JP2008260896A - ポリアニリンおよびポリアニリンの製造方法と、それらを使用した導電性組成物、帯電防止塗料および帯電防止材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドーパントによってドープ接合されているポリアニリンであって、前記ドーパントが、スルホコハク酸と、アルキルベンゼンスルホン酸および/またはアルキルナフタレンスルホン酸とを含むポリアニリン。
【選択図】なし
Description
また、非特許文献2には、アニオン系界面活性剤を使用することにより水系のポリアニリンが製造できる旨記載されている。
しかしながら、導電性ポリマーを含有する導電性組成物を作製する場合、バインダ樹脂に導電性ポリマーを均一に分散させることが必要であるが、導電性ポリマーは非常に凝集力が高いため、バインダ樹脂中に均一に分散させることは困難だった。
また、帯電防止材の基材としてはポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が使用されることが多く、帯電防止材に用いられる導電性組成物にはPETフィルムに対する接着性も要求される。
しかしながら、スルホコハク酸をドーパントとして用いた場合、ポリエステル樹脂に均一に分散することができても、硬化後の電気抵抗が比較的高くなるという問題があった。
また、市販の脱ドープしたポリアニリンをNMP等の溶媒に溶解した後、スルホコハク酸をドープして導電性のポリアニリンを作製することも可能であるが、得られたポリアニリンは、ポリエステル樹脂に均一に分散させることができず、凝集してしまった。
また、本発明は、ポリエステル樹脂に均一に分散することができ、硬化後の電気抵抗が低い導電性組成物を得ることができるポリアニリンの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、ポリアニリンがバインダ樹脂に均一に分散されており、電気抵抗が低い材料を得ることができ、PETフィルムへの接着性に優れる導電性組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、ポリアニリンがバインダ樹脂に均一に分散されており、電気抵抗が低い材料を得ることができ、PETフィルムへの接着性に優れる帯電防止塗料を提供することを目的とする。
また、本発明は、ポリアニリンがバインダ樹脂に均一に分散されており、電気抵抗が低く、基材と帯電防止層との接着性に優れる帯電防止材を提供することを目的とする。
(1)ドーパントによってドープ接合されているポリアニリンであって、
前記ドーパントが、スルホコハク酸と、アルキルベンゼンスルホン酸および/またはアルキルナフタレンスルホン酸とを含むポリアニリン。
(2)アニリンモノマーと、ドーパントと、プロトン酸と、水と、酸化剤とを含む混合液中で、前記アニリンモノマーを重合させて、前記ドーパントによってドープ接合されているポリアニリンを得る、ポリアニリンの製造方法であって、
前記ドーパントが、スルホコハク酸と、アルキルベンゼンスルホン酸および/またはアルキルナフタレンスルホン酸とを含むポリアニリンの製造方法。
(3)前記スルホコハク酸の添加量と、前記アルキルベンゼンスルホン酸および/または前記アルキルナフタレンスルホン酸の添加量とのモル比が、10/90〜90/10である上記(2)に記載のポリアニリンの製造方法。
(4)上記(2)または(3)に記載のポリアニリンの製造方法によって得られる上記(1)に記載のポリアニリン。
(5)前記ポリアニリンのドープ接合されていないときの重量平均分子量が50,000以上である上記(1)または(4)に記載のポリアニリン。
(6)上記(1)、(4)または(5)に記載のポリアニリンと、ポリエステル樹脂とを含有する導電性組成物。
(7)溶媒と、前記溶媒に溶解された上記(6)に記載の導電性組成物とを含有する帯電防止塗料。
(8)乾燥後の表面抵抗が、1×104〜9×1011Ω/□である上記(6)に記載の導電性組成物。
(9)乾燥後の表面抵抗が、1×104〜9×1011Ω/□である上記(7)に記載の帯電防止塗料。
(10)基材と、前記基材に上記(6)または(8)に記載の導電性組成物または上記(7)または(9)に記載の帯電防止塗料を積層して得られる帯電防止層とを有する帯電防止材。
(11)前記基材がPETフィルムである上記(10)に記載の帯電防止材。
また、本発明のポリアニリンの製造方法によれば、ポリエステル樹脂に均一に分散することができ、乾燥後の電気抵抗が低い導電性組成物を得ることができるポリアニリンを得ることができる。
また、本発明の導電性組成物は、ポリアニリンがバインダ樹脂に均一に分散されており、電気抵抗が低い材料を得ることができ、PETフィルムへの接着性に優れる。
また、本発明の帯電防止塗料は、ポリアニリンがバインダ樹脂に均一に分散されており、電気抵抗が低い材料を得ることができ、PETフィルムへの接着性に優れる。
また、本発明の帯電防止材は、ポリアニリンがバインダ樹脂に均一に分散されており、電気抵抗が低く、基材と帯電防止層との接着性に優れる。
はじめに、本発明のポリアニリンについて説明する。
本発明のポリアニリンは、ドーパントによってドープ接合されているポリアニリンであって、上記ドーパントが、スルホコハク酸と、アルキルベンゼンスルホン酸および/またはアルキルナフタレンスルホン酸とを含むポリアニリンである。
本発明のポリアニリンの製造方法は、特に限定されないが、後述する本発明の製造方法により得られるポリアニリンが好ましい。特に、上記スルホコハク酸の添加量と、上記アルキルベンゼンスルホン酸および/または上記アルキルナフタレンスルホン酸の添加量とのモル比が、10/90〜90/10である場合には、ポリアニリンとポリエステル樹脂との混合性および電気抵抗のバランスに優れるためより好ましい。
なお、本明細書におけるドープ接合していない状態のポリアニリンの重量平均分子量は、作製したポリアニリンをジメチルホルムアミド(DMF)に溶解したのち、アンモニア水を加えて脱ドープした後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて、ドープ接合していない状態のポリアニリンの重量平均分子量をUV検出器で測定、算出した。標準試料としてはポリスチレンを使用した。
本発明のポリアニリンは、上述した優れた特性を有するため、ポリエステル樹脂と混合することにより帯電防止樹脂材料として家電製品のハウジング等に用いることができる。更に、溶媒に溶解することで帯電防止塗料として好適に用いることができる。
本発明のポリアニリンの製造方法(以下「本発明の製造方法」という。)は、アニリンモノマーと、ドーパントと、プロトン酸と、水と、酸化剤とを含む混合液中で、上記アニリンモノマーを重合させて、上記ドーパントによってドープ接合されているポリアニリンを得る、ポリアニリンの製造方法であって、上記ドーパントが、スルホコハク酸と、アルキルベンゼンスルホン酸および/またはアルキルナフタレンスルホン酸とを含むポリアニリンの製造方法である。
本発明の製造方法としては、具体的には、アニリンモノマーと、上記ドーパントと、プロトン酸と、水とを混合する混合工程と、上記混合工程で得られた混合液を−20〜5℃にした後、上記酸化剤を添加して撹拌し、上記アニリンモノマーを重合させて、上記ドーパントによってドープ接合されているポリアニリンを得る重合工程とを具備する、ポリアニリンの製造方法であるのが好ましい。
上記混合工程は、アニリンモノマーと、スルホコハク酸と、ドーパントと、プロトン酸と、水とを混合する工程である。混合方法は、上記の各成分の混合液を得ることができる方法であれば特に限定されない。
上記アニリンモノマーは、アニリン、アニリン誘導体またはこれらの混合物であり、下記式(1)で表される化合物が好適に挙げられる。
R1は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルスルホニル基、カルボキシ基、ハロゲン基、シアノ基、ハロアルキル基、ニトロアルキル基またはシアノアルキル基であり、水素原子、アルキル基であるのが好ましい。複数のR1は、同一であっても異なっていてもよい。
本発明の製造方法においては、上記アニリンモノマーの他に、更に他のモノマーを本発明の目的を損なわない範囲で用いてもよい。
即ち、上記ドーパントは、(i)スルホコハク酸およびアルキルベンゼンスルホン酸を含む、(ii)スルホコハク酸およびアルキルナフタレンスルホン酸を含む、または、(iii)スルホコハク酸、アルキルベンゼンスルホン酸およびアルキルナフタレンスルホン酸を含む。特に、導電性に優れる点からスルホコハク酸およびアルキルナフタレンスルホン酸からなるのが好ましい。
上記ドーパントは、スルホコハク酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸以外に、本発明の効果を損なわない範囲で他のドーパントを含んでいてもよい。
上記ドデシルベンゼンスルホン酸としては、スルホン酸塩の形で市販されているものも用いることができる。
本発明の製造方法は、常温下のような比較的高い温度でも重合を行うことができるが、反応が早く、ゲル粒等が生じやすいので、上記混合工程で得られた混合液を−20〜5℃にした後に重合を行うのが好ましい。重合時間は、特に限定されないが、例えば、上記の温度範囲で5〜48時間程度重合を行うことが好ましい。
冷却方法は、特に限定されず、例えば、通常のウォーターバスにエチレングリコール等を加えれば、0℃以下の冷却も可能となる。
本発明の製造方法では、上記ドーパントの存在下でアニリンを重合し、その後脱ドープを行わないため、ポリエステル樹脂に均一に分散することができる。
本発明の導電性組成物は、上述した本発明のポリアニリンと、ポリエステル樹脂とを含有する導電性組成物である。
これらの中でも、非晶性ポリエステル樹脂が本発明のポリアニリンとの相溶性に優れる点から好ましい。
溶媒の含有量は、上記ポリエステル樹脂100質量部に対して100〜100,000質量部であるのが好ましい。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
上記表面抵抗は、抵抗測定器(ダイアインスツルメンツ社製、ハイレスタIPとHRプローブ)を用いて測定した表面抵抗を意味する。
更に、本発明の導電性組成物は、必ずしもカーボンブラックを含有しなくても導電性にできるので光透過率が高い材料を得ることができる。また、界面活性剤が材料表面にブリードする問題もない。
溶媒量は、塗料を塗布する際の作業性および塗膜の性能(抵抗値、強度等)によって最適な膜厚にするために、自由に設定することができる。溶媒の含有量は、上記ポリエステル樹脂100質量部に対して100〜100,000質量部であるのが好ましい。
上記表面抵抗は、抵抗測定器(ダイアインスツルメンツ社製、ハイレスタIPとHRプローブ)を用いて測定した表面抵抗を意味する。
本発明の帯電防止材は、基材と、前記基材に本発明の導電性組成物または本発明の帯電防止塗料を積層して得られる帯電防止層とを有する帯電防止材である。
本発明の帯電防止材は、例えば、電子部品、電子材料等の包装材、保護フィルム;医療機関、クリーンルーム等の埃の存在が問題とされる場所等で使用される化粧材またはカーテン等の内装材等として好適に使用される。
1.ポリアニリンの合成(合成例1〜9)
下記第1表に示す配合1の各成分を第1表に示す量(質量部)500mlのフラスコに入れて混合した。この混合液をウォーターバス内で0℃に冷却した後、配合2(過硫酸アンモニウム2.7質量部と水20質量部との混合液)を加えて撹拌し、12時間酸化重合させた。
次に、メタノールを加えてポリアニリンを析出させ、ろ過して得られた固体を多量の蒸留水によって洗浄し、ポリアニリンを得た。得られたポリアニリンをトルエンに分散し、ポリアニリンを5質量%含むトルエン分散液を作製した。
・アニリンモノマー:試薬、関東化学社製
・スルホコハク酸ナトリウム1;ジ−2−エチルへキシルスルホコハク酸ナトリウム、リパール860K、ライオンアクゾ社製、固形分35質量%
・スルホコハク酸ナトリウム2:ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ペレックスCS、花王社製、固形分45質量%
・ドデシルベンゼンスルホン酸:試薬、関東化学社製
・ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム:ペレックスNBL、花王社製、固形分35質量%
・塩酸:試薬、アルドリッチ社製、6N塩酸、
・トルエン:試薬、アルドリッチ社製
・過硫酸アンモニウム:試薬、アルドリッチ社製
得られた各分散液、非晶性ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績社製)およびメチルエチルケトンを下記第2表に示す割合(質量部)で混合し、帯電防止塗料を得た。
得られた各帯電防止塗料について下記の方法により外観(ポリアニリンとポリエステル樹脂との混合性)および貯蔵安定性を評価した。
また、各帯電防止塗料を用いて下記の方法により作製した帯電防止材について接着性および表面抵抗を評価した。結果を第1表に示す。
得られた帯電防止塗料をPETフィルム上にスピンコーターを使って、0.5μmの厚みで塗布し、目視にて観察し、透明で均一に塗布されているものを「○」、一様な外観であるがくもりのあるものを「△」、凝集物が見られて均一でないものを「×」とした。
得られた帯電防止塗料を25℃で2ヶ月間保管した後、外観を目視で観察した。保管前に対して変化のないものを「○」とし、分離、析出等の異常のあるものを「×」とした。
上記帯電防止塗料を厚さ25μmのPETフィルムの上にスピンコータを用いて塗布した後、オーブン内で100℃で1分間乾燥して、厚さ0.5μmの帯電防止層を形成し、帯電防止材を得た。
得られた帯電防止材について、碁盤目テープ剥離試験を行った。
帯電防止材の帯電防止層に、1mmの基盤目100個(10×10)を作り、基盤目上にセロハン粘着テープ(幅18mm)を完全に付着させ、直ちにテープの一端を直角に保ち、瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った基盤目の個数を調べた。
得られた帯電防止材について、抵抗測定器(ダイアインスツルメンツ社製、ハイレスタIPとHRプローブ)を用い、25℃、50%RHの条件下において100Vにおける帯電防止層の表面抵抗を求めた。
一方、実施例1〜7は、ポリアニリンとポリエステル樹脂が均一に混ざっており、接着性および貯蔵安定性に優れ、表面抵抗が低かった。
Claims (11)
- ドーパントによってドープ接合されているポリアニリンであって、
前記ドーパントが、スルホコハク酸と、アルキルベンゼンスルホン酸および/またはアルキルナフタレンスルホン酸とを含むポリアニリン。 - アニリンモノマーと、ドーパントと、プロトン酸と、水と、酸化剤とを含む混合液中で、前記アニリンモノマーを重合させて、前記ドーパントによってドープ接合されているポリアニリンを得る、ポリアニリンの製造方法であって、
前記ドーパントが、スルホコハク酸と、アルキルベンゼンスルホン酸および/またはアルキルナフタレンスルホン酸とを含むポリアニリンの製造方法。 - 前記スルホコハク酸の添加量と、前記アルキルベンゼンスルホン酸および/または前記アルキルナフタレンスルホン酸の添加量とのモル比が、10/90〜90/10である請求項2に記載のポリアニリンの製造方法。
- 請求項2または3に記載のポリアニリンの製造方法によって得られる請求項1に記載のポリアニリン。
- 前記ポリアニリンのドープ接合されていないときの重量平均分子量が50,000以上である請求項1または4に記載のポリアニリン。
- 請求項1、4または5に記載のポリアニリンと、ポリエステル樹脂とを含有する導電性組成物。
- 溶媒と、前記溶媒に溶解された請求項6に記載の導電性組成物とを含有する帯電防止塗料。
- 乾燥後の表面抵抗が、1×104〜9×1011Ω/□である請求項6に記載の導電性組成物。
- 乾燥後の表面抵抗が、1×104〜9×1011Ω/□である請求項7に記載の帯電防止塗料。
- 基材と、前記基材に請求項6または8に記載の導電性組成物または請求項7または9に記載の帯電防止塗料を積層して得られる帯電防止層とを有する帯電防止材。
- 前記基材がPETフィルムである請求項10に記載の帯電防止材。
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