JP3498209B2 - 外力検知センサ装置 - Google Patents

外力検知センサ装置

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JP3498209B2 JP30217799A JP30217799A JP3498209B2 JP 3498209 B2 JP3498209 B2 JP 3498209B2 JP 30217799 A JP30217799 A JP 30217799A JP 30217799 A JP30217799 A JP 30217799A JP 3498209 B2 JP3498209 B2 JP 3498209B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は角速度や加速度の検
知が可能な外力検知センサ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3にはジャイロを構成するセンサ部の
構造例が上面図により示されている。この図3に示すジ
ャイロ1のセンサ部2は基板3を有し、この基板3の上
面には、支持固定部4と、櫛歯形状の駆動用固定電極部
5(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g,5
h)および検出用固定電極部6(6a,6b,6c,6
d,6e,6f)がそれぞれ固定配設されており、上記
支持固定部4には支持部7(7a,7b)を介して振動
素子8が接続されている。
【0003】上記振動素子8は基板3と間隔を介して配
置され、図3に示すX方向とY方向の2方向に振動が可
能なものであり、駆動梁9(9a,9b,9c,9d)
と、外枠10と、櫛歯形状の駆動用可動電極部11(1
1a,11b,11c,11d,11e,11f,11
g,11h)と、支持部12(12a,12b)と、検
出梁13(13a,13b,13c,13d)と、内枠
14と、櫛歯形状の検出用可動電極部15(15a,1
5b,15c,15d,15e,15f)とを有して構
成されている。
【0004】すなわち、上記駆動梁9a,9bの各一端
側は共通に上記支持部7aに接続され、また、駆動梁9
c,9dの各一端側は共通に上記支持梁7bに接続され
ており、上記駆動梁9a,9b,9c,9dの各他端側
は共通に外枠10に接続されている。
【0005】この外枠10には櫛歯形状の上記各駆動用
可動電極部11がそれぞれ対応する上記櫛歯形状の駆動
用固定電極部5と互いに間隔を介して噛み合うように設
けられている。上記互いに対向し合う駆動用固定電極部
5a,5b,5c,5dと駆動用可動電極部11a,1
1b,11c,11dの組は第1の駆動部を構成し、上
記駆動用固定電極部5e,5f,5g,5hと駆動用可
動電極部11e,11f,11g,11hの組は第2の
駆動部を構成している。
【0006】また、上記外枠10には該外枠10の内側
に向かって支持部12a,12bがそれぞれ伸張形成さ
れ、上記支持部12aの先端側からはさらに検出梁13
a,13bが、また、支持部12bからは検出梁13
c,13dがそれぞれ伸張形成されている。
【0007】上記各検出梁13a,13b,13c,1
3dの伸長先端側には内枠14が共通に接続され、この
内枠14には櫛歯形状の上記各検出用可動電極部15が
それぞれ対応する上記櫛歯形状の検出用固定電極部6と
互いに間隔を介して噛み合うように設けられている。上
記互いに対向する検出用固定電極部6a,6b,6cと
検出用可動電極部15a,15b,15cの組が第1の
検出部を構成し、検出用固定電極部6d,6e,6fと
検出用可動電極部15d,15e,15fの組が第2の
検出部を構成している。
【0008】また、図示されていないが上記各駆動用固
定電極部5に外部から電力を供給するための導体パター
ン、および、検出用固定電極部6と導通接続する導通パ
ターンが形成されている。
【0009】図3に示すセンサ部2は上記のように構成
されている。このセンサ部2では、上記互いに対向して
いる駆動用固定電極部5と駆動用可動電極部11間に交
流の駆動電圧(駆動信号)が印加されると、その駆動電
圧に基づいた静電力の大きさの変化によって、保持部7
a,7bを支点にして振動素子8全体が上記各駆動梁9
の弾性を利用して図3に示すX方向に駆動振動する。
【0010】このように振動素子8がX方向に駆動して
いる状態で、Z方向(図3では紙面に垂直な方向)を中
心軸にして回転すると、上記振動素子8の駆動方向(X
方向)と回転の中心軸方向(Z方向)に共に直交する方
向、つまり、Y方向にコリオリ力が発生する。このY方
向のコリオリ力によって、上記振動素子8の内枠14が
支持部12a,12bを支点とし上記各検出梁13の弾
性を利用して上記外枠10に対し相対的にY方向に検出
振動する。
【0011】このY方向の検出振動に基づいた上記検出
用固定電極部6と検出用可動電極部15間の静電容量の
変化を検出することによって、Z軸回りの角速度の大き
さを検出することができる。
【0012】なお、上記のようなセンサ部2は、通常、
空気のダンピング等の悪影響を避けるために、例えばガ
ラス部材によって形成された収容空間内に収容され減圧
された状態で封止される。この場合、センサ部2の上記
駆動用固定電極部5や検出用固定電極部6は例えば上記
ガラス部材に設けられたスルーホールを介して外部と導
通接続することが可能な構成と成している。
【0013】 図6には上記センサ部2に接続する信号
処理回路の一例が上記センサ部2の主要部分と共に示さ
れている。この信号処理回路20は、第1検出用のC−
V変換部21と、第2検出用のC−V変換部22と、加
算増幅部23と、差動増幅部24と、AGC(Auto Gai
n Control)部25と、位相反転部26と、同期検波部
27とを有して構成されている。なお、図6の図示で
は、信号処理回路の構成を分かり易く説明するために、
前記センサ部2の駆動用固定電極部5と検出用固定電極
部6と振動素子8が簡略示されている。
【0014】上記第1検出用のC−V変換部21は前記
センサ部2の第1の検出部を構成する検出用固定電極部
6(6a,6b,6c)と検出用可動電極部15(15
a,15b,15c)間の総静電容量を電圧に変換して
信号出力する構成を有している。また、上記第2検出用
のC−V変換部22は前記第2の検出部を構成する検出
用固定電極部6(6d,6e,6f)と検出用可動電極
部15(15d,15e,15f)間の総静電容量を電
圧に変換して信号出力する構成を有している。
【0015】上記第1検出用のC−V変換部21から出
力される信号は、振動素子8がX方向の駆動振動のみで
ある場合には、例えば、図4の(a)の鎖線A1に示す
ような波形を持つ信号A1となる。この駆動振動に起因
した信号A1は振動素子8を駆動振動させるための駆動
用固定電極部5と駆動用可動電極部11間に印加される
駆動信号と位相が90°ずれている。
【0016】また、角速度に起因して振動素子8の内枠
14が上記X方向だけでなくY方向にも振動している場
合には、第1検出用のC−V変換部21の出力信号は、
上記駆動振動に起因した信号成分A1と、図4の(a)
の実線B1に示す波形を持つ角速度に起因した信号成分
B1とが重なって成る信号となる。上記信号成分B1は
角速度の大きさに応じた振幅の大きさを持ち、その位相
は上記信号成分A1の位相と90°ずれている。
【0017】さらに、角速度だけでなくY方向の加速度
にも起因して上記内枠14が振動する場合がある。この
場合には、上記第1検出用のC−V変換部21の出力信
号は、上記駆動振動に基づいた信号成分A1と、上記角
速度に起因した信号成分B1と、図4の(a)の点線C
1に示す波形を持つ加速度に起因した信号成分C1とが
重なって成る信号となる。上記信号成分C1は加速度の
大きさに応じた振幅の大きさを持ち、その位相は上記信
号成分A1と同相である。
【0018】また、同様に、上記第2検出用のC−V変
換部22から出力される信号は、振動素子8が駆動振動
のみである場合には、図4の(b)の鎖線A2に示す波
形を持つ信号A2となり、その信号A2は上記第1検出
用のC−V変換部21から出力される信号A1と振幅の
大きさおよび位相が等しい信号である。
【0019】 さらに、振動素子8の内枠14が駆動振
動および角速度に起因して振動している場合には、第2
検出用のC−V変換部22の出力信号は、上記駆動振動
に起因した信号成分A2と、図4の(b)の実線B2に
示すような波形を持つ角速度に起因した信号成分B2と
が重なって成る信号となる。上記信号成分B2は角速度
の大きさに応じた振幅の大きさを持ち、換言すれば、前
記第1検出用のC−V変換部21の出力信号における信
号成分B1の振幅の大きさとほぼ等しい振幅の大きさを
持ち、その信号成分B2の位相は上記信号成分A2と
70°位相がずれ、また、上記第1検出用のC−V変換
部21の出力信号における信号成分B1とは180°位
相がずれている。
【0020】さらに、振動素子8の内枠14が駆動振動
および角速度および加速度に起因して振動している場合
には、上記第2検出用のC−V変換部22の出力信号
は、上記駆動振動に基づいた信号成分A2と、上記角速
度に起因した信号成分B2と、図4の(b)の点線C2
に示す波形を持つ加速度に起因した信号成分C2とが重
なって成る信号となる。上記信号成分C2は加速度の大
きさに応じた振幅の大きさを持ち、換言すれば、上記第
1検出用のC−V変換部21の出力信号における信号成
分C1の振幅の大きさとほぼ等しい振幅の大きさを持
ち、その信号成分C2の位相は上記信号成分A2および
信号成分C1と180°位相がずれている。
【0021】上記のように、第1検出用のC−V変換部
21および第2検出用のC−V変換部22はそれぞれ振
動素子8の振動の状態に応じた信号を加算増幅部23お
よび差動増幅部24に出力する。
【0022】加算増幅部23は上記第1検出用のC−V
変換部21の出力信号と、第2検出用のC−V変換部2
2の出力信号とを加算・増幅する。この加算増幅部23
の信号の加算によって、上記角速度に起因した第1検出
用のC−V変換部21の出力信号における信号成分B1
と、第2検出用のC−V変換部22の出力信号における
信号成分B2とは相殺されて除去され、また、同様に、
加速度に起因した前記信号成分C1と信号成分C2とも
相殺されて除去される。これにより、加算増幅部23
は、上記信号成分A1と信号成分A2とが加算された駆
動振動による信号成分のみに応じた信号を駆動検出信号
(モニタ信号)としてAGC部25および同期検波部2
7に出力する。すなわち、この加算増幅部23は、駆動
方向(X方向)の振動素子8の振動に応じた駆動検出信
号を出力する駆動振動検出部として機能するものであ
る。
【0023】AGC部25は、上記振動素子8が共振周
波数でもって振動する際に得られる前記駆動信号の出力
が常に一定となるように駆動信号を出力する。この駆動
信号は、前記第1の駆動部を構成する駆動用固定電極部
5(5a,5b,5c,5d)と駆動用可動電極部11
(11a,11b,11c,11d)の組と、第2の駆
動部を構成する駆動用固定電極部5(5e,5f,5
g,5h)と駆動用可動電極部11(11e,11f,
11g,11h)の組のうちの一方の駆動部(図6に示
す例では上記第1の駆動部)にはそのまま加えられ、他
方の駆動部には上記駆動信号を位相反転部26により位
相反転させた駆動信号が加えられる。この駆動信号の印
加によって、前記の如く振動素子8は駆動振動する。
【0024】前記差動増幅部24は上記第1検出用のC
−V変換部21から出力された信号と第2検出用のC−
V変換部22から出力された信号との差を取る。この差
動増幅部24の信号の差動によって、上記第1検出用の
C−V変換部21の出力信号における駆動振動による信
号成分A1と、第2検出用のC−V変換部22の出力信
号における駆動振動による信号成分A2とは相殺され
る。これにより、差動増幅部24は、前記角速度による
前記信号成分B1と信号成分B2が加算されて成る図5
の実線B3に示すような信号成分B3と、前記加速度に
よる信号成分C1と信号成分C2が加算されて成る図5
の点線C3に示すような信号成分C3とに基づいた角速
度・加速度混在信号を同期検波部27に出力する。
【0025】すなわち、差動増幅部24は、角速度の大
きさに応じた角速度成分B3と、加速度の大きさに応じ
た加速度成分C3とが混在した角速度・加速度混在信号
を出力する角速度・加速度混在信号出力部として機能す
るものである。
【0026】同期検波部27は位相シフタ(図示せず)
を内蔵し、この位相シフタによって上記加算増幅部23
から出力された駆動検出信号の位相を90°ずらして角
速度用参照信号を作り出し、この角速度用参照信号を利
用して上記差動増幅部24から出力された角速度・加速
度混在信号を同期検波する。
【0027】つまり、角速度用参照信号は上記角速度・
加速度混在信号の角速度成分B3の位相と同相あるいは
180°位相がずれた信号であり、同期検波部27は、
上記角速度用参照信号の位相が0°〜180°の区間D
1と、180°〜360°の区間D2とで角速度・加速
度混在信号の積分を行う(同期検波する)。この同期検
波によって、上記角速度・加速度混在信号の加速度成分
C3は除去されることから、同期検波部27は、角速度
成分B3に応じた信号を角速度信号として出力する。こ
の角速度信号によって角速度の大きさを検出することが
できる。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な図3に示すセンサ部2および図6に示す信号処理回路
20を有して成るジャイロ1では、角速度しか検出する
ことができない。このため、角速度と加速度を共に検知
することが可能なセンサ装置を形成しようとした場合に
は、上記ジャイロ1の他に、加速度検知用の振動素子を
備えた加速度センサを用意し、それらジャイロ1と加速
度センサを組み合わせて上記角速度と加速度を検知する
ことができるセンサ装置を構成することとなる。
【0029】このようなセンサ装置では、角速度検出用
の振動素子と加速度検出用の振動素子との2個の振動素
子を設けなければならないために、センサ装置が大型化
してしまうという問題があった。
【0030】また、上記ジャイロ1では、同期検波部2
7において角速度・加速度混在信号を同期検波する際
に、前記角速度・加速度混在信号の角速度成分B3に対
して角速度用参照信号の位相がずれている検波角ずれが
生じている場合があり、この場合には、図5に示す正規
の区間D1,D2からずれた区間D1’,D2’でもっ
て角速度・加速度混在信号が同期検波されてしまう。
【0031】この場合には、上記検波角ずれに起因して
角速度・加速度混在信号の中の加速度成分C3を完全に
除去することができずに残ってしまい、同期検波部27
から出力される角速度信号に上記加速度成分C3に基づ
いた加速度ノイズ成分が乗ってしまうこととなる。この
加速度ノイズ成分に起因して正確な角速度の大きさを得
ることができないという問題が生じる。
【0032】この発明は上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その第1の目的は、角速度と加速度を
共に検出することができる小型の外力検知センサ装置を
提供することであり、第2の目的は、角速度あるいは加
速度の検出精度の向上を図ることができる外力検知セン
サ装置を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決す
る手段としている。すなわち、第1の発明は、角速度と
加速度を共通に検知するセンサ部と;このセンサ部によ
り検知された角速度の大きさに応じた角速度成分と加速
度の大きさに応じた加速度成分とから成る角速度・加速
度混在信号を出力する角速度・加速度混在信号出力部
と;上記角速度・加速度混在信号から上記角速度成分と
加速度成分をそれぞれ分離して取り出し角速度信号、加
速度信号として出力する信号分離部と;が設けられてい
る。
【0034】 そして、の発明の構成において特徴
的なことは、角速度・加速度混在信号の角速度成分と加
速度成分は互いに90°位相がずれている交流成分であ
り、信号分離部は角速度信号取り出し部と加速度信号取
り出し部を有し、上記角速度信号取り出し部は、上記角
速度成分と同相あるいは180°位相が異なる角速度用
参照信号を利用して上記角速度・加速度混在信号を同期
検波して上記加速度成分を除去し角速度成分に応じた角
速度信号を出力する構成と成し、上記加速度信号取り出
し部は、上記加速度信号と同相あるいは180°位相が
異なる加速度用参照信号を利用して上記角速度・加速度
混在信号を同期検波して上記角速度成分を除去し加速度
成分に応じた加速度信号を出力する構成と成しているこ
とをもって前記課題を解決する手段としている。
【0035】 第の発明は、上記第1の発明の構成を
備え、センサ部は角速度と加速度を共通に検出する方向
に振動が自在な振動素子を有し、角速度・加速度混在
号出力部は、角速度に起因した上記検出方向の振動素子
の振動に基づいた角速度成分と、加速度に起因した検出
方向の振動素子の振動に基づいた加速度成分とから成る
角速度・加速度混在信号を出力する構成と成しているこ
とを特徴として構成されている。
【0036】 第の発明は、上記第の発明の構成を
備え、センサ部は、角速度と加速度を共通に検出する方
向と、該検出方向に対して直交する駆動方向とに振動が
自在な振動素子を有し、上記駆動方向の振動素子の振動
に応じた駆動検出信号を出力する駆動振動検出部を備
え、角速度・加速度混在信号出力部は、角速度に起因し
た上記検出方向の振動素子の振動に基づいた角速度成分
と、加速度に起因した検出方向の振動素子の振動に基づ
いた加速度成分とから成る角速度・加速度混在信号を出
力する構成と成し、角速度用参照信号は上記駆動検出信
号と90°位相がずれた信号と成し、加速度用参照信号
は上記駆動検出信号と同相あるいは180°位相がずれ
た信号と成していることを特徴として構成されている。
【0037】 第の発明は、上記第1又は第2又は第
3の発明の構成を備え、角速度信号と加速度信号のうち
の一方側の取り出し信号に対してノイズ成分となる他方
側の信号を信号分離部から検出して減衰する減衰部と;
上記取り出し信号から上記減衰部の減衰動作によって得
られた信号を差し引いて上記取り出し信号に含まれてい
るノイズ成分を取り除くノイズ除去部と;が設けられて
いることを特徴として構成されている。
【0038】上記構成の発明において、信号分離部は、
角速度・加速度混在信号出力部から出力された角速度・
加速度混在信号を取り込み、この角速度・加速度混在信
号から角速度成分と加速度成分をそれぞれ分離して角速
度信号、加速度信号として取り出す。
【0039】この信号分離部を有することによって、角
速度と加速度を共通に検知するセンサ部を1つ設けるだ
けで、角速度の大きさに応じた角速度信号と加速度の大
きさに応じた加速度信号とをそれぞれ別々に得ることが
できることとなるので、上記1つのセンサ部を備えただ
けで、角速度と加速度を両方共に検出することが可能と
なる。これにより、角速度検出用のセンサ部と加速度検
出用のセンサ部という如く別個独立した2つのセンサ部
を設けなくて済むので、角速度と加速度を共に検出する
ことができる外力検知センサ装置の大幅な小型化を促進
させることができる。
【0040】また、上記のように、角速度・加速度混在
信号から角速度成分と加速度成分をそれぞれ分離して取
り出すことができるので、例えば、検波角ずれに起因し
て角速度信号に加速度成分に起因した加速度ノイズ成分
が乗ってしまっても、上記検出した加速度信号を利用す
ることで上記加速度ノイズ成分を角速度信号から除去す
ることができる。同様に、加速度信号から検波角ずれに
起因した角速度成分によるノイズ成分を除去することが
できる。このことから、角速度や加速度の大きさを精度
良く検出することができ、外力検知センサ装置の検出精
度を向上させることが可能となる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に、この発明に係る実施形態
例を図面に基づいて説明する。
【0042】第1の実施形態例の外力検知センサ装置
は、前記図3に示すようなセンサ部に、この第1の実施
形態例において特徴的な図1に示す信号処理回路が接続
して成るものであり、1つの振動素子を設けるだけで、
図3に示すZ軸回りの回転の角速度と、Y方向の加速度
とを共に検知することができるセンサ装置である。な
お、この第1の実施形態例の説明において、図3に示す
センサ部の説明は前述したので省略し、また、図1に示
す信号処理回路に関しては、前記図6に示す信号処理回
路と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の
重複説明は省略する。
【0043】本発明者は、角速度・加速度混在信号出力
部である差動増幅部24から出力される角速度・加速度
混在信号の角速度成分B3と加速度成分C3との位相が
互いに90°ずれていることに着目し、上記角速度・加
速度混在信号の角速度成分B3と加速度成分C3をそれ
ぞれ分離して取り出す本実施形態例に特有な次に示すよ
うな信号処理回路を考え出した。
【0044】すなわち、この第1の実施形態例において
特徴的な信号処理回路は、図1に示すように、第1検出
用のC−V変換部21と、第2検出用のC−V変換部2
2と、駆動振動検出部である加算増幅部23と、角速度
・加速度混在信号出力部である差動増幅部24と、AG
C部25と、位相反転部26と、同期検波部27と、同
期検波部30とを有して構成されている。
【0045】この第1の実施形態例では、同期検波部2
7によって角速度信号取り出し部が構成され、同期検波
部30によって加速度信号取り出し部が構成されてい
る。
【0046】つまり、同期検波部27は前述したように
前記角速度成分B3と同相あるいは180°位相がずれ
た角速度用参照信号に基づいて上記角速度・加速度混在
信号を同期検波することによって、角速度・加速度混在
信号の加速度成分C3を除去し、角速度成分B3に応じ
た信号を角速度信号として出力する。
【0047】同期検波部30は加算増幅部23から出力
された駆動検出信号を加速度用参照信号として取り込む
と共に、差動増幅部24から出力された角速度・加速度
混在信号を取り込み、上記加速度用参照信号を利用して
角速度・加速度混在信号を同期検波する。上記駆動検出
信号は上記角速度・加速度混在信号の加速度成分C3と
同相あるいは180°位相がずれていることから、加速
度用参照信号の位相が0°〜180°の区間d1と18
0°〜360°の区間d2でもって角速度・加速度混在
信号を同期検波することにより、角速度・加速度混在信
号の角速度成分B3が除去され、上記加速度成分C3の
みを取り出すことができる。これにより、同期検波部3
0は、上記加速度成分C3に応じた信号を加速度信号と
して出力する。
【0048】このように、上記同期検波部27と同期検
波部30によって、角速度・加速度混在信号の角速度成
分と加速度成分を分離して取り出し角速度信号、加速度
信号を出力する信号分離部が構成されている。
【0049】この第1の実施形態例によれば、角速度・
加速度混在信号から角速度成分B3と加速度成分C3を
それぞれ分離して取り出し角速度信号、加速度信号とし
て出力する信号分離部を設けたので、角速度と加速度を
共通に検知する振動素子8を1個設けるだけで、角速度
の大きさに応じた角速度信号と加速度の大きさに応じた
加速度信号とをそれぞれ独立した状態で得ることができ
る。
【0050】このことから、この第1の実施形態例に特
有な信号処理回路を設けることによって、1個の振動素
子を設けるだけで角速度と加速度を両方共に検出するこ
とができるという今までにない画期的な外力検知センサ
装置を提供することができる。
【0051】また、ジャイロ1と加速度センサとを組み
合わせて角速度および加速度を検知するセンサ装置を構
成する場合に比べて、この第1の実施形態例では、上記
のように振動素子を1個設けるだけでよいので、外力検
知センサ装置の小型化が容易である。さらに、1つの振
動素子と、図1に示すような簡単な回路構成の信号処理
回路を設けるだけでよいので、部品点数が大幅に減少
し、これにより、部品コストの削減を図ることができる
ことから、外力検知センサ装置を安価で提供することが
可能である。
【0052】以下に、第2の実施形態例を説明する。
【0053】この第2の実施形態例において特徴的なこ
とは、角速度あるいは加速度の検出精度をより一層向上
させることができる構成を備えていることである。それ
以外の構成は前記第1の実施形態例と同様であり、この
第2の実施形態例の説明では、上記第1の実施形態例と
同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複
説明は省略する。
【0054】前記したように、同期検波部27や同期検
波部30において角速度・加速度混在信号を同期検波す
る際に検波角ずれが生じる場合がある。同期検波部27
において検波角ずれが生じた場合には、該同期検波部2
7から出力される角速度信号には加速度成分C3に起因
した加速度ノイズ成分が乗ってしまう。また、同期検波
部30において検波角ずれが生じた場合には、該同期検
波部30から出力される加速度信号には角速度成分B3
に起因した角速度ノイズ成分が乗ってしまう。このよう
に、角速度信号、加速度信号に検波角ずれに起因したノ
イズ成分が乗ってしまうと、外力検知センサ装置の角速
度、加速度の検出精度が低下してしまうという問題が生
じる。
【0055】上記同期検波部27、同期検波部30に検
波角ずれが生じるか否かは信号処理回路の回路定数等に
よって予め分かることから、この第2の実施形態例で
は、上記同期検波部27に検波角ずれが生じる場合に
は、前記第1の実施形態例の構成に加えて、図2の実線
に示すような減衰部である減衰器33と、ノイズ除去部
である差動増幅部34とが設けられる。また、上記同期
検波部30に検波角ずれが生じる場合には、前記第1の
実施形態例の構成に加えて、図2の点線に示すような減
衰部である減衰器35と、ノイズ除去部である差動増幅
部36とが設けられる。
【0056】上記角速度信号に含まれる検波角ずれに起
因した加速度ノイズ成分の大きさと、同期検波部30か
ら出力される加速度信号の大きさとの比は信号処理回路
の回路定数等によって予め求まる。上記減衰器33の減
衰率はその加速度信号の大きさに対する上記加速度ノイ
ズ成分の大きさの比に予め設定されており、減衰器33
は、同期検波部30から出力された加速度信号を取り込
み、この加速度信号を上記設定の減衰率でもって減衰し
て上記差動増幅部34に出力する。つまり、減衰器33
は、角速度信号に含まれている検波角ずれに起因した加
速度ノイズ成分の大きさを持つ信号を差動増幅部34に
出力する。
【0057】差動増幅部34は、上記同期検波部27か
ら出力される角速度信号を取り出し信号として取り込
み、この取り出し信号と上記減衰器33の出力信号との
差を取り、上記角速度信号から上記検波角ずれに起因し
た加速度ノイズ成分を除去して出力する。
【0058】また、同様に、加速度信号に含まれている
検波角ずれに起因した角速度ノイズ成分の大きさと、同
期検波部27から出力される角速度信号の大きさとの比
は信号処理回路の回路定数等によって予め求まり、減衰
器35の減衰率は、上記同期検波部27から出力される
加速度信号の大きさに対する上記角速度ノイズ成分の大
きさの比に予め設定されている。減衰器35は上記同期
検波部27から出力された角速度信号を上記設定の減衰
率でもって減衰して差動増幅部36に出力する。この減
衰器35の出力信号は、加速度信号に含まれている検波
角ずれに起因した角速度ノイズ成分の大きさを持つ信号
である。
【0059】差動増幅部36は前記同期検波部30から
出力される加速度信号を取り出し信号として取り込み、
この取り出し信号と上記減衰器35の出力信号との差を
取り、上記加速度信号から上記検波角ずれに起因した角
速度ノイズ成分を除去する。
【0060】この第2の実施形態例によれば、同期検波
部27から出力される角速度信号に検波角ずれに起因し
た加速度ノイズ成分が乗っている場合や、同期検波部3
0の出力信号である加速度信号に検波角ずれに起因した
角速度ノイズ成分が乗っている場合には、それら角速度
信号、加速度信号から検波角ずれに起因したノイズ成分
を除去する構成を備えたので、検波角ずれの悪影響が取
り除かれた角速度信号、加速度信号を得ることができ、
角速度、加速度の検出精度の悪化を防止することができ
る。このことから、この第2の実施形態例では、前記第
1の実施形態例に述べたような効果を奏することができ
る上に、角速度と加速度の検出精度の信頼性を向上させ
ることができるという優れた効果を得ることが可能であ
る。
【0061】なお、この発明は上記各実施形態例に限定
されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例
えば、上記各実施形態例では、センサ部2は図3に示す
形態であったが、上記センサ部2は角速度と加速度を共
通に検知することができる形態であればよく、センサ部
2は図3に示す形態に限定されるものではなく、適宜の
形態を採り得るものである。
【0062】また、上記各実施形態例では、同期検波に
用いる角速度用参照信号、加速度用参照信号は加算増幅
部23から出力される駆動検出信号に基づいた信号であ
ったが、例えば、上記角速度用参照信号、加速度用参照
信号はAGC部25から出力される駆動信号を利用した
信号であってもよい。この場合、上記駆動信号は、角速
度・加速度混在信号の角速度成分B3と同相あるいは1
80°位相がずれている信号であり、加速度成分C3と
は90°位相がずれている信号であることから、上記角
速度用参照信号は駆動信号により構成され、加速度用参
照信号は上記駆動信号の位相を90°ずらした信号によ
り構成される。
【0063】さらに、上記各実施形態例では、角速度と
加速度を両方共に検出することができる外力検知センサ
装置の一例を示したが、例えば、本発明は、角速度のみ
を検知するジャイロや、加速度のみを検知する加速度セ
ンサである外力検知センサ装置にも適用することができ
る。例えば、ジャイロにおける前記図6に示した信号処
理回路20に前記第2の実施形態例に示した減衰器33
および差動増幅部34を組み込み、これら減衰器33と
差動増幅部34によって前記検波角ずれに起因した加速
度ノイズ成分が除去された角速度信号を出力する構成と
する。このような構成を備えることによって、検波角ず
れに起因した加速度ノイズ成分が除去された角速度信号
を得ることができるので、角速度の検出精度に優れたジ
ャイロを提供することができる。また、加速度センサに
関しても同様に、加速度の検出精度が高い加速度センサ
を得ることができる。
【0064】
【発明の効果】この発明によれば、信号分離部を設け、
該信号分離部によって、角速度成分と加速度成分とが混
在して成る角速度・加速度混在信号から角速度成分と加
速度成分をそれぞれ分離して取り出し角速度信号、加速
度信号として出力する構成を備えているので、角速度と
加速度を共通に検知するセンサ部を1個設けるだけで、
角速度の大きさに応じた角速度信号と、加速度の大きさ
に応じた加速度信号とをそれぞれ分離した状態で得るこ
とができる。これにより、1つのセンサ部を備えるだけ
で角速度と加速度を両方共に検出することが可能な外力
検知センサ装置を提供することができる。
【0065】また、この発明の外力検知センサ装置は、
角速度を検知するためのセンサ部と、加速度を検知する
ためのセンサ部とをそれぞれ別々に設ける必要が無く、
上記の如くセンサ部を1個設けるだけでよいので、外力
検知センサ装置の小型化を容易に図ることができる。さ
らに、部品点数の削減を図ることができるので、部品コ
ストを低下させることができ、安価な外力検知センサ装
置を提供することが可能となる。
【0066】同期検波によって、角速度・加速度混在信
号から角速度成分と加速度成分を分離して取り出す構成
を備えたものにあっては、簡単な回路構成で、角速度成
分と加速度成分を容易に分離することができる。
【0067】センサ部が振動素子により構成されている
ものにあっては、角速度や加速度を高感度で検出するこ
とができる。また、振動素子は広い面を有するものであ
ることから、従来のように角速度検知用の振動素子と加
速度検知用の振動素子を共に設けて角速度および加速度
を検知可能なセンサ装置を形成した場合には、そのセン
サ装置はかなり大型なものとなってしまうが、この発明
では、角速度と加速度を共通に検知する振動素子を1つ
設けるだけでよいので、外力検知センサ装置の小型化が
図れ、有効である。
【0068】同期検波に用いる角速度用参照信号、加速
度用参照信号が振動素子の駆動方向の振動に応じた駆動
検出信号に基づいた信号であるものにあっては、角速度
・加速度混在信号の角速度成分、加速度成分の位相と、
上記角速度用参照信号、加速度用参照信号の位相とがず
れてしまう検波角ずれの発生を抑制することが容易であ
る。
【0069】減衰部とノイズ除去部が設けられ、これら
減衰部とノイズ除去部によって角速度信号と加速度信号
のうちの一方側の取り出し信号に対してノイズ成分とな
る他方側の信号の成分を除去する構成を備えたものにあ
っては、角速度、加速度の検出精度をより一層向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態例において特徴的な信号処理回
路の構成を示すブロック図である。
【図2】第2の実施形態例において特徴的な信号処理回
路の構成を示すブロック図である。
【図3】センサ部の一形態例を示す説明図である。
【図4】図1や図2に示すC−V変換部から出力される
信号の波形例を示す波形図である。
【図5】角速度・加速度混在信号の波形例を示す波形例
である。
【図6】従来のジャイロを構成する信号処理回路の構成
例を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 センサ部 8 振動素子 23 加算増幅部 24 差動増幅部 27,30 同期検波部 33,35 減衰器 34,36 差動増幅部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 19/56 G01P 9/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 角速度と加速度を共通に検知するセンサ
    部と;このセンサ部により検知された角速度の大きさに
    応じた角速度成分と加速度の大きさに応じた加速度成分
    とから成る角速度・加速度混在信号を出力する角速度・
    加速度混在信号出力部と;上記角速度・加速度混在信号
    から上記角速度成分と加速度成分をそれぞれ分離して取
    り出し角速度信号、加速度信号として出力する信号分離
    部と;が設けられ、上記角速度・加速度混在信号の角速
    度成分と加速度成分は互いに90°位相がずれている交
    流成分であり、上記信号分離部は角速度信号取り出し部
    と加速度信号取り出し部を有し、上記角速度信号取り出
    し部は、上記角速度成分と同相あるいは180°位相が
    異なる角速度用参照信号を利用して上記角速度・加速度
    混在信号を同期検波して上記加速度成分を除去し角速度
    成分に応じた角速度信号を出力する構成と成し、上記加
    速度信号取り出し部は、上記加速度信号と同相あるいは
    180°位相が異なる加速度用参照信号を利用して上記
    角速度・加速度混在信号を同期検波して上記角速度成分
    を除去し加速度成分に応じた加速度信号を出力する構成
    と成していることを特徴とする外力検知センサ装置。
  2. 【請求項2】 センサ部は角速度と加速度を共通に検出
    する方向に振動が自在な振動素子を有し、角速度・加速
    混在信号出力部は、角速度に起因した上記検出方向の
    振動素子の振動に基づいた角速度成分と、加速度に起因
    した検出方向の振動素子の振動に基づいた加速度成分と
    から成る角速度・加速度混在信号を出力する構成と成し
    ていることを特徴とする請求項1記載の外力検知センサ
    装置。
  3. 【請求項3】 センサ部は、角速度と加速度を共通に検
    出する方向と、該検出方向に対して直交する駆動方向と
    に振動が自在な振動素子を有し、上記駆動方向の振動素
    子の振動に応じた駆動検出信号を出力する駆動振動検出
    部を備え、角速度・加速度混在信号出力部は、角速度に
    起因した上記検出方向の振動素子の振動に基づいた角速
    度成分と、加速度に起因した検出方向の振動素子の振動
    に基づいた加速度成分とから成る角速度・加速度混在信
    号を出力する構成と成し、角速度用参照信号は上記駆動
    検出信号と90°位相がずれた信号と成し、加速度用参
    照信号は上記駆動検出信号と同相あるいは180°位相
    がずれた信号と成していることを特徴とした請求項
    載の外力検知センサ装置。
  4. 【請求項4】 角速度信号と加速度信号のうちの一方側
    の取り出し信号に対してノイズ成分となる他方側の信号
    を信号分離部から検出して減衰する減衰部と;上記取り
    出し信号から上記減衰部の減衰動作によって得られた信
    号を差し引いて上記取り出し信号に含まれているノイズ
    成分を取り除くノイズ除去部と;が設けられていること
    を特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の
    外力検知センサ装置。
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