JP3523430B2 - エレベータの制動装置 - Google Patents

エレベータの制動装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ガイドレールに
対してかごを停止させておくためのエレベータの制動装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8は例えば特開平5−116861号
公報に示された従来のエレベータを示す斜視図である。
図において、昇降路1の上部には、複数個の返し車2が
設置されており、これらに主索3が巻き掛けられてい
る。主索3の一端部にはかご4が、主索3の他端部には
釣合重り5がそれぞれ吊り下げられている。昇降路1の
かご4の両側には、かご4の昇降をガイドする一対のか
ご側ガイドレール6が設置されている。また、釣合重り
5の両側には、一対の重り側ガイドレール7が設置され
ている。
【0003】釣合重り5には、リニアモータの一次側コ
イル8が複数個設けられている。昇降路1側には、一次
側コイル8に対向するリニアモータの二次導体9が設け
られている。一次側コイル8は、二次導体9の両面に対
向するように配置されている。釣合重り5の下端部に
は、制動装置10が設けられている。
【0004】図9は図8の釣合重り5を示す正面図、図
10は図9の制動装置10を示す平面図、図11は図1
0の側面図、図12は図10の正面図である。一対のア
ーム11,12は、ピン13,14を中心に回動自在な
状態で釣合重り5に搭載されている。これら一対のアー
ム11,12の一端部には、制動時に重り用ガイドレー
ル7を両側から押圧、即ち挟持する一対の制動片(ブレ
ーキシュー)15,16が取り付けられている。
【0005】一方のアーム11の他端部には、コイル1
7aを有する電磁石17が連結されている。他方のアー
ム12の他端部には、電磁石17により吸引される鉄心
18連結されている。一対のアーム11,12間には、
一対の制動片15,16がガイドレール7を挟持する方
向へ一対のアーム11,12を付勢するばね19が設け
られている。
【0006】上記のような従来のリニアモータエレベー
タでは、一次側コイル8と二次導体9とにより構成され
るリニア誘導モータの推力により、釣合重り5を重り側
ガイドレール7に沿って昇降させ、これにより釣合重り
5に主索3を介して接続されたかご4をかご側ガイドレ
ール6に沿って昇降させる。また、釣合重り5内に制動
装置10を設け、かご4及び釣合重り5を制動停止させ
る。
【0007】次に、制動装置10の動作について説明す
る。まず、制動時には、ばね19のばね力により電磁石
17と鉄心18とが互いに開離する。これにより、一対
のアーム11,12がピン13,14を中心に回動し、
制動片15,16が重り側ガイドレール7に押し付けら
れて制動力が発生する。また、ブレーキ開放時には、コ
イル17aを励磁することにより、電磁石17と鉄心1
8との間に吸引力を発生させる。これにより、電磁石1
7と鉄心18とは、ばね19に逆らって接触する。従っ
て、アーム11,12が制動時とは逆方向へ回動し、制
動片15,16が重り側ガイドレール7から開離する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来のエレベータの制動装置10においては、ばね1
9のばね力のみで重り側ガイドレール7を挟持し制動し
ているため、十分な制動力を得るためには、大きなばね
力を有する大形のばね19を使用する必要があった。ま
た、制動力を解除するための電磁石17及び鉄心18に
ついても、大きなばね力に抗するためには大形化せざる
を得ず、これに伴い電磁石17への供給電力も大きくな
ってしまう。
【0009】この発明は、上記のような問題点を解決す
ることを課題としてなされたものであり、制動力を得る
ためのばね及び制動力を解除するための電磁装置を小形
化することができるとともに、電磁装置に供給する電力
を低減することができるエレベータの制動装置を得るこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明に係るエレベー
タの制動装置は、かごを支持する枠体に対して回動可能
に設けられている制動腕と、この制動腕に固定され、制
動腕の回動により、昇降路に設置されたガイドレールの
一方の面に制動腕の回動中心よりも上方で接離する上側
制動片と、制動腕に固定され、制動腕の回動により、制
動腕の回動中心よりも下方でガイドレールの他方の面に
接離する下側制動片と、上側及び下側制動片がそれぞれ
ガイドレールに接する方向へ制動腕を付勢するばねと、
上側及び下側制動片がそれぞれガイドレールから開離す
る方向へばねのばね力に抗して制動腕を回動させる電磁
装置とを備え、制動時にかごの自重により制動片がガイ
ドレールに押し付けられるようになっており、1つのガ
イドレールに対して一対の制動腕が設けられており、制
動時には、一方の制動腕に固定された上側制動片と他方
の制動腕に固定された上側制動片とによりガイドレール
を挟み、かつ、一方の制動腕に固定された下側制動片と
他方の制動腕に固定された下側制動片とによりガイドレ
ールを挟むようになっているものである。
【0011】また、かごを支持する枠体に対して回動可
能に設けられている制動腕と、この制動腕に固定され、
制動腕の回動により、昇降路に設置されたガイドレール
の一方の面に制動腕の回動中心よりも上方で接離する上
側制動片と、制動腕に固定され、制動腕の回動により、
制動腕の回動中心よりも下方でガイドレールの他方の面
に接離する下側制動片と、上側及び下側制動片がそれぞ
れガイドレールに接する方向へ制動腕を付勢するばね
と、上側及び下側制動片がそれぞれガイドレールから開
離する方向へばねのばね力に抗して制動腕を回動させる
電磁装置とを備え、制動時にかごの自重により制動片が
ガイドレールに押し付けられるようになっており、1つ
のガイドレールに対して一対の制動腕が設けられてお
り、制動時にはそれぞれの制動腕の上側制動片及び下側
制動片によりガイドレールを挟むようになっており、制
動腕はかごの幅方向両側に一対ずつ4個設けられ、かご
の幅方向へ延びかごの奥行き方向へ移動可能な2本の連
結軸によりかごの両側の制動腕が1個ずつ互いに連結さ
れ、ガイドレールの位置でかごの幅方向へ延び上下動可
能な作動軸により4個の制動腕が連結されており、ばね
及び電磁装置により作動軸が上下動されることによって
全ての制動片がガイドレールに同時に接離されるもので
ある
【0012】
【0013】また、枠体に当接して作動軸の長手方向へ
の移動を規制するカラーが作動軸に取り付けられている
ものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
について説明する。図1はこの発明の実施の形態の一例
を示すエレベータの要部斜視図である。図において、か
ご21は、昇降路内に設置された左右一対のガイドレー
ル22A,22Bに沿って昇降する。かご21の上下端
部には、それぞれガイドレール22A,22Bに係合す
るガイドシュー23が設けられている。かご21の外周
部には、リニアモータの一次側コイル24が取り付けら
れている。昇降路内には、一次側コイル24が対向する
リニアモータの二次導体25がブラケット26を介して
設置されている。かご21の下部には、制動装置27が
搭載されている。
【0015】図2は図1の制動装置27の制動時の状態
を示す正面図、図3は図2のIII−III線断面図、
図4は図2の制動力解除時の状態を示す正面図、図5は
図4のV−V線断面図である。かご21は、枠体30上
に支持されている。枠体30の長孔30a,30bに
は、かご21の幅方向へ延びる2本の連結軸31,32
が貫通している。これらの連結軸31,32は、ガイド
レール22A,22Bの位置から等間隔をおいて配置さ
れており、長孔30a,30bに沿ってかご21の奥行
き方向(図3の左右方向)へ移動可能になっている。
【0016】2本の連結軸31,32の両端部には、第
1ないし第4の制動腕33〜36が固着されている。各
制動腕33〜36は、上下動可能な作動軸37により互
いに連結されている。枠体30には、作動軸37の上下
動を許容する長孔30cが設けられている。各制動腕3
3〜36には、ガイドレール22A,22Bの一方の面
に作動軸37の上方(図3中H1)で接離する上側制動
片38と、ガイドレール22A,22Bの他方の面に作
動軸37の下方(図3中H2)で接離する下側制動片3
9とがそれぞれ固定されている。
【0017】これら上側制動片38と下側制動片39と
は、ガイドレール22A,22Bのガイドシュー23と
の当接面間の中心線に対して対向し、上下方向で位相の
異なる位置に配置されている。さらに、各制動腕33〜
36は、図6の状態と図7の状態との間で回動し、これ
により各制動片38,39がガイドレール22A,22
Bに接離する。
【0018】枠体30に固定されたばね台41上には、
ばね42が設けられている。ばね台41及びばね42を
貫通するねじ棒43は、ばね受け44及びナット45を
介してばね42により上方へ付勢されている。ねじ棒4
3の下端部には、作動軸37を支持する支持部材46が
固着されており、作動軸37はこの支持部材46を貫通
している。枠体30には、鉄心部47a及びコイル部4
7bを有し支持部材46を吸引する電磁装置47が固定
されている。支持部材46には、鉄心部47aの先端部
が当接する当接面46aが設けられている。
【0019】作動軸37には、枠体30に当接する2個
のカラー48がそれぞれピン49により固定されてお
り、これらのカラー48により作動軸37の長手方向へ
の移動が規制されている。
【0020】次に、動作について説明する。リニアモー
タの一次側コイル24に電力が供給され、かご21が浮
上すると同時に、電磁装置47にも電力が供給され、ば
ね42のばね力に抗して支持部材46が下方へ吸引さ
れ、図4に示すように当接面46aが鉄心部47aに当
接する。これにより、作動軸37がかご21から遠ざか
るように引き下げられ、4本の制動腕33〜36が図7
の状態から図6の状態へと連結軸31,32を中心に同
時に回動される。そして、全ての制動片38,39が、
図5にも示すように、ガイドレール22A,22Bから
開離し、制動力が解除される。この状態で、リニアモー
タの推力によりかご21がガイドレール22A,22B
に沿って昇降する。
【0021】また、制動時には、かご21が停止し、リ
ニアモータの一次側コイル24への電力供給が遮断され
ると同時に、電磁装置47への電力供給も遮断され、ば
ね42のばね力により支持部材46が上方へ押し上げら
れる。これにより、図2に示すように、当接面46aが
鉄心部47aから開離し、作動軸37が長孔30cに沿
ってかご21側へ持ち上げられる。この結果、4本の制
動腕33〜36が図6の状態から図7の状態へと同時に
変位する。
【0022】このとき、連結軸31,32は長孔30
a,30b内を図7の矢印A方向へ移動し、作動軸37
は長孔30c内を図7の矢印B方向へ移動する。そし
て、全ての制動片38,39が、図3にも示すように、
ガイドレール22A,22Bに押し付けられる。また、
ガイドレール22A,22Bへの制動片38,39の押
付力に、制動腕33〜36を介してかご21の自重が付
加され、大きな制動力が得られる。
【0023】このような制動装置27によれば、かご2
1の自重を制動力として利用することができるので、ば
ね42は制動片38,39をガイドレール22A,22
Bに当接させるだけでよく、従ってばね42を小形化す
ることができ、これに伴い電磁装置47も小形化するこ
とができる。また、電磁装置47に供給する電力を低減
することができる。
【0024】なお、上記の例ではリニアモータエレベー
タについて説明したが、この発明は一般のエレベータに
も共通して適用できる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のエレベ
ータの制動装置は、枠体に対して回動可能な制動腕に上
側制動片及び下側制動片を設け、制動腕の回動により上
側制動片がガイドレールの一方の面に回動中心よりも上
方で接し、下側制動片がガイドレールの他方の面に回動
中心よりも下方で接して、かごの自重が制動力として加
わるようにしたので、制動力を得るためのばね及び制動
力を解除するための電磁装置を小形化することができる
とともに、電磁装置に供給する電力を低減することがで
きる。また、1つのガイドレールに対して一対の制動腕
を設け、制動時にはそれぞれの制動腕の上側制動片及び
下側制動片によりガイドレールを挟むようにしたので、
押付力をガイドレールの両面からバランス良く加えるこ
とができ、安定した制動力を得ることができる。
【0026】また、ばね及び電磁装置により作動軸が上
下動されることによって全ての制動片がガイドレールに
同時に接離されるようにしたので、かごの自重による制
動力をかごの左右でバランス良くかけることができる。
【0027】
【0028】また、枠体に当接して作動軸の長手方向へ
の移動を規制するカラーを作動軸に取り付けたので、作
動軸の動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態の一例を示すエレベー
タの要部斜視図である。
【図2】 図1の制動装置の制動時の状態を示す正面図
である。
【図3】 図2のIII−III線断面図である。
【図4】 図2の制動力解除時の状態を示す正面図であ
る。
【図5】 図4のV−V線断面図である。
【図6】 図2の制動腕の制動力解除時の状態を示す説
明図である。
【図7】 図6の制動時の状態を示す説明図である。
【図8】 従来のエレベータの一例を示す斜視図であ
る。
【図9】 図8の釣合重りを示す正面図である。
【図10】 図9の制動装置を示す平面図である。
【図11】 図10の側面図である。
【図12】 図10の正面図である。
【符号の説明】
21 かご、22A,22B ガイドレール、27 制
動装置、30 枠体、31,32 連結軸、33〜36
制動腕、37 作動軸、38 上側制動片、39 下
側制動片、42 ばね、47 電磁装置、48 カラ
ー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−173683(JP,A) 特開 平3−18577(JP,A) 特開 平4−66491(JP,A) 特開 平4−75985(JP,A) 特開 平6−329365(JP,A) 特開 平7−172735(JP,A) 実開 昭48−34272(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B66B 5/04 - 5/26 B66B 9/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 かごを支持する枠体に対して回動可能に
    設けられている制動腕と、 この制動腕に固定され、上記制動腕の回動により、昇降
    路に設置されたガイドレールの一方の面に上記制動腕の
    回動中心よりも上方で接離する上側制動片と、 上記制動腕に固定され、上記制動腕の回動により、上記
    制動腕の回動中心よりも下方で上記ガイドレールの他方
    の面に接離する下側制動片と、 上記上側及び下側制動片がそれぞれ上記ガイドレールに
    接する方向へ上記制動腕を付勢するばねと、 上記上側及び下側制動片がそれぞれ上記ガイドレールか
    ら開離する方向へ上記ばねのばね力に抗して上記制動腕
    を回動させる電磁装置とを備え、制動時に上記かごの自
    重により上記制動片が上記ガイドレールに押し付けられ
    ようになっており、 1つの上記ガイドレールに対して一対の上記制動腕が設
    けられており、制動時には、一方の上記制動腕に固定さ
    れた上記上側制動片と他方の上記制動腕に固定された上
    記上側制動片とにより上記ガイドレールを挟み、かつ、
    一方の上記制動腕に固定された上記下側制動片と他方の
    上記制動腕に固定された上記下側制動片とにより上記ガ
    イドレールを挟むようになっている ことを特徴とするエ
    レベータの制動装置。
  2. 【請求項2】 かごを支持する枠体に対して回動可能に
    設けられている制動腕と、 この制動腕に固定され、上記制動腕の回動により、昇降
    路に設置されたガイドレールの一方の面に上記制動腕の
    回動中心よりも上方で接離する上側制動片と、 上記制動腕に固定され、上記制動腕の回動により、上記
    制動腕の回動中心よりも下方で上記ガイドレールの他方
    の面に接離する下側制動片と、 上記上側及び下側制動片がそれぞれ上記ガイドレールに
    接する方向へ上記制動腕を付勢するばねと、 上記上側及び下側制動片がそれぞれ上記ガイドレールか
    ら開離する方向へ上記ばねのばね力に抗して上記制動腕
    を回動させる電磁装置とを備え、制動時にかごの自重に
    より制動片がガイドレールに押し付けられるようになっ
    ており、 1つの上記ガイドレールに対して一対の上記制動腕が設
    けられており、制動時にはそれぞれの上記制動腕の上側
    制動片及び下側制動片により上記ガイドレールを挟む
    うになっており、 上記制動腕は上記かごの幅方向両側に一対ずつ4個設け
    られ、上記かごの幅方向へ延び上記かごの奥行き方向へ
    移動可能な2本の連結軸により上記かごの両側の上記制
    動腕が1個ずつ互いに連結され、上記ガイドレールの位
    置で上記かごの幅方向へ延び上下動可能な作動軸により
    上記4個の制動腕が連結されており、ばね及び電磁装置
    により上記作動軸が上下動されることによって全ての上
    記制動片が上記ガイドレールに同時に接離される ことを
    特徴とするエレベータの制動装置。
  3. 【請求項3】 上記枠体に当接して上記作動軸の長手方
    向への移動を規制するカラーが上記作動軸に取り付けら
    れていることを特徴とする請求項2記載のエレベータの
    制動装置。
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