JP3516819B2 - モノマーの蒸発システム、同蒸発システムを備えた真空処理室、および有機化合物膜の成膜方法 - Google Patents

モノマーの蒸発システム、同蒸発システムを備えた真空処理室、および有機化合物膜の成膜方法

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JP3516819B2
JP3516819B2 JP26231996A JP26231996A JP3516819B2 JP 3516819 B2 JP3516819 B2 JP 3516819B2 JP 26231996 A JP26231996 A JP 26231996A JP 26231996 A JP26231996 A JP 26231996A JP 3516819 B2 JP3516819 B2 JP 3516819B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モノマーの蒸発シ
ステム、同蒸発システムを備えた真空処理室、および
機化合物膜の成膜方法に関するものであり、更に詳細に
は、例えば半導体素子の絶縁膜、パッシベーション膜、
ソフトエラー膜、液晶配向、プラスチックコンデンサー
の誘電体、射出成形金型の断熱膜等に用いられる有機化
合物膜を成膜する際に、該有機化合物膜の原料モノマー
を蒸発させるために用いるモノマーの蒸発システム、同
蒸発システムを備えた真空処理室、および有機化合物膜
の成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、前記有機化合物膜の原料モノマー
となる有機化合物は、無機化合物に比べて、蒸気圧が高
く、低温度で蒸発(昇華)し、真空中での蒸発温度は、
一般にマイナス10℃からプラス250℃の範囲にあ
る。
【0003】そして、この種の有機化合物膜の原料モノ
マーを蒸発させる蒸発源としては、従来はボートを用
い、抵抗加熱によって原料モノマーを直接加熱して蒸発
させるもの、ボートの近傍に配設された加熱ヒーター等
の輻射装置で原料モノマーを輻射加熱して蒸発させるも
の、或いは、通常のCVD(Chemical Vapor Depositio
n)法と同様に真空処理室の外側で加熱蒸発して得られ
たガス状の原料モノマーを配管を介して真空処理室内に
導入させるもの等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の有機化合物膜の
原料モノマーには、市販の有機化合物をそのまま利用し
ている。しかし、既製品では、純度が100%ではないた
め、少なくとも0.1%以上の不純物を含んでいるのが現
状である。例えばピロメリト酸二無水物の場合の工場出
荷の規格値が純度99.2%であったとすると、1kg中に
は、既に8gの不純物を含んでいることになる。原料モノ
マーの種類、保管状況によっては、大気中の水(湿気)
等と反応し、更に不純物を増加させることになる。
【0005】これら有機化合物膜の原料モノマーを用い
て基板上に有機化合物の蒸着重合膜を成膜すると、膜中
にこれら不純物が反応しないで、パーティクルとして残
ってしまい、凹凸やピンホールのある膜が出来てしま
う。
【0006】そこで、蒸発中に有機化合物粉体が蒸発源
の外へ飛散するのを防ぎ、ピンホールのない膜を成膜す
るという目的で、特開平6-349809号公報で「有機化合物
原料を収容した蒸発材料容器を加熱して有機化合物を蒸
発させるようにした有機化合物用蒸発源において、有機
化合物蒸発源の上部にフィルタを設け、有機化合物原料
粉体を蒸発材料容器の外へ飛散させないようにした有機
化合物用蒸発源」が提案されている。そしてフィルタと
して発泡金属を用いている。
【0007】しかし、前記特開平6-349809号公報で提案
の有機化合物用蒸発源の場合は、フィルタ(発泡金属)
で有機化合物原料粉体の飛散を防止することが出来て
も、原料モノマーの不純物は、原料モノマーと共にフィ
ルタ(発泡金属)を通過してしまう。そのため、膜厚が
0.1μm(1×103Å)以下の薄膜であれば 影響は少ない
が、膜厚が10μm(1×105Å)以上の厚膜を成膜する
と、この不純物が核成長し、数μm以上の凹凸が生成さ
れてしまう。
【0008】原料モノマーの飽和蒸気圧の差を利用し
て、蒸発量を抑制し、純度が 100%の原料モノマーのみ
を蒸発させれば、この問題を解消することが出来るが、
この場合、成膜速度が5分の1以下になり、実用的では
ない。
【0009】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決するもので、蒸発源内で原料モノマーの不純物を取り
去り、パーティクルの少ない有機化合物膜を成膜するこ
とが可能なモノマーの蒸発システム、同蒸発システム
備えた真空処理室、および有機化合物膜の成膜方法を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のモノマーの蒸発
システムは、真空中で基板上に有機化合物膜を形成する
二種類の原料モノマーを夫々蒸発させる二つの蒸発シス
テムからなり、該蒸発システムのうちの少なくとも一方
は、蒸発源と真空排気系を接続した加熱冷却装置とから
構成されることを特徴する。
【0011】また、蒸発システムを備えた真空処理室
は、真空中で基板上に有機化合物膜を形成する二種類の
原料モノマーを夫々蒸発させる二つの蒸発システムを備
えた真空処理室において、該蒸発システムのうちの少な
くとも一方は、蒸発源と真空排気系を接続した加熱冷却
装置とから構成されることを特徴する。
【0012】また、有機化合物膜の成膜方法は、真空処
理室内で有機化合物膜を形成する二種類の原料モノマー
を夫々の蒸発源より蒸発させ、基板上に蒸着重合させて
有機化合物膜を成膜する方法において、原料モノマーの
うち少なくとも一方の原料モノマーの蒸発は蒸発源
真空排気系を接続した加熱冷却装置とから構成される蒸
発システムを用いて蒸発させることを特徴とする。
【0013】
【作用】蒸発システムの蒸発源に入っている少なくとも
一方の原料モノマーを加熱し、蒸発源に連なる加熱冷却
装置を冷却すると共に、真空排気系を排気することによ
り、原料モノマーと不純物との飽和蒸気圧の差を利用し
て、蒸発(昇華)した原料モノマーのみが、冷却されて
いる加熱冷却装置内に付着するようになる。この時原料
モノマー中の不純物は、元の蒸発源にとどまるため、容
易に分離出来るようになる。
【0014】次に、真空排気系の排気を止め、加熱冷却
装置に接続されている真空処理室側から排気すると共
に、加熱冷却装置の冷却を停止し、これを加熱すること
により、この加熱冷却装置内に付着していた原料モノマ
ーが蒸発し、真空処理室内に導入される。真空処理室内
に導入された一方の原料モノマーは、他の蒸発システム
蒸発源で加熱され、蒸発し、真空処理室内に導入され
た他方の原料モノマーと共に基板上で蒸着し、重合して
有機化合物膜が成膜されるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の蒸発システムは、二種類
原料モノマーを夫々蒸発させる蒸発源と、少なくとも
一方の蒸発源の下流側に、加熱冷却機構及びその内部
独自に排気出来る真空排気系を有する加熱冷却装置とを
備えている。なお、本発明において、通常の蒸発の他
に、昇華も便宜上蒸発ということにする。
【0016】本発明の蒸発システムの構成を添付図面に
基づき説明する。
【0017】図1は本発明の蒸発システムの1実施例を
示す。
【0018】図中、1は蒸発源1aと加熱冷却装置1b
とから構成される蒸発システムを示す
【0019】蒸発源1aは、蒸発槽2、一方の原料モノ
マー3原料モノマー3を充填するためのアルミニウム
製または銅製のルツボ4および蒸発槽2を覆っている
蒸発源ヒーター5で構成されている。
【0020】また、加熱冷却装置1bは金属製の真空容
器6と真空容器6を覆っている真空容器ヒーター7で構
成されている。そして、真空容器6内には冷媒循環器8
を介して水または不凍液のような冷媒を循環させて冷却
出来る金属製の円筒状容器9が配置されている。
【0021】また、蒸発源1aと加熱冷却装置1bはバ
ルブ10を介して蒸発源1a側に配管ヒーター11aを
備える配管11と、加熱冷却装置1b側に配管ヒーター
12aを備える配管12とで接続されている。
【0022】また、加熱冷却装置1bは排気バルブ13
を介して図示されていない真空排気系と接続されてい
る。また、加熱冷却装置1bはバルブ14を介して全方
向蒸着重合装置(日本真空技術株式会社製、商品名 VEP
3040)の真空処理室内のモノマーノズルと接続するよう
にした。
【0023】このように、加熱冷却装置1bは真空容器
6と、真空容器6を覆っている真空容器ヒーター7と、
真空容器6内の冷却機構を備えた円筒状容器9とから
成される加熱冷却機構と、排気バルブ13を介して接続
される真空排気系とから成る。
【0024】次に、前記蒸発システムを備えた真空処理
室の構成を添付図面に基づき説明する。
【0025】図2は図1の蒸発システム1(蒸発源1a
加熱冷却装置1b)を全方向蒸着重合装置(日本真空
技術株式会社製、商品名 VEP3040)の真空処理室に接続
した場合の1例の構成図である。
【0026】先ず、図2に示すように、図1に示す蒸発
システム1(蒸発源1aと加熱冷却装置1b)をバルブ
14を介して真空処理室15内のモノマーノズル16に
接続した。
【0027】本発明において、図2に示す装置は、蒸発
源1aと加熱冷却装置1bから成る蒸発システム1の他
に、蒸発源1cから成る別の蒸発システムを有する。
【0028】蒸発源1cは、蒸発槽17、他方の原料モ
ノマー18原料モノマー18を充填するためのアルミ
ニウム製または銅製のルツボ19および蒸発槽17を
覆っている蒸発源ヒーター20で構成されている。
【0029】また、蒸発源1cはバルブ21に配管ヒー
ター22aを備える配管22を接続すると共に、蒸発源
1cをバルブ21を介して真空処理室15内のモノマー
ノズル23に接続した。
【0030】また、全方向蒸着重合装置の真空処理室1
5内には、二種類の原料モノマー3、18を蒸着させ、
これを重合させて有機化合物膜を形成するための基板2
4を基板保持装置(図示せず)に保持するようにした。
【0031】また、全方向蒸着重合装置の真空処理室1
5は排気バルブ25を介して図示されていない真空排気
系が接続されている。また、真空処理室15の全壁部に
は加熱ヒーター26が配置されている。また、前記真空
処理室15と排気バルブ25に接続されている真空排気
系配管27には配管ヒーター27aが配置されている。
【0032】
【実施例】前記図2に示す装置を用いて本発明の有機化
合物膜の成膜方法の実施例を比較例と共に説明する。
【0033】実施例1 本実施例は有機化合物膜の原料モノマーとしてピロメリ
ト酸二無水物(以下PMDAと称する)と、4,4′−
ジアミノジフェニルエーテル(以下ODAと称する)を
用いてポリイミド膜の成膜例である。
【0034】また、基板24としてステンレス製の大き
さ 縦100mm×横100mm×厚さ1mmの平板状のものを用い
た。
【0035】先ず、蒸発源1a内のルツボ4に原料モノ
マー3としてPMDAを200g充填した。そして、バルブ
10とバルブ13を開き、バルブ13に接続してある真
空排気系を介して蒸発源1a内の圧力を予め1.3×10-3P
a(1×10-5Torr)に設定した。尚、バルブ14は閉じた状
態とした。
【0036】続いて、蒸発源ヒーター5で蒸発槽2内の
PMDAを温度210±0.2℃に加熱して、原料モノマー3
昇華させ、バルブ10を介して加熱冷却装置1bの真
空容器6内の円筒状容器9に付着させた。この時、配管
ヒーター11aで配管11を、また配管ヒーター12a
で配管12を夫々温度200±0.2℃に加熱した。また、予
め冷媒循環器8を介して循環せる冷媒(不凍液)で円筒
状容器9を温度−2±0.2℃に冷却した。
【0037】すると、円筒状容器9には白色のPMDA
が約190g付着しており、蒸発源1a内のルツボ4内には
綿状の残渣(PMDAの不純物であるピロメリト酸)が
残っていた。
【0038】続いて、バルブ10とバルブ13を閉じ、
冷媒循環器8を介して循環せる冷媒による円筒状容器9
の冷却を停止すると共に、真空容器ヒーター7で円筒状
容器9に付着しているPMDAを温度210±0.2℃に加熱
した。
【0039】次に、蒸発源1c内のルツボ19に原料モ
ノマー18としてODAを200g充填した。また、バルブ
21を開き、真空処理室15の排気バルブ25に接続し
た真空排気系を介して蒸発源1c内の圧力を予め1.3×1
0-3Pa(1×10-5Torr)に設定した。
【0040】続いて、バルブ21を閉じ、蒸発源ヒータ
ー20で蒸発槽19内のODAを温度183±0.2℃に加熱
した。
【0041】尚、真空処理室ヒーター26で真空処理室
15を、また、配管ヒーター27aで真空排気系配管2
7を夫々温度200±0.2℃に加熱した。
【0042】次に、バルブ14とバルブ21とを同時に
開き、PMDAをバルブ14を介してモノマーノズル1
6より真空処理室15内に導入すると共に、ODAをバ
ルブ21を介してモノマーノズル23より真空処理室1
5内に導入した。
【0043】真空処理室15内へのPMDAとODAの
導入から1時間後に、バルブ14とバルブ21とを同時
に閉じて、真空処理室15内へのPMDAとODAの導
入を停止して、基板24表面全体に膜厚10μm(1×105
Å)のポリイミド膜を成膜した。
【0044】尚、基板24へのポリイミド膜の成膜速度
は16μm(1.6×105Å)/分 (min)とした。また、PM
DAとODAは化学量論的にポリイミド膜が形成される
ようにほぼ1:1のモル比で蒸発させるようにした。ま
た、成膜中は基板24の温度は200℃とした。また、成
膜中の真空処理室15内の圧力は0.1Pa(1×10-3Torr)と
した。
【0045】続いて、真空処理室15内を常圧にした
後、真空処理室15内より基板24を取出し、基板24
を見たところ、表面には凹凸が極めて少ない、きれいな
ポリイミド膜が形成されていた。
【0046】基板24上に成膜されたポリイミド膜の表
面状態[金属顕微鏡写真(倍率100倍)]を図3に示す。
【0047】比較例1 本比較例は従来法により有機化合物膜の原料モノマーと
してピロメリト酸二無水物(PMDA)と、4,4′−
ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を用いてポリイ
ミド膜の成膜例である。
【0048】また、基板24としてステンレス製の大き
さ 縦100mm×横100mm×厚さ1mmの平板状のものを用い
た。
【0049】また、本比較例は従来法と同様に図2に示
加熱冷却装置1bを機能させずにポリイミド膜を成膜
した場合である。そして、排気バルブ13は常に閉じた
状態とし、バルブ14は常に開いた状態とした。また、
配管ヒーター12aで配管12を、また、真空容器ヒー
ター7で加熱冷却装置1bの真空容器6を温度200±0.2
℃に加熱した。
【0050】先ず、蒸発源1a内のルツボ4に原料モノ
マー3としてPMDAを200g充填した。そして、バルブ
10と真空処理室15に接続した排気バルブ25を開
き、排気バルブ25に接続してある真空排気系を介して
蒸発源1a内の圧力を予め1.3×10-3Pa(1×10-5Torr)に
設定した。
【0051】続いて、バルブ10を閉じ、蒸発源ヒータ
ー5で蒸発槽2内のPMDAを温度210±0.2℃に加熱し
た。また、配管ヒーター11aで配管11を温度200±
0.2℃に加熱した。
【0052】次に、蒸発源1c内のルツボ19に原料モ
ノマー18としてODAを200g充填した。また、バルブ
21を開き、真空処理室15の排気バルブ25に接続し
た真空排気系を介して蒸発源1c内の圧力を予め1.3×1
0-3Pa(1×10-5Torr)に設定した。
【0053】続いて、バルブ21を閉じ、蒸発源ヒータ
ー20で蒸発槽19内のODAを温度183±0.2℃に加熱
した。また、配管ヒーター22aで配管22を温度200
±0.2℃に加熱した。
【0054】尚、真空処理室ヒーター26で真空処理室
15を、また、配管ヒーター27aで真空排気系配管2
7を夫々温度200±0.2℃に加熱した。
【0055】次に、バルブ10とバルブ21とを同時に
開き、PMDAをバルブ10を介してモノマーノズル1
6より真空処理室15内に導入すると共に、ODAをバ
ルブ21を介してモノマーノズル23より真空処理室1
5内に導入した。
【0056】真空処理室15内へのPMDAとODAの
導入から1時間後に、バルブ10とバルブ21とを同時
に閉じて、真空処理室15内へのPMDAとODAの導
入を停止して、基板24表面全体に膜厚10μm(1×105
Å)のポリイミド膜を成膜した。
【0057】尚、基板24へのポリイミド膜の成膜速度
は16μm(1.6×105Å)/分 (min)とした。また、PM
DAとODAは化学量論的にポリイミド膜が形成される
ようにほぼ1:1のモル比で蒸発させるようにした。ま
た、成膜中は基板24の温度は200℃とした。また、成
膜中の真空処理室15内の圧力は0.1Pa(1×10-3Torr)と
した。
【0058】続いて、真空処理室15内を常圧にした
後、真空処理室15内より基板24を取出し、基板24
を見たところ、表面には凹凸のあるポリイミド膜が形成
されていた。
【0059】基板24上に形成されたポリイミド膜の表
面状態[金属顕微鏡写真(倍率100倍)]を図4に示す。
【0060】図3および図4から明らかなように、本発
明の蒸発システムを用いた実施例1はで、成膜されたポ
リイミド膜の表面が平らであるのに対し、従来法による
比較例1はでポリイミド膜の表面が凹凸であることが分
かる。
【0061】次にPMDAの加熱温度を種々変えてポリ
イミド膜を成膜した場合における、PMDAの加熱温度
と成膜されたポリイミド膜のパーティクル密度との関係
を調べることとした。
【0062】実施例2 ポリイミド膜の成膜条件を (1) 基板:スライドガラス(大きさ76mm×26mm×厚さ
1mm) (2) 原料モノマーの加熱温度 ODA:183±0.2℃ PMDA:210±0.2℃、230±0.2℃の2種類 (3) 基板温度:200℃ (4) 成膜中の真空処理室内の圧力:1Pa(7.5×10-3Tor
r) (5) 成膜時間:PMDA温度210±0.2℃の場合は2時
間 PMDA温度230±0.2℃の場合は1.5時間 尚、成膜時間は膜厚を一定にするためにPMDA温度に
より時間調整した (6) 膜厚:10μm(1×105Å) とした以外は、前記実施例1と同様の方法で基板上にポ
リイミド膜を成膜した。
【0063】そして、PMDAの加熱温度が異なる条件
で成膜されたポリイミド膜の夫々について、単位面積
(1cm2)のポリイミド膜内で大きさφ10μm以上のパー
ティクルの数を金属顕微鏡(倍率100倍)で計測した。
尚、計測は1サンプル内で、いずれも5個所測定し、そ
の平均値をパーティクル密度として表1に示した。
【0064】比較例2 ポリイミド膜の成膜条件を (1) 基板:スライドガラス(大きさ76mm×26mm×厚さ
1mm) (2) 原料モノマーの加熱温度 ODA:183±0.2℃ PMDA:160±0.2℃、170±0.2℃、180±0.2℃、210
±0.2℃の4種類 (3) 基板温度:200℃ (4) 成膜中の真空処理室内の圧力:1Pa(7.5×10-3Tor
r) (5) 成膜時間:PMDA温度160±0.2℃の場合は4時
間 PMDA温度170±0.2℃の場合は3時間 PMDA温度180±0.2℃の場合は2.5時間 PMDA温度210±0.2℃の場合は2時間 尚、成膜時間は膜厚を一定にするためにPMDA温度に
より時間調整した (6) 膜厚:10μm(1×105Å) とした以外は、前記比較例1と同様の方法で基板上にポ
リイミド膜を成膜した。
【0065】そして、PMDAの加熱温度が異なる条件
で成膜されたポリイミド膜の夫々について、前記実施例
2と同様の方法でパーティクルの数を計測し、その平均
値をパーティクル密度として表1に示した。
【0066】
【表1】 尚、表1におけるパーティクル密度は全て成膜されたポ
リイミド膜の膜厚10μmで対比した。
【0067】表1から明らかなように、本発明の蒸発
ステムを用いた実施例2は、パーティクル密度は原料モ
ノマーの温度に依存しないが、従来法による比較例2
は、パーティクル密度は原料モノマーの温度に依存する
ことが分かる。
【0068】本発明の蒸発源を備えた真空処理室の構成
は、図2(図1の蒸発システム1を前記全方向蒸着重合
置の真空処理室に1個接続)に示す構成に限定される
ものではなく、次のような構成としてもよい。その構成
について説明する。
【0069】図5は図1の蒸発システム1を前記全方向
蒸着重合装置の真空処理室に2個接続した場合の構成図
である。
【0070】先ず、図5に示すように、図1に示す蒸発
システム1(蒸発源1aと加熱冷却装置1b)をバルブ
14を介して真空処理室15内のモノマーノズル16と
接続した。
【0071】本発明において、図5に示す装置は、蒸発
源1aと加熱冷却装置1bから成る蒸発システム1の他
に、これと同様の構成の蒸発源1cと加熱冷却装置1d
から成る別の蒸発システムを有する。
【0072】蒸発源1cは、蒸発槽17、他方の原料モ
ノマー18原料モノマー18を充填するためのアルミ
ニウム製または銅製のルツボ19および蒸発槽17を
覆っている蒸発源ヒーター20で構成されている。
【0073】また、加熱冷却装置1dは、金属製の真空
容器28と真空容器28を覆っている真空容器ヒーター
29で構成されている。そして、真空容器28内には冷
媒循環器30を介して水または不凍液のような冷媒を循
環させて冷却出来る金属製の円筒状容器31が配置され
ている。
【0074】そして、蒸発源1cと加熱冷却装置1dは
バルブ32を介して蒸発源1c側に配管ヒーター33a
を備える配管33と、加熱冷却装置1d側に配管ヒータ
ー34aを備える配管34とで接続されている。
【0075】また、加熱冷却装置1dは排気バルブ35
を介して図示されていない真空排気系と接続されてい
る。また、加熱冷却装置1dはバルブ36を介して真空
処理室15内のモノマーノズル23に接続した。
【0076】その他の符号は図2と同一のため説明を省
略する。また、蒸発源1cの作用は前記蒸発源1aと同
様であり、また、加熱冷却装置1dの作用は前記加熱冷
却装置1bと同様である。
【0077】このように真空処理室に接続せる二つの蒸
発システムをいずれも、蒸発源に真空排気系を有する
熱冷却装置を接続した構成にすることによって、有機化
合物膜の両原料モノマーの純度を高めることが出来る。
【0078】本発明において、有機化合物膜の成膜は前
記ポリイミド膜に限定されるものではない。また、原料
モノマーが昇華性の有機化合物である場合、これを昇華
させて、重合膜(有機化合物膜)を作製する方法にも、
本発明の蒸発システムを利用することが出来る。
【0079】
【発明の効果】本発明のモノマーの蒸発システムは、そ
のうちの少なくとも一方蒸発源と真空排気系を接続し
加熱冷却装置とから構成されるので、原料モノマーは
蒸発源と加熱冷却装置間で真空精製されるから、より純
度の高い有機化合物の原料モノマーを容易に得ることが
出来る効果がある。また、真空中で有機化合物膜の原料
モノマーを精製出来るので、原料モノマーが大気中の水
分と反応することがなく、純度の高い状態で供給するこ
とが出来る。
【0080】本発明の蒸発システムを備えた真空処理室
は、真空処理室に接続した蒸発システムのうちの少なく
とも一方蒸発源と真空排気系を接続した加熱冷却装置
から構成されるので、原料モノマーは蒸発源と加熱冷
却装置間で真空精製されるから、より純度の高い有機化
合物の原料モノマーを真空処理室内に容易に供給するこ
とが出来る効果がある。また、真空中で有機化合物膜の
原料モノマーを精製出来るので、原料モノマーが大気中
の水分と反応することがなく、純度の高い状態で真空処
理室内に供給することが出来る。
【0081】本発明の有機化合物膜の成膜方法は、原料
モノマーのうち少なくとも一方の原料モノマーを、蒸発
と真空排気系を接続した加熱冷却装置とから構成され
る蒸発システムより蒸発させるようにしたので、原料モ
ノマーは蒸発源と加熱冷却装置間で真空精製されるか
ら、より純度の高い有機化合物を原料モノマーとして蒸
発させることが出来ると共に、精製された有機化合物の
原料モノマーを用いることにより、パーティクルの極め
て少ない有機化合物膜を容易に成膜することが出来る効
果がある。また、真空中で有機化合物膜の原料モノマー
を精製出来るので、原料モノマーが大気中の水分と反応
することがなく、純度の高い状態で基板上で蒸着重合さ
せることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のモノマーの蒸発システムの実施の1
例を示す截断面図、
【図2】 本発明のモノマーの蒸発システムを真空処理
室に接続した実施の1例を示す截断面図、
【図3】 本発明の蒸発システムを用いて基板上に成膜
したポリイミド膜の表面状態[金属顕微鏡写真(倍率10
0倍)]を表わす図面代用写真、
【図4】 従来法で基板上に成膜したポリイミド膜の表
面状態[金属顕微鏡写真(倍率100倍)]を表わす図面
代用写真、
【図5】 本発明のモノマーの蒸発システムを真空処理
室に接続した他の実施例を示す截断面図。
【符号の説明】
蒸発システム、 1a,1c 蒸発源、
b,1d 加熱冷却装置、 2,17 蒸発槽、
3,18 原料モノマー、 4,19 ルツボ、
5,20蒸発源ヒーター、 6,28 真空容器、
7,29 真空容器ヒーター、 8,30 冷媒
環器、 9,31 円筒状容器、 10,14,
1、32,36 バルブ、 11,12,22,3
3,34 配管、 11a,12a,22a,27
a,33a,34a 配管ヒーター、 13,25,
35 排気バルブ、 15 真空処理室、 16,
23 モノマーノズル、 24 基板、 26 真
空処理室ヒーター、 27 真空排気系配管。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空中で基板上に有機化合物膜を形成す
    る二種類の原料モノマーを夫々蒸発させる二つの蒸発シ
    ステムからなり、該蒸発システムのうちの少なくとも一
    は、蒸発源と真空排気系を接続した加熱冷却装置と
    ら構成されることを特徴するモノマーの蒸発システム
  2. 【請求項2】 真空中で基板上に有機化合物膜を形成す
    る二種類の原料モノマーを夫々蒸発させる二つの蒸発シ
    ステムを備えた真空処理室において、該蒸発システム
    うちの少なくとも一方は、蒸発源と真空排気系を接続し
    加熱冷却装置とから構成されることを特徴する蒸発
    ステムを備えた真空処理室。
  3. 【請求項3】 真空処理室内で有機化合物膜を形成する
    二種類の原料モノマーを夫々の蒸発源より蒸発させ、基
    板上に蒸着重合させて有機化合物膜を成膜する方法にお
    いて、原料モノマーのうち少なくとも一方の原料モノマ
    ーの蒸発は蒸発源と真空排気系を接続した加熱冷却装
    置とから構成される蒸発システムを用いて蒸発させるこ
    とを特徴とする有機化合物膜の成膜方法。
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