JP2005139262A - 導電性組成物、導電性塗料及び導電性樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】 成形性に優れ、有機溶剤に可溶で、イオン伝導性をもたず、さらに、導電性塗料又は導電性樹脂として塗膜あるいは成形体とされた後には、水や溶剤に溶解することはなく、高い耐熱性を持ち、したがって多様な用途に展開可能な導電性組成物を提供する。
【解決手段】 シアノ基含有高分子化合物と、π共役系導電性高分子と、シアノ基と反応する硬化剤とを含むことを特徴とする導電性組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性組成物、導電性塗料及び導電性樹脂に関する。
従来から、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリN−メチルピロール、ポリ3−メチルチオフェン、ポリ3−メトキシチオフェンなどのπ共役系導電性高分子は、汎用帯電防止材のみならず、精密な電子機器の帯電防止包装材や、転写ベルトなどの電子写真機器部品、機能性コンデンサなどの電子部品において使用されている。
しかし、これらの導電性高分子はいかなる溶剤にも溶解性を示さず、また、融点を迎える前に分解を生じる、いわゆる不溶不融の性質をもっている。このため、これらの導電性高分子を成形するために従来から種々の提案がなされている。
特許文献1では、導電性ポリマーを形成し得るモノマーに無機酸、有機スルホン酸等のドーパント、酸化剤を加えた溶液中に成形体を浸漬させてモノマーを重合させ、成形体表面に導電性ポリマーを直接析出させる方法(浸漬重合法)が開示されている。
また、特許文献2にはドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)をドーパントとしてポリピロールを溶剤に溶解させる方法が開示されている。この方法によれば、ポリピロール溶液を成形体表面に塗布できるので、溶液中に成形体を浸漬しないですむ。
特許文献3ではスルホ基、カルボキシル基等を持つ高分子電解質を共存させながらアニリンを重合し、水溶性のポリアニリンを得ている。このものにおいては、水、あるいは高極性溶剤中にナノメーターオーダーで分散し、一見溶解しているように見えるものができ、性能的にも溶解品として振舞うものが得られている。このものを水系ポリマー中に溶解させて導電性ポリマー溶液を作製すると非常に良い帯電防止材料となることから、水系ポリマーの導電付与材料としては良好に使用されている。
特開昭62−275137号公報 特表平10−507225号公報 特開平7−105718号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では成形体全体を浸漬するため、大型の成形体に対しては装置が大型化するし、材料のロスが大きくなるといった欠点があった。
また、特許文献2記載の方法は、水中で界面活性剤構造を持つDBSAを用いるため、水にやや溶解性のあるピロールモノマーを重合する際には文献にあるとおりのポリマー構造が得られるが、水溶性の乏しいチオフェン、アルキルピロール、アルキルチオフェンなどのモノマーを用いた場合では水中でコロイド状態となり、これを重合させたとしても微小なコロイド粒子の周りにDBSAがドープしただけの微粒子形状の導電性高分子が得られるだけで、この微粒子形状の導電性高分子は溶剤溶解性がまったくないものになる。
また、特許文献3に記載の方法では、スルホ基、カルボキシル基を持つ高分子電解質はそれ自体がイオン導電性を有する高分子であることから、強いイオン導電性を示し、使用される環境の湿度によってその導電性を大きく左右され、あらゆる環境下で導電性の安定性を要求される分野では使用することができなかった。また、スルホ基、カルボキシル基は腐食を嫌う電子電気分野で使用するには不都合であった。また、上記のような高分子電解質はそれ自体が水溶性であるため、導電性ポリマー溶液を所望の場所に塗布して塗膜を形成したときに、この塗膜は耐水性が悪く、水やアルコールで容易に拭き取られてしまった。さらに、高分子電解質は導電性の発揮に関して耐熱性がなく、高温条件下での信頼性を必要とする電子部品などには使用できるものではなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、成形性に優れ、有機溶剤に可溶で、イオン伝導性をもたず、さらに、導電性塗料又は導電性樹脂として塗膜あるいは成形体とされた後には、水や溶剤に溶解することはなく、高い耐熱性を持ち、したがって多様な用途に展開可能な導電性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、π共役系導電性高分子を重合する際、シアノ基含有高分子化合物を共存させることにより、溶剤可溶性や成形性を有し、イオン導電性を持たない組成物となること、さらに、硬化剤を含む導電性組成物を有機溶剤に溶解あるいは樹脂に混合したときに、硬化剤によって、シアノ基含有高分子化合物が架橋され、高い耐溶剤性、耐熱性を有する塗料、樹脂が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一の導電性組成物は、シアノ基含有高分子化合物と、π共役系導電性高分子と、シアノ基と反応する硬化剤とを含むことを特徴とする。
ここで、前記シアノ基含有高分子化合物は、シアノ基含有単量体とビニル基含有単量体との共重合体からなることが好ましい。
本発明の第二の導電性組成物は、シアノ基含有単量体と官能基を有するビニル基含有単量体との共重合体からなるシアノ基含有高分子化合物と、π共役系導電性高分子と、シアノ基及び/又は前記官能基と反応する硬化剤とを含むことを特徴とする。
前記官能基は、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基から選ばれる1種又は2種以上からなることが好ましい。
また、前記シアノ基含有単量体は、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルであることが好ましい。
本発明の第一及び第二の導電性組成物は、ドーパントをさらに含むことが好ましい。
前記π共役系導電性高分子は、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリN−メチルピロール、ポリ3−メチルチオフェン、ポリ3−メトキシチオフェンから選ばれる1種又は2種以上からなることが好ましい。
本発明の導電性塗料は、本発明の導電性組成物が有機溶剤に溶解されてなることを特徴とする。
本発明の導電性樹脂は、本発明の導電性組成物が絶縁性樹脂に混合されてなることを特徴とする。
ここで、シアノ基含有高分子化合物と絶縁性樹脂とのSP値の差が0以上、2以下であることが好ましい。
本発明によれば成形性に優れ、有機溶剤に可溶で、イオン伝導性をもたず、さらに、導電性塗料及び導電性樹脂と成して塗膜あるいは成形体となされた後には水や溶剤に溶解することはなく、高い耐熱性を持ち、したがって多様な用途に展開可能な導電性組成物を提供することができる。
本発明の第一の導電性組成物(以下、「第一の導電性組成物」という)は、シアノ基含有高分子化合物と、π共役系導電性高分子と、硬化剤とを含む。
本発明の第二の導電性組成物(以下、「第二の導電性組成物」という)は、シアノ基含有単量体と官能基を有するビニル基含有単量体との共重合体からなるシアノ基含有高分子化合物と、π共役系導電性高分子と、前記シアノ基及び/又は前記官能基と反応する硬化剤とを含む。
<第一の導電性組成物>
以下、第一の導電性組成物について詳細に説明する。
[シアノ基含有高分子化合物]
シアノ基含有高分子化合物としては、後述するシアノ基含有単量体の重合体や、シアノ基含有単量体とビニル基含有単量体との共重合体、または、シアノエチル化された水酸基を含有するシアノエチルセルロース樹脂、あるいはシアノエチル化されたアミノ基を含有するポリアリルアミン樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、広範囲のSP値(溶解度パラメーター:単位[(cal/cm−3)1/2])の溶剤に可溶なものが好ましい。例えば、シアノ基含有単量体とビニル基含有単量体との共重合体を用いると、シアノ基含有高分子化合物の溶剤に対する溶解性をコントロールすることができ、広範囲のSP値の溶剤に可溶なシアノ基含有高分子化合物を得ることができる。
[シアノ基含有単量体]
第一の導電性組成物において、シアノ基含有高分子化合物としてシアノ基含有単量体とビニル基含有単量体との共重合体を用いる場合、ここでいうシアノ基含有単量体は分子内にシアノ基を有し、単独で、あるいは他の単量体と共に重合し得る化合物であるが、特に、重合が容易で、共重合体が容易に得られることから、シアノ基含有ビニル系モノマー化合物である、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、これらの誘導体が好ましい単量体として挙げられ、これらは1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリロニトリル、メタクリロニトリルは、分子内にシアノ基及びビニル基を含有するから、本発明におけるシアノ基含有高分子化合物として、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル等を用いることもできる。
[ビニル基含有単量体]
ビニル基含有単量体は、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する重合性の化合物である。
ビニル基含有単量体としては、ハロゲン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、複素環ビニル化合物、脂肪族ビニル化合物、アクリル系化合物、ジエン化合物、マレイミド化合物を好ましいビニル基含有単量体として例示できる。
ハロゲン化ビニル化合物としては塩化ビニル、フッ化ビニルなどを挙げることができる。芳香族ビニル化合物としてはスチレン、α−メチルスチレン、p−ドデシルスチレン、p‐オクタデシルスチレンなどを挙げることができる。複素環ビニル化合物としては、ビニルピリジンなどを挙げることができる。脂肪族ビニル化合物としては、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、ドデセンのような二重結合を分子中に1つ有する直鎖状炭化水素などを挙げることができる。アクリル系化合物としては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアマイドなどを挙げることができる。ジエン化合物の代表例としてブタジエンを挙げることができる。マレイミド化合物としてはマレイミド、N−置換マレイミドなどを挙げることができる。
従って、このようなビニル基含有単量体と、シアノ基含有単量体の共重合体からなるシアノ基含有高分子化合物として、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等を例示することができる。
これらのビニル基含有単量体は、前記シアノ基含有単量体と共重合させることによりシアノ基含有高分子化合物の溶剤に対する溶解性をコントロールすることができるものである。これらのビニル基含有単量体を共重合成分に選ぶことにより、特に高い極性を有するポリアクリロニトリル(SP値:15.4)、ポリメタクリロニトリル(SP値:10.7)を構成単位に含む高分子化合物を極性の低い溶媒であるトルエンやMEK(メチルエチルケトン)、アセトンなどの汎用溶剤に溶解しやすくすることができる。
また同時に、シアノ基含有高分子化合物を絶縁性樹脂と混合するときの相溶性をコントロールする相溶化部位としたりする化学的性質の調整や、Tg(ガラス転移温度)などの熱的性質の調整、硬度などの物理的性質の調整がこのビニル基含有単量体の選択により可能になるものである。
従って例えば、塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物等を共重合して塩化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、スチレン樹脂への相溶性を向上させたりすることができる。また、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセンなどの脂肪族ビニル化合物や、p−ドデシルスチレン、p‐オクタデシルスチレンなどの芳香族ビニル化合物を共重合してトルエン、MEK、アセトンのような汎用溶剤に溶解させたりすることができる。また、ビニルピリジンなどの複素環ビニル化合物、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートなどのアクリル系化合物、ブタジエンなどのジエン化合物を共重合してTgを低下させたり、硬度を低下させたりすることができる。逆にメタク
リル酸、アクリルアマイドなどのアクリル化合物、マレイミド、N−置換マレイミドなどのマレイミド化合物を共重合してTgを上昇させたり、硬度を増加させたりすることもできる。
シアノ基含有単量体とビニル基含有単量体との共重合モル比率は、99:1〜10:90が好ましい。
なお、シアノ基含有高分子化合物において、シアノ基とビニル基の双方を有する単量体を用いた場合、この単量体は、シアノ基含有単量体とみなしてモル比率を算出する。
シアノ基含有単量体のモル比を99以下にすることにより、本発明の導電性組成物を塗料あるいは樹脂として塗膜、成形体とした際の架橋密度を高くして耐熱性を良好に発現させることができ、また、このモル比を10以上とすることによりπ共役系導電性高分子の溶解性を向上させ、均一な導電性組成物溶液を調製することができるようになる。
シアノ基含有単量体とビニル基含有単量体との共重合にあたっては、通常のラジカル重合で用いられる重合法を採用することができるが、溶液重合法を好ましい重合法として挙げることができる。重合開始剤としては、通常のラジカル重合で用いられる重合開始剤はいずれも用いることができ、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系開始剤を好ましい重合開始剤として示すことができる。
[π共役系導電性高分子]
本発明におけるπ共役系導電性高分子としては、置換あるいは無置換のポリアニリン、置換あるいは無置換のポリピロール、置換あるいは無置換のポリチオフェン、及びアニリン、ピロール、チオフェン、これらの誘導体から選ばれる1種または2種以上からなる(共)重合体が挙げられ、特にポリピロール、ポリチオフェン、ポリN−メチルピロール、ポリ3−メチルチオフェン、ポリ3−メトキシチオフェン、これらから選ばれる2種以上からなる共重合体がコスト、反応性の点から有利に用いられる。
特に、ポリN−メチルピロール、ポリ3−メチルチオフェンのようなアルキル置換化合物は導電性組成物の溶剤溶解性を向上する効果が見られることから有利である。アルキル基の中では導電性に悪影響を与えることがないことから、メチル基が好ましい。
[シアノ基と反応する硬化剤]
シアノ基と反応する硬化剤としては、溶液中あるいは樹脂中でシアノ基含有高分子化合物と共存することで、シアノ基と反応してシアノ基含有高分子化合物を架橋させ得る官能基を1分子中に1個または2個以上有する化合物であれば良く、シアノ基と反応し得る官能基としては、例えば、メチロール基、クロロスルホン基などが挙げられ、これらの官能基を有する化合物であれば、使用が可能である。
また、ニトロン基、ニトリルオキシド基、ニトリルイミン基、シドノン基などの官能基を有する双極性化合物、酸化亜鉛、硫化銅などの金属酸化物、塩化第1錫、塩化亜鉛のような金属ハロゲン化物、銅アセチルアセトンのような有機金属塩、有機金属化合物などはシアノ基との反応性があり、これらも使用可能である。
第一の導電性組成物においては、シアノ基含有高分子化合物と、シアノ基と反応する硬化剤とが含まれることによって、これを塗料あるいは樹脂と成して用いる際に、硬化剤によってシアノ基含有高分子化合物が架橋されるので、得られる塗料あるいは樹脂において良好な耐熱性と耐溶剤性を発現させることができる。
本発明の導電性組成物には、耐衝撃性を改良するための合成ゴム成分や、耐環境特性を向上させるための老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤を含んでいてもよいが、酸化防止剤としてアミン化合物などを用いると上記π共役系導電性高分子を重合させる際に用いる酸化剤の働きを阻害することもある。そこで、酸化防止剤としてアミン化合物の代わりにフェノール系化合物を用いたり、アミン化合物を用いる場合は重合後に混合するなどの注意が必要である。
[ドーパント]
前記π共役系導電性高分子には、その導電性を向上させるためにドーパントを混合することが望ましい。通常、ドーパントとしてはハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸などが用いられ、ハロゲン化合物としては塩素、臭素、ヨウ素、塩化ヨウ素、臭化ヨウ素、フッ化ヨウ素などが挙げられる。また、ルイス酸としては五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化鉛、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素等が挙げられる。
さらにプロトン酸としては塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸などの無機酸;有機カルボン酸、有機スルホン酸等の有機酸;有機シアノ化合物;フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレンなどフラーレン類が挙げられる。
有機カルボン酸としては、酢酸、安息香酸、フタル酸などが挙げられ、これらの金属塩も使用できる。
有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などが挙げられ、これらはその金属塩も使用できる。
有機シアノ化合物としては、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキシド、テトラシアノベンゼン、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレンなどが挙げられる。
ドーパントとしては、分子量が大きく、嵩高い物質のほうが高温時の安定性がよく、脱ドープし難いため好ましく、従って、上記の中、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレンなどが好ましく用いられる。
[製造方法]
本発明の導電性組成物の製造にあたっては、上記のシアノ基含有高分子化合物を、これを溶解する溶剤に溶解し、π共役系導電性高分子の前躯体モノマーと十分攪拌混合した系に、酸化剤を滴下して重合を進行させる。こうして得られたシアノ基含有高分子化合物とπ共役系導電性高分子との混合物から、酸化剤、残留モノマー、副生成物を除去、精製し、さらに、シアノ基と反応する硬化剤を混合して導電性組成物を得る。
上記のシアノ基含有高分子化合物は上述のように溶剤に可溶であるので、これを溶剤に溶解させて用いることができる。特に、シアノ基含有高分子化合物がシアノ基含有単量体とビニル基含有単量体との共重合体からなる場合は、SP値の調節が可能であるので、これを溶解する溶剤として種々のものを選択することができる。例えば、溶剤としてヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ベンゼン、スチレン、ジクロロメタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素を含む炭化水素系溶剤;エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、ラウリルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジエチルエーテル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、フラン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ビニル、ブチロラクトンなどのエステル系溶剤;無水酢酸、無水コハク酸のような脂肪酸系溶剤;m−クレゾール、ノニルフェノールなどのフェノール系溶剤;ニトロメタン、ニトロベンゼン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドンなどの窒素化合物が挙げられる。これらの溶剤は単一溶剤として用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
これらの溶剤としてはシアノ基含有高分子化合物を溶解すると共に、π共役系導電性高分子の前躯体モノマーを溶解し、さらに酸化剤を溶解して該前躯体モノマーの反応を進行できるような溶剤を選択することが重要である。
シアノ基含有高分子化合物に対するπ共役系導電性高分子の割合としては、質量比でシアノ基含有高分子化合物:π共役系導電性高分子が5:95〜99:1が好ましく、10:90〜90:10がより好ましい。π共役系導電性高分子を1以上とすることで充分な導電性を有する組成物とすることができる。また、95以下とすることで良好な溶剤溶解性を有する組成物とすることができる。
π共役系導電性高分子を重合により得るための酸化剤としては、公知のものが使用でき、たとえば、塩化第二鉄、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウムなどの金属ハロゲン化合物、過酸化水素、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、オゾン、酸素などが挙げられる。
こうして得られる導電性組成物は単独で流通させ又は用いてもよいが、有機溶剤に溶解して塗料として、あるいは絶縁性樹脂からなるバインダー(以下、「絶縁性バインダー樹脂」という)と混合して導電性樹脂またはその成形体として製品にしてもよい。
混合される絶縁性バインダー樹脂としては、特に限定されないが、導電性組成物の混合、分散性が良く、イオン伝導性を示さない樹脂が好ましく、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、エポキシ系樹脂から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物が好ましい樹脂として挙げられる。
また、前記したシアノ基含有高分子化合物は、混合すべき絶縁性樹脂との相溶性を確保するためにお互いのSP値の差が0〜2となるようにすることが望ましい。これは先に述べたように、シアノ基含有高分子化合物の組成を、シアノ基含有単量体と共重合させるビニル基含有単量体を選択することによって容易にコントロールすることができるためである。
シアノ基含有高分子化合物と絶縁性樹脂のSP値は、SP値を異にする下記の種々の溶剤を使用して溶解テストを行い、それぞれの樹脂を溶解する溶剤のSP値の平均値として求められる。この、SP値の測定に用いる一連の溶剤としてはn−ペンタン(SP=7.0)、n−ヘプタン(SP=7.4)、メチルシクロヘキサン(SP=7.8)、トルエン(SP=8.9)、テトラリン(SP=9.5)、o−ジクロロベンゼン(SP=10.0)、1−ブロモナフタレン(SP=10.6)、ニトロエタン(SP=11.1)、アセトニトリル(SP=11.8)、ニトロメタン(SP=12.7)、ジエチルエーテル(SP=7.4)、ジイソブチルケトン(SP=7.8)、酢酸ブチル(SP=8.5)、プロピオン酸メチル(SP=8.9)、フタル酸ジメチル(SP=10.7)、炭酸−2,3−ブチレン(SP=12.1)、炭酸プロピレン(SP=13.3)、炭酸エチレン(SP=14.7)、2−エチルヘキサノール(SP=9.5)、4−メチル−2−ペンタノール(SP=10.0)、2−エチル−1−ブタノール(SP=10.5)、1−ペンタノール(SP=10.9)、1−ブタノール(SP=11.4)、1−プロパノール(SP=11.9)、エタノール(SP=12.7)、メタノール(SP=14.5)を用いる。
絶縁性バインダー樹脂と導電性組成物との混合割合は製品に求められる導電性と、導電性組成物固有の抵抗値によって決定されるため、一概には言及できないが、絶縁性バインダーの持つ固有の物性をあまり変化させない割合で混合することが望ましい。
前記導電性樹脂を溶液に溶解して成型する場合、これら絶縁性バインダー樹脂を溶解する溶剤は特に限定される必要はなく、上述の絶縁性バインダー樹脂を溶解する任意のアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤などを用いることができる。
[成型方法]
導電性樹脂の成型は上述のように溶剤に溶解した後、溶液成型、塗布、コーティング、印刷等任意の成型を行った後、溶剤を乾燥除去して成型品を得てもよく、ペレット状とした導電性樹脂を溶融押出し、射出成型などの溶融成型によって成型品を得てもよい。
<第二の導電性組成物>
第二の導電性組成物は、シアノ基含有高分子化合物としてシアノ基含有単量体と官能基を有するビニル基含有単量体との共重合体からなるものを用い、硬化剤としてシアノ基及び/又は前記官能基と反応するものを用いる以外は、第一の導電性組成物と同様にして得ることができる。また、第一の導電性組成物と同様に使用、成型することができる。
このような第二の導電性組成物においても、官能基を有するシアノ基含有高分子化合物と、シアノ基又は前記官能基と反応する硬化剤とが含まれることによって、これを有機溶剤に溶解させて塗料として、あるいは樹脂と混合して用いる際に、硬化剤によってシアノ基含有高分子化合物が架橋されるので、良好な耐熱性と耐溶剤性を発現させることができる。
[官能基を有するビニル基含有単量体]
官能基を有するビニル基含有単量体は、上記第一の導電性組成物において例示したシアノ基含有単量体と共重合が可能で、該ビニル基含有単量体の官能基が後述の硬化剤と反応するようなものであればよく、上記第一の導電性組成物において例示したビニル基含有単量体のうち、ハロゲン化ビニル化合物、アクリル系化合物、ジエン化合物、マレイミド化合物等を用いることができる。
これらのビニル基含有単量体を、シアノ基含有単量体と共重合させることにより、シアノ基含有高分子化合物を、分子中のシアノ基又は官能基が後述の硬化剤により架橋されうるものとすることができ、耐溶剤性、耐熱性を向上させることができる。
前記官能基は、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基から選ばれる1種又は2種以上からなることが、シアノ基含有単量体との共重合のしやすさ、硬化剤との良好な反応性のために好ましい。
スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基などの官能基を有するビニル化合物としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸のようなカルボン酸化合物、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートのようなヒドロキシ化合物、アクリルアミド、メタクリルアミドのようなアミド化合物、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのようなエポキシ化合物、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸のようなスルホン酸化合物が挙げられる。
従って、官能基を有するビニル基含有単量体を用いてなるシアノ基含有高分子化合物としては、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ビニルスルホン酸共重合体、アクリロニトリル−スチレンスルホン酸共重合体等が挙げられる。
[シアノ基及び/又は官能基と反応する硬化剤]
シアノ基及び/又は官能基と反応する硬化剤としては、シアノ基と反応する硬化剤、前記官能基と反応する硬化剤、これら双方に対して反応性を有する硬化剤がある。
シアノ基と反応する硬化剤としては、上記第一の導電性組成物に用いられるものと同様のものを例示することができる。
前記官能基と反応する硬化剤は、前記官能基と反応し得る官能基を1分子中に1個または2個以上有する化合物であれば良く、前記官能基と反応し得る官能基としては、例えば、チオール基、メチロール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、ビニル基、クロロスルホン基などが挙げられ、これらの官能基を有する化合物であれば、使用が可能である。但し、用いる硬化剤の種類は、前記官能基に対応して選択される。例えば、前記官能基がカルボキシル基であれば、硬化剤としてメチロール基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基を用いることができる。
シアノ基及び前記官能基の双方に対して反応性を有する硬化剤としては、メチロール基、クロロスルホン基などが挙げられ、これらの官能基を有する化合物であれば、使用が可能である。例えば、シアノ基含有高分子化合物における前記官能基がカルボキシル基であれば、硬化剤としてメチロール基を用いることができる。
第二の導電性組成物において用いられる、あるいは好適なシアノ基含有単量体、π共役系導電性高分子、製造方法、塗料あるいは樹脂と成す方法等は、いずれも上記第一の導電性組成物における例示と同様である。
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
(試験方法)
(1)硬化前の溶剤溶解性
NMP(N−メチルピロリドン)、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、トルエンに対する溶解性を調べた。溶剤溶解後に塗膜を形成し、粒子とならないものを溶解したものとし、各溶剤に対して溶解した量を下記のとおり判定した。
○:3%以上溶解
△:1〜3%溶解
×:1%未満溶解または非溶解
(2)電気伝導度
塗膜厚2μmの時の電気伝導度(単位:S/cm)を、導電率計(商品名:ロレスタMCP−T600、三菱化学製)を用いて測定した。
(3)硬化後の塗膜の耐溶剤性
硬化後の塗膜上にNMP、トルエン、水を滴下し、1時間放置した後にウェスで拭き取ったときの塗膜の様子を観察した。判定基準は下記の通りとした。
○:塗膜に変化が見られない。
△:塗膜が膨潤を生じる。
×:塗膜が剥離(脱離)する。
(実施例1)
1)シアノ基含有高分子化合物の合成
アクリロニトリル50gと、ブタジエン5gをトルエン500ml中に溶解し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを2.5g加え、60℃で8時間重合した。
重合により生成したポリマーはメタノールで洗浄した。
2)導電性組成物の作製
1)で得たシアノ基含有高分子化合物10gをアセトニトリル90gに溶解し、ピロールからなるπ共役系導電性高分子の前駆体モノマー50gを加え、−20℃に冷却しながら、1時間攪拌した。
この溶液に、塩化第二鉄250gをアセトニトリル1250mlに溶解した酸化剤溶液を、−20℃を保ちながら2時間かけて滴下し、さらに12時間攪拌を続けてピロールの重合を行った。反応終了後の溶液は黒青色であった。
反応終了後、前記均一溶液に2000mlのメタノールを加えて生成した沈殿物をろ過し、ろ液が透明になるまでメタノールと純水を用いて洗浄を行い、シアノ基含有高分子化合物とπ共役系導電性高分子の混合物を得た。得られた混合物について上記試験方法に従って、溶剤溶解性を試験し、表1に示した。
引き続き、この混合物の3%のNMP溶液に、固形分に対して10%のジメチロールクレゾールからなる硬化剤を混合して本発明の導電性組成物の溶液を作製し、この溶液を乾燥時の塗膜厚が2μmになるようにガラス板上に塗布し、120℃で2時間乾燥して製膜した。形成された塗膜の電気伝導度を、上記試験方法に従って、初期と125℃、240h後にそれぞれ測定した。また、耐溶剤性を、上記試験方法に従って測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
1)シアノ基含有高分子化合物の合成
アクリロニトリル30gとヒドロキシエチルアクリレート20gをトルエン500ml中に溶解し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを2.5g加え、60℃で8時間重合した。
重合により生成したポリマーはメタノールで洗浄した。
2)導電性組成物の作製
1)で得たシアノ基含有高分子化合物10gをアセトニトリル90gに溶解し、ピロール50gを加え、−20℃に冷却しながら、1時間攪拌した。
この溶液に、塩化第二鉄250gをアセトニトリル1250mlに溶解した酸化剤溶液を、−20℃を保ちながら2時間かけて滴下し、さらに12時間攪拌を続けてピロールの重合を行った。反応終了後の溶液は黒青色であった。
反応終了後、2000mlのメタノールを加えて生成した沈殿物をろ過し、ろ液が透明になるまでメタノールと純水を用いて洗浄を行い、混合物を得た。実施例1と同様に溶剤溶解性の試験を行い、表1に示した。
引き続き、この混合物の3%のNMP溶液に、固形分に対して5%のヘキサメチレンジイソシアネートからなる硬化剤を混合して本発明の導電性組成物の溶液を作製し、この溶液を乾燥時の塗膜厚が2μmになるようにガラス板上に塗布し、120℃で2時間乾燥して製膜した。実施例1と同様の方法で塗膜の電気伝導度および耐溶剤性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
1)シアノ基含有高分子化合物の合成
アクリロニトリル30gとメタクリル酸20gをトルエン500ml中に溶解し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを2.5g加え、60℃で8時間重合した。重合により生成したポリマーはメタノールで洗浄した。
2)導電性組成物の作製
1)で得たシアノ基含有高分子化合物10gをアセトニトリル90gに溶解し、3−メチルチオフェンからなるπ共役系導電性高分子の前駆体モノマー50gを加え、−20℃に冷却しながら、1時間攪拌した。
この溶液に、塩化第二鉄250gをアセトニトリル1250mlに溶解した酸化剤溶液を、−20℃を保ちながら2時間かけて滴下し、さらに12時間攪拌を続けて3−メチルチオフェンの重合を行った。反応終了後の溶液は濃青色であった。
反応終了後、2000mlのメタノールを加えて生成した沈殿物をろ過し、ろ液が透明になるまでメタノールと純水を用いて洗浄を行い、混合物を得た。実施例1と同様に溶剤溶解性試験を行い、表1に示した。
引き続き、この混合物の3%のNMP溶液に、固形分に対して5%のビスフェノールA型エポキシ樹脂[「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン(株)製]からなる硬化剤を混合して本発明の導電性組成物の溶液を作製し、この溶液を用い実施例1と同様の方法で塗膜を形成し、電気伝導度および耐溶剤性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
1)シアノ基含有高分子化合物の合成
メタクリロニトリル30gとアリルスルホン酸20gをトルエン500ml中に溶解し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを2.5g加え、60℃で8時間重合した。重合により生成したポリマーはメタノールで洗浄した。
2)導電性組成物の作製
1)で得たシアノ基含有高分子化合物10gをアセトニトリル90gに溶解し、3−メチルチオフェン50gを加え、−20℃に冷却しながら、1時間攪拌した。
この溶液に、塩化第二鉄250gをアセトニトリル1250mlに溶解した酸化剤溶液を、−20℃を保ちながら2時間かけて滴下し、さらに12時間攪拌を続けて3−メチルチオフェンの重合を行った。
反応終了後、5000mlのメタノールを加えて生成した沈殿物をろ過し、ろ液が透明になるまでメタノールと純水を用いて洗浄を行い、シアノ基含有高分子化合物とπ共役系導電性高分子の混合物を得た。このもののSP値は12.1であった。実施例1と同様に溶剤溶解性の試験を行い、表1に結果を示した。10%のジメチロールクレゾールからなる硬化剤を添加して、本発明の導電性組成物を得た。
3)絶縁性樹脂(アクリル樹脂)の重合
メチルメタクリレート20g、アリルスルホン酸20g、アクリル酸10gをトルエン500ml中に溶解し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを2.5g加え、60℃で8時間重合した。重合により生成したポリマーはメタノールで洗浄した。このもののSP値は12.8であった。
4)導電性樹脂の作製
得られた絶縁性樹脂30gをアセトン120gに溶解し、上記2)で得た導電性組成物1gを混合し、常温で2時間攪拌した。次に、シランカップリング剤(商品名:KBM403、信越化学製)0.02gを混合し、塗膜にして120℃で2時間乾燥し、導電性樹脂を得た。実施例1と同様に電気伝導度および耐溶剤性の試験を行い、表1に示した。
得られた導電性樹脂は、通常のアクリル樹脂と同様、溶融押し出し成型、射出成型することができる樹脂であった。
(比較例1)
純水100gにドデシルベンゼンスルホン酸10gを溶解し、ピロール10gを加えて、−20℃に冷却しながら、1時間攪拌した。
この溶液に、塩化第二鉄250gを純水1250mlに溶解した酸化剤溶液を、−20℃を保ちながら2時間かけて滴下し、さらに12時間攪拌を続けてピロールの重合を行った。反応終了後の溶液は黒色でしばらく放置すると微粒子が沈殿する分散溶液であった。
反応終了後、生成した沈殿物をろ過し、ろ液が透明になるまでメタノールと純水を用いて洗浄を行い、導電性組成物を得た。実施例1と同様に試験を行い、表1に示した。
(比較例2)
純水100gにポリスチレンスルホン酸ナトリウム10gを溶解し、ピロール10gを加えて、−20℃に冷却しながら、1時間攪拌した。
この溶液に、塩化第二鉄250gを純水1250mlに溶解した酸化剤溶液を、−20℃を保ちながら2時間かけて滴下し、さらに12時間攪拌を続けてピロールの重合を行った。反応終了後の溶液は青色であった。
反応終了後、イオン交換樹脂を充填したカラムを数回通過させて洗浄を行い、導電性組成物を得た。実施例1と同様に試験を行い、表1に示した。
Figure 2005139262
表1から、比較例1、2の導電性組成物の一部を構成する混合物はNMP、アセトン、MEK、トルエン等の有機溶剤に良好な溶解性を示さないのに対し、実施例1〜4に記載の導電性樹脂組成物の一部を構成する混合物はこれらの有機溶剤のいずれかに溶解し、広範囲のSP値の有機溶剤に可溶であることがわかる。なお、実施例1〜4において、シアノ基含有高分子化合物とπ共役系導電性高分子の混合物の溶剤溶解性が良好であれば、硬化剤を混合して完成された導電性組成物の溶剤溶解性は良好である。
このように広範囲の溶剤に均一に溶解するので、導電性塗料として均一塗布が可能であり、有用であることがわかる。また、実施例1〜3の導電性組成物は溶液成型が可能であり、実施例4の導電性樹脂は押し出し成型、射出成型が可能であることがわかる。
また、比較例1、2の導電性塗料からなる塗膜あるいは導電性樹脂は、使用される環境の温度によってその導電性を大きく左右されるのに対し、実施例1〜4の導電性塗料からなる塗膜あるいは導電性樹脂は、125℃の高温条件を経ても導電性が低下せず、即ち耐熱性を示すことがわかる。さらに、実施例1〜4は、塗膜を形成した後は、水、NMP、トルエン等の溶剤に対して耐溶剤性を発揮することがわかる。
本発明の導電性組成物、導電性塗料および導電性樹脂は、帯電防止コーティング、帯電防止包装材などの帯電防止材や、液晶画面やプラズマディスプレイ画面の電磁波遮蔽用の電磁波シールド材や、転写ベルト、現像ロール、帯電ロール、転写ロールなどの電子写真機器部品や、機能性コンデンサ、電界効果トランジスタ(FET)などの電子部品に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. シアノ基含有高分子化合物と、π共役系導電性高分子と、シアノ基と反応する硬化剤とを含むことを特徴とする導電性組成物。
  2. 前記シアノ基含有高分子化合物は、シアノ基含有単量体とビニル基含有単量体との共重合体からなることを特徴とする請求項1に記載の導電性組成物。
  3. シアノ基含有単量体と官能基を有するビニル基含有単量体との共重合体からなるシアノ基含有高分子化合物と、π共役系導電性高分子と、シアノ基及び/又は前記官能基と反応する硬化剤とを含むことを特徴とする導電性組成物。
  4. 前記官能基は、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基から選ばれる1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項3に記載の導電性組成物。
  5. 前記シアノ基含有単量体は、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の導電性組成物。
  6. ドーパントをさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性組成物。
  7. 前記π共役系導電性高分子は、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリN−メチルピロール、ポリ3−メチルチオフェン、ポリ3−メトキシチオフェンから選ばれる1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の導電性組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性組成物が有機溶剤に溶解されてなることを特徴とする導電性塗料。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性組成物が絶縁性樹脂に混合されてなることを特徴とする導電性樹脂。
  10. シアノ基含有高分子化合物と絶縁性樹脂とのSP値の差が0以上、2以下であることを特徴とする請求項9に記載の導電性樹脂。

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