JP3508673B2 - 自己潤滑性コーティング及びその形成方法 - Google Patents
自己潤滑性コーティング及びその形成方法Info
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Description
耐磨耗性に優れた自己潤滑性コーティング及びその形成
方法に関する。
ピストンリングとの相対的なすべり摩擦を受け、磨耗す
るため、通常適切な潤滑油を用いて接触面の金属接触を
防止している。
製造後の初始動時においては、エンジン内全体に潤滑油
が循環していないため、シリンダライナー等の部品に大
きな摩擦力が発生する可能性がある。
な潤滑油が存在しない場合又はオイル切れが発生した場
合においても潤滑性を有する自己潤滑性コーティング及
びその形成方法を提供することを目的とする。
めに本発明によれば、基材表面上に形成されたコーティ
ングにおいて、金属と酸素との結合を主鎖とする三次元
網目構造を有し、この三次元網目構造内に潤滑油を含有
している。
ド、溶媒、水及び触媒を含む金属アルコキシド溶液に潤
滑油を添加してコーティング溶液を形成し、このコーテ
ィング溶液を基材表面に被覆させ、次いで全体を加熱す
ることにより上記自己潤滑性コーティングが形成され
る。
と酸素との結合を主鎖とする三次元網目構造を有してお
り、この三次元網目構造内に潤滑油を含有しているた
め、潤滑油が存在しない場合又はオイル切れが発生した
場合においても潤滑性を有するのである。
属と酸素との結合を主鎖とする三次元網目構造は、金属
アルコキシドを用いて、いわゆるゾル−ゲル法により形
成される構造である。このゾル−ゲル法とは、金属のア
ルコキシドを溶液とし、この溶液中でアルコキシドの加
水分解・重縮合反応を進行させてゾルをゲルにして固化
し、このゲルを加熱することによって酸化物固体を製造
する方法である。本発明では、このゲル溶液を基材表面
に被覆させ、次いで加熱することによりコーティングを
形成している。
ドとは、下式 M(OR)n で表される化合物であり、上式中、Mは金属であり、R
はアルキルであり、nは金属Mの酸化数である。金属M
としては様々なものを用いることができ、目的とする金
属酸化物に対応するものを用いる。この金属Mとして
は、限定するものではないが、Li、Na、Cu、C
a、Sr、Ba、Zn、B、Al、Ga、Y、Si、G
e、Pb、P、Sb、V、Ta、W、La、Nd、及び
これらの混合物を用いることができる。また、アルキル
としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等、又は
これらの混合物を用いることができる。
には、Si(OCH3)4 、Si(OC2 H5)4 、Si
(i−OC3 H7)4 、Si(i−OC4 H9)4 、Ti
(OCH 3)4 、Ti(OC2 H5)4 、Ti(i−OC3
H7)4 、Ti(OC4 H9)4 、Zr(OCH3)4 、Zr
(OC2 H5)4 、Zr(i−OC3 H7)4 、Zr(OC
4H9)4 、Al(OCH3)3 、Al(OC2 H5)3 、A
l(i−OC3 H7)3 、Al(OC4 H9)3 等が例示さ
れる。
製用)、水(加水分解用)及び触媒を加え、金属アルコ
キシド溶液を調製する。溶媒としては、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類
が主として用いられるが、その外に金属アルコキシドを
溶解するエチレングリコール、エチレンオキシド、トリ
エタノールアミン、キシレン等も用いることができる。
触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸等の
酸、又はアンモニア等のアルカリを用いることができ
る。
潤滑油を添加して、コーティング溶液を調製する。潤滑
油としては特に制限はなく、用途に応じてガソリンエン
ジン油、ディーゼルエンジン油、ギヤ油等を用いること
ができる。
表面上に被覆させる。この被覆法としては、例えばディ
ッピング、スプレー、スピンコート等が例示される。
属アルコキシドが加水分解、重合し、湿潤ゲルを形成す
る。例えば金属アルコキシドとしてテトラエトキシシラ
ン(Si(OC2 H5)4 )を用いる場合には、加水分解
は nSi(OC2H5)4 + 4nH2O → nSi(OH)4 + 4nC2H5OH のように進行し、重合反応は Si(OH)4 + Si(OH)4 → (OH)3-Si-O-Si(OH)3 (OH)3-Si-O-Si(OH)3 + Si(OH)4 → (OH)3Si-O-Si
(OH)2-O-Si(OH)3 のように進行し、シロキサン重合体が生成する。
は、基材表面に酸化物層が形成し、この層の表面にある
OHからH2 Oが脱離して、−M(基材表面)−O−M
(アルコキシド中の金属)−の構造を形成するからであ
る。また上記のシロキサン重合体が結合してシロキサン
骨格を形成し、金属(Si)と酸素との結合を主鎖とす
る三次元網目構造を形成する。このシロキサン骨格は多
くの細孔を有しており、この細孔内に潤滑油が保持され
ることになる。
150 〜250 ℃に5〜10分加熱することにより、十分な強
度を有する本発明のコーティングが得られる。このコー
ティングの厚さは、例えばディッピング法により形成す
る場合、1回の操作によって、コーティング溶液中の金
属アルコキシドの含有量、溶液の粘度、あるいは基材の
引上げ速度によっても異なるが、通常は0.03〜0.1 μm
程度の厚さとなる。従ってコーティング操作を繰り返す
ことによって、所望の厚さのコーティングを得ることが
できる。
酸10g 、エタノール30g 、オイル3.2gを容器中で混合、
攪拌してコーティング溶液を調製した。このコーティン
グ溶液にアルミ製円板試験片を浸漬し、引き上げた後、
約250 ℃で加熱し、円板試験片上にコーティングを形成
した。
ーティング面に、潤滑油を1ml塗布し、内径20mm、外径
25.6mmの鉄S45C製円筒試験片を荷重下で1000rpm/min で
摺動回転させ、摩擦係数を測定した。また、比較とし
て、コーティングを施さない試験片及び潤滑油を含有し
ない同様のコーティングを施した試験片についても同様
にして摩擦係数を測定した。加えた荷重に対する摩擦係
数の結果を図1のグラフに示す。
ィングを施した試験片は荷重を加えても低い摩擦係数を
示し、一方コーティングを設けない試験片では荷重を高
めると共に摩擦係数は増加し、さらに潤滑油を含有しな
いコーティングを設けた試験片では低荷重においても摩
擦係数は高かった。
潤滑油を含有しているため、低い摩擦係数を示し、また
このコーティングは簡便なディップコーティングによっ
て形成することができ、容易にかつ低コストで形成する
ことができる。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 基材表面上に形成された、金属と酸素と
の結合を主鎖とする三次元網目構造を有し、この三次元
網目構造内に潤滑油を含有していることを特徴とする、
自己潤滑性コーティング。 - 【請求項2】 金属アルコキシド、溶媒、水及び触媒を
含む金属アルコキシド溶液に潤滑油を添加してコーティ
ング溶液を形成し、このコーティング溶液を基材表面に
被覆させ、次いで全体を加熱することからなる、請求項
1記載の自己潤滑性コーティングの形成方法。
Priority Applications (1)
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JP2000018017A JP3508673B2 (ja) | 2000-01-25 | 2000-01-25 | 自己潤滑性コーティング及びその形成方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2001207274A JP2001207274A (ja) | 2001-07-31 |
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- 2000-01-25 JP JP2000018017A patent/JP3508673B2/ja not_active Expired - Fee Related
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