JP3502318B2 - 防水用複合被覆構造体およびその施工法 - Google Patents

防水用複合被覆構造体およびその施工法

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JP3502318B2 JP2000020599A JP2000020599A JP3502318B2 JP 3502318 B2 JP3502318 B2 JP 3502318B2 JP 2000020599 A JP2000020599 A JP 2000020599A JP 2000020599 A JP2000020599 A JP 2000020599A JP 3502318 B2 JP3502318 B2 JP 3502318B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートやモ
ルタル構造物等に対して適用される防水用複合被覆構造
体およびその施工法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリートやモルタル構造物等におい
ては、繊維強化材と、耐水性、耐熱性、遮塩性、擦傷
性、耐侯性、ガスバリヤー性等の種々の性能を有する樹
脂とを組み合わせたFRP(繊維強化プラスチック)構
造体を重ね、その上層に、耐侯性、耐水性等のさらなる
向上や平滑性等美観の向上を目的に、不飽和ポリエステ
ル樹脂等の熱硬化性樹脂層を設けることにより、用いた
樹脂の有する任意の特性を付与するとともに、防水性の
向上を図ることが知られている。
【0003】このように複数層を積層した複合被覆構造
体を施工する際には、通常、下層が充分に硬化、乾燥し
た後、次の樹脂層を塗布することが、作業上望ましい。
そこで、樹脂の硬化、乾燥を促進するため、一般に、樹
脂層中には、空気遮断作用を有するワックスやパラフィ
ンを添加して空気乾燥性の向上を図ることが行われてい
る。
【0004】しかしながら、ワックスやパラフィンの添
加は、空気乾燥性の向上に寄与する反面、硬化後も表面
に存在するため、二次接着性、すなわち次に積層する樹
脂層との接着性や外観に悪影響を及ぼすといった問題を
起こすことがあった。
【0005】これまで、この問題を回避する方法として
は、例えば、特開平11−209628号公報で提案さ
れているように、ワックスやパラフィンを表面に効率的
に分散させる分散剤を用いるなどして、ワックスやパラ
フィンの添加量を最小限に抑える方法や、あるいは、次
に積層する樹脂を塗布するまでの時間を微妙に調整し
て、ワックスやパラフィンが完全に表面に集中し接着性
を阻害するようになる前に、次に積層する樹脂を塗布す
るようにする方法が採用されていた。しかし、前述のよ
うに、ワックスやパラフィンの添加量を制限した場合で
あっても、必要最小限の量は存在していることから、や
はり二次接着性の低下は充分には抑制できず、一方、次
工程までの時間を微妙に調整することは、実際の施工作
業においては非常に困難であった。
【0006】さらに、ワックスやパラフィンは、最上層
についても、最表面の樹脂の硬化を促進させ、樹脂本来
の性能を発揮させるため、通常、添加されている。最上
層にワックスやパラフィンが添加された樹脂を用いる従
来の複合被覆構造体においては、最上層の表面に大量の
ワックスやパラフィンが存在しているため、補修の際、
新たな樹脂を塗布し直す前に、この表面部分をサンディ
ングする必要があり、作業時間、作業環境上、問題視さ
れていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、ワックスやパラフィンが添加されていても二次接着
性を損なうことなく、容易に優れた層間接着性を発揮す
ることができ、さらに、補修の際にもサンディングを要
することのない、防水用複合被覆構造体およびその施工
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定のアクリ
ルポリオールを含んでなる樹脂が、ワックスやパラフィ
ンが表面に存在している下層に対して、優れた密着性を
発揮しうることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の防水用複合被覆構造体
は、基体(A)と、ワックスおよび/またはパラフィン
を50〜5000ppm含む樹脂を用いてなる前記基体
(A)の上に積層された繊維強化樹脂層(B)と、該繊
維強化樹脂層(B)の上に積層されたトップコート樹脂
層(C)とから少なくとも構成される複合被覆構造体で
あって、前記トップコート樹脂層(C)が、シクロアル
キル基を有する重合性単量体(a)5.0〜98.0重
量%と、水酸基を有する重合性単量体(b)2.0〜3
5.0重量%と、を含む重合性単量体成分(x)(但
し、重合性単量体成分(x)を構成する重合性単量体の
合計が100重量%となるようにする)を重合してなる
アクリルポリオールを用いてなることを特徴とする。
【0010】また、本発明の防水用複合被覆構造体の施
工法は、基体(A)の上にワックスおよび/またはパラ
フィンを50〜5000ppm含む樹脂を用いてなる繊
維強化樹脂層(B)を積層し、該繊維強化樹脂層(B)
の上にトップコート樹脂層(C)を積層する複合被覆構
造体の施工法であって、前記トップコート樹脂層(C)
を、シクロアルキル基を有する重合性単量体(b)5.
0〜98.0重量%と、水酸基を有する重合性単量体
(b)2.0〜35.0重量%と、を含む重合性単量体
成分(x)(但し、重合性単量体成分(x)を構成する
重合性単量体の合計が100重量%となるようにする)
を重合してなるアクリルポリオールを用いて形成するこ
とを特徴とする。
【発明の実施の形態】本発明の複合被覆構造体は、基体
(A)と、該基体(A)の上に積層された繊維強化樹脂
層(B)と、該繊維強化樹脂層(B)の上に積層された
トップコート樹脂層(C)と、必要に応じて、前記繊維
強化樹脂層(B)とトップコート樹脂層(C)との間に
設けられた熱硬化性樹脂層(D)と、から構成される。
以下、各々について説明する。
【0011】(基体(A))基体(A)としては、特に
制限されないが、例えば、セメントコンクリート、アス
ファルトコンクリート、石綿スレート(JIS540
3)、ALC板、PC板、FRC、プラスチック、木質
物、金属等の単独あるいは組み合わせで構成されたもの
が挙げられる。また、その形状についても、特に制限は
なく、構造物の表面であれば、球面、曲面、延長面、平
面、垂直面、斜面、天井面等いずれでもよい。基体
(A)には、必要に応じ、繊維強化樹脂層(B)を形成
する前に予め下地処理、プライマー処理等を施しておく
ことが好ましい。
【0012】(繊維強化樹脂層(B))本発明の複合被
覆構造体は、以下に述べる繊維強化樹脂層(B)を有す
ることによって、優れた防水性を発揮しうるものとな
る。
【0013】繊維強化樹脂層(B)に用いられる繊維強
化材としては、例えば、ガラス繊維;アミド、アラミ
ド、ビニロン、ポリエステル、フェノール等の有機繊
維;カーボン繊維;金属繊維;セラミック繊維;等の単
独あるいは組み合わせによるものが挙げられる。これら
の中でも特に、施工性や経済性を考慮すると、ガラス繊
維、有機繊維が好ましい。これら繊維の形態としては、
例えば、平織り、朱子織り、マット状等が挙げられる
が、施工性、厚み保持等を考慮すると、マット状が好ま
しい。また、ガラスロービングを10〜100mmにカ
ットして、チョップドストランドにして使用することも
できる。繊維強化樹脂層(B)中の繊維強化材の占める
割合は、5〜70%が好ましい。
【0014】繊維強化樹脂層(B)に用いられる樹脂と
しては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエス
テル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、
これらの中でも特に、不飽和ポリエステル樹脂およびビ
ニルエステル樹脂が好ましい。
【0015】前記不飽和ポリエステル樹脂としては、例
えば、α,β−不飽和二塩基酸またはその酸無水物、あ
るいは、芳香族飽和二塩基酸またはその酸無水物と、グ
リコール類との重縮合により得られる(場合によって
は、酸成分として、脂肪族あるいは脂環族飽和二塩基酸
を併用してもよい)不飽和ポリエステル30〜80重量
部を、α,β−不飽和単量体70〜20重量部に溶解し
て得られるものが挙げられる。前記ビニルエステル樹脂
としては、例えば、不飽和ポリエステルの末端をビニル
変性したものや、エポキシ樹脂骨格の末端をビニル変性
したものが挙げられる。いずれも、該樹脂硬化物の引張
伸び率(JIS−K−7113で規定される引張試験に
より測定)が20%以上となるものが好ましい。
【0016】前記α,β−不飽和二塩基酸またはその酸
無水物としては、具体的には、マレイン酸、無水マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマ
レイン酸、およびこれらのエステル等があり、前記芳香
族飽和二塩基酸またはその酸無水物としては、具体的に
は、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エ
ンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無
水フタル酸、およびこれらのエステル等があり、前記脂
肪族あるいは脂環族飽和二塩基酸としては、具体的に
は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバ
シン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水
フタル酸、およびこれらのエステル等があり、それぞれ
単独あるいは併用して使用することができる。
【0017】前記グリコール類としては、具体的には、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロ
パン1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビ
スフェノールA、水素化ビスフェノールA、エチレング
リコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシ
プロポキシジフェニル)プロパン等があり、単独あるい
は併用して使用することができる。また、エチレンオキ
サイド、プロピレンオキサイド等の酸化物も同様に使用
することができる。また、グリコール類と酸成分の一部
としてポリエチレンテレフタレート等の重縮合物を使用
してもよい。
【0018】前記α,β−不飽和単量体としては、前記
不飽和ポリエステルやビニルエステル樹脂と架橋可能な
ビニルモノマーまたはビニルオリゴマー等であれば特に
制限はなく、具体的には、スチレン、ビニルトルエン、
α−メチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレ
ン、ビニルナフタレン、エチルビニルエーテル、メチル
ビニルケトン、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のビニル化合物;ジアリルフタレート、
ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリ
ルシアヌレート等のアリル化合物;等があり、単独ある
いは併用して使用することができる。
【0019】本発明において、繊維強化樹脂層(B)に
用いられる前記樹脂には、空気乾燥性を向上させるた
め、ワックスおよび/またはパラフィンが添加されてい
る。ワックスおよび/またはパラフィンの添加量は、繊
維強化樹脂層(B)に用いられる樹脂重量に対して50
〜5000ppm、好ましくは100〜2000ppm
である。
【0020】繊維強化樹脂層(B)は、必要に応じて、
種々の添加剤を含有するものであってもよい。添加剤と
しては、例えば、従来公知の増粘剤、硬化剤、硬化促進
剤、低収縮化剤、顔料、充填剤(フィラー)、トナー、
湿潤剤、帯電防止剤、顔料分散剤、可塑剤、酸化防止
剤、流れコントロール剤、粘度調整剤等が挙げられる。
特に、硬化剤、硬化促進剤の添加は有用である。
【0021】(トップコート樹脂層(C))本発明にお
いては、トップコート樹脂層(C)が、シクロアルキル
基を有する重合性単量体(a)と水酸基を有する重合性
単量体(b)とを含む重合性単量体成分(x)を重合し
てなるアクリルポリオールを用いてなるものである。こ
のような特定のアクリルポリオールは、ワックスやパラ
フィンが表面に存在している下層に対しても優れた二次
接着性を発揮しうるので、下層にワックスやパラフィン
が多量に添加されていても、容易に、優れた層間接着性
を備え、しかも補修の際にもサンディングを要しない複
合被覆構造体とすることができるのである。特定組成の
アクリルポリオールが有する水酸基およびシクロアルキ
ル基が、下層樹脂のワックスやパラフィンの存在に関係
なく、下層との接着性を向上させる。特に該アクリルポ
リオールとポリイソシアネート化合物とを用いてなる二
液ウレタン樹脂組成物は、極めて優れた二次接着性を示
すので、トップコート樹脂層(C)としては最も好まし
い。
【0022】前記シクロアルキル基を有する重合性単量
体(a)としては、具体的には、例えば、シクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)
アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等
が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0023】前記シクロアルキル基を有する重合性単量
体(a)の含有率は、重合性単量体成分(x)を構成す
る全重合性単量体の合計重量に対して、5.0〜98.
0重量%とすることが重要である。シクロアルキル基を
有する重合性単量体(a)の含有率が、5.0重量%未
満であると、下層樹脂との接着性が低下するとともに、
得られる複合被覆構造体の耐侯性、光沢、肉持性等を充
分に向上させることができず、一方、98.0重量%を
越えると、乾燥性およびレベリング性が両立しにくくな
る傾向がある。
【0024】前記水酸基を有する重合性単量体(b)と
しては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)
アクリレート(例えば、ダイセル化学工業(株)製「商
品名、プラクセルFM」等)、フタル酸とプロピレング
リコールとからなるポリエステルジオールのモノ(メ
タ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル
モノマー等が挙げられる。これらは1種のみを用いても
よく、2種以上を適宜混合して用いてもよい。
【0025】前記水酸基を有する重合性単量体(b)の
含有率は、重合性単量体成分(x)を構成する全重合性
単量体の合計重量に対して、2.0〜35.0重量%と
することが重要である。好ましくは、3.5〜23.0
重量%とするのがよい。水酸基を有する重合性単量体
(b)の含有率が、2.0重量%未満であると、下層樹
脂との接着性が低下するとともに、架橋剤を用いた場
合、反応性が低下して充分な塗膜性能が得られず、一
方、35.0重量%を越えると、架橋剤を配合した後の
保存安定性が低下する。
【0026】前記アクリルポリオールを得る際の前記重
合性単量体成分(x)は、さらに、重合性紫外線安定性
単量体(c)および/または重合性紫外線吸収性単量体
(d)をも含んでいることが好ましい。重合性紫外線安
定性単量体(c)や重合性紫外線吸収性単量体(d)を
さらに含有させることにより、得られる複合被覆構造体
の耐侯性をより向上させることができる。重合性紫外線
安定性単量体(c)と重合性紫外線吸収性単量体(d)
とは、いずれか一方のみを含有させてもよいが、好まし
くは両者とも含有させるのがよい。
【0027】前記重合性紫外線安定性単量体(c)とし
ては、立体障害を受けた窒素原子を有するピペリジニル
基と重合性不飽和基とを分子内に少なくとも1個有する
ものであれば、特に制限されないが、特に、下記一般式
(1)および一般式(2)
【0028】
【化1】
【0029】
【化2】
【0030】(一般式(1)および(2)中、R1 は、
水素原子またはシアノ基を表し、R2、R3 は、各々独
立して、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、R
4 は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基を表し、
Xは、イミノ基または酸素原子を表す)で示される化合
物が、耐侯性に一段と優れる構造体とすることができる
ことから、好ましい。このような化合物としては、具体
的には、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メ
タ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイル
アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1
−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルア
ミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−
(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アク
リロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイ
ル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン等が挙げられる。これらは1種のみを
用いてもよく、2種以上を適宜混合して用いてもよい。
【0031】前記重合性紫外線安定性単量体(c)の含
有率は、重合性単量体成分(x)を構成する全重合性単
量体の合計重量に対して、0.1〜10.0重量%とす
ることが好ましい。さらに好ましくは0.2〜5.0重
量%であるのがよい。紫外線安定性単量体(c)の含有
率が、0.1重量%未満であると、耐侯性の向上効果が
現れにくく、一方、10.0重量%を越えると、トップ
コート樹脂層(C)の光沢、肉持性が低下し、得られる
複合被覆構造体の外観が損なわれる傾向があり、しかも
一般に紫外線安定性単量体(c)は高価であるためコス
ト的にも不利となる。
【0032】前記重合性紫外線吸収性単量体(d)とし
ては、特に限定されないが、例えば、2,4−ジヒドロ
キシベンゾフェノンまたは2,2’,4−トリヒドロキ
シベンゾフェノンとグリシジル(メタ)アクリレートと
の反応により得られる、2−ヒドロキシ−4−(3−メ
タアクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリルオキシ
−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4−(3−メタアクリルオキシ−
2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’
−ジヒドロキシ−4−(3−アクリルオキシ−2−ヒド
ロキシプロポキシ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン
系重合体;2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)ア
クリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリ
アゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)ア
クリロイルオキシプロピルフェニル〕−2H−ベンゾト
リアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)
アクリロイルオキシヘキシルフェニル〕−2H−ベンゾ
トリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブ
チル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニ
ル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロ
キシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルフェニル〕−5−クロロ−2H−ベ
ンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−t
−ブチル−3’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフ
ェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒ
ドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフ
ェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2
−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルフェニル〕−5−メトキシ−2H−ベンゾト
リアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)
アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−シアノ−2
H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−
5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−
5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾ
トリアゾール系重合体;が挙げられる。これらの中でも
特に、ベンゾトリアゾール系重合体が好ましい。これら
は1種のみを用いてもよく、2種以上を適宜混合して用
いてもよい。
【0033】前記重合性紫外線吸収性単量体(d)の含
有率は、重合性単量体成分(x)を構成する全重合性単
量体の合計重量に対して、0.1〜10.0重量%、好
ましくは0.2〜5.0重量%であるのがよい。重合性
紫外線吸収性単量体(d)の含有率が、0.1重量%未
満であると、耐侯性の向上効果が現れにくく、10.0
重量%を越えると、重合安定性が悪く、しかも光沢、肉
持性、作業性が低下する傾向があるため、好ましくな
い。
【0034】前記アクリルポリオールを得る際の前記重
合性単量体成分(x)としては、前記の各重合性単量体
(a)(b)(c)(d)のほかに、これらと共重合可
能な他の重合性単量体(e)をもさらに含有していても
よい。共重合可能な他の重合性単量体(e)としては、
特に制限されないが、具体的には、例えば、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アク
リレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレ
ート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;グリ
シジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和
単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、
ビニルイミダゾール等の窒素含有不飽和単量体;塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有不飽和単量体;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳
香族不飽和単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;ビ
ニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シ
アン化合物;等が挙げられる。また、(メタ)アクリル
酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイ
ン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;ビニルスル
ホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)ア
クリレート等のスルホン酸基含有不飽和単量体;2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェー
ト、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッド
ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−
クロロ−プロピルアシッドホスフェート、2−メタクリ
ロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エス
テル系不飽和単量体;等の酸性官能基を含有する重合性
不飽和単量体も使用することができる。これら例示の重
合性単量体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。
【0035】重合性単量体成分(x)として、前記他の
重合性単量体(e)をも含有する場合、その含有率は、
重合性単量体成分(x)を構成する全重合性単量体の合
計重量に対して、93.0重量%以下とすることが好ま
しい。また、前記例示の他の重合性単量体(e)のうち
酸性官能基を含有する重合性不飽和単量体は、アクリル
ポリオールが架橋反応する際の内部触媒としても作用す
るので、全重合性単量体中、5.0重量%以下、好まし
くは0.1〜3.0重量%とするとよい。また、重合性
単量体成分(x)中に含まれる(メタ)アクリレートモ
ノマーの占める割合は、前記他の重合性単量体(e)を
含めて30重量%以上とすることが好ましい。
【0036】但し、重合性単量体成分(x)を構成する
前述の各重合性単量体の含有率は、常にそれらの合計が
100重量%となるようにして選択されるものである。
前記シクロアルキル基を有する重合性単量体(a)と、
前記水酸基を有する重合性単量体(b)と、必要に応じ
て、前記重合性紫外線安定性単量体(c)、前記重合性
紫外線吸収性単量体(d)およびこれらと共重合可能な
他の重合性単量体(e)とからなる重合性単量体成分
(x)を重合してアクリルポリオールを得る際の、重合
方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、
溶液重合、塊状重合、懸濁重合、エマルション重合等の
従来公知の重合方法を採用すればよい。
【0037】前記重合の際の溶剤としては、例えば、ト
ルエン、キシレン等の高沸点の芳香族系溶剤;酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系
溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
のケトン系溶剤;等を単独あるいは併用して使用するこ
とができるのであるが、これらに限定されるものではな
い。
【0038】前記重合の際には、必要に応じて重合開始
剤を使用することができる。重合開始剤としては、特に
限定されるものではなく、例えば、アゾビスイソブチロ
ニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド等の通常のラジカル開始剤を単独あるい
は併用して使用すればよい。
【0039】前記重合の際の重合条件については、特に
限定されるものでなく、適宜選択すればよい。具体的に
は、重合温度は、室温〜200℃、好ましくは40〜1
40℃の範囲がよい。また、重合時間は、反応の進行状
況に応じ、それぞれ、適宜選択すればよい。また、重合
に際しては、必要に応じて、公知の他の添加剤等を添加
することもできる。
【0040】トップコート樹脂層(C)を構成する樹脂
中、前記アクリルポリオールは、少なくとも50重量%
以上含有されていることが好ましい。アクリルポリオー
ルが上記範囲よりも少ないと、耐侯性、密着性等が低下
しやすくなるので、好ましくない。
【0041】本発明においては、トップコート樹脂層
(C)が、前記アクリルポリオールとポリイソシアネー
ト化合物とを反応させてなるウレタン樹脂硬化物である
ことが好ましい。該ウレタン樹脂硬化物をトップコート
樹脂層(C)にすることにより、下層との優れた接着性
に加えて、高い硬度、光沢、肉持性、耐溶剤性、耐ガソ
リン性、耐侯性が得られる。
【0042】前記ポリイソシアネート化合物としては、
1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイ
ソシアネートであれば特に制限はなく、例えば、トリレ
ンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジ
フェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチ
レンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネー
ト)、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネート、1,3−(イソシアナートメチ
ル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネ
ート、トリフェニルメタントリイソシアネート、等のア
ダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体が挙げら
れる。また、これらのポリイソシアネートを、エタノー
ル等のアルコール類、フェノール等のフェノール性水酸
基を有する化合物、アセトキシム等のオキシム類、ε−
カプロラクタム等のラクタム類等のブロック剤で封鎖し
たブロックドポリイソシアネートが挙げられる。特に、
塗膜の黄変を防止するためには、芳香環に直接結合した
イソシアネート基を有しない無黄変性ポリイソシアネー
ト化合物が好ましい。これらは、1種のみを用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。さらに、これらポリイ
ソシアネート化合物には、ジブチル錫ジラウレート、第
3級アミン等の公知の触媒を1種または2種以上添加し
てもよい。
【0043】前記ウレタン樹脂硬化物中、アクリルポリ
オールとポリイソシアネート化合物との割合は、アクリ
ルポリオール中のヒドロキシル基に対してイソシアネー
ト基の当量比が1:1となるようにすることが好まし
い。
【0044】前記アクリルポリオールとポリイソシアネ
ート化合物とを含む前記ウレタン樹脂硬化物には、必要
に応じ、アクリルポリオール中の水酸基とイソシアネー
ト基とのウレタン化反応を促進させる、例えば、ジラウ
リン酸ジ−n−ブチルスズ等の有機スズ化合物や第三級
アミン等の公知の触媒を含有させることができる。
【0045】トップコート樹脂層(C)は、必要に応じ
て、種々の添加剤を含有するものであってもよい。添加
剤としては、例えば、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、顔
料、充填剤(フィラー)、トナー、湿潤剤、帯電防止
剤、顔料分散剤、可塑剤、酸化防止剤、流れコントロー
ル剤、粘度調整剤等が挙げられる。
【0046】前記添加剤のなかで、特に、紫外線吸収剤
としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、
サリシレート系、シアノアクリレート系、しゅう酸アニ
リド系、トリアジン系等が挙げられる。紫外線安定剤と
しては、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系等が挙げ
られる。顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、
三酸化アンチモン、亜鉛華、リトポン、鉛白等の白色顔
料や、カーボンブラック、黄鉛、モリブテン赤、ベンガ
ラ、黄色酸化鉄、黄華等の着色顔料のような無機顔料;
ベンジジン、ハンザイエロー等のアゾ化合物や、フタロ
シアニンブルー等のフタロシアニン類のような有機顔
料;が挙げられる。これらは、1種類のみを用いてもよ
いし、2種類以上を併用することもできる。また、これ
ら添加剤の使用量は、本発明の効果を妨げない範囲で適
宜設定すればよいが、特に、顔料として酸化チタンを用
いる場合には、トップコート樹脂層(C)の固形分に対
して容積濃度で10%未満とすることが好ましい。
【0047】(熱硬化性樹脂層(D))本発明の複合被
覆構造体は、前記繊維強化樹脂層(B)と前記トップコ
ート樹脂層(C)との間に、熱硬化性樹脂層(D)が設
けられてなることが好ましい。前記繊維強化樹脂層
(B)内には繊維強化材が存在するので、構造体表面に
繊維目等の凹凸が現れやすい場合があるが、そのような
場合にも以下に述べる熱硬化性樹脂層(D)を設けるこ
とによって、良好な表面平滑性を有する複合被覆構造体
とすることができるのである。
【0048】熱硬化性樹脂層(D)に用いられる樹脂と
しては、前記繊維強化樹脂層(B)に用いられる樹脂と
して例示した不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル
樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等と同様のも
のが挙げられる。
【0049】前記熱硬化性樹脂層(D)に用いる樹脂に
は、空気乾燥性を向上させるため、ワックスおよび/ま
たはパラフィンが添加されている。ワックスおよび/ま
たはパラフィンの添加量は、熱硬化性樹脂層(D)に用
いられる樹脂重量に対して50〜5000ppm、好ま
しくは100〜2000ppmである。
【0050】熱硬化性樹脂層(D)に用いる樹脂は、
(B)と同様、必要に応じて、種々の添加剤を含有する
ものであってもよい。添加剤としては、例えば、硬化
剤、硬化促進剤、顔料、充填剤(フィラー)、トナー、
湿潤剤、帯電防止剤、顔料分散剤、可塑剤、酸化防止
剤、流れコントロール剤、粘度調整剤等が挙げられる。
また、スリップ防止剤として、ケイ砂、ガラスビーズ等
を添加しておいても良い。
【0051】(施工法)本発明の複合被覆構造体の施工
法は、前記基体(A)の上に前記繊維強化樹脂層(B)
を積層し、該繊維強化樹脂層(B)の上に前記アクリル
ポリオールを必須成分とするトップコート樹脂層(C)
を積層するものであり、好ましくは、前記繊維強化樹脂
層(B)とトップコート樹脂層(C)との間に前記熱硬
化性樹脂層(D)を設けるものである。
【0052】繊維強化樹脂層(B)は、例えば、基体
(A)の上に前記熱硬化性樹脂を塗布し、その上に前記
繊維強化材をのせるか、あるいは、前記繊維強化材に前
記熱硬化性樹脂を含浸させた後に基体(A)の上にのせ
て、硬化させることにより形成することができる。ま
た、前記熱硬化性樹脂を前記繊維強化材に含浸、硬化さ
せた成形材料を使用し、接着剤を用いてはりつけてもよ
い。なお、接着剤としては、例えば、ウレタン系、エポ
キシ系、シリコン系、ビニルエステル系、不飽和ポリエ
ステル系、アクリル系等の従来公知の液状で塗布する形
態の接着剤が挙げられ、特に、現場施工を考慮すると、
エポキシ系接着剤、シリコン系接着剤、およびイソシア
ネート基を有するウレタン系接着剤が好ましい。
【0053】繊維強化樹脂層(B)は、通常、0.5〜
5.0mm程度の厚みに形成することが好ましい。0.
5mm未満であると、充分な防水性を発揮できないこと
があり、一方、5.0mmを越えると、硬化収縮により
亀裂が生じる傾向がある。
【0054】前記繊維強化樹脂層(B)の上にトップコ
ート樹脂層(C)あるいは熱硬化性樹脂層(D)を積層
する方法としては、特に制限されないが、例えば、前記
アクリルポリオールを必須成分とするトップコート樹脂
組成物や熱硬化性樹脂をローラーやスプレー等によって
塗布し、硬化させるようにすればよい。
【0055】熱硬化性樹脂層(D)は、通常、0.1〜
2.0mm程度の厚みに形成することが好ましい。0.
1mm未満であると、ワックスまたはパラフィンの浮き
が悪くなり、平滑性等の外観の不良を招きやすく、一
方、2.0mmを越えると、硬化収縮により亀裂が生じ
る傾向がある。
【0056】トップコート樹脂層(C)は、通常、0.
005〜1.0mm程度の厚みに形成することが好まし
い。0.005mm未満であると、耐侯性や均一性を損
なう傾向があり、一方、1.0mmを越えると、硬化時
間が長くなる傾向がある。
【0057】なお、本発明の施工法においては、空気乾
燥性の向上を図るため、前記繊維強化樹脂層(B)ある
いは熱硬化性樹脂層(D)に用いられる樹脂に、50〜
5000ppmのワックスおよび/またはパラフィンが
添加されているのであるが、該繊維強化樹脂層(B)あ
るいは熱硬化性樹脂層(D)の形成後、トップコート樹
脂層(C)を形成するまでに、時間的な調整は不要であ
る。
【0058】本発明の施工法は、例えば、前述のような
基体(A)、繊維強化樹脂層(B)等からなる既設構造
体の補修を含む。既設構造体を補修する方法としては、
既存の樹脂層をサンディングすることなく、既存の樹脂
層の上に、直接新たなトップコート樹脂層(C)を塗布
すればよい。なお、補修の際には、新たなトップコート
樹脂層(C)が0.005〜1.0mm程度の厚みにな
るように形成することが好ましい。
【0059】
【実施例】以下に、実施例および比較例によって本発明
をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定され
るものではない。得られた複合被覆構造体の各種物性
は、以下の方法により評価した。なお、実施例および比
較例に記載の「部」は「重量部」を示している。
【0060】<一次密着性および二次密着性>一次密着
性は、得られえた試験体について、碁盤目テープ法(J
IS−K−5400)により以下のように評価した。ま
た、二次密着性は、得られた試験体に耐湿試験(98%
RH、50℃×72時間)を施した後に、碁盤目テープ
法(JIS−K−5400)により以下のように評価し
た。
【0061】◎:剥離なし、○:剥離なし(コーナー欠
け)、△:剥離面積が10%以下、×:剥離面積が30
%以下、××:剥離面積が60%以下、×××:全面剥
離 <表面平滑性>得られた試験体を目視にて観察し、以下
のように評価した。なお、表面平滑性は、熱硬化製樹脂
層(C)を形成する際に常温で24時間放置して得た試
験体を用いて行った。
【0062】○:曇り、ガラス目ともになし、△:曇り
なし、ガラス目あり、×:曇り、ガラス目ともにあり <耐侯性>得られた試験体について、サンシャインウエ
ザオメーター試験機で促進耐侯性試験を行い、光沢保持
率が80%になるまでのサンシャインウエザオメーター
照射時間で評価した。なお、耐侯性は、熱硬化製樹脂層
(C)を形成する際に常温で24時間放置して得た試験
体を用いて行った。
【0063】(アクリルポリオール溶液の合成例1)攪
拌機、温度計、冷却器、窒素ガス導入管のついた4つ口
フラスコに、窒素ガス気流下、トルエン25部および酢
酸ブチル25部を仕込み、100℃に昇温した。その中
に、シクロヘキシルメタクリレート20部、ヒドロキシ
エチルメタクリレート9部、メチルメタクリレート11
部、ブチルメタクリレート5部、ブチルアクリレート
4.5部、メタクリル酸0.5部およびアゾビスイソブ
チロニトリル0.5部からなる重合性単量体成分を2時
間かけて滴下し、さらに100℃で4時間保持して、ア
クリルポリオール溶液(1)を得た。得られた溶液の不
揮発分は50.1%、粘度(ガードナー)はYであっ
た。
【0064】(アクリルポリオール溶液の合成例2〜
5)重合性単量体成分の組成比を表1に示すように変更
した以外は、上記合成例1と同様にして、アクリルポリ
オール溶液(2)〜(5)を得た。得られた溶液の不揮
発分および粘度(ガードナー)は表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】[実施例1]基体(A)としてコンクリー
トを用い、その上に、ガラスマット(旭ファイバーグラ
ス社製「CM−455FA」)86部(2プライ)を、
不飽和ポリエステル樹脂エポラック(日本触媒社製「N
−5553M」)200部、硬化剤(化薬アクゾ社製
「カヤメックM」)2部、パラフィンワックス(日本精
蝋社製「135F」)0.06部からなる樹脂で含浸さ
せ、厚さ2mmの繊維強化樹脂層(B)を形成した。
【0067】さらに、その上に、繊維強化樹脂層(B)
で用いた樹脂50部を塗布し、常温で4時間または24
時間放置して硬化させ、熱硬化製樹脂層(C)を形成し
た。さらに、合成例1で得られたアクリルポリオール溶
液(1)を50μmの厚みになるように塗布し、常温で
7日間乾燥させ、トップコート樹脂層(C)を形成し、
複合被覆構造体を得た。得られた複合被覆構造体の物性
を表2に示す。
【0068】[実施例2および3]トップコート樹脂層
(C)として、合成例2および3で得られたアクリルポ
リオール溶液(2)および(3)を用いたこと以外は、
実施例1と同様にして、複合被覆構造体を得た。得られ
た複合被覆構造体の物性を表2に示す。
【0069】[比較例1および2]トップコート樹脂層
(C)として、合成例4および5で得られたアクリルポ
リオール溶液(4)および(5)を用いたこと以外は、
実施例1と同様にして、複合被覆構造体を得た。得られ
た複合被覆構造体の物性を表3に示す。
【0070】[実施例4〜6]アクリルポリオール溶液
(1)〜(3)のそれぞれに対し、多官能イソシアネー
ト(住友バイエルウレタン社製「スミジュールN」を、
各アクリルポリオール溶液中のヒドロキシル基と同当量
となるように混合し、さらに、エアスプレーの可能な粘
度までトルエン:酢酸ブチル=1:1のシンナーで希釈
して、トップコート樹脂層(C)形成用のウレタン樹脂
(1’)(2’)(3’)とした。
【0071】これらのウレタン樹脂(1’)(2’)
(3’)を、実施例1におけるアクリルポリオール溶液
(1)の代わりに、トップコート樹脂層(C)として用
いたこと以外は、実施例1と同様にして、複合被覆構造
体を得た。得られた複合被覆構造体の物性を表2に示
す。
【0072】[比較例3および4]実施例4〜6におけ
るアクリルポリオール溶液(1)〜(3)の代わりに、
アクリルポリオール溶液(4)および(5)を用いたこ
と以外は、実施例4〜6と同様にして、トップコート樹
脂層(C)形成用のウレタン樹脂(4’)(5’)を得
た。
【0073】これらのウレタン樹脂(4’)(5’)
を、実施例1におけるアクリルポリオール溶液(1)の
代わりに、トップコート樹脂層(C)として用いたこと
以外は、実施例1と同様にして、複合被覆構造体を得
た。得られた複合被覆構造体の物性を表3に示す。
【0074】[比較例5]実施例1におけるアクリルポ
リオール溶液(1)の代わりに、パラフィン0.1%
と、オクテン酸コバルト0.2%と、硬化剤(化薬アク
ゾ社製「カヤメックM」)1.0%とを加えた不飽和ポ
リエステル樹脂エポラック(日本触媒社製「N−32
5」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、複
合被覆構造体を得た。得られた複合被覆構造体の物性を
表3に示す。
【0075】[比較例6]実施例1におけるアクリルポ
リオール溶液(1)の代わりに、パラフィン0.2%
と、オクテン酸コバルト0.2%と、硬化剤(化薬アク
ゾ社製「カヤメックM」)1.0%とを加えた不飽和ポ
リエステル樹脂エポラック(日本触媒社製「N−32
5」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、複
合被覆構造体を得た。得られた複合被覆構造体の物性を
表3に示す。
【0076】[実施例7]基体(A)としてコンクリー
トを用い、その上に、ガラスマット(旭ファイバーグラ
ス社製「CM−455FA」)86部(2プライ)を、
不飽和ポリエステル樹脂エポラック(日本触媒社製「N
−5553M」)200部、硬化剤(化薬アクゾ社製
「カヤメックM」)2部、パラフィンワックス(日本精
蝋社製「135F」)0.06部からなる樹脂で含浸さ
せ、厚さ2mmの繊維強化樹脂層(B)を形成した。
【0077】繊維強化樹脂層(B)が硬化した4時間後
に、さらに、その上に、パラフィン0.1%と、オクテ
ン酸コバルト0.2%と、硬化剤(化薬アクゾ社製「カ
ヤメックM」)1.0%とを加えた不飽和ポリエステル
樹脂エポラック(日本触媒社製「N−325」)を、
0.5mmの厚みで塗布し、常温で24時間放置して硬
化させ、熱硬化製樹脂層(C)を形成した。
【0078】さらに、実施例4で用いたのと同様のトッ
プコート樹脂層(C)形成用のウレタン樹脂(1’)を
50μmの厚みで塗り重ね、常温で7日間乾燥させ、ト
ップコート樹脂層(C)を形成し、複合被覆構造体を得
た。得られた複合被覆構造体の物性を表2に示す。
【0079】[比較例7]実施例7におけるトップコー
ト樹脂層(C)形成用のウレタン樹脂(1’)の代わり
に、パラフィン0.1%と、オクテン酸コバルト0.2
%と、硬化剤(化薬アクゾ社製「カヤメックM」)1.
0%とを加えた不飽和ポリエステル樹脂エポラック(日
本触媒社製「N−325」)を用いたこと以外は、実施
例7と同様にして、複合被覆構造体を得た。得られた複
合被覆構造体の物性を表3に示す。
【0080】[実施例8]実施例1において、熱硬化性
樹脂層(D)を形成しないこと以外は、実施例1と同様
にして、複合被覆構造体を得た。得られた複合被覆構造
体の物性を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、ワックスやパラフィン
が添加されていても二次接着性を損なうことなく、容易
に優れた層間接着性を発揮することができ、さらに、補
修の際にもサンディングを要することのない、複合被覆
構造体およびその施工法を提供することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/01 C08K 5/01 7/02 7/02 C08L 91/06 C08L 91/06 101/00 101/00 E04B 1/66 E04B 1/66 A E04D 11/02 E04D 11/02 E (56)参考文献 特開 昭50−146620(JP,A) 特開 昭53−13687(JP,A) 特開 平11−209628(JP,A) 特開 平9−300521(JP,A) 特開 平1−219242(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 E04B 1/62 - 1/99 E04D 11/00 - 11/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体(A)と、ワックスおよび/またはパ
    ラフィンを50〜5000ppm含む樹脂を用いてなる
    前記基体(A)の上に積層された繊維強化樹脂層(B)
    と、該繊維強化樹脂層(B)の上に積層されたトップコ
    ート樹脂層(C)とから少なくとも構成される複合被覆
    構造体であって、 前記トップコート樹脂層(C)が、シクロアルキル基を
    有する重合性単量体(a)5.0〜98.0重量%と、
    水酸基を有する重合性単量体(b)2.0〜35.0重
    量%と、を含む重合性単量体成分(x)(但し、重合性
    単量体成分(x)を構成する重合性単量体の合計が10
    0重量%となるようにする)を重合してなるアクリルポ
    リオールを用いてなることを特徴とする防水用複合被覆
    構造体。
  2. 【請求項2】前記繊維強化樹脂層(B)と前記トップコ
    ート樹脂層(C)との間に、ワックスおよび/またはパ
    ラフィンを50〜5000ppm含む樹脂を用いてなる
    熱硬化性樹脂層(D)が設けられてなる、請求項1記載
    の防水用複合被覆構造体。
  3. 【請求項3】前記トップコート樹脂層(C)が、前記ア
    クリルポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応
    させてなるウレタン樹脂硬化物である、請求項1または
    2に記載の防水用複合被覆構造体。
  4. 【請求項4】前記重合性単量体成分(x)が、さらに、
    重合性紫外線安定性単量体(c)および/または重合性
    紫外線吸収性単量体(d)をも含む、請求項1から3ま
    でのいずれかに記載の防水用複合被覆構造体。
  5. 【請求項5】基体(A)の上にワックスおよび/または
    パラフィンを50〜5000ppm含む樹脂を用いてな
    る繊維強化樹脂層(B)を積層し、該繊維強化樹脂層
    (B)の上にトップコート樹脂層(C)を積層する複合
    被覆構造体の施工法であって、前記トップコート樹脂層
    (C)を、シクロアルキル基を有する重合性単量体
    (b)5.0〜98.0重量%と、水酸基を有する重合
    性単量体(b)2.0〜35.0重量%と、を含む重合
    性単量体成分(x)(但し、重合性単量体成分(x)を
    構成する重合性単量体の合計が100重量%となるよう
    にする)を重合してなるアクリルポリオールを用いて形
    成することを特徴とする防水用複合被覆構造体の施工
    法。
  6. 【請求項6】前記繊維強化樹脂層(B)と前記トップコ
    ート樹脂層(C)との間に、ワックスおよび/またはパ
    ラフィンを50〜5000ppm含む樹脂を用いてなる
    熱硬化性樹脂層(D)を設ける、請求項5記載の防水用
    複合被覆構造体の施工法。
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