JP3499260B2 - アミラーゼ阻害物質の製造方法 - Google Patents

アミラーゼ阻害物質の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小麦、小麦粉、小麦グ
ルテンまたは澱粉廃液からアミラーゼ阻害物質を取得す
方法に関する
【0002】
【従来の技術】近年我が国では食生活が豊かになり、糖
尿病をはじめとする代謝性疾患が急増している。過剰の
栄養摂取はインシュリンの大量分泌を誘導することによ
って間接的に代謝バランス崩壊の原因となり、耐糖機能
の低下(高血糖)、糖尿病、高脂血症、動脈硬化等につ
ながる。特に、糖尿病患者ではインシュリン作用が不足
し耐糖能が低下しているので、食後の血糖値の上昇が著
しく、毛細血管の損傷や動脈硬化などの合併症の原因と
なっている。
【0003】上記したような疾患の予防および治療に
は、必要な栄養を摂取しても血糖値が上昇しにくかった
り、インシュリンの大量分泌を抑制できる食品や物質の
摂取が有効であるとされている。そのため摂取した澱粉
が糖に分解するのを抑制または阻害し得る物質およびイ
ンシュリンの分泌を節約し得る物質が求められてきた。
【0004】上記の点から、澱粉を糖に分解するアミラ
ーゼの活性を阻害する作用を有するいわゆるアミラーゼ
阻害物質に対する研究が色々行われるようになってお
り、小麦中にもアミラーゼ阻害物質が含まれていること
が報告されて以来、小麦由来のアミラーゼ阻害物質に関
する研究や開発が種々なされるようになった。そのよう
な従来技術としては、小麦から水、酸または含水アルコ
ールで抽出したアミラーゼ阻害物質を糖尿病や肥満など
の治療に用いるものがある(例えば特開昭46−183
3号公報、特開昭61−171431号公報)。
【0005】しかしながら、上記した従来の小麦由来の
アミラーゼ阻害物質は、人間に経口で投与した場合に期
待どおりの効果が見られず、特に米飯のような加熱調理
した澱粉の消化に対しては糖への分解抑制作用が低く、
しかも高価であるなどの欠点を有しており、加熱調理し
た澱粉の消化に対しても、経口投与により有効なアミラ
ーゼ阻害物質を経済的に得る方法が求められていた。
【0006】
【発明の内容】本出願人は小麦から有用成分を得ること
について長年研究を行っているが、そのような研究の一
環として、小麦からのアミラーゼ阻害物質の取得につい
ても研究を続けてきた。その結果、小麦、小麦粉または
小麦グルテンを水、希酸、希アルカリまたは含水アルコ
ールで抽出して得たアミラーゼ阻害物質を含有する抽出
液或いは小麦粉等から澱粉を取得した後のアミラーゼ阻
害物質を含有する澱粉廃液にアルギン酸ナトリウムなど
の多糖類を加えて不溶性の複合体を形成させて分取し、
次いでこの複合体中の多糖類を分離除去した後に、更に
陽イオン交換体で処理する工程を施し、その陽イオン交
換体通過画分からアミラーゼ阻害物質を回収すると、得
られたアミラーゼ阻害物質は極めて高いアミラーゼ阻害
活性を有する一方でトリプシン阻害活性を示さないこ
と、そしてこの方法により得られたアミラーゼ阻害物質
が、膵液中に含まれるアミラーゼに対して高い阻害活性
を有していて、インシュリンの分泌節約に極めて有効で
あることを見出して先に出願した(特願平4−1279
70号)。
【0007】そして、本発明者らは、上記の抽出液また
は澱粉廃液からアミラーゼ阻害物質を回収取得する方法
について更に検討を重ねた。その結果、多糖類を用いて
不溶性の複合体を形成させる上記先願発明の方法とは全
く異なり、リン酸カルシウムゲルを生成させてそれにア
ミラーゼ阻害物質を吸着させる工程を主要工程として含
む2つの方法を開発した。そして、本発明者らの開発し
たそれら2つの方法による場合は、処理量が多くなって
もロスの発生を抑制しながら、良好な操作性で、目的と
するアミラーゼ阻害物質を簡単に且つ経済的に大量に製
造することができる。
【0008】 すなわち、本発明の第1のアミラーゼ阻
害物質の製造方法は、 (a1)小麦、小麦粉または小麦グルテンを水、希酸、
希アルカリまたは含水アルコールで抽出して得られたア
ミラーゼ阻害物質を含有する液、或いは小麦粉から澱粉
および/またはグルテンを採取する際に排出されるアミ
ラーゼ阻害物質を含有する水洗廃液を処理して液中に含
まれる可溶性の不純蛋白質およびその他の不純物を不溶
性固形分の形態に変えて分離除去する工程; (b1)上記工程(a1)で得た不純物除去後の液に、カ
ルシウムイオンとリン酸イオンを加えて、液中で不溶性
のリン酸カルシウムゲルを形成させると共に液中に含ま
れているアミラーゼ阻害物質をリン酸カルシウムゲルに
吸着させた後、アミラーゼ阻害物質を吸着含有するリン
酸カルシウムゲルを液から分離回収する工程; (c1)上記工程(b1)で回収したアミラーゼ阻害物質
を吸着含有する不溶性リン酸カルシウムゲルからアミラ
ーゼ阻害物質を水に可溶化させてアミラーゼ阻害物質を
含有する液を得る工程;および (d1)上記工程(c1)で得た液からアミラーゼ阻害物
質を回収する工程;を包含することを特徴とするアミラ
ーゼ阻害物質の製造方法である。
【0009】そして、本発明の第2のアミラーゼ阻害物
質の製造方法は、 (a2)小麦、小麦粉または小麦グルテンを水、希酸、
希アルカリまたは含水アルコールで抽出して得られたア
ミラーゼ阻害物質を含有する液、或いは小麦粉から澱粉
および/またはグルテンを採取する際に排出されるアミ
ラーゼ阻害物質を含有する水洗廃液に、カルシウムイオ
ンとリン酸イオンを加えてリン酸カルシウムゲルを形成
させと共にリン酸カルシウムゲルに液中に含まれている
アミラーゼ阻害物質を吸着させた後、アミラーゼ阻害物
質を吸着含有するリン酸カルシウムゲルを液から分離回
収する工程; (b2)上記工程(a2)で回収したアミラーゼ阻害物質
を含有するリン酸カルシウムゲルからアミラーゼ阻害物
質を水に可溶化させてアミラーゼ阻害物質を含有する液
を得る工程; (c2)上記工程(b2)で得たアミラーゼ阻害物質を含
有する液を処理して液中に含まれる可溶性の不純蛋白質
およびその他の不純物を不溶性固形分の形態に変えて分
離除去する工程;および (d2)上記工程(c2)で得た液からアミラーゼ阻害物
質を回収する工程;を包含することを特徴とするアミラ
ーゼ阻害物質の製造方法である。
【0010】 上記した本発明の第1および第2の製造
方法により得られるアミラーゼ阻害物質は、食品に添加
して使用することができ、また血糖値上昇抑制剤やイン
シュリン分泌調節剤として有効に使用することができ
る。
【0011】最初に上記第1のアミラーゼ阻害物質の製
造方法について説明する。まず、(ア)小麦、小麦粉ま
たは小麦グルテンを水、希酸、希アルカリまたは含水ア
ルコールで抽出して得られたアミラーゼ阻害物質を含有
する液、或いは(イ)小麦粉から澱粉やグルテンを採取
する際に排出されるドウまたはバッターの水洗廃液を処
理して液中に含まれる可溶性の不純蛋白質およびその他
の不純物を不溶性固形分の形態に変えて分離除去する
[工程(a1)]。
【0012】工程(a1)において、抽出処理により得
られたアミラーゼ阻害物質を含有する液(ア)を用いる
場合は、抽出用の液としては水が一番好ましいが、水の
代わりに希酸、希アルカリまたは含水アルコールを使用
してもよい。希酸を使用する場合は、塩酸、リン酸等の
無機酸、酢酸等の有機酸でpH約2〜6に調整した酸性
水溶液を使用するのがよい。希アルカリを使用する場合
は、アンモニア、水酸化ナトリウム等でpH8〜10に
調整したアルカリ性水溶液を使用するのがよい。また、
含水アルコールを使用する場合は、アルコール濃度約1
〜50%のアルコール水溶液がよく、その際のアルコー
ルとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコール等を挙げることができる。抽出処理に当たって
は、小麦、小麦粉または小麦グルテンに充分量(通常約
3〜50倍)の水、希酸、希アルカリ性または含水アル
コールを加えて、通常、約10〜40℃の温度で撹拌処
理しながら抽出処理を行った後、遠心分離、濾過、静置
等の任意の方法で固形分を除去して、アミラーゼ阻害物
質を含有する抽出液を得るのがよい。
【0013】また、工程(a1)において、水洗廃液
(イ)を用いる場合は、小麦粉から澱粉やグルテンを採
取する際に排出されるドウまたはバッターの水洗廃液を
アミラーゼ阻害物質含有液としてそのまま使用すること
ができる。特に、この水洗廃液(イ)を用いる場合は、
マーチン法またはバッター法による澱粉およびグルテン
の製造に際して排出される水洗廃液の有効利用をも兼ね
ることになり極めて有効である。小麦粉に水を加えて混
練してドウ(生地)またはバッターをつくり、これをね
かせてグルテンを充分に水和させた後、加水しながら生
地の洗浄を繰り返し、グルテンと澱粉乳(グルテン洗
液)とに分離し、この澱粉乳から機械的分離等により澱
粉が回収されるが、その際発生する水洗廃液中にはアミ
ラーゼ阻害物質が含まれているので、この水洗廃液をア
ミラーゼ阻害物質含有水洗廃液(イ)として使用する。
【0014】そして、上記したアミラーゼ阻害物質を含
有する抽出液(ア)または水洗廃液(イ)中に含まれる
蛋白質濃度を好ましくは1〜10mg/ml、より好ま
しくは2〜8mg/mlに調整して、液中に含まれる可
溶性の不純蛋白質およびその他の不純物を不溶性固形分
の形態に変えて分離除去する。抽出液(ア)および水洗
廃液(イ)中に含まれる可溶性の不純蛋白質としてはα
−アミラーゼ、β−アミラーゼ等の酵素蛋白質、不安定
な状態で存在している一部のアルブミン、グロブリン等
の蛋白質があり、またはその他の不純物としては可溶性
の糖類、無機塩類、色素等があり、これらの不純物が工
程(a1)の不純物除去処理によって液から除去され
る。
【0015】不純物の除去方法としては、 (i)抽出液(ア)または水洗廃液(イ)を70〜90
℃、好ましくは85〜90℃に加熱して熱に不安定な不
純蛋白質やその他の不純物を不溶性固形分に変えて沈降
除去する方法; (ii)抽出液(ア)または水洗廃液(イ)のpHを4以
下、好ましくは1.5〜3に調整して、一定時間放置後
中和して、不溶性固形分となって沈殿してくる不純蛋白
質等の不純物を除去する方法; (iii)抽出液(ア)または水洗廃液(イ)に、カルシ
ウムイオンを提供する化合物を、カルシウムイオン濃度
が液中に含まれる蛋白質濃度の10〜200%、好まし
くは20〜80%になるように、そしてリン酸イオンを
提供する化合物をリン酸イオン濃度がカルシウムイオン
濃度の10〜100%、好ましくは15〜60%となる
ように加えて、リン酸カルシウムゲルを形成させ、該ゲ
ルにアミラーゼ阻害物質以外の不純蛋白質やその他の不
純物を吸着させてリン酸カルシウムゲルと一緒に沈殿さ
せて分離除去する方法; (iv)上記した(i)〜(iii)の2者または3者を組
み合わせた方法;を採用することができる。
【0016】上記(iii)の除去方法を採用する場合
に、抽出液(ア)または水洗廃液(イ)中におけるカル
シウムイオン濃度およびリン酸イオン濃度が高すぎる
と、α−アミラーゼやβ−アミラーゼ等の不純蛋白質だ
けでなく、目的とするアミラーゼ阻害物質の多くもリン
酸カルシウムゲルに一緒に吸着されてしまってアミラー
ゼ阻害物質の最終収率が低減するので、そのようなこと
にないように液中に加えるカルシウムイオンおよびリン
酸イオンの濃度の調整を適切に行うことが必要である。
【0017】そして、上記(iii)の除去方法を採用す
る場合のカルシウムイオンを提供する化合物として水酸
化カルシウム、例えば塩化カルシウム、硝酸カルシウム
等の水溶性無機カルシウム塩類、酢酸カルシウム、乳酸
カルシウム等の水溶性有機カルシウム塩類を挙げること
ができる。一方、リン酸イオンを提供する化合物として
は、リン酸、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウ
ム、リン酸アンモニウム等の各種水溶性リン酸塩類等を
挙げることができる。また、この(iii)の不純物除去
処理は、液のpHを5〜8、好ましくは6〜7にし、温
度を30〜90℃、好ましくは40〜60℃にして行う
のがよい。
【0018】 上記した(i)〜(iv)のいずれかの方
法により生成した不溶性の不純物を濾過、遠心分離など
の任意の方法で分離除去し、その結果残留するアミラー
ゼ阻害物質を含有する液を次の工程(b1)に供する。
工程(b1)では、上記工程(a1)で得た不純蛋白質等
の不純物を除去した後の液に、カルシウムイオンとリン
酸イオンを加えて、液中で、不溶性のリン酸カルシウム
ゲルを形成させると共に液中に含まれているアミラーゼ
阻害物質をリン酸カルシウムゲルに吸着させた後、アミ
ラーゼ阻害物質を吸着含有するリン酸カルシウムゲルを
液から分離回収する。
【0019】工程(b1)において、リン酸カルシウム
ゲルを生成させるためには、液中に含まれるカルシウム
イオン濃度が液中に含まれる蛋白質濃度の10〜200
%、好ましくは20〜120%であり、そしてリン酸イ
オン濃度がカルシウムイオン濃度の20〜100%、好
ましくは30〜100%であるのがよい。
【0020】ここで注意すべきことは、上記の工程(a
1)において不純物除去方法として上記(iii)の方法を
採用した場合には、工程(a1)から得られる不純物除
去後の液にカルシウムイオンおよび/またはリン酸イオ
ンが残留している場合が多いので、工程(b1)の処理
を行うに当たっては、そのような残留しているカルシウ
ムイオンおよび/またはリン酸イオンの濃度を考慮し
て、工程(b1)におけるカルシウムイオン濃度および
リン酸イオン濃度が上記した範囲になるように、工程
(b1)におけるカルシウムイオン提供化合物および/
またはリン酸イオン提供化合物の添加量を調整すること
が必要である。
【0021】工程(b1)で使用するカルシウムイオン
提供化合物およびリン酸イオン提供化合物としては、上
記(iii)の方法におけるのと同様のカルシウム化合物
およびリン酸イオン提供化合物を使用することができ
る。また、工程(b1)におけるリン酸カルシウムゲル
の生成処理は、液のpHを5〜8、好ましくは6〜7に
し、温度を30〜90℃、好ましくは40〜60℃にし
て行うのがよい。そして、工程(b1)で得られるアミ
ラーゼ阻害物質を吸着含有するリン酸カルシウムゲルを
濾過、遠心分離等の適当な方法で分離回収して、次の工
程(c1)に供する。
【0022】次いで、上記の工程(b1)で分別した不
溶性複合体からアミラーゼ阻害物質を水に可溶化させて
アミラーゼ阻害物質を含有する液を得る[工程
(c1)]。この工程(c1)において、不溶性複合体か
らアミラーゼ阻害物質を可溶化させる方法としては、
(i)酸を添加する方法、(ii)水溶性塩類を添加する
方法、(iii)加熱する方法などを挙げることができ
る。
【0023】上記(i)の方法による場合は、酸として
例えば塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、乳酸等の有機酸を
使用することができ、そのときのpHを4以下、特に1
〜3に調整しておくのが望ましい。また、上記(ii)の
方法による場合は、水溶性塩類としてカルシウムイオン
との結合力の強いものを使用するのがよく、例えば硫酸
のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、リン酸
のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を挙げ
ることができ、水溶性塩類の使用量は不溶性複合体を分
散させた液の1〜10重量%程度とするのがよい。ま
た、上記(iii)の方法による場合は、不溶性複合体を
十分な量の水に分散させて50〜90℃、好ましくは7
0〜85℃に加熱して行うのがよい。
【0024】そして、工程(c1)で得られた可溶化し
たアミラーゼ阻害物質を含有する水溶液を、次の工程
(d1)において、必要に応じて遠心分離、濾過等を行
って水不溶性の不純物を除去し、更に必要に応じて除菌
処理や殺菌処理(例えば加熱殺菌、アルコール殺菌、除
菌濾過等)、陽イオン交換体処理(例えばポリマー系陽
イオン交換体、珪酸アルミニウム等)、脱塩処理、濃縮
処理などを施した後、乾燥すると目的とするアミラーゼ
阻害物質を粉末などの固形状で得ることができる。その
際の乾燥処理は、例えば凍結乾燥、減圧乾燥、噴霧乾
燥、ボール乾燥などの適当な方法で行うことができる。
【0025】次に、上記した第2のアミラーゼ阻害物質
の製造方法について説明する。まず、最初の工程
(a2)で、(ア)小麦、小麦粉または小麦グルテンを
水、希酸、希アルカリまたは含水アルコールで抽出して
得られたアミラーゼ阻害物質を含有する液、或いは
(イ)小麦粉から澱粉および/またはグルテンを採取す
る際に排出されるアミラーゼ阻害物質を含有する水洗廃
液に、カルシウムイオンとリン酸イオンを加えてリン酸
カルシウムゲルを形成させると共にリン酸カルシウムゲ
ルに液中に含まれているアミラーゼ阻害物質を吸着させ
た後、アミラーゼ阻害物質を吸着含有するリン酸カルシ
ウムゲルを液から分離回収する。
【0026】工程(a2)において、抽出液(ア)また
は水洗廃液(イ)としては、上記した第1の製造方法に
おける工程(a1)において説明したのと同じ抽出液
(ア)または水洗廃液(イ)を用いるのがよく、抽出液
(ア)または水洗廃液(イ)中に含まれる蛋白質濃度を
好ましくは1〜10mg/ml、より好ましくは2〜8
mg/mlに調整して、リン酸カルシウムゲルの形成を
行うのがよい。
【0027工程(a2)において、リン
酸カルシウムゲルの形成のために抽出液(ア)または水
洗廃液(イ)に含有させるカルシウムイオンおよびリン
酸イオンの濃度は、液中に含まれる蛋白質濃度と相関関
係にあり、その調整が必要であるが、一般に、カルシウ
ムイオンを提供する化合物をカルシウムイオン濃度が液
中に含まれる蛋白質濃度の10〜200%、好ましくは
20〜120%になるように、そしてリン酸イオンを提
供する化合物をリン酸イオン濃度がカルシウムイオン濃
度の20〜100%、好ましくは30〜100%となる
ように加えて、リン酸カルシウムゲルを形成させると、
該ゲルにアミラーゼ阻害物質およびその他の蛋白質など
が円滑に吸着されるので、そのようにして形成されたリ
ン酸カルシウムゲルを液から分離回収するのがよい。 【0028】その際のカルシウムイオン提供化合物およ
びリン酸イオン提供化合物の種類としては、上記第1の
製造方法における上記(iii)の不純物除去法で挙げた
のと同様の化合物を使用することができ、また工程(a
2)は液のpHを5〜8、好ましくは6〜7にし、温度
を30〜90℃、好ましくは40〜60℃にして行うの
がよい。
【0029】次いで、上記の工程(a2)で分別した不
溶性複合体からアミラーゼ阻害物質を水に可溶化させて
アミラーゼ阻害物質を含有する液を得る[工程
(b2)]。この工程(b2)において、不溶性複合体か
らアミラーゼ阻害物質を可溶化させる方法としては、
(i)酸を添加する方法、(ii)水溶性塩類を添加する
方法、(iii)加熱する方法などを挙げることができ
る。
【0030】上記(i)の方法による場合は、酸として
例えば塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、乳酸等の有機酸を
使用することができ、そのときのpHを4以下、特に1
〜3に調整しておくのが望ましい。また、上記(ii)の
方法による場合は、水溶性塩類としてカルシウムイオン
との結合力の強いものを使用するのがよく、例えば硫酸
のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、リン酸
のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を挙げ
ることができ、水溶性塩類の使用量は不溶性複合体を分
散させた液の1〜10重量%程度とするのがよい。ま
た、上記(iii)の方法による場合は、不溶性複合体を
十分な量の水に分散させて50〜90℃、好ましくは7
0〜85℃に加熱して行うのがよい。
【0031】そして、工程(b2)で得られた可溶化し
たアミラーゼ阻害物質を含有する水溶液から、必要に応
じて遠心分離、濾過等を行って水不溶性の固形物を分離
した後、次の工程(c2)において、そのアミラーゼ阻
害物質を含有する水溶液を処理して液中に含まれる可溶
性の不純蛋白質およびその他の不純物を不溶性固形分の
形態に変えて液から分離除去する。工程(b2)で得ら
れるアミラーゼ阻害物質含有水溶液中には、アミラーゼ
阻害物質以外にもα−アミラーゼ、β−アミラーゼ等の
酵素蛋白質、不安定な状態で存在している一部のアルブ
ミン、グロブリン等の蛋白質などの可溶性の不純蛋白
質、可溶性の糖類、無機塩類、色素等が含まれるので、
工程(c2)において、それらの不純蛋白質およびその
他の不純物を除去する。
【0032】工程(c2)で採用し得る不純物の除去方
法としては、 (i)工程(b2)で得られたアミラーゼ阻害物質含有
水溶液を70〜90℃、好ましくは80〜90℃に加熱
して熱に不安定な不純蛋白質などを不溶性の固形分に変
えて沈降させて除去する方法; (ii)工程(b2)で得られたアミラーゼ阻害物質含有
水溶液のpHを4以下、好ましくは1.5〜3に調整し
て、一定時間放置後中和して、不溶性固形分となって沈
殿してくる不純蛋白質等の不純物を除去する方法;を挙
げることができる。
【0033】そして、上記の工程(c2)で得られた可
溶化したアミラーゼ阻害物質を含有する不純物除去後の
水溶液を、次の工程(d2)において、必要に応じて遠
心分離、濾過等を行って水不溶性の不純物を除去し、更
に必要に応じて除菌処理や殺菌処理(例えば加熱殺菌、
アルコール殺菌、除菌濾過等)、陽イオン交換体処理
(例えばポリマー系陽イオン交換体、珪酸アルミニウム
等)、脱塩処理、濃縮処理などを施した後、乾燥すると
目的とするアミラーゼ阻害物質を粉末などの固形状で得
ることができる。その際の乾燥処理は、上記第1のアミ
ラーゼ阻害物質の製造方法の場合と同様の方法で行うこ
とができる。
【0034】上記した第1のアミラーゼ阻害物質の製造
方法または第2のアミラーゼ阻害物質の製造方法によっ
て、処理量が多くなってもロスの発生を抑制しながら、
簡単な操作で、トリプシン阻害活性がないかまたは極め
て低く、しかもアミラーゼ阻害活性の極めて高いアミラ
ーゼ阻害物質を、経済的に大量に製造することができ
る。そして、これらの方法により得られたアミラーゼ阻
害物質は、膵液中に含まれるアミラーゼに対する阻害活
性が高く、そのためインシュリンの分泌抑制に有効であ
り、米飯のように加熱調理された澱粉の消化抑制、すな
わち糖への分解抑制に対して高い効果がある。
【0035】 上記した本発明の第1および第2の製造
方法により得られたアミラーゼ阻害物質は、そのまま
で、または公知の担体や助剤等を使用して液剤、顆粒
剤、錠剤等の形態にして血糖値上昇抑制剤および/また
はインシュリン分泌調節剤として用いることができる。
更に、食品、特に澱粉質を多く含むパン、クッキー等の
炭水化物系食品に添加して使用したり、お茶類、スープ
類、ふりかけやバター、ジャム等のスプレッド類に添加
して使用することができる。該アミラーゼ阻害物質の投
与量や食品への添加量は、投与される対象の状態、症
状、食品の種類やその摂取量等に応じて適宜調節するこ
とができ、例えば食品に添加して摂取する場合は、一回
の食事当たりの該アミラーゼ阻害物質の摂取量を約0.
1〜20g、好ましくは約0.4〜8gの範囲にするの
がよい。
【0036】
【実施例】以下に実施例などにより本発明を具体的に説
明するが、本発明はそれらの例により限定されない。以
下の例において得られた生成物の人膵臓アミラーゼに対
する阻害活性量は、下記の方法により測定した。
【0037】アミラーゼ阻害活性の測定:人膵臓アミラ
ーゼと試料液を、50mM NaCl、5mM CaCl2
よび0.04%卵白アルブミンを含む20mM PIP
ES緩衝液(pH6.9)中で、37℃で30分間放置
した後、1.5%可溶性澱粉溶液(pH6.9)0.5
mlを混合した。この液を37℃で10分間反応させた
後、2.5mlの停止液(0.08M HCl、0.4M
酢酸)を加えた。反応液より0.2mlを採取し、2.
5mlのヨウ素液(0.05%KI、0.005%ヨウ
素)を加えて、660nmでの吸光度を測定した。な
お、測定には試料液を含まないときに吸光度を80%減
少させる酵素量を用い、この時の酵素活性を50%阻害
するインヒビター量を1unitとして表した。
【0038】《実施例 1》 (1) 小麦粉130kgに水70リットルを加え、混
練して生地を形成させた。この生地を1200リットル
の水を用いて洗浄して、グルテン65kgおよび小麦澱
粉80kgを回収した。その際に、1000リットルの
水洗廃液が発生したので、この水洗廃液を80℃で15
分加熱処理して、水溶性の不純蛋白質等の不純物を水不
溶性に変えて沈殿させた。沈殿物をドラバル型遠心分離
機を使用して分離除去して、960リットルの上澄み液
を得た。
【0039】(2) 上記(1)で回収した上澄み液に
カルシウムイオン濃度が3000ppm(蛋白質濃度の
100%)、リン酸イオン濃度が2000ppmとなる
ようにに塩化カルシウムとリン酸水素二ナトリウムを加
えて40℃で2時間反応させた。その結果、水不溶性の
リン酸カルシウムゲルが生成してきたので、このゲルを
遠心分離して回収したところ、その重量は80kgであ
った。
【0040】(3) 上記(2)で回収したリン酸カル
シウムゲルに水120リットルを加えて分散させた後、
乳酸を添加して分散液のpHを3に調整した。1時間撹
拌した後、遠心分離して固形物を除去して上澄み液16
0リットルを回収した。 (4) 上記(3)で回収した上澄み液を限外濾過膜
(ダイセル社製;FS10−Fs−FuSo382)2
本を用いて濃縮し、併せて余剰の塩類の脱塩を行って濃
縮液20リットルを得た。
【0041】(5) 上記(4)で得た濃縮液にアンモ
ニアを添加してpH7.5に調整し、この液に陽イオン
交換樹脂[三菱化成(株)製;ダイヤイオノHPK−5
5]5リットルを加えて1時間撹拌した。次いで、濾過
により陽イオン交換樹脂を除去して液を回収し、セラミ
ックフィルターを使用して除菌濾過した後、凍結乾燥し
て260gの乾燥粉末()を得た。この乾燥粉末の
アミラーゼ阻害活性を上記した方法により測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0042】《実施例 2》 (1) 小麦粉130kgに水70リットルを加え、混
練して生地を形成させた。この生地を1200リットル
の水を用いて洗浄して、グルテン65kgおよび小麦澱
粉80kgを回収した。その際に、1000リットルの
水洗廃液が発生したので、この水洗廃液に塩酸を加えて
液のpHを2.5に調整し、1時間放置した後に水酸化
ナトリウムでpHを6.5に調整した。その結果、水溶
性の不純蛋白質等の不純物の沈殿物が生成してきたの
で、これをドラバル型遠心分離機を使用して分離除去し
て、950リットルの上澄み液を得た。
【0043】(2) 上記(1)で回収した上澄み液に
カルシウムイオン濃度が3000ppm(蛋白質濃度の
80%)、リン酸イオン濃度が2000ppmとなるよ
うにに塩化カルシウムとリン酸水素二ナトリウムを加え
て40℃で2時間反応させた。その結果、水不溶性のリ
ン酸カルシウムゲルが生成してきたので、このゲルを遠
心分離して回収したところ、その重量は70kgであっ
た。
【0044】(3) 上記(2)で回収したリン酸カル
シウムゲルに水130リットルを加えて分散させた後、
硫酸アンモニウム10kgを添加して2時間撹拌した
後、フィルタープレスを使用して固形物を除去して上澄
み液170リットルを回収した。 (4) 上記(3)で回収した上澄み液に対して、実施
例1の(4)と同じ濃縮処理および脱塩処理を行って濃
縮液20リットルを得て、その濃縮液を実施例1の
(5)と同じ陽イオン交換樹脂処理および除菌濾過を行
い、得られた液を凍結乾燥して250gの乾燥粉末
()を得た。この乾燥粉末のアミラーゼ阻害活性を
上記した方法により測定したところ、下記の表1に示す
とおりであった。
【0045】《実施例 3》 (1) 小麦粉130kgに水70リットルを加え、混
練して生地を形成させた。この生地を1200リットル
の水を用いて洗浄して、グルテン65kgおよび小麦澱
粉80kgを回収した。その際に、1000リットルの
水洗廃液が発生したので、この水洗廃液にカルシウムイ
オン濃度が3000ppm(液中の蛋白質濃度の70
%)、リン酸イオン濃度が500ppmとなるように塩
化カルシウムとリン酸水素二ナトリウムを加えて37℃
で2時間反応させた。その結果、水不溶性のリン酸カル
シウムゲルが生成してきたので、このゲルをドラバル型
遠心分離機を使用して分離除去して、上澄み液950リ
ットルを回収した。
【0046】(2) 上記(1)で回収した上澄み液を
80℃で15分加熱処理して、水溶性の不純蛋白質等の
不純物を水不溶性に変えて沈殿させた。沈殿物をドラバ
ル型遠心分離機を使用して分離除去して、930リット
ルの上澄み液を得た。
【0047】() 上記()で得た上澄み液におけ
るカルシウムイオン濃度は2200ppm(液中の蛋白
質濃度の約100%)であったので、カルシウム化合物
は添加せずに、リン酸イオン濃度が2000ppmとな
るようにリン酸水素二ナトリウムを加えて37℃で2時
間反応させた。その結果、水不溶性のリン酸カルシウム
ゲルが生成してきたので、このゲルを遠心分離機を使用
して分離回収して70kgのリン酸カルシウムゲルを得
た。
【0048】() 上記()で得たリン酸カルシウ
ムゲルに水130リットルを加えて分散させた後、硫酸
アンモニウム10kgを加えて2時間撹拌後、フィルタ
ープレスを使用して固形物を除去し、溶出液180リッ
トルを回収した。 () 上記()で得た溶出液に対して、実施例1の
(4)と同じ濃縮処理および脱塩処理を行って濃縮液2
0リットルを得て、その濃縮液をセラミックフィルター
を使用して除菌処理した後、凍結乾燥して260gの乾
燥粉末()を得た。この乾燥粉末のアミラーゼ阻害
活性を上記した方法により測定したところ、下記の表1
に示すとおりであった。
【0049】《実施例 4》 (1) 小麦粉130kgに水70リットルを加え、混
練して生地を形成させた。この生地を1200リットル
の水を用いて洗浄して、グルテン65kgおよび小麦澱
粉80kgを回収した。その際に、1000リットルの
水洗廃液が発生したので、この水洗廃液にカルシウムイ
オン濃度が3000ppm(液中の蛋白質濃度の70
%)、リン酸イオン濃度が2000ppmとなるように
塩化カルシウムとリン酸水素二ナトリウムを加えて37
℃で2時間反応させた(pH6.5)。その結果、水不
溶性のリン酸カルシウムゲルが生成してきたので、この
ゲルをドラバル型遠心分離機を使用して分離回収したと
ころ、その重量は120kgであった。
【0050】(2) 上記(1)で回収したリン酸カル
シウムゲルに水200リットルを加えた後、濾過剤(セ
ライト)2kgおよび硫酸アンモニウム10kgを添加
して2時間撹拌した後、フィルタープレスを使用して固
形物を除去して溶出液180リットルを回収した。 (3) 上記(2)で回収した溶出液を80℃で15分
加熱処理して、水溶性の不純蛋白質等の不純物を水不溶
性に変えて沈殿させた。沈殿物をドラバル型遠心分離機
を使用して分離除去して、160リットルの上澄み液を
得た。
【0051】(4) 上記(3)で得た上澄み液に対し
て、実施例1の(4)と同じ濃縮処理および脱塩処理を
行って濃縮液20リットルを得て、その濃縮液を実施例
1の(5)と同じ陽イオン交換樹脂処理および除菌濾過
を行い、得られた液を凍結乾燥して230gの乾燥粉末
()を得た。この乾燥粉末のアミラーゼ阻害活性を
上記した方法により測定したところ、下記の表1に示す
とおりであった。
【0052】《参考例 1》 [特願平4−127970号の方法によるアミラーゼ阻
害物質の調製] (1) 小麦粉130kgに水70リットルを加え、混
練して生地を形成させた。この生地を1200の水を用
いて洗浄して、グルテン65kgおよび小麦澱粉80k
gを回収した。その際に、1000リットルの水洗廃液
が発生したので、この水洗廃液に塩酸を加えてpH3に
調整し、30分放置した後、アンモニアでpHを6.5
に調整すると不溶物が沈殿した。沈殿を除去して上澄み
液850リットルを回収した。
【0053】(2) 上記(1)で回収した上澄み液に
アルギン酸ナトリウム300ppmを加えた後、pHを
4.2に調整して30分間撹拌した。その結果、水不溶
物を生成したので、この水不溶物をドラバル型遠心分離
機を使用して回収した。この回収物をその10倍量の水
に分散させた後、塩化カルシウム0.76kgを加えて
よく撹拌し、アンモニアでpHを8.5に調整して1時
間静置した。次いでドラバル型遠心分離機を使用して固
形物を分離除去して上澄み液100リットルを回収し
た。
【0054】(3) 上記(2)で回収した上澄み液を
塩酸で中和し、中和液を80℃に30分間加熱した後、
生成した不溶性部質をドラバル型遠心分離機で分離して
上澄み液を回収し、この上澄み液を限外濾過膜[日東電
工(株)製;NTU−3250CIR(MW:2万)]を
用いて濃縮し、23リットルの濃縮液を得た。この濃縮
液における蛋白質濃度は25mg/mlであった。得ら
れた液に対して同時に余剰のカルシウム塩の脱塩を行っ
た。
【0055】(4) 上記(3)で得た濃縮液23リッ
トルをアンモニアでpH7.5に調整し、陽イオン交換
樹脂[ダイヤイオンHPK−55;三菱化成(株)製]
28リットルを充填したカラム(長さ900mm、内径
200mm)に1リットル/分の流速で通液し、陽イオ
ン交換樹脂に吸着せずに溶出した画分を採取した。上記
の溶出画分をセラミックフィルターを使用して除菌濾過
した後、凍結乾燥してアミラーゼ阻害物質を含有する乾
燥粉末()230gを得た。この乾燥粉末のアミラ
ーゼ阻害活性を上記した方法により測定したところ、下
記の表1に示すとおりであった。
【0056】
【表1】 回収量 アミラーゼ阻害活性 (g/kg小麦粉) (unit/mg) 実施例1(乾燥粉末) 2.0 8200 実施例2(乾燥粉末) 1.9 8200 実施例3(乾燥粉末) 2.0 10000 実施例4(乾燥粉末) 1.8 12000 参考例1(乾燥粉末) 1.8 8000
【0057】上記表1の結果から、実施例1〜実施例4
による場合には高いアミラーゼ阻害活性を有するアミラ
ーゼ阻害物質を経済的に製造できることがわかる。
【0058】
【発明の効果】本発明の方法による場合は、従来大量処
理が困難であった点が解消されて、処理量が多くなって
もロスの発生を抑制しながら、操作性良く、目的とする
アミラーゼ阻害物質を効率よく、経済的に大量に調製す
ることができ、その製造コストは前記した本出願人の先
願発明(特願平4−127970号)の約1/2である。
そして、本発明の方法によって得られるアミラーゼ阻害
物質は、高いアミラーゼ阻害活性を有する一方でトリプ
シン阻害活性をもたず、特に膵液中に含まれるアミラー
ゼに対して高い阻害活性を有しているため、インシュリ
ンの分泌を効果的に抑制することができ、高血糖症、糖
尿病、高脂血症、動脈硬化、肥満などの予防および治療
に有効である。 更に、本発明の方法で得られるアミラーゼ阻害物質は、
摂取した場合に下痢や吐き気等の副作用がなく、口当た
りが良好で摂取し易い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森本 聡尚 埼玉県入間郡大井町鶴ケ岡5丁目3番1 号 日清製粉株式会社 研究総括部食品 研究所内 (72)発明者 村山 隆二 兵庫県宍粟郡山崎町三谷40番地1 (56)参考文献 特開 昭46−1833(JP,A) Biochim.Biophys.A cta,Vo1.828,No.3(1985) p.213−221 J.Food Biochem.,V ol.1,No.4(1977)p.385− 401 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 1/00 - 19/00 BIOSIS(DIALOG) EUROPAT(QUESTEL) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミラーゼ阻害物質の製造方法であっ
    て、 (a1)小麦、小麦粉または小麦グルテンを水、希酸、
    希アルカリまたは含水アルコールで抽出して得られたア
    ミラーゼ阻害物質を含有する液、或いは小麦粉から澱粉
    および/またはグルテンを採取する際に排出されるアミ
    ラーゼ阻害物質を含有する水洗廃液を処理して液中に含
    まれる可溶性の不純蛋白質およびその他の不純物を不溶
    性固形分の形態に変えて分離除去する工程; (b1)上記工程(a1)で得た不純物除去後の液に、カ
    ルシウムイオンとリン酸イオンを加えて、液中で不溶性
    のリン酸カルシウムゲルを形成させると共に液中に含ま
    れているアミラーゼ阻害物質をリン酸カルシウムゲルに
    吸着させた後、アミラーゼ阻害物質を吸着含有するリン
    酸カルシウムゲルを液から分離回収する工程; (c1)上記工程(b1)で回収したアミラーゼ阻害物質
    を吸着含有する不溶性リン酸カルシウムゲルからアミラ
    ーゼ阻害物質を水に可溶化させてアミラーゼ阻害物質を
    含有する液を得る工程;および (d1)上記工程(c1)で得た液からアミラーゼ阻害物
    質を回収する工程; を包含することを特徴とするアミラーゼ阻害物質の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 アミラーゼ阻害物質の製造方法であっ
    て、 (a2)小麦、小麦粉または小麦グルテンを水、希酸、
    希アルカリまたは含水アルコールで抽出して得られたア
    ミラーゼ阻害物質を含有する液、或いは小麦粉から澱粉
    および/またはグルテンを採取する際に排出されるアミ
    ラーゼ阻害物質を含有する水洗廃液に、カルシウムイオ
    ンとリン酸イオンを加えてリン酸カルシウムゲルを形成
    させると共にリン酸カルシウムゲルに液中に含まれてい
    るアミラーゼ阻害物質を吸着させた後、アミラーゼ阻害
    物質を吸着含有するリン酸カルシウムゲルを液から分離
    回収する工程; (b2)上記工程(a2)で回収したアミラーゼ阻害物質
    を含有するリン酸カルシウムゲルからアミラーゼ阻害物
    質を水に可溶化させてアミラーゼ阻害物質を含有する液
    を得る工程; (c2)上記工程(b2)で得たアミラーゼ阻害物質を含
    有する液を処理して液中に含まれる可溶性の不純蛋白質
    およびその他の不純物を不溶性固形分の形態に変えて分
    離除去する工程;および (d2)上記工程(c2)で得た液からアミラーゼ阻害物
    質を回収する工程; を包含することを特徴とするアミラーゼ阻害物質の製造
    方法。
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