JP3502135B2 - 血管内挿入用医療器具およびその製造方法 - Google Patents

血管内挿入用医療器具およびその製造方法

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JP3502135B2 JP34770293A JP34770293A JP3502135B2 JP 3502135 B2 JP3502135 B2 JP 3502135B2 JP 34770293 A JP34770293 A JP 34770293A JP 34770293 A JP34770293 A JP 34770293A JP 3502135 B2 JP3502135 B2 JP 3502135B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血管内挿入用医療器具
およびその製造方法に関するものである。具体的には、
動脈、静脈などの目的部位にカテーテルを導入するため
に使用されるガイドワイヤーを、血管内に導入する時に
用いられる血管穿刺器具およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ガイドワイヤーを血管に導入
するための血管穿刺器具が使用されている。血管穿刺器
具としては、ガイドワイヤーを導入するための外管と、
この外管の基端部に固着された外管ハブを有する外管組
立体と、外管組立体内に抜去可能に挿入し、かつ先端に
穿刺用刃面を有する内針と、内針の基端部に固着され、
前記外管ハブの後端部と係合する内針ハブとからなる内
針組立体とにより構成されたものが一般的である。
【0003】しかし、この血管穿刺器具では、内針の抜
去作業が必要であった。そこで、本発明者は、内針の抜
去作業の必要のない血管穿刺器具を検討した。そして、
金属製外管と、外管の内径とほぼ同一外径を有し、外管
内に挿入された樹脂製内管からなる管状体と、管状体の
基端部に固着されたハブとからなる血管穿刺器具を作製
した。この血管穿刺器具では、内針の抜去作業が必要で
なく、作業が容易である。
【0004】そして、金属製外管と、この外管内に挿入
された樹脂製内管からなる管状体をハブに固着する方法
としては、外径が管状体(樹脂製内管)の内径とほぼ等
しく、かつ後端が拡径したカシメピンを用いる方法が考
えられる。具体的には、管状体のハブへの固定は、ハブ
の内面にカシメピンの後端と係合する突起を設け、管状
体の後端に、カシメピンを差し込み、管状体をその先端
からハブ内に挿入し、ハブの内面に設けられた突起をカ
シメピンの後端部分が越えるまで押し込むことにより行
うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のカシメ
ピンを用いたものでは、カシメピンのもつ肉厚により、
血管穿刺器具内に挿入できるガイドワイヤーの径が規制
され、細径のものを用いなければならなくなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、カシメ
ピンを用いることなく、管状体とハブが固定されてお
り、使用するガイドワイヤーの外径がカシメピンにより
規制されず、管状体の内径に従って、ガイドワイヤーを
選択することができる血管内挿入用医療器具およびその
製造方法を提供する。
【0007】上記目的を達成するものは、金属製外管
と、該外管の内径とほぼ同一外径を有し、該外管内に挿
入された樹脂製内管からなる管状体と、該管状体の基端
部に固着されたハブとからなる血管内挿入用医療器具で
あって、前記管状体の前記樹脂製内管の基端部は、前記
金属製外管の先端方向に屈曲し、該金属製外管の基端部
外面上に位置する屈曲部を形成し、前記ハブは、該屈曲
部が形成された管状体の基端部の収納部を有し、該ハブ
の収納部内に前記管状体の基端部が収納された状態に
て、前記管状体が前記ハブに固着されている血管内挿入
用医療器具である。
【0008】そして、前記樹脂製内管の基端部は、複数
のスリットにより分割され、かつ前記金属製外管の先端
方向に折り曲げることにより前記屈曲部が形成され、か
つ該屈曲部が、該金属製外管の基端部外面を被覆してい
ることが好ましい。前記血管内挿入用医療器具は、血管
穿刺器具であることが好ましい。さらに、前記外管の先
端は、穿刺用刃面を有し、前記内管の先端は、該外管の
先端まで延び、かつ、該外管の先端より突出していない
ことが好ましい。前記ハブの収納部の底部は、前記屈曲
部を有する管状体の端部の係止部となっていることが好
ましい。さらに、該係止部の内径は、前記樹脂製内管の
内径とほぼ等しいことが好ましい。
【0009】また、上記目的を達成するものは、金属製
外管と、該外管の内径とほぼ同一外径を有し、該外管内
に挿入された樹脂製内管からなる管状体と、該管状体の
基端部に固着されたハブとからなる血管内挿入用医療器
具の製造方法であって、該製造方法は、金属製外管と樹
脂製内管とからなり、該金属製外管の内部に該樹脂製内
管が挿入されかつ前記金属製外管の基端より突出する樹
脂製内管の基端部に複数のスリットが設けられた管状体
を作成する工程と、該スリットを設けた樹脂製内管の基
端部を先端方向に折り曲げ屈曲部を形成する工程と、該
樹脂製内管に屈曲部が形成された管状体の基端部をハブ
内に挿入し、該管状体と該ハブとの間隙に接着剤を注入
し、該管状体と該ハブとを固着する工程とを有する血管
内挿入用医療器具の製造方法である。
【0010】そして、前記金属製外管と樹脂製内管とか
らなり、該金属製外管の内部に該樹脂製内管が挿入され
かつ前記金属製外管の基端より突出する樹脂製内管の基
端部に複数のスリットが設けられた管状体を作成する工
程は、前記金属製外管内に前記樹脂製内管を少なくとも
樹脂製内管の基端部が前記金属製外管の基端より突出す
るように挿入する工程と、該金属製外管の基端より突出
した樹脂製内管の基端部に複数のスリットを設ける工程
とからなることが好ましい。また、前記金属製外管と樹
脂製内管とからなり、該金属製外管の内部に該樹脂製内
管が挿入されかつ前記金属製外管の基端より突出する樹
脂製内管の基端部に複数のスリットが設けられた管状体
を作成する工程は、基端部に複数のスリットを有する樹
脂製内管を前記金属製外管内に該スリットが設けられた
樹脂製内管の基端部が前記金属製外管の基端より突出す
るように挿入することにより行ってもよい。さらに、該
製造方法は、前記金属製外管の先端より突出する樹脂製
内管の先端を切断する内管先端形成工程を有することが
好ましい。
【0011】本発明の血管内挿入用医療器具を血管穿刺
器具に応用した実施例を、図面を用いて説明する。図1
は、本発明の血管穿刺器具の外観図であり、図2は、図
1に示した血管穿刺器具の部分省略拡大断面図であり、
図3は、管状体の基端部を側面図とした図1に示した血
管穿刺器具の部分拡大断面図である。
【0012】本発明の血管内挿入用医療器具1は、金属
製外管2と、外管2の内径とほぼ同一外径を有し、外管
2内に挿入された樹脂製内管3からなる管状体5と、管
状体5の基端部に固着されたハブ7とからなる血管内挿
入用医療器具であり、管状体5の樹脂製内管3の基端部
は、金属製外管2の先端方向に屈曲し、金属製外管2の
基端部外面上に位置する屈曲部3aを形成している。ハ
ブ7は、屈曲部3aが形成された管状体5の基端部の収
納部7bを有し、ハブ7の収納部7b内に管状体5の基
端部が収納された状態にて、管状体5がハブ7に固着さ
れている。
【0013】図面に示す実施例は、本発明の医療器具を
血管穿刺器具に応用したものである。この血管穿刺器具
1は、金属製外管2と樹脂製内管3とからなる管状体5
と、この管状体5の基端部に固着されたハブ7とからな
る。管状体5は、中空の金属製外管2と、この外管内に
挿入された樹脂製内管3とからなる。金属製外管2は、
図1および図2に示すように、先端に穿刺用刃面2aを
有している。金属製外管2としては、中空のものが用い
られている。外管2の形成材料としては、ステンレス鋼
が好適である。外管2の外径としては、0.9〜2.0
mm程度が一般的である。
【0014】樹脂製内管3は、金属製外管2の内径とほ
ぼ同じ外径を有し、外管内に挿入されている。内管3
は、外管2の先端まで延び、かつ、外管2の先端より突
出していないことが好ましい。さらに、内管3の先端
は、外管2の先端に形成された刃面2aに対応した形状
となっており、内管3の先端面と外管2の先端面には実
質的に段差などがなく、連続した面となっていることが
好ましい。このようにすることにより、穿刺時の抵抗を
少なくすることができる。
【0015】樹脂製内管3の基端は、図2および図3に
示すように、金属製外管2の基端より所定長突出し、こ
の突出した基端部が、金属製外管2の先端方向に屈曲さ
れ、金属製外管2の基端部外面上に位置する屈曲部3a
を形成している。具体的には、図3に示すように、樹脂
製内管3の基端部は、複数のスリットにより分割され、
かつ金属製外管2の先端方向に折り曲げるられることに
より、金属製外管2の基端部外面を被覆する屈曲部3a
となっている。そして、この外管2の基端部を被包する
樹脂製内管3の屈曲部3aは、折り曲げられることによ
りスリットが拡がり形成された隙間12を有する。
【0016】スリットの数としては、2以上であればよ
く、特に、3〜6程度が好適である。このようにスリッ
トを設けることにより、内管3の屈曲部3aを容易に形
成することができる。樹脂製内管3としては、ETF
E、PTFE、FEP、PFA等のフッ素系樹脂、ポリ
プロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂などが
好適に使用される。内管3の外径としては、0.7〜
1.8mm程度が好適である。そして、屈曲部3aの長
さは、3〜8mm程度が好適である。
【0017】そして、ハブ7は、中空状であり、図1お
よび図2に示すように、基端にガイドワイヤー等の挿入
口となる開口7aと、先端部内部に、屈曲部3aが形成
された管状体5を収納する収納部7bを備えている。開
口7aと収納部7bを形成する凹部は、通路7cにより
連通している。また、ハブ7の中央より若干先端側の位
置に、穿刺時に指をかけるためのフランジ9が設けられ
ている。ハブ7の収納部は、屈曲部3aが形成された管
状体5の外径より若干大きい内径を有する円柱状の凹部
であり、かつ収納部の底部(凹部の底部)は、管状体5
の基端の係止部7dを形成している。この実施例のよう
に、係止部7dは、収納部7bより内径が小さい環状突
起により形成することが好ましく、特に、係止部7dの
内径は、樹脂製内管3の内径とほぼ等しいことが好まし
い。このように形成することにより、スリットを介して
ハブ7の内部と外部とが連通することを防止できる。
【0018】そして、ハブ7は、収納部内であって、か
つ管状体5の基端部が収納されたときの屈曲部3aの端
部よりハブ7の先端側となる位置に、環状溝7eを有す
ることが好ましい。言い換えれば、収納部7bの底部7
dより屈曲部3aの長さと同じか若干長い距離離間した
位置に環状溝7eを有している。さらに、この環状溝7
eより先端側に第二の環状溝7fを有することが好まし
い。環状溝7e,7fの径は、屈曲部3aが形成する外
径より大きいことが好ましい。このようにすることによ
り、後述する接着剤によるハブ7への管状体の固着が確
実となる。ハブ7の形成材料としては、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレンな
どの熱可塑性合成樹脂が使用できる。
【0019】そして、屈曲部3aが形成された管状体5
は、図2および図3に示すように、ハブ7の収納部内
に、収納部の底部に管状体5の基端が当接するまで挿入
されている。そして、管状体5とハブ7との間に形成さ
れた間隙には、接着剤10が注入されており、この接着
剤10により管状体5はハブ7に固着されている。接着
剤10は、環状溝7e,7fにも流入しており、この環
状溝に流入し固化した接着剤10は、図3に示すように
環状リブとなり楔機能を発揮し、管状体5がハブ7より
離脱することを防止する。さらに、接着剤10は、図3
および図2のA−A線断面図である図4に示すように、
屈曲部3aの隙間(スリット)内にも流入していること
が好ましい。このようにすることにより、ハブへの管状
体の固着がより確実となり、さらに、スリットを介して
ハブの内部と外部とが連通することも防止できる。さら
に、図示しないが、屈曲部3aとハブ7との間隙にも接
着剤が流入していることが好ましい。
【0020】そして、この血管穿刺器具1は、図1に示
す状態にて、ハブ7を持って、血管に穿刺することによ
り使用される。そして、内管3の内部を通って血液が流
出し、血管への穿刺ができたことが確認される。そし
て、ガイドワイヤーをハブ7の後端開口7aより挿入
し、ガイドワイヤーのある程度の部分が血管内に挿入し
た後、この血管穿刺器具1は抜去され、続いて、ガイド
ワイヤーを被覆するように血管造影用、血管拡張用など
のカテーテルが血管内に導入される。
【0021】なお、上述の説明は、本発明の血管内挿入
用医療器具を血管穿刺器具に応用した実施例を用いて行
ったが、本発明の血管内挿入用医療器具は、血管穿刺器
具に限定されるものではなく、例えば、カテーテル、血
管内留置針、注射針、採血針、麻酔用針(例えば、脊髄
針、硬膜外針)などの種々の血管内挿入用の医療器具に
応用することができる。
【0022】次に、本発明の血管内挿入用医療器具の製
造方法について説明する。本発明の製造方法は、金属製
外管2と、外管2の内径とほぼ同一外径を有し、外管2
内に挿入された樹脂製内管3からなる管状体5と、管状
体5の基端部に固着されたハブ7とからなる血管内挿入
用医療器具の製造方法であって、金属製外管2と樹脂製
内管3とからなり、金属製外管2の内部に樹脂製内管3
が挿入されかつ金属製外管2の基端より突出する樹脂製
内管3の基端部に複数のスリット13が設けられた管状
体5を作成する工程と、スリット13を設けた樹脂製内
管3の基端部を先端方向に折り曲げ屈曲部3aを形成す
る工程と、樹脂製内管3に屈曲部3aが形成された管状
体5の基端部をハブ7内に挿入し、管状体5とハブ7と
の間隙に接着剤10を注入し、管状体5とハブ7とを固
着する工程とを有する。
【0023】そこで、本発明の医療器具の製造方法を血
管穿刺器具の製造方法に応用した実施例を用いて説明す
る。まず、金属製外管2と樹脂製内管3とからなり、金
属製外管2の内部に該樹脂製内管3が挿入されかつ金属
製外管2の基端より突出する樹脂製内管3の基端部に複
数のスリットが設けられた管状体5を作成する工程を行
う。
【0024】具体的には、金属製外管2および樹脂製内
管3を準備する。金属製外管2としては、ステンレス鋼
などにより、外径が、0.9〜2.0mm程度であり、
図5に示すように、先端に穿刺用刃面2aを有する中空
状のものを準備する。樹脂製内管3としては、金属製外
管2の内径とほぼ同じ内径を有し、かつ金属製外管2よ
り長いものを準備する。樹脂製内管3の形成材料として
は、ETFE、PTFE、FEP、PFA等のフッ素系
樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系
樹脂などが好適に使用される。準備する内管3の長さと
しては、15mm程度外管2より長いものが好適であ
る。また、後述するように内管3の基端部は、後の工程
にて分割して折り曲げられるので、折り曲げ可能な材料
を用いることが必要であり、上記の材料であれば好適で
ある。
【0025】そして、図5に示すように、このようにし
て準備した樹脂製内管3を金属製外管2内に挿入し、樹
脂製内管3の先端が金属製外管2の先端より突出し、か
つ樹脂製内管3の基端が所定長金属製外管2の基端より
突出する状態とする。外管2の基端より突出する樹脂製
内管3の長さとしては、0.1〜0.9mm程度が好適
であり、特に0.2〜0.5mmが好ましい。そして、
外管2の基端より突出する部分の樹脂製内管3に、図5
に示すように、複数のスリット13を形成する。スリッ
ト13の形成は、カッターなどの切断器具、レザーなど
により行われる。形成されるスリット13の数は、2以
上であればよく、好ましくは、3〜6である。そして、
3以上スリットを設ける場合は、各スリット13は、等
間隔離間するように形成することが好ましい。
【0026】このようにして、図5に示す状態の外管2
と内管3からなる管状体5が作製される。なお、図5に
示す管状体5の形成工程は、上記の方法に限られず、あ
らかじめ内管の基端部の所定の長さ部分にスリットを形
成した内管を、このスリットが設けられた基端部が金属
製外管2の基端より突出するように挿入することにより
行ってもよい。
【0027】そして、図6に示すように、スリットを設
けた樹脂製内管3の基端部を先端方向に折り曲げ屈曲部
3aを形成する。具体的には、スリット13により分割
された樹脂製内管3の基端部を、外管2の基端を支点と
して、外管2の外面上に到達するまで折り曲げる。この
作業をスリット13の数(基端部を分割した数)繰り返
して行うことにより、図6に示すような、樹脂製内管3
の基端部により屈曲部3aが形成された管状体5が作製
される。なお、屈曲部3aは、外管2の外面に密着する
ことが好ましいが、多少の間隙が両者間にあってもよ
い。そして、折り曲げられた屈曲部3aの形状を安定さ
せるために、屈曲部付近に対して加熱処理を行ってもよ
い。
【0028】次に、このようにして作製した管状体5の
基端部を、図1に示すような外観形状と、図2および図
3に示すような断面形状を有するハブ7の凹部(収納部
7b)内に挿入し、管状体5とハブ7との間隙に接着剤
10を注入し、管状体5とハブ7とを固着する。ハブ7
の先端開口より注入された接着剤10は、外管2の外面
とハブ7の収納部7bの内面間に形成された間隙に流入
し、さらに、ハブ7に設けられた2つの環状溝7e,7
f内に流入し、そして、樹脂製内管3の基端部が折り曲
げられて、スリット13が広がったことにより形成され
た間隙12内にも流入する。また、図示しないが、屈曲
部3bとハブ7との間に接着剤が流入可能な空隙がある
場合には、その空隙にも流入する。同様に、図示しない
が、屈曲部3aと金属製外管2の外面との間に接着剤が
流入可能な空隙がある場合には、その空隙にも流入す
る。
【0029】そして、接着剤10が固化することによ
り、管状体5(外管および内管)はハブ7に固着され
る。そして、外管2の外径より大きい屈曲部3aは、接
着剤10がハブ7に接した状態で固化した後は、楔機能
を発揮するため、管状体5のハブ7からの抜去を防止す
る。また、環状溝7e,7fに流入し、固化した部分の
接着剤10は、接着剤固化物の離脱方向に対する楔機能
を有し、接着剤自体のハブ7からの離脱を防止する。
【0030】そして、金属製外管2の先端より突出する
樹脂製内管3の先端を切断する内管先端形成工程を行う
ことにより、本発明の血管穿刺器具1が作製される。な
お、金属製外管2の先端より突出する樹脂製内管3の先
端の切断は、カッターなどの切断器具、レザーなどによ
り行われる。また、内管3の切断は、このように管状体
5がハブ7に固着された後に行うことが好ましい。内管
3と外管2の先端のずれが形成されることを防止でき
る。
【0031】しかし、この方法に限定されるものではな
く、例えば、図6のように、樹脂製内管3による屈曲部
3aを形成した状態にて内管3の先端の突出部分を切断
してもよく、また、図5の内管3の基端部にスリット1
3を入れた状態、またスリット13を入れる前に行って
もよい。さらに、あらかじめ内管3の先端を外管の刃面
形状に対応した形状に切断したものを用い、この内管3
を外管2内に、両者の先端面が連続するように挿入して
もよい。
【0032】なお、上述の説明は、本発明の血管内挿入
用医療器具の製造方法を血管穿刺器具の製造方法に応用
した実施例を用いて行ったが、本発明の医療器具の製造
方法は、血管穿刺器具の製造方法に限定されるものでは
なく、例えば、カテーテル、血管内留置針、注射針、採
血針、麻酔用針(例えば、脊髄針、硬膜外針)などの種
々の血管内挿入用の医療器具の製造方法に応用すること
ができる。
【0033】
【発明の効果】本発明の血管内挿入用医療器具は、金属
製外管と、該外管の内径とほぼ同一外径を有し、該外管
内に挿入された樹脂製内管からなる管状体と、該管状体
の基端部に固着されたハブとからなる血管内挿入用医療
器具であって、前記管状体の前記樹脂製内管の基端部
は、前記金属製外管の先端方向に屈曲し、該金属製外管
の基端部外面上に位置する屈曲部を有し、前記ハブは、
該屈曲部が形成された管状体の基端部の収納部を有し、
該ハブの収納部内に前記屈曲部を有する管状体の基端部
が収納された状態にて、前記管状体が前記ハブに固着さ
れている。よって、この医療器具では、カシメピンを用
いることなく、管状体とハブが固定されているので、内
部にガイドワイヤーを挿入する際、使用可能なガイドワ
イヤーの外径がカシメピンにより規制されない。このた
め、管状体の内径に従って、使用するガイドワイヤーを
選択できる。また、挿入されるガイドワイヤーは、樹脂
製内管と接触するため摺動抵抗も低く、ガイドワイヤー
の挿入が容易である。
【0034】また、本発明の血管内挿入用医療器具の製
造方法は、金属製外管と、該外管の内径とほぼ同一外径
を有し、該外管内に挿入された樹脂製内管からなる管状
体と、該管状体の基端部に固着されたハブとからなる血
管内挿入用医療器具の製造方法であって、該製造方法
は、金属製外管と樹脂製内管とからなり、該金属製外管
の内部に該樹脂製内管が挿入されかつ前記金属製外管の
基端より突出する樹脂製内管の基端部に複数のスリット
が設けられた管状体を作成する工程と、該スリットを設
けた樹脂製内管の基端部を先端方向に折り曲げ屈曲部を
形成する工程と、該樹脂製内管に屈曲部が形成された管
状体の基端部をハブの凹部内に挿入し、該管状体と該ハ
ブとの間隙に接着剤を注入し、該管状体と該ハブとを固
着する工程とを有するものである。このため、上記の効
果を有する血管内挿入用医療器具を容易に製造すること
ができる。特に、金属製外管と樹脂製内管とからなる管
状体をハブに固着する作業が容易であり、かつ両者を確
実に固着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の血管内挿入用医療器具を血管
穿刺器具に応用した実施例の外観図である。
【図2】図2は、図1に示した血管穿刺器具の部分省略
拡大部分断面図である。
【図3】図3は、図1に示した血管穿刺器具の管状体の
基端部付近を側面図とした部分省略拡大断面図である。
【図4】図4は、図2のA−A線断面図である。
【図5】図5は、本発明の血管内挿入用医療器具を血管
穿刺器具に応用した実施例の製造方法を説明するための
説明図である。
【図6】図6は、本発明の血管内挿入用医療器具を血管
穿刺器具に応用した実施例の製造方法を説明するための
説明図である。
【符号の説明】
1 血管内挿入用医療器具(血管穿刺器具) 2 金属製外管 2a 刃面 3 樹脂製内管 3a 屈曲部 5 管状体 7 ハブ 7a 開口 7b 管状体基端部収納部 7c 通路 7d 係止部 9 フランジ 10 接着剤 12 間隙 13 スリット

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製外管と、該外管の内径とほぼ同一
    外径を有し、該外管内に挿入された樹脂製内管からなる
    管状体と、該管状体の基端部に固着されたハブとからな
    る血管内挿入用医療器具であって、 前記管状体の前記樹脂製内管の基端部は、前記金属製外
    管の先端方向に屈曲し、該金属製外管の基端部外面上に
    位置する屈曲部を形成し、前記ハブは、該屈曲部が形成
    された管状体の基端部の収納部を有し、該ハブの収納部
    内に前記管状体の基端部が収納された状態にて、前記管
    状体が前記ハブに固着されていることを特徴とする血管
    内挿入用医療器具。
  2. 【請求項2】 前記樹脂製内管の基端部は、複数のスリ
    ットにより分割され、かつ前記金属製外管の先端方向に
    折り曲げることにより前記屈曲部が形成され、かつ該屈
    曲部が、該金属製外管の基端部外面を被覆している請求
    項1に記載の血管内挿入用医療器具。
  3. 【請求項3】 前記外管の先端は、穿刺用刃面を有し、
    前記内管の先端は、該外管の先端まで延び、かつ、該外
    管の先端より突出していない請求項1又は2に記載の血
    管内挿入用医療器具。
  4. 【請求項4】 前記ハブの収納部の底部は、前記屈曲部
    を有する管状体の端部の係止部となっている請求項1な
    いし3のいずれかに記載の血管内挿入用医療器具。
  5. 【請求項5】 前記係止部の内径は、前記樹脂製内管の
    内径とほぼ等しい請求項4に記載の血管内挿入用医療器
    具。
  6. 【請求項6】 金属製外管と、該外管の内径とほぼ同一
    外径を有し、該外管内に挿入された樹脂製内管からなる
    管状体と、該管状体の基端部に固着されたハブとからな
    る血管内挿入用医療器具の製造方法であって、 該製造方法は、金属製外管と樹脂製内管とからなり、該
    金属製外管の内部に該樹脂製内管が挿入されかつ前記金
    属製外管の基端より突出する樹脂製内管の基端部に複数
    のスリットが設けられた管状体を作成する工程と、該ス
    リットを設けた樹脂製内管の基端部を先端方向に折り曲
    げ屈曲部を形成する工程と、該樹脂製内管に屈曲部が形
    成された管状体の基端部をハブ内に挿入し、該管状体と
    該ハブとの間隙に接着剤を注入し、該管状体と該ハブと
    を固着する工程とを有することを特徴とする血管内挿入
    用医療器具の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金属製外管と樹脂製内管とからな
    り、該金属製外管の内部に該樹脂製内管が挿入されかつ
    前記金属製外管の基端より突出する樹脂製内管の基端部
    に複数のスリットが設けられた管状体を作成する工程
    は、前記金属製外管内に前記樹脂製内管を少なくとも樹
    脂製内管の基端部が前記金属製外管の基端より突出する
    ように挿入する工程と、該金属製外管の基端より突出し
    た樹脂製内管の基端部に複数のスリットを設ける工程と
    からなる請求項6に記載の血管内挿入用医療器具の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記金属製外管と樹脂製内管とからな
    り、該金属製外管の内部に該樹脂製内管が挿入されかつ
    前記金属製外管の基端より突出する樹脂製内管の基端部
    に複数のスリットが設けられた管状体を作成する工程
    は、基端部に複数のスリットを有する樹脂製内管を前記
    金属製外管内に該スリットが設けられた樹脂製内管の基
    端部が前記金属製外管の基端より突出するように挿入す
    ものである請求項6に記載の血管内挿入用医療器具の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記製造方法は、前記金属製外管の先端
    より突出する樹脂製内管の先端を切断する内管先端形成
    工程を更に有するものである請求項6乃至8のいずれか
    に記載の血管内挿入用医療器具の製造方法。
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