JP3511637B2 - 排ガス浄化方法 - Google Patents
排ガス浄化方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の内燃機関か
ら排出される排ガス中の窒素酸化物及び炭化水素を除去
する排ガス浄化触媒に関し、特に酸素過剰の燃焼排ガス
を浄化する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】内燃機関から排出される排ガス中の有害
物質である窒素酸化物、一酸化炭素及び炭化水素は、例
えば、Pt、Rh、Pd等を担体上に担持させた三元触
媒により除去されている。しかしながら、ディーゼルエ
ンジン排ガスは酸素過剰雰囲気であるため有効な触媒が
なく、触媒による排ガス浄化は行われていない。 【0003】また、近年のガソリンエンジンにおいて
は、低燃費化や排出炭酸ガスの低減の目的で希薄燃焼さ
せることが必要となってきた。しかしながら、このリー
ンバーンガソリンエンジンの排ガスは、酸素過剰雰囲気
であるため、上記のような従来の三元触媒は使用でき
ず、有害成分を除去する方法は実用化されていない。 【0004】このような酸素過剰の排ガス中の窒素酸化
物を除去する方法としては、アンモニア等の還元剤を添
加し、触媒を用いて窒素に還元する方法、窒素酸化物を
アルカリに吸収させて除去する方法が知られているが、
これらの方法は移動発生源である自動車の排ガス浄化に
用いるには有効な方法ではなく、適用が固定発生源に限
定されている。 【0005】このような現状に対してリーンバーンエン
ジンやディーゼルエンジンの排気系に用いる排ガス浄化
用触媒としては、Cuなどの遷移金属をゼオライトにイ
オン交換した遷移金属/ゼオライト触媒が提案されてお
り(特開昭63−100919号公報等)、その中でも
ZSM−5等のSiO2/Al2O3モル比の高いゼオラ
イトにCuをイオン交換した触媒が最も優れた酸素過剰
雰囲気下での窒素酸化物除去能、すなわち炭化水素によ
る選択的な窒素酸化物還元能を示すことが知られてい
る。しかしながら、これらのSiO2/Al2O3モル比
の高いゼオライトでは、その細孔径が小さく、排ガス中
に含まれる分子径の大きい炭化水素が細孔内に侵入でき
ない為に、窒素酸化物還元能が低いと考えられる。一
方、大孔径のゼオライトでは、十分な性能が得られな
い。 【0006】そこで、この問題を解決する為に、特開平
2−139040号公報では遷移金属で交換されたゼオ
ライトのうち大きなスーパーケージ径をもつゼオライト
を排ガス流れ方向の上流側に配置し、スーパーケージ径
の小さなゼオライトを下流側に配置させた触媒が提案さ
れている。しかしながら、この触媒では、若干の活性は
向上するものの十分な性能は得られていない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、以上
のような従来技術の問題点を解消するためになされたも
のであり、アンモニア等の還元剤を使用することなく、
内燃機関から排出される酸素過剰排ガス、特に上記した
自動車等の排ガスを効率よく浄化することに適した排ガ
ス浄化触媒を提供するところにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討した結果、2種類のゼオライト系触媒
を混合した触媒を用いることにより、存在する炭化水素
の種類によらず高い窒素酸化物浄化率を達成できること
を見い出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本
発明は7オングストロ−ム以上の細孔を有するプロトン
交換大孔径ゼオライトと遷移金属でイオン交換した7オ
ングストロ−ム未満の細孔を有する小孔径ゼオライトと
を混合した触媒を用いて、炭化水素及び窒素酸化物を含
有する酸素過剰の排ガスから窒素酸化物を除去する方法
を提供するものである。 【0009】本発明で用いる触媒が排ガス浄化に対して
高活性を示す理由は不明であるが、大孔径ゼオライトと
小孔径ゼオライトを混合することにより、排ガス中に含
まれる分子径の大きい炭化水素が、大孔径ゼオライトの
細孔内でクラッキングし、その結果、分子径の小さくな
った炭化水素が近接した小孔径ゼオライトの細孔内で窒
素酸化物を還元できるためと考えられる。一方、上流側
に大孔径ゼオライト、下流側に小孔径ゼオライトを配置
すると、上流側で炭化水素が完全に分解されると考えら
れ、下流側に配置した小孔径ゼオライトで窒素酸化物還
元が進まないため、本発明の効果は得られない。 【0010】以下、本発明をより詳細に説明する。 【0011】本発明に用いられるゼオライトとは結晶性
アルミノシリケート、あるいはAl、SiをFe、G
a、P等で置き換えた骨格置換型ゼオライト、あるいは
SAPO、AlPO等のリン酸アルミ系モレキュラーシ
ーブである。 【0012】本発明に用いられる大孔径ゼオライトとは
7オングストローム以上の細孔を有するものであり、ゼ
オライトβ、Y、L及びMazzite等が挙げられ
る。又、これらのゼオライトを脱アルミニウムしたもの
であっても良い。好ましくはY、ゼオライトβである。
又、小孔径ゼオライトとは7オングストローム未満の細
孔を有するものであり、フェリエライト、ZSM−5、
ZSM−8、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−3
5、ZSM−57等が挙げられる。好ましくはZSM−
5である。 【0013】本発明で用いられる大孔径ゼオライトはプ
ロトン交換品であることが必須である。プロトン交換品
の調製は塩酸、硝酸等の鉱酸で処理しても良いし、塩化
アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩で
アンモニウム交換後、焼成してプロトン型にすることも
できる。 【0014】また、小孔径ゼオライトは遷移金属をイオ
ン交換することが必須である。遷移金属としては通常排
ガス浄化に使用される金属であれば良く、例えばCu、
Ag、Au等のIb族、Fe、Co、Ru、Rh、Pt
等のVIII族、Cr、Mo等のVIa族、あるいは、
Mn等のVIIa族が用いられる。好ましくはCuであ
る。 【0015】遷移金属の触媒への導入量は、ゼオライト
のAlに対して原子比で0.1〜3であればよい。 【0016】遷移金属をイオン交換する方法は特に限定
されないが、通常のイオン交換で行うことができる。用
いる遷移金属源は、遷移金属の塩化物、硝酸塩、硫酸
塩、酢酸塩等の塩が好適に用いられる。又、遷移金属の
アンミン錯塩等も好適に用い得る。 【0017】イオン交換の際の遷移金属の添加量、濃
度、交換温度、時間等は特に限定されず、一般的に行わ
れている方法で良い。遷移金属の添加量は、ゼオライト
中のAlに対し、原子比で0.2〜2倍であることが好
ましい。又、イオン交換のスラリー濃度は、通常行われ
る5〜50%が好ましい。また、イオン交換温度、時間
は、室温〜100℃の温度、5分〜3日の時間であるこ
とが好ましい。また、必要に応じて、イオン交換操作を
繰り返して行うこともできる。 【0018】本発明で用いられる触媒は、プロトン交換
大孔径ゼオライトと遷移金属でイオン交換された小孔径
ゼオライトとを混合することが必須であり、各々のゼオ
ライトを粉末状で混合、或いは、スラリー状態で均一に
混合後、固液分離し、乾燥する等の方法で調製すること
ができる。又、各々のゼオライトをそれぞれ、ペレット
状に成形した後に混合しても良い。好ましくは、粉末
状、或いは、スラリー状で混合することが望ましい。 【0019】本発明で用いられる排ガス浄化用触媒は、
粘土鉱物等のバインダーと混合し成形して使用すること
もできる。ゼオライトを成形する際に用いられるバイン
ダーとしては、カオリン、アタパルガイト、モンモリロ
ナイト、ベントナイト、アロフェン、セピオライト等の
粘土鉱物である。あるいは、バインダーを用いずに成形
体を直接合成したバインダレスゼオライト成形体であっ
ても良い。また、コージェライト製あるいは金属製のハ
ニカム状基材に本発明で用いられる排ガス浄化用触媒を
ウォッシュコートして用いることも出来る。 【0020】この様にして調製された排ガス浄化触媒
は、窒素酸化物及び炭化水素を含む酸素過剰の排ガスと
接触させ窒素酸化物除去を行う。本発明で用いられる排
ガスは、窒素酸化物及び炭化水素を含み酸素過剰である
ことが必須であるが、一酸化炭素、水素、アンモニア等
が含まれている場合にも有効である。炭化水素種として
は特に制限されないが、C6以上の炭化水素が含有され
ている場合に、特に有効である。又、対象となる排ガス
は、必要に応じてガソリン、軽油等の燃料油をを添加し
たものであっても良い。 【0021】排ガス中の各成分の濃度としては特に限定
はされないが、NO=0.02〜1mol%、炭化水
素:THC=0.02〜3mol%、O2=2〜15m
ol%、CO2=0〜15mol%、H2O=0〜15m
ol%が好ましい。特に好ましくは炭化水素:THC=
0.1〜1mol%である。ここで、THCとはメタン
に換算した時の濃度である。 【0022】酸素過剰の排ガスとは、排ガス中に含まれ
る一酸化炭素、炭化水素、水素を完全に酸化するのに必
要な酸素量よりも過剰な酸素が含まれていることを示
す。例えば、自動車等の内燃機関から排出される排ガス
の場合には、空燃比が大きい燃焼状態(リーン領域)か
ら排出される排ガスを挙げることができる。 【0023】窒素酸化物を除去する際の空間速度、温度
等は特に限定されないが、空間速度100〜50000
0hr-1、温度200〜800℃であればよい。 【0024】 【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。 【0025】製造例 SiO2/Al2O3モル比が40のアンモニウム交換Z
SM−5;20gを、その中に含まれるAl2O3モル数
に対して2倍となるように秤量された濃度0.1mol
/リットルの酢酸銅(II)水和物の水溶液に投入し、
直ちに2.5%アンモニア水を加えて水溶液のpHを1
0.5とし室温で16時間撹拌した。固液分離後、充分
水洗し、銅イオン交換を行った。このイオン交換操作を
2回行ったのち、110℃で10時間乾燥した。このよ
うにして得られた銅イオン交換ゼオライトを触媒Aとし
た。この触媒の銅含有量を化学分析で調べたところ、ゼ
オライトのAlに対し、Cu/Al原子比で表して0.
53含まれていた。 【0026】実施例1 製造例で得られた触媒A;2.0g及びSiO2/Al2
O3モル比が6のプロトン交換Y型ゼオライト(以下、
触媒Bという);1.5gをめのう乳鉢で均一に混合し
た。プレス成形後、破砕して12〜20メッシュに整粒
し、混合したものを触媒1とした。 【0027】実施例2 参考例で得られた触媒A;5.0g及びSiO2/Al2
O3モル比が35のプロトン交換β型ゼオライト(以
下、触媒Cという);3.8gを用いて実施例1と同様
に調製し触媒2とした。 【0028】実施例3〈触媒の活性評価1〉 実施例1〜2で調製した触媒1〜2を、それぞれ2cc
常圧固定床反応管に充填し、ディーゼルエンジンの排ガ
スを模擬したガスにイソオクタンをTHC=1700p
pm添加したガス(表1)を空間速度30000/hr
で流した。550℃、30分の前処理後、各温度でのN
O浄化率を測定した。結果を表2に示す。NO浄化率と
は次式で示される。 【0029】NO浄化率(%)=(NOin−NOou
t)/NOin×100 NOin:固定床反応管入口NO濃度 NOout:固定床反応管出口NO濃度 【0030】 【表1】 【0031】 【表2】【0032】比較例1 製造例で得られた触媒Aをプレス成形後、破砕して12
〜20メッシュに整粒し比較触媒1を調製した。 【0033】比較例2 触媒Bを比較例1と同様に調製し、比較触媒2とした。 【0034】比較例3 触媒Cを比較例1と同様に調製し、比較触媒3とした。 【0035】比較例4 製造例で得られた触媒A及び触媒Bをそれぞれプレス成
形後、破砕して12〜20メッシュに整粒した。触媒
B;1ccを排ガス流れ方向に対して上流側に、触媒
A;1ccを下流側に配置し比較触媒4とした。 【0036】比較例5 製造例で得られた触媒A及び触媒Cをそれぞれプレス成
形後、破砕して12〜20メッシュに整粒した。触媒
C;1ccを排ガス流れ方向に対して上流側に、触媒
A;1ccを下流側に配置し比較触媒5とした。 【0037】比較例6 〈比較触媒の活性評価1〉 比較例1〜5で調製した触媒1〜5を用い、実施例3と
同様にNO浄化率を測定した。得られた結果を表3に示
す。 【0038】 【表3】 【0039】実施例4 〈触媒の活性評価2〉 実施例2で調製した触媒2を、2cc常圧固定床反応管
に充填し、ディーゼルエンジンの排ガスを模擬したガス
に軽油をTHCで8000ppm添加したガス(表4)
を空間速度30000/hrで流し、活性を評価した。
得られた結果を表5に示す。 【0040】 【表4】 【0041】 【表5】 【0042】比較例7 〈比較触媒の活性評価2〉 比較例1、3で調製した比較触媒1、3を用い、実施例
4と同様にNO浄化率を測定した結果を表6に示す。 【0043】 【表6】 【0044】 【発明の効果】表2、3、5、6から明らかなように遷
移金属でイオン交換された大孔径ゼオライトと小孔径ゼ
オライトを均一に混合することにより炭化水素、窒素酸
化物、酸素過剰の排ガスから窒素酸化物を効率良く除去
できる。
ら排出される排ガス中の窒素酸化物及び炭化水素を除去
する排ガス浄化触媒に関し、特に酸素過剰の燃焼排ガス
を浄化する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】内燃機関から排出される排ガス中の有害
物質である窒素酸化物、一酸化炭素及び炭化水素は、例
えば、Pt、Rh、Pd等を担体上に担持させた三元触
媒により除去されている。しかしながら、ディーゼルエ
ンジン排ガスは酸素過剰雰囲気であるため有効な触媒が
なく、触媒による排ガス浄化は行われていない。 【0003】また、近年のガソリンエンジンにおいて
は、低燃費化や排出炭酸ガスの低減の目的で希薄燃焼さ
せることが必要となってきた。しかしながら、このリー
ンバーンガソリンエンジンの排ガスは、酸素過剰雰囲気
であるため、上記のような従来の三元触媒は使用でき
ず、有害成分を除去する方法は実用化されていない。 【0004】このような酸素過剰の排ガス中の窒素酸化
物を除去する方法としては、アンモニア等の還元剤を添
加し、触媒を用いて窒素に還元する方法、窒素酸化物を
アルカリに吸収させて除去する方法が知られているが、
これらの方法は移動発生源である自動車の排ガス浄化に
用いるには有効な方法ではなく、適用が固定発生源に限
定されている。 【0005】このような現状に対してリーンバーンエン
ジンやディーゼルエンジンの排気系に用いる排ガス浄化
用触媒としては、Cuなどの遷移金属をゼオライトにイ
オン交換した遷移金属/ゼオライト触媒が提案されてお
り(特開昭63−100919号公報等)、その中でも
ZSM−5等のSiO2/Al2O3モル比の高いゼオラ
イトにCuをイオン交換した触媒が最も優れた酸素過剰
雰囲気下での窒素酸化物除去能、すなわち炭化水素によ
る選択的な窒素酸化物還元能を示すことが知られてい
る。しかしながら、これらのSiO2/Al2O3モル比
の高いゼオライトでは、その細孔径が小さく、排ガス中
に含まれる分子径の大きい炭化水素が細孔内に侵入でき
ない為に、窒素酸化物還元能が低いと考えられる。一
方、大孔径のゼオライトでは、十分な性能が得られな
い。 【0006】そこで、この問題を解決する為に、特開平
2−139040号公報では遷移金属で交換されたゼオ
ライトのうち大きなスーパーケージ径をもつゼオライト
を排ガス流れ方向の上流側に配置し、スーパーケージ径
の小さなゼオライトを下流側に配置させた触媒が提案さ
れている。しかしながら、この触媒では、若干の活性は
向上するものの十分な性能は得られていない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、以上
のような従来技術の問題点を解消するためになされたも
のであり、アンモニア等の還元剤を使用することなく、
内燃機関から排出される酸素過剰排ガス、特に上記した
自動車等の排ガスを効率よく浄化することに適した排ガ
ス浄化触媒を提供するところにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討した結果、2種類のゼオライト系触媒
を混合した触媒を用いることにより、存在する炭化水素
の種類によらず高い窒素酸化物浄化率を達成できること
を見い出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本
発明は7オングストロ−ム以上の細孔を有するプロトン
交換大孔径ゼオライトと遷移金属でイオン交換した7オ
ングストロ−ム未満の細孔を有する小孔径ゼオライトと
を混合した触媒を用いて、炭化水素及び窒素酸化物を含
有する酸素過剰の排ガスから窒素酸化物を除去する方法
を提供するものである。 【0009】本発明で用いる触媒が排ガス浄化に対して
高活性を示す理由は不明であるが、大孔径ゼオライトと
小孔径ゼオライトを混合することにより、排ガス中に含
まれる分子径の大きい炭化水素が、大孔径ゼオライトの
細孔内でクラッキングし、その結果、分子径の小さくな
った炭化水素が近接した小孔径ゼオライトの細孔内で窒
素酸化物を還元できるためと考えられる。一方、上流側
に大孔径ゼオライト、下流側に小孔径ゼオライトを配置
すると、上流側で炭化水素が完全に分解されると考えら
れ、下流側に配置した小孔径ゼオライトで窒素酸化物還
元が進まないため、本発明の効果は得られない。 【0010】以下、本発明をより詳細に説明する。 【0011】本発明に用いられるゼオライトとは結晶性
アルミノシリケート、あるいはAl、SiをFe、G
a、P等で置き換えた骨格置換型ゼオライト、あるいは
SAPO、AlPO等のリン酸アルミ系モレキュラーシ
ーブである。 【0012】本発明に用いられる大孔径ゼオライトとは
7オングストローム以上の細孔を有するものであり、ゼ
オライトβ、Y、L及びMazzite等が挙げられ
る。又、これらのゼオライトを脱アルミニウムしたもの
であっても良い。好ましくはY、ゼオライトβである。
又、小孔径ゼオライトとは7オングストローム未満の細
孔を有するものであり、フェリエライト、ZSM−5、
ZSM−8、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−3
5、ZSM−57等が挙げられる。好ましくはZSM−
5である。 【0013】本発明で用いられる大孔径ゼオライトはプ
ロトン交換品であることが必須である。プロトン交換品
の調製は塩酸、硝酸等の鉱酸で処理しても良いし、塩化
アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩で
アンモニウム交換後、焼成してプロトン型にすることも
できる。 【0014】また、小孔径ゼオライトは遷移金属をイオ
ン交換することが必須である。遷移金属としては通常排
ガス浄化に使用される金属であれば良く、例えばCu、
Ag、Au等のIb族、Fe、Co、Ru、Rh、Pt
等のVIII族、Cr、Mo等のVIa族、あるいは、
Mn等のVIIa族が用いられる。好ましくはCuであ
る。 【0015】遷移金属の触媒への導入量は、ゼオライト
のAlに対して原子比で0.1〜3であればよい。 【0016】遷移金属をイオン交換する方法は特に限定
されないが、通常のイオン交換で行うことができる。用
いる遷移金属源は、遷移金属の塩化物、硝酸塩、硫酸
塩、酢酸塩等の塩が好適に用いられる。又、遷移金属の
アンミン錯塩等も好適に用い得る。 【0017】イオン交換の際の遷移金属の添加量、濃
度、交換温度、時間等は特に限定されず、一般的に行わ
れている方法で良い。遷移金属の添加量は、ゼオライト
中のAlに対し、原子比で0.2〜2倍であることが好
ましい。又、イオン交換のスラリー濃度は、通常行われ
る5〜50%が好ましい。また、イオン交換温度、時間
は、室温〜100℃の温度、5分〜3日の時間であるこ
とが好ましい。また、必要に応じて、イオン交換操作を
繰り返して行うこともできる。 【0018】本発明で用いられる触媒は、プロトン交換
大孔径ゼオライトと遷移金属でイオン交換された小孔径
ゼオライトとを混合することが必須であり、各々のゼオ
ライトを粉末状で混合、或いは、スラリー状態で均一に
混合後、固液分離し、乾燥する等の方法で調製すること
ができる。又、各々のゼオライトをそれぞれ、ペレット
状に成形した後に混合しても良い。好ましくは、粉末
状、或いは、スラリー状で混合することが望ましい。 【0019】本発明で用いられる排ガス浄化用触媒は、
粘土鉱物等のバインダーと混合し成形して使用すること
もできる。ゼオライトを成形する際に用いられるバイン
ダーとしては、カオリン、アタパルガイト、モンモリロ
ナイト、ベントナイト、アロフェン、セピオライト等の
粘土鉱物である。あるいは、バインダーを用いずに成形
体を直接合成したバインダレスゼオライト成形体であっ
ても良い。また、コージェライト製あるいは金属製のハ
ニカム状基材に本発明で用いられる排ガス浄化用触媒を
ウォッシュコートして用いることも出来る。 【0020】この様にして調製された排ガス浄化触媒
は、窒素酸化物及び炭化水素を含む酸素過剰の排ガスと
接触させ窒素酸化物除去を行う。本発明で用いられる排
ガスは、窒素酸化物及び炭化水素を含み酸素過剰である
ことが必須であるが、一酸化炭素、水素、アンモニア等
が含まれている場合にも有効である。炭化水素種として
は特に制限されないが、C6以上の炭化水素が含有され
ている場合に、特に有効である。又、対象となる排ガス
は、必要に応じてガソリン、軽油等の燃料油をを添加し
たものであっても良い。 【0021】排ガス中の各成分の濃度としては特に限定
はされないが、NO=0.02〜1mol%、炭化水
素:THC=0.02〜3mol%、O2=2〜15m
ol%、CO2=0〜15mol%、H2O=0〜15m
ol%が好ましい。特に好ましくは炭化水素:THC=
0.1〜1mol%である。ここで、THCとはメタン
に換算した時の濃度である。 【0022】酸素過剰の排ガスとは、排ガス中に含まれ
る一酸化炭素、炭化水素、水素を完全に酸化するのに必
要な酸素量よりも過剰な酸素が含まれていることを示
す。例えば、自動車等の内燃機関から排出される排ガス
の場合には、空燃比が大きい燃焼状態(リーン領域)か
ら排出される排ガスを挙げることができる。 【0023】窒素酸化物を除去する際の空間速度、温度
等は特に限定されないが、空間速度100〜50000
0hr-1、温度200〜800℃であればよい。 【0024】 【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。 【0025】製造例 SiO2/Al2O3モル比が40のアンモニウム交換Z
SM−5;20gを、その中に含まれるAl2O3モル数
に対して2倍となるように秤量された濃度0.1mol
/リットルの酢酸銅(II)水和物の水溶液に投入し、
直ちに2.5%アンモニア水を加えて水溶液のpHを1
0.5とし室温で16時間撹拌した。固液分離後、充分
水洗し、銅イオン交換を行った。このイオン交換操作を
2回行ったのち、110℃で10時間乾燥した。このよ
うにして得られた銅イオン交換ゼオライトを触媒Aとし
た。この触媒の銅含有量を化学分析で調べたところ、ゼ
オライトのAlに対し、Cu/Al原子比で表して0.
53含まれていた。 【0026】実施例1 製造例で得られた触媒A;2.0g及びSiO2/Al2
O3モル比が6のプロトン交換Y型ゼオライト(以下、
触媒Bという);1.5gをめのう乳鉢で均一に混合し
た。プレス成形後、破砕して12〜20メッシュに整粒
し、混合したものを触媒1とした。 【0027】実施例2 参考例で得られた触媒A;5.0g及びSiO2/Al2
O3モル比が35のプロトン交換β型ゼオライト(以
下、触媒Cという);3.8gを用いて実施例1と同様
に調製し触媒2とした。 【0028】実施例3〈触媒の活性評価1〉 実施例1〜2で調製した触媒1〜2を、それぞれ2cc
常圧固定床反応管に充填し、ディーゼルエンジンの排ガ
スを模擬したガスにイソオクタンをTHC=1700p
pm添加したガス(表1)を空間速度30000/hr
で流した。550℃、30分の前処理後、各温度でのN
O浄化率を測定した。結果を表2に示す。NO浄化率と
は次式で示される。 【0029】NO浄化率(%)=(NOin−NOou
t)/NOin×100 NOin:固定床反応管入口NO濃度 NOout:固定床反応管出口NO濃度 【0030】 【表1】 【0031】 【表2】【0032】比較例1 製造例で得られた触媒Aをプレス成形後、破砕して12
〜20メッシュに整粒し比較触媒1を調製した。 【0033】比較例2 触媒Bを比較例1と同様に調製し、比較触媒2とした。 【0034】比較例3 触媒Cを比較例1と同様に調製し、比較触媒3とした。 【0035】比較例4 製造例で得られた触媒A及び触媒Bをそれぞれプレス成
形後、破砕して12〜20メッシュに整粒した。触媒
B;1ccを排ガス流れ方向に対して上流側に、触媒
A;1ccを下流側に配置し比較触媒4とした。 【0036】比較例5 製造例で得られた触媒A及び触媒Cをそれぞれプレス成
形後、破砕して12〜20メッシュに整粒した。触媒
C;1ccを排ガス流れ方向に対して上流側に、触媒
A;1ccを下流側に配置し比較触媒5とした。 【0037】比較例6 〈比較触媒の活性評価1〉 比較例1〜5で調製した触媒1〜5を用い、実施例3と
同様にNO浄化率を測定した。得られた結果を表3に示
す。 【0038】 【表3】 【0039】実施例4 〈触媒の活性評価2〉 実施例2で調製した触媒2を、2cc常圧固定床反応管
に充填し、ディーゼルエンジンの排ガスを模擬したガス
に軽油をTHCで8000ppm添加したガス(表4)
を空間速度30000/hrで流し、活性を評価した。
得られた結果を表5に示す。 【0040】 【表4】 【0041】 【表5】 【0042】比較例7 〈比較触媒の活性評価2〉 比較例1、3で調製した比較触媒1、3を用い、実施例
4と同様にNO浄化率を測定した結果を表6に示す。 【0043】 【表6】 【0044】 【発明の効果】表2、3、5、6から明らかなように遷
移金属でイオン交換された大孔径ゼオライトと小孔径ゼ
オライトを均一に混合することにより炭化水素、窒素酸
化物、酸素過剰の排ガスから窒素酸化物を効率良く除去
できる。
─────────────────────────────────────────────────────
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(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B01D 53/86,53/94
B01J 21/00 - 38/74
JSTPlus(JOIS)
CAplus(STN)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】7オングストロ−ム以上の細孔を有するプ
ロトン交換大孔径ゼオライトと遷移金属でイオン交換し
た7オングストロ−ム未満の細孔を有する小孔径ゼオラ
イトとを混合した触媒を用いて、炭化水素及び窒素酸化
物を含有する酸素過剰の排ガスから窒素酸化物を除去す
る方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14058493A JP3511637B2 (ja) | 1993-06-11 | 1993-06-11 | 排ガス浄化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14058493A JP3511637B2 (ja) | 1993-06-11 | 1993-06-11 | 排ガス浄化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH078753A JPH078753A (ja) | 1995-01-13 |
JP3511637B2 true JP3511637B2 (ja) | 2004-03-29 |
Family
ID=15272093
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14058493A Expired - Fee Related JP3511637B2 (ja) | 1993-06-11 | 1993-06-11 | 排ガス浄化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3511637B2 (ja) |
-
1993
- 1993-06-11 JP JP14058493A patent/JP3511637B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH078753A (ja) | 1995-01-13 |
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