JPH06217988A

JPH06217988A - 血管穿刺器具

Info

Publication number: JPH06217988A
Application number: JP5031474A
Authority: JP
Inventors: Takahiro Hisakure; 高博久呉; Yukihiko Murata; 幸彦村田; Senju Kamiya; 千寿神谷; Kiyoshi Yamauchi; 清山内; Hiroshi Ishikawa; 洋石川
Original assignee: Terumo Corp; Tokin Corp
Current assignee: Terumo Corp; Tokin Corp
Priority date: 1993-01-26
Filing date: 1993-01-26
Publication date: 1994-08-09
Also published as: EP0608854B1; DE69419627D1; EP0608854A3; US5522832A; DE69419627T2; EP0608854A2

Abstract

(57)【要約】【目的】十分な強度を有し、内針の抜去後において容
易に折れ曲がることがなく、かつ、穿刺時における刺通
抵抗も少なく、穿刺作業が容易であり、さらに、十分な
弾性を有し、ガイドワイヤーを容易に挿入することがで
き、患者に苦痛を与えることが少ない血管穿刺器具を提
供する。【構成】外管と、外管の基端部に固着された外管ハブ
とからなる外管組立体と、外管組立体内に抜去可能に挿
通し、かつ先端に外管より突出する穿刺用刃面を有する
内針と、内針の基端部に固着され、外管ハブの後端部と
係合する内針ハブとからなる内針組立体とを有する血管
穿刺器具である。外管は、超弾性金属製管状体と、超弾
性金属製管状体の外面を被包すると共に先端部が超弾性
金属製管状体の先端より突出した樹脂製管状体とからな
り、さらに、樹脂製管状体の先端の内径は、超弾性金属
製管状体の内径より小さく、かつ、内針の外径とほぼ等
しく形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、血管穿刺器具、例え
ば、動脈、静脈などの目的部位にカテーテルを導入する
ために使用されるガイドワイヤーの血管への導入時に用
いられる血管穿刺器具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ガイドワイヤーおよびガイド
ワイヤーを血管に導入するための血管穿刺器具が使用さ
れている。血管穿刺器具としては、ガイドワイヤーを導
入するための外管と、この外管の基端部に固着された外
管ハブを有する外管組立体と、外管組立体内に抜去可能
に挿通し、かつ先端に穿刺用刃面を有する内針と、内針
の基端部に固着され、前記外管ハブの後端部と係合する
内針ハブとからなる内針組立体とにより構成されたもの
が一般的である。そして、図１１に示すように、血管穿
刺器具５０は、ステンレス鋼などの金属製外管の先端よ
り、金属製内針が突出しており、外管とともに血管に穿
刺できるようになっている。また、外管が合成樹脂によ
り形成されたものもある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来の
血管穿刺器具５０では、金属製外管５２の先端と、金属
製内針５１の外面との間に、段差ｈが形成され、この段
差が穿刺時に患者に苦痛を与えることがあった。また、
金属により外管を形成しているため、段差を無くすよう
な形成は困難であり、そのような形成にすると、内針の
外面と外管の内面が強く接触し、内針の抜去が困難とな
るおそれがある。また、金属により外管を形成したもの
は、その先端の硬性ゆえに、穿刺後血管内に一時的に留
置する際、患者の血管壁を損傷するおそれがあった。さ
らに、その弾性が乏しいゆえに、内針を抜去した後、ガ
イドワイヤーを挿入する際、容易に挿入できないことが
あった。そして、そのようなガイドワイヤーの挿入作業
が、患者に苦痛を与えることがあった。さらに、合成樹
脂により外管を形成したものは強度が十分でなく、内針
抜去後、ガイドワイヤー挿入前に折れ曲がるおそれがあ
った。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明の目的
は、十分な強度を有し、内針の抜去後において容易に折
れ曲がることがなく、かつ、穿刺時における刺通抵抗も
少なく、穿刺作業が容易であり、さらに、十分な弾性を
有し、ガイドワイヤーを容易に挿入することができ、患
者に苦痛を与えることが少ない血管穿刺器具を提供する
ことにある。

【０００５】上記目的を達成するものは、外管と、該外
管の基端部に固着された外管ハブとからなる外管組立体
と、前記外管組立体内に抜去可能に挿通し、かつ先端に
前記外管より突出する穿刺用刃面を有する内針と、該内
針の基端部に固着され、前記外管ハブの後端部と係合す
る内針ハブとからなる内針組立体とを有する血管穿刺器
具であり、前記外管は、超弾性金属製管状体と、該超弾
性金属製管状体の外面を被包すると共に先端部が該超弾
性金属製管状体の先端より突出した樹脂製管状体とから
なり、さらに、該樹脂製管状体の先端の内径は、前記超
弾性金属製管状体の内径より小さく、かつ、前記内針の
外径とほぼ等しい血管穿刺器具である。

【０００６】そして、前記樹脂製管状体の先端部の外径
は、先端に向かって縮径していることが好ましい。ま
た、前記超弾性金属製管状体の先端部の外径は、先端に
向かって縮径していることが好ましい。さらに、前記超
弾性金属製管状体の先端面と前記樹脂製管状体との間に
は、環状凹部が形成されていることが好ましい。さら
に、前記内針の外径は、前記超弾性金属製管状体の外径
より小さいことが好ましい。また、前記樹脂製管状体の
先端は、前記内針の外面に密着していることが好まし
い。また、前記超弾性金属製管状体の外面と前記樹脂製
管状体の内面は、密着していることが好ましい。

【０００７】本発明の血管穿刺器具を図面に示した実施
例を用いて説明する。そこで、図面を参照して本発明の
血管穿刺器具について説明する。図１は、本発明の血管
穿刺器具の外観図、図２は、図１に示した血管穿刺器具
の先端部の拡大断面図である。本発明の血管穿刺器具１
は、外管３と、外管３の基端部に固着された外管ハブ５
とからなる外管組立体と、外管組立体内に抜去可能に挿
通し、先端に外管３より突出する穿刺用刃面２ａを有す
る内針２と、内針２の基端部に固着され、外管ハブ５の
後端部と係合する内針ハブ４とからなる内針組立体とを
有する血管穿刺器具であり、外管３は、超弾性金属製管
状体６と、超弾性金属製管状体６の外面を被包すると共
に先端部が超弾性金属製管状体６の先端より突出した樹
脂製管状体７とからなり、さらに、樹脂製管状体７の先
端の内径は、超弾性金属製管状体６の内径より小さく、
かつ、内針２の外径とほぼ等しいものである。

【０００８】内針組立体は、図１に示すように、内針２
とその後端に固定された内針ハブ４により構成されてい
る。そして、内針２は、先端に穿刺用刃面２ａを有し、
さらにこの刃面２ａが外管３の先端より突出するように
外管３内を挿通可能な長さを有している。さらに、内針
２としては、中実状のものが用いられている。内針２の
形成材料としては、ステンレス鋼が好適である。そし
て、内針ハブ４の先端部は、外管ハブ５の後端部と係合
可能な形状を有していいる。内針ハブ４の先端部には、
内針２の刃面先端の位置固定機構および内針の回り止め
機構を設けることが好ましく、この実施例の血管穿刺器
具１では、図６に示すように、内針ハブ４は、先端側に
突出する突起４ａを有しており、外管ハブ５の後端部に
は、この突起４ａと係合する凹部が設けられており、両
者により刃面先端の位置固定機構および内針の回り止め
機構を構成している。

【０００９】内針ハブ２の形成材料としては、ポリプロ
ピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレ
ンなどの熱可塑性合成樹脂、または金属（例えば、ステ
ンレス鋼）が使用できる。また、内針２と内針ハブとの
固定は、接着剤、溶剤などにより固定、さらには、内針
ハブとして、熱可塑性材料を用いて、誘導加熱により内
針を加熱し、内針の加熱により内針ハブを溶解させて、
固定してもよい。

【００１０】外管組立体は、血管内に一時的に留置され
る外管３と、外管３の後端部に固着された外管ハブ６と
を有している。そして、外管３は、図１に示すように、
先端が内針２の先端を突出可能に開口している。さら
に、図２に示すように、外管３は、超弾性金属製管状体
６と、その外面を被包、より好ましくは被覆する合成樹
脂管状体７とからなり、樹脂製管状体７の先端部は、超
弾性金属製管状体６の先端部より突出しており、樹脂製
管状体７の先端部７ａ（具体的には、超弾性金属製管状
体６の先端より突出する部分）は、先端側にむかって外
径がなだらかに縮径しており、特に、その先端は、急激
に縮径している。そして、この先端部７ａの内径は、ほ
ぼ内針２の外径と同じかあるいは若干大きくまたは若干
小さく形成されており、樹脂製管状体７の先端と内針２
の外面との間に段差および隙間が実質的に形成されない
ように作成されている。

【００１１】よって、この血管穿刺器具１では、内針３
の外面と外管３の先端との間に、段差および隙間が実質
的に形成されないので、穿刺時に患者に与える苦痛が少
ない。さらに、外管３の先端部が、樹脂製管状体により
形成されており、樹脂製管状体は柔軟性を有しているた
め、内針２の抜去後およびガイドワイヤーを外管３内に
挿入する作業中に、外管３の先端が患者の血管壁に損傷
を与えることを少ない。さらに、樹脂製管状体により形
成された外管３の先端部は、金属により形成した場合に
比べて弾性変形が可能なため、ガイドワイヤーとともに
ある程度弾性変形することができ、ガイドワイヤーの挿
入作業も容易なものとなる。

【００１２】さらに、超弾性金属製管状体６の先端面と
樹脂製管状体７の先端部７ａの内面との間には、環状凹
部８が形成されていることが好ましい。この環状凹部８
を設けることにより、樹脂製管状体７の弾性変形をより
確実なものとすることができる。図２に示す実施例の血
管穿刺器具では、超弾性金属製管状体６の先端内面が、
管状体６の先端に向かって拡径するように、管状体６の
内面のエッジを削り取るように加工されている。また、
樹脂製管状体７の超弾性金属製管状体６の先端が位置す
る部分の内面は、管状体７の先端に向かって、縮径する
ように形成されている。よって、図２に示す実施例の血
管穿刺器具では、環状凹部８はその断面形状が、略山形
状となっている。

【００１３】そして、このような、環状凹部８を有する
外管３は、あらかじめ超弾性金属製管状体６に樹脂製管
状体７が突出するように被覆させて、図２のような先端
形状になるような熱型にて加工することにより形成する
ことができる。また、上記のような環状凹部８を有する
外管３は、あらかじめ図２に示すような内面形状をした
樹脂製管状体７を金型成形により形成した後、内部に超
弾性金属製管状体６を挿入することにより、形成するこ
とができる。なお、図６に示すように、樹脂製管状体７
および超弾性金属製管状体６のそれぞれを外管ハブ５に
固定するものとすれば、樹脂製管状体７と超弾性金属製
管状体６との間に若干の隙間があってもよく、また、樹
脂製管状体７と超弾性金属製管状体６との間を、接着剤
また上述した誘導加熱などの方法により固着してもよ
い。また、この実施例の血管穿刺器具では、樹脂製管状
体７の先端部７ａの内面全体が、ほぼ同一の内径を有
し、内針２の外面に接触しているが、このようなものに
限らず、先端部７ａの先端部分の内面のみ内針２に接触
するものであってもよい。

【００１４】さらに、図３に示すように、血管穿刺器具
の先端部を形成してもよい。この実施例の血管穿刺器具
では、超弾性金属製管状体６の先端部が先端にむかって
なだらかに縮径するように形成されている。このように
形成することにより、超弾性金属製管状体６の先端部に
おける外管３の物性の変化もなだらかなものとなり、外
管３の先端部３ａの一体的な弾性変形が生じやすくな
り、樹脂製管状体７の先端部７ａで、折れ曲がることを
抑制することができる。そして、図３に示すように、樹
脂製管状体７は、先端部７ａのみでなく、外管３の先端
部３ａ全体が、先端にむかってなだらかに縮径するよう
に形成することが好ましい。また、図２に示したものと
同様に、この実施例の血管穿刺器具は、超弾性金属製管
状体６の先端面と樹脂製管状体７の先端部７ａの内面と
の間には、環状凹部８を有することが好ましい。図３に
示す実施例の血管穿刺器具では、図２に示したものと異
なり、超弾性金属製管状体６の先端内面の加工がされて
おらず、超弾性金属製管状体６の先端面全体は、管状体
６の軸に対して垂直な平面となっている。そして、図２
に示したものと同様に、樹脂製管状体７の超弾性金属製
管状体６の先端が位置する部分の内面は、管状体７の先
端に向かって、縮径するように形成されている。よっ
て、図３に示す実施例の血管穿刺器具では、環状凹部８
はその断面形状が、管状体７の先端に向かって細くなる
くさび状となっている。

【００１５】また、図４に示すように、血管穿刺器具の
先端部を形成してもよい。この実施例の血管穿刺器具で
は、上述のような環状凹部を有しておらず、超弾性金属
製管状体６の先端部は先端にむかってなだらかに縮径す
るとともに、樹脂製管状体７は、先端部７ａのみでな
く、外管３の先端部３ａ全体が、先端にむかってなだら
かに縮径するように形成されている。このような構造の
外管３は、超弾性金属製管状体６を形成し、その外面に
あらかじめ形成した樹脂製管状体を被覆すること、また
超弾性金属製管状体６内に芯金を挿通し、樹脂製管状体
形成用溶融樹脂液中に浸漬することにより樹脂製管状体
部を形成した後、先端部を金型を用いて加熱加工するこ
とにより形成することができる。また、上述のように、
あらかじめ図４に示すような内面形状をした樹脂製管状
体７を金型成形により形成した後、内部に超弾性金属製
管状体６を挿入することにより、形成することもでき
る。

【００１６】また、図５に示すように、血管穿刺器具の
先端部を形成してもよい。この実施例の血管穿刺器具で
は、超弾性金属製管状体６の先端部内面は、先端に向か
って外径が徐々に大きくなるように、加工されており、
この加工先端内面と、樹脂製管状体７の先端部７ａの内
面との間には、環状凹部８が形成されている。図５に示
す実施例の血管穿刺器具では、図２に示したものと同様
に、超弾性金属製管状体６の先端内面が、管状体６の先
端に向かって拡径するように、管状体６の内面のエッジ
を削り取るように加工されている。また、樹脂製管状体
７の超弾性金属製管状体６の先端面が向かい合うまたは
接触する部分の内面は、管状体７の軸に対して垂直な平
面となっている。よって、図５に示す実施例の血管穿刺
器具では、環状凹部８はその断面形状が、管状体６の後
端に向かって細くなるくさび状となっている。

【００１７】また、図１０に示すように、血管穿刺器具
の先端部を形成してもよい。この実施例の血管穿刺器具
では、上述のような環状凹部を有しておらず、超弾性金
属製管状体６の先端部は先端にむかってなだらかに縮径
するとともに、樹脂製管状体７は、先端部７ａが、先端
にむかってなだらかに縮径するように形成されている。
また、図１０に示す実施例の血管穿刺器具では、超弾性
金属製管状体６の先端内面が、管状体６の先端に向かっ
て拡径するように、管状体６の内面のエッジを削り取る
ように加工されていおり、樹脂製管状体７の樹脂製管状
体７の超弾性金属製管状体６の先端面が向かい合うまた
は接触する部分の内面は、超弾性金属製管状体６の先端
全体を被包するように形成されている。これにより、超
弾性金属製管状体６の先端部は、実質的に外面に露出し
ないため、超弾性金属製管状体６の先端部が位置する部
分は、樹脂製管状体７の内面により形成されており、挿
入されるガイドワイヤーは、この樹脂製管状体７の内面
に接触し、超弾性金属製管状体６の先端部とは接触しな
くなるので、挿入時の抵抗が少なくなり好ましい。

【００１８】このような構造の外管３は、超弾性金属製
管状体６を形成し、その外面にあらかじめ形成した樹脂
製管状体を被覆すること、また超弾性金属製管状体６内
に芯金を挿通し、樹脂製管状体形成用溶融樹脂液中に浸
漬することにより樹脂製管状体部を形成した後、先端部
を金型を用いて加熱加工することにより形成することが
できる。また、あらかじめ図１０に示すような内面形状
をした樹脂製管状体７を金型成形により形成した後、内
部に超弾性金属製管状体６を挿入することにより、形成
することもできる。

【００１９】樹脂製管状体６としては、ＥＴＦＥ（エチ
レンテトラフロオロエチレン）、ＰＴＦＥ（ポリテトラ
フロオロエチレン）、ＦＥＰ（フッ化エチレンプロピレ
ン樹脂）、ＰＦＡ（ポリフッ化アクリレート）などのフ
ッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフ
ィン系樹脂などにより形成され、多少の可撓性を有して
いる。また、外管の外径としては、０．９〜２．０ｍｍ
程度が一般的である。また、超弾性金属製管状体６の先
端より突出する樹脂製管状体７の長さとしては、０．５
〜２５．０ｍｍ程度が好適である。さらに、樹脂製管状
体６の形成材料中に、２〜３０％程度のＸ線不透過性物
質（例えば、硫酸バリウム、次炭酸ビスマスなど）を含
有したものを用いてもよい。さらに、より外管３の刺通
抵抗を少ないものとするために、外管３の外面（樹脂製
管状体７の外面）に摩擦抵抗を低減させる物質（例え
ば、シリコーン）をコーティングすることが好ましい。
さらに、内針３の外面にも、外管３の内面、特に接触す
る樹脂製管状体７の内面との摩擦抵抗を少ないものとす
るために、摩擦抵抗を低減させる物質（例えば、シリコ
ーン、ＥＴＦＥ、ＰＴＦＥ、ＦＥＰ、ＰＦＡ等のフッ素
系樹脂など）をコーティングすることが好ましい。

【００２０】また、超弾性金属製管状体６を形成する材
質としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでい
う超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なく
とも生体温度（３７℃付近）で超弾性を示すものであ
る。特に好ましくは、４９−５８原子％ＮｉのＴｉ−Ｎ
ｉ合金、３８．５−４１．５重量％ＺｎのＣｕ−Ｚｎ合
金、１−１０重量％ＸのＣｕ−Ｚｎ−Ｘ合金（Ｘ＝Ｂ
ｅ、Ｓｉ、Ｓｎ、Ａｌ、Ｇａ）、３６−３８原子％Ａｌ
のＮｉ−Ａｌ合金等の超弾性金属体が好適に使用され
る。特に、上記のＴｉ−Ｎｉ合金が望ましい。また、Ｔ
ｉ−Ｎｉ合金の一部を０．０１〜２．０％Ｘで置換した
Ｔｉ−Ｎｉ−Ｘ合金（Ｘ＝Ｃｏ，Ｆｅ，Ｍｎ，Ｃｒ，
Ｖ，Ａｌ，Ｎｂ，Ｐｂ，Ｂなど）とすることにより、機
械的特性を適宜変えることができる。ここでいう超弾性
とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域
まで変形（曲げ、引張り、圧縮）させても、ほぼ元の形
状に回復することを意味する。また、このような弾性金
属管を超弾性金属製管状体６として用いる場合には、超
弾性金属製管状体６の基部側の剛性が高く、先端側が柔
軟になるものとすることが好ましい。このようにするこ
とで操作性がより改善される。さらに、金属製管状体６
の肉厚は、柔軟性と剛性との観点から２０〜１５０μｍ
であることが好ましい。

【００２１】次に、外管ハブ５について説明する。外管
ハブ５は、図６に示すように、内針２を挿通可能な内腔
を有しており、かつその後端部は、上述した内針ハブ４
と係合可能な形状を有している。そして、外管ハブ５に
は、長手方向の中間部に穿刺時に血管穿刺器具１を把持
するため把持部５ａが形成されており、さらに、先端部
には、外管３の後端部を収納し固定するための内径が拡
径した部分が形成されている。そして、樹脂製管状体７
の後端には、図６に示すように環状フランジ７ｂが形成
されており、さらに、超弾性金属製管状体６の後端部
は、樹脂製管状体７の後端より突出している。そして、
その状態にて樹脂製管状体７および超弾性金属製管状体
６は、外管ハブ５の先端部分に挿入されており、それら
管状体６，７と外管ハブとの空隙には、接着剤１１が充
填されており、この接着剤により、外管３は外管ハブ５
に固定されている。また、外管の後端より短い金属パイ
プを挿入し、この金属パイプを用いてカシメにより固定
してもよい。

【００２２】次に、図７に示す実施例の血管穿刺器具に
ついて説明する。この実施例の血管穿刺器具２０と、上
述した実施例の血管穿刺器具１との実質的な相違点は、
内針が中空体により形成されている点である。そして、
この血管穿刺器具２０は、外管２３と、外管２３の基端
部に固着された外管ハブ２５とからなる外管組立体と、
外管組立体内に抜去可能に挿通し、かつ先端に外管２３
より突出する穿刺用刃面２２ａを有する中空状内針２２
と、内針２２の基端部に固着され、外管ハブ２５の後端
部と係合する内針ハブ２４とからなる内針組立体とを有
する血管穿刺器具である。そして、外管ハブ２５の後端
部には、管状部材３１が固着されており、外管ハブ２５
と、この管状部材３１との間には、棒状体を挿通可能と
し、かつ外管ハブ２５の内腔部を閉塞する弾性弁体３２
を有している。

【００２３】また、図８に示すように、外管２３は、超
弾性金属製管状体２６と、超弾性金属製管状体２６の外
面を被包すると共に先端部が超弾性金属製管状体２６の
先端より突出した樹脂製管状体２７とからなり、さら
に、樹脂製管状体２７の先端の内径は、超弾性金属製管
状体２６の内径より小さく、かつ、内針２２の外径とほ
ぼ等しいものである。

【００２４】内針組立体は、図７に示すように、内針２
２とその後端に固定された内針ハブ２４と、内針ハブ２
４の後端部に着脱自在に取り付けられたキャップ３３と
により構成されている。内針２２は、先端に穿刺用刃面
２２ａを有し、さらにこの刃面２２ａが外管２３の先端
より突出するように外管２３内を挿通可能な長さを有
し、かつ中空状のものが用いられている。よって、この
実施例の血管穿刺器具２０と図１に示したものとの基本
的な相違点は、内針が中空状のものを用いた点である。
そして、内針ハブ２４の先端部は、外管ハブ２５の後端
部に取り付けられた管状部材３１の後端部と係合可能な
形状を有している。また、キャップ３３の後端には、エ
アを通過し血液を通過させないフィルタ３４が設けられ
ている。このフィルタを設けることにより、内針２２よ
り流入した血液が外部に流出することを防止できる。さ
らに、内針ハブ２４と管状部材３１の係合部近傍には、
内針２２の刃先面の位置固定機構および内針回り止め機
構となる突出部２４ａを設けることが好ましい。

【００２５】内針ハブ２４およびキャップ３３は、フラ
ッシュバック（内針ハブ内への血液の流入）が目視にて
確認できるように、血液の流入が確認できる程度の透明
性を有することが好ましい。内針ハブ２４の形成材料と
しては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネ
ート、ポリスチレンなどの熱可塑性合成樹脂が使用で
き、特に、上記の樹脂であってかつある程度の透明性を
有するものが好適である。また、内針２２と内針ハブと
の固定は、接着剤、溶剤などにより固定、さらには、内
針ハブとして、熱可塑性材料を用いて、誘導加熱により
内針を加熱し、内針の加熱により内針ハブを溶解させ
て、固定してもよい。

【００２６】外管組立体は、血管内に一時的に挿入され
る外管２３と、外管２３の後端部に固着された外管ハブ
２５とを有している。そして、外管２３は、図７および
図８に示すように、先端が内針２の先端を突出可能な径
を有して開口している。さらに、図８に示すように、外
管２３は、超弾性金属製管状体２６と、その外面を被覆
する合成樹脂管状体２７とからなり、樹脂製管状体２７
の先端部は、超弾性金属製管状体２６の先端部より突出
しており、樹脂製管状体２７の先端部２７ａ（具体的に
は、超弾性金属製管状体２６の先端より突出する部分）
は、先端側にむかって外径がなだらかに縮径しており、
特に、その先端は、急激に縮径している。そして、この
先端部２７ａの内径は、ほぼ内針２２の外径と同じかあ
るいは若干大きくまたは若干小さく形成されており、樹
脂製管状体２７の先端と内針２２の外面との間に段差お
よび隙間が実質的に形成されないように作成されてい
る。

【００２７】よって、この血管穿刺器具２０では、内針
２２の外面と外管２３の先端との間に、段差および隙間
が実質的に形成されないので、穿刺時に患者に与える苦
痛が少ない。さらに、外管２３の先端部が、樹脂製管状
体により形成されており、樹脂製管状体は柔軟性を有し
ているため、内針２２の抜去後およびガイドワイヤーを
外管２３内に挿入する作業中に、外管２３の先端が患者
の血管壁に損傷を与えることを少なくすることができ
る。さらに、樹脂製管状体により形成された外管２３の
先端部は、金属により形成した場合に比べて弾性変形が
可能なため、ガイドワイヤーとともにある程度弾性変形
することができ、ガイドワイヤーの挿入作業も容易なも
のとなる。

【００２８】さらに、超弾性金属製管状体２６の先端面
と樹脂製管状体２７の先端部２７ａの内面との間には、
環状凹部２８が形成されていることが好ましい。この環
状凹部２８を設けることにより、樹脂製管状体２７の弾
性変形をより確実なものとすることができる。そして、
このような、環状凹部２８を有する外管２３は、上述し
た方法により形成することができる。また、この実施例
の血管穿刺器具では、樹脂製管状体２７の先端部２７ａ
の内面全体が、ほぼ同一の内径を有し、内針２２の外面
に接触しているが、このようなものに限らず、先端部２
７ａの先端部分の内面のみ内針２２に接触するものであ
ってもよい。

【００２９】さらに、図９に示すように、血管穿刺器具
の先端部を形成してもよい。この実施例の血管穿刺器具
では、超弾性金属製管状体２６の先端部は先端にむかっ
てなだらかに縮径するように形成されている。このよう
に形成することにより、超弾性金属製管状体２６の先端
部分における外管２３の物性の変化もなだらかなものと
なり、外管２３の先端部２３ａの一体的な弾性変形が生
じやすくなり、樹脂製管状体２７の先端部２７ａで、折
れ曲がることを抑制することができる。そして、図９に
示すように、樹脂製管状体２７は、先端部２７ａのみで
なく、外管２３の先端部２３ａ全体が、先端にむかって
なだらかに縮径するように形成することが好ましい。ま
た、図８に示したものと同様に、この実施例の血管穿刺
器具は、超弾性金属製管状体２６の先端面と樹脂製管状
体２７の先端部２７ａの内面との間には、環状凹部２８
を有している。また、血管穿刺器具２０の先端部の構造
としては、図４、図５および図１０に示したような構造
のものでよい。

【００３０】そして、樹脂製管状体２６としては、ＥＴ
ＦＥ、ＰＴＦＥ、ＦＥＰ、ＰＦＡ等のフッ素系樹脂、ポ
リプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂など
により形成され、多少の可撓性を有している。また、外
管の外径としては、０．９〜２．０ｍｍ程度が一般的で
ある。また、超弾性金属製管状体２６の先端より突出す
る樹脂製管状体２７の長さとしては、０．５〜２５．０
ｍｍ程度が好適である。さらに、樹脂製管状体２６の形
成材料中に、２〜３０％程度のＸ線不透過性物質（例え
ば、硫酸バリウム、次炭酸ビスマスなど）を含有したも
のを用いてもよい。さらに、より外管２３の刺通抵抗を
少ないものとするために、外管２３の外面（樹脂製管状
体７の外面）に摩擦抵抗を低減させる物質（例えば、シ
リコーン）をコーティングすることが好ましい。さら
に、内針２２の外面にも、外管２３の内面、特に接触す
る樹脂製管状体２７の内面との摩擦抵抗を少ないものと
するために、摩擦抵抗を低減させる物質（例えば、シリ
コーン、ＥＴＦＥ、ＰＴＦＥ、ＦＥＰ、ＰＦＡ等のフッ
素系樹脂など）をコーティングすることが好ましい。ま
た、超弾性金属製管状体２６を形成する材質としては、
超弾性合金が好適に使用される。特に好ましくは、４９
−５８原子％ＮｉのＴｉ−Ｎｉ合金、３８．５−４１．
５重量％ＺｎのＣｕ−Ｚｎ合金、１−１０重量％ＸのＣ
ｕ−Ｚｎ−Ｘ合金（Ｘ＝Ｂｅ、Ｓｉ、Ｓｎ、Ａｌ、Ｇ
ａ）、３６−３８原子％ＡｌのＮｉ−Ａｌ合金等の超弾
性金属体が好適に使用される。特に、上記のＴｉ−Ｎｉ
合金が望ましい。また、Ｔｉ−Ｎｉ合金の一部を０．０
１〜２．０％Ｘで置換したＴｉ−Ｎｉ−Ｘ合金（Ｘ＝Ｃ
ｏ，Ｆｅ，Ｍｎ，Ｃｒ，Ｖ，Ａｌ，Ｎｂ，Ｐｂ，Ｂな
ど）とすることにより、機械的特性を適宜変えることが
できる。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常
の金属が塑性変形する領域まで変形（曲げ、引張り、圧
縮）させても、ほぼ元の形状に回復することを意味す
る。また、このような弾性金属管を超弾性金属製管状体
６として用いる場合には、超弾性金属製管状体６の基部
側の剛性が高く、先端側が柔軟になるものとすることが
好ましい。このようにすることで操作性がより改善され
る。

【００３１】外管ハブ２５は、図７に示すように、後端
部に管状部材３１を有しており、この管状部材３１内に
は、弾性弁体３２が、外管ハブ２５の内腔を部分的に閉
塞するように設けられている。弾性弁体３２は、円盤状
のものであり、内針２２およびガイドワイヤーを液密状
態で挿通可能な挿通部を有している。この挿通部は、内
針２２およびガイドワイヤーなどを挿通しない状態で
は、閉塞し血液の流通を遮断する。

【００３２】このような機能を有する弾性弁体３２とし
ては、例えば、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、スチ
レン系エラストマー（例えば、ＳＢＳエラストマー、Ｓ
ＥＢＳエラストマ）等の柔軟性物質からなる円板状のも
のが好適に使用され、弾性弁体３２に形成される挿通部
としては、いわゆるＹカットや十字カット等が使用でき
る。特に好ましくは、円板状部を上下両面から直線上に
切り込み、違いに中央部にて交差する第１の切り込み部
と第２の切り込み部を設けたものが好ましい。

【００３３】外管ハブの形成材料としては、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン
などの熱可塑性合成樹脂が使用でき、特に、上記の樹脂
であってかつある程度の透明性を有するものが好適であ
る。そして、外管２３と外管ハブ２５との固定は、図６
に示した上述した方法により行うことができる。

【００３４】次に、本発明の血管穿刺器具の作用につい
て説明する。まず、使用前の状態として、血管穿刺器具
１は、図１に示されるように内針２が外管ハブ５を介し
て外管３内に挿通されている。内針ハブ４が外管ハブ５
の後端部に係合状態となったとき、内針２の刃先２ａは
外管３の先端から突出した状態になり、血管等への穿刺
が可能となる。この状態にて、血管穿刺器具１を外管ハ
ブ５を持って、血管に穿刺する。そして、内針組立体を
外管組立体より抜去する。これにより、外管３内部を通
って血液が流出し、血管への穿刺ができたことが確認さ
れる。そして、ガイドワイヤーを外管３内部に挿入し、
ガイドワイヤーのある程度の部分を血管内に挿入した
後、外管組立体を血管より抜去し、続いて、ガイドワイ
ヤーを被覆するように血管造影用、血管拡張用などのカ
テーテルを血管内に導入する。

【００３５】

【発明の効果】本発明の血管穿刺器具は、外管と、該外
管の基端部に固着された外管ハブとからなる外管組立体
と、前記外管組立体内に抜去可能に挿通し、かつ先端に
前記外管より突出する穿刺用刃面を有する内針と、該内
針の基端部に固着され、前記外管ハブの後端部と係合す
る内針ハブとからなる内針組立体とを有する血管穿刺器
具であり、前記外管は、超弾性金属製管状体と、該超弾
性金属製管状体の外面を被包すると共に先端部が該超弾
性金属製管状体の先端より突出した樹脂製管状体とから
なり、さらに、該樹脂製管状体の先端の内径は、前記超
弾性金属製管状体の内径より小さく、かつ、前記内針の
外径とほぼ等しいものであるので、この血管穿刺器具で
は、内針の外面と外管の先端との間に、段差および隙間
が実質的に形成されないので、穿刺時に患者に与える苦
痛が少ない。さらに、外管の先端部が、樹脂製管状体に
より形成されており、樹脂製管状体は柔軟性を有してい
るため、内針の抜去後およびガイドワイヤーを外管内に
挿入する作業中に、外管の先端が患者の血管壁に損傷を
与えることを少なくすることができる。さらに、樹脂製
管状体により形成された外管の先端部は、金属により形
成した場合に比して弾性変形が可能であり、また、樹脂
製管状体とともに外管を構成する超弾性金属製管状体
は、十分な強度を有するとともに弾性を有するので、外
管が一体的に弾性変形することができ、ガイドワイヤー
の挿入作業が容易なものとなる。さらに、内針の抜去後
に容易に折れ曲がることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の血管穿刺器具の外観図であ
る。

【図２】図２は、本発明の一実施例の血管穿刺器具の先
端部の拡大部分断面図である。

【図３】図３は、本発明の他の実施例の血管穿刺器具の
先端部の拡大部分断面図である。

【図４】図４は、本発明の他の実施例の血管穿刺器具の
先端部の拡大部分断面図である。

【図５】図５は、本発明の他の実施例の血管穿刺器具の
先端部の拡大部分断面図である。

【図６】図６は、本発明の一実施例の血管穿刺器具の後
端部分の拡大断面図である。

【図７】図７は、本発明の他の血管穿刺器具の実施例の
中央部分断面図である。

【図８】図８は、本発明の他の実施例の血管穿刺器具の
先端部の拡大部分断面図である。

【図９】図９は、本発明の他の実施例の血管穿刺器具の
先端部の拡大部分断面図である。

【図１０】図１０は、本発明の他の実施例の血管穿刺器
具の先端部の拡大部分断面図である。

【図１１】図１１は、従来の血管穿刺器具の先端部の拡
大部分断面図である。

【符号の説明】

１血管穿刺器具２内針３外管４内針ハブ５外管ハブ６超弾性金属製管状体７樹脂製管状体８環状凹部２０血管穿刺器具２２内針２３外管２４内針ハブ２５外管ハブ２６超弾性金属製管状体２７樹脂製管状体３１管状部材３２弾性弁体３３キャップ３４フィルター

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者神谷千寿静岡県富士宮市舞々木町150番地テルモ株式会社内 (72)発明者山内清宮城県仙台市太白区郡山６丁目７番１号株式会社トーキン内 (72)発明者石川洋宮城県仙台市太白区郡山６丁目７番１号株式会社トーキン内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】外管と、該外管の基端部に固着された外
管ハブとからなる外管組立体と、前記外管組立体内に抜去可能に挿通し、かつ先端に前記
外管より突出する穿刺用刃面を有する内針と、該内針の
基端部に固着され、前記外管ハブの後端部と係合する内
針ハブとからなる内針組立体とを有する血管穿刺器具で
あり、前記外管は、超弾性金属製管状体と、該超弾性金属製管
状体の外面を被包すると共に先端部が該超弾性金属製管
状体の先端より突出した樹脂製管状体とからなり、さら
に、該樹脂製管状体の先端の内径は、前記超弾性金属製
管状体の内径より小さく、かつ、前記内針の外径とほぼ
等しいものであることを特徴とする血管穿刺器具。