JP3523200B2 - 骨吸収速度を測定する方法 - Google Patents

骨吸収速度を測定する方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[発明の分野] 本発明は、骨吸収速度を測定する方法、特にそのための
免疫測定法に関する。本発明は更に、骨粗鬆症のような
骨吸収速度の変化に関連のある疾患を診断する方法、お
よび前記方法に利用可能なテストキットに関する。更に
本発明は、被検者の骨吸収速度の増加に関連のある疾患
を治療するための薬剤の効果をモニターする方法、およ
び前記疾患に対する感受性について被検者をスクリーニ
ングする方法に関する。骨吸収速度の特異的マーカーを
使用することが開示されている。
【0002】[技術的背景] 骨吸収速度の変化に関連のある幾つかの疾患があるが、
最も広範囲に広がっているのは骨粗鬆症であり、これは
閉経後の女性にみられる疾患である。骨粗鬆症は、骨質
量が低下し、その結果、骨折しやすい弱い骨格になるこ
とにより引き起こされる。骨粗鬆症により起こる骨折お
よび疾病の治療は、患者の苦悩は言うまでもなく社会に
とっても費用がかかる。従ってその厳しい結果を避ける
ため、骨粗鬆症に罹患する人を診断する必要がある。骨
粗鬆症は、例えばエストロゲン置換もしくはビホスホネ
ート療法による治療が成功している。
【0003】骨密度を測定するための幾つかの器械およ
び方法がある。しかし、使用される装置および手法は、
多大な空間および人員を必要とし、測定に時間を要し、
患者が常駐しなければならないため、費用がかかる。骨
粗鬆症に関する限り、その人口の年齢分布が、ますます
望ましくないものになっているため、骨吸収速度を測定
するための、特異的で迅速で簡便で安価なインビトロの
方法を開発することが重要である。
【0004】骨は、二つの主要な細胞タイプ、骨形成性
骨芽細胞および骨吸収性破骨細胞から実質的に成ってい
る。通常これら二つの細胞タイプはバランスを保ってお
り、破骨細胞は、骨芽細胞が形成したのと同量の骨を吸
収する。骨粗鬆症は、破骨細胞の活性が増大し、その結
果、骨芽細胞が産生するよりも多くの骨を吸収する疾患
に至った結果である。
【0005】酒石酸塩抵抗性酸性ホスファターゼ(TR
AP,EC 3.1.3.2)は、その電気泳動の移動度により
タイプ5クラスの酸性ホスファターゼに属するため、タ
イプ5酸性ホスファターゼとも称される。少なくとも7
つの酸性ホスファターゼを、酸性ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動により同定することができる。これらのうち
最も酸性であるのは、バンド5の酸性ホスファターゼ
(Acp5)であり、これだけが酒石酸塩による阻害に対
して唯一抵抗性を示したため、名称はTRAPである。
この酵素は、その分子の活性部位にスピン結合した鉄ユ
ニットを有する塩基性糖蛋白質である。TRAPの二核
の鉄ユニットは、蛋白質を紫色にする二つの第二鉄イオ
ンを有し、紫色酸性ホスファターゼとも称される。この
蛋白質は、分子量32kdである。この酵素を、例えば
β−メルカプトエタノールにより還元すると、第二鉄イ
オンの一つが還元され、酵素はピンク色になる。TRA
Pは、インビトロで蛋白質チロシンホスファターゼとし
て機能することができ、そのアミノ酸配列は、リン蛋白
質ホスファターゼのアミノ酸配列と相同な領域を有す
る。しかし、その天然の基質はまだ知られていない。
【0006】このチロシンのリン酸化は、多くの細胞の
機能および分化に関して重要な制御メカニズムである。
TRAPは、破骨細胞の機能を制御する際に重要な役割
を果たすと考えられる。TRAPは、その特質で反応し
たり化合物を破壊したりできる水酸基を産生することが
できる。破骨細胞は、骨吸収の間に酸素遊離基を産生
し、その酸素遊離基が骨吸収において意味のあることは
明らかである。その由来は分からないが、少なくとも一
部の水酸基は、TRAPにより形成されると思われる。
TRAPを通常含有する細胞タイプ、即ち破骨細胞およ
び肺胞マクロファージはともに、化合物を取り込み、そ
れらを分解する。この共通の特性により、TRAPが骨
吸収に関与しているという仮説は強く支持される。
【0007】Hayman, A. R. et al.(Development 122:
3151-3162, 1996)は、マウスでTRAP遺伝子を標的
破壊することによりTRAPの役割を研究した。TRA
P遺伝子を欠損するマウスは、軟骨内骨化が混乱し、軽
度の大理石骨病であることを彼らは見出した。TRAP
が、骨の発達の際の、軟骨の正常な鉱化作用に必要とさ
れること、更にTRAPが、骨基質の吸収に重大に寄与
することにより、成人骨格の完全性(integrity)およ
び代謝回転を維持していることを彼らは結論づけた。
【0008】相当量のTRAPを含有する唯一のヒト正
常細胞は、破骨細胞と活性化マクロファージだけであ
る。ある病理学的状況においては、他の細胞にTRAP
を見出すこともできる。TRAPは、骨吸収の間に破骨
細胞から血液循環に分泌されることが見出された。従っ
て、血清中のTRAP濃度が、骨吸収のマーカーとして
提案され、血清中のTRAP濃度は、骨吸収速度と互い
に関連があることが見出された(Kraenzlin M. E. et a
l. Journal of Clinical Endocrinology and Metabolis
m 71(2): 442-451, 1990; Cheung C. K. et al. Clin.
Chem. 41(5): 679-686, 1995; Chamberlain P. et al.
Clin. Chem. 41(10): 1495-1499, 1995およびHalleen
J. et al. Journal of Bone and Mineral Research 11
(10): 1444-1452, 1996)。
【0009】1978年、Lam W. K. W. et al.(Clin. Che
m. 24(7): 1105-1108, 1978)は、成人および子供の血
清中におけるTRAPの生化学的特性の研究について報
告した。改良した電気泳動法により、彼らは二つの別個
のTRAPバンドを発見し、これらを5aおよび5bと
名付けた。TRAP 5aは、TRAP 5bより低い最
適pHを有する。両酵素の形態TRAP 5aおよびT
RAP 5bは、ともにヒト血清中で発見された。TR
AP 5aの量は、成人および子供において一定である
が、TRAP 5bの量は、子供で高いことが見出され
た。
【0010】別の論文(Chen et al., Clin. Chem. 25,
719-722, 1979)において、同グループの研究者らは、
正常な子供の血清で酸性ホスファターゼ活性が高いこと
の意義を研究した。彼らは、バンド5に相当する血清T
RAPの活性が、巨細胞腫にはあるが、骨原性肉腫には
存在しないことを示し、このことは、TRAPが破骨細
胞に由来することを示唆している。
【0011】W.K.W. Lam et al.(Clin. Biochem. 14,
177-181, 1981)は、ゴシェ病に罹患した患者の血清お
よび脾臓からTRAPを単離した。彼らは、ゴシェ病の
血清がバンド5bを含有し、ゴシェ病の脾臓がバンド5
aを含有することを示した。バンド5aおよびバンド5
bは同一の蛋白質構造を有し、シアリダーゼにより5a
から炭水化物を除去すると5aは5bに変換され、これ
により、5aと5bの構造上の唯一の差異は、5aにシ
アル酸残基が存在し、5bに存在しないことだけである
と示唆された。両形態の最適pHは異なり、5aでは5.
0、5bでは5.5〜6.0であった。
【0012】W.K.W. Lam and R.J. Desnick(Progress
in Clinical and Biological Research 95, 267-278, 1
982)は、ゴシェ病においてバンド5型を更に研究し
た。彼らは、正常検体および病理検体における酸性ホス
ファターゼの電気泳動プロフィールをまとめた。彼ら
は、正常血清に微量の5aおよび5bがともに存在する
ことを示したが、病理血清にバンド5aの増加は観察さ
れなかった。その代わりに彼らは、破骨細胞性骨腫瘍、
骨に転移した悪性腫瘍を有する患者の血清、およびゴシ
ェ病を有する患者の血清において、5b量が増加するこ
とを見出した。これらの結果に基づいて、血清の酸性ホ
スファターゼレベル、特に5b型は、破骨細胞の生理学
的活性に主として依存していることが示唆されると、著
者らは結論づけた。しかし、その仮説を裏付ける更なる
証拠が必要であると、彼らは述べている。この論文に由
来する他の重要な所見は、両酵素(バンド5aおよび5
b)は密接に関連があり抗原性としては同じであるとい
う著者の記載である。この記載によれば、5aもしくは
5bの何れかを特異的に測定する免疫測定法を開発する
ことはできないであろう。1982年以降、血清のTRAP
5aおよび5bの起源はそれ以上研究されず、示唆され
た5bの破骨細胞起源は、確証されていない。
【0013】TRAP活性は、例えばp−ニトロフェニ
ルホスフェート(pNPP)を基質として供給すること
により、他の多くの酸性ホスファターゼを阻害する酒石
酸塩の存在下で、分光測光法により測定することができ
る。しかしこの方法は、あまり特異的でないため、TR
APを測定するためにより特異的な方法、即ち免疫測定
法が開発されている。
【0014】Stepan J.J et al.(Biochem. Biophys. R
es. Commun. 165: 1027-1034, 1989)およびKraenzlin
M.E. et al. (Journal of Clinical Endocrinology an
d Metabolism 71(2): 442-451, 1990)は、ヘアリーセ
ル白血病患者の脾臓から精製したTRAPに対して産生
されるポリクローナル抗体を用いた、TRAPのための
免疫測定法を開発した。彼らは、この測定法は、無機塩
類代謝に疾患をもつ患者を検出する際に有効であると示
唆している。
【0015】Cheung C.K. et al.(Clin. Chem. 41(5):
679-686, 1995)は、策状組織(cord)血漿から単離さ
れたTRAPに対して調製されたポリクローナル抗体を
用いた、TRAPの免疫測定法を開示している。彼ら
は、TRAPの濃度が子供および閉経後の女性において
有意に高いことを見出し、骨代謝回転を評価する際のマ
ーカーとしてTRAPを使用する可能性を述べている。
【0016】またポリクローナル抗体は、ヒトの骨から
単離、精製されたTRAPに対しても調製されている。
子供および閉経後の女性は、血清中のTRAP濃度が高
いことは再度証明されている(Halleen J. et al. Jour
nal of bone and Mineral Research 11(10): 1444-145
2, 1996)。
【0017】Chamberlain P. et al.(Clin. Chem. 41
(10): 1495-1499, 1995)は、組換えによりつくられた
TRAPに対して産生された一対のモノクローナル抗体
を用いた、TRAPの二工程の血清免疫測定法を開示し
ている。この一対のモノクローナル抗体により、TRA
Pの異なるエピトープが認識され、感度の高いTRAP
の測定法が可能になった。
【0018】これまでに発表された免疫測定法は全て、
血清中のTRAPの全量を測定している。しかし、本発
明は、TRAP5bがトータルTRAPと比べて骨吸収
の特異的な生化学的マーカーであるという発見に基づく
ものである。このことと関連して、5a、5bと称され
るものであるが、Stepan et al. and Kraenzlin et al.
同上により報告されたTRAPの異性体を、Lam et a
l. 同上により報告されたものと混同してはいけないこ
とを指摘しておく。
【0019】従って、本発明の目的の一つは、骨吸収の
特異的マーカーとしてTRAP 5bを利用することで
ある。
【0020】本発明の別の目的は、骨吸収速度を測定す
る特異的で簡便な方法を提供すること、特に、骨吸収速
度の有意な変化と関連のある疾患(例えば、骨粗鬆症も
しくは他の骨代謝病、骨障害、または骨転移)を診断す
る診断方法を提供することである。
【0021】本発明の別の目的は、前記疾患に罹患しや
すいか、もしくは罹患している被検者の骨吸収をモニタ
ーすることができる方法、および前記疾患の治療効果を
追跡する方法を提供することである。
【0022】本発明の更に別の目的は、前記方法に有効
なテストキットを提供することである。
【0023】[本発明の概要] 本発明の目的は、免疫測定法において、骨吸収速度のマ
ーカーとして酒石酸塩抵抗性酸性ホスファターゼ5b
(TRAP 5b)を使用することにより達成すること
ができる。
【0024】その結果本発明は、被検者の骨吸収速度を
測定するための免疫測定法であって、酒石酸塩抵抗性酸
性ホスファターゼ5b(TRAP 5b)の量が骨吸収
速度を表していることにより、前記被検者に由来する体
液サンプル中のTRAP 5bを測定することを特徴と
する方法を提供する。
【0025】特に、以下の工程を含む、被検者の骨吸収
速度を測定するための免疫測定法を提供する: (a)前記被検者に由来する体液サンプル中に存在する
TRAPを、全TRAP(TRAP 5aおよびTRA
P 5b)を結合する抗体に結合させることにより、体
液サンプル中の酒石酸塩抵抗性酸性ホスファターゼ5b
(TRAP 5b)を測定する工程、および (b)主としてTRAP 5bであるTRAPの活性量
が骨吸収速度を表していることにより、結合したTRA
P活性をpH5.7〜6.3の間で測定する工程。
【0026】本発明は、被検者の骨吸収速度の変化に関
連のある疾患を診断する方法であって、酒石酸塩抵抗性
酸性ホスファターゼ5b(TRAP 5b)の異常な量
が骨吸収速度の変化に関連のある疾患を暗示しているこ
とにより、前記被検者に由来する体液サンプル中のTR
AP 5bを免疫測定法により測定することを特徴とす
る方法を更に提供する。
【0027】本発明は、被検者の骨吸収速度の増加に関
連のある疾患を治療するための薬剤の効果をモニターす
る方法であって、酒石酸塩抵抗性酸性ホスファターゼ5
b(TRAP 5b)量の減少が前記薬剤の効果を示し
ていることにより、前記被検者の体液サンプル中のTR
AP 5bを免疫測定法により測定することを特徴とす
る方法を更に提供する。
【0028】本発明は、骨吸収速度の増加に関連のある
疾患に対する感受性について被検者をスクリーニングす
る方法であって、酒石酸塩抵抗性酸性ホスファターゼ5
b(TRAP 5b)レベルの増大が前記疾患に対する
感受性を示していることにより、前記被検者の体液サン
プル中のTRAP 5bを免疫測定法により測定するこ
とを特徴とする方法を更に提供する。
【0029】本発明は、酒石酸塩抵抗性酸性ホスファタ
ーゼ5b(TRAP 5b)と酒石酸塩抵抗性酸性ホス
ファターゼ5a(TRAP 5a)とを識別することが
可能な抗体を含むテストキットを更に提供する。本テス
トキットは、本発明の方法を実施する際に有効である。
【0030】[発明の詳細な説明] 被検者の体液サンプル中の全TRAPの代わりにTRA
P 5bを特異的に測定すると、TRAP量と骨吸収速
度との間に有意に優れた相関関係が達成される。TRA
Pに対する抗体を利用することにより、免疫測定法で特
異的にTRAP5bを測定できることを予期せず見出し
た。驚くべきことに、TRAP 5aとTRAP 5bと
を識別する抗体を見出した。しかし、本発明で使用する
抗体は、必ずしもTRAP 5aもしくはTRAP 5b
の何れかに特異的である必要はなく、全TRAPを認識
する抗体を使用してもよい。その場合、二つの酵素形態
の識別は、非特異的な抗TRAP抗体との反応の後、他
の手段により成し遂げられる。例えば、全TRAP活性
がTRAP 5bに由来するpH範囲でTRAP活性を
測定できることを見出した。これらの発見により、骨吸
収速度の変化に関連のある一次骨疾患および二次骨疾患
(例えば、骨代謝病、または骨障害もしくは骨転移、特
に骨粗鬆症)を診断する改良方法を提供することができ
る。TRAP 5b量を測定する方法は、骨疾患の治療
効果(例えば、骨粗鬆症のエストロゲンもしくはビホス
フェート療法の効果)をモニターする際に使用すること
もできる。骨吸収の増大に対する感受性ついてヒトをス
クリーニングする際に使用することもでき、これにより
骨折を防ぐ治療が可能になる。
【0031】本発明に関連して使用される「被検者」と
は、哺乳類、好ましくはヒトを意味する。
【0032】本出願で使用される「TRAP」とは、タ
イプ5クラスの酸性ホスファターゼに属する酒石酸塩抵
抗性酸性ホスファターゼ(EC 3.1.3.2.)をいい、こ
れには酵素形態5aおよび5bの両方が含まれる。
【0033】「TRAP 5b」は、その炭水化物鎖に
おいてシアル酸を欠損し、最適pHが約5.7〜6.0
の間であるTRAPの酵素形態bをいう。
【0034】「TRAP 5a」は、その炭水化物鎖に
おいてシアル酸を含み、最適pHが約4.9であるTR
APの酵素形態aをいう。
【0035】前記酵素は、例えばLam W.K.W. et al.(C
lin. Chem. 24(7): 1105-1108, 1978)およびLam W.K.
W. et al.(Clin. Biochem. 14, 177-181, 1981)に更
に説明されている。
【0036】体液サンプルは、好ましくは、血漿もしく
は特に血清のような血液サンプルであるが、必ずしもそ
うではない。
【0037】本発明の免疫測定法において、TRAPに
対する抗体が使用される。これに関連して「免疫測定
法」とは、測定すべき化合物が抗原抗体反応により検出
される任意の測定法を意味する。免疫測定法は、直接測
定法でも間接測定法でもよく、競合的測定法でも非競合
的測定法でもよい。免疫測定法は、サンドイッチ技術で
も単純な技術でもよい。抗原もしくは抗体の何れかを標
識して検出を強化することができる。これらの方法の原
理は、当該分野で周知である。
【0038】本発明で使用される「TRAPに対する抗
体」には、5aおよび5bに非特異的な抗体、および特
異的な抗TRAP抗体を含む。
【0039】TRAPに対する抗体は、好ましくはモノ
クローナル抗体である。前記モノクローナル抗体は、T
RAP 5bとTRAP 5aとを識別することが可能な
抗体であってもよい。「TRAP 5bとTRAP 5a
とを識別することが可能な抗体」とは、TRAP 5b
もしくはTRAP 5aの何れかに特異的であってもよ
く、あるいは前記特異的な抗体と全TRAP(即ち、T
RAP 5bとTRAP5aの両方)を認識する抗体と
の任意の組み合わせから成っていてもよい。
【0040】TRAP 5aとTRAP 5bとを識別す
ることが可能な抗体は、体液中のTRAP 5bの濃度
を測定するために幾つかの方法で使用することができ
る。TRAP 5bに特異的な抗体を使用する場合、当
然ながら、直接使用してTRAP 5bを検出すること
ができる。しかし、TRAP 5bに特異的な抗体を、
酵素の両形態(即ち、全TRAP)を認識する抗体と組
合わせて使用することが好ましい。その場合、体液の全
TRAPを、まず酵素の両形態を認識する抗体に結合さ
せ、次いで、TRAP 5bに特異的であるがTRAP
5aとは反応しない標識抗体を使用して、結合したTR
AP 5bを検出する。
【0041】更に、TRAP 5aに特異的な抗体と全
TRAPを認識する抗体とを組み合わせて使用すること
ができる。その場合、TRAP 5aを、まずTRAP
5aに特異的な抗体に結合させ、次いで、残りの結合し
なかったTRAP活性(これは形態5bのはずである)
を、酵素の両形態を認識する抗体を使用して測定する。
【0042】本発明の方法で使用される抗体は、検出を
高めるために、例えば放射能ラベル、酵素ラベル、化学
発光ラベル、もしくは蛍光ラベルを用いて任意の慣用的
な方法により標識されていてもよい。ストレプタビジン
−ビオチニル(streptavidin-biotinyl)システムは、
感度の高い検出を提供する。例えばHellman J. et al.
J. Bone Miner. Res. 11: 1165-1175, 1996; およびHem
mila I. et al., Anal.Biochem. 137: 335-343, 1984に
記載された時間分解(time-resolved)蛍光免疫測定法
である、Delfiaシステムを用いて、特に優れた結果が得
られた。TRAPの異なるエピトープを認識する少なく
とも二つの異なる抗体を使用することが更に好ましい。
これにより、高い感度と再現性を備えた二部位(two-si
te)の蛍光免疫測定法が可能になる。
【0043】本発明のテストキットは、TRAP 5b
とTRAP 5aとを識別することが可能な抗体を含
む。このテストキットは、本発明に従って骨吸収速度を
評価する際、並びに骨吸収速度の変化と関連のある疾患
を診断する際に有効である。このテストキットは、TR
AP 5bを特異的に認識する抗体を、必要に応じて全
TRAPを認識する抗体とともに含んでいてもよい。あ
るいは、このテストキットは、全TRAPを認識する抗
体とともに、TRAP 5aを特異的に認識する抗体を
含んでいてもよいし、あるいはTRAP 5bに特異的
な抗体およびTRAP 5aに特異的な抗体を含んでい
てもよい。抗体は、好ましくはモノクローナル抗体であ
る。
【0044】本発明に従ってTRAP 5b活性を測定
する別の実現性は、TRAP 5bの酵素活性ピーク内
であるが、TRAP 5aの酵素活性ピークの外である
pH範囲において、酒石酸塩の存在下で酸性ホスファタ
ーゼ活性の慣用的な分光測光法(例えば、Halleen J. e
t al. Journal of Bone and Mineral Research 11(10):
1444-1452, 1996を参照)を実施することである。本発
明者らが測定したとおり、TRAP 5aの最適pH
は、約4.9であり、TRAP 5bの最適pHは、約
5.7〜6.0である。全TRAPは、通常pH5.5
で測定される。しかし、TRAP 5aの存在下でTR
AP 5bを測定するために適切なpH範囲は、5.7
〜6.3、好ましくは5.8〜6.2、特に好ましくは
6.0〜6.2であることを見出した。pH6.1が最
も好ましい。分光測光法は、TRAP 5aとTRAP
5bとを識別していないが、前記pH範囲内で測定した
活性は、実質的にTRAP 5bである。TRAP 5a
のpH6.1での活性は、pH4.9における活性のわ
ずか約20〜30%である。(TRAP 5bをTRA
P5aの非存在下で測定すると、pH約5.9で僅かに
高い活性が得られる)。pH6.1において、全TRA
P活性に対する5a活性の割合は、10%未満である。
従ってpH6.1においては、測定されたTRAP活性
の90%以上が、形態5bである。
【0045】免疫測定法でTRAP 5aとTRAP 5
bの最適pHの差異を利用することにより、TRAP
5bを測定する安価で簡便な方法が提供される。この手
法により、体液の全TRAPを結合させるために最初に
使用される(5aと5bの両方に結合する)非特異的な
抗TRAP抗体の利用が可能になる。その後、TRAP
活性は、TRAP 5b活性に好ましいpH5.7〜
6.3のpH範囲で、例えば分光測光法により測定され
る。
【0046】炭水化物含量の差異は、TRAP 5bと
TRAP 5aとを識別する際に使用することもでき
る。全TRAPは、例えばまず5aと5bの両方を認識
する抗体によって結合される。次いで結合した全TRA
Pは、TRAP 5bのような末端マンノースを有する
炭水化物に結合するが、その炭水化物鎖に末端シアル酸
を有するためTRAP 5aに結合しない、標識されたG
alanthus Nivalis Agglutinin(GNA)もしくはConca
navalin A(ConA)レクチンと反応する。
【0047】当然、本発明の方法において、TRAP
5bを測定するために上述の手法の任意の組み合わせを
使用することができる。本発明は、本発明を限定しない
以下の実施例において更に説明される。
【0048】[例1] モノクローナル抗体を、標準的プロトコールを用いて作
成した。BALB/cマウスに、フロイントアジュバントで乳
化されたヒト骨TRAP精製物(Halleen J. et al. Jo
urnal of Bone and Mineral Research 11(10): 1444-14
52, 1996)を、(1回に20μg/マウス)2週間隔で4
回注射し、その後動物を屠殺した。脾細胞を骨髄腫細胞
株 p3-X63-Ag8.653とハイブリダイズし、そのハイブリ
ドーマをHAT培地で培養した。抗マウスIgGでコー
トされたマイクロタイターウェル中で100μLの上清を
インキュベートすることにより、クローンをスクリーニ
ングし、次いでヒト骨TRAP精製物をインキュベート
した。最後に、結合した酵素活性を、200μLの反応混
合液(0.1M 酢酸ナトリウム、pH6.0、8mM
pNPPおよび40mM酒石酸ナトリウム)をウェル中
で1時間インキュベートすることにより測定した。反応
は、16μLの0.5M 水酸化ナトリウムを添加する
ことにより停止させた。ELISAプレートリーダーを
用いて405nmの吸光度を測定した。二つのモノクロー
ナルTRAP抗体、O1AおよびJ1Bを得た。両抗体
はともに、TRAP5aとTRAP5bの両方を認識す
るが、異なるエピトープを認識した。
【0049】抗原として組換えTRAPを用いて開発さ
れたモノクローナル抗体4E6(Chamberlain P. et a
l. Clin. Chem. 41(10): 1495-1499, 1995)は、骨から
単離、精製されたTRAPと反応しないことが見出され
た。その代わり、このモノクローナル抗体は、シアル酸
を含むTRAPの5a型を特異的に認識することが見出
された。400ngの4E6を、抗マウスIgGでコート
されたマイクロタイターウェル中で1時間インキュベー
トした。次いで、血清サンプル(200μL)を、そのウ
ェル中で1時間インキュベートした。コントロールとし
て、同じ血清からのサンプルを、抗マウスIgGでコー
トされていないマイクロタイターウェル中で同様にイン
キュベートした。そのウェルから50μLの3サンプルを
採取し、400ngのユーロピウム標識O1Aとビオチン
標識J1Bを含む100μLのDelfiaアッセイ緩衝液と混
合した。その混合液を、Delfiaプレートシェーカー(12
96-001 Delfia Plateshaker, Wallac Oy, Turku, Finla
nd)で絶えず振盪しながら、ストレプタビジン(strept
avidin)でコートされたマイクロタイターウェル中で2
時間インキュベートし、次いでDelifa洗浄緩衝液で洗っ
た。最後に、そのウェルを、Delifa増強溶液で満たし
て、5分間振盪し、結合した蛍光を測定した。この方法
は、例えばHellman J. et al. J. Bone Miner. Res. 1
1: 1165-1175, 1996; およびHemmila I. et al., Anal.
Biochem. 137: 335-343, 1984に更に説明されている。
【0050】その結果を表1にまとめた。TRAP 5
aの量は、閉経前の女性と閉経後の女性とでほぼ同じで
あるが、両グループ間のTRAP 5b量の差異は有意
であることが分かった。従って、全TRAPと比較して
TRAP 5bの特異的な測定により、骨吸収のマーカ
ーとしてのTRAPの有用性が大いに高まった。また、
TRAP 5bのレベルは、成人より子供の方が有意に
高いが、TRAP 5aのレベルはほぼ一定であること
が確認された。
【0051】
【表1】
【0052】[例2] 抗マウスIgGでコートされたマイクロタイターウェル
を前もって洗浄し、そのウェル中で絶えず振盪しなが
ら、モノクローナルTRAP抗体O1A(400ng抗体/
ウェル)を1時間インキュベートした。ウェルを洗浄
し、40人の健康な成人に由来する血清サンプルを、ウ
ェル中で絶えず振盪しながら1時間インキュベートし
た。ウェルを洗浄し、200mLの反応混合液(0.1M
酢酸ナトリウム、pH5.9、8mM pNPPおよび
40mM酒石酸ナトリウム)をウェル中で1時間インキ
ュベートすることにより、結合したTRAP活性を測定
した。反応は、25mLの0.32M 水酸化ナトリウ
ムを添加することにより停止させた。ELISAプレー
トリーダーを用いて405nmの吸光度を測定した。
【0053】その結果によると、二つのグループが形成
された:TRAPの全活性が最も高い8サンプルを含む
「High」と、TRAPの全活性が最も低い8サンプルを
含む「Low」。まず抗体4E6に5aを結合させて、次
いで上述の抗体O1Aと結合しなかった活性(即ち、T
RAP 5b)を測定することにより、TRAP 5aお
よびTRAP 5bを二つのグループで特異的に測定し
た。TRAP 5a活性はpH5.0で測定し、TRAP
5b活性はpH5.9で測定した。その結果(405nm
の吸光度)を表2に示す。両グループはほぼ同量のTR
AP 5aを含んでいるが、TRAP 5bの量は、High
グループで著しく高いことが分かる。
【0054】
【表2】
【0055】最後に、両グループに由来する全TRAP
を、抗体O1Aに結合させることにより測定し、結合し
たTRAP活性を異なるpH値で上述のとおり測定し
た。その結果(405nmの吸光度)を表3に示す。その
結果は、pHが増加すると両グループ間の差異が増大す
ることを明らかに示している。最も優れた差異(2.46)
は、pH6.1で達成される。
【0056】
【表3】
【0057】[例3] 種々のpHにおける血清TRAP 5aおよびTRAP
5bの活性を研究した。これは、抗体4E6を用いて血
清サンプル由来のTRAP 5aを結合させ、次いで抗
体O1Aを用いて残りのTRAP 5bを結合させるこ
とにより行われた。結合したTRAP活性は、酢酸緩衝
液のpHを表示どおりに変更した以外は、例2の第一段
落で記載されるように測定した。表4は、基質としてp
NPPを用いて種々のpHでTRAP 5aおよびTR
AP 5bについて得られた吸光度の値(A405)を示
す。%5aのカラムは、各pHにおける、全TRAP活
性(5a+5b)に対する5a活性の割合を示し、例え
ばpH4.7では、%5aは0.256/0.354=72%である。
【0058】
【表4】
【0059】表4によると、pH6.1は、TRAP 5
aの干渉が非常に低く(9.3%)、TRAP 5bの活
性が最適pHの範囲(5.7〜5.9)の活性とほぼ同じ
であるため、TRAP 5bを特異的に検出するために
最も優れたpH値であると思われる。通常、血清のTR
AP活性は、pH5.5が血清の全TRAP活性を測定
したときに観察される最適pH値である(これは、上述
の表のカラム5a+5bから分かるように、TRAP
5aとTRAP 5bの合計活性がpH5.5で最も高く
なるという事実に依るものである)ため、pH5.5を
用いて検出される。
【0060】[例4] O1Aに結合した血清のTRAP 5b活性をpH6.1
で測定した、例3のTRAP 5bに特異的な方法を、
今度は、TRAPをO1Aに結合させ、Delfiaシステム
を用いてユーロピウム標識J1Bで全TRAPを検出す
ることにより血清の全TRAPを測定する、二部位(tw
o-site)の測定法と比較する。閉経後の女性グループ
(年齢>70)に由来する血清サンプルを使用して、血
清のTRAP量に対する6ヶ月のエストロゲン置換治療
(HRT)の効果を研究した。TRAP 5bに特異的
な方法によれば、6ヶ月HRT後にTRAP 5b活性
は48%減少したが(p=0.001)、(エストロゲンの
代わりにプラシーボを受けた)コントロールグループに
おいては、6ヶ月後にTRAP 5b活性の2%増加が
観察された。全TRAPに対する二部位(two-site)の
測定法により、両グループとも6ヶ月後に15〜20%
の減少が検出された。これらの結果は、全TRAPを測
定する二部位法は、6ヶ月のHRT後の骨吸収速度の変
化を検出する際に感度が高くなく、TRAP 5bを特
異的に測定する方法は、6ヶ月HRT後のほぼ50%の
減少を検出することを示しており、このことは、後者の
方法が骨粗鬆症患者のHRT治療をモニターする際に非
常に有効であることを示唆している。従って、TRAP
5bは、全TRAPを測定する二部位測定法と比べ
て、エストロゲン置換治療の間の骨吸収速度の変化を検
出するに際し、有意に優れたマーカーである。その結果
を図1に示す。
【0061】[例5] 最後に、閉経後の女性の血清サンプルの一団を使用し
て、血清のTRAP 5b量および血清の全TRAP量
と骨の無機塩類密度(BMD)との相関関係を研究し
た。その結果は、全TRAP(r=−0.156, p=0.148
8, 有意な相関関係なし)と比べてTRAP 5bは、B
MDに対して有意に優れた負の相関関係を有すること
(r=−0.540, p=0.001, ***)を示している。図2
はTRAP 5bのBMDに対する相関曲線を示す。
【0062】このデータは、血清の全TRAPと比べて
血清のTRAP 5bが、有意に特異的で感度の高い骨
吸収速度のマーカーであることを確信的に示している。 [図面の簡単な説明]
【図1】 血清中の全TRAP量およびTRAP 5b
量に対するエストロゲン治療の効果を示す図。
【図2】 血清TRAP 5bと骨の無機塩類密度(B
MD)との負の相関関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベーネネン、カレルボ フィンランド国、エフアイエヌ−90550 オウル、ペイコンティエ 2・ディー 43 (56)参考文献 CLIN CHEM.,vol.41, No.10(1995) p.1495−1499 HYBRIDOMA vol.16,n o.2(1997) p.175−182 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98 C12Q 1/42

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検者の骨吸収速度を測定するための免
    疫測定法であって、 a)体液サンプル中に存在する酒石酸塩抵抗性酸性ホス
    ファターゼ(TRAP)を、全TRAP(TRAP5a
    およびTRAP5b)を結合する抗体に結合させ、その
    後、結合したTRAP活性をpH5.7〜6.3の間で
    測定し、ここで前記活性が主としてTRAP5bである
    ことにより、あるいは b)体液サンプル中に存在するTRAP5aをTRAP
    5aに特異的な抗体に結合させ、その後、結合しなかっ
    たTRAPを測定し、ここで結合しなかったTRAPの
    量がTRAP5bの量を表し、更にTRAP5bの量が
    骨吸収速度を表すことにより、 前記被検者に由来する体液サンプル中の酒石酸塩抵抗性
    酸性ホスファターゼ5b(TRAP5b)を測定するこ
    とを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、酒石酸
    塩抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)に対するモノ
    クローナル抗体を使用する方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法であって、体液サ
    ンプル中に存在するTRAPを、全TRAP(TRAP
    5aおよびTRAP5b)を結合する抗体にまず結合さ
    せ、その後、結合したTRAP活性をpH5.7〜6.
    3の間で測定する方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法であって、TRA
    P活性を、分光測光法によりpH約6.1で測定する方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の方法であって、TRA
    P5aに特異的なモノクローナル抗体を使用する方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の方法であって、b)で
    結合しなかったTRAP活性を、分光測光法により測定
    する方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の方法であって、TRA
    P活性をpH5.7〜6.3の間で測定する方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の方法であって、TRA
    P活性をpH約6.1で測定する方法。
  9. 【請求項9】 請求項1または5に記載の方法であっ
    て、TRAPの異なるエピトープを認識する、少なくと
    も二つの異なるモノクローナル抗体を使用する方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の方法であって、時間
    分解(time-resolved)蛍光免疫測定法を使用する方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の何れか1項に記載の
    方法であって、前記体液サンプルが血清サンプルである
    方法。
  12. 【請求項12】 被検者の体液サンプル中のTRAP5
    bの量を測定することにより骨吸収速度を測定するため
    の免疫測定法に使用されるテストキットであって、TR
    AP5aに特異的な抗体および全TRAPを認識する抗
    体を含むテストキット。
  13. 【請求項13】 被検者の骨吸収速度の増加に関連のあ
    る疾患を治療するための薬剤の効果をモニターする方法
    であって、酒石酸塩抵抗性酸性ホスファターゼ5b(T
    RAP5b)量の減少が前記薬剤の効果を示しているこ
    とにより、前記被検者の体液サンプル中のTRAP 5
    bを、 a)体液サンプル中に存在する酒石酸塩抵抗性酸性ホス
    ファターゼ(TRAP)を、全TRAP(TRAP5a
    およびTRAP5b)を結合する抗体に結合させ、その
    後、結合したTRAP活性をpH5.7〜6.3の間で
    測定し、ここで前記活性が主としてTRAP5bである
    ことにより、あるいは b)体液サンプル中に存在するTRAP5aをTRAP
    5aに特異的な抗体に結合させ、その後、結合しなかっ
    たTRAPを測定し、ここで結合しなかったTRAPの
    量がTRAP5bの量を表し、更にTRAP5bの量が
    骨吸収速度を表すことにより、 測定することを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の方法であって、前
    記疾患が骨粗鬆症である方法。
  15. 【請求項15】 骨吸収速度の増加に関連のある疾患に
    対する感受性について被検者をスクリーニングする方法
    であって、酒石酸塩抵抗性酸性ホスファターゼ5b(T
    RAP5b)レベルの増大が前記疾患に対する感受性を
    示していることにより、前記被検者の体液サンプル中の
    TRAP 5bを、 a)体液サンプル中に存在する酒石酸塩抵抗性酸性ホス
    ファターゼ(TRAP)を、全TRAP(TRAP5a
    およびTRAP5b)を結合する抗体に結合させ、その
    後、結合したTRAP活性をpH5.7〜6.3の間で
    測定し、ここで前記活性が主としてTRAP5bである
    ことにより、あるいは b)体液サンプル中に存在するTRAP5aをTRAP
    5aに特異的な抗体に結合させ、その後、結合しなかっ
    たTRAPを測定し、ここで結合しなかったTRAPの
    量がTRAP5bの量を表し、更にTRAP5bの量が
    骨吸収速度を表すことにより、 測定することを特徴とする方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の方法であって、前
    記疾患が骨粗鬆症である方法。
  17. 【請求項17】 被検者の体液サンプル中のTRAP5
    bの量を測定することにより骨吸収速度を測定するため
    の免疫測定法に使用されるテストキットであって、全T
    RAPを結合する抗体、およびpH5.7〜pH6.3の
    緩衝液を含むテストキット。
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