JP3504443B2 - 樹脂被覆写真用支持体、その製造に用いる冷却ロール、及び冷却ロールの表面加工方法 - Google Patents

樹脂被覆写真用支持体、その製造に用いる冷却ロール、及び冷却ロールの表面加工方法

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JP3504443B2 JP25437096A JP25437096A JP3504443B2 JP 3504443 B2 JP3504443 B2 JP 3504443B2 JP 25437096 A JP25437096 A JP 25437096A JP 25437096 A JP25437096 A JP 25437096A JP 3504443 B2 JP3504443 B2 JP 3504443B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂被覆写真用支
持体およびそれに用いる冷却ロールとその表面加工方法
に関するものである。更に、詳しく述べるならば、本発
明は、自動プリンターによる高速処理に適した写真印画
紙のための支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日の樹脂被覆写真用支持体には、印画
紙の現像処理の高速化に伴い、耐水性のある樹脂被覆写
真用支持体が一般に使用されている。これはシート状基
体の両面に溶融した耐水性樹脂を塗布、冷却、固化する
方法、いわゆる押出コーティング法により製造されてい
る。一般に写真乳剤層が形成される表面層は白色顔料を
含む樹脂層により被覆され、裏面は顔料を含まない樹脂
層により被覆されている。
【0003】この樹脂被覆写真用支持体の、写真乳剤層
を塗布される面(表面樹脂被覆面)に対し、反対側の面
(裏面樹脂被覆面)、いわゆる裏面は、印画紙を重ねた時
に、写真乳剤層面に対して滑りを良くするため、あるい
は印字性を良くするためなどの目的で、粗面化されてい
る。
【0004】この裏面樹脂被覆面の粗面は、押出コーテ
ィングの際に、粗面化加工された冷却ロールを用い、こ
れに圧着固化される溶融樹脂層表面に、その粗面形状を
転写させることによって形成されている。また、必要に
応じて、さらに、この裏面粗面樹脂層の上に筆記性、印
字性、および導電性を付与するためのバックコート層が
設けられている。
【0005】印画紙は、巻取りが使用され、通常、自動
プリンターを用いてプリントされるが、その処理速度
は、一般に、プリント部において、20〜30m/分で
あり、それに続く裁断部においても、20〜30m/分
である。特に最新式の超高速自動プリンターにおいて
は、40〜50m/分である。
【0006】プリントの際、印画紙の裏(ウラ)面にあたる
搬送金属ロールと表(オモテ)面に当たるゴムロールに挟ま
れて、支持体を所定の長さ毎に送り、プリント及び印画
紙1枚の範囲を指定するホールパンチを行う。その後、
現像処理を行い、裁断を行うが、裁断部でホールパンチ
により発生した支持体の孔を感知し、1枚の印画紙に切
り分ける。
【0007】しかしながら、通常の自動プリンターを使
用する場合には、全く問題がないが、最新式の超高速自
動プリンターを使用すると、支持体が、上述のロール部
分で滑りを生じ、所定の長さよりもホールパンチ間隔が
短くなり、印画紙が短く裁断されるという問題が多発し
ていた。また、ホールパンチ孔の間隔を感知し、裁断す
る際に所定の長さに達していない場合、裁断機が停止し
てしまうことがあり問題となる。この滑りは、高速にな
ればなる程、多く発生し、特に、50m/分以上の超高
速プリンターで極めて発生し易く、これが生じると、印
画紙が短く裁断され、商品としての実用性が全く失われ
てしまうので、この解決が強く要望されていた。
【0008】また、印画紙を自動プリンターでプリント
する際に、裏面粗面樹脂層の上に筆記性、印字性および
導電性などを付与させるために設けられるバックコート
層に、ネガ番号と同一の番号などを印字し、印画紙とネ
ガフイルムを対応させることを行っているが、現像処理
液中で印字が脱落してしまい、その目的が達成されない
という問題が生じる。さらに、現像処理中に、バックコ
ート層の皮膜が弱いと、処理液中にバックコート層が剥
落して混在することになり、処理液のランニング性が劣
り、印画紙の発色にも影響を与えて、商品としての実用
に耐えないものとなり、種々の問題が発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、超高
速の自動プリンターを使用した際、その裁断部におい
て、所定の印画紙長さに適切に裁断でき、画像が短くズ
レることのない、樹脂被覆写真用支持体を提供すること
にある。また、その樹脂被覆写真用支持体を製造するた
めの冷却ロールの製造方法と、冷却ロールの表面加工方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意検討した結果、以下の発明に至
った。
【0011】すなわち、シート状基体の両面が、ポリオ
レフィン樹脂で被覆され、写真乳剤層を設ける反対側の
裏面樹脂被覆面が、2段階粗面化処理を施された冷却ロ
ールを用いて型付けされたものであって、該裏面樹脂被
覆面が、下記(1)、(2)の条件を満たすことを特徴とす
る樹脂被覆写真用支持体の発明である。 (1)該裏面樹脂被覆面が、長波長のうねり成分として、
カットオフ条件で、高域カットオフ値0.08mm、か
つ、低域カットオフ値0.8mmの時、SRaが1.0
〜2.0μm、平均波長50〜100μm、中心面粒度
が4000〜10000μm2/particleで、かつ、
(2)該裏面樹脂被覆面が短波長の粗さ成分として、カッ
トオフ条件で、低域カットオフ値0.08mmの時、平
均波長30μm以下、中心面粒度500〜1500μm
2/particle。
【0012】また、2段階粗面化処理を施された冷却ロ
ール表面が、(1)該冷却ロール表面が、長波長のうねり
成分を含むカットオフ条件で、低域カットオフ値0.8
mmの時、Raが1.0〜2.5μm、平均波長50〜
150μmで、かつ、(2)該冷却ロール表面が、短波長
の粗さ成分として、カットオフ条件で低域カットオフ値
が0.08mmの時、Raが0.3〜1.0μm、平均
波長10〜40μmであることを特徴とする樹脂被覆写
真用支持体を製造するための冷却ロールの発明である。
【0013】また、冷却ロール表面の地金上に、(1)銅
メッキを施し、Rz0.3μm以下に表面を研磨して平
滑性を有し、(2)第1段の粗面化処理として、銅メッキ
表面上に、100〜180メッシュ粒度の砥砂を用いて
行い、(3)さらに、粗面化処理した表面に、第1段とし
て、クロムメッキを20〜30μm施し、湾曲した複数
の曲面により構成された大きな粗面を形成させ、さらに
第2段として、10〜20μm施し、湾曲した複数の曲
面により構成された小さな粗面を形成させ、大小の湾曲
した複数の曲面により構成された大きな粗面形状を形成
し、(4)次に、260〜400メッシュ粒度の砥砂を用
いて、第2段の粗面化処理を行い、大きく湾曲した複数
の曲面により構成された稜線形状をなくし、表面上を平
滑化させたことを特徴とする冷却ロールの表面加工方法
の発明である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳述
するが、本発明の裏面樹脂被覆層の形状に関して用いる
カットオフ値をまず初めに説明し、次に、粗さのパラメ
ーターについて説明する。
【0015】裏面樹脂被覆面の表面には、通常、短い波
長成分(粗さ)と長い波長成分(うねり)が同時に含まれて
いる。そこで、本発明では、裏面樹脂被覆面の表面形状
を限定するために、特定の波長成分を取り除いて測定す
る必要がある。ある波長成分を取り除くことを「カット
オフ」といい、透過率が75%になる波長で表し、JI
S B 601−1982で定義されている。
【0016】本発明において、低域カットオフとは、所
定の波長より長い波長成分を除去するものであり、粗さ
成分を測定するときに使用する。高域カットオフは、所
定の波長より短い波長成分を除去するものであり、うね
り成分を測定するために用いられる。本発明において
は、低域カットオフ値と高域カットオフ値を使用して、
特定の波長成分を取り除くことにより、裏面樹脂被覆面
の表面形状を限定するためにあり、目的とされる品質の
指標として用いる。
【0017】本発明のSRaとは、三次元中心面粗さと
いい、粗さ曲線から、その中心面上に面積SMの部分を
抜き取り、この抜き取り部分の中心面上に直交座標軸、
X軸、Y軸を置き、中心面に直交する軸をZ軸で表わ
し、次式で得られた値が、SRaである。
【0018】
【数1】
【0019】 但し、Lx × Ly=SM L:測定長さ このSRaを用いることにより、支持体の乳剤塗布時の
搬送性を示す指標となる。
【0020】本発明のRaとは、二次元中心線粗さとい
い、粗さ曲線から、その中心線上に測定長さLの部分を
抜き取り、この抜き取り部分の中心線上に直交座標軸、
X軸を置き、中心線に直交する軸をZ軸で表わし、次式
で得られた値が、Raである。
【0021】
【数2】
【0022】このRaを用いることにより、ロール表面
の形状が確認でき、冷却ロールと裏面樹脂被覆面との剥
離性を示す指標となる。
【0023】本発明の平均波長とは、抽出曲線の、各々
の山と谷の振幅と個々の位置の周波数を考慮して、測定
長さ内に存在する山と谷の間隔の測定値で、次式より求
められ、ISO 4287/1(国際標準)に規定され
ている。
【0024】
【数3】
【0025】ここで、Raは前述した二次元中心線粗さ
のことを示し、また、θaは、平均傾斜であり、抽出曲
線の平均線から、その平均線を差引いて、傾斜の補正を
行った後、その曲線を微分した曲線の中心線平均値であ
り、次式で示される。
【0026】
【数4】
【0027】これは、形状が平面に対して、平均的にど
の程度傾いているかを示すものである。この平均波長を
用いることにより、自動プリンターでの搬送性を示す指
標となり、写真印画紙が所定の長さに裁断できるか否か
の基準となる。
【0028】本発明で用いられるparticleとは、粗さ曲
線からXY平面上にあるZ方向の突起形状を、あるレベ
ルの中心面でスライスしたときに発生する切断平面の
「切口」を意味する。この「切口」で発生した粒子面積
を中心面粒度といい、この中心面粒度を用いることによ
り、バックコート層の物性を示す指標となる。
【0029】本発明で用いられるRzは、粗さ曲線から
基準長さだけ抜き取った部分において、平均線に平行、
かつ、粗さ曲線を横切らない直線から縦倍率の方向に測
定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深
から5番目までの谷底の標高の平均値との差の値をマイ
クロメートル(μm)で表したものをいい、下記数5でも
とまり、JIS B0601−1982(日本工業規格)
に規定されている。
【0030】
【数5】
【0031】但し、R1,R3,R5,R7,R9は、
基準長さに対応する抜き取り部分の最高から5番目まで
の山頂であり、R2,R4,R6,R8,R10は基準
長さに対応する抜き取り部分の最深から5番目までの谷
底である。このRzを用いることによりロール表面の平
滑性を示す指標となる。
【0032】本発明においては、まず、0.08〜0.
8mmのカットオフ条件で、裏面樹脂被覆面の表面形状
のSRaは1.0〜2.0μmでなければならない。
1.0μm未満であれば、乳剤塗布時の搬送性に影響を
及ぼし、支持体が蛇行し使用に耐えない。また、2.0
μmを超える場合、表面に曇り状ムラが発生して、商品
としての実用に耐えないものとなる。
【0033】本発明の写真用支持体の裏面粗さは、平均
波長が50〜100μmでなければならない。平均波長
が、50μm未満であれば、高速な自動プリンターで、
支持体が、前述のロール部分で滑りを生じ、所定の長さ
よりも短くなり、印画紙が短く裁断されることになり、
商品としての実用性が全く失われてしまう。また、平均
波長が100μmを超えると、印字が脱落し、文字の判
別が出来なくなり、所期の目的が達成されず、使用に耐
えない。
【0034】本発明においては、中心面粒度が4000
〜10000μm2/particleでなければならない。中
心面粒度が4000μm2/particle未満の場合、乳剤
塗布時の搬送に影響を及ぼし、支持体が蛇行してしま
い、実用に耐えない。また、中心面粒度が10000μ
2/particleを超えると、バックコート層の印字の脱
落が生じ、皮膜強度も低下して、使用に耐えない。
【0035】また、上記条件ばかりではなく、カットオ
フが0.08mm以下の条件において、下記の条件を満
たさなければならない。すなわち、本発明では、カット
オフが0.08mm以下の条件において、平均波長30
μm以下でなければならず、平均波長が30μmを超え
ると、裏面樹脂被覆面のバックコート層での印字の脱落
が発生する。
【0036】本発明の中心面粒度は500〜1500μ
2/particleでなければならない。中心面粒度が、5
00μm2/particle未満の場合、高速な自動プリンタ
ーで、印画紙が、前述のロール部分で滑りを生じ、所定
の長さよりも短くなって、印画紙が短くなく裁断される
ことになり、商品としての実用性が全く失われてしま
う。中心面粒度が1500μm2/particleを超える
と、バックコート層の印字の脱落が生じ、皮膜強度も低
下して、使用に耐えない。
【0037】次に、本発明における2段階粗面化処理を
施された冷却ロールについて述べる。該冷却ロールの粗
さは、0.8mm以下のカットオフ条件で、Raで1.
0〜2.5μmでなければ、本発明の裏面樹脂被覆面の
表面形状は得られない。また、Raが1.0μm未満で
あると、該冷却ロールと裏面樹脂被覆面との剥離性が悪
化し、裏面樹脂被覆面上に段状のムラが発生して、商品
としての実用に耐えないものとなる。また、Raが2.
5μmを超えると、表面樹脂被覆面上に設けられた乳剤
面上に、裏面樹脂被覆層面の粗面状を呈している表面形
状の転写跡が発生し、甚だしいときには、曇り状の光沢
ムラが発生して、写真印画紙としての商品価値がなくな
り、実用に耐えない。
【0038】本発明の冷却ロール表面形状において、平
均波長は50〜150μmでなければ、本発明の裏面樹
脂被覆面の表面形状が得られない。平均波長が50μm
未満であると、冷却ロール面に付着した汚れが落ちにく
く、その汚れが裏面樹脂被覆面に転写され、商品として
の実用に耐えないものとなる。また、平均波長が150
μmを超えると、冷却ロールと裏面樹脂被覆面との剥離
性が悪化し、裏面樹脂被覆面上に横縞状のムラが発生し
て、商品としての実用に耐えないものとなる。
【0039】また、上記条件ばかりでなく、カットオフ
0.08mm以下の条件において、下記の条件を満たさ
なければならない。すなわち、本発明の冷却ロール表面
形状において、Raは0.3μm〜1.0μmでなけれ
ば、本発明の裏面樹脂被覆面の表面形状が得られない。
Raが0.3μm未満であると、冷却ロールと裏面樹脂
被覆面との剥離性が悪化し、裏面樹脂被覆面上に段状の
ムラが発生して、商品としての実用に耐えないものとな
る。また、Raが1.0μmを超えると、高速な自動プ
リンターで、印画紙が、前述のロール部分での滑りを生
じ、所定の長さよりも短くなって、印画紙が短く裁断さ
れることになり、商品としての実用性が全く失われてし
まう。
【0040】本発明の冷却ロール表面形状において、平
均波長が10〜40μmでなければ、本発明の裏面樹脂
被覆面の表面形状が得られない。平均波長が10μm未
満であると、冷却ロール面に付着した汚れが落ち難く、
その汚れが裏面樹脂被覆面に転写され、商品としての実
用に耐えないものとなる。また、平均波長が40μmを
超えると、冷却ロールと裏面樹脂被覆面との剥離性が悪
化し、裏面樹脂被覆面上に横縞状のムラが派生して、商
品としての実用に耐えないものとなる。
【0041】次に、本発明における2段階粗面化処理を
施された冷却ロールの表面加工方法を説明する。本発明
の冷却ロール表面は、銅メッキを施し、銅メッキ表面を
研磨した状態で、Rz0.3μm以下の平滑性がなけれ
ばならない。Rzが0.3μmを超えて、表面形状が粗
い場合は、本発明でいう第1段階での粗面化処理を施し
ても、冷却ロール表面に大きなうねり成分が発生してし
まい、均一な粗面形状が得られないためである。また、
銅メッキについては、厚みは適宜調整され、Rzが0.
3μm以下の表面粗さが得られれば良い。
【0042】第1段の粗面化処理としては、銅メッキ表
面上に、100〜180メッシュ粒度の砥砂を用いて行
う。100未満のメッシュ粒度の砥砂を使用した場合、
平均波長、中心面粒度が大きくなってしまい、本発明の
表面形状は得られない。また、180メッシュを超える
粒度の砥砂を使用した場合は、SRa、平均波長が細か
くなり、本発明の表面形状は得られない。
【0043】本発明においては、粗面化処理した表面
に、第1段として、クロムメッキを20〜30μm施
す。クロムメッキが、20μm未満であると、第2段の
クロムメッキと同等の大きさの湾曲した複数の曲面形状
しか得られず、全体的な粗さが小さくなり、本発明の表
面形状は得られない。また、30μmを超えると、クロ
ムメッキにより比較的大きな湾曲した複数の曲面形状が
得られるが、全体的な凹凸形状が大きくなり過ぎるた
め、本発明の目的とする表面形状は得られない。
【0044】次に、本発明では、第1段のクロムメッキ
表面に、さらに、第2段のクロムメッキを10〜20μ
m施す。これにより、比較的大きな湾曲した複数の曲面
形状とこれより小さな湾曲した複数の曲面形状からな
る、本発明の複合的な粗面形状が得られる。また、第2
段のクロムメッキが、10μm未満であると、小さな湾
曲ができず、20μmを超えると、1段目のクロムメッ
キと同様な湾曲形状になり、複合的な粗面形状が得られ
ない。
【0045】本発明においては、第2段の粗面化処理と
しては、銅メッキ表面上に、260〜400メッシュ粒
度の砥砂を用いて行う。この粗面化処理により、比較的
大きな湾曲した複数の曲面形状を有する稜線は、一定方
向に形状を崩され、小さな湾曲した複数の曲面形状から
なる複合的な粗面形状とほぼ同等の大きさとなり、粗面
でありながら、均一な高さを有する表面形状が得られ、
なおかつ、比較的大きな湾曲した複数の曲面形状が一定
方向に残存して、繊維状形状を有するようになり、本発
明の目的とする表面形状が得られる。
【0046】これに対して、260メッシュ未満の粒度
の砥砂を使用した場合には、粗面化処理の結果、比較的
大きな湾曲した複数の曲面形状と、これより小さな湾曲
した複数の曲面形状からなる複合的な粗面形状のバラン
スが崩れる。このことは、より大きな湾曲した曲面で
は、より大きな稜線部分の残骸が形状として残存し、な
おかつ、これより小さな湾曲した複数の曲面形状にも大
きな凹凸を発生させ、高さが均一な粗面形状を得ること
ができない。
【0047】また、400メッシュを超える粒度の砥砂
を使用した場合は、粒度が小さいため、凹凸形状が大き
い稜線を有する比較的大きな湾曲した複数の曲面形状を
崩すことができず、表面全体を均一に崩す結果、表面形
状としては、高さ方向が均一にならない比較的大きな湾
曲した複数の曲面形状として残存する結果、第2段の粗
面化する効果は全く認められない。
【0048】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明の内容は、実施例に限定されるものではな
い。以下における%はすべて重量%によるものである。
【0049】広葉樹材晒クラフトパルプ(LBKP)と
針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合
物をカナディアンスタンダードフリーネスで300ml
になるまで叩解し、パルプスラリーを作成した。これに
サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.
5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.
0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミド
エピクロロヒドリンを対パルプ0.5%添加し、水で希
釈後1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で
坪量170g/m2になるように抄造し、ポリオレフィ
ン樹脂被覆紙用基紙とした。
【0050】実施例1〜3、比較例1〜5 上記のとおり抄造した基紙に、密度0.918g/cm3
の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%
のアナターゼ型二酸化チタンを均一に分散したポリエチ
レン樹脂組成物を320℃で溶融し、表面形状が、鏡面
である冷却ロールを用いて、厚さが30μmになるよう
に押出塗工して、基紙に被覆した。次に、もう一方の面
(裏面)には、密度0.962g/cm3の高密度ポリエチ
レン樹脂を同様に320℃で溶融し、厚さが30μmに
なるように押出し、冷却ロールを用いて押出被覆型付け
される。
【0051】ここで、用いられる裏面を型付けする冷却
ロールは、冷却ロール表面の地金上に銅メッキを施し、
表面形状がRz0.3μm以下になるまで研磨する。次
に、表1記載のメッシュの砥砂を用いてそれぞれ第1段
の粗面化処理を行う。続いて、表1記載のクロムメッキ
厚になるよう、粗面化処理された銅メッキ表面上に、各
々、第1段と第2段のクロムメッキを施す。最後に、表
1記載のメッシュの砥砂を用いてそれぞれ第2段の粗面
化処理を行い、冷却ロールを完成した。
【0051】
【表1】
【0052】得られた冷却ロール表面を、各々東京精密
製の表面粗さ解析装置Surfcom E−RM−S2
7A型で測定した結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】次に、得られた樹脂被覆写真用支持体の裏
面樹脂層にコロナ放電処理後、下記のバックコート塗液
を塗布した。乾燥重量分として、コロイド状シリカ:ス
チレン系ラテックス=1:1から成り、更に、ポリスチ
レンスルフォン酸ナトリウムが0.021g/m2にな
る塗布量で塗布した。
【0055】樹脂被覆写真用支持体の二酸化チタンを含
む表側の樹脂面にコロナ放電処理後、黄色発色カプラー
を含む青感乳剤層、色混り防止剤を含む中間層、マゼン
ダ発色カプラーを含む緑感乳剤層、紫外線吸収剤を含む
紫外線吸収層、シアン発色カプラーを含む赤感乳剤層お
よび保護層を設けてゼラチンの総量が8g/m2である
カラー印画紙を作成した。各色感乳剤層は硝酸銀で0.
6g/m2に相当する塩臭化銀を含み、さらに、ハロゲ
ン化銀の生成、分散及び成膜に必要なゼラチンの他、適
量のカブリ防止剤、増感色素、塗布助剤、硬膜剤、増粘
剤及び適量のフィルター染料等を含む。次に、作成した
カラー印画紙を35℃、常湿で5日間保存した後、カラ
ー発色現像後、次の評価を行った。
【0056】評価方法としては、プリンター搬送性、乳
剤塗布時の搬送性、印字性、皮膜強度の4種類で行っ
た。プリンター搬送性の評価方法は、20℃、65RH
%における8.9cm×175mのロールサンプルを用
いて、アグファ社製MSPプリンターの裁断部におい
て、カラー現像処理後のロール状写真印画紙を用いて裁
断を行い、評価を行った。裁断した写真印画紙を任意に
100枚分を選択して、ホールパンチ間隔測定して平均
した。評価結果としては、−0.2mm以下で実用可の
レベルである。それ以上となると、裁断部において、画
像が切れたりして、商品価値が失われる。
【0057】乳剤塗布搬送性の評価方法は、樹脂被覆写
真用支持体の乳剤コーターにおいて、乳剤塗布時の樹脂
被覆写真用支持体ウェブの蛇行を測定した。乳剤塗布時
の搬送性としては、5mm以下であれば、支障なく乳剤
を塗布することが可能であるが、5mm以上蛇行する
と、コーター部で樹脂被覆写真用支持体のウェブより、
乳剤が溢れ、以降のペーパーロールに液廻りし、最悪の
場合、樹脂被覆写真用支持体が切断してしまい、コータ
ー以降のペーパーロール、ドライヤー等を乳剤で汚染さ
せ、清掃等の作業時間により操業性を著しく低下させる
ことになる。
【0058】バックコート適性の評価方法としては、印
字性と皮膜強度の2点について評価を行った。印字性
は、タイプライターで印字して、カラー現像処理後の印
字面状態を目視観察によりグレード分けして評価した。
以下、グレードを示す。 1:全く脱落しない 2:僅かに脱落する 3:脱落するが文字が判別でき実用に耐える 4:脱落し文字が判別できない 5:全く脱落する
【0059】次に、皮膜強度の測定は、新東科学株式会
社製の連続加重式引掻強度試験機を用いて評価した。ス
タート時の垂直加重ゼロ点から、傷の付け始めと、BC
層膜の剥がれ始めた点までの距離を測定して、その時点
垂直加重を算出した。皮膜強度として100g以上あれ
ば、充分実用に耐えるが、100g以下であると、皮膜
強度が弱く、カラー現像時にBC層膜が剥がれ落ちて、
写真印画紙の走行性が悪くなったり、カラー現像液中
に、BC層が混入し汚染させるので、実用に耐えない。
【0060】実施例1〜3および比較例1〜5の各試料
について、上記の各試験を行い、得られた結果を表3に
示す。
【0061】
【表3】
【0062】<評価>表1、表2および表3から、本発
明の実施例1〜3は、プリンター搬送性、乳剤塗布搬送
性、印字性および皮膜強度の全ての特性に亘って、優れ
た結果が得られ、本発明の樹脂被覆写真用支持体および
それに用いる冷却ロールとその表面加工方法によれば、
自動プリンターによる高速処理に極めて好適な写真印画
紙が得られることが解る。一方、本発明外である比較例
1〜5は、プリンター搬送性、乳剤塗布搬送性、印字性
および皮膜強度の少なくとも1つの特性において劣る結
果が得られ、自動プリンターによる高速処理には不適な
写真印画紙しか得られず、いずれも実用に耐えるもので
はなかった。
【0063】
【発明の効果】以上、詳述したとおり、本発明の樹脂被
覆写真用支持体およびそれに用いる冷却ロールとその表
面加工方法において、特定の2段階粗面化処理を施した
冷却ロールを用いて、樹脂被覆写真用支持体の裏面樹脂
被覆面を、特定の表面形状にすることによって、自動プ
リンターによる高速処理に極めて好適な写真印画紙が得
られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−120869(JP,A) 特開 平2−226142(JP,A) 特開 平7−36147(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/775 G03C 1/79

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状基体の両面が、ポリオレフィン
    樹脂で被覆され、写真乳剤層を設ける反対側の裏面樹脂
    被覆面が、2段階粗面化処理を施された冷却ロールを用
    いて型付けされたものであって、該裏面樹脂被覆面が、
    下記(1)、(2)の条件を満たすことを特徴とする樹脂被
    覆写真用支持体。 (1)該裏面樹脂被覆面が、長波長のうねり成分として、
    カットオフ条件で、高域カットオフ値0.08mm、か
    つ、低域カットオフ値0.8mmの時、 SRaが1.0〜2.0μm、平均波長50〜100μ
    m、中心面粒度が4000〜10000μm2/particl
    eで、かつ、(2)該裏面樹脂被覆面が、短波長の粗さ成
    分として、カットオフ条件で、低域カットオフ値0.0
    8mmの時、 平均波長30μm以下、中心面粒度500〜1500μ
    2/particle。
  2. 【請求項2】 2段階粗面化処理を施された冷却ロール
    表面が、下記(1)、(2)の条件を満たすことを特徴とす
    る樹脂被覆写真用支持体を製造するための冷却ロール。 (1)該冷却ロール表面が、長波長のうねり成分を含み、
    カットオフ条件で、低域カットオフ値0.8mmの時、 Raが1.0〜2.5μm、平均波長50〜150μm
    で、かつ、(2)該冷却ロール表面の短波長の粗さ成分と
    して、カットオフ条件で、低域カットオフ値が0.08
    mmの時、 Raが0.3〜1.0μm、平均波長10〜40μm。
  3. 【請求項3】 冷却ロール表面の地金上に、(1)銅メッ
    キを施し、Rz0.3μm以下の表面を研磨して平滑性
    を有し、(2)第1段の粗面化処理として、銅メッキ表面
    上に、100〜180メッシュ粒度の砥砂を用いて行
    い、(3)さらに、粗面化処理した表面に、第1段とし
    て、クロムメッキを20〜30μm施し、湾曲した複数
    の曲面により構成された大きな粗面を形成させ、さらに
    第2段として、10〜20μm施し、湾曲した複数の曲
    面により構成された小さな粗面を形成させ、大小の湾曲
    した複数の曲面により構成された大きな粗面形状を形成
    し、(4)次に、260〜400メッシュ粒度の砥砂を用
    いて、第2段の粗面化処理を行い、大きく湾曲した複数
    の曲面により構成された稜線形状をなくし、表面上を平
    滑化させたことを特徴とする冷却ロールの表面加工方
    法。
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