JP3516469B2 - テトラヒドロ−4h−ピラン−4−オンの製造 - Google Patents

テトラヒドロ−4h−ピラン−4−オンの製造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば縮合イミダゾピ
リジン誘導体の製造に使用できるテトラヒドロ−4H−
ピラン−4−オンの製造方法に関する。特開昭63−9
9069号及び特願平5−22444号に記載されてい
る縮合イミダゾピリジン誘導体は、ベンゾジアゼピン受
容体に高い親和性を示す化合物である。かかる誘導体は
ベンゾジアゼピン誘導体におけるふらつき、眠気などの
種々の副作用を回避できるので、ベンゾジアゼピン誘導
体に代わり得る薬物である。かかる誘導体の中にはジヒ
ドロピラノ環を包含するタイプの化合物があり、本発明
方法が目的としているテトラヒドロ−4H−ピラン−4
−オンは、このジヒドロピラノ環型縮合イミダゾピリジ
ン誘導体の出発原料である。
【0002】
【従来技術及び解決課題】テトラヒドロ−4H−ピラン
−4−オンは基本的には4−メチレン−テトラヒドロピ
ランを酸化反応に付すことにより製造される。特公昭6
0−4180号には以下の反応式に示される、4−メチ
レン−テトラヒドロピランをオゾン酸化することを特徴
とするテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンの製造方
法が記載されている:
【化1】 しかし、オゾン酸化は、O3発生装置が必要であり、ま
た副生物(過酸化物)の処理を行わなければならず、操
作性に難点があり、加えてO3化生成物(オゾニド)は
爆発性が高く、安全性にも問題がある。また、Zn/酢
酸やその他の還元剤(ジメチルスルファイド、トリフェ
ニルホスフィンなど)によるオゾニドの還元分解は反応
が突沸的に起こり反応の制御が不可能である上に、目的
物の分離精製が困難であったりもする。このような理由
から、オゾン酸化は工業的製法として好ましいとは言え
ない。尚、本発明者らが4−メチレン−テトラヒドロピ
ランのオゾン酸化を実際に試みたところ、収率は、40
〜50%と低い結果であった。
【0003】特公昭60−4180号にはまた、他の一
般の酸化剤(HNO3、KMnO4、KMnO4−KI
4、K2CrO4)を用いた反応収率の比較検討が記載
されている。しかし、すべての場合についてそれらの収
率は著しく低く(5.3%〜48%)、従って、これら
の反応も工業的製法として適したものとは言えない。
【0004】
【課題解決のための手段】本発明者らは、上記のような
欠点を伴わない酸化反応の条件を検索することにより、
ルテニウム化合物を用いる酸化反応を行えば、テトラヒ
ドロ−4H−ピラン−4−オンを高収率に製造できるこ
とを見いだした。即ち、本発明は、4−メチレン−テト
ラヒドロピランを、ルテニウム化合物を用いて酸化する
ことを特徴とする、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−
オンの製造方法に関する。本発明に用いられるルテニウ
ム化合物とは四酸化ルテニウム(RuO4)、二酸化ル
テニウム(RuO2)または三塩化ルテニウム(RuCl
3)を意味する。酸化反応を行う際、四酸化ルテニウム
を当量以上用いる場合はそれ単独の使用で十分である
が、他の二酸化ルテニウムまたは三塩化ルテニウムを用
いるか、四酸化ルテニウムを触媒量用いる場合は、共酸
化剤として過ヨウ素酸塩または次亜塩素酸塩などを存在
させる必要がある。本発明方法では、経済性かつ安全性
の面からルテニウム化合物として三塩化ルテニウムを用
い、かつ共酸化剤として過ヨウ素酸塩、特にメタ過ヨー
ド酸ナトリウム(NaIO4)を用いるのが好ましい。
なお、ルテニウム化合物として二酸化ルテニウム及び共
酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いる組み合わせ
も好適である。
【0005】本発明方法は、共酸化剤である過ヨウ素酸
塩または次亜塩素酸塩の添加速度を調節することにより
酸化反応を制御できるという利点を有しており、従って
工業的製法に十分適合し得る。本発明方法は通常、氷冷
下〜室温、好ましくは約10〜30℃にて行う。溶媒と
してはアセトニトリル及び水の混液、要すれば共存溶媒
としてハロゲン化炭化水素(クロロホルム、ジクロロメ
タン、四塩化炭素等)などを使用するが均一系の状態で
行うのが好ましい。本反応は通常発熱を伴うので、氷水
などで冷却しながら行うのが好ましい。ルテニウム化合
物を触媒量使用する場合には、4−メチレン−テトラヒ
ドロピランに対してルテニウム化合物を通常、0.01
〜0.2モル当量、好ましくは0.02〜0.1モル当量
使用し、また共酸化剤を通常、1.2〜5モル当量、好
ましくは2〜4モル当量使用すればよい。四酸化ルテニ
ウム単独の場合には、ピランに対して1.0〜1.5モル
当量、好ましくは1.1〜1.2モル当量使用すればよ
い。本反応により得られる生成物は通常の手法、例えば
蒸留、酸性亜硫酸ナトリウム水による処理などによって
精製することができる。4−メチレン−テトラヒドロピ
ラン、ルテニウム化合物はそれぞれ市販されている。
【0006】本発明方法の特徴としては、以下の点が挙
げられる。 1)テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンを高純度
に、かつ高収率で製造することができること。 2)安全性及び経済性の高い工業的製造法であること。 3)目的物であるテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オ
ンを一工程で製造できること。
【0007】以下に実施例を挙げて本発明方法の一態様
を説明するが、本発明の範囲がこれによって限定される
ものではない。
【実施例】実施例1 反 応
【化2】 20L−4頚フラスコ(撹拌羽根、温度計、冷却管)に
4−メチレンテトラヒドロピラン1200g(12mo
l)を加え、それをアセトニトリル6.0L及び水9.
0Lに溶解させる。次いで、三塩化ルテニウム(RuCl
3・nH2O、関東化学)16.3g(0.079mol)を
加える。得られた褐色の溶液にメタ過ヨード酸ナトリウ
ム(関東化学)523g(2.45mol、0.2当量)を
加える。27−28℃に達すれば氷水にて冷却する。発
熱が収まれば、同量のメタ過ヨード酸ナトリウムをさら
に加える(これは23−32℃内で行う)。同様の操作
を15回繰り返す(約3時間を要す)。これにより、メ
タ過ヨード酸ナトリウムを総量7845g(3.0当
量)使用した。得られた反応液をさらに22−25℃に
て30分、15℃にて30分撹拌する。反応液より析出
したヨード酸ナトリウムを一気にろ別し、塩化メチレン
30.8Lで洗浄する。このろ液、洗浄液を併せて撹拌
し、分液する。有機層を8%チオ硫酸ナトリウム水溶液
6.0Lで洗浄し、30℃以下の低温で溶媒を留去す
る。これにより、粗ピラノン1760gを得た。精 製 上記操作で得られた粗ピラノン4025gを減圧蒸留
し、主留分(沸点64−68℃/14−19mmHg)2
414g(収率78.9%)を得た。また、初留分14
1g及びトラップされた物質200gを併せ、再蒸留す
ると240g(収率7.8%)のピラノンを得ることが
できた。
【0008】元素分析(C682として、水分0.02
%以下) 理論値:C,59.98;H,8.05 計算値:C,60.00;H,7.951 H NMR δ(CDCl3):2.504(4H,t,J
=6.0Hz),3.977(4H,t,J=6.0Hz) GCガスクロマトグラフィー カラム:DBWA×0.53mm ID×15m(1.0μ
m) カラム温度:80℃ 導入温度:100℃ 検出温度:150℃ カラム流量:8.4ml/分 スプリット比:45:1 保持時間:5.9分 純度:99%
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 309/30 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4−メチレン−テトラヒドロピランを、
    ルテニウム化合物を用いて酸化することを特徴とする、
    テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンの製造方法。
  2. 【請求項2】 該ルテニウム化合物が、四酸化ルテニウ
    ム、二酸化ルテニウムまたは三塩化ルテニウムである請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 該酸化を共酸化剤の存在下に行う請求項
    1記載の方法。
  4. 【請求項4】 該共酸化剤が、過ヨウ素酸塩または次亜
    塩素酸塩である請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 該ルテニウム化合物として三塩化ルテニ
    ウムを、該共酸化剤として過ヨウ素酸ナトリウムを用い
    る請求項4記載の方法。
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