JP3518624B2 - 導電性有機重合体組成物を用いる帯電防止剤 - Google Patents

導電性有機重合体組成物を用いる帯電防止剤

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JP3518624B2
JP3518624B2 JP23295294A JP23295294A JP3518624B2 JP 3518624 B2 JP3518624 B2 JP 3518624B2 JP 23295294 A JP23295294 A JP 23295294A JP 23295294 A JP23295294 A JP 23295294A JP 3518624 B2 JP3518624 B2 JP 3518624B2
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aryloxyalkyl
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雄司 由谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ドープ状態(ドーパン
トが共存する状態)で汎用有機溶剤及び水性溶剤に分散
又は溶解しているポリアニリン及び/またはその誘導体
を含む導電性有機重合体組成物を用いた帯電防止剤に関
する。本発明に用いる有機重合体組成物は、ドープ状態
で溶剤に分散又は溶解するため、該組成物の溶液又は分
散液を金属表面に直接塗布し、乾燥することができる。
得られた導電性薄膜は、樹脂成形加工品、フイルム、合
成紙、繊維などの帯電防止に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】樹脂成形加工品、プラスチックフイル
ム、合成紙、繊維等の高絶縁材料は、摩擦、剥離等によ
って静電気を帯び、しばしば重大な障害を引き起こすの
で、帯電防止の為に、表面を導電処理する必要がある。
従来の対策としてはi) イオン性の界面活性剤を塗布す
る、ii) 導電性フィラー(カーボンブラック等)を添加
するなどがある。しかし、イオン性の帯電防止剤には、
i) 低湿度下では導電性が低下して、帯電防止能が不足
する、ii) 表面抵抗を108 (Ω/□)以下にするのは
困難である、iii)耐水性が低いなどの欠点があり、また
導電性フィラーには、i) 基材が黒色化し透明性が悪く
なる、ii) 基材の強度や硬度が低下し、本来の物性が損
なわれる等の欠点がある。これらの欠点を克服する帯電
防止剤が求められている。一方、ポリアニリン、ポリピ
ロール、ポリチオフェンなどの導電性有機重合体を用い
て、プラスチックフイルム、合成紙、繊維用の帯電防止
剤を開発すれば、上記問題点を解決できると期待され
る。しかし、一般に帯電性有機重合体は、不融でかつ、
汎用有機溶剤及び水性溶剤に不溶であるため、加工性に
乏しく、応用展開の大きな障害になっていた。
【0003】ポリアニリンに関しては、脱ドープ状態の
ポリアニリンがある種の極性有機溶剤に可溶なため、加
工が可能となる方法(特開平3−28229公報)が提
案されているが、この方法によれば、脱ドープ状態のポ
リアニリンを成型する工程と、更にプロトン酸によりド
ープする工程の2つの工程が必要である問題点があっ
た。
【0004】ドープ状態のポリアニリンを可溶化する方
法(WO92−22911公報)についても提案がなさ
れているが、有害で腐食性の強い溶剤を使用する、過剰
の腐食性プロトン酸ドーパントを使用するなど、工業的
にポリアニリンを利用するには多くの問題点があった。
【0005】アンモニアもしくは揮発性のアミンを加え
た極性有機溶剤にドープ状態のポリアニリンを溶解させ
る方法(特開平3−285983公報)も提案されてい
るが、成型後、溶媒除去と同時に、有害なアンモニアも
しくはアミンのガスが発生する問題点があった。
【0006】ドーパントとなるスルホン酸基を重合体骨
格に直接結合させた自己ドーピング型の水溶性ポリアニ
リン(特開平5−178989公報)も提案されている
が製造工程が煩雑でコスト面に問題があった。
【0007】基材上にポリアニリンの被膜を形成させる
方法としては、目的基材の存在下で、アニリン又はその
誘導体を、化学酸化重合させる方法(特開平2−695
25公報)が提案されているが、工業的な大規模生産に
は不適であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ドープ
状態で汎用有機溶剤及び水性溶剤に分散又は溶解しうる
安価な導電性ポリアニリンを開発すべく鋭意研究した結
果、特定のドーパントがポリアニリンまたはその誘導体
をドープ状態で溶剤に溶解又は分散させうることができ
ることを見い出した。また、本発明のポリアニリン組成
物の溶液又は分散液から形成される導電性薄膜は、湿度
依存性が少なく、耐水性、透明性の優れた帯電防止膜に
応用できることを見い出した。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、ポリアニ
リン及び/またはその誘導体(A)、及び(ドーパント
の分子量)/N=350〜2000(N=1分子中の酸
解離定数pKaが4.0以下のプロトン酸基の数)のプ
ロトン酸トーパント(B)から構成され、導電率が10
-9(S/cm)以上で、ドープ状態において分散又は溶
解していることを特徴とする導電性有機重合体組成物を
用いる帯電防止剤に関するものであり、又、該導電性有
機重合体組成物において用いられる好ましいドーパント
が下記の式(1)〜式(7)から選ばれる少くとも1種
である導電性有機重合体組成物を用いることを特徴とす
る帯電防止剤であって、更には該帯電防止剤が含有され
た樹脂成形加工品、プラスチックフイルム、合成紙およ
び繊維などに関するものである。
【0010】
【化8】 (式中、R1 は水素、あるいは炭素数が1から15、好
ましくは2から12のアルキル基、アルケニル基、アル
キルチオアルキル基、アリール基、アルキルアリール
基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、アリ
ールオキシアルキル基を示し、複数存在する場合は同じ
でも異なっていてもよい。R1'は水素、アルキル基、ア
ルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル
チオアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ア
リールアルキル基、アルキルスルフィニル基、アルコキ
シアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルキルス
ルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル
基、ニトリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基又はハロゲン
を示し、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよ
い。好ましいR1'としては、水素、アルキル基、アルコ
キシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ア
リール基、アルキルスルフィニル基、アルコキシアルキ
ル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニト
リル基、ヒドロキシ基で、さらに好ましくは水素、アル
コキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、
アルキルスルフィニル基、アルコキシアルキル基、アル
コキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒ
ドロキシ基である。kは1から5、好ましくは2から4
の整数を示し、k’は0から4の整数を示し、k+k’
=5。)
【0011】
【化9】 (式中、R2 、R2'は同一或いは異なっていてもよく水
素、或いは炭素数が5から15のアルキル基、アルケニ
ル基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アルキル
アリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル
基、アリールオキシアルキル基を示す。好ましいR2
2'は炭素数が5から15のアルキル基、アルキルチオ
アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシア
ルキル基を示す。m、m’は0から5の整数を示す。好
ましくは、m+m’が1から8である。)
【0012】
【化10】 (式中R3 、R3'は同一或いは異なっていてもよく、水
素あるいは炭素数が5から20のアルキル基、アルケニ
ル基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アルキル
アリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル
基、アリールオキシアルキル基を示す。好ましいR3
3'は、炭素数7から20のアルキル基、アルキルチオ
アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシア
ルキル基である。m、m’、m''は0から5の整数を示
す。好ましいm+m’は1から8で、好ましいm''は2
から5である。nは1から5の整数を示す。)
【0013】
【化11】 (式中R4 は水素あるいは炭素数が5から20のアルキ
ル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオアル
キル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールア
ルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアル
キル基を示し、好ましいR4 は炭素数7から20のアル
キル基、アルコキシ基、アルキルチオアルキル基、アル
コキシアルキル基、アリールオキシアルキル基を示す。
4'は水素あるいは炭素数が5から20のアルキル基、
アルケニル基、アルキルチオアルキル基、アリール基、
アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシ
アルキル基、アリールオキシアルキル基を示し、好まし
いR4'は炭素数7から20のアルキル基、アルキルチオ
アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシア
ルキル基を示す。m、m’、m''は0から5の整数を示
す。好ましいm+m’は1から8で、好ましいm''は2
から5である。)
【0014】
【化12】 (式中R5 は炭素数が20から40のアルキル基、アル
ケニル基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アル
キルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアル
キル基、アリールオキシアルキル基を示す。好ましいR
5 は炭素数が20から40のアルキル基、アルキルチオ
アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシア
ルキル基を示す。)
【0015】
【化13】 (式中R6 は炭素数が5から20のアルキル基、アルケ
ニル基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アルキ
ルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキ
ル基、アリールオキシアルキル基を示し、好ましいR6
は炭素数が7から20のアルキル基、アルキルチオアル
キル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキ
ル基を示す。pは1から5、好ましくは2から5の整数
を示す。)
【0016】
【化14】 (式中、Mはナトリウムイオン、カリウムイオン、アン
モニウムイオンなどの一価のカチオン(プロトンを除
く)を示す。R7 、R7'は水素、アルキル基、アルケニ
ル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオア
ルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリール
アルキル基、アルキルスルフィニル基、アルコキシアル
キル基、アリールオキシアルキル基、アルキルスルホニ
ル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニト
リル基、ヒドロキシ基、ニトロ基又はハロゲンを示し、
複数存在する場合は同じでも異なってもよい。好ましい
7、R7'は水素、アルキル基、アルコキシ基、アルキ
ルチオ基、アルキルチオアルキル基、アルキルスルフィ
ニル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキ
ル基、アルキルスルホニル基、アルコキシカルボニル
基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ基、ニト
ロ基又はハロゲンを示す。q、q’は1から6の整数を
示す。)
【0017】ドープ状態においてポリアニリンを分散又
は溶解させるには、プロトン酸ドーパントの選択が重要
である。好適なドーパントは、プロトン酸基のほかにあ
る程度の空間的広がりを有する溶剤親和性の高い部分構
造を有する必要がある。ドーパントによって、プロトン
付加されるときのポリアニリン1単位の式量は181で
ある。溶解性の低いポリアニリン主鎖をドーピングによ
って分散又は溶解させるには、ドーパントの1プロトン
酸基あたりの式量は181以上が必要と推測される。本
発明者らは、かかる方針に沿って、ドーパントを種々探
索した結果、(ドーパントの分子量)/n=350〜2
000(N=1分子中の酸解離定数pKaが4.0以下
のプロトン酸基の数)を満たすドーパントが好適である
ことを見い出した。350という値は、ポリアニリンの
181のおよそ2倍である。また、この値が2000以
上になると、ドーパントによる立体障害のためにポリア
ニリンの主鎖間の電子伝導が妨げられ、導電率が低下す
る。酸解離定数pKaが4を超えるプロトン酸基はポリ
アニリンへのプロトン付加が不充分で、得られる組成物
の導電率が低い。
【0018】該(ドーパントの分子量)/Nの値は好ま
しくは400〜2000であり、さらに好ましくは46
0〜2000であり、最も好ましくは520〜2000
であって、この順にドープ状態のポリアニリンが溶剤に
分散又は溶解しやすくなる。
【0019】好適なドーパントの具体例としては、前記
した式(1)〜式(7)で示されるプロトン酸化合物が
挙げられる。これらはすべて、分子量数百程度の有機ス
ルホン酸である。式(1)〜式(6)で示されるドーパ
ントでは、RX が比較的極性の低い有機基であって、ポ
リアニリンを主に汎用有機溶剤に分散又は溶解させるの
に有用であり、式(7)のドーパントは親水性基のスル
ホン酸塩部分を有し、主に水性溶剤に分散又は溶解させ
るのに有用である。
【0020】酸化重合時に用いるアニリンもしくはその
誘導体は1種類あるいは2種類以上でもよいが、以下の
式に示される構造を持つ。
【化15】 (式中rは0から5までの整数。R8 は各々同じでも異
なっていてもよく水素、アルキル基、アルケニル基、ア
ルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アリー
ルオキシ基、アルキルチオアルキル基、アリール基、ア
ルキルアリール基、アリールアルキル基、アルキルスル
フィニル基、アルコキシアルキル基、アルキルスルホニ
ル基、カルボキシル基、ハロゲン基、シアノ基、ハロア
ルキル基、ニトロアルキル基、シアノアルキル基の中か
ら選ばれる。)
【0021】具体例としては、アニリン、o−トルイジ
ン、m−トルイジン、o−エチルアニリン、m−エチル
アニリン、o−エトキシアニリン、m−ブチルアニリ
ン、m−ヘキシルアニリン、m−オクチルアニリン、
2,3−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリ
ン、2,5−ジメトキシアニリン、o−シアノアニリ
ン、2,5−シクロロアニリン、2−ブロモアニリン、
5−クロロ−2−メトキシアニリン、3−フェノキシア
ニリンなどである。
【0022】酸化剤としては、ペルオキソ二硫酸アンモ
ニウム、過酸化水素、第二塩化鉄等が用いられ、好まし
くは、ペルオキソ二硫酸アンモニウムが用いられるが特
に限定されるものではない。
【0023】本発明に使用するポリアニリンを得る方法
としては、アニリンあるいはアニリン誘導体とプロトン
酸の溶液又は懸濁液に、酸化剤及びプロトン酸の溶液又
は酸化剤の溶液を添加する方法が挙げられる。重合に
は、通常行われる重合条件が適用される。例えば、反応
温度は−10℃から40℃の間で、反応時間は30分か
ら48時間の範囲内で、常圧下、反応混合物を撹拌させ
て行う。酸化重合時に添加されるプロトン酸は酸解離定
数pKa値が4.0以下であれば限定されるものではな
く、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等の無機酸、ベンゼン
スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、m−ニトロ安息
香酸、トリクロロ酢酸等の有機酸さらにポリスチレンス
ルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸等の
ポリマー酸を挙げることができる。
【0024】得られたポリアニリンはアンモニア水等の
塩基で処理することにより、脱ドープされて、脱ドープ
ポリアニリンとなるが、再び所望のプロトン酸で処理し
てドープポリアニリンとすることができる。酸化重合時
に、所望のプロトン酸を添加してドープしてもよく、脱
ドープポリアニリンに添加してドープポリアニリンとし
てもよい。
【0025】ドーパントはポリアニリンに対して、1当
量が好ましい。過剰のドーパントは腐食を誘起する恐れ
があるので望ましくない。
【0026】本発明に使用するポリアニリン組成物が分
散又は溶解しうる有機溶剤とは、一般に汎用溶剤として
使用されているものであれば、特に制限なく使用でき
る。例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、2−n−ブトキシエタノール等のアルコール類、
アセトニトリル等のニトリル類、アセトン等のケトン
類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類、キシ
レン、トルエン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム等
のハロゲン化炭化水素類、N−メチルピロリドン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶剤
類を用いることができる。さらに、本発明に使用するポ
リアニリン組成物が分散又は溶解しうる水性溶剤とは、
水、或いは水と混和する有機溶剤との混合溶剤を意味す
る。水と有機溶剤の比率は特に限定されない。上記有機
溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロ
ピルアルコール、2−n−ブトキシエタノール等のアル
コール類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン等
のケトン類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸
類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド等の極性溶剤類を用いることができ
る。いずれの場合においても、腐食性、毒性の低いもの
が好ましい。
【0027】本発明に使用するポリアニリン組成物か
ら、導電性薄膜を成形する場合、他のマトリックス高分
子化合物と混合することができる。このようなマトリッ
クス高分子化合物として、ポリエステル、ポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化
ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタ
ジエン共重合体、ポリブタジエン、フッソ樹脂、ポリシ
ロキサン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、
ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂などが挙げられ
る。
【0028】例えば、高分子化合物がポリエステルの場
合、ドーパントの側鎖にエステル結合を多く含有させ
る、あるいは、高分子化合物がポリアミドの場合は、ド
ーパントの側鎖にアミド結合を多く含有させるなどによ
って、ドープ状態ポリアニリンのマトリックス高分子化
合物に対する相溶性を高めることができる。また、ドー
プ状態ポリアニリンもしくはその誘導体とマトリックス
高分子化合物との混合比は、薄膜化後の導電率が10-9
(S/cm)以上であれば特に限定されるものではな
い。本発明に使用するポリアニリン組成物とマトリック
ス高分子化合物と混合する方法に特別な限定はないが分
散又は溶液状態で混合するのが好ましい。たとえば、ド
ープ状態ポリアニリンの分散又は溶液と高分子化合物の
溶液を混合する、あるいは、各々を一度に溶剤を加え分
散又は溶解させるなど、特に限定されない。
【0029】本発明に使用するポリアニリンを含む分散
又は溶液を基材に塗布し、乾燥させることによって導電
性薄膜が得られる。ドープ状態ポリアニリン又はその誘
導体を塗布する基材としては、樹脂成形加工品、プラス
チックフイルム、合成紙、繊維などである。樹脂成形加
工品とは、熱可塑性及び/または熱硬化性樹脂を用い、
熱及び/または溶剤を用いて賦形して得られる成形加工
品であって、広義にはフイルム、合成紙、繊維も含まれ
るが、本発明ではこれら以外の形状のものを意味する。
また、一次成形加工品を素材として用い、さらに加工し
て得られるものも含まれる。例えば、樹脂成形加工品の
素材は、ポリアニリンを分散又は溶解する溶剤に侵さな
ければ特に限定されず、具体的には、ポリエステル、ポ
リスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、スチレン−ブタ
ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリシロキサン、ポ
リカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメ
タクリレート、ABS樹脂などが挙げられ、形状にも限
定はない。プラスチックフイルムの素材としては、ポリ
エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミ
ド、ポリカーボネートなどがあげられる。合成紙として
はポリエステル、ポリプロピレン系のものが挙げられ
る。繊維としては、天然繊維、化学繊維、合成繊維、無
機繊維等であり、具体的には綿・羊毛・絹等の天然繊
維、レーヨン等の化学繊維、ポリエステル、ポリアミド
・アクリル・ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリウレ
タン等の合成繊維、ガラス・炭素等の無機繊維などであ
る。
【0030】基材表面上に薄膜を形成させる方法につい
ては、特に限定はなく、ポリアニリンの分散又は溶液或
いは、ポリアニリンとマトリックス高分子との混合分散
液又は溶液で基材を浸せき、はけ塗、ローラーコート、
スプレーコート等の方法で塗布し、乾燥させることで容
易に可能であり、大面積、長尺の基材でも適用できる。
薄膜の厚みは、特に限定されず、求める表面抵抗値とポ
リアニリンの組成物の導電率から決定される。同じ導電
率のポリアニリンを被覆する場合、厚みと表面抵抗値は
反比例の関係にある。
【0031】本発明に使用するポリアニリンから得られ
る導電性薄膜は、次のような特徴を持ち、樹脂成形加工
品、プラスチックフイルム、合成紙、繊維等の帯電防止
膜として非常に有用である。i) 湿度依存性が少ない、
ii) 透明性が優れている、iii)表面上の薄膜のため、基
材本来の力学的物性を損なわない、iv) 耐水性が高い、
特に繊維用帯電防止剤として耐洗濯性が高い、v) 比較
的導電率が高く、任意の 表面抵抗(103〜1010Ω/
□)が可能。
【0032】
【発明の効果】本発明によりドープ状態で分散又は溶解
しているポリアニリンの溶液を直接基材上に塗布し、溶
剤を除去して薄膜化することができる。このようにして
作成した薄膜は、高い導電性と安定性を有しており、樹
脂成形加工品、プラスチックフイルム、具体的には透明
記録用フイルム(透明感熱記録用、透明静電記録用
等)、セラミック離形用フイルム、チップキャリアー用
フイルム、OHP用フイルム、フロッピーディスク用フ
イルム、マイクロX線フイルム、ドライフイルム、乾熱
OHP用フイルム、トレージング用フイルム、導電性包
装用フイルム、磁気テープ用フイルム、クリーンルーム
用(床、壁、天井など)フイルム、その他感光材料用フ
イルムなどの外、合成紙、天然や合成および半合成繊維
等の帯電防止などに好適に用いられる。また分散液又は
溶液中で他の高分子材料と混合した後に薄膜化すること
も可能である。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。本発明に用いる評価法を以下に示す。
【0034】表面抵抗:タケダ理研社製固有抵抗測定器
で印加電圧500V、25℃の条件下で測定した。
【0035】帯電減衰時間:米国ETS社製スタテイッ
クデイケイメーターをもちい、23℃、15%RH雰囲
気で電極間にサンプルをはさみ5.0kVの電圧を印加
し、加電圧が5.0kVになったところで電極をアース
し、アースしてから加電圧が0.05kVになるまでの
減衰時間t99を測定した。
【0036】密着性:薄膜の表面にカッターナイフで基
盤目を刻み、セロハンテープを貼った後、剥離して、桝
目100個のうち残存した個数を数えた。
【0037】鉛筆硬度:JIS−K−5401法に拠っ
て、鉛筆引き掻き試験材を用い、荷重200gでの傷の
有無で試験した。
【0038】耐水性:薄膜を被覆させた基材を水中に浸
せきし、室温で放置したときの浸せき前の表面抵抗を比
較した。
【0039】
【合成例1】アニリン15gと蒸留水270gと濃塩酸
36gを加え、温度0℃に保ちながら、過硫酸アンモニ
ウム24.5gを蒸留水70gに溶解した溶液を1時間
で滴下した後、さらに4時間撹拌した。ろ別し、水洗、
メタノール及びエーテル洗浄を行った後、真空乾燥して
ポリアニリン12.4gを得た。得られたポリアニリン
のうち10gを3%アンモニア水1000gに加え室温
で2時間撹拌した後、ろ別し、水洗、メタノール洗浄及
びエーテル洗浄を行った。真空乾燥して、6.5gの脱
ドープポリアニリン(エメラルジンベース)を得た。N
−メチルピロリドンに溶解させ、GPCを測定すると、
ポリスチレン換算で数平均分子量27000、重量平均
分子量は99000であった。
【0040】
【合成例2】撹拌器、留去物抜き出し管及び温度計を備
えた300ml3つ口フラスコに5−スルホナトリウム
イソフタル酸ジメチル27.8g、ジエチレングリコー
ル−モノ−n−ブチルエーテル207.8g及びエステ
ル化触媒として、酢酸亜鉛0.067gを加えて、21
0℃で8時間反応した。反応進行に連れて、白色懸濁液
から透明均一液体となり、計算量のメタノールが留出し
た。更に220℃、70mmHgで未反応のジエチレン
グリコール−モノ−n−ブチルエーテルを2時間で留出
した。
【0041】
【合成例3】合成例2で得たジエステル化合物1gのT
HF溶液30mlにイオン交換樹脂(オルガノ社製、ア
ーバーリスト15)20gを加えて、室温で15分間撹
拌した。ガラスフィルターで濾別後、イオン交換樹脂を
再びTHF30mlで洗浄し、濾液とあわせた。0.0
2規定の水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、定量的にス
ルホナトリウム基でスルホン酸に変換されていることを
確かめた。THFを留去し、残さを乾燥して、 1H−N
MR、IRで式(9)の構造を確認した。
【0042】
【化16】 合成例1で得られた脱ドープポリアニリン0.10gと
上記スルホン酸型ジエステル化合物(分子量534)
0.30gをTHF8mlに添加し、超音波照射する
と、3時間で均一な濃緑色の溶液が得られた。この溶液
をガラスフィルターで濾過すると、フィルター上に残存
した不溶物は極めて少量であった。このドープ状態ポリ
アニリンTHF溶液をポリエチレンテレフタレートフイ
ルム上に塗布し、120℃で1時間乾燥させ、膜厚1μ
mの薄膜を得た。得られた薄膜について二端子法で測定
すると導電率σ=12(S/cm)であった。同様の方
法でドープ状態ポリアニリンを2−n−ブトキシエタノ
ールに溶解させ、薄膜を形成させた。導電率σ=9(S
/cm)であった。
【0043】
【合成例4】同様に式(10)〜(14)の化合物をイ
オン交換処理し、構造確認後、当量の脱ドープポリアニ
リンとTHF中で超音波照射して均一な濃緑色溶液を得
た。濾過した後、ドープ状態ポリアニリンTHF溶液を
ポリエチレンテレフタレートフイルム上に塗布し、12
0℃で1時間乾燥させ、膜厚1μmの薄膜を得た。得ら
れた薄膜について二端子法で導電率を測定した。結果を
表1に示す。
【0044】
【化17】
【0045】
【化18】
【0046】
【化19】
【0047】
【化20】
【0048】
【化21】
【0049】
【表1】
【0050】
【合成例5】合成例1で得られた脱ドープポリアニリン
0.10gと式(10)由来のスルホン酸型化合物0.
23gを2−n−ブトキシエタノール15mlに添加
し、超音波照射すると、3時間で均一な濃緑色の溶液が
得られた。この溶液をガラスフィルターで濾過すると、
フィルター上に残存した不溶物は極めて少量であった。
【0051】
【合成例6】合成例1で得られた脱ドープポリアニリン
0.10gと式(10)由来のスルホン酸型化合物0.
23gをトルエン15mlに添加し、超音波照射する
と、3時間で均一な濃緑色の溶液が得られた。この溶液
をガラスフィルターで濾過すると、フィルター上に残存
した不溶物は極めて少量であった。
【0052】
【合成例7】2,2’−ジナフチルメタン−6,6’−
ジスルホン酸ナトリウム塩2.5gを蒸留水10mlと
メタノール70mlの混合液に溶かし、イオン交換樹脂
(アンバーリスト15)37.5gを加えて、室温で1
5分間撹拌した。ガラスフィルターで濾別後、0.02
規定の水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、定量的にスル
ホナトリウム基がスルホン酸基に変換されていることを
確かめた。溶媒を留去し、残査を乾燥して、 1H−NM
R、IRで構造を確認した。得られた2,2'−ジナフ
チルメタン−6,6’−ジスルホン酸2.4gと2,
2’−ジナフチルメタン−6,6’−ジスルホン酸ナト
リウム塩2.7gを蒸留水10mlに加えて溶かし、3
0分間室温で撹拌し、イオン平衡に達せしめ、ドーパン
ト溶液とした。
【0053】
【合成例8】合成例7のドーパント(分子量450)溶
液13mlとアニリン0.5gを入れ、0℃に冷却し、
微量の硫酸第1鉄を加えた。過硫酸アンモニウム1.2
gを水4mlに溶解した溶液をあらかじめ0℃に冷却し
ておき、10分間で滴下した。反応混合物は、0℃に保
ち20時間撹拌した。生成したドープポリアニリンは水
に溶解しており、2日間透析した(Spectrum
Medical Industries社製、スペクト
ラ/ポア7、FE−0521−05)。溶液の一部を真
空乾燥して、固形分濃度を決定し、さらに得られたポリ
アニリンをペレットに圧縮成形し、四端子法で測定する
と、導電率σ=2.2×10-3(S/cm)であった。
このポリアニリン0.1gを3%アンモニア水10ml
で室温で2時間処理し、濾別、水洗、乾燥して、脱ドー
プポリアニリンを得た。脱ドープポリアニリンをNMP
に溶解させ、GPCを行うとポリスチレン換算で数平均
分子量は12000、重量平均分子量は23000であ
った。
【0054】
【比較例1】ドデシルベンゼンスルホン酸(分子量32
6)0.18gと参考例1で得られた脱ドープポリアニ
リン0.1gをトルエン10mlに添加し、3時間超音
波照射したが、ポリアニリンはほとんど溶解せず沈殿し
た。溶液をTHF、クロロホルム、或いは2−n−ブト
キシエタノールに変えても同じ結果であった。
【0055】
【実施例1】合成例3で得たドープポリアニリンのTH
F溶液と東洋紡績製バイロン樹脂RV−280のTHF
溶液をいろいろな割合で混合し、ポリエチレンテレフタ
レートフイルム上に塗布、薄膜化(膜厚1μm)させ、
導電率を測定した。結果を図1に示す。薄膜を光学顕微
鏡(400倍)で観察するといずれの割合に於ても相分
離は見られなかった。ドープポリアニリンの割合が1
5、20、30、50wt%の場合に、薄膜の密着性は
100%で、鉛筆硬度は2Hであった。
【0056】
【実施例2】合成例8で得たドープポリアニリンの水溶
液と東洋紡績製バイロン樹脂MD1200の水分散液を
いろいろな割合で混合し、ポリエチレンテレフタレート
フイルム上に塗布、薄膜化(膜厚1μm)させ、導電率
を測定した。結果を図1に示す。薄膜を光学顕微鏡(4
00倍)で観察するといずれの割合に於ても相分離は見
られなかった。ドープポリアニリンの割合が10、2
0、30、50wt%の場合に、薄膜の密着性は100
%で、鉛筆硬度は2Hであった。
【0057】
【実施例3】合成例3で得たドープポリアニリンのTH
F溶液と東洋紡績製バイロン樹脂RV−280のTHF
溶液をドープポリアニリンの割合が20wt%になるよ
う混合し、固形分1%濃度の溶液を調製した。ポリエチ
レンテレフタレートフイルム上にバーコーターで塗布
し、薄膜化させた。透過型電子顕微鏡で、膜厚は0.0
1μmと測定された。表面抵抗Rs =1.3×109
(Ω/□)であり、帯電減衰時間は0.48秒であっ
た。同様にこの溶液から、表面抵抗を変化させて薄膜を
作成し、各々の透過率(550mm)を測定した結果を
図2に示す。
【0058】
【実施例4】同様に式(10)〜(14)由来のドーパ
ントでドープしたドープポリアニリンのTHF溶液と東
洋紡績製バイロン樹脂RV−280のTHF溶液を、ド
ープポリアニリンの割合が40wt%になるよう混合
し、固形分1%濃度の溶液を調製し、薄膜化させた。ま
た、合成例8で得たドープポリアニリンの水溶液と東洋
紡績製バイロン樹脂MD1200の水分散液をドープポ
リアニリンの重量比率が、30%になるよう混合し、1
%濃度の溶液を調製し、薄膜化させた。結果を表2に示
す。
【0059】
【表2】
【0060】
【実施例5】合成例3で得たドープポリアニリンと東洋
紡績製バイロン樹脂RV−280の混合THF溶液をポ
リエチレンテレフタレートフイルム上にバーコーターで
塗布し、表面抵抗RS =1.1×1010、2.0×10
8 、7.2×104 (Ω/□)の薄膜を作成した。各々
の薄膜コートしたポリエチレンテレフタレートフイルム
を、相対湿度15、50、65%雰囲気下に24時間置
いた後、その条件下で表面抵抗を測定した結果を図3に
示す。参考例として、従来のイオン性帯電防止剤(三洋
化成製サンスタット2012A)をポリエチレンテレフ
タレートフイルム上にコートした場合の結果を同図に点
線で示す。上記の表面抵抗RS =7.2×104 (Ω/
□)の薄膜コートしたポリエチレンテレフタレートフイ
ルムを蒸留水に浸せき処理した後の表面抵抗の表面抵抗
の時間変化を図4に示す。さらに、上記の表面抵抗RS
=1.1×1010、2.0×108 、7.2×104
(Ω/□)の薄膜をコートしたポリエチレンテレフタレ
ートフイルムを空気中230℃で1分間放置したが、表
面抵抗はいずれのサンプルにおいても変化はなかった。
【0061】
【実施例6】合成例3で得たドープポリアニリンと東洋
紡績製バイロン樹脂RV−280の混合THF溶液(ポ
リアニリン20wt%、固形分1wt%)をポリプロピ
レン板(100mm×100mm×5mm)上にバーコ
ーターで塗布し、表面抵抗RS =8.1×108 (Ω/
□)の薄膜を作成した。帯電減衰時間は0.54秒であ
った。薄膜コートした合成紙を、相対湿度15、50、
65%雰囲気下に24時間置いた後、表面抵抗を測定し
たが、いずれの条件下においても同じ値であった。さら
に蒸留水に24時間室温で浸せきしたが、表面抵抗に変
化は認められなかった。
【0062】
【実施例7】合成例3で得たドープポリアニリンと東洋
紡績製バイロン樹脂RV−280の混合THF溶液(ポ
リアニリン20wt%、固形分1wt%)を東洋紡績製
ポリエステル系合成紙クリスパー上にバーコーターで塗
布し、表面抵抗RS =4.3×108 (Ω/□)の薄膜
を作成した。帯電減衰時間は0.41秒であった。薄膜
コートした合成紙を、相対湿度15、50、65%雰囲
気下に24時間置いた後、表面抵抗を測定したが、いず
れの条件下においても同じ値であった。さらにi) 蒸留
水に24時間室温で浸せき、ii) 空気中230℃で1分
間放置したが、表面抵抗はいずれの場合も処理前後で変
化はなかった。
【0063】
【実施例8】合成例3のドープポリアニリンと東洋紡績
製バイロン樹脂RV−280のTHF溶液(ポリアニリ
ン20wt%、固形分1%)に、綿糸、羊毛糸、ポリエ
ステル糸、ナイロン糸を浸せきし、120℃で10分間
乾燥した。この操作を3回繰り返した後、各々の繊維に
ついて帯電減衰時間を測定し、未処理のものと比較した
(表3)。さらに、各々の繊維を24時間室温で蒸留水
に浸せきした後の帯電減衰時間も示す。
【0064】
【表3】 ポリアニリンの薄膜が、繊維表面を均一に覆っているこ
とが、電子顕微鏡を用いた観察から確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1および実施例2で得られた薄
膜(膜厚1μm)コートポリエチレンテレフタレートフ
イルムの導電率を測定した結果を示す。
【図2】本発明の実施例3で得られた薄膜コートポリエ
チレンテレフタレートの表面抵抗値と光線透過率を測定
した結果を示す。
【図3】本発明の実施例5で得られた薄膜コートポリエ
チレンテレフタレートフイルムおよび従来のイオン性帯
電防止剤(サンスタット2012A)の薄膜コートポリ
エチレンテレフタレートの表面抵抗値の湿度依存性を測
定した結果を示す。
【図4】本発明の実施例5で得られた薄膜コートポリエ
チレンテレフタレートフイルムの蒸留水浸漬後の表面抵
抗値を測定した結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−348161(JP,A) 特開 平6−56987(JP,A) 特開 平7−196791(JP,A) 特開 平7−330901(JP,A) 特開 平8−41321(JP,A) 特開 平8−92479(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアニリン及び/またはその誘導体
    (A)、及び下記の式(1)〜式(7)から選ばれる少
    なくとも1種であり、かつ(ドーパントの分子量)/N
    =350〜2000(N=1分子中の酸解離定数pKa
    が4.0以下のプロトン酸基の数)のプロトン酸ドーパ
    ント(B)から構成され、導電率が10-9(S/cm)
    以上で、ドープ状態において分散または溶解しているこ
    とを特徴とする導電性有機重合体組成物を用いる帯電防
    止剤。 【化1】 (式中、R 1 は水素、あるいは炭素数が1から15の
    アルキル基、アルケニル基、アルキルチオアルキル基、
    アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル
    基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基
    を示し、複数存在する場合は同じで異なっていてもよ
    い。R 1' は水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキ
    シ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アリ
    ール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、ア
    ルキルスルフィニル基、アルコキシアルキル基、アリー
    ルオキシアルキル基、アルキルスルホニル基、アルコキ
    シカルボニル基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロ
    キシ基、ニトロ基又はハロゲンを示し、複数存在する場
    合は同じでも異なっていてもよい。kは1から5の整数
    を示し、k’ は0から4の整数を示し、k+k’ =
    5.) 【化2】 (式中、R 2 、R 2' は同一或いは異なっていてもよく
    水素、或いは炭素数が5から15のアルキル基、アルケ
    ニル基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アルキ
    ルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキ
    ル基、アリールオキシアルキル基を示す。m、m’は0
    から5の整数を示す。) 【化3】 (式中R 3 、R 3' は同一或いは異なっていてもよく、
    水素、或いは炭素数が5から20のアルキル基、アルケ
    ニル基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アルキ
    ルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキ
    ル基、アリールオキシアルキル基を示す。m、m’、
    m’’は0から5の整数を示す。nは1から5の整数を
    示す。) 【化4】 (式中R 4 は水素あるいは炭素数が5から20のアル
    キル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ
    基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アルキルア
    リール基、アリールアルキル基、アルキルスルフィニル
    基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基
    を示し、R 4' は水素あるいは炭素数が5から20のアル
    キル基、アルケニル基、アルキルチオアルキル基、アリ
    ール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、ア
    ルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基を示
    す。m、m’、m’’は0から5の整数を示す。) 【化5】 (式中R 5 は炭素数が20から40のアルキル基、ア
    ルケニル基、アルキルチオアルキル基、アリール基、ア
    ルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシア
    ルキル基、アリールオキシアルキル基を示す。) 【化6】 (式中R 6 は炭素数が5から20のアルキル基、アル
    ケニル基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アル
    キルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアル
    キル基、アリールオキシアルキル基を示し、pは1から
    5の整数を示す。) 【化7】 (式中、Mはナトリウムイオン、カリウムイオン、アン
    モニウムイオンなどの一価のカチオン(プロトンを除
    く)を示す。R 7 、R 7' は水素、アルキル基、アルケ
    ニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオ
    アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリー
    ルアルキル基、アルキルスルフィニル基、アルコキシア
    ルキル基、アリールオキシアルキル基、アルキルスルホ
    ニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニ
    トリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基又はハロゲンを示
    し、複数存在する場合は同じで異なっていてもよい。
    q、q’は1から6の整数を示す。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の導電性有機重合体組成物
    を用いる樹脂成形加工品用帯電防止剤。
  3. 【請求項3】請求項1記載の導電性有機重合体組成物
    用いるプラスチックフイルム用帯電防止剤。
  4. 【請求項4】請求項1記載の導電性有機重合体組成物
    用いる合成紙用帯電防止剤。
  5. 【請求項5】請求項1記載の導電性有機重合体組成物
    用いる繊維用帯電防止剤。
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