JP3522301B2 - 水系エマルション樹脂組成物による低公害化接着法及びコーティング法 - Google Patents

水系エマルション樹脂組成物による低公害化接着法及びコーティング法

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JP3522301B2 JP09731193A JP9731193A JP3522301B2 JP 3522301 B2 JP3522301 B2 JP 3522301B2 JP 09731193 A JP09731193 A JP 09731193A JP 9731193 A JP9731193 A JP 9731193A JP 3522301 B2 JP3522301 B2 JP 3522301B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無溶剤脱公害化によつて
製造された水系エマルシヨン樹脂組成物接着剤によるポ
リオレフイン樹脂成形物又はフイルム等に対して、ポリ
オレフイン成形物又はフイルム表面をトリクロロエタン
等の塩素系有機溶剤で蒸気洗浄又は脱脂することなく密
着性、耐候性、塗膜外観、耐溶剤性等の特性の優秀な塗
膜を与える水系エマルション樹脂組成物接着剤による脱
公害化接着法又はコ−テイング法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来本出願人によつて、塩素含有率が5
〜70%の範囲に塩素化された塩素化ポリオレフイン
(A)と(A)を溶解することの可能なアクリル系又は
メタアクリル系〔以下(メタ)アクリル系と略称する〕
モノマ−類(B)の1種又は2種以上の混合物及び(メ
タ)アクリル系オリゴマ−類(C)からなる溶液を触媒
及び連鎖移動調節剤の存在下又は不存在下で、水媒体中
で重合せしめることによつて無溶剤、脱公害化した安定
な変性塩素化ポリオレフイン系水系エマルシヨンが製造
され、(特願平3−106334号)塗料、インキ又は接着剤
として使用されている。しかしながら従来の該水系エマ
ルシヨのンポリオレフイン系成形物基材又はフイルム用
接着剤として使用する場合、該ポリオレフイン系基材又
はフイルムの表面をトリクロルエタン等の塩素系有機溶
媒を使用して蒸気洗浄又は脱脂する必要があり、完全な
脱公害化接着とは言えなかつた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は本発明によ
つて製造された変性塩素化ポリオレフイン系水系エマル
シヨンをポリオレフイン成形物又はフイルム等の接着剤
又はコ−テイング剤として適用する場合、該ポリオレフ
イン成形物又はフイルム等の表面をオゾン層破壊の原因
となるトリクロロエタン等の塩素系有機溶剤で蒸気洗浄
又は脱脂することなく、完全に密着する塗膜を与えるこ
とを見出した。即ち、本発明は変性塩素化ポリオレフイ
ン系樹脂組成物の水系エマルシヨンを使用して、ポリオ
レフイン基材又はフイルム等の表面を単にアルコ−ル類
やアニオン又は非イオン界面活性剤等の洗浄剤を使用す
るか又は単に水洗処理のみで塗装又はコ−テイングされ
る脱公害化接着法又はコ−テイング法を目的とするもの
である。
【0004】本発明の第1は塩素含有率が5〜70%
の範囲に塩素化された塩素化ポリオレフン(I)及び
(I)を溶解することが可能なアクリル系又はメタクリ
ル系[以下(メタ)アクリル系と略称する]モノマー類
(II)の1種又は2種以上の混合物からなる溶液を、
触媒及び連鎖移動調節剤の存在下又は不存在下で、水溶
媒中で懸濁重合せしめることによて製造された水系エ
マルシン樹脂組成物をポリオレフン系成形物基材
又はフムに装する際に、該ポリオレフン系成形
基材又はフムの表面を、塩素系有機溶剤を使用す
ることなく、アルコール類又はアニオン又は非イオン界
面活性剤又は単に水洗の処理のみで、該水系エマルシ
ン樹脂組成物を該ポリオレフン系成形物基材又はフ
ムに密着せしめることを特徴とする水系エマルシ
ン樹脂組成物による公害化接着法及びコーテング法
であり、その第2は、上記の溶液中に分子中に二重結
合を有するオリゴマー(III)を含有せしめること
を特徴とする、上記水系エマルシン樹脂組成物による
公害化接着法及びコーテング法である。
【0005】本発明に使用される塩素化ポリオレフイン
(I)は塗膜物性として密着性を付与するために用いら
れる成分であり、塩素含有率が5〜70%の範囲、好まし
くは10〜60%、更に好ましくは20〜50%である。塩素含
有率が5%未満では低温下での溶液安定性が悪く、塗膜
外観も低下する。また70%を超過すると塗料として使用
される際に脱塩酸して周囲の金属部分を錆びさせる恐れ
がある。塩素化ポリオレフインの原料としては結晶性塩
素化ポリプロピレン、非結晶性塩素化ポリプロピレン、
ポリブテン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体
などである。またこれらにカルボキシル基や水酸基又は
酸無水物基などを導入した変性ポリオレフイン樹脂も使
用可能である。ポリオレフインの塩素化は通常の反応方
法で容易に実施できる。例えばポリプロピレンを四塩化
炭素のようなクロロハイドロカ−ボン中に溶解し、無触
媒か又は触媒を添加するかし、或は紫外線の照射下で加
圧又は常圧下で、常温〜130 ℃の温度範囲で塩素ガスを
導入することにより行われる。
【0006】更に、塩素化ポリオレフイン類(I)に
は、塩素化ポリオレフインを無水マレイン酸で変性し
て、改質した変性塩素化ポリオレフインも含む。この変
性は既知の方法で行われ、前述したように塩素化ポリオ
レフイン類を溶媒置換して、例えば芳香族炭化水素、特
にトルエン溶液としたものを70〜120 ℃の温度範囲で無
水マレイン酸を仕込み、触媒無し又は触媒存在下で、更
に第三成分共存下又は非共存下で反応せしめる。この無
水マレイン酸変性塩素化ポリオレフイン類を使用した本
発明の水系エマルシヨン樹脂接着剤は密着性、コ−テイ
ング性及び耐溶剤性が更によくなる。
【0007】また本発明に使用されるアクリルモノマ−
等のモノマ−類(II)は塩素化ポリオレフイン類(I)や
アクリルオリゴマ−を溶解しやすいものが優先的に選択
される。例えばメチルメタクリレ−ト、エチルメタクリ
レ−ト、イソブチルメタクリレ−ト、ノルマルブチルメ
タクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト、ラ
ウリルメタクリレ−ト、ステアリルメタクリレ−ト、ベ
ンジルメタクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ
−ト等の単官能(メタ)アクリレ−ト類、アクリル酸、
メタクリル酸などのカルボキシル基又は酸無水物基含有
単官能モノマ−類、ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレ−ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−、
グリンジル(メタ)アクリレ−ト、アクリルアミドなど
の官能基を有する単官能(メタ)アクリレ−ト類、スチ
レン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン等の
スチレン類等の中から選ばれた1種類又は2種類以上の
モノマ−を混合使用するのがよい。
【0008】特に、塩素化ポリオレフイン(I)を溶解
しやすいモノマ−として、例えばシクロヘキシルメタク
リレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト、ラウリ
ルメタクリレ−ト等のメタクリレ−ト類、ブチルアクリ
レ−ト、イソボルニルアクリレ−ト等のアクリレ−ト
類、バ−サチツク酸のビニルエステル等のビニルエステ
ル類、パラメチルスチレン等のスチレン類等が挙げられ
る。逆に、塩素化ポリオレフイン(I)を溶解し難いモ
ノマ−としては2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、
グリシジルメタクリレ−ト等の極性基を分子内に含有す
るメタクリレ−ト類、又はそれらに対応するアクリレ−
ト類等のモノマ−又は無水マレイン酸、無水イタコン酸
等の酸無水物モノマ−類が挙げられる。
【0009】更に、本発明に用いられるアクリルオリゴ
マ−類(III) としては、代表的な特徴として、分子内に
一定の繰返し単位を持ち、分子内に二重結合を少なくと
も一個又は二個以上有するものをいう。またこの中には
当然、マクロマ−又はマクロモノマ−と称されるべきも
のが含まれるが、普通マクロマ−又はマクロモノマ−
(以下マクロモノマ−等と称する)は分子の末端に二重
結合を有するものをさすが、分子両末端に水酸基又はカ
ルボキシル基等の官能基を有するものも含まれる。これ
らマクロモノマ−等は分子量が数百から1万迄の範囲に
あり、用いられるマクロモノマ−の種類、分子量により
得られる共重合体の塗膜物性やエマルシヨンの安定性が
異なつてくる。
【0010】以上述べたアクリルオリゴマ−類(III) と
しては、例えばマクロモノマ−等以外に、カプロラクト
ン変性(メタ)アクリレ−ト系オリゴマ−、末端水酸基
含有(メタ)アクリレ−トオリゴマ−、オリゴエステル
(メタ)アクリレ−ト、ウレタン(メタ)アクリレ−
ト、エポキシ(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。こ
れらの中には水酸基、カルボキシル基、酸無水物基又は
アミノ基を含有するものも含まれる。
【0011】本発明による塩素化ポリオレフイン類
(I)及びアクリルモノマ−等モノマ−類(II)での系、
又はこれらの系にアクリルオリゴマ−類(III) を添加し
た系での共重合はマイクロサスペンシヨン重合により行
われる。その際使用される分散剤としては、ゼラチン、
トラガント、澱粉、メチル繊維素、カルボキシメチルセ
ルロ−ス、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、ヒドロキシ
エチルセルロ−ス、メチルセルロ−スなどの天然高分子
又はその誘導体とポリビニルアルコ−ル、部分ケン化ポ
リビニルアルコ−ル、ビニルアルコ−ル共重合体類、ポ
リアクリル酸塩等の水溶性高分子や硫酸バリウム、硫酸
カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、燐酸カルシウム等の難水溶性微粉末状無機化
合物又はそれら混合物類及びタルク、ベントナイト、珪
酸、珪藻土、粘土等の無機高分子並びに金属、金属酸化
物粉末類である。これらの分散剤はこれらの中から1種
或は2種以上を併用して用いると分散効果が得られる。
この分散剤は、モノマ−溶液の液滴と液滴が衝突する
際、その間に水中に分散している分散剤に液滴が衝突し
て、他の液滴との衝突を防止し、液滴の合一を防ぐ効果
を発揮する。
【0012】また上記の懸濁重合にはいる前には上記の
分散剤を用いて液滴を均一に、かつ微粒子にしておく必
要があるが、この際、乳化剤を併用し、またホモジナイ
ザ−を使用すると、より目的を達成しやすくなる。乳化
剤を併用する理由としては分散剤が液滴の癒着を防止す
る効果があるのに対し、乳化剤は表面張力低下能が大き
く、強い浸透力を有するため、油滴(液滴)を更に小さ
くさせる機能を有することが挙げられる。使用される乳
化剤(界面活性剤)としてはポリオキシエチレンアルキ
ルフエニルエ−テル等の芳香族系、ポリオキシエチレン
アルキルエ−テルなどの高級アルコ−ル系及びポリオキ
シエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸誘導体系に代表さ
れる非イオン活性剤、ポリオキシエチレンアルキル(又
はアルキルフエニル)エ−テルの硫酸エステル塩、ジア
ルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム塩、高級アルコ
−ル硫酸エステルソ−ダなどのアニオン性活性剤が挙げ
られ、これらの中から1種又は2種以上の活性剤を併用
してもよい。むしろ一般的には、H.L.Bの異なる2
種以上の活性剤又はアニオン及び非イオン両活性剤を併
用する方が良好な結果を与える場合が多い。重合時に使
用される重合開始剤としては、ベンゾイルパ−オキシド
のような過酸化物系や、アゾビスイソブチロニトリルの
ようなアゾビス系が使用できる。
【0013】更に、重合度をコントロ−ルするために、
連鎖移動調節剤を用いると重合度を大幅に低下させ、し
かも鎖長を均一にさせることができる。連鎖移動調節剤
としては、メルカプタン、ジスルフイド類が用いられ
る。メルカプタン類としては、n−ドデシルメルカプタ
ン、n−テトラデシルメルカプタン、n−デシルメルカ
プタン、t−デシルメルカプタン、t−テトラデシルメ
ルカプタン、t−ヘキサデシルメルカプタン、3−エト
キシプロパンチオ−ルなどが挙げられ、ジスルフイド類
としては、ビス−2−アミノジフエニルジスルフイド、
ビス−2−ジベンゾチアゾイルジスルフイド、ジイソプ
ロピルザントゲンジスルフイドなどが挙げられる。重合
の方法としては、重合開始剤を溶解せしめた塩素化ポリ
オレフイン類(I)、(メタ)アクリルモノマ−等のモ
ノマ−類(II)からなる溶液又は塩素化ポリオレフイン類
(I)、アクリルモノマ−等モノマ−類(II)及びアクリ
ルオリゴマ−類(III) からなる溶液と分散剤及び乳化剤
を溶解せしめた水溶液をホモジナイズしたエマルション
(以下プレエマルシヨンと称する)を、予め脱イオン水
を仕込んだ反応缶中に滴下しつつ、窒素雰囲気で撹拌重
合せしめるものである。
【0014】次に実施例によつて本発明を説明する。
【実施例1】2−エチルヘキシルメタクリレ−ト750g、
塩素化ポリプロピレン(東洋化成工業株式会社製:ハ−
ドレン 13−LLP:塩素含有率27%)250gを2リツ
トルの撹拌器付の4ツ口フラスコに入れ、80℃で均一に
なるまで溶解した後、室温になるまで冷却してメタクリ
ル酸10g を仕込み、均一になるまで混合する。更に、ナ
イバ−BW(日本油脂株式会社製ベンジルパ−オキシ
ド:25重量%の水分含有)10g 及びt−ドデシルメルカ
プタン0.7gを加え、均一な溶液(1) を得た。また脱イオ
ン水1000g にクラレポバ−ル217 EE(株式会社クラレ
製ポリビニルアルコ−ル)54g 、日曹HPC−SL(日
本曹達株式会社製ヒドロキシプロピルセルロ−ス)8g、
ネオコ−ル−P(第一工業製薬株式会社製アニオン性界
面活性剤)15g 及びノイゲンEA−190 D(第一工業製
薬株式会社製ノニオン性界面活性剤)45g を添加し、均
一かつ透明な水溶液(2) を得た。5リツトルのポリエチ
レン製ポリカツプに溶液(1) 及び(2) を入れ、ホモミキ
サ−(特殊機化工業株式会社製)で2000rpm で30分間ホ
モジナイズした後、#100 SUS製金網で濾過し、プレ
エマルシヨン(1) とした。滴下漏斗を備えた2リツトル
4ツ口フラスコに脱イオン水200gを仕込み、系内を充分
窒素置換をした後、オイルバスにより系内の温度を63℃
に昇温し、撹拌をしつつ滴下漏斗中のプレエマルシヨン
(1) を均等に3時間かけて滴下、反応させ、更に7時間
63℃で熟成した。得られたエマルシヨンを#100 金網で
濾過し、エマルシヨン(4) を得た。このエマルシヨンは
不揮発分が48.3%であり、エマルシヨン粘度は21ポイズ
であつた。
【0015】
【比較例1】実施例1と全く同じ操作をして均一な溶液
(1) を得た。又、脱イオン水1000gに、ネオコ−ル−P
(第一工業製薬株式会社製アニオン性界面活性剤)15g
及びノイゲンEA−190 D(第一工業製薬株式会社製ノ
ニオン性界面活性剤)45g 及び重合開始剤として過硫酸
カリウム7.5gを添加し、均一かつ透明な水溶液(3) を得
た。滴下漏斗を備えた2リツトル4ツ口フラスコに水溶
液(3) を仕込み、系内を充分窒素置換をした後、オイル
バスにより系内の温度を63℃に昇温し、撹拌をしつつ滴
下漏斗中の溶液(1) を均等に3時間にわたり滴下、反応
し、更に7時間、63℃で熟成した後、#100 金網で濾過
し、水系エマルシヨン(11)とした。
【0016】
【実施例2〜10】実施例1と全く同じ操作、条件で用
いたモノマ−(混合物)の種類、塩素化ポリオレフイン
の種類及び仕込量、更にアクリル系オリゴマ−類の仕込
のみを変更して、水系エマルシヨン(2) 〜(10)を得た。
なお、変更した組成は〔表1〕に纏めた。又、これら水
性エマルシヨンの塗膜物性を〔表2〕に纏めた。〔表
2〕はポリプロピレン板表面をIPAで拭いて油脂類、
汚染物質を除去して接着剤を使用した場合であり、〔表
3〕は非イオンアニオン配合洗浄剤で処理したPP板を
使用した一実施例であり、更に
【表4】は水洗処理したPP板を使用した一実施例であ
る。
【0017】
【表1】 (1) EH:2−エチルヘキシルメタクリレ−ト IB:イソブチルメタクリレ−ト M:メチルメタクリレ−ト St:スチレン いずれの場合もメタクリル酸17g を仕込んでいる。 (2) 13−LLP:東洋化成工業株式会社製・塩素化ポリプロピレン (塩素含有率:27.0%) 16−LP : 〃 〃 (塩素含有率:32.1%) BS−40P: 〃 〃 (塩素含有率:40.2%) AW−6:東亜合成化学工業株式会社製・イソブチルメタクリレ−トマクロ モノマ−(平均分子量=6,000) (3) FM−3:ダイセル化学工業株式会社製ポリカプロラクトン変性 2−HEMA 固形換算値 ○:相分離せず
【0018】
【比較例2〜10】比較例1と全く同じ操作、条件で、
用いたモノマ−(混合物)の種類、塩素化ポリオレフイ
ンの種類及び仕込量のみを変更した。以上の実施例及び
比較例の結果を全て〔表1〕に纏めた。
【0019】
【表2】 (IPAで拭いたPP板を使用した場合) (1)付着性:ポリプロピレン板(厚み2mm)の表面
をイソプロピルアルコール(IPA)を含んだガーゼで
充分に拭き、乾燥した後、厚さ5〜10μ(レジンベー
ス)になるように塗布する。乾燥は100℃で1時間行
い、室温に戻して24時間経過したものについてト
コートを塗り、所定の温度で充分乾燥したものをテスト
する。評価はJIS K5400に準じる。 (2)耐水性:(1)に述べた方法で塗布し乾燥したポ
リプロピレン板を、40℃に保た温水中に入れ、塗膜
の白化する時間により評価する。 (3)ガソリン性:(1)に述べた方法で塗布し乾燥
したポリプロピレン板を、ガソリン(出光レギラーガ
ソリン)を含ませた綿で30回拭き、その表面状態を観
察して評価する。 (4)耐候性:(6)で述べる塗装片を45°の仰角を
有する耐候試験板に固定し、南向きに1年間屋上で太陽
及び風雨に暴露して、その表面状態を観察した。 (5)エマルシンを水及びイソプロピルアルコールで
10〜15重量%に希釈し、表面をイソプロピルアルコ
ールで充分拭いたPP板上に、スプレー塗装して厚さ5
〜10μ(レジンベース)になるように塗布し、100
℃で1時間乾燥し、室温に戻して24時間経過した後、
レタンP−80(関西ペイント株式会社製ウレタン塗
料)を厚さ100〜150μ(レジンベース)になるよ
うに塗布する。更に100℃で1時間乾燥し、室温に戻
して24時間経過したものをテスト片として使用する。 (6)アクリルエマルシンEMN−210E(日本触
媒株式会社製)と本発明のエマルシンを1:1(レジ
ンベース)でブレンドし、水及びイソプロピルアルコー
ルで希釈した後、表面をイソプロピルアルコールで充分
拭いたPP板上に、スプレー塗装して厚さ50〜100
μ(レジンベース)になるように塗布し、100℃で1
時間乾燥し、室温に戻して24時間経過したものをテス
ト片として使用する。 ○:良好
【0020】
【表3】 (非イオン、アニオン配合洗浄剤で処理したP
P板を使用した場合) (1)付着性:ポリプロピレン板(以下PP板と略す
る。三井ノブレンSB−E3を常法により、プレス成型
したもので100×50mm、厚み2mm)の表面を、
洗浄剤YR−2G(第一工業製薬株式会社製:非イオン
−アニオン配合品)を重量として1%含有した水溶液を
含浸せしめたガーゼで充分に洗い、水洗した後、乾燥さ
せる。エマルシン濃度をイオン交換水で20重量%に
希釈して25℃に保ちながら、エアー式スプレーガン
(明治機械製作所株式会社製:F−88型)を用いて、
エアー圧力を2.0g/cm2Gとして30cmの距
離からスプレー塗装した。塗布厚みは5〜10μ(レジ
ベース)になた。乾燥は100℃で1時間行い、室
温に戻して24時間経過したものについて、トプコー
トをかけ、所定の温度で充分乾燥したものをテストし
た。評価はJIS K5400に準じた。 (2)耐水性:(1)に述べた方法で塗装し、乾燥した
ポリプロピレン板を40℃に保た温水中に入れ、塗膜
の状態を観察して評価する。 (3)耐ガソリン性:(1)に述べた方法で塗装し、乾
燥したPP板をガソリン(出光石油レギラーガソリ
ン)を含ませた綿で30回拭き、その表面状態を観察し
て評価した。 (4)耐候性:(6)で述べる塗装片を45°の仰角を
有する耐候試験板上に固定し、南向きに1年間屋上で太
陽及び風雨に暴露して、その表面を観察した。 (5)エマルシンを水で10〜15重量%に希釈し、
表面を(1)で述べた方法で充分洗浄、乾燥したPP
板上に、スプレー塗装して厚さ5〜10μ(レジンベー
ス)になるように塗布し、100℃で1時間乾燥し、室
温に戻して24時間経過した後、レタンPG−80(関
西ペイント株式会社製:ウレタン塗料)を厚さ100〜
150μ(レジンベース)になるように塗布する。更に
100℃で1時間乾燥し、室温に戻して24時間経過し
たものをテスト片として使用する。 (6)アクリルエマルシンEMN−210E(日本触
媒株式会社製)と本発明のエマルシンを1:1(レジ
ンベース)でブレンドし、水で希釈した後、表面を
(1)で述べた方法により洗浄し、乾燥したPP板上に
スプレー塗装して厚さ50〜100μ(レジンベース)
になるように塗布し、100℃で1時間乾燥し、室温に
戻して24時間経過したものを用いた。 ○:良好
【0021】
【表4】 (水洗処理したPP板を用いた場合) (1)付着性:ポリプロピレン板(以下PP板と略す
る。三井ノブレンSB−E3を常法により、プレス成型
したもので100×50mm、厚み2mm)の表面を、
水道水で充分に洗い、乾燥させる。エマルシン濃度を
イオン交換水で20重量%に希釈して25℃に保ちなが
ら、エアー式スプレーガン(明治機械製作所株式会社
製:F−88型)を用いて、エアー圧力を2.0g/
cm2Gとして30cmの距離からスプレー塗装した。
塗布厚みは5〜10μ(レジベース)になた。乾燥
は100℃で1時間行い、室温に戻して24時間経過し
たものについて、トプコートをかけ、所定の温度で充
分乾燥したものをテストした。評価はJIS K540
0に準じた。 (2)耐水性:(1)に述べた方法で塗装し、乾燥した
ポリプロピレン板を40℃に保た温水中に入れ、塗膜
の状態を観察して評価する。 (3)耐ガソリン性:(1)に述べた方法で塗装し、乾
燥したPP板をガソリン(出光石油レギラーガソリ
ン)を含ませた綿で30回拭き、その表面状態を観察し
て評価した。 (4)耐候性:(6)で述べる塗装片を45°の仰角を
有する耐候試験板上に固定し、南向きに1年間屋上で太
陽及び風雨に暴露して、その表面を観察した。 (5)エマルシンを水及びイソプロピルアルコールで
10〜15重量%に希釈し、表面を水道水で充分洗浄
し、乾燥したPP板上に、スプレー塗装して厚さ5〜1
0μ(レジンベース)になるように塗布し、100℃で
1時間乾燥し、室温に戻して24時間経過した後、レタ
ンPG−80(関西ペイント株式会社製:ウレタン塗
料)を厚さ100〜150μ(レジンベース)になるよ
うに塗布する。更に100℃で1時間乾燥し、室温に戻
して24時間経過したものをテスト片として使用する。 (6)アクリルエマルシンEMN−210E(日本触
媒株式会社製)と本発明のエマルシンを1:1(レジ
ンベース)でブレンドし、水で希釈した後、表面を
(1)で述べた方法により洗浄、乾燥したPP板上に
スプレー塗装して、厚さ100〜150μ(レジンベー
ス)になるように塗布し、100℃で1時間乾燥し、室
温で24時間放置したものを用いた。 ○:良好
【0022】
【発明の効果】本発明の効果を纏めると次の通りであ
る。 (1) 本発明の水系エマルシヨン樹脂組成物接着剤は無公
害化方法によつて製造され、室温で3月以上保存の安定
性がある。 (2) 本発明によつて得られた水系エマルション樹脂組成
物はポリオレフイン系成形物やフイルムにトリクロルエ
タン等の塩素系有機溶媒で表面を洗浄すること無く、塗
装又はコ−テイングされ、脱公害化接着又はコ−テイン
グ法が完成した。 (3) しかも室温から160 ℃の温度範囲で乾燥することに
より、物性の良好なワンコ−ト仕上げの塗装又はプライ
マ−塗装が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09J 133/04 C09J 133/04 151/06 151/06 // C08F 2/20 C08F 2/20 2/44 2/44 C C09D 5/00 C09D 5/00 Z (72)発明者 織田 亮三 兵庫県高砂市曽根町2900番地 東洋化成 工業株式会社 化成品研究所内 (56)参考文献 特開 平2−233159(JP,A) 特開 平5−287251(JP,A) 特開 平5−209006(JP,A) 特開 平1−242675(JP,A) 特開 平5−286103(JP,A) 特公 昭44−11995(JP,B1) 接着ハンドブック(第2版),日刊工 業新聞社,1980年11月10日,215−216 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09J 4/00 - 201/10 C09D 4/00 - 201/10 C08F 2/00 - 2/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素含有率が5〜70%の範囲に塩素化
    された塩素化ポリオレフン(I)及び(I)を溶解す
    ることが可能なアクリル系又はメタクリル系[以下(メ
    タ)アクリル系と略称する]モノマー類(II)の1種
    又は2種以上の混合物からなる溶液を触媒及び連鎖移
    動調節剤の存在下又は不存在下で、水溶媒中で懸濁重合
    せしめることによて製造された水系エマルシン樹脂
    組成物をポリオレフン系成形物基材又はフムに
    装する際に、該ポリオレフン系成形物基材又はフ
    ムの表面を塩素系有機溶剤を使用することなく
    ルコール類又はアニオン又は非イオン界面活性剤又は単
    に水洗の処理のみで該水系エマルシン樹脂組成物を
    該ポリオレフン系成形物基材又はフムに密着せし
    めることを特徴とする水系エマルシン樹脂組成物に
    よる公害化接着法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の溶液中に分子中に二重
    結合を有するオリゴマー類(III)を含有せしめるこ
    とを特徴とする請求項1記載の水系エマルシン樹脂
    組成物による公害化接着法。
  3. 【請求項3】 塩素含有率が5〜70%の範囲に塩素化
    された塩素化ポリオレフィン(I)及び(I)を溶解す
    ることが可能なアクリル系又はメタクリル系[以下(メ
    タ)アクリル系と略称する]モノマー類(II)の1種
    又は2種以上の混合物からなる溶液を、触媒及び連鎖移
    動調節剤の存在下又は不存在下で、水溶媒中で懸濁重合
    せしめることによって製造された水系エマルション樹脂
    組成物を、ポリオレフィン系成形物基材又はフィルムに
    塗装する際に、該ポリオレフィン系成形物基材又はフィ
    ルムの表面を、塩素系有機溶剤を使用することなく、ア
    ルコール類又はアニオン又は非イオン界面活性剤又は単
    に水洗の処理のみで、該水系エマルション樹脂組成物を
    該ポリオレフィン系成形物基材又はフィルムに密着せし
    めることを特徴とする、水系エマルション樹脂組成物に
    よる低公害化コーティング法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の溶液中に、分子中に二重
    結合を有するオリゴマー類(III)を含有せしめるこ
    とを特徴とする、請求項3記載の水系エマルション樹脂
    組成物による低公害化コーティング法。
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