JP3517965B2 - 有機硫黄化合物含有重合性組成物 - Google Patents

有機硫黄化合物含有重合性組成物

Info

Publication number
JP3517965B2
JP3517965B2 JP18145694A JP18145694A JP3517965B2 JP 3517965 B2 JP3517965 B2 JP 3517965B2 JP 18145694 A JP18145694 A JP 18145694A JP 18145694 A JP18145694 A JP 18145694A JP 3517965 B2 JP3517965 B2 JP 3517965B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
reaction
mol
polymerizable composition
organic sulfur
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18145694A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0841126A (ja
Inventor
昌義 矢部
誠一郎 早川
勉 井坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP18145694A priority Critical patent/JP3517965B2/ja
Publication of JPH0841126A publication Critical patent/JPH0841126A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3517965B2 publication Critical patent/JP3517965B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機硫黄化合物を含有
してなる重合性組成物に関する。詳しくは光学材料とし
て有用な樹脂を与える有機硫黄化合物を含有してなる重
合性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、広く用いられている光学材料とし
ては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートを
注型重合させた樹脂がある。しかし、この樹脂は屈折率
(ND)が1.50であり、無機レンズに比べて小さ
く、無機レンズと同等の光学特性を得るためにはレンズ
の中心厚、コバ厚及び曲率を大きくする必要があり、全
体的に肉厚になることが避けられない。そこで樹脂の高
屈折率化を計る手段として樹脂の分子構造、即ち単量体
の分子構造にフッ素以外のハロゲン原子、芳香環及びイ
オウ原子を導入することが検討されている(特開昭61
−86701号公報、同63−45081号公報、同6
3−130614号公報)。
【0003】上記の単量体から得られる樹脂は、従来の
レンズ材料と比較すると屈折率はかなり高くなっている
ものの、比重、透明性、耐候性等の点でバランスのとれ
た材料ではなく、レンズ材料としては必ずしも満足でき
るものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記課題を
達成し、高屈折率でかつ、比重が小さく、透明性、耐熱
性等に優れた樹脂を与える重合性組成物を得ようとする
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
[I]で示される新規な有機硫黄化合物を含有してなる
重合性組成物を提供するものである。
【0006】
【化2】
【0007】一般式[I]で示される有機硫黄化合物に
必須の中心骨格であるトリシクロデカン環は、高アッベ
数で高屈折率かつ低比重発現に重要な基であり、また得
られる樹脂の耐熱性と靱性を共に高める効果を有する。
本発明における有機硫黄化合物を含有してなる重合性組
成物より得られる樹脂は、高い屈折率と高いアッベ数を
有し、かつ比重が低く、光学透明性、耐熱性、耐衝撃性
に優れており、メガネレンズとして最適であり、更には
カメラレンズ、光学用素子、高屈折率樹脂板等の光学分
野においても有用である。
【0008】一般式[I]において、トリシクロデカン
環を有する主鎖のビニル基およびイソプロペニル基に対
する置換位置は、m又はp位が好ましい。また後述する
入手可能な原料の関係から、トリシクロデカン環を有す
る主鎖のビニル基およびイソプロペニル基に対する置換
様式は左右同一であるとは限らない。しかし、この場合
もm位およびp位の組み合わせが好ましい。ベンゼン環
のX1 ,X2 ,X3 ,X4 の置換基は水素原子または臭
素原子が好ましく、置換基数は2以下が好ましい。置換
位置は、1置換の場合、ビニルベンジルチオ基またはイ
ソプロペニルベンジルチオ基がp体のときはビニル基ま
たはイソプロペニル基に対してm位が好ましい。ビニル
ベンジルチオ基またはイソプロペニルベンジルチオ基が
m体のときはビニル基またはイソプロペニル基に対して
p位が好ましい。2置換の場合、ビニルベンジルチオ基
またはイソプロペニルベンジルチオ基がp体のときはビ
ニル基またはイソプロペニル基に対してm,m位、ビニ
ルベンジルチオ基またはイソプロペニルベンジルチオ基
がm体のときはビニル基またはイソプロペニル基に対し
てm,p位が好ましい。
【0009】一般式[I]で示される化合物を具体的に
列挙すると、下式で示した例示化合物(1)〜(10)
等を好ましく挙げることができ、使用に際しては単独も
しくは混合物として用いることができる。
【0010】
【化3】
【0011】
【化4】
【0012】一般式[I]で示される化合物は、合目的
な任意の方法で合成することができ、例えば下記反応式
(A)〜(D)に従って合成される。
【0013】
【化5】
【0014】
【化6】 (XはCl、Brまたは−SO2R″、但しR″はメチ
ル基、フェニル基またはトリル基を示す。X1 ,X2
3 ,X4 ,R,R′は前記と同じ)
【0015】反応(A)はトリシクロデカンジメチロー
ル類(イ)(ヘキスト社製、TCDAlcohol D
M)を用いてハロゲン化剤またはスルホニル化剤により
化合物(ロ)を合成する反応である。トリシクロデカン
ジメチロール類は、ジシクロペンタジエンまたはその低
級アルキル置換体のオキソ反応によって得られるもので
あり、具体的には3,7−ビス(ヒドロキシメチル)ト
リシクロ〔5.2.1.02,6 〕デカン、3,8−ビス
(ヒドロキシメチル)トリシクロ〔5.2.1.
2,6 〕デカン、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)ト
リシクロ〔5.2.1.02,6 〕デカン、4,7−ビス
(ヒドロキシメチル)トリシクロ〔5.2.1.
2,6 〕デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)ト
リシクロ〔5.2.1.02,6 〕デカン、4,9−ビス
(ヒドロキシメチル)トリシクロ〔5.2.1.
2,6 〕デカンの混合物である。
【0016】ハロゲン化剤としては塩化チオニル、塩化
リン、トリフェニルホスフィン−四塩化炭素、トリフェ
ニルホスフィン−ヘキサクロロアセトン、塩化メタンス
ルホニル−塩化リチウム、トリフェニルホスフィン−塩
素等のクロル化剤、臭化チオニル、臭化リン、塩化トシ
ル−臭化リチウム等のブロム化剤が挙げられ、スルホニ
ル化剤としては塩化トシル、塩化ベンゼンスルホニル、
塩化メタンスルホニル等が挙げられる。ハロゲン化剤の
使用量はビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ〔5.
2.1.02,6 〕デカン1モルに対し、2.0〜4.0
モル、好ましくは2.2〜3.2モルである。スルホニ
ル化剤の使用量はビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ
〔5.2.1.02,6 〕デカン1モルに対し、2.0〜
4.0モル、好ましくは2.1〜3.0モルである。本
反応はアミン存在下で行なうのが好ましく、アミンとし
ては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、
N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、N,N−ジメチ
ルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.
2〕−オクタン、キノリン等の三級アミン類が好まし
い。アミンの使用量はビス(ヒドロキシメチル)トリシ
クロ〔5.2.1.02, 6 〕デカン1モルに対し2.0
〜4.0モル、好ましくは2.2〜3.2モルである。
【0017】本反応に用いられる溶媒としては、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロ
ロエタン等のハロゲン化水素類、n−ペンタン、n−ヘ
キサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化
水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,
4−ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホル
ムアミド等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン
等のケトン類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる
が、三級アミン類を溶媒として用いることもできる。反
応温度は−20〜120℃、好ましくは−10〜100
℃であり、反応は通常1〜40時間で終了する。このよ
うにして得た化合物(ロ)は溶媒抽出、クロマトグラフ
ィー、蒸留等の通常の精製手段を使って高純度に単離す
ることができる。
【0018】反応(B)は、化合物(ハ)からチオ尿素
を用いて溶媒存在下、化合物(ニ)を合成する反応であ
り、化合物(ハ)としては、p−クロロメチルスチレ
ン、m−クロロメチルスチレン、1−イソプロペニル−
4−クロロメチルベンゼン、1−イソプロペニル−3−
クロロメチルベンゼンが挙げられ、試薬としてp体、m
およびp体の混合物が入手可能である(例えばクロロメ
チルスチレンとして、セイミケミカル社製、CMS−1
4(p体、純度95%)、CMS−P(m体60%、p
体40%、純度95%)。
【0019】チオ尿素の使用量は化合物(ハ)1モルに
対し、1.0〜2.0モル、好ましくは、1.0〜1.
3モルである。本反応に用いられる溶媒としては、メタ
ノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノ
ール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノー
ル、トリエチレングリコール等のアルコール類、水また
は両者の混合物が好ましい。反応温度は50〜130
℃、好ましくは60〜120℃であり、50℃未満では
反応は極めて遅く、また、130℃を超えると副生物が
著しく増加する。反応は通常1〜20時間で終了する。
反応終了後は、反応混合溶液のまま、または溶媒を留去
後、次の反応(C)に用いることができる。
【0020】反応(C)は、化合物(ニ)をアルカリで
加水分解後、酸で中和するか、またはアミンで分解する
ことにより化合物(ホ)を得る反応である。前反応で溶
媒を留去した場合は新たに溶媒を加える。そのときに用
いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、1−
プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2
−ブタノール、t−ブタノール、トリエチレングリコー
ル等のアルコール類、水または両者の混合物が好まし
い。
【0021】アルカリとしてはアルカリ金属の水酸化
物、酸化物、およびアルコキシドが好ましく、中でも、
反応性も高く、安価である水酸化ナトリウムあるいは水
酸化カリウムがより好ましく挙げられる。アルカリの使
用量は化合物(ハ)1モルに対し、1.0〜2.0モ
ル、好ましくは1.0〜1.3モルであり、反応温度は
50〜130℃、好ましくは60〜120℃である。加
水分解反応は通常1〜20時間で終了し、反応終了後、
酸を加えて中和(pH=3〜8、好ましくはpH=4〜
8)することにより、化合物(ホ)が生成する。用いる
酸としては、塩酸、硫酸等の鉱酸、ギ酸等の有機カルボ
ン酸が好ましく挙げられる。
【0022】一方、アミンで分解することにより化合物
(ホ)を得る場合、アミンとしては、テトラエチレンペ
ンタミン等の二級アミンが好ましく、その使用量は、化
合物(ハ)1モルに対し、二級アミンを1.0〜5.0
モル、好ましくは1.0〜3.0モルであり、反応温度
は50〜130℃、好ましくは60〜120℃である。
上記のようにして得られた化合物(ホ)は溶媒抽出、ク
ロマトグラフィー、蒸留等の通常の精製手段を使って単
離し、次の反応(D)に用いることができる。反応
(D)は塩基性条件下で置換メルカプトメチルスチレン
または置換イソプロペニルメルカプトメチルベンゼン
(ホ)と化合物(ロ)との反応により、一般式[I]で
示される化合物を合成する反応である。
【0023】置換メルカプトメチルスチレンまたは置換
イソプロペニルメルカプトメチルベンゼン(ホ)の使用
量は化合物(ロ)1モルに対し、2.0〜3.0モル、
好ましくは2.0〜2.2モルである。本反応に用いる
塩基としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルア
ニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、N,N
−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ
〔2.2.2〕オクタン、キノリン等の三級アミン類、
アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、
酸化物、水素化物、水素化ほう素塩、炭酸水素塩が好ま
しく、反応性も高く安価である水酸化ナトリウムあるい
は水酸化カリウムがより好ましく挙げられる。塩基の使
用量は化合物(ロ)1モルに対し、2.0〜6.0モ
ル、好ましくは2.0〜4.0モルである。本反応に用
いる溶媒としてはメタノール、エタノール、1−プロパ
ノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタ
ノール、t−ブタノール等のアルコール類、n−ペンタ
ン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、
メチルエチルケトン等のケトン類、水または水と上記の
各種溶媒との混合物が好ましく、不均一溶媒を用いる場
合には、相間移動触媒を用いるのが好ましく、その使用
量は用いられる触媒により異なるが、通常、化合物
(ロ)1モルに対し、0.01〜0.5モル、好ましく
は0.01〜0.1モルである。相間移動触媒としては
臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化テトラブチル
アンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化ベ
ンジルトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩類、
塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム、臭化ヘキサデ
シルトリブチルホスホニウム等のホスホニウム塩類が好
ましい。なお、アルコール類を溶媒として用いた場合
は、相間移動触媒を用いないで反応を行なうこともでき
る。反応温度は−10〜120℃、好ましくは10〜1
00℃である。置換反応は通常1〜40時間で終了す
る。上記のようにして得られた一般式[I]で示される
化合物は溶媒抽出、クロマトグラフィー、再結晶等の通
常の精製手段を用いて同一分子式で示される異性体混合
物として高純度に単離することができる。
【0024】前記一般式[I]で示される化合物の構造
は、赤外吸収スペクトル(IR)、 1H−核磁気共鳴ス
ペクトル( 1H−NMR)、13C−核磁気共鳴スペクト
ル( 13C−NMR)、質量分析等の手段によって確認す
ることができる。本発明の重合性組成物は、前記一般式
[I]で示される化合物の異性体混合物を含んでなるも
のであり、光学材料、とりわけレンズ材料を得る際、異
性体混合物として単独またはラジカル共重合可能な多官
能性不飽和単量体、単官能性不飽和単量体、あるいは
(および)ポリチオールと混合し重合硬化させることが
好ましい。これらの単量体は一種又は二種以上を混合し
て使用できる。その単量体の組成比は前記一般式[I]
で示される有機硫黄化合物が全単量体中に占める割合が
10〜100重量%、特に40〜100重量%の範囲で
使用するのが好ましい。10%以下で使用しても本発明
による効果、すなわち高屈折率性、あるいは高耐熱性が
期待できない。
【0025】前記単官能性不飽和単量体の代表例とし
て、例えばビニル化合物、具体的にはスチレン、ビニル
トルエン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ブロモ
スチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ジビ
ニルベンゼン、ビニルナフタレン等、および(メタ)ア
クリレート化合物、具体的にはフェニル(メタ)アクリ
レート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキ
シフェニル)プロパン、そのハロゲン誘導体、2,2−
ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキ
シ)フェニル)プロパン、p−ビス(β−(メタ)アク
リロイルオキシエチルチオ)キシリレン、m−ビス(β
−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン
等、がある。
【0026】前記多官能性不飽和単量体の代表例とし
て、例えばビスフェノールA、ビスフェノールS等のビ
スフェノール類のビスβ−メタリルカーボネート、ジア
クリレートまたはジメタクリレート;テトラクロロフタ
ル酸ビスヒドロキシエチルエステル、テトラクロロイソ
フタル酸ビスヒドロキシエチルエステル、テトラクロロ
テレフタル酸ビスヒドロキシエチルエステル、テトラブ
ロモフタル酸ビスヒドロキシエチルエステル、もしくは
テトラブロモテレフタル酸ビスヒドロキシエチルエステ
ル等のビスβ−メタリルカーボネート、ジアクリレート
またはジメタクリレート;ジビニルベンゼン、2,5−
ジビニルピリジン等、がある。
【0027】本発明の重合性組成物の重合硬化には、熱
による重合、活性エネルギー線による重合、および、こ
れらを併用する方法が採用され、このような励起作用を
印加することによって実施することができる。熱による
重合の場合は熱重合開始剤を、活性エネルギー線、例え
ば紫外線、の場合には光(紫外線)重合開始剤を使用す
ることが好ましい。
【0028】さらに具体的には、熱硬化の場合は、重合
性組成物に熱重合開始剤、例えば、好ましくはベンゾイ
ルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネ
ート、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シ(2−エチルヘキサノエート)、アゾイソブチロニト
リル等、を添加溶解し、加熱温度20℃〜150℃、好
ましくは30〜130℃、の範囲で1〜30時間、好ま
しくは10〜20時間、重合硬化反応させることが好ま
しい。反応雰囲気は、大気中あるいは不活性ガス中の何
れでもよいが、操作上好ましくは大気中である。
【0029】紫外線硬化の場合は、重合性組成物に光重
合開始剤、例えば、好ましくはベンゾフェノン、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテ
ル、ジエトキシアセトフェノン、2,4,6−トリメチ
ルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイド等、を添
加溶解し、大気中あるいは不活性ガス中で紫外線を照射
して重合硬化反応させる。照射光量は、組成物および光
重合開始剤の種類によって適宜選択されるが、0.01
〜300J/cm2 、特に20〜100J/cm 2 が好
ましい。光源としては、ケミカルランプ、キセノンラン
プ、低圧(高圧)水銀ランプ、メタルハライドランプ等
が使用される。紫外線以外の活性エネルギー線、たとえ
ば電子線等では光重合開始剤なしでも重合硬化が可能で
ある。
【0030】光重合開始剤および熱重合開始剤の使用量
は、組成物の総重量に対して0.01〜5%程度、好ま
しくは0.03〜2%の範囲である。その量が少なすぎ
ると硬化が不充分となるし、多すぎると硬化樹脂が黄変
しやすいし、かつ重合制御が困難となる。本発明の重合
組成物においては、補助剤として、ラジカル重合促進
剤、重合調節剤、紫外線吸収剤、離型剤、酸化防止剤、
その他の添加剤を適宜配合することができる。これらの
添加剤は公知の市販品を使用することができるが、特に
酸化防止剤としてはリン系の酸化防止剤が好ましい。
【0031】前記の単量体組成物を用いて高屈折率樹脂
を得る重合方法は、特に限定的でなく、公知の注型重合
方法を採用できる。代表的な重合方法を例示すると、エ
ラストマーガスケットまたはスペーサーで保持されてい
るモールド間に、ラジカル重合開始剤を含む前記の単量
体組成物を注入し、空気炉中で硬化させた後、取出せば
よい。重合を完結させるために、重合硬化物を、モール
ド内で、あるいはモールドから取り出してから、更なる
加熱および(または)活性エネルギー線の照射その他の
重合促進処理に付することもできる。
【0032】本発明の有機硫黄化合物を含有してなる組
成物は高屈折率で比重が小さく、透明性、靱性、耐熱
性、耐候性等に優れた樹脂を与える。
【0033】
【実施例】以下、本発明を具体的に説明するために、実
験例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。なお、実施例において得られた
有機硫黄化合物及び高屈折率樹脂は、下記の試験法によ
って諸物性を測定した。 (1)IRスペクトル 日本分光(株)製A−3型赤外分光光度計を用い、Na
Cl法により測定した。 (2) 1H−NMRスペクトル バリアン社製ジェミニ300(300MHz)を用い、
試料をCDCl3 に希釈し、テトラメチルシランを内部
標準として測定した。 (3)13C−NMRスペクトル バリアン社製ジェミニ300(75MHz)を用い、試
料をCDCl3 に希釈し、CDCl3 の炭素のシフトを
77.0ppmとして測定した。 (4)マススペクトル 日本電子(株)製JMS D−300を用いて測定し
た。 (5)屈折率・アッベ数 アタゴ(株)製アッベ屈折計2形を用いて、室温におけ
る屈折率及びアッベ数を測定した。接触液にはジヨード
メタンを使用した。なお、合成例3で得た有機硫黄化合
物については、接触液を用いずに液相のままで測定し
た。 (6)外観 目視により測定した。
【0034】合成例1 ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ〔5.2.1.0
2,6 〕デカンの異性体混合物103g(0.50モル)
とN,N−ジメチルアニリン178g(1.5モル)と
ジクロロメタン300mlをよく混合した溶液に、氷浴
中で2時間かけて塩化チオニル188g(1.5モル)
を加え室温で10分、50℃で3時間撹拌した。これを
1N塩酸水溶液1リットルにそそぎよく振った後、有機
層を分取し、水層からはジクロロメタン500mlで抽
出し、先の有機層と合わせた溶液を1N塩酸水溶液1リ
ットル、蒸留水800ml、2N炭酸ナトリウム水溶液
1リットル、蒸留水800mlで洗浄した。これを無水
硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶媒:四塩化炭素)で精製し、ビ
ス(クロロメチル)トリシクロ〔5.2.1.02,6
デカンの異性体混合物92g(ビス(ヒドロキシメチ
ル)トリシクロ〔5.2.1.02,6 〕デカンから収率
78%)を得た。
【0035】合成例2 チオ尿素41.9g(0.54モル)をトリエチレング
リコール100mlに溶かした溶液に、75℃で50分
かけてクロロメチルスチレン76.3g(0.47モ
ル)(セイミケミカル社製、CMS−P(m体60%、
p体40%、純度95%)を加え、110℃で80分攪
拌した後、テトラエチレンペンタミン95g(0.50
モル)を100℃で40分かけて加え、110℃で70
分攪拌した。得られた溶液を減圧蒸留し、2mmHgで
65〜75℃の留分を分取し、メルカプトメチルスチレ
ンの無色液体53.9g(m体60%、p体40%、ク
ロロメチルスチレンから収率76%)を得た。
【0036】合成例3 水酸化ナトリウム7.6g(180ミリモル)、ヘキサ
デシルトリブチルホスホニウムブロマイド4.4g
(8.4ミリモル)、蒸留水55ml、トルエン50m
lをよく混合した溶液に、ゆっくりとメルカプトメチル
スチレン(m体60%、p体40%)25.9g(16
4ミリモル)を加えてよく撹拌した。これに合成例1で
得たビス(クロロメチル)トリシクロ〔5.2.1.0
2,6 〕デカン19.2g(82ミリモル)をトルエン2
5mlに溶かした溶液を室温で10分かけて加えた後、
室温で15分、75℃で3.5時間撹拌した。この溶液
をトルエン700mlで抽出し、1N水酸化ナトリウム
水溶液500mlで2回、塩化ナトリウム水溶液1リッ
トルで1回洗浄後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶媒:n−ヘキサン−ジクロロメタン)で
精製し、ビス(p−スチリルメチルチオ)トリシクロ
〔5.2.1.02,6 〕デカンの異性体混合物25g
(収率66%、純度96%)を得た。
【0037】本化合物の屈折率およびアッベ数は以下の
とおりであった。 屈折率:1.615 アッベ数:28 このもののIRチャートを図1に、 1H−NMRチャー
トを図2に、13C−NMRチャートを図3に示した。ま
た、マススペクトルでは分子イオンピーク(461)や
スチリルメチルチオ基のピーク(149)等を確認し
た。
【0038】実施例1 合成例3で得られたモノマー15.00gとt−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)0.1
5gを混合し、均一な配合物とした。次に、直径100
mmの円板型ガラス2枚を間隔が2mmとなる様に対向
させ、周囲をポリエチレン製ガスケットで囲むことによ
り構成された鋳型内に前記の配合物を注入し、50℃で
6時間、70℃で3時間、90℃で3時間、110℃で
3時間加熱し硬化させた。硬化物を鋳型から脱型し、1
30℃で2時間加熱し、透明な平板を得た。得られた平
板の屈折率,アッベ数、比重および外観を表1に示し
た。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の有機硫黄化合物を含有してなる
組成物は、高屈折率で比重が小さく、透明性、靱性、耐
熱性、耐候性等に優れた樹脂を与える。本発明により得
られる高屈折率樹脂は有機ガラスとして有用であり、例
えばメガネレンズ、光学機器レンズ等の光学レンズとし
て最適であり、更にプリズム、光ディスク基板、光ファ
イバー等の用途に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1により得られた異性体混合物のIR
スペクトルチャート
【図2】 実施例1により得られた異性体混合物の1
−NMRスペクトルチャート
【図3】 実施例1により得られた異性体混合物の13
−NMRスペクトルチャート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 12/00 - 12/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[I]で示される不飽和有機化合
    物40〜100重量%と、これを共重合して透明な共重
    合体を与え得る他の不飽和単量体0〜60重量%との混
    合物を重合硬化させてなる硬化体。 【化1】
  2. 【請求項2】 下記一般式[I]で示される有機硫黄化
    合物。 【化2】
JP18145694A 1994-08-02 1994-08-02 有機硫黄化合物含有重合性組成物 Expired - Fee Related JP3517965B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18145694A JP3517965B2 (ja) 1994-08-02 1994-08-02 有機硫黄化合物含有重合性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18145694A JP3517965B2 (ja) 1994-08-02 1994-08-02 有機硫黄化合物含有重合性組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0841126A JPH0841126A (ja) 1996-02-13
JP3517965B2 true JP3517965B2 (ja) 2004-04-12

Family

ID=16101083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18145694A Expired - Fee Related JP3517965B2 (ja) 1994-08-02 1994-08-02 有機硫黄化合物含有重合性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3517965B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006152105A (ja) * 2004-11-29 2006-06-15 Jsr Corp 光硬化性樹脂組成物及び光学部材

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0841126A (ja) 1996-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2000015591A1 (fr) Composes alicycliques et composition de resine durcissable
WO1997008139A1 (fr) Composes soufres et procede de production
JPH0761980B2 (ja) アダマンチルモノ(メタ)アクリレート誘導体
JP2012167019A (ja) 光学素子用化合物、光学材料及び光学素子
JP2509622B2 (ja) アダマンチルジアクリレ―トもしくはジメタクリレ―ト誘導体
JP3517965B2 (ja) 有機硫黄化合物含有重合性組成物
JP2570776B2 (ja) イオウ含有脂肪族系アクリル化合物
JP4553647B2 (ja) カリックスレゾルシンアレーン誘導体及びその製法
JPH0430947B2 (ja)
AU764146B2 (en) Polymerizable sulfur-containing (meth)acrylate, polymerizable composition and optical lens
JP2801494B2 (ja) ジアリル化合物および該化合物を用いた架橋重合体の製造方法
JP2656109B2 (ja) トリアジン化合物及びその製造方法
JP3541420B2 (ja) イオウ含有スチレン系化合物
JPH0676370B2 (ja) イオウ含有アクリル化合物
JP2005225799A (ja) カリックスアレーン誘導体及びその製造方法
JP4112912B2 (ja) 新規なアダマンタンカルボン酸エステル及びその製造方法
JP2505574B2 (ja) ノルボルナン化合物及びその製造方法
JP3551508B2 (ja) 有機硫黄化合物
JP2001302619A (ja) 芳香族基含有重合性チオエ−テル化合物、これを含む重合性組成物及び光学材料
JP2016075911A (ja) 光学材料、光学素子
JP5682853B2 (ja) 10−アシルオキシ−1,2,3,4−テトラヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物、その製造法及び該(メタ)アクリレート化合物を重合してなる重合物。
JPH0240345A (ja) ビフェニル化合物及びその製造方法
JPH1053632A (ja) 樹脂組成物、注型用組成物及びその硬化物
JP3595586B2 (ja) 不飽和単量体および高屈折率樹脂材料
JP3595615B2 (ja) 含硫黄(メタ)アクリル酸エステル

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040119

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080206

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090206

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090206

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100206

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees