JP3487370B2 - 水系ポリアニリン組成物及びその製造方法 - Google Patents

水系ポリアニリン組成物及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ドープ状態(ドーパン
トが共存する状態)で水あるいは水可溶性溶剤の混合溶
剤に溶解あるいは分散するポリアニリンあるいはその誘
導体と共重合ポリエステルを含有してなる水系ポリアニ
リン組成物、ならびに該組成物の製造方法に関する。本
発明のポリアニリンと共重合ポリエステルを含有する組
成物は、ドープ状態で水系溶剤に溶解あるいは分散する
ため、該組成物の水系溶液あるいは分散液を基材に塗布
し、乾燥するといった簡便な方法でフィルム、シート、
被膜などに成形でき、これらは高い導電性と優れた帯電
防止性、透明性、安定性、強度、耐溶剤性を有する。
【0002】本発明の組成物は、樹脂成形加工品、プラ
スチックフィルム、合成紙、繊維等の帯電防止剤として
有効である。樹脂成形加工品とは、熱可塑性及び/また
は熱硬化性樹脂を用い、熱及び/又は溶剤を用いて賦形
して得られる成形加工品であって、広義にはフィルム、
合成紙、繊維も含まれるが、本発明ではこれら以外の形
状のものが含まれる。また、一次成形加工品を素材とし
て用い、更に加工して得られるものも含まれる。
【0003】プラスチックフィルムは通常更に加工さ
れ、セラミック離型フィルム、チップキャリアーフィル
ム、感熱式・静電式透明記録用フィルム、磁気記録材料
用フィルム、、写真用フィルム、電材用ドライフィル
ム、導電性包装フィルム、トレーシングフィルム、感光
材料用フィルムなどに使われるが、本発明のポリアニリ
ン・共重合ポリエステル含有組成物はこれらの帯電防止
剤としても有効である。
【0004】また本発明の組成物は、ポリエステル、ポ
リプロピレン系の合成紙の帯電防止剤に用いられる。繊
維としては、天然繊維、化学繊維、合成繊維、無機繊維
等があり、具体的には、綿・麻・羊毛・絹等の天然繊
維、レーヨン等の化学繊維、ポリエステル・ポリアミド
・アクリル・ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリウレ
タン等の合成繊維、ガラス繊維・炭素繊維等の無機繊維
などがあり、本発明の組成物はこれらの帯電防止剤とし
ても有効である。特に、クリーンルーム用製品、例えば
作業服、靴、カーペット、椅子、机等に使われる素材の
帯電防止に効果的である。
【0005】さらに本発明の組成物を同様の方法で金属
表面上に被覆すると、優れた防食効果を示すので、防食
塗料としても用いられる。
【0006】
【従来の技術】アニリン、ピロール、チオフェンなどの
芳香族化合物を化学酸化剤を使用して化学酸化重合する
ことによって、電解質イオンをドーパントとして含む導
電性有機重合体が得られる。しかしながら、一般に導電
性有機重合体は、不融、不溶であるため、成形加工が困
難で、実用上大きな障害になっていた。
【0007】ポリアニリンに関しては、脱ドープポリア
ニリン(ドーパントが共存しないポリアニリン)がある
種の極性有機溶剤に可溶なことを利用して、成形物に加
工する方法(特開平3ー28229号公報)が提案され
ている。しかし、この方法によれば、脱ドープポリアニ
リンから成形体を得る工程と得られた成形体にプロトン
酸をドープする工程の2つの工程が必要であり、煩雑で
あった。
【0008】ドープポリアニリン(ドーパントが共存す
るポリアニリン)を可溶化する方法(WO92−229
11号公報)が提案されている。しかしこの方法は、有
害で腐蝕性の強い溶剤を使用すること、過剰の腐蝕性プ
ロトン酸をドーパントとして使用することなどの問題が
あった。
【0009】また、アンモニアもしくは揮発性のアミン
を加えた極性有機溶剤にドープポリアニリンを溶解させ
る方法(特開平3−285983号公報)も提案されて
いる。しかしこの方法も、成形後の溶媒除去のときに有
害なアンモニアもしくはアミンガスが発生するという問
題点があった。
【0010】さらにドーパントとなるスルホン酸残基を
重合体骨格に直接結合させた自己ドーピング型の水溶性
ポリアニリン(特開平5−178989号公報)も提案
されている。しかしこのポリアニリンは製造工程が煩雑
でコスト面に問題があった。
【0011】一方、ポリアニリンの薄膜を形成させる方
法として、基材の存在下でアニリンまたはその誘導体を
化学酸化重合させる方法(特開平2−69525号公
報)が提案されている。しかしこの方法は工業的な大規
模生産には不適であった。このように、ポリアニリンを
工業的に利用するには多くの問題点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ドープ
状態で水系溶媒に溶解あるいは分散し、塗布して導電性
被膜を形成するのに適した水系ポリアニリン組成物を開
発すべく鋭意研究した結果、共重合ポリエステルにドー
プ状態ポリアニリンを共存させること、特にスルホン酸
金属塩含有芳香族ジカルボン酸を2〜35モル%含む共
重合ポリエステルにドープ状態ポリアニリンを共存させ
ることによって、従来の問題点を全て解決できることを
見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ポリ
アニリン及び/又はその誘導体(A)、プロトン酸ドー
パント(B)、共重合ポリエステル(C)及び水(D)
を含有してなる水系ポリアニリン組成物である。又、そ
の好ましい態様として該共重合ポリエステル(C)のポ
リカルボン酸成分がスルホン酸金属塩を含有しないジカ
ルボン酸65〜98モル%及びスルホン酸金属塩含有芳
香族ジカルボン酸2〜35モル%からなり、ポリオール
成分がグリコールからなる共重合ポリエステル(C)で
ある水系ポリアニリン組成物であり、又、該水系ポリア
ニリン組成物において、更に水可溶性有機溶剤(E)及
び/又は界面活性剤(F)を含有してなる水系ポリアニ
リン組成物である。そして、該水系ポリアニリン組成物
の構成の好ましい態様として、ポリアニリン及び/又は
その誘導体(A)、プロトン酸ドーパント(B)、共重
合ポリエステル(C)、水(D)、水可溶性有機溶剤
(E)及び界面活性剤(F)が下記割合で含有されてい
る水系ポリアニリン組成物に関するものである。 (A)/(B)/(C)/(D)/(E)/(F) =(0.01〜60)/(0.01 〜60)/(0.01 〜60)/(5〜99.97)/(0 〜90)/(0〜5)(重量比)
【0014】更に又、本発明は該水系ポリアニリン組成
物に関して、下記工程を含むことを特徴とする水系ポリ
アニリン組成物の製造方法に関するものである。 (1) ポリアニリン及び/又はその誘導体(A)及び
プロトン酸ドーパント(B)を、水及び/又は水可溶性
溶剤に溶解あるいは分散させる工程。 (2) 共重合ポリエステル(C)を水及び/又は水可
溶性溶剤に溶解あるいは分散させる工程。 (3) 上記(1)および(2)で調製した溶液あるい
は分散液を混合する工程。
【0015】本発明のポリアニリン組成物の一成分であ
るポリアニリン及び/又はその誘導体(A)は下記の式
(1)で示されるアニリン又はその誘導体を酸化重合し
て得られる。
【0016】
【化1】 (式中、Rは同じでも異なっていてもよく、それぞれ水
素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルカ
ノイル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アルキ
ルチオアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、
アリールアルキル基、アルキルスルフィニル基、アルコ
キシアルキル基、アルキルスルホニル基、アルコキシカ
ルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキル
アミノ基、アリールチオ基、アリールスルフィニル基、
アリールスルホニル基、カルボキシル基、ハロゲン、シ
アノ基、ハロアルキル基、ニトロアルキル基あるいはシ
アノアルキル基を、およびhは0から5までの整数を示
す。)
【0017】好ましいRとして、炭素数1から5のアル
キル基、水素、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、
ハロゲン及びアリールオキシ基などが挙げられる。
【0018】その具体例としてはアニリン,o−トルイ
ジン、mートルイジン、o−エチルアニリン、m−エチ
ルアニリン、o−エトキシアニリン、m−ブチルアニリ
ン、m−ヘキシルアニリン、m−オクチルアニリン、
2,3−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリ
ン、2,5−ジメトキシアニリン、o−シアノアニリ
ン、2,5−ジクロロアニリン、2−ブロモアニリン、
5−クロロ−2−メトキシアニリン、3−フェノキシア
ニリンなどが挙げられる。
【0019】上記したポリアニリンまたはアニリン誘導
体を酸化重合する際に使用される酸化剤としては、例え
ばペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、第二塩
化鉄などが挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。好ましく用いられるものとして、ペルオキソ二硫酸
アンモニウムが挙げられる。
【0020】本発明において、ポリアニリン及び/又は
その誘導体(A)の好ましい使用割合は、本発明の水系
ポリアニリン組成物全体に対して0.01〜60重量
%、より好ましくは0.04〜20重量%である。その
使用割合が0.01重量%未満では導電性が低下して実
用性に乏しく、又、60重量%を超えると薄膜としたと
きの強度や可撓性が充分に得られ難い。
【0021】本発明に使用するプロトン酸ドーパント
(B)において、ドーパントは酸解離定数pKa値が
4.0以下のプロトン酸が好ましい。このようなドーパ
ントとして、たとえば塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸など
の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン
酸、m−ニトロ安息香酸、トリクロロ酢酸やさらに以下
の式に示すような有機酸、ポリスチレンスルホン酸、ポ
リビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸などのポリマー酸
を挙げることができるがこれらに限定されるものではな
い。
【0022】好ましいドーパントとしては以下の式に示
されるもので、これらのドーパントでドーピングされた
ポリアニリンは水や有機溶剤に溶解あるいは分散させ易
いため、共重合ポリエステル(C)と液中で混合するの
に適している。
【0023】
【化2】 (式中、R1 は水素、あるいは炭素数が1から15、好
ましくは2から12のアルキル基、アルケニル基、アリ
ール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、ア
ルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アル
キルチオアルキル基を示し、複数存在する場合は同じで
も異なっていても良い。R1'は水素、アルキル基、アル
ケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリール
アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシア
ルキル基、アルキルチオアルキル基、アルコキシ基、ア
ルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスル
ホニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、
ニトリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲンを
示し、複数存在する場合は同じでも異なっていても良
い。好ましいR1'としては、水素、アルキル基、アリー
ル基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル
基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィ
ニル基、アルキルスルホニル基、アルコキシカルボニル
基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ基で、さ
らに好ましくは水素、アルキル基、アリール基、アルコ
キシアルキル基、アルキルチオアルキル基、アルコキシ
基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキ
ルスルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ
ル基、ニトリル基、ヒドロキシ基である。kは1から
5、好ましくは2から4の整数を示し、k’は0から4
の整数を示し、k+k’=5。)
【0024】
【化3】 (式中、R2 、R2'は同一あるいは異なっていてもよ
く、水素あるいは炭素数が5から15のアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリー
ルアルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ
アルキル基、アルキルチオアルキル基を示す。好ましい
2 、R2'は炭素数が5から15のアルキル基、アルケ
ニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールア
ルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアル
キル基、アルキルチオアルキル基を示す。m、m’は0
から5の整数を示す。好ましくは、m+m’が1から8
である。)
【0025】
【化4】 (式中、R3 、R3'は同一あるいは異なっていてもよ
く、水素あるいは炭素数が5から20のアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリー
ルアルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ
アルキル基、アルキルチオアルキル基を示す。好ましい
3 、R3'は炭素数が7から20のアルキル基、アルケ
ニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールア
ルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアル
キル基、アルキルチオアルキル基を示す。m、m’、
m''は0から5の整数を示す。好ましいm+m’は1か
ら8で、好ましいm''は2から5である。nは1から5
の整数を示す。)
【0026】
【化5】 (式中、R4 は水素あるいは炭素数が5から20のアル
キル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール
基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、アリ
ールオキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、アル
コキシ基を示す。好ましいR4 は炭素数7から20のア
ルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアル
キル基、アルキルチオアルキル基、アルコキシ基を示
す。R4'は水素あるいは炭素数が5から20のアルキル
基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、
アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、アリール
オキシアルキル基、アルキルチオアルキル基を示し、好
ましいR4'は炭素数7から20のアルキル基、アルコキ
シアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルキルチ
オアルキル基を示す。m、m’、m''は0から5の整数
を示す。好ましいm+m’は1から8で、好ましいm''
は2から5である。)
【0027】
【化6】 (式中、R5 は炭素数が20から40のアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリー
ルアルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ
アルキル基、アルキルチオアルキル基を示す。好ましい
5 はアルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオ
キシアルキル基、アルキルチオアルキル基を示す。)
【0028】
【化7】 (式中、R6 は炭素数が5から20のアルキル基、アル
ケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリール
アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシア
ルキル基、アルキルチオアルキル基を示す。好ましいR
6 は炭素数が7から20のアルキル基、アルコキシアル
キル基、アリールオキシアルキル基、アルキルチオアル
キル基を示す。pは1から5、好ましくは2から5の整
数を示す。)
【0029】
【化8】 (式中、Mはナトリウムイオン、カリウムイオン、アン
モニウムイオンなどの一価のカチオン(プロトンを除
く)を示す。R7 、R7'は水素、アルキル基、アルケニ
ル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアル
キル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキ
ル基、アルキルチオアルキル基、アルコキシ基、アルキ
ルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニ
ル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニト
リル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲンを示
し、複数存在する場合は同じでも異なっていても良い。
好ましいR7 、R7'は水素、アルキル基、アルコキシア
ルキル基、アリールオキシアルキル基、アルキルチオア
ルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルス
ルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルコキシカル
ボニル基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ
基、ニトロ基又はハロゲンを示す。q、q’は1から6
の整数を示す。)
【0030】ドーパントのプロトン酸基の量は、ポリア
ニリン(A)に対して当量でも良いし過剰に加えても差
し支えないが、好ましくは1〜3当量である。
【0031】本発明のポリアニリン組成物を得る方法と
しては特に限定はなく、例えば、アニリン及び/又はそ
の誘導体とプロトン酸の溶液又は懸濁液の混合物に、酸
化剤及びプロトン酸を含む溶液又は酸化剤を含む溶液を
添加、重合反応を行なう方法が挙げられる。プロトン酸
ドーパント(B)はアニリン及び/又はその誘導体の酸
化重合時に添加してドープしても良い。また、上記の方
法で得られたドープポリアニリンを、アンモニア水など
の塩基で処理することにより脱ドープし、該脱ドープポ
リアニリンに再び所望のプロトン酸で処理してドープポ
リアニリンとしても良い。アニリン及び/又はその誘導
体は、通常行なわれる重合条件で重合される。例えば、
反応温度は−10℃から40℃の間で、反応時間は30
分から48時間の範囲内で、常圧下、反応混合物を撹拌
させて行なう。
【0032】本発明に使用するプロトン酸ドーパント
(B)の好ましい使用割合は、本発明の水系ポリアニリ
ン組成物全体に対して0.01〜60重量%、より好ま
しくは0.04〜20重量%である。その使用割合が
0.01重量%未満では導電性が低下して実用性に乏し
く、又、60重量%を超えると薄膜としたときの強度や
可撓性が充分に得られ難い。
【0033】本発明に使用するポリアニリン及び/又は
その誘導体(A)及びプロトン酸ドーパント(B)を安
定に水系溶媒に溶解あるいは分散させるには、共重合ポ
リエステル(C)を共存させることが必要である。ここ
で水系溶媒とは、水単独或いは水可溶性の有機溶剤との
混合溶媒を意味する。共重合ポリエステル中のポリカル
ボン酸成分はスルホン酸金属塩を含有しないジカルボン
酸65〜98モル%及びスルホン酸金属塩含有芳香族ジ
カルボン酸2〜35モル%で、ポリオール成分がグリコ
ールからなるものが好ましい。該ポリカルボン酸成分に
おいてはスルホン酸金属塩含有芳香族ジカルボン酸の割
合を2〜35モル%とするのが好ましく、より好ましく
は5〜35モル%、更に好ましくは7〜35モル%、最
も好ましくは10〜35モル%である。
【0034】共重合ポリエステル(C)に用いられるス
ルホン酸金属塩を含有しないジカルボン酸成分は、テレ
フタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、ア
ジピン酸、アゼライン酸などの炭素数が2から40の脂
肪族あるいは/及び脂環族ジカルボン酸を用いることが
できる。グリコール成分としては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジ
メタノールなどの炭素数が2から40のグリコールを用
いることができる。
【0035】さらに、共重合ポリエステル(C)の溶解
性が低下しない範囲で、3官能基以上のポリカルボン
酸、ポリオールを共重合成分として用いることができ
る。例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などのポ
リカルボン酸、グリセリン、ペンタエリスリトールなど
のポリオールが挙げられる。本発明の共重合ポリエステ
ル(C)を合成するための重合方法は、通常の共重合ポ
リエステルの重合方法に準じれば良い。
【0036】一般に組成物中のポリアニリン及び/又は
その誘導体(A)の割合が多いほど組成物の導電率は高
くなるが、薄膜としたときの強度、可撓性、透明性など
は低下する傾向がある。本発明に使用する共重合ポリエ
ステル(C)は主としてこのような欠点を改良するもの
であって、本発明の水系ポリアニリン組成物から得られ
る薄膜や被膜に対して主として強度、可撓性、密着性な
どの諸性質を付与するものである。
【0037】この点を考慮して本発明に使用する共重合
ポリエステル(C)の好ましい使用割合は、本発明の水
系ポリアニリン組成物全体に対して0.01〜60重量
%、より好ましくは0.04〜40重量%である。その
割合が0.01重量%未満では薄膜としたときの強度や
可撓性が充分に得られず、又、60重量%を超えると導
電性が低下し、実用性に乏しい。混合後の組成物の導電
率は10-12 S/cm以上であるのが好ましい。更に好
ましい導電率は10-9S/cm以上である。
【0038】本発明に使用する水(D)の好ましい使用
割合は本発明の水系ポリアニリン組成物全体に対して5
〜99.7重量%、より好ましくは20〜99.7重量
%である。その割合が、5重量%未満であると、該水系
ポリアニリン組成物を各種基材に塗布し、薄膜等を形成
する際に加工施性や取扱い性に劣るものとなる。
【0039】本発明の水系ポリアニリン組成物におい
て、更に該組成物の分散性向上や表面張力を低下させる
ため水可溶性有機溶剤(E)や界面活性剤(F)を添加
することができる。
【0040】水可溶性有機溶剤(E)の例としては、例
えばテトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル
類、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレン
グリコール、グリセリン、2−ブトキシエタノールなど
のアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類、ア
セトンなどのケトン類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸など
のカルボン酸類、N−メチルピロリドン、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性溶剤類を用
いることができる。この場合、腐蝕性や毒性の低いもの
が好ましい。
【0041】水可溶性有機溶剤(E)を使用する場合、
その好ましい使用割合は本発明の水性ポリアニリン組成
物全体に対して0〜90重量%、より好ましくは0〜6
5重量%である。その割合が90重量%を超えると塗膜
乾燥時等に有機溶剤の揮発が著しく、環境衛生上問題と
なる。
【0042】又、界面活性剤(F)の種類としては、ポ
リアニリンのドーピング、ポリアニリン及びポリエステ
ルの溶解・分散を妨害するものでなければ特に限定され
ず、アニオン系、カチオン系、ノニオン系界面活性剤が
用いられるが、好ましくはノニオン系界面活性剤が用い
られる。
【0043】界面活性剤(F)を使用する場合、その好
ましい使用割合は本発明の水性ポリアニリン組成物全体
に対して0〜5重量%、より好ましくは0〜3重量%で
ある。その割合が3重量%を超えると、得られる薄膜の
耐水性や強度が低下する場合がある。
【0044】本発明の水系ポリアニリン組成物は少なく
とも下記(1)〜(3)の工程を含み、製造される。 (1) ポリアニリン及び/又はその誘導体(A)及び
プロトン酸ドーパント(B)を、水及び/又は水可溶性
溶剤に溶解あるいは分散させる工程。 (2) 共重合ポリエステル(C)を水及び/又は水可
溶性溶剤に溶解あるいは分散させる工程。 (3) 上記(1)および(2)で調製した溶液あるい
は分散液を混合する工程。 尚、上記(3)における工程で得られる混合液に水が含
まれていないか、或いは水が少ないときは適宜、水を添
加することができるし、必要なら混合液から溶剤を除去
することもできる。更に、必要により界面活性剤を添加
する場合、上記工程の任意の時点で混合液に添加するこ
とができる。
【0045】本発明の組成物を含む水系溶液あるいは分
散液を基材に塗布し、乾燥させることによって基材表面
に導電性薄膜が得られる。使用される基材に特別の限定
はない。基材としては、樹脂成形加工品、プラスチック
フィルム、合成紙、繊維、金属などである。樹脂成形加
工品の素材は特に限定されず、具体的には、ポリエステ
ル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩
化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、スチレン
−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリシロキサ
ン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリメ
チルメタクリレート、ABS樹脂などが挙げられ、形状
にも限定はない。プラスチックフィルムの素材として
は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リアミド、ポリカーボネートなどが挙げられる。合成紙
としてはポリエステル、ポリプロピレン系のものが挙げ
られる。繊維としては、天然繊維、化学繊維、合成繊
維、無機繊維等であり、具体的には、綿・麻・羊毛・絹
等の天然繊維、レーヨン等の化学繊維、ポリエステル・
ポリアミド・アクリル・ポリエチレン・ポリプロピレン
・ポリウレタン等の合成繊維、ガラス繊維・炭素繊維等
の無機繊維などがある。金属としては、鋼、ステンレ
ス、アルミニウムなどがあり特に限定されない。
【0046】基材表面上に薄膜を形成させる方法につい
ては特に限定はない。本発明のポリアニリン・共重合ポ
リエステルの組成物を溶液あるいは分散液で基材を浸
漬、刷毛塗り、ローラーコート、スプレーコート等の方
法で塗布し、乾燥させることで容易に薄膜形成が可能で
あり、大面積、長尺の基材にも適用できる。
【0047】薄膜の厚みは特に限定されず、要求される
表面抵抗値と該組成物の導電率から適宜選択される。同
じ導電率の組成物を被覆する場合、厚みと表面抵抗値は
反比例の関係にある。一般には、10μm〜10-4μm
が好ましい。このようにして得た薄膜の導電率は10
-12 S/cm以上であるのが好ましい。さらに好ましい
導電率は、10-9S/cm以上である。
【0048】
【発明の効果】本発明の水系ポリアニリン組成物の特徴
は共重合ポリエステル(C)成分を用いる点にあり、と
りわけ該共重合ポリエステル中のポリカルボン酸成分の
好ましい成分としてその2〜35モル%がスルホン酸金
属塩含有芳香族ジカルボン酸であることで、該共重合ポ
リエステルを水溶性あるいは水分散性ならしめている。
このような共重合ポリエステルにポリアニリンを混合す
ることにより、ポリアニリンを水系に溶解あるいは分散
させることができるようになった。このようにして得た
組成物の溶液あるいは分散液から、塗布・乾燥によって
容易に薄膜を形成できる。
【0049】かかる導電性薄膜は、次のような特徴を持
ち、樹脂成形加工品、プラスチックフィルム、合成紙、
繊維等の帯電防止膜、金属の防食被膜として非常に有用
である。i)導電率の湿度依存性が少ない、ii)透明性
が優れている、 iii)表面上の薄膜のため、基材本来の
力学的物性を損なわない、iv)耐水性、耐候性が高い、
v)比較的導電率が高く、任意の表面抵抗(103 〜1
10Ω/□)が可能、vi)溶液あるいは分散液が水系で
ある。
【0050】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。本発明に用いる評価法を以下に示す。
【0051】導電率:タケダ理研社製固有抵抗測定器で
印加電圧500V、25℃の条件下、二端子法で測定し
た。
【0052】密着性:薄膜の表面にカッターナイフで碁
盤目を刻み、セロハンテープを貼った後、剥離して、ま
す目100個のうち残存した個数を数えた。
【0053】鉛筆硬度:JIS−K−5401法によっ
て、鉛筆引き掻き試験材を用い、荷重200gでの傷の
有無で試験した。
【0054】合成例1 アニリン15gと蒸留水270gと濃塩酸36gを加
え、温度0度℃に保ちながら、過硫酸アンモニウム2
4.5gを蒸留水70gに溶解した溶液を1時間で滴下
した後、さらに4時間撹はんした。ろ別し、水洗、メタ
ノール及びエーテル洗浄を行なった後、真空乾燥してポ
リアニリン12.4gを得た。得られたポリアニリンの
うち10gを3%アンモニア水1000gに加え室温で
2時間撹はんした後、ろ別し、水洗、メタノール洗浄及
びエーテル洗浄を行なった。真空乾燥して、6.5gの
脱ドープポリアニリン(エメラルジンベース)を得た。
N−メチルピロリドンに溶解させ、GPCを測定する
と、ポリスチレン換算で数平均分子量27000、重量
平均分子量99000であった。
【0055】合成例2 撹はん器、留去物抜き出し管及び温度計を備えた300
ml3つ口フラスコに5−スルホナトリウムイソフタル
酸ジメチル27.8g、ジエチレングリコール−モノ−
n−ブチルエーテル207.8およびエステル化触媒と
して酢酸亜鉛0.067gを加えて、210℃で8時間
反応した。反応進行につれて、白色懸濁液から透明均一
液体となり、計算量のメタノールが留出した。さらに2
20℃、70mmHgで未反応のジエチレングリコール
−モノ−n−ブチルエーテルを2時間で留出した。
【0056】合成例3 合成例2で得たジエステル化合物2gのTHF溶液30
mlにイオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーリスト
15)20gを加えて、室温で15分撹はんした。ガラ
スフィルターでろ過した後、イオン交換樹脂を再びTH
F30mlで洗浄し、ろ液とあわせた。0.02規定の
水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、定量的にスルホナト
リウム基がスルホン酸残基に変換されていることを確か
めた。THFを留去し、残さを乾燥して、 1H−NM
R、IRで式(9)の構造を確認した。
【0057】
【化9】
【0058】合成例1で得られた脱ドープポリアニリン
0.10gと上記スルホン酸型ジエステル化合物(式
(9))0.30gをTHF8mlに添加し、超音波照
射すると、3時間で均一な濃緑色の溶液が得られた。こ
の溶液をガラスフィルターでろ過すると、フィルター上
に残存した不溶物は極めて少量であった。このドープ状
態ポリアニリンTHF溶液をポリエチレンテレフタレー
トフィルム上に塗布し、120℃で1時間乾燥させ、膜
厚1μmの薄膜を得た。得られた薄膜について導電率を
測定するとσ=13(S/cm)であった。同様の方法
でドープ状態ポリアニリンを2−n−ブトキシエタノー
ルに溶解させ、薄膜を形成させた。導電率σ=9(S/
cm)であった。
【0059】合成例4 2、2’−ジナフチルメタン−6、6’−ジスルホン酸
ナトリウム塩1gを蒸留水30mlに溶かし、イオン交
換樹脂(アンバーライトIR−120B)30gを加え
て、室温で15分間撹はんした。ガラスフィルターでろ
別後、イオン交換樹脂を蒸留水30mlで2回洗浄し、
ろ液とあわせた。0.02規定の水酸化ナトリウム水溶
液で滴定し、定量的にスルホナトリウム基がスルホン酸
基に変換されていることを確かめた。その水溶液に2、
2’−ジナフチルメタン−6、6’ージスルホン酸ナト
リウム塩3gを加えて溶かし、30分間室温で撹はん
し、ドーパント溶液とした。
【0060】合成例5 撹はん器及び温度計を備えた3つ口フラスコ300ml
に合成例4のドーパント溶液70mlとアニリン0.3
gを入れ、0℃に冷却した。重合酸化剤であるペルオキ
ソ二硫酸アンモニウム0.6gの水溶液10mlをあら
かじめ0℃に冷却しておき、10分間で滴下した。反応
混合物は、0℃に保ち20時間撹はんした。生成したド
ープポリアニリンは溶解しているが、そのまま2日間透
析した(Spectrum Medical Indu
stries社製、スペクトラ/ポア7、FE−052
1−05)。溶液の一部を乾燥して、固形分濃度を決定
した。このドープ状態ポリアニリン水溶液をポリエチレ
ンテレフタレートフィルム上に塗布し、120℃で1時
間乾燥させ、膜厚1μmの薄膜を得た。得られた薄膜に
ついて導電率を測定するとσ=2.2×10-3(S/c
m)であった。このポリアニリン0.1gを3%アンモ
ニア水10mlで室温で二時間処理し、ろ別、水洗、乾
燥して、脱ドープポリアニリンをNMPに溶解させ、G
PCを行なうとポリスチレン換算で数平均分子量は12
000、重量平均分子量は23000であった。
【0061】合成例6 式(10)のスルホン酸ナトリウム塩化合物3g、濃塩
酸0.4ml、アニリン0.47g、蒸留水15mlを
100ml3つ口フラスコ中で混合し、0℃に冷却し
た。重合酸化剤であるペルオキソ二硫酸アンモニウム
1.15gの水溶液5mlをあらかじめ0℃に冷却して
おき、上記混合物に10分間で滴下した。反応混合物は
0℃に保ち20時間撹はんした。生成したドープポリア
ニリンは分散しており、ろ別できなかった。そのまま2
日間透析した(Spectrum Medical I
ndustries社製、スペクトラ/ポア7、FE−
0521−05)。
【0062】
【化10】
【0063】溶液の一部を乾燥して、固形分濃度を決定
した。このドープ状態ポリアニリン水溶液をポリエチレ
ンテレフタレートフィルム上に塗布し、120℃で1時
間乾燥させ、膜厚1μmの薄膜を得た。得られた薄膜に
ついて導電率を測定するとσ=1.2×10-2(S/c
m)であった。このポリアニリン0.1gを3%アンモ
ニア水10mlで室温で二時間処理し、ろ別、水洗、乾
燥して、脱ドープポリアニリンをNMPに溶解させ、G
PCを行なうとポリスチレン換算で数平均分子量は13
000、重量平均分子量は28000であった。
【0064】合成例7 同様に式(11)から(14)の化合物を式(10)の
化合物のかわりに用い、ポリアニリンを合成した。生成
したポリアニリンの導電率、平均分子量は表1に示す。
【0065】
【化11】
【0066】
【化12】
【0067】
【化13】
【0068】
【化14】
【0069】
【表1】
【0070】合成例8 撹はん器、窒素導入減圧管及び温度計の付いたガラス製
反応器に5−スルホナトリウムイソフタル酸ジ−β−ヒ
ドロキシエチル10.3g(29mmmol)、イソフ
タル酸ジ−β−ヒドロキシエチル20.8g(82mm
mol)、テレフタル酸ジ−β−ヒドロキシエチル2
0.8g(82mmmol)、ポリエチレングリコール
(主に4量体)11.6g(60mmmol)及び酸化
アンチモン14mgを加えて窒素ガスで反応器内を充分
置換した後加熱し、260℃から減圧を開始し、30分
かけて0.3mmHgまで減圧した。最終温度は275
℃で、そのまま3時間加熱と減圧を継続し、反応させ
た。冷却後取り出し、N−メチルピロリドンを溶媒とし
てGPCを行なうと、ポリスチレン換算で数平均分子量
は11000であった。 1H−NMRで組成を分析する
と、全ポリカルボン酸成分中、5−スルホナトリウムイ
ソフタル酸が15.0モル%、イソフタル酸が42.5
モル%、テレフタル酸が42.5モル%、また全ポリオ
ール成分中、エチレングリコールが70.0モル%、ポ
リエチレングリコール(主に4量体)が30.0モル%
であった。
【0071】合成例9 撹はん器、冷却器、留去物抜き出し口及び温度計を備え
た500ml3つ口フラスコにテレフタル酸ジメチル4
8.5g(0.250mol)、イソフタル酸ジメチル
46.0g(0.237mol)、5−スルホナトリウ
ムイソフタル酸ジメチル3.7g(0.013mo
l)、エチレングリコール23.4g(0.375mo
l)、ネオペンチルグリコール39.0g(0.375
mol)及び反応触媒として酢酸ナトリウム2.13g
を加えて200℃で4時間反応させた。反応進行につれ
て、白色懸濁液から透明均一液となり、計算量のメタノ
ールが留出した。上記混合物を冷却後、撹はん器、窒素
導入減圧管、及び温度計の付いたガラス製反応器に移
し、重縮合触媒として、酸化アンチモン11.6gを加
えて、窒素ガスで反応器内を充分置換した後加熱し、2
60℃から減圧を開始し、30分かけて0.3mmHg
まで減圧した。最終温度は275℃であった。そのまま
3時間反応させた。
【0072】冷却後取り出し、N−メチルピロリドンを
溶媒としてGPCを行なうと、ポリスチレン換算で数平
均分子量は12000であった。 1H−NMRで組成を
分析すると、全ポリカルボン酸成分中、5−スルホナト
リウムイソフタル酸が2.5モル%、イソフタル酸が4
7.5モル%、テレフタル酸が50.0モル%、また全
ポリオール成分中、エチレングリコールが50.0モル
%、ネオペンチルグリコールが50.0モル%であっ
た。撹はん器及び温度計の付いたガラス製反応器に得ら
れた共重合ポリエステル34.0gと2−n−ブトキシ
エタノール10.8gを加え、120℃に加熱して、均
一に溶解させた。混合液を100℃に冷却後、激しく撹
はんしながら、水55gを少しずつ滴下すると分散液と
なった。
【0073】実施例1 合成例3のドープポリアニリンのTHF溶液と合成例8
の共重合ポリエステルのTHF溶液をいろいろな割合で
混合し、さらに混合液に超音波照射しながら蒸留水を少
しずつ添加すると、ドープポリアニリンと共重合ポリエ
ステルは分散した。そのまま2時間超音波照射を継続し
て、THFを留去した。THF留去後もドープポリアニ
リンと共重合ポリエステルは分散しており、沈降は見ら
れなかった。こうして得た分散液をポリエチレンテレフ
タレートフィルム上に塗布、乾燥して、薄膜化させ(膜
厚1μm)、導電率を測定した。ポリアニリンの重量比
率に対する導電率変化を図1に示す。薄膜を光学顕微鏡
(400倍)で観察すると、いずれの割合においても相
分離は見られなかった。ドープポリアニリンの割合が1
0、20、30、50wt%の場合に、薄膜の密着性は
100%で、鉛筆硬度は2Hであった。
【0074】実施例2 合成例5のドープポリアニリンの水溶液と合成例9の共
重合ポリエステルの分散液をいろいろな割合で混合し
た。ドープポリアニリンと共重合ポリエステル樹脂は分
散しており、沈降は見られなかった。こうして得た分散
液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布、乾
燥して、薄膜化させ(膜厚1μm)、導電率を測定し
た。ポリアニリンの重量比率に対する導電率変化を図1
に示す。薄膜を光学顕微鏡(400倍)で観察すると、
いずれの割合においても相分離は見られなかった。ドー
プポリアニリンの割合が20、30、50wt%の場合
に、薄膜の密着性は100%で、鉛筆硬度は2Hであっ
た。
【0075】実施例3 合成例6のドープポリアニリンの水分散液と合成例9の
共重合ポリエステルの分散液をドープポリアニリンの全
固形分に対する重量比率が30%になるように混合し
た。ドープポリアニリンと共重合ポリエステル樹脂は分
散しており、沈降は見られなかった。こうして得た分散
液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布、乾
燥して、薄膜化させ(膜厚1μm)、導電率を測定し
た。導電率σ=3.6×10-3(S/cm)であった。
薄膜を光学顕微鏡(400倍)で観察すると、相分離は
見られなかった。薄膜の密着性は100%で、鉛筆硬度
は2Hであった。
【0076】実施例4 式(11)から(14)の化合物を用いて合成したドー
プポリアニリン(合成例7参照)の水分散液と合成例9
の共重合ポリエステル分散液をドープポリアニリンの全
固形分に対する重量比率が30%になるように混合し
た。実施例3と同様に薄膜化させ導電率を測定した。
【0077】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1および実施例2で得られた薄
膜(膜厚1μm)コートポリエチレンテレフタレートフ
イルムの導電率を測定した結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/02 C08L 79/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアニリン及び/又はその誘導体
    (A)、プロトン酸ドーパント(B)、共重合ポリエス
    テル(C)及び水(D)を含有してなる水系ポリアニリ
    ン組成物。
  2. 【請求項2】 共重合ポリエステル(C)のポリカルボ
    ン酸成分がスルホン酸金属塩を含有しないジカルボン酸
    65〜98モル%及びスルホン酸金属塩含有芳香族ジカ
    ルボン酸2〜35モル%からなり、ポリオール成分がグ
    リコールからなる共重合ポリエステル(C)である請求
    項1記載の水系ポリアニリン組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の水系ポリアニリ
    ン組成物において、更に水可溶性有機溶剤(E)及び/
    又は界面活性剤(F)を含有してなる水系ポリアニリン
    組成物。
  4. 【請求項4】 ポリアニリン及び/又はその誘導体
    (A)、プロトン酸ドーパント(B)、共重合ポリエス
    テル(C)、水(D)、水可溶性有機溶剤(E)および
    界面活性剤(F)が下記割合で含有されている請求項1
    〜3のいずれかに記載の水系ポリアニリン組成物。 (A)/(B)/(C)/(D)/(E)/(F) =(0.01〜60)/(0.01 〜60)/(0.01 〜60)/(5〜99.97)/(0 〜90)/(0〜5)(重量比)
  5. 【請求項5】 下記工程を含むことを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の水系ポリアニリン組成物の製
    造方法。 (1) ポリアニリン及び/又はその誘導体(A)及び
    プロトン酸ドーパント(B)を、水及び/又は水可溶性
    溶剤に溶解あるいは分散させる工程。 (2) 共重合ポリエステル(C)を水及び/又は水可
    溶性溶剤に溶解あるいは分散させる工程。 (3) 上記(1)および(2)で調製した溶液あるい
    は分散液を混合する工程。
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