JP3514355B2 - プラズマエッチング装置用フォーカスリング - Google Patents
プラズマエッチング装置用フォーカスリングInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、LSIに代表され
る半導体デバイスの製造工程において、プラズマエッチ
ング加工によりウエハ面に微細な回路パターンを形成す
る際に、ウエハの周囲に配置して使用されるフォーカス
リングに関する。 【0002】 【従来の技術】プラズマエッチング装置は、一対の並行
平面電極を設置したエッチング装置内に反応性ガス(C
F4,Ar,O2等) を導入しながら上下両電極間に高周波電力
を印加して放電させ、生じたガスプラズマを用いて下部
電極上に載置したウエハ表面のフォトレジストされてい
ない部分をエッチングすることにより高精度で微細な回
路パターンを形成するものである。この場合、プラズマ
の拡散を防止して、プラズマ化された反応性ガスをウエ
ハの面上に効率よく入射させるために、電界補償リング
として機能するフォーカスリングがウエハの周囲に配置
されている。 【0003】特開平7−245292号公報にはエッチ
ングレートの均一性の向上を図る目的でフォーカスリン
グを、表面の外周側部位にタングステン系部材が露出す
る状態に設けられているカーボン系部材とタングステン
系部材との複合構造としたプラズマエッチング装置が提
案されている。これは、タングステンシリサイド(WS
i)やタングステン(W)等のタングステン系膜のエッ
チング処理を行う場合プラズマ化された反応ガスとフォ
ーカスリングのタングステンとが反応してハロゲン化合
物が発生しウエハ周辺部のエッチングが抑制されるの
で、エッチングレートの均一性の向上を図ることができ
るとするものである。 【0004】このフォーカスリングにはプラズマ状態の
反応性ガスに腐食されない耐蝕性、耐プラズマ性、耐熱
性および導電性などに優れた材質特性が要求され、従来
からアモルファスカーボンが用いられているが耐プラズ
マ性が充分でないためにプラズマ照射による消耗が進行
して使用寿命が短いという欠点があり、更に消耗に伴っ
てパーティクルの発生を招くなどの難点がある。これら
の問題は、LSIの高集積度化が進むに伴いプラズマ密
度が増大し、要求される加工精度が高くなるに伴ってま
すます重要な問題点となってきている。 【0005】ガラス状カーボン材は、熱硬化性樹脂を炭
化して得られる巨視的に無孔組織の硬質炭素物質で、高
強度、低化学反応性、ガス不透過性、自己潤滑性、堅牢
性などに優れ、不純物が少ない等の特性を有しており、
プラズマエッチング処理中にウエハを汚損する原因とな
る微細パーティクルが組織から離脱し難い利点がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明者は、フォーカ
スリングを構成するガラス状カーボン材の組織性状と耐
プラズマ性との関係について検討した結果、ガラス状カ
ーボン材の組織中に一定量のSiを均一に分散含有させ
ると化学的安定性(耐蝕性)が向上し、プラズマへの耐
性が優れ、また消耗に伴うパーティクルの発生が著しく
低減することを確認した。 【0007】本発明は、この知見に基づいて開発された
もので、その目的とするところはプラズマによる消耗が
少なく、微細なパーティクルの発生を抑制することがで
きるプラズマエッチング装置用フォーカスリングを提供
することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明によるプラズマエッチング装置用フォーカス
リングは、ガラス状カーボン組織中に原子レベルのSi
が0.1〜10重量%の範囲で均一に分散した複合組織
を備えるSi含有ガラス状カーボン材からなることを構
成上の特徴とする。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明のプラズマエッチング装置
用フォーカスリングは、ガラス状カーボン組織中にSi
成分が原子レベルで均質に分散している点に特徴があ
り、Si原子がガラス状カーボン組織中に均一な連続相
として分布する複合組織を備える場合に優れた効果が発
揮される。Siが原子レベルに分布する複合組織とは、
実質的にSiとCとの粒界が存在せず、透過型電子顕微
鏡(TEM) の観察によって粒状組織が識別できない組織状
態を指す。 【0010】ガラス状カーボン組織中に分散するSi
は、脆弱なガラス状カーボン組織を強化してパーティク
ルの脱落を防止するとともに、反応性ガスと炭素との反
応を抑制するために機能する成分で、その含有量は0.
1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%の範囲に設定
される。Si含有量が0.1重量%を下回ると化学的安
定性が充分でなく、また10重量%を越えると原子レベ
ルでSiの分散状態を維持できなくなり、寧ろパーティ
クルの発生を増大させる原因となる。 【0011】ガラス状カーボンにSi成分を添加する場
合、ガラス状カーボンを製造する原料樹脂中にSi粉末
またはSiC粉末を添加して焼成炭化するとガラス状カ
ーボン組織中にSi成分がナノレベル、マイクロレベル
で凝集して分散しているSi含有ガラス状カーボン材が
得られる。このようなSi成分が凝集して分散している
Si含有ガラス状カーボン材はプラズマガスとの反応性
が低い反面、粉末や膜状の物質が発生してパーティクル
などの汚染源となるため、フォーカスリングとしての使
用には適さないものとなる。 【0012】ガラス状カーボン組織中にSiが原子レベ
ルで均一に分散する組織性状とするためには、原料樹脂
中に有機シラン化合物を添加混合し、焼成炭化したもの
が好適であり、1分子中に1〜3個のSi原子を含む有
機シラン化合物を熱硬化性樹脂中に添加混合した混合物
を、非酸化性雰囲気中で800℃以上の温度で焼成炭化
することにより製造することができ、本発明で用いる有
機シラン化合物としては下記の一般式で表される化合物
が好ましい。ここで、R1 、R2 、R3 、R4はC、
H、O、N、Siのいずれかを含む有機官能基である。 【0013】有機シラン化合物を具体的に例示すると、
3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N
−(2-アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、N−(2-アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチル
ジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−シ
アノエチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、(3-グリドキシプロピル)ビ
ス(トリメチルシロキサン)メチルシラン、3−グリシ
ドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシクロ
トリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチ
ルジシロキサン、イソブチルトリメトキシシラン、3−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルフ
ェニルジメトキシシラン、メチトリ-n- デシルシラン、
メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラ
ン、オクタメチルトリシロキサン、N−フェニルアミノ
プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシ
ラン、N−プロピルトリメトキシシラン、テトラ-n- プ
トキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラキス(2-
エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2-エチルヘキ
シロキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエト
キシ)シラン、テトラキス(2-メトキシエトキシ)シラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラメチルシラン、N−
(トリエトキシシリルプロピル)尿素、O−トリメチル
シリルアセテート、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリ(2-メトキシエトキ
シ)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシム)シ
ランなどが挙げられる。 【0014】なお、1分子中のSi原子が3個を越える
とSi原子の凝集が起こり易くなりSi成分を原子レベ
ルで分散させることが困難となる。 【0015】本発明のSi含有ガラス状カーボン材から
なるプラズマエッチング用のフォーカスリングは、上記
の有機シラン化合物を熱硬化性樹脂液に滴下、混合して
均一な混合溶液を調製し、混合樹脂溶液を所定形状に成
形したのち、硬化、焼成炭化することにより製造され
る。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール系樹脂、
フラン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカルボジイミド
系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ピレン−フェナ
ントレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹
脂あるいはこれらの混合樹脂などが用いられる。 【0016】混合溶液は加熱硬化の過程で、シラン化合
物と熱硬化性樹脂とが反応してシラン化合物の均一分散
を維持しながら、硬化成形体が得られる。硬化樹脂成形
体は非酸化性雰囲気下に800℃以上の温度、好ましく
は1000〜2500℃の温度に加熱して焼成炭化する
ことにより、Si成分が原子レベルで均一に分散したS
i含有ガラス状カーボンが得られる。このSi含有ガラ
ス状カーボンは、必要に応じてバフ研磨やダイヤモンド
ラッピングによって表面の平滑性を高めてフォーカスリ
ングとして使用される。 【0017】このように、本発明のプラズマエッチング
装置用フォーカスリングは、Siが原子レベルで均一に
分散した組織からなるSi含有ガラス状カーボン材から
構成されているので、耐プラズマ性が著しく向上し、パ
ーティクルの発生が効果的に抑制されるので、長期間に
亘って安定して使用することが可能となる。 【0018】 【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明するが、本発明の実施態様はこれら実施例に
限定されるものではない。 【0019】実施例1 3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン〔東
レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、AY43−026
〕をフェノール樹脂〔住友デュレズ(株)製、PR940
〕中に撹拌しながら滴下して1時間混合した。その
後、室温にて緩やかな流動状態で45時間放置して、均
一な混合溶液を調製した。この混合樹脂溶液を真空脱気
したのち、成形型に注入して70℃に加熱し、最終的に
180℃の温度で硬化した。この硬化樹脂成形体を窒素
雰囲気中で2℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱し
て焼成炭化した。次いで、Cl2 /Heの混合ガス雰囲
気中で2000℃の温度で熱処理して高純度化処理を行
った。 【0020】このようにして得られた1.1重量%のS
iが分散含有するSi含有ガラス状カーボン材を外径3
00mm、内径200mmのリング状に加工し、更に研磨材
粒度#8000でバフ研磨して表面平滑なフォーカスリ
ングを製造した。 【0021】このSi含有ガラス状カーボン材をICP
発光分析および原子吸光分析により不純物量を測定し、
灰分法によりSi含有量を測定した。またTEM観察に
より組織観察を行って、組織内の粒子の存在を確認し
た。 【0022】次に、このフォーカスリングをプラズマエ
ッチング装置のウエハ積載部の外周にセットし、反応ガ
ス;CF4 、キャリアーガス;アルゴン、反応チャンバ
ー内のガス圧;0.5Torr、電源周波数;13.5MHz
の条件で100枚の8インチのシリコンウエハ酸化膜の
プラズマエッチング処理を行った。エッチング処理後の
フォーカスリングの肉厚減少量(消耗量)および処理後
のウエハから64 MビットDRAMを製造したときの製品歩留
りをSi含有ガラス状カーボン材の性状と対比させて表
1に示した。 【0023】実施例2〜3、比較例1〜3 3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン〔東
レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、AY43−026
〕とフェノール樹脂〔住友デュレズ(株)製、PR940
〕との混合割合を変えたほかは、実施例1と同一の方
法によりSi含有率の異なるSi含有ガラス状カーボン
材を製造し、実施例1と同一の方法でフォーカスリング
を得た。このフォーカスリングについて実施例1と同一
の方法によりその性能を評価して、結果を表1に併載し
た。 【0024】実施例4 有機シラン化合物にテトラエトキシシランを用い、Si
含有率を4.9重量%としたほかは全て実施例1と同一
の方法によりフォーカスリングを製造し、また実施例1
と同一の方法でその性能を評価して、結果を表1に併載
した。 【0025】実施例5 有機シラン化合物に3−アミノプロピルトリエトキシシ
ランを用い、Si含有率を5重量%としたほかは全て実
施例1と同一の方法によりフォーカスリングを製造し、
また実施例1と同一の方法でその性能を評価して、結果
を表1に併載した。 【0026】実施例6 有機シラン化合物に1分子中にSi原子を3個含む(3
−グリドキシプロピル)ビス(トリメチルシロキサン)
メチルシランを用い、Si含有率を4.8重量%とした
ほかは全て実施例1と同一の方法によりフォーカスリン
グを製造し、また実施例1と同一の方法でその性能を評
価して、結果を表1に併載した。 【0027】 【表1】 (注)ICP発光分析および原子吸光分析の結果は、い
ずれも金属元素は検出されず。 【0028】表1の結果から、本発明の特性要件を満た
す実施例のフォーカスリングはプラズマエッチングによ
る消耗が少なく、製品歩留りも高いことが判る。これに
対して、比較例のフォーカスリングではプラズマエッチ
ングによる消耗が大きく、製品歩留りも低いことが明ら
かである。 【0029】 【発明の効果】以上のとおり、ガラス状カーボン組織中
にSiを0.1〜10重量%の範囲で均一に分散するS
i含有ガラス状カーボン材でフォーカスリングを構成す
ることにより、プラズマエッチング時に反応性ガスと炭
素との反応が抑制されるので、フォーカスリングの消耗
が少なく製品歩留りも向上する。したがって、長期に亘
って使用が可能なフォーカスリングを提供することがで
きる。
る半導体デバイスの製造工程において、プラズマエッチ
ング加工によりウエハ面に微細な回路パターンを形成す
る際に、ウエハの周囲に配置して使用されるフォーカス
リングに関する。 【0002】 【従来の技術】プラズマエッチング装置は、一対の並行
平面電極を設置したエッチング装置内に反応性ガス(C
F4,Ar,O2等) を導入しながら上下両電極間に高周波電力
を印加して放電させ、生じたガスプラズマを用いて下部
電極上に載置したウエハ表面のフォトレジストされてい
ない部分をエッチングすることにより高精度で微細な回
路パターンを形成するものである。この場合、プラズマ
の拡散を防止して、プラズマ化された反応性ガスをウエ
ハの面上に効率よく入射させるために、電界補償リング
として機能するフォーカスリングがウエハの周囲に配置
されている。 【0003】特開平7−245292号公報にはエッチ
ングレートの均一性の向上を図る目的でフォーカスリン
グを、表面の外周側部位にタングステン系部材が露出す
る状態に設けられているカーボン系部材とタングステン
系部材との複合構造としたプラズマエッチング装置が提
案されている。これは、タングステンシリサイド(WS
i)やタングステン(W)等のタングステン系膜のエッ
チング処理を行う場合プラズマ化された反応ガスとフォ
ーカスリングのタングステンとが反応してハロゲン化合
物が発生しウエハ周辺部のエッチングが抑制されるの
で、エッチングレートの均一性の向上を図ることができ
るとするものである。 【0004】このフォーカスリングにはプラズマ状態の
反応性ガスに腐食されない耐蝕性、耐プラズマ性、耐熱
性および導電性などに優れた材質特性が要求され、従来
からアモルファスカーボンが用いられているが耐プラズ
マ性が充分でないためにプラズマ照射による消耗が進行
して使用寿命が短いという欠点があり、更に消耗に伴っ
てパーティクルの発生を招くなどの難点がある。これら
の問題は、LSIの高集積度化が進むに伴いプラズマ密
度が増大し、要求される加工精度が高くなるに伴ってま
すます重要な問題点となってきている。 【0005】ガラス状カーボン材は、熱硬化性樹脂を炭
化して得られる巨視的に無孔組織の硬質炭素物質で、高
強度、低化学反応性、ガス不透過性、自己潤滑性、堅牢
性などに優れ、不純物が少ない等の特性を有しており、
プラズマエッチング処理中にウエハを汚損する原因とな
る微細パーティクルが組織から離脱し難い利点がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明者は、フォーカ
スリングを構成するガラス状カーボン材の組織性状と耐
プラズマ性との関係について検討した結果、ガラス状カ
ーボン材の組織中に一定量のSiを均一に分散含有させ
ると化学的安定性(耐蝕性)が向上し、プラズマへの耐
性が優れ、また消耗に伴うパーティクルの発生が著しく
低減することを確認した。 【0007】本発明は、この知見に基づいて開発された
もので、その目的とするところはプラズマによる消耗が
少なく、微細なパーティクルの発生を抑制することがで
きるプラズマエッチング装置用フォーカスリングを提供
することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明によるプラズマエッチング装置用フォーカス
リングは、ガラス状カーボン組織中に原子レベルのSi
が0.1〜10重量%の範囲で均一に分散した複合組織
を備えるSi含有ガラス状カーボン材からなることを構
成上の特徴とする。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明のプラズマエッチング装置
用フォーカスリングは、ガラス状カーボン組織中にSi
成分が原子レベルで均質に分散している点に特徴があ
り、Si原子がガラス状カーボン組織中に均一な連続相
として分布する複合組織を備える場合に優れた効果が発
揮される。Siが原子レベルに分布する複合組織とは、
実質的にSiとCとの粒界が存在せず、透過型電子顕微
鏡(TEM) の観察によって粒状組織が識別できない組織状
態を指す。 【0010】ガラス状カーボン組織中に分散するSi
は、脆弱なガラス状カーボン組織を強化してパーティク
ルの脱落を防止するとともに、反応性ガスと炭素との反
応を抑制するために機能する成分で、その含有量は0.
1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%の範囲に設定
される。Si含有量が0.1重量%を下回ると化学的安
定性が充分でなく、また10重量%を越えると原子レベ
ルでSiの分散状態を維持できなくなり、寧ろパーティ
クルの発生を増大させる原因となる。 【0011】ガラス状カーボンにSi成分を添加する場
合、ガラス状カーボンを製造する原料樹脂中にSi粉末
またはSiC粉末を添加して焼成炭化するとガラス状カ
ーボン組織中にSi成分がナノレベル、マイクロレベル
で凝集して分散しているSi含有ガラス状カーボン材が
得られる。このようなSi成分が凝集して分散している
Si含有ガラス状カーボン材はプラズマガスとの反応性
が低い反面、粉末や膜状の物質が発生してパーティクル
などの汚染源となるため、フォーカスリングとしての使
用には適さないものとなる。 【0012】ガラス状カーボン組織中にSiが原子レベ
ルで均一に分散する組織性状とするためには、原料樹脂
中に有機シラン化合物を添加混合し、焼成炭化したもの
が好適であり、1分子中に1〜3個のSi原子を含む有
機シラン化合物を熱硬化性樹脂中に添加混合した混合物
を、非酸化性雰囲気中で800℃以上の温度で焼成炭化
することにより製造することができ、本発明で用いる有
機シラン化合物としては下記の一般式で表される化合物
が好ましい。ここで、R1 、R2 、R3 、R4はC、
H、O、N、Siのいずれかを含む有機官能基である。 【0013】有機シラン化合物を具体的に例示すると、
3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N
−(2-アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、N−(2-アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチル
ジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−シ
アノエチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、(3-グリドキシプロピル)ビ
ス(トリメチルシロキサン)メチルシラン、3−グリシ
ドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシクロ
トリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチ
ルジシロキサン、イソブチルトリメトキシシラン、3−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルフ
ェニルジメトキシシラン、メチトリ-n- デシルシラン、
メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラ
ン、オクタメチルトリシロキサン、N−フェニルアミノ
プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシ
ラン、N−プロピルトリメトキシシラン、テトラ-n- プ
トキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラキス(2-
エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2-エチルヘキ
シロキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエト
キシ)シラン、テトラキス(2-メトキシエトキシ)シラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラメチルシラン、N−
(トリエトキシシリルプロピル)尿素、O−トリメチル
シリルアセテート、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリ(2-メトキシエトキ
シ)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシム)シ
ランなどが挙げられる。 【0014】なお、1分子中のSi原子が3個を越える
とSi原子の凝集が起こり易くなりSi成分を原子レベ
ルで分散させることが困難となる。 【0015】本発明のSi含有ガラス状カーボン材から
なるプラズマエッチング用のフォーカスリングは、上記
の有機シラン化合物を熱硬化性樹脂液に滴下、混合して
均一な混合溶液を調製し、混合樹脂溶液を所定形状に成
形したのち、硬化、焼成炭化することにより製造され
る。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール系樹脂、
フラン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカルボジイミド
系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ピレン−フェナ
ントレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹
脂あるいはこれらの混合樹脂などが用いられる。 【0016】混合溶液は加熱硬化の過程で、シラン化合
物と熱硬化性樹脂とが反応してシラン化合物の均一分散
を維持しながら、硬化成形体が得られる。硬化樹脂成形
体は非酸化性雰囲気下に800℃以上の温度、好ましく
は1000〜2500℃の温度に加熱して焼成炭化する
ことにより、Si成分が原子レベルで均一に分散したS
i含有ガラス状カーボンが得られる。このSi含有ガラ
ス状カーボンは、必要に応じてバフ研磨やダイヤモンド
ラッピングによって表面の平滑性を高めてフォーカスリ
ングとして使用される。 【0017】このように、本発明のプラズマエッチング
装置用フォーカスリングは、Siが原子レベルで均一に
分散した組織からなるSi含有ガラス状カーボン材から
構成されているので、耐プラズマ性が著しく向上し、パ
ーティクルの発生が効果的に抑制されるので、長期間に
亘って安定して使用することが可能となる。 【0018】 【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明するが、本発明の実施態様はこれら実施例に
限定されるものではない。 【0019】実施例1 3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン〔東
レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、AY43−026
〕をフェノール樹脂〔住友デュレズ(株)製、PR940
〕中に撹拌しながら滴下して1時間混合した。その
後、室温にて緩やかな流動状態で45時間放置して、均
一な混合溶液を調製した。この混合樹脂溶液を真空脱気
したのち、成形型に注入して70℃に加熱し、最終的に
180℃の温度で硬化した。この硬化樹脂成形体を窒素
雰囲気中で2℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱し
て焼成炭化した。次いで、Cl2 /Heの混合ガス雰囲
気中で2000℃の温度で熱処理して高純度化処理を行
った。 【0020】このようにして得られた1.1重量%のS
iが分散含有するSi含有ガラス状カーボン材を外径3
00mm、内径200mmのリング状に加工し、更に研磨材
粒度#8000でバフ研磨して表面平滑なフォーカスリ
ングを製造した。 【0021】このSi含有ガラス状カーボン材をICP
発光分析および原子吸光分析により不純物量を測定し、
灰分法によりSi含有量を測定した。またTEM観察に
より組織観察を行って、組織内の粒子の存在を確認し
た。 【0022】次に、このフォーカスリングをプラズマエ
ッチング装置のウエハ積載部の外周にセットし、反応ガ
ス;CF4 、キャリアーガス;アルゴン、反応チャンバ
ー内のガス圧;0.5Torr、電源周波数;13.5MHz
の条件で100枚の8インチのシリコンウエハ酸化膜の
プラズマエッチング処理を行った。エッチング処理後の
フォーカスリングの肉厚減少量(消耗量)および処理後
のウエハから64 MビットDRAMを製造したときの製品歩留
りをSi含有ガラス状カーボン材の性状と対比させて表
1に示した。 【0023】実施例2〜3、比較例1〜3 3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン〔東
レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、AY43−026
〕とフェノール樹脂〔住友デュレズ(株)製、PR940
〕との混合割合を変えたほかは、実施例1と同一の方
法によりSi含有率の異なるSi含有ガラス状カーボン
材を製造し、実施例1と同一の方法でフォーカスリング
を得た。このフォーカスリングについて実施例1と同一
の方法によりその性能を評価して、結果を表1に併載し
た。 【0024】実施例4 有機シラン化合物にテトラエトキシシランを用い、Si
含有率を4.9重量%としたほかは全て実施例1と同一
の方法によりフォーカスリングを製造し、また実施例1
と同一の方法でその性能を評価して、結果を表1に併載
した。 【0025】実施例5 有機シラン化合物に3−アミノプロピルトリエトキシシ
ランを用い、Si含有率を5重量%としたほかは全て実
施例1と同一の方法によりフォーカスリングを製造し、
また実施例1と同一の方法でその性能を評価して、結果
を表1に併載した。 【0026】実施例6 有機シラン化合物に1分子中にSi原子を3個含む(3
−グリドキシプロピル)ビス(トリメチルシロキサン)
メチルシランを用い、Si含有率を4.8重量%とした
ほかは全て実施例1と同一の方法によりフォーカスリン
グを製造し、また実施例1と同一の方法でその性能を評
価して、結果を表1に併載した。 【0027】 【表1】 (注)ICP発光分析および原子吸光分析の結果は、い
ずれも金属元素は検出されず。 【0028】表1の結果から、本発明の特性要件を満た
す実施例のフォーカスリングはプラズマエッチングによ
る消耗が少なく、製品歩留りも高いことが判る。これに
対して、比較例のフォーカスリングではプラズマエッチ
ングによる消耗が大きく、製品歩留りも低いことが明ら
かである。 【0029】 【発明の効果】以上のとおり、ガラス状カーボン組織中
にSiを0.1〜10重量%の範囲で均一に分散するS
i含有ガラス状カーボン材でフォーカスリングを構成す
ることにより、プラズマエッチング時に反応性ガスと炭
素との反応が抑制されるので、フォーカスリングの消耗
が少なく製品歩留りも向上する。したがって、長期に亘
って使用が可能なフォーカスリングを提供することがで
きる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ガラス状カーボン組織中に原子レベルの
Siが0.1〜10重量%の範囲で均一に分散した複合
組織を備えるSi含有ガラス状カーボン材からなること
を特徴とするプラズマエッチング装置用フォーカスリン
グ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34054296A JP3514355B2 (ja) | 1996-12-05 | 1996-12-05 | プラズマエッチング装置用フォーカスリング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34054296A JP3514355B2 (ja) | 1996-12-05 | 1996-12-05 | プラズマエッチング装置用フォーカスリング |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10172961A JPH10172961A (ja) | 1998-06-26 |
JP3514355B2 true JP3514355B2 (ja) | 2004-03-31 |
Family
ID=18337987
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34054296A Expired - Fee Related JP3514355B2 (ja) | 1996-12-05 | 1996-12-05 | プラズマエッチング装置用フォーカスリング |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3514355B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012253209A (ja) * | 2011-06-03 | 2012-12-20 | Ulvac Japan Ltd | ドライエッチング装置及びドライエッチング方法 |
-
1996
- 1996-12-05 JP JP34054296A patent/JP3514355B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10172961A (ja) | 1998-06-26 |
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