JP3507904B2 - コーティングされた炭化珪素質耐火物 - Google Patents

コーティングされた炭化珪素質耐火物

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、陶磁器焼成やセラミッ
クス焼成に使用されるコーティングされた炭化珪素質耐
火物に関する。 【0002】 【従来の技術】炭化珪素質耐火物はすぐれた耐火性、耐
熱性、耐熱衝撃性が知られており、陶磁器焼成や、セラ
ミックス焼成用の棚板等に広く使用される。しかし、炭
化珪素質耐火物は使用中に大気中の酸素と反応して珪酸
化合物を生成するため、被焼成品である製品と反応し、
融着を起こすという欠点を持っていた。このため、製品
歩留りが低下し問題であった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】一般に、これを防止す
るために炭化珪素質耐火物の表面にムライト、アルミナ
粉末を主材料としたコーティング材を被覆し、炭化珪素
質耐火物と被焼成品の反応を防止するという方法がとら
れる。コーティング材を施工する際に、スラリー状にし
たコーティング剤を常温の耐火物表面に、はけ塗り、ス
プレーで施工する方法が主であり、コーティング材は例
えば特公平4−59276号にあるような材料を耐火物
表面に塗布されることが提案されているが、コーティン
グ材中のムライト、アルミナの粒度と種類およびその含
有量を限定する必要があった。しかし、これらの方法で
は、コーティング材を0.1mmより厚く塗布して使用
した場合、使用中にコーティング材自体が焼結収縮を起
こしやすく、使用中に剥離を生じやすい。0.1mm程
度の厚みのコーティングでは、融着防止の効果は小さ
く、数回の使用ごとにコーティング材を再施工する必要
があった。さらに、焼成される陶磁器、セラミックスは
焼成中に焼成収縮をともなうことが多く、炭化珪素質耐
火物の表面に被焼成物の収縮のためのすべりを助けるた
めに、施工したコーティング材の上にさらに敷粉を用い
る必要があった。他方、耐火材がアルミナ質やムライト
質基材の場合には、特開平5−270925号に開示さ
れている方式、すなわち基材表面に平均粒径5〜100
μmの安定化ジルコニア等を40〜200μmの厚さに
コーティングをする方法、またはコーティング層を設け
る基材表面を15〜100μmの表面粗さにすることに
より剥離等を防止する方法が提案されている。しかしな
がら、本発明にかかわる炭化珪素質基材においては、前
記に開示されている方法では、コーティング層と処理物
との反応を防止するという点において不十分であった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、炭化珪素質耐
火物にコーティング層を設ける場合における上記従来の
問題点を解消することを目的としてなされたものであ
り、本発明によるコーティングされた炭化珪素質耐火物
は、炭化珪素質耐火物を140〜200℃の温度に加熱
した状態で、該炭化珪素質耐火物の表面にムライトおよ
び/またはアルミナを主材料とするコーティング材を
プレーノズルで塗布するコーティング方法によりコーテ
ィング材が塗布されて0.1〜1.0mm厚さのコーテ
ィング層が形成され、コーティング層の表面粗さが十点
平均粗さで100〜500μmであることを特徴とす
る。 【0005】 【作用】本発明による炭化珪素質耐火物をコーティング
する場合には、ムライトおよび/またはアルミナを主材
料とするコーティング材を使用する。使用前のコーティ
ング材の耐水性を向上させるために、ビニルアルコール
系、セルロース系、ワックスエマルジョン系などの有機
バインダーを併用することができる。本発明における
ーティング方法は、炭化珪素質耐火物を140〜200
℃の温度に加熱した状態で、炭化珪素質耐火物の表面に
コーティング材をスプレーノズルで塗布することにより
コーティング層を形成することを特徴とするものであ
り、この方法により、ムライト、アルミナを主材料とす
るコーティング材を耐火物表面にコーティングし、0.
1〜1.0mm厚さの厚いコーティング層を形成するこ
とができ、陶磁器焼成やセラミックス焼成用の棚板など
として使用された場合、被焼成品との反応、融着の防止
効果を高めることができる。また、コーティング材中の
ムライトやアルミナの粒度、種類および含有量を限定す
ることなくコーティングを行うことができ、使用するコ
ーティング材の原料粒度に関係なくコーティング層の表
面は粗面化される。粗面化により、使用中にコーティン
グ層の焼結収縮が起こり難くなり、また、使用中に被焼
成品の焼成収縮によるすべりを助ける効果がある。十点
平均粗さで100〜500μmの粗面を形成するのが好
ましい。コーティング層を形成した後、コーティング層
の表面にさらに異種のコーティング材をはけ塗りやスプ
レーで塗布することもできる。 【0006】 【実施例】本発明を実施例に基づき更に詳細に説明す
る。表1および表2に実施例1ないし実施例8と比較例
1ないし比較例8の組成によるコーティング施工後の試
験体の評価結果を示す。 【0007】〔実施例1〕43μm以下の粒度の合成ム
ライト65重量%、150μm以下の粒度のバイヤー法
アルミナ30重量%、珪砂4重量%、粘土1重量%に水
100重量%を加えたものに有機バインダーとしてワッ
クスエマルジョンを1.5重量%添加してボールミルに
てスラリー状に撹拌したものを、あらかじめ50℃に加
熱した400×350×10mmの炭化珪素質耐火物の
表面にスプレーノズルにて均一に吹き付けて施工したも
のを乾燥し、試験体を得た。得られた試験体は常温での
コーティングの剥離はなく、1300℃での陶磁器焼成
における50回での使用テストにおいても被焼成品との
融着やコーティングの剥離はなかった。 【0008】〔実施例2〕43μm以下の粒度の合成ム
ライト65重量%、150μm以下の粒度のバイヤー法
アルミナ30重量%、珪砂4重量%、粘土1重量%に水
100重量%を加えたものに有機バインダーとしてワッ
クスエマルジョンを1.5重量%添加してボールミルに
てスラリー状に撹拌したものを、あらかじめ160℃に
加熱した400×350×10mmの炭化珪素質耐火物
の表面にスプレーノズルにて均一に吹き付けて施工した
ものを乾燥し、試験体を得た。得られた試験体は常温で
のコーティングの剥離はなく、1300℃での陶磁器焼
成における50回での使用テストにおいても被焼成品と
の融着やコーティングの剥離はなかった。 【0009】〔実施例3〕43μm以下の粒度の合成ム
ライト65重量%、150μm以下の粒度のバイヤー法
アルミナ30重量%、珪砂4重量%、粘土1重量%に水
100重量%を加えたものに有機バインダーとしてワッ
クスエマルジョンを1.5重量%添加してボールミルに
てスラリー状に撹拌したものを、あらかじめ200℃に
加熱した400×350×10mmの炭化珪素質耐火物
の表面にスプレーノズルにて均一に吹き付けて施工した
ものを乾燥し、試験体を得た。得られた試験体は常温で
のコーティングの剥離はなく、1300℃での陶磁器焼
成における50回での使用テストにおいても被焼成品と
の融着やコーティングの剥離はなかった。 【0010】〔実施例4〕150μm以下の粒度のバイ
ヤー法アルミナ95重量%、珪砂4重量%、粘土1重量
%に水100重量%を加えたものに有機バインダーとし
てワックスエマルジョンを1.5重量%添加してボール
ミルにてスラリー状に撹拌したものを、あらかじめ14
0℃に加熱した400×350×10mmの炭化珪素質
耐火物の表面にスプレーノズルにて均一に吹き付けて施
工したものを乾燥し、試験体を得た。得られた試験体は
常温でのコーティングの剥離はなく、1300℃での陶
磁器焼成における50回での使用テストにおいても被焼
成品との融着やコーティングの剥離はなかった。 【0011】〔比較例1〕43μm以下の粒度の合成ム
ライト65重量%、150μm以下の粒度のバイヤー法
アルミナ30重量%、珪砂4重量%、粘土1重量%に水
100重量%を加えたものに有機バインダーとしてワッ
クスエマルジョンを1.5重量%添加してボールミルに
てスラリー状に撹拌したものを、あらかじめ40℃に加
熱した400×350×10mmの炭化珪素質耐火物の
表面にスプレーノズルにて均一に吹き付けて施工したも
のを乾燥し、試験体を得た。得られた試験体は常温で
0.2mmの厚みでコーティングが部分的に剥離し、
0.2mm以上にはコーティングできなかった、0.2
mmの厚みのコーティングでは1300℃での陶磁器焼
成における使用テストで5回の使用で被焼成品との融着
が生じた、1回の使用でコーティングの剥離があった。 【0012】〔比較例2〕43μm以下の粒度の合成ム
ライト65重量%、150μm以下の粒度のバイヤー法
アルミナ30重量%、珪砂4重量%、粘土1重量%に水
100重量%を加えたものに有機バインダーとしてワッ
クスエマルジョンを1.5重量%添加してボールミルに
てスラリー状に撹拌したものを、常温の400×350
×10mmの炭化珪素質耐火物の表面にスプレーノズル
にて均一に吹き付けて施工したものを乾燥し、試験体を
得た。得られた試験体は常温で0.2mmの厚みでコー
ティングが部分的に剥離し、0.2mm以上にはコーテ
ィングできなかった、0.2mmの厚みのコーティング
では1300℃での陶磁器焼成における使用テストで5
回の使用で被焼成品との融着が生じた、1回の使用でコ
ーティングの剥離があった。 【0013】〔比較例3〕43μm以下の粒度の合成ム
ライト65重量%、150μm以下の粒度のバイヤー法
アルミナ30重量%、珪砂4重量%、粘土1重量%に水
100重量%を加えたものに有機バインダーとしてワッ
クスエマルジョンを1.5重量%添加してボールミルに
てスラリー状に撹拌したものを、常温の400×350
×10mmの炭化珪素質耐火物の表面に均一にはけ塗り
にて施工したものを乾燥し、試験体を得た。得られた試
験体は常温で0.2mmの厚みでコーティングが部分的
に剥離し、0.2mm以上にはコーティングできなかっ
た、0.2mmの厚みのコーティングでは1300℃で
の陶磁器焼成における使用テストで3回の使用で被焼成
品との融着が生じた、1回の使用でコーティングの剥離
があった。 【0014】〔比較例4〕43μm以下の粒度の合成ム
ライト65重量%、150μm以下の粒度のバイヤー法
アルミナ30重量%、珪砂4重量%、粘土1重量%に水
100重量%を加えたものに有機バインダーとしてワッ
クスエマルジョンを1.5重量%添加してボールミルに
てスラリー状に撹拌したものを、あらかじめ220℃に
加熱した400×350×10mmの炭化珪素質耐火物
の表面にスプレーノズルにて均一に吹き付けて施工した
ものを乾燥し、試験体を得た。得られた試験体は常温で
1.0mmの厚みでコーティングが剥離し、1.0mm
以上にはコーティングできなかった、コーティング外観
には、耐火物の加熱のしすぎによる焼けムラやコーティ
ングの突沸によるムラが観察された。1300℃での陶
磁器焼成における使用テストで1回の使用でコーティン
グの剥離があった。 【0015】〔実施例5〕150μm以下の粒度の焼結
アルミナ70重量%、150μm以下の粒度のバイヤー
法アルミナ25重量%、珪砂5重量%に水100重量%
を加えたものに有機バインダーとしてPVAを0.3重
量%添加してボールミルにてスラリー状に撹拌したもの
を、あらかじめ160℃に加熱した400×350×1
0mmの炭化珪素質耐火物の表面にスプレーノズルにて
均一に吹き付けて施工したものを乾燥し、試験体を得
た。得られた試験体は常温でのコーティングの剥離はな
く、1300℃での陶磁器焼成における50回での使用
テストにおいても被焼成品との融着やコーティングの剥
離はなかった。 【0016】〔実施例6〕20μm以下の粒度のバイヤ
ー法アルミナ100重量%に水100重量%を加えたも
のに有機分散剤0.5重量%および有機バインダーとし
てCMCを0.3重量%添加してボールミルにてスラリ
ー状に撹拌したものを、あらかじめ160℃に加熱した
400×350×10mmの炭化珪素質耐火物の表面に
スプレーノズルにて均一に吹き付けて施工したものを乾
燥し、試験体を得た。得られた試験体は常温でのコーテ
ィングの剥離はなく、1300℃での陶磁器焼成におけ
る50回での使用テストにおいても被焼成品との融着や
コーティングの剥離はなかった。 【0017】〔実施例7〕43μm以下の粒度の合成ム
ライト95重量%、珪砂4重量%粘土1重量%に水10
0重量%を加えたものに有機バインダーとしてPVAを
0.3重量%添加してボールミルにてスラリー状に撹拌
したものを、あらかじめ160℃に加熱した400×3
50×10mmの炭化珪素質耐火物の表面にスプレーノ
ズルにて均一に吹き付けて施工したものを乾燥し、試験
体を得た。得られた試験体は常温でのコーティングの剥
離はなく、1300℃での陶磁器焼成における50回で
の使用テストにおいても被焼成品との融着やコーティン
グ剥離はなかった。 【0018】〔実施例8〕150μm以下の粒度の焼結
アルミナ65重量%、150μm以下の粒度のバイヤー
法アルミナ30重量%、珪砂2重量%、粘土3重量%に
水100重量%を加えたものに有機バインダーとしてC
MCを0.3重量%添加してボールミルにてスラリー状
に撹拌したものを、あらかじめ160℃に加熱した40
0×350×10mmの炭化珪素質耐火物の表面にスプ
レーノズルにて均一に吹き付けて施工したものを乾燥
し、試験体を得た。得られた試験体は常温でのコーティ
ングの剥離はなく、1300℃での陶磁器焼成における
50回での使用テストにおいても被焼成品との融着やコ
ーティングの剥離はなかった。 【0019】 【比較例5】150μm以下の粒度の焼結アルミナ70
重量%、150μm以下の粒度のバイヤー法アルミナ2
5重量%、珪砂5重量%に水100重量%を加えたもの
に有機バインダーとしてPVAを0.3重量%添加して
ボールミルにてスラリー状に撹拌したものを、常温の4
00×350×10mmの炭化珪素質耐火物の表面にス
プレーノズルにて均一に吹き付けて施工したものを乾燥
し、試験体を得た。得られた試験体は常温で0.2mm
の厚みでコーティングが部分的に剥離し、0.2mm以
上にはコーティングできなかった。0.2mmの厚みの
コーティングでは1300℃での陶磁器焼成における使
用テストで1回の使用で被焼成品との融着が生じた、1
回の使用でコーティングの剥離があった。 【0020】 【比較例6】20μm以下の粒度のバイヤー法アルミナ
100重量%に水100重量%を加えたものに有機分散
剤0.5重量%および有機バインダーとしてCMCを
0.3重量%添加してボールミルにてスラリー状に攪拌
したものを、常温の400×350×10mmの炭化珪
素質耐火物の表面にスプレーノズルにて均一に吹き付け
て施工したものを乾燥し、試験体を得た。得られた試験
体は常温で0.2mmの厚みでコーティングが部分的に
剥離し、0.2mm以上にはコーティングできなかっ
た。0.2mmの厚みのコーティングでは1300℃で
の陶磁器焼成における使用テストで1回の使用で被焼成
品との融着が生じた、1回の使用でコーティングの剥離
があった。 【0021】 【比較例7】43μm以下の粒度の合成ムライト95重
量%、珪砂4重量%粘土1重量%に水100重量%を加
えたものに有機バインダーとしてPVAを0.3重量%
添加してボールミルにてスラリー状に撹拌したものを、
常温の400×350×10mmの炭化珪素質耐火物の
表面にスプレーノズルにて均一に吹き付けて施工したも
のを乾燥し、試験体を得た。得られた試験体は常温で
0.2mmの厚みでコーティングが部分的に剥離し、
0.2mm以上にはコーティングできなかった。0.2
mmの厚みのコーティングでは1300℃での陶磁器焼
成における使用テストで1回の使用で被焼成品との融着
が生じた、1回の使用でコーティングの剥離があった。 【0022】 【比較例8】150μm 以下の粒度の焼結アルミナ65
重量%、150μm 以下の粒度のバイヤー法アルミナ3
0重量%、珪砂2重量%、粘土3重量%に水100重量
%を加えたものに有機バインダーとしてCMCを0.3
重量%添加してボールミルにてスラリー状に攪拌したも
のを、常温の400×350×10mmの炭化珪素質耐
火物の表面にスプレーノズルにて吹き付けて均一に施工
したものを乾燥し、試験体を得た。得られた試験体は常
温で0.2mmの厚みでコーティングが部分的に剥離
し、0.2mm以上にはコーティングできなかった。
0.2mm厚みのコーティングでは1300℃での陶磁
器焼成における使用テストで1回の使用で被焼成品との
融着が生じた。1回の使用でコーティングの剥離があっ
た。 【0023】 【表1】【0024】 【表2】 【0025】 【発明の効果】本発明によれば、陶磁器焼成やセラミッ
クス焼成に使用されるコーティングされた炭化珪素質耐
火物において、被焼成品との反応、融着を効果的に防止
でき、耐火物の寿命延長を実現することができるコーテ
ィングされた炭化珪素質耐火物が提供され、当該炭化珪
素質耐火物を使用することによって、焼成作業や焼成品
の大幅なコスト低下が可能となる。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 炭化珪素質耐火物を140〜200℃の
    温度に加熱した状態で、該炭化珪素質耐火物の表面にム
    ライトおよび/またはアルミナを主材料とするコーティ
    ング材をスプレーノズルで塗布するコーティング方法に
    よりコーティング材が塗布されて0.1〜1.0mm厚
    さのコーティング層が形成され、コーティング層の表面
    粗さが十点平均粗さで100〜500μmであることを
    特徴とするコーティングされた炭化珪素質耐火物。
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