%吸
着量の大きな吸着剤を得るのと熱処理を行わずに使用す
る場合の損失は僅かであると思われた。さらに、参照と
なるUSY(Ultra Stable Y;超安定Y型ゼオライト)
と比較すると、本発明メソポーラスシリケート及びMC
M−41の吸着量は2.5倍程度大きく、本発明メソポ
ーラスシリケートが吸着剤として非常に優れた性能を有
することが示された。
【0037】(第3実施例)先ず、精製水50mlにヘ
キサデシルトリメチルアンモニウムブロミド1gを溶解
した後濃厚塩酸10mlを加えて酸性の溶液とする(こ
れを「溶液A−2」とする)。次に、精製水5mlに珪
酸ナトリウム2.85gを25〜35℃に加温しながら
溶解する(これを「溶液B−2」とする)。溶液A−2
に溶液B−2を加えると白濁した沈殿が生じるがこれを
室温で3時間半攪拌した後、生成物を濾過水洗し、ヘキ
サデシルトリメチルアンモニウムブロミドを含有するメ
ソポーラスシリケートを得た。これを110℃、3時間
乾燥した後、昇温速度100℃/時間で昇温し550℃
に6時間保持して有機テンプレート(ヘキサデシルトリ
メチルアンモニウムブロミド)を除去してメソポーラス
シリケートを得た。得られた物質のX線回折像を図3に
示すがこれのd100 は30.76オングストローム程度
と計測された。又窒素吸着BETの結果によると吸着表
面積は1400m2 /g、細孔径は22オングストロー
ムと評価されMCM−41と同程度の多孔体であること
が判った。
【0038】(第4実施例)先ず、精製水50mlにテ
トラデシルトリメチルアンモニウムクロリド1gを溶解
した後濃厚塩酸10mlを加えて酸性の溶液とする(こ
れを「溶液A−3」とする)。次に、精製水5mlに珪
酸ナトリウム2.85gを25〜35℃に加温しながら
溶解する(これを「溶液B−3」とする)。溶液A−3
に溶液B−3を加えると白濁した沈殿が生じるがこれを
室温で3時間半攪拌した後、生成物を濾過水洗し、テト
ラデシルトリメチルアンモニウムクロリドを含有するメ
ソポーラスシリケートを得た。これを110℃、3時間
乾燥した後、昇温速度100℃/時間で昇温し550℃
に6時間保持して有機テンプレート(テトラデシルトリ
メチルアンモニウムクロリド)を除去してメソポーラス
シリケートを得た。得られた物質のX線回折像を図4に
示す。同図に示すように、このd100 の格子定数は2
9.4オングストローム程度と計測された。また、窒素
吸着BETの結果によると吸着表面積は1300m2
g、細孔径20オングストロームと評価されMCM−4
1と同様の多孔体の形成されていることが判った。
【0039】(第5実施例;中性条件での調整方法)先
ず、精製水50mlにヘキサデシルピリジニウムクロラ
イド1gを溶解した後、塩酸2mlを加えて酸性の溶液
とする(これを「溶液A−4」とする)。次に精製水5
mlに珪酸ナトリウム2.85gを25〜35℃に加温
しながら溶解する(これは「溶液B−4」とする)。溶
液A−4に溶液B−4を加えると白濁した沈殿が生じる
中性溶液となり、これを室温で3時間半攪拌した後、生
成物を濾過水洗し、ヘキサデシルピリジニウムクロライ
ドを含有するメソポーラスシリケートを得た。これを1
10℃で3時間乾燥した後、昇温速度を100℃/時間
で昇温し、550℃で6時間保持して有機テンプレート
を除去してメソポーラスシリケートを得た。得られた物
質のX線回折像を図1に示すものと全く同様であった。
また、窒素吸着BETの結果によると吸着表面積は14
00m2 /g、細孔径は21オングストロームと評価さ
れ、MCM−41と同程度の多孔体であることが判明し
た。
【0040】
【発明の効果】以上、実施例と共に述べたように、本発
明によれば、安価なシリカ源である珪酸ナトリウムを使
用し、室温近傍酸性条件下でメソポーラス物質を合成す
るためその合成過程は大幅に簡素化される。また、有機
テンプレートの使用量が1/4−1/5に低減できるた
め、メソポーラスシリケートのコストを従来の1/3程
度に低減でき、また、熱処理温度を従来と同一の550
℃であれば従来の焼成時間の6時間に対し、1時間程度
で有機テンプレートの除去が達成でき、更に、従来と同
一の6時間であれば焼成温度は従来の550℃よりかな
り低い400℃でテンプレートの完全な除去が達成でき
る。
【0041】また、メソポーラス物質を合成するため
に、上記酸性条件下の代わりに、中性条件下において合
成することにより、pHを保つ為の塩酸の使用量を無く
し、更に廃液処理する手間と時間とを無くすので、さら
にトータルコストの低減を図ることができる。また、中
性条件下において反応させるので、耐酸性の装置を用い
ることがなく、メンテナンス維持管理も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例にかかるメソポーラスシ
リケートのX線回折図である。
【図2】本発明の第2の実施例にかかる超臨界抽出装置
の概略図である。
【図3】本発明の第3の実施例にかかるメソポーラスシ
リケートのX線回折図である。
【図4】本発明の第4の実施例にかかるメソポーラスシ
リケートのX線回折図である。
【符号の説明】
1 カラム 2 加熱器 6 フラッシュドラム 9 混合機 10 圧縮機 11 リザーバタンク
フロントページの続き (72)発明者 鹿川 修一 長崎県長崎市八幡町6番10号 (72)発明者 寺岡 靖剛 長崎県長崎市田中町384番1号 東長崎 住宅4−33 (72)発明者 瀬戸口 由加子 長崎県西彼杵郡長与町丸田郷10 三菱A P6棟309号 (56)参考文献 特開 平9−295811(JP,A) 特開 平9−227249(JP,A) 特開 平9−328312(JP,A) 特開 平2−6319(JP,A) Karen J,Room−temp erature Formation of Molecular Sieve MCM−41,J. Chem. So c., Chem. Commun., 1995年,No.2,p.155−156 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 33/12 - 39/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘキサデシルピリジニウムクロライド、
    ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、テト
    ラデシルトリメチルアンモニウムクロライドのいずれか
    の有機テンプレートの酸性溶液に珪酸ナトリウム溶液を
    加えて酸性条件下又は中性条件下で反応させて、得られ
    た生成物を洗浄した後、当該生成物中から上記有機テン
    プレートを除去することにより、メソポーラスシリケー
    トを得ることを特徴とするメソポーラスシリケートの調
    製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記生成物に対して熱処理を行うことにより、当該生成
    物中から前記有機テンプレートを除去する ことを特徴と
    するメソポーラスシリケートの調製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記生成物に対して超臨界抽出を行うことにより、当該
    生成物中から前記有機テンプレートを除去する ことを特
    徴とするメソポーラスシリケートの調製方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 超臨界抽出された前記生成物に対して熱処理することに
    より、当該生成物中から前記有機テンプレートを除去す
    ことを特徴とするメソポーラスシリケートの調製方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項3又は請求項4において、 超臨界抽出により除去された前記有機テンプレート をメ
    ソポーラスシリケートの合成原料として再利用すること
    を特徴とするメソポーラスシリケートの調製方法。
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